大沢が21年前の出来事を明智に語っている。
彼らが高校3年生の時、南志津枝と言う美しい少女を中心に、7人の男子生徒がひとつのグループを作っていた。
つまり、さきほどリストにした7人(大沢、三田村、青木、鶴田、ケンゾー、杉村、岩崎)である。

大沢「亡くなった母親が霊媒をやっていたそうで、その血を受け継いだのか、その予言は良く当たりました。黒い子猫を可愛がっておりました」
土蔵の中で、セーラー服の上に、巫女の様な着物を羽織り、冒頭に出てきた霊媒のように護摩壇に向かって祈りを捧げる志津枝さん。
大沢「志津枝は私たちにとって女神でした。私たちは協定を結びました。志津枝に対して恋愛感情を持ってはいけない。ところがそのタブーを岩崎が破ったのです。土蔵の中で岩崎は志津枝を暴力で犯したんです」
(註・原作では、高校卒業後、彼らが成人してからの出来事になっている)

そのレイプシーンもチラッと出てくるが、いまだかつて、これほど色気のないパンチラがあっただろうか? いや、ない!
で、それをたまたま見ていた杉村が岩崎を撲殺し、

翌朝、杉本が滑車とロープを使い、土蔵の壁にぶらさがって縊死しているのが発見されたと言う。
大沢の話は、実は事実とはかなり異なっていたのだが、この時点で明智さんに分かる筈もなかった。
明智は、現在の事件に話を戻し、最初に文代さんが目撃した男が、大沢ではなかったかと推測する。

大沢「はははは、いや、参りましたな」
大沢はあっさりそれを認め、照れ隠しのように笑い声を上げる。
大沢は、自分と青木、三田村、そしてケンゾーが志津枝を名乗る女性からの電話で、あの公園に集められていたことを告白する。
明智「南志津枝?」
大沢「岩崎の霊を呼び出すから、来てくれということでした」
青木「出掛けて見ると、鶴田が木の枝に滑車で吊り下げられていて、それで慌てて逃げ出したんだ」
大沢「こんな写真を殺人の予告に送ってくるところを見ると、殺された岩崎さんの身寄りがこのグループに復讐しようとしてるんですよ」
明智は更に踏み込んで、(杉村の母親から譲り受けた)小指のミイラや滑車などを使って、鶴田が彼らを強請っていたのではないかと自分の考えを述べる。
ここでも大沢は妙に物分りが良く、簡単にそれを認めて自分から話し出す。

大沢「クラス一の秀才が実社会に出てからは何をやってもダメ、そして最近突然現れて、昔のことを喋るからって私たちを強請り、金を取っていたことは事実です」
青木「やましいことはなくても、我々にはいささか名前がある。嫌な昔の話を週刊誌に売り込むと言われたら、そりゃ金を払うよ」
協力的な大沢たちだったが、事件を象徴する小指のミイラについては、杉村が岩崎を殺した時に岩崎に噛み切られものではないかと言う憶測以上のことは話さない。
また、肝心の志津枝については、事件以後、姿を消したことしか彼らは知らなかった。父親がいたらしいのだが……。
原作では、志津枝はレイプされた後で自殺している。と言うより、彼女の自殺によってレイプ事件が明るみになったのだ。
その時、別の部屋から大沢の妻・かずえの悲鳴が上がる。
明智たちが急いで声の方へ走ると、かずえが階段の途中で怯えた顔をしていた。
見知らぬ黒猫が、寝室から台所へ向かったと、彼女は青褪めた顔で説明する。
明智、波越、大沢が寝室へ行くと、ベッドの上にまたあの五重塔の写真が麗々しく飾ってあった。

大沢「やっぱりこんだぁ僕の番だ。僕が殺されるんだぁっ」
波越「一体、誰の仕業だ?」
手分けして邸内を捜索しようとするが、折しも、隣家の番犬が激しく吠え立てる声がする。
明智がすぐ玄関から出て見ると、ちょうど川井奈津子が逃げるように向こうへ駆けて行く姿が見えた。
明智がやや茫然と立ち尽くしていると、背後にかずえが現れる。

かずえ「またあの女だわ……大沢とあの看護婦、いい仲なんです」
大沢が「なんのことだね」とやってくると、かずえはそそくさと家の中へ戻る。
「いつでも別れてあげてよ」と言うお嬢様風の捨て台詞を残して。
かずえを演じるのは生田悦子さん。
一方、奈津子はタクシーで病院の寮(?)に戻ってくる。
門を入ると、黒い人影が彼女を待っていた。
明智さんであった。

奈津子「!」
明智「大沢先生のところから、どうして逃げ出したんです?」
普通の顔して質問しているが、いくらなんでも明智さん、ここに来るのが早過ぎないか?
ま、奈津子がタクシーを拾うのに手間取っている間に、先回りできたのだろう。

奈津子「逃げたんじゃありません、何かお取り込み中の様子でしたので……」
明智「鶴田氏が殺された現場から姿を消したのは、
あんただね」
奈津子「いいええっ」
明智「ケンゾー氏が殺されていた遊園地でも私は
君の姿を見ている」
奈津子「私、行ってません」
明智「見え透いた嘘をつくと、余計
あなたが疑わしくなってきますよ」
名探偵に厳しく追及される奈津子。
この時、片平さん、後年、自分が容疑者を問い詰める役を何十回となく2時間サスペンスで演じることになろうとは、想像だにしていなかっただろう。
どうでもいいが、明智さん、奈津子の呼び方が「あんた」「君」「あなた」と、安定しませんな。
奈津子、自分が冨士北市の出身と言うことは認めたが、それ以上の質問には答えようとせず、寮へ駆け込んでしまう。
明智、やはり奈津子が事件の鍵を握っていることは間違いないと、過去の事件を詳しく洗い直そうと再び富士北市へ車を走らせる。
明智が東京を離れている間、礼子が病院の大沢を尋ね、ケンゾーのことや写真のことなどについて話している。この時、礼子が「ケンゾーは写真の送り主が誰か知っているようだった」「ケンゾーのアドレス帳を明智さんに調べて貰うつもりだ」などと漏らしたことが、後の悲劇を招くことになる。

冨士北市の墓地。
明智と所轄刑事の見守る中、杉村家の墓の発掘作業が行われていた。
刑事「東京であった殺しが、21年前の事件に絡んでいるとは、驚きましたなぁ。この杉村清の白骨と関係があるんですかねえ」
明智「噛み切られた小指が杉村のものなら有力な手掛かりになる。それでご無理をお願いしたんです」
明智さん、ただそれを確認する為に、墓あばきをしているらしい。無論、警視庁の波越の口添えもあってのことだろう。
で、調査の結果、杉村の白骨死体(例によって土葬)にはちゃんと小指の骨があった。
明智は、ついで、南志津枝の父親・南老人の家を訪ねる。

明智「明智と言いますが、実はこの事件のことでお伺いしたいんです」
南「わ、わしゃカンケーねえ」
例によって、良い感じにコケの生えたお爺ちゃんが明智さんをお出迎え。今福将雄さんね。
最初は型通りに拒絶反応を示す南老人だったが、結局何もかも話してくれる。
奈津子が、志津枝の娘であること、奈津子の父親が岩崎だと言うこと……

明智「(岩崎は)杉村に殺されたんですね、志津枝さんを犯したと」
南「犯した? とんでもねえ、誰がそんなこと?」
明智「いや……、昔の仲間の方々から聞きました」
南「嘘です。志津枝は難産で命を落としましたがね、死ぬ間際まで言ってましたよ、決してふしだらなことしたんじゃねえ。心底、好きあったんだってね」
奈津子が川井姓なのは、志津枝の死後、養子に出されたからだった。
奈津子は高校生になる直前、突然、祖父の元を訪れたと言う。

その回想シーンの中に、花も恥じらう女子高生姿の片平なぎささんが登場なさいます。鼻血ものですな。
ここで南老人は初めて彼女の実の両親のことを奈津子に話したらしい。

南「岩崎さんに頼んで、お前のお父さんのそばに埋めて貰ったんだ」
老人は、孫を岩崎家の墓地のすぐ横に立てられた志津枝の墓に案内する。
両親の墓に手を合わせる奈津子。
奈津子「お父さんが殺された時のこと、詳しく聞かせて! お願いよ、おじいちゃん」
南「死んだ志津枝が言ってたよ、(岩崎)三郎さんは杉村ひとりに殺されたんじゃないような気がするってな」
奈津子「それじゃ、友達のグループのみんなに?」
南「遠い昔のことだ、何も証拠はねえんだから……忘れろ、奈津子」
老人はしきりに宥めるが、奈津子は容易にそれに従いそうにない厳しい顔付きであった。

南「探偵さん、鶴田とケンゾーを殺したのは奈津子ですか?」
明智「いやぁ、今は何とも言えませんが……捜査の状況は、奈津子さんに不利なことは確かです」
南「助けて下さい、探偵さん、奈津子にもしものことがあったら志津枝に申し訳がたたねえ」
老人は明智の腕を掴んで、涙ながらに訴えるのであった。
一方その頃、東京では、三つ目の殺人事件が進行中であった。

ケンゾーのマンションで、ゆったりと浴槽の湯に身を浸しているのは、婚約者の礼子さん。
そうでーす。皆さんお待ち兼ねのヌードタイムでーす。
しかし、婚約者を殺されたばかりだというのに、この満ち足りた表情はちょっと変だね。いくらお風呂が気持ち良いと言っても。

泡付きのバックヌードも披露される礼子さん。
風呂場から出て、バスタオルを胸に巻き、鏡台の前に座る。

そして、全然濡れてない髪をブラッシングしていると、チェックのスカートに、ヒールを履いた女性が部屋に入ってくるのが鏡に写る。が、礼子は全く気づかないまま、背後からロープを巻かれて首を絞められる。

礼子が苦しそうに身をよじるうちに、バスタオルが落ち、一度保管したおっぱいが改めて披露される言う、ツボを心得た演出が冴える。
礼子はそのまま絶命し、床にうつ伏せに倒れる。

天井からのカメラで、礼子さんのうつ伏せの尻を思う存分映し出しながら、明智が部屋に入ってくる。
波越「あ、明智君、またやられたよ、進藤氏の彼女まで、
どういうつもりなんだろうね?」
波越は他人事のようにつぶやいているが、実際、ドラマでも、彼女が殺される必然性は限りなく低い。
彼女のヌードを出す為の殺人と言われても仕方ない気がする。
一応、ケンゾーが写真の送り主のことを知っていて、それを礼子に話したのではないかと犯人が疑い、礼子の口を封じた、と言うことになるのだろうか? ただ、礼子が大沢のところを訪ねた時には、彼女は全くその相手については知らない様子だったので、やはり納得は難しい。
それにしても、こうやって大勢の男たちに尻を見られながらの演技(死体だけど)、女優さんって大変なお仕事よねえ。

刑事「犯行推定時刻に不審な若い女を見掛けたものがいるんです」
波越「それが、格子柄のワンピースを着てたんだそうだ」
明智「川井奈津子ですか……」
こうしてますます川井奈津子への嫌疑が深まっていくのであった。
波越は、早速奈津子に話を聞きに病院へ行くが、彼女が大沢の家に呼ばれていると知り、文代さんと一緒に大沢邸に車を走らせる。

一方、明智は、鶴田が入院していた病院を訪ね、看護婦さんから話を聞いていた。
看護婦「新聞を見たら鶴田さんのことが載っていて、びっくりしましたわぁ」
明智「入院していたのは?」
看護婦「秋に、一週間くらいでしたかねえ。すぐに退院すると言い出したので、自由にして貰ったんですけど、快復する見込みがないと見てましたから」
明智「癌だったんですね……誰か面会に来た人はいませんでしたか?」
看護婦「面会ですか。あ、ひとりだけ若い女性が……多分、何処かの看護婦ですよ」
明智「どうして分かりました?」
看護婦「カルチ(癌)はどれくらい進んでいるかって専門用語使ってましたから」
なかなか観察眼の鋭い看護婦さんであった。しかも、なかなか綺麗である。
鶴田が生前、川井奈津子らしき女性と面識があったことは事件の重要な手掛かりとなる。
大沢のところを訪ねている奈津子。
大沢は、資料の整理をして貰うために彼女を招いたのだが、それは単なる口実に過ぎず、どうやら奈津子に思し召しのある大沢が、彼女を口説く為に呼んだらしいのだ。

大沢「似てるんだよ、君は、僕の初恋の人にね」
陳腐な口説き文句を囁きかける大沢。
もっとも、それが南志津枝のことを指しているのなら、奈津子はその実の娘なのだから、嘘は言ってないのだけど。

大沢、奈津子の手を握り、息が掛かるほど急接近する。
奈津子はしかし、それを強く拒もうとせず、「その頃のお話、聞かせて下さい……」
調子に乗った大沢、奈津子の髪をかき上げ、剥き出しになった首筋に唇を這わせる。
奈津子、どうやら21年前の事件の真相を突き止める為、好きでもない大沢に接近しているらしい。
同じ時刻、明智さんが事務所に戻ってくると、

明智「どぉしたんだ、ブラインドなんか下ろして……」
かずえ「あたくしがお願いしたんです」

かずえ「光が眩しいので……少し飲んでますの、ごめんなさい。私、お願いがあってきたんです……」
来客用のソファにやや気だるそうに座って明智を待っていたのは、大沢の妻・かずえであった。

立ち上がるが、ふらふらと明智によろけかかる。
明智「だいじょぶですか」
かずえ「……こちら、助手さん?」
明智「はぁ」
かずえ「ねえ、遠慮して貰えないかしら……」
小林少年、明智と目を合わせると、不満そうな顔で事務所から出て行く。
色っぽい人妻と二人きりと言う、明智さんにとって一番苦手な状況となる。

かずえ「ご存知でしょう、私たち夫婦仲が上手く行ってませんの」
明智「さぁ、その辺のところは私にはさっぱり……」
かずえ「嘘おっしゃい!」 (ほぼ)初対面の相手に、こんなこと言う奴ぁいねえよ。
かずえ「あの人、女に手が早くて、今は看護婦に
アツアツ」
明智(アツアツ……)
明智がすかさず川井奈津子の名前を出すと、「ほら、良くご存知の癖に」と、なじるようにつぶやくかずえ。
かずえ「今頃、家で抱き合ってるわ、きっと」
確信を込めて断言するが、確かに、大沢と奈津子はナニの真っ最中であった。
だが、奈津子は大沢に最後の一線まで踏み込ませるつもりはさらさらなく、ソファに押し倒されたところで、目の前にあったペーパーナイフを掴んで、大沢に突きつける。
再び、昼下がりの明智事務所。
要するに、かずえの用件は、大沢と奈津子の関係を調査して欲しいと言う、およそ明智の引き受けそうにない仕事の依頼だった。

かずえはしきりに酔いが回ったと言って、明智に水を求める。
明智が水を入れたコップを渡そうとすると、巧みにその手を掴んで、露骨に明智を誘う。
経験豊富な人妻の手練手管に、明智さん、翻弄されっぱなし。頑張れ、明智さん!

明智さん、その手を頬に摺り寄せるかずえのさせるがままにさせつつ、父親が娘を慰めるように、かずえの艶やかな黒髪を優しく撫でてやるのだった。
かずえ「はーっ、あたし、寂しいんです。力になって欲しいんです」
明智「私は探偵、依頼人のお役に立つのが商売ですから」
かずえ「嬉しいわ」
かずえ、明智の胸に縋り付く。
文代さんが見たら、発狂しそうな場面であったが、幸い、文代さんは波越警部の車で大沢邸へ向かっているところだった。
波越たちと入れ違いに、慌てた様子の奈津子が家から出て行く。

屋敷に踏み込んだ波越たちが目にしたのは、2階で、滑車とロープで首吊り状態の大沢の姿だった。
波越たちは急いで大沢を助けおろし、救急車を呼ぶ。
大沢の体の上には、またしても「五重塔」の写真が添えられていた。

知らせを聞いて、青木、三田村が大沢の見舞いにやってくる。
青木「良かったなぁ、助かって」
大沢「警部さんたちが張り込んでくれていたお陰でな」
青木、三田村は自分たちのところにもあの写真が送り届けられたと言い、早急な事件解決を警部に訴える。
波越「ご安心下さい、これ以上、犯人に勝手な真似はさせませんから。逮捕は時間の問題ですな」
波越は、奈津子に任意同行を求め、本格的な事情聴取を行う。

波越「君が逃げ出した後、先生は吊るされていたんだよ。君がやったに決まってんじゃないか」
奈津子「本当です、私は何もしてません! 先生が私に……」
波越「うん、君に何をした? 言いたまえ!」
奈津子「……」
波越「分かった、君を手篭めにしようとした、それで
カッとして麻酔を嗅がせて吊るした……そうだろ?」
奈津子「違います!」
波越「ようし、今日は喋るまで帰さないからな」
波越警部、奈津子が犯人だと決め付けていたが、波越警部の推理は必ず外れるので、当然、奈津子が真犯人である訳がない。
そもそも、「カッとして麻酔薬を嗅がせ」る奴なんていねえよ。
……しかも、
明智「冨士北市に行って、おじいちゃんに会ってきたんだ。あなたが、南志津枝さんのお子さんであると言うことも調べてきた」
奈津子「……」
波越「
君の動機は復讐なんだよ! こっちは何もかも分かってるんだ!」
数秒後には、こんなこと言い出す始末。さっき、「カッとなって」って自分で言うたやん。
奈津子に付き添っていた恋人の榊も事実をありのまま打ち明けるよう勧める。
言い忘れていたが、榊を演じているのは映画「エデンの海」に出演してヒドい目に遭った南條豊さんである。

花も実もある明智さんは、
「警部、これは、榊さんにお願いしたらどうでしょう? 今夜良く話し合って明日もう一度私たちと会いましょう」と、折衷案を示す。
明智「あなた、奈津子さんを愛しておられるようですね」
榊「結婚したいと思ってます」
明智「じゃ、真実を聞いてあげて下さい」
波越警部が何とも言わないのに、明智はさっさと二人を帰らせてしまう。

波越「大丈夫かね、こんなことして? もし川井奈津子が真犯人だとしたら、
逃亡するか、自殺するか、そうなったら僕はクビだからね」
そのくらいのことでクビになるくらいだったら、今まで少なくとも
11回はクビになってると思うんですが。
(参考……過去12作で、逃亡2回、自殺9回、逮捕1回)
仲良くタバコを咥えながら、明智さんは奈津子は犯人じゃないと断言する。
波越「どうして?」
明智「礼子殺しの犯人は格子柄のワンピースを着ていた。どうしてそんな目立つことをするんですか? こりゃ、彼女をはめようとしている証拠ですよ。待ちましょう、愛の力は
我々の推理よりもずーっと強いものです」
さりげなく、「我々の」と、波越警部のポンコツ推理も一緒にしてくれる優しい明智さんであった。
波越「はーっ、うちのローン、まだいっぱい残ってるんだよな。俺がクビになったら、明智君に払って貰うよ」 明智(シカト)

翌日、暇を持て余してストレッチで体をほぐしている文代さん。
実際、導入部以外では、今回ほとんど見せ場のない文代さんであった。
女性の声で電話が掛かり、奈津子だと名乗って11時に森林公園で会いたいと、明智への伝言を頼む。
文代さん、習慣的にそのやりとりをテープに録音しておくのだが、それが事件解決の大きな決め手になる。
……もっとも、視聴者からすれば、声の主は奈津子じゃなく、あの人だと一発で分かっちゃうんだけどね。
ただ、奈津子の声をほとんど聴いてない文代さんが気付かないのはともかく、

戻ってきた明智さんが、文代さんが今録音したばかりのテープの声を聞いても全く気付かないというのは、名探偵としてはあまりに迂闊であった。
ま、電話の声を録音したものだから、判り難かったと言う言い訳は可能だが……。
明智さん、約束の時間に車で森林公園にやってくる。鶴田が殺されたあの広場である。
少し遅れて奈津子も現れるが、

奈津子はそんな電話は掛けてないと明確に否定する。
やがて、二人とも、偽の呼び出し電話でここに呼び出されたことが判明する。
奈津子にかかって来たのは男の声だったという……。
明智「誰かが何かを企んでいるようだね……」
ついでなので、明智はその場で奈津子から話を聞かせて貰うことにする。
一方、事務所には、榊がひとりで現れ、午後1時に事務所で奈津子と落ち合うことになっていると話す。
怪訝に思った文代は、あのテープを榊に聞かせるが、さすがに恋人である。それが奈津子の声でないことに気付く。
再び森林公園。
明智はまず、鶴田との関係を尋ねる。
奈津子は、1ヶ月前、鶴田が大沢に会いに来た時、初めてその存在を知った。そして2週間前、21年前の事件について何か教えて貰えるかもしれないと、鶴田が入院している病院を訪問したのだと言う。

鶴田「あんたが志津枝ちゃんの……」
奈津子「父が誰に殺されたのか、知りたいんです。母は(父・岩崎は)杉村さんひとりに殺されたんじゃないと言ってたそうです。話して頂けませんか?」
鶴田は思い詰めた表情だったが、やかで、口で言うより、じかにその犯人に会わせてやろうと奈津子に約束してくれる。
鶴田「21年間ビクビクしていたが、罪滅ぼしが出来るよ……」

明智「それで、この場所を指定されたんだね?」
奈津子「夜の1時と言う約束でした。でも、途中で道が分からなくなって……」
奈津子が来た時には、既に鶴田は首吊り死体となってぶら下がっていたと言うのだ。
彼女は慌ててその場から逃げたのだが、その際、身分証を落としてしまったらしい。
しかし、考えたら、鶴田は森林公園で大事な集まりがあると言うのに、その前に霊媒のところへ行き、南志津枝の霊に謝ってるんだよね。なんか不自然な行動だ。
明智「そしてあなたは、公園の西口からタクシーに乗ったんですね?」
奈津子「西口……、いえ、あっち、東口です」
明智「東口? 私の部下は、西口から格子柄の服を着た女性がタクシーに乗り込んだことを聞き込んでるんだが?」
奈津子「それは東口の間違いです」
明智「そう……」
続くケンゾーの事件の際にも、ケンゾーの名で遊園地に呼び出されていたのだと奈津子は説明する。
無論、大沢を滑車とローブで殺そうとしたことはハッキリ否定する。一瞬の殺意は認めたけれど。
奈津子「父を殺した人たちが本当に憎くなってきた……先生に復讐しようと思って」
歩きながら公園の中を話しているうちに、明智の乗ってきた車のところに出る二人。
明智は彼女を乗せて、事務所へ向かおうとするが、エンジンをかけると同時に、後部座席の下に置かれた缶入りの時限爆弾が作動し始める。タイマーは3分。
その3へ続く。
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