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「仮面ライダーBLACK RX」 第28話「皇帝陛下の代理人」

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 第28話「皇帝陛下の代理人」(1989年5月14日)

 冒頭、荒涼とした怪魔界を、男女別の制服を着た数人の若者たちが行進している。

 
 クライシス人と言っても、外見は地球人と全く同じであった。

 ……あれ、クライシス人って耳が尖ってなかった? ま、人数が多いからそこまで手が回らなかったのだろう。

 彼らは空中に浮かぶクライス要塞に転送され、そこからまた地球に転送されることになる。

 ゲドリアン「いよいよ我がクライシス人が地球に移り住む日がやってきた。お前たちはその栄えある兵士として選ばれたのだ」

 どうやら、痺れを切らしたジャーク将軍、まだ受け入れ態勢も出来ていないのに、選抜したクライシス人をとっとと地球に送り込むことにしたらしい。

 作戦の責任者であるゲドリアンは、配下のギメラゴメラに彼らを蝶の姿に変えさせて、転送装置に送り込む。

 別に人間のままでも可能だと思われるが、そうやって小型化したほうが一度に大量のクライシス人を転送できて効率が良いのだろう。

 だが、例によって「悪の組織」は絶望的に運が悪く、地球側の受け入れ先である渓流の近くの洞窟の奥に作られた転送ルームに、偶然、家族連れでキャンプに来ていたユキオと言う少年が迷い込み、クライシス人が転送されるところを目撃されてしまう。

 
 ユキオ「わあ、綺麗だなー、なんだろう?」

 と、転送装置が光を放ち、中からたくさんの蝶が出て来たのでユキオは何事かと岩陰に身を潜める。

 蝶は、そこに咲いている色とりどりの花に群がり、さかんに蜜を吸っている。

 戦闘員「作戦行動に移れとのご命令だ」
 戦闘員「エネルギーの補給が終わり次第開始します」

 別室から出て来たチャップが、そんな会話をかわす。

 花の蜜は、蝶となったクライシス人にとってのエネルギー源らしい。

 洞窟を出た蝶は、案の定、河原にいたユキオの両親と姉に襲い掛かり、

 
 その体に憑依して、操り人形と言うより、クライシス人そのものになってしまう。

 三人は直ちに車で自宅へ戻ろうとするが、そこへユキオが息せき切って走ってきて、

 ユキオ「洞窟の中に、変な花が……変なチョウチョも」

 
 父親「お前は誰だ?」
 ユキオ「何言ってんだよ、ね、お母さん?」
 母親「……」

 すがりつく息子を母親は冷たく突き飛ばす。

 姉「この子供は必要ない、置いていこう」

 三人は車に乗り込み、ユキオを置いてさっさと走り去ってしまう。

 結果的に、こうやってユキオを放置したことが今回の作戦を台無しにしてしまうことになる。

 山の中に置いてけぼりにされたユキオだったが、たまたま、近くをドライブしていた光太郎と玲子の車の前に飛び出し、ブシッと踏み潰される。

 玲子「あれ、いま、なんか轢いたような……」
 光太郎「えー? 気のせい、気のせい」
 玲子「うふっ、そうね」

 じゃなくて、玲子は慌てて急ブレーキをかける。

 玲子「僕、だいじょぶ?」
 光太郎「おい、君!」

 
 慌てて車から降りてユキオに駆け寄る二人の様子を、じっと見下ろしている者がいた……。

 
 光太郎「え、お父さんが君を置き去りに?」
 ユキオ「うん、僕を知らないなんて言うんだ。僕見たんだ、お花畑にチョウチョがいっぱい飛んでいるのを、のっぺらぼうのお化けみたいなのがエネルギーが何とかって言って……」

 ユキオを自宅まで送り届ける間、二人はユキオから詳しい事情を聞く。

 そして、ユキオの住んでいる団地の一室のチャイムを鳴らすが、出て来た父親は無愛想な顔でお礼の一言も言わず、ユキオを強引に部屋の中に引っ張りこみ、光太郎を追い払ってしまう。

 しかし、普通は怪しまれないようにそれなりの芝居をするものだが、彼らにはそんな発想がまったくないらしい。おまけによりによって相手が、クライシスにとって最大の邪魔者・光太郎だと言うのに、これでは、自分たちのことを疑ってくれと言ってるようなものである。

 こう言う繊細な神経が必要とされる任務に、ゲドリアンのようながさつな指揮官を責任者に据えたことが、そもそものジャーク将軍の人選ミスだったといえるだろう。

 これがマリバロンやボスガンあたりなら、最初は普通の人間らしく振舞うようにしろとか、南光太郎にはとりわけ勘付かれないようにしろとか、きっちり渡航前にレクチャーしてただろうに。

 
 父親「南光太郎とはどう言う関係なんだ?」
 ユキオ「痛いよー、放してよー」

 その後の父親の台詞で、彼らが光太郎の顔をちゃんと知っていたことが判明する。

 知らなかったのならともかく、相手が誰か知っているのにそのあからさまに怪しい態度は、いくらなんでもありえないだろう。

 果たして、「こいつは怪しい、あからさまに怪しいぜぇぇぇ」と確信した光太郎が窓を突き破って侵入し、ユキオを部屋から逃がす。

 
 近くの公園に逃げ込んだユキオの前に、ギメラゴメラが立ちはだかる。

 すぐ、変身済みの光太郎が飛んできて、ユキオを玲子に託して逃げさせるが、

 
 今度は、その背後にユキオの家族が現れる。

 RX「ユキオ君のお父さんとお母さんをどうした?」

 例によって、とりあえず分からないことは直接聞いてみるRXであった。

 「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」って言いますもんね。

 
 怪人「わからんのか、その者たちは地球人であり、そして我がクライシス軍の兵士でもある」
 RX「なにっ?」
 父親「怪魔異生獣ギメラゴメラの力で蝶になり、この地球界にやってきた」
 母親「そして地球人の体に取り憑いているのだ」
 姉「私たちを攻撃すると地球人を攻撃することになるのよ」

 総がかりで、RXに分かりやすく丁寧に教えてくれるクライシスの皆さんでしたー。

 ……

 クライシス人ってバカなの?

 もっとも、今回は、あえてそう教えることで、RXの動きを牽制することにはなっているが……。

 
 父親「RX、私と一緒に地獄へ行こう。この体は滅んで再び蝶になって抜け出し、別の人間に取り憑くまでだ!」

 ユキオの家族は、RXの動きを封じて自分たちごとギメラゴメラに攻撃させようとするが、RXは何とかその手を振り払い、一旦、アクロバッターで退却しようとするが、ギメラゴメラに邪魔され、それもままならない。

 このまま行けば、負けないまでもRXはかなりしんどい戦いを続けねばならなかったと思うが、

 ダスマダー「ギメラゴメラ、お前の力もその程度か!」

 何故かこのタイミングで、物陰から見物していた謎の人物、新レギュラーである査察官ダスマダーがあらわれ、RXではなくギメラゴメラを嘲笑う。

 

 
 ダスマダー「クライシス皇帝直属特別査察官ダスマダー大佐、RX、手始めに君の力を見せて貰おう!」

 ダスマダーを演じるのは、アクション俳優・監督として国際的に活躍されている松井哲也さん。

 ダスマダー、剣を抜くと、RXとギメラゴメラの真ん中に割り込み、

 
 果敢にRXに戦いを挑んでくる。

 しかし、この場面でのダスマダーの行動を見ると、逆にRXを助けてるようにしか見えないんだけどね。

 実はダスマダー、クライシス皇帝打倒を目指すレジスタンスの一味だった……と言う意外な展開もありえたんじゃないかと思う。どっちかと言うとヒーロー顔だしね。

 少なくとも本編で明かされる正体よりはずっと面白かったと思うが。

 ギメラゴメラたちの総攻撃を受けて、RXは跡形もなく消滅した……ように見えた。

 
 CM後、初めてダスマダーがジャーク将軍たちと顔を合わせている。

 ダスマダー「クライシス皇帝陛下は地球侵略の遅れをひどくお怒りになっている。私はあなた方の働きを調査し、場合によっては処罰する。たとえ、ジャーク将軍、あなたといえども」
 マリバロン「無礼な!」
 ジャーク「その必要はない。我らの侵略は既に開始されている」
 ゲドリアン「ギメラゴメラがRXを倒すのをその目で見た筈だ」
 ダスマダー「手抜かりがある。あの子供を逃がしている」
 ゲドリアン「RXがいない以上、あんな子供ぐらい……」
 ダスマダー「果たしてそうかな」
 ゲドリアン「なんだとぉーっ」
 ジャーク「もうよい、ダスマダー、目障りだが、それも任務とあらば仕方あるまい。我らの手際、とくと見届けて帰るが良い」

 が、ダスマダーが退室した後、ジャーク将軍は念の為、ユキオを始末するようゲドリアンに命じる。

 それにしてもダスマダーを派遣したクライシス皇帝の真意は、ほんとに彼らを監視させることだけが目的だったのだろうか。それより、F先生の佳作「イヤなイヤなイヤな奴」の故知にならって、普段から絶望的なまでに仲の悪い四大隊長を結束させる為、わざと憎まれ役のダスマダーを送り込んだとも考えられる。

 さて、ユキオの家族や他のクライシス人は、その団地を早くも支配下におさめ、

 
 公園に住民たちを集め、彼らの家財道具などクライシス人にとっては不要だと判断したものを出させて強制的に焼却しようとする。

 そんなことして何の意味があるのかと思うのだが……。

 それより、どんどん蝶となったクライシス人を送ってもらって、どんどん仲間を増やしていく方が建設的だと思うんだけどね。

 一方、ユキオの父親は仲間たちと近くの工場を襲い、クライシス人の為の食料工場にするのだと喚いて大暴れしていた。

 ……って、おおっぴらにそんなことしてたら、警察や役人が黙ってないと思うんだけど、そう言う形跡は一切見られない。

 それはともかく、クライシス人に乗っ取られた人間は、パワーも増し、ちょっとした超能力も使えるようになるので、相手が少数でも地球人は対抗できず、唯々諾々と従うしかなかった。

 
 狂ったように家財道具に火をつけて笑う母親と姉の姿に、幼い心を痛めているユキオ。

 
 玲子「こんなことがいつまでも続く筈ない。きっと仮面ライダーが……」
 ユキオ「仮面ライダーは死んだんだ。街中あいつらの言いなりだよ。公園はブルドーザーで潰されたし、テレビだってクライシスの放送ばっかりだ。仮面ライダーが生きてるなら助けてくれる筈だろ?」

 え……? と言うことは、放送局まで占拠されたってこと? さすがにそれで警察や自衛隊が出動しないというのはあまりにリアリティーがないなぁ。

 無論、光太郎は生きており、ゲドリアンやクライシス人に追われていた二人を助けると共に、ユキオから、あの洞窟の場所を聞きだす。

 さいわい、クライシス人は、一定の間隔で蝶となって人間の体から離れ、あの洞窟まで戻り、エネルギーを補給する必要があった。

 ユキオの家族に取り憑いていた蝶も、彼らから離れ、洞窟に向かう。

 その間、人間は眠ったままの状態になるらしい。

 光太郎は彼らが来るのを待ち、

 光太郎「帰るんだ、怪魔界へ!」

 相手はあくまでクライシス皇帝に命令されているクライシス人に過ぎないので、攻撃はせず、説得して穏便に怪魔界へ帰ってもらうようお願いする。

 最初は少し抵抗していた蝶たちだったが、光太郎が重ねてお願いすると、何故かあっさり説得に応じ、自ら転送装置の中に入っていくのだった。

 
 それを見て、満足そうに頷く光太郎。

 何でもかんでも力尽くで解決しようとする姿勢よりは遥かに好感が持てるけど、光太郎の平凡な説得の言葉であっさり引き下がってしまうのは、どうにも納得できない。

 だって、ついさっきまで、悪魔のような笑い声を上げて地球人を虐げていたのに、この落差は一体なんだ? と言うことになるからね。

 この後、RXとなった光太郎がギメラゴメラを倒し、クライシス人移送計画はあえなく頓挫する。

 
 ジャーク「ぬうっ、またしても、ゲドリアン、失敗するとは! とわっ!」

 激怒したジャーク将軍が、甘噛み程度に手加減したビームをゲドリアンに放ってお仕置きするが、

 
 ダスマダー「だから言わぬことではない」

 馴れ合いの嫌いなダスマダー、続いて、超能力でゲドリアンの体を宙に浮かせ、本気の罰を与える。

 マリバロン「このようなことが許されるとは!」
 ジャーク「ダスマダーはある意味では皇帝陛下の代理人なのだ」
 ダスマダー「ジャーク将軍、このたびの不始末、皇帝陛下につぶさに報告しておこう!」

 ダスマダーと言うシャレの通じないお目付け役の参加に、ますますブラックな職場と化すクライス要塞の昼下がりであった。

 ラスト、すっかり元通りになった家族とユキオが感動的な再会を果たし、めでたし、めでたし……と言いたいところだが、ユキオの家族は工場を襲撃したり、他人の持ち物を燃やしたりしてる訳で、そのことで、損害賠償を請求されたり、地域住民から排斥されたり、これからひどい目に遭うのではないだろうか?

 クライシス人に操られていたんだと言っても、何も知らない一般人が許してくれるとは思えないのだが。

 以上、まったく捻りやフックのない、いかにも「RX」らしい無味乾燥なストーリーで、ダスマダーの登場シーンがなければ、確実にスルーしていただろう。
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コメント

意味不明

クライシスの行動も意味不明ですね😅ワケが分からないですね

ダスマダー

その正体やキャラ自体は別にして、ダスマダーそのものはカッコいい!
石ノ森先生のデザインだし、松井さんも男前。

松井さんって東宝の超星神シリーズのアクション監督でした。
「超星神グランセイザー」(第1作、2003年)面白かったなぁ・・・

Re: 意味不明

ま、地球に移住したいと言うのは分かりますけどね。

Re: ダスマダー

> その正体やキャラ自体は別にして、ダスマダーそのものはカッコいい!
> 石ノ森先生のデザインだし、松井さんも男前。

そうですね。もっと上手くストーリーに活かせなかったかなぁ?

蝶の大群

事件解決後のユキオくんの家族の今後が、どうしても気になってしまって仕方がありません。まるで「シャイダー」の不思議獣ツタツタのお話にも似た腑に落ちない幕切れになっています。
出来ればユキオくんが蝶の蒐集を趣味にしており、クライシス人が変身した蝶を新種と思い込んで大喜びで家に持ち帰ってしまったために、これに怒った他のクライシス人たちが蝶の姿で暗躍!
「新種の蝶、大量発生!!」
等と報じられ、ユキオくんの家族を含む人間たちがその毒鱗粉で原因不明の奇病に罹ったり、蝶の大群に東京タワー等が倒壊されたり、鉄道が寸断され機能麻痺になる等と言う展開の方が見応えがあったと思います!加えてその様子を見たダスマダー大佐が
「あのクライシス人たちは、名も無い平民たちだ。その彼らが蝶の姿を借りていたいたとは言え、地球人どもにこれ程までの打撃を加えたとは大殊勲と言えよう!それに比べて貴様らのしている事は何事だっ(怒)?!」
とジャーク将軍たちを糾弾してしまう場面等が最後に置くことも出来ます。

Re: 蝶の大群

>ユキオくんの家族を含む人間たちがその毒鱗粉で原因不明の奇病に罹ったり、蝶の大群に東京タワー等が倒壊されたり、鉄道が寸断され機能麻痺になる等と言う展開の方が見応えがあったと思います!

そうですね。ただ、予算的に難しいのでは?

当時は恐かったですが、大人になってからだとユキオ君の家族が社会的に不味いなと思いましたね😅間違いなく引っ越しはするかと。

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

大人になると、ついついそんなことを考えてしまいますよね。

階級とか気になったところ

こんばんは。

>……あれ、クライシス人って耳が尖ってなかった? ま、人数が多いからそこまで手が回らなかったのだろう。

以前の自コメントで述べた通り、「純正クライシス人は元々怪魔界とは別の場所から来た侵略者」ということを、「尖った耳=怪魔界の原住民族」・「普通の耳=純正クライシス人(本物のガロニア姫も外見自体は地球人寄りでした)」という風に現しているんだと思います。

それとダスマダー、皇帝直属の部下設定なら肩書きは「大佐(地球の軍隊だと将軍より格下のはず)」よりは「長官」or「総監」あたりの方がよかった気がします。

Re: 階級とか気になったところ

こんばんは。

> 以前の自コメントで述べた通り、「純正クライシス人は元々怪魔界とは別の場所から来た侵略者」ということを、「尖った耳=怪魔界の原住民族」・「普通の耳=純正クライシス人(本物のガロニア姫も外見自体は地球人寄りでした)」という風に現しているんだと思います。

二重侵略者とは珍しいですね。

> それとダスマダー、皇帝直属の部下設定なら肩書きは「大佐(地球の軍隊だと将軍より格下のはず)」よりは「長官」or「総監」あたりの方がよかった気がします。

確かに、なんか中途半端ですよね。

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