その頃、高田麗子は……、

はい、テレビの前のお父さんたちが待ち焦がれていたシャワータイムに突入なさっていた。
この高田麗子、明智をライバル視する保険調査員と言う、新しい役どころ(レギュラーではないにせよ)なのかと結構期待していたのだが、結局ただのおっぱい戦士だったようだ。

彼女が気持ち良さそうにシャワーを浴びていると、曇りガラスのついたての向こうに、紛れもない黄金仮面のシルエットが現れ、
「お待た」と言う感じで覗き込む。
高田「誰、いやっ」

高田「あっ、やめて、あっああっ」
ナイフを持って無言で襲い掛かる黄金仮面に、麗子も必死に抵抗する。

が、やがて腹部を何度も刺され、たちまち血塗れになる。

高田「あっあっ」
黄金仮面が執拗に彼女の下腹部目掛けてナイフを何度も突き刺すのがかなりえぐい。

さらにこの足元の血だまりの描写!

裸の上、一度に大量の血を失った麗子の体が急激に冷えて行く。
シャワー室での殺戮シーンは美女シリーズの風物詩であるが、このシーンはその中でも特に残虐度が高い。相手が無表情の、むしろ笑いを誘うマスクをつけたまま、淡々とナイフを振り下ろすあたりがめちゃくちゃ怖い。

明智と波越が、彼女のマンションの前に車を止めた頃、麗子は血の海の中に(尻を出して)倒れていた。
黄金仮面は悠々部屋を出て行こうとするが、ちょうど通りがかったカップルと鉢合わせになり、一転、あたふたと階段を降りて行く。そりゃそんなもん被ってりゃ驚かれるってば。
それと入れ違いにエレベーターで上がってきた明智たち、カップルの話を聞いて部屋に踏み込むが、

既に麗子は恨みの目を見開いて死んでいた。この死に顔もかなり来る。
波越「ひどいことするなぁ、黄金仮面も」
明智「いや、これは黄金仮面の仕業ではありません。めった突きだが、どの傷も浅い。こういう刺し方は女性の仕業です。恐らく黄金仮面になりすました、浅沼由貴でしょう!」
死体をちらっと見ただけであっさり犯人を名指しするエスパー明智さん。

さて、桜の花が咲き零れるさくら幼稚園にて、ピアノを弾いているひとりの美青年。そこへ、花子が現れ、二人が恋人同士だということが分かる。
ピアノ青年・佐伯清二を演じるのは宅麻伸さんで、天知茂先生のお弟子さんだったということはこのブログで何度も指摘した通り。過去の美女シリーズに端役で出演してきたことも同様。今回は、ヒロインの恋人と言う初の大役に抜擢である。
花子「いよいよ今度の日曜ね、国際ピアノコンクールは」
清二「ああ、調子良いよ。来てくれるんだろ」
花子「勿論!」

清二「優勝して、君と結婚だ!」
さすがに宅麻伸さん、まだ演技がコチコチ。

その後、熱いくちづけを交わす二人。どちらの俳優もコチコチに緊張しているのが伝わってくるようだ。
だが、その日曜日に、花子は父親から銀行の頭取の次男と見合いをしろと命じられる。花子に婿を迎えて会社を継がせたい白銀氏は、清二との結婚は許さんと断言する。
そこへ再び黄金仮面の犯罪予告状が届く。今度はゴッホの「はね橋」を頂戴すると言う大胆不敵なものだった。早速、ナイスリアクション課長が予告状を持って明智のところへ飛んでくる。

波越「『はね橋』はどこに置いてあるんですか?」
課長「社長は伊東に豪華な
(自分で言うな)別荘を持っておりまして、その別棟の美術館にございます。盗難防止装置も完璧で常時ガードマンがおります」
明智「確か今度の日曜はお嬢さんのお見合い、だと仰いましたね」
波越「黄金仮面は人の出入りの多い日を狙う。その日が臭いなぁ」
ジェラール「誰とお見合いするんですか?」
課長「銀行の頭取の御子息とです」
ジェラール「待って下さい、花子さんには恋人がいます!」
課長「いえ、その方は社長が反対しております」
ジェラール「いや! 誰も反対できません! 愛は何よりも強く、何よりも勝るものです」 明智が「随分花子さんの肩を持ちますね」と冷やかすが、
ジェラール警部は「花子さんは私の理想の女性です」と、はばからず、花子への愛を公言する。
明智たちは当然、伊東へ(またか……と言うような顔で)出発するのだった。
何処へも寄らず、真っ直ぐ私設の白銀美術館に到着し、白銀氏、明智、波越、ジェラールの4人で「はね橋」の前に立つ。

波越「ゴッホにあるはね橋ってのは、これですか?
ふーん、大した絵じゃないんだよねえ。なんで黄金仮面がこんなもの欲しがるのかなぁ」
所有者を目の前にして、物凄く失礼なことを平気で口にする波越。もっとも、白銀氏は太っ腹の紳士なので、それを聞いても苦笑するだけだったが。

警部が喋りながらすこーし絵に近付くと、背後の探知機が作動し、けたたましく非常ベルが鳴り出す。さらに、入り口に鉄格子が下りる。
波越「なんだこりゃ!」
白銀「超短波の防犯装置です」
白銀氏が得意そうに言い、手にしたリモコンの解除装置を押すと、鉄格子がすぐ上がる。
白銀「これならたとえ黄金仮面でも、手も足も出せんでしょう」
さて、別荘には花子も来ていたが、こっそり東京へ戻ろうとする。だが、出掛けに彼女に電話がかかってくる。

声「佐伯清二君のことは諦めて、お父さんの勧める縁談を承知して下さい。もしイヤだというなら、佐伯君の身に何が起こるか保障しませんよ。片腕がなくなるとか、両手の指が切り取られるとか……つまり一生ピアノが弾けなくなりますよ」
花子「あ、あなたはどなたです?」
声「黄金仮面」(カチャ)

花子「黄金仮面が……清二さん……一体何の関係があるの?」
黄金仮面の脅し文句が頭の中に渦巻き、激しく懊悩する花子。

一方、波越警部がテキパキと警備の配置を申し渡しているのを尻目に、デパートの配送員になりすました小林少年が、あるものを白銀氏の許へ届ける。それは、他でもないゴッホの「はね橋」だった。
明智がすぐ顔を出し、説明する。
明智「驚かれましたか? これは複製です。私の
部下に届けさせたんです。万が一のことを考え、本物と架け替えて頂きたいのです」
部下と言うのは、ちょっと冷たい響きだなぁ。せめて助手と言って上げて。

白銀氏は唯々諾々、額から本物を取り出し、運送されてきた贋物を嵌め込む。
本物の方は、小林少年がケースに入れ、貸し金庫へ保管することになる。
管理人、最初見た時は、この明智や小林は黄金仮面と手下の変装で、白銀氏を騙して本物を奪うつもりなんじゃないかと深読みしたのだが、全然そんなことはなかった。
花子は、得体の知れない脅迫電話の為、結局別荘から出られず、意に染まぬお見合いの席に出ていた。
着物姿で、他の女性二人と共に琴を弾いている花子。

その名前の通り、花のように可憐な姿を、庭の窓からジェラール警部が熱っぽく見詰めていた。
波越警部たちは万全の警戒態勢を敷いて黄金仮面が来るのを待ち構えていた。が、美女シリーズの警察というものは、全て明智と犯罪者の引き立て役に過ぎず、役に立った試しがないので、今回もあっさり黄金仮面に包囲網を突破され、やすやすと邸内への侵入を許してしまう。

展示室の鍵を開け、悠々、中に入る黄金仮面。
慌てず騒がず、特殊なサングラスを仮面の上からかける。
冷静に考えたら、仮面の上からサングラスをかけるというのは、実にアホな図である。

サングラス越しに見ると、赤外線(?)警戒網がバッチリ見える。
黄金仮面、仰向けになると、
ゴキブリが痙攣しているような動きで、ワシャワシャと床面を進む。言って見れば、逆ほふく前進である。
黄金仮面はそうやって、何の苦もなく「はね橋」を盗み出す。ただし、贋物であることには気付かない。

別荘の外では、文代さんと小林少年がバイクにまたがって黄金仮面の出現を待っていた。
小林「この新兵器の威力を見せてやれるのにな」
文代「小林君の発明じゃあんまり効力があるとは思えないわ」
小林少年、何やら自家製のアイテムを自慢げに手にしている。小林少年がこういう才能を見せるのは、この1作だけだろう。
と、別荘の前にタクシーが止まり、スラッとした青年が降りてくる。佐伯清二である。

当然、波越警部たちに誰何される。
佐伯「佐伯と言います。花子さんにお会いしたいんです!」
波越「お嬢さんに?」
明智とジェラールもやってくる。佐伯役の宅麻伸さんにとっては、お師匠さんとの芝居になるわけで、もう心臓はバクバク!
ジェラール「あなたが花子さんの恋人ですね」
佐伯「はぁ……何かあったんですか」
ジェラール「花子さん、今、お見合いしてるんです」
佐伯「お見合い?」
ジェラール「心配しないで、花子さん、相手の人、好きじゃありません。私、花子さんに連絡して会わせて上げます」
ジェラールはそう言ってその場を離れる。

明智「親切ですね、フランス人は」
波越「いやぁ、親切通り越して物好きだよ。黄金仮面が来るかもしれないってのに」
佐伯「黄金仮面?」
波越「我々はね、今夜奴が来ると睨んでるんだけどね」 もうとっくの昔に来てます! 明智は素知らぬ顔をしているが、彼は黄金仮面にわざと絵を盗ませ、外で見張っている二人に追跡させようと言う魂胆なのだろう。無論、そんなことは波越警部には言えない。

と、突然波越警部が、佐伯に疑いの目を向ける。
波越「ううん、まさか君は黄金仮面の手下じゃないだろうね? それとも……変装してんのかな?」
佐伯「あっ、いてっ、あっ……」
いきなり佐伯の整った顔を掴む波越警部。
……
前からそうじゃないかと睨んでいたのだが、波越警部って
頭がおかしいのでは? 
佐伯「何をするんですか」(棒読み)
そこでやっと、ひとりの刑事が賊の侵入を知らせに来る。
明智たちが展示室へ入ると、当然、既に「はね橋」はなくなっていた。
波越警部は狼狽するが、ここでやっと明智と白銀氏に、それが贋物だと教えられる。

佐伯がその場に残って突っ立っていると、ジェラール警部に教えられたのか、花子がやってくる。
佐伯「花子さん、どうして来てくれなかったんだ?」
花子「ごめんなさい……」
佐伯「コンクール、入賞したよ」
花子「ほんと? おめでとう!」
佐伯「お見合いしたんだって?」
花子「ええ……」
佐伯「僕との約束はどうなるんだっ」
愚直に恋人に詰め寄る佐伯。
花子「私もあなたが好きよ。でも……これには訳があるの……」
佐伯「わけぇ? 訳ってなんだっ」
二人が口論していると、絵を盗んで出てきた黄金仮面がいきなり佐伯をどつき、ピストル片手に花子を拉致しようとする。佐伯も必死に抵抗するが、黄金仮面にぶっ飛ばされる。そこへ浅沼由貴のRX-7が突っ込み、黄金仮面と花子を乗せて走り去ってしまう。

待ってましたとばかり、文代さんと小林少年が波越警部たちを押しのけるようにして発進し、追跡を開始。
今回、何故かこの辺りで、OPやEDで流れることの多いテーマ曲(ちゃらららーちゃーちゃーちゃちゃーっと言う、あれ)が流れ出す。
やや遅れて、明智も自らハンドルを握り、波越とジェラールを乗せて追跡する。
黄金仮面が文代さんたちに気付き、スピードを落として様子を窺う。
文代「勘付いたかな?」
小林「よし、例の手で行こう」

予め打ち合わせがしてあったのだろう、文代さんはあえて前に出て、運転席側を並走し、「ねえちょっと、何処行くの? ねーおねえさーん、競走しようかぁ?」などと、わざと調子を変えてしきりに話しかける。
しかし、由貴も黄金仮面も、文代さんと会ってる筈だから、すぐ気付きそうなものだが?
で、彼女が注意をひきつけている隙に、小林少年が車の後部に例の「新発明」をこっそり装着する。
そして二人ともRX-7を追い越して行ってしまう。
由貴「ただの暴走族ですね」
で、肝心の「新発明」だが、これが一定間隔に特殊な白い塗料を路面に落として、それが尾行の目印になるという、極めて単純な原理のアイテムだった。なんで普通に発信機を使わないのか、謎であるが、これとほぼ同じ物が、少年探偵団シリーズで使われていた筈だ。穴の開いた、コールタールの缶を車に取り付ける……と言うような感じだったと思う。
二人は先行して待ち、RX-7が粉を落としながら走っていくのを確認し、改めて追跡を再開する。
黄金仮面らは全く気付かず、山中の別荘のようなアジトへ辿り着く。文代さんと小林少年、明智たちと合流し、アジトへ向かう。

花子「痛いっ、痛っ!」
黄金仮面「我慢するんだ」
拉致した際に出来た傷を、治療してやっている黄金仮面。
花子「どうしてこんな親切なあなたがひどいことなさるの?」

黄金仮面、花子の小さな顎に手を添え、
「なるほど、可愛い顔だ。あいつが惚れるのも無理はない」
花子「あ、あいつって誰?」
黄金仮面「お前をこの世で、一番愛している男だ」
謎めいた言葉を口にする黄金仮面。

と、瞋恚の炎をありありと目に浮かべ、由貴が現れる。
由貴「どうしてその子を連れてきたの?」
黄金仮面「これは作戦だ」
由貴「望みの絵も頂いたんだし、これ以上何の作戦があるって言うの? あなたこの子が好きなんでしょ?」
黄金仮面「妬いてるのか?」
黄金仮面、花子の口にガムテープを貼ると、由貴を連れて部屋を出る。
出た途端、由貴は「ロベールは私だけのものよ」と黄金仮面にしがみつく。

黄金仮面「そう、私もこの世で愛しているのはお前だけだ」
ここで、やっと仮面を外す黄金仮面ことロベール。
演じているのは無論、伊吹吾郎さんだが、メイクのせいでかつての黄金仮面とは別人のように見える。
……ま、別人だから当然なんだけどね! 
夜が明けて、朝靄のたちこめる黄金仮面のアジトから、物悲しいギターの音が聞こえてくる。
※ほりのぶゆきの「旅マン」を持っている人は、90ページを開いてみよう! 由貴「ロベール、私はあなたのギターを聞いてると何もかも忘れることが出来るわ。私、幸せよ」
ロベール「僕がこんな仕事をしていてもか?」
由貴「いいの、私はあなたと一緒にいられれば……」
ロベール「もうこんな仕事はイヤだ。早くフランスへ帰って静かに暮らしたい。君と二人で……」
由貴にとっては至福の瞬間であったが……。
上から不審な物音がし、ロベールはすぐ黄金仮面になって確かめに行く。

しばらくして、不安そうに待つ由貴のところへ黄金仮面が戻ってくる。
由貴「誰が来たの?」
黄金仮面、無言で首を横に振る。
由貴「良かった。こんなビクビクした暮らしもうたくさんよ。これからすぐフランスへ発ちましょう。いいわね、ロベール?」
黄金仮面、再び無言で頷く。
勘の良い視聴者なら、この、急に無口になった黄金仮面が誰かすぐピンと来るだろう。
由貴「嬉しい、すぐ荷物をまとめてくるわ」

由貴、いそいそと部屋を出ようとするが、なんとびっくり、もうひとりの黄金仮面がひょいっと顔を覗かせるではないか。
そう言えば、似たようなシーンが「妖精の美女」にもあったなぁ。元々原作にあるシーンだけど。
由貴「どういうこと?」
黄金仮面「誰だ、貴様? 面を取れ」
明智「面を取らなきゃ分からないのか、私の正体が? ロベール、君らしくないぞ!」 無論、その正体は明智であった。仮面を脱ぎ、素顔を見せる。
二人は慌てて逃げようとするが、居間には既に波越警部以下、全員集合していた。

明智「私はいつも女の人質を連れて歩く君のやり方を見て、ロベールは人が変わったのか、それとも黄金仮面はニセモノだと言う気がしていた。さあ、顔を見せて貰おう」
黄金仮面「……」
明智「やはりニセモノなんだな、本物のロベールなら花子さんをさらうようなことはしない。フランスに愛する不二子さんがいるからな」
由貴「何言ってるのよ! この人はロベールよ。私のロベールよ!」
明智、ここで黄金仮面の盗んだ「はね橋」が複製であることを告げる。明智の言葉に、茫然とする黄金仮面。明智は、本物の黄金仮面なら、それに気付かない筈はないと指摘し、
明智「ニセ黄金仮面、その正体を見せろ!」 ジェラールがピストルを向け、フランス語で呼びかけるが、黄金仮面は咄嗟に窓を突き破って脱出を図る。

黄金仮面、ピストルを撃ちながら、森の中を走り、いつもの(?)場所へ到着。
明智たちに左右から追い込まれ、進退窮まる黄金仮面。弾も尽き、万事休す……。

ここで、明智さんが狭い吊り橋の上で黄金仮面を投げ飛ばすのが、しびれるほどカッコイイのだ。
まぁ、投げるより投げられる方が技術を要するのは言うまでもないが。

明智は仮面を剥がし、下のマスクを毟り取るが、予想に反し、その下から現れたのは紛れもないロベールの顔だった。
明智「やっぱり、ロベール?」

ロベール、反撃に転じ、明智を橋の上から落とそうとする。
と、後から駆けつけたジェラールが、橋のたもとからロベールを撃ち、転落させてしまう。
絶叫を残して、ロベールは海中に没する。明智ならともかく、ロベールはとても助からないだろう。

事実、すぐロベールの体は引き揚げられ、その死亡が確認される。
ザクロのように割れたロベールの無残な死骸。相変わらず物凄いビジュアルだ。

明智「生きたまま捕まえたかった……」
ジェラール「撃たなきゃ君がこうなってた。とうとう黄金仮面も死にました。死と共に罪も消えますよ」
明智は事件解決の喜びなど微塵も見せず、むっつりとその場を離れる。

ジェラール「ヘイ、ミスタ明智!」
文代「先生にとって黄金仮面は良きライバルだったんです」 ジェラール「気持ち、分かります」

ひとり、棕櫚の並木道を走る明智さん。
その脳裏には、かつて激しい頭脳合戦を繰り広げたロベールの晴れやかな笑顔と、あの無残な死体とが交互に浮かび上がっていた。

と、前方に、由貴が現れる。
が、明智さんは物思いに耽っていたので気付かずに轢き殺してしまう。
由貴「うぎゃっ!」 明智「あれ?」 翌日、事務所に波越警部が顔を出す。
波越「そう言えばね、浅沼由貴が橋の近くの路上で、轢死体で発見されたよ。轢き逃げらしい」
明智「ほう」
文代「運の悪い人ねえ」
明智「黄金仮面によって運命を狂わされた、悲しい女性だったように思えますね」 波越「ところで明智君の車、凹んでない?」
明智「えっ?」
……って、いつまで嘘を書いとるんじゃ!

無論、明智はブレーキを踏む。
しばし見詰め合う両者。ここの田中麻里さんの美しさは絶品である。
明智「ロベールは死んだよ」
由貴「あたしも死んだも同じよ」
明智「そんなに愛していたのか」
由貴「ええ、心から」
明智「これからどうする? 逃げても無駄だよ」
由貴「連れてって、警察に」
紳士の明智さん、黙って助手席のドアを開けてやる。文代さんが見ていたら、「もうっ、先生ってほんっとに美人に弱いんだから!」と言うだろう。

明智「保険調査員の高田麗子を殺したのは君だね?」
由貴「そう、全てはロベールの為よ。あなたは黄金仮面はロベールじゃないと思っていたのね」
明智「そうだ、
昔の黄金仮面は惚れ惚れするような鮮やかな手口で私たちに挑戦した。しかし、今度の手口はまるで違う。おまけに不二子さんと言う最愛の女性を持ちながら、花子さんを誘拐したり、君と言う愛人を持ったり、まるで人が変わってしまった」
今回、折に触れ、明智さんは「昔の黄金仮面はどてらい奴だった」と慨嘆するのだが、ここでちょっと前作「妖精の美女」におけるロベールの手口を振り返って見ましょう。

まず、囮として使った女性(野平ゆき)を口封じの為に部下に射殺させ、
ついで、仕事の邪魔になる明智さんを港におびき出して射殺し(死んでないけど)、

最後は部下のモロボシダンを黄金仮面に仕立てて始末しようとするが、瀕死のダンに正体を暴露されてしまうと言うお粗末。
……
やってることあんまり変わらないね! そもそも原作の黄金仮面からして、人種差別的発言をして明智に軽蔑されたり、その手口の拙さを明智にバカにされたり、華麗なる大泥棒と言う感じはしないんだけどね。
その3へつづく。
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