第13回「愛からはぐれた」(1985年7月16日)
前回のラスト、千鶴子がド派手な不良メイクをして、雅人との婚約披露パーティーに乱入してから、はや1週間が過ぎた。
剛造が朝刊をテーブルに叩きつけて怒声を放っている。
剛造「誰が私より先に間違い探しを解いたんだぁっ?」 雅人(やべぇ……)
じゃなくて、
剛造「なんだこれは? 誰がこんなものを出して良いと言った?」
則子「申し訳ありません」
その新聞の尋ね人欄に、雅人と則子が連名で出した千鶴子への呼びかけが載っていたのを見付けて、何故か剛造が激怒しているのだ。
雅人「心配じゃないんですか、お父さんは」
剛造「千鶴子が何をしでかしたか、お前たちにはその意味が分かってるのか?」
剛造はあのパーティーの席で、婚約発表とあわせて、雅人を南部開発の正式な後継者に指名するつもりだった。その為、財界の重鎮・竹岡をはじめ、政財界の名士を招待していたのに、よりによってその席で、千鶴子があんなとんでもないことをやらかしてしまい、竹岡たちの機嫌を大いに損ねてしまっていたのだ。
剛造は、さっそく竹岡たちに詫び状を出したが、その中で、「千鶴子はもはや私の娘ではない。帰って来ても屋敷には一歩たりとも入れない」とまで言い切ったのだと打ち明ける。
剛造「その人たちがこれを見たら何と思う? まるで私が千鶴子を探してるようじゃないか」
剛造はまた、雅人に千鶴子のことは諦めろと厳しく言い渡すが、婚約指輪まで用意していた雅人が簡単に引き下がる筈もなく、

雅人「お父さん、僕の話を……」
剛造「最近お前のやってることはなんだ? 手島君から聞いたんだが、大学にはろくに顔も出さずに、盛り場をうろついちゃ、千鶴子を探してるそうじゃないか。
少しはシャツをズボンから出しなさい!」
じゃなくて、
剛造「少しは学業に身を入れなさい」
雅人「じゃあ、千鶴ちゃんがどうなってもいいと?」
手島「会長は、南部開発の後継者たるべきあなたの将来を思えばこそ仰ってるんです。身をお慎み下さい」
雅人「しかし……」
そばにいたしのぶも、雅人がどれだけ千鶴子のことを心配しているか「父」に訴えるが、
剛造「お前はもう大丸家の令嬢なんだ、それにふさわしい素養を身に付けなければならん(中略)自分の幸せだけを考えなさい、千鶴子のことは考えなくてよろしい」
しのぶ「お父さん……」
剛造と手島が仕事に出掛けた後、
しのぶ「私、なんだか怖くなりました、お父さんが」
則子「あれほど千鶴子、千鶴子と可愛がってこられたのが嘘みたいだわ……」
手塩に育てた千鶴子をさらりと捨てて、しのぶに乗り換えたようにも見える酷薄な剛造の態度に、しのぶも則子も不審と恐れをこもごも抱くが、
雅人「いや、お父さんも心の底では千鶴ちゃんのことを思ってるんです。しかしそれが表に出せないくらい実業界は厳しいんです」
雅人には、剛造の真意が痛いほど分かるのだった。
もっとも、女たちはそんな雅人の説明を聞いても釈然としない表情のまま。
しのぶは、お手伝いから一躍令嬢と言う立場になり、学校でもいじめられることもなくなって、外形的には何不自由のない幸せな暮らしを満喫しているようだったが、しのぶ自身は、それもすべて千鶴子の苦しみや悲しみを犠牲にして成り立っているのかと思うと今の境遇を素直に喜ぶ訳には行かず、千鶴子が早く帰ってくることを心の底から願っていた。
その千鶴子、魂の抜け殻のようになって、街中を当てもなく彷徨っていた。

千鶴子(はぐれた……何からはぐれた? 家からはぐれた、学校からはぐれた……)
心の中で虚ろにつぶやきながら、スクランブル交差点を横断している千鶴子。
例によって、通行人は情け容赦なく伊藤さんの物凄いメイクとファッションに視線の矢をそそぎ、伊藤さんに、生涯でもベスト10に入る恥ずかしい思いをさせていた。
……
おい、そこの、ヘラヘラ笑って見てんじゃねえぞゴルァ! その後、裏通りに入った千鶴子は、三人組の不良少女に喧嘩を吹っかけられるが、とても大丸家の令嬢とは思えない凄みを利かせてタンカを切り、三人をボコボコにしてしまう。
しかし、モナリザじゃあるまいし、いきなり千鶴子が喧嘩まで強くなってるのは明らかに変だよね。
ま、色んな稽古事や部活動をしていたから、運動神経や体力はいくらか常人より優れていただろうが、それとこれとは別だからね。しかも相手は三人だと言うのに。

千鶴子(人の愛からはぐれた、昨日からはぐれた、明日からはぐれた……世界からはぐれた、見慣れた日本の国が異国になった……)
外から見れば、金持ちの娘が不良になって家出をしてるだけなのだが、千鶴子としては、ありとあらゆるものから疎外されているような、絶望的な気持ちになるのだった。
……しかし、家を飛び出して一週間経つのに、このド派手メイクや髪型が全く変わってないというのは、どういうことなのだろう? 一応、飛び出す時にある程度の金は持っていて、今までビジネスホテルとかに寝泊りしてたのかなぁ?
それにしても、「はぐれた、はぐれた」言いながら、毎朝、鏡に向かってきっちりメイクをしている千鶴子を思い浮かべると、ちょっと笑ってしまうのだが。

流れる川面を見詰めながら、千鶴子がとりあえずタバコでも吸おうとライターを擦るが、吹きさらしのせいかなかなか火が点かない。
そこで、後ろに落ちていた新聞を拾い、それを風除けにしようとするが、

それに、自分に対する雅人たちの呼びかけが載っているのを発見するのだった。
……
よくあるよね、こういう偶然!(ねえよ)
もっとも、千鶴子は汚いものでも見たような顔になり、即座に新聞紙に火をつけて燃やしてしまうのだった。

千鶴子「さよなら」
川を流れていく新聞紙を見ながら、今までの人生に別れを告げる千鶴子の目は、さすがに少し潤んでいた。
……
それにしても、何度見ても凄いメイクである。
このメイクでスクランブル交差点を闊歩してしまう、伊藤さんの女優魂には敬服する。
OP後、千鶴子レーダーでも内蔵しているのか、路男が真っ直ぐバイクに乗って千鶴子の前にやってくる。

路男「おい、迷子、どうして屋敷を飛び出したかしらねえが、随分探したぞ」
千鶴子「私から何を奪おうってのさ? 今の私には何もないよ」
路男「結構じゃねえか、人間、体と熱い魂さえありゃたくさんだ」
路男はバイクの尻に千鶴子の尻を乗せると、レストラン「シャロン」へ直行する。
テーブルの前に二人分の料理が並べられ、路男は話もせずに無心に手と口を動かしている。

千鶴子「どういうつもり? 仇の私に奢ろうだなんて」
路男「お前が欲しいからだ」
千鶴子「ふん、
こんな安料理一皿で、私が身を捧げるとでも思ってんの?」
丹精込めて作ってくれたコックさんが聞いたら泣きそうな台詞を吐いて、路男の魂胆を見透かしたように嘲笑う千鶴子。
今更だけど、つい最近までピカピカのお嬢様だった人が、いきなりこんな筋金入りの不良みたいなキャラにはならない……と言うか、なれないよね。
「不良少女~」で、こう言う役はお手の物になっている伊藤さんであったが、ここは、財閥令嬢が背伸び(?)して不良っぽく振舞おうとしているようなたどたどしさが欲しかったところだ。
路男「抱くつもりならとっくに抱いてる。だが、今のお前は抜け殻同然だ。俺が女にしたい千鶴子は女豹のように精悍で、ダリアのように鮮やかでなくてはな……まず腹ごしらえでもして、元気を出させなきゃ話にならねえ。冷めるぞ、早いとこ食え」
千鶴子食事が終わったら私と暮らそうとでも言うのかい」
路男「あん、お前の身も心も俺に死ぬほど惚れさせてやる。それこそが大丸への最大の復讐だからな」
二人が割合楽しく食事をしていると、いつものように不粋な邪魔者が入る。鬼神組の猛たちである。

猛「おい、ちょっとツラ貸せや」
路男(……お前は南米のゲリラか?) 路男、素直に猛たちと一緒に店の外へ出るのだが、

意地汚くも、フォークと料理の皿を手に持ったまま移動し、おまけに猛の目の前で食べながら話すという無作法な真似をする。
……
いや、さすがにこんな奴おらへんやろ。
これじゃあまるっきり、路男が聞き分けのない幼稚園児にしか見えない。
もっとも、手にしていたフォークは臨時の武器となり、路男は下っ端たちを軽くぶちのめすと、猛の右腕にそれを深々と突き立てる。
路男は千鶴子を連れてさっさと立ち去ろうとするが、千鶴子は咄嗟に猛の落としたナイフを拾い上げ、

千鶴子「あんたと暮らすなんてごめんだよ。不良になって一緒にやってくなら、あの男のほうが私は好きだね」
猛「じゃあ俺たちのところに来るか」
千鶴子「ああ。車持って来てよ」
猛「いや、自転車しかないんだけど……」
千鶴子「……」
途中から嘘である。
猛たちが車を取りに行った後、
路男「一思いに刺したらどうだ? でないと俺は何年かかってもお前を物にするぜ」
千鶴子は返答代わりにナイフをきらめかせて、路男の服を切って見せる。これにはさすがの路男も一瞬ギョッとする。
千鶴子「ふっ、たとえ世界中の男が死に絶えてお前ひとりになったところで、私がお前に惚れることはありゃしないよ」 くどいようだが、一週間前まで令嬢だった人が、こんな年季の入った顔でタンカは切れませんよね。
千鶴子は、猛たちの乗ってきたパジェロ(笑)で路男の前から走り去る。

だが、千鶴子が連れて来られた鬼神組のアジトはかなり手狭な感じで、大丸邸の千鶴子の部屋よりも小さいほどだった。
だが、令嬢の千鶴子にとっては物珍しいのだろう、興味深そうに見渡している。

マヤ「あんた、さっき言ったことは本気かい?」
千鶴子「なんのことさ」
マヤ「猛を好きだって言ったことさ。猛はあたいの男だ、もし本気だってんならただじゃすまないよ」
千鶴子「ふっ」
猛の傷を手当てしながら、マヤが敵意剥き出しで千鶴子に確かめる。
千鶴子は短く笑っただけで、イエスともノーとも答えず、傍らのスロットマシンで遊び始める。

猛「千鶴子は多分、田辺にあてつける為にああ言っただけだろう」
マヤ「じゃああんたをダシにしたってことじゃないか!」
この件については、猛はからっきし自信がないようで、まるで他人事のように冷静に分析してみせる。
マヤは怒り狂い、いきなり千鶴子に殴りかかるが、例によって千鶴子は不自然なほどに強く、あっという間にマヤを押さえつけると、

千鶴子「なめんじゃねえ! 私は一度海に身を投げて死んだ身さ、怖いものなんかありゃしないんだよ」
いや、さすがにさぁ、鬼神組のナンバー2として鳴らしているマヤを、財閥令嬢が一方的に負かしてしまうと言うのは、どう考えてもおかしいだろ?
マヤはその手を振り解いてなおも戦おうとするが、そこへ島田たちが現れてやめさせる。
島田は、何を考えているのか、千鶴子の鬼神組入りを歓迎し、さらに、その場で千鶴子を猛の右腕、鬼神組の女性軍のトップに据えると勝手に決めてしまう。

千鶴子「私がいきなり?」
島田「文句はねえな」
猛「結構です」
マヤ「ちょっと、あたいはどうなるのさ?」
猛「お前は今日からナンバー3だ。千鶴子は田辺の奴に一泡吹かせたことだし、今の勝負を見てもお前とは各が違う」
当然、マヤは不満そうだったが、猛も千鶴子の実力を認めたのか、あっさり島田の命令を受け入れてしまう。
しかし、このやりとり、「不良少女~」7話冒頭で、笙子が朝男たちのところへ来た時とほとんど同じだね。
朝男「待っていたぜ、笙子、今日からお前はレディース流星会の会長だ」 朝男「今日から流星会を男子部と女子部に分ける。その女子部をレディース流星会として、笙子に頭をやって貰う」
ねっ?
この後、真面目な彼氏(哲也&雅人)が、不良化したヒロインを連れ戻そうと事務所に押し掛けて来るのまで一緒である。

「火の鳥」の事務室で、「イッキ!」「イッキ!」「イッキ!」と言う、馬鹿どもの音頭に合わせて、洋酒を一気飲みしている千鶴子。
この「イッキ!」こそ、戦後日本を徹底的に堕落させた、
「亡国の音」だと管理人は思うのである。
しかし、これもねえ……、チューハイやビールならともかく、たぶん、今までほとんどアルコールを口にしたことがない真面目な令嬢が、いきなり洋酒をガバガバ飲んでるって言うのもねえ。

優子「もうよしな」
千鶴子「どうなってもいいんだ、堕ちるところまで堕ちてやる」
優子「いきがるんじゃないよ、人間、上るほうは限りがあるけど、堕ちるほうは底無しなんだ」
見兼ねて優子が忠告する。
「不良少女~」で人間廃業寸前まで行った岡田さんが言うと、説得力があるよね。
が、千鶴子は聞く耳を持たず、立ち上がってレコードをかけると、陽気に仲間に呼びかける。

千鶴子「みんな、踊ろう!」
以前、大丸邸でもあった、トホホなダンシングシーンとなる。
不良なんだけど、なんか、みんな凄く良い人そうに見えてしまうのが、ダンスシーンの欠点である。

特に今回は、踊ってる千鶴子の顔がかなり凶悪で、

優子「……」
それをじっと悲しそうな目で見詰めていると言う設定の優子さんが、どう見ても笑いを必死に堪えているようにしか見えないのだった。
その後、優子は思い切って大丸邸に電話をして千鶴子の居場所を知らせようとするが、優子から片時も目を放さない島田たちに見付かって、あえなく阻止されてしまう。
島田は優子を痛め付けるが、そこへ路男が飛んできて、

路男「いつまで優子さんをいたぶりゃ気が済むんだ? 今日こそ片をつけてやるぜ」
島田「減らず口叩いてねえで、てめえの空っぽの頭でも叩いてろ!」
歌丸「うまい、シマさんに一枚やっとくれ!」
路男、戦う気マンマンだったが、優子に、それより千鶴子のことを雅人たちに知らせてくれと懇願され、その場から走り出す。
翌早朝、路男は雅人としのぶを連れて、千鶴子のしけこんでいるディスコだかの前に戻ってくる。

路男「礼は優子さんに言うんだな。俺は別に親切で教えてやった訳じゃねえ。千鶴子は以前の千鶴子じゃねえし、まるで鬼神組を抜ける気はねえ。俺でも手が出せねえ千鶴子を、あんたらが連れ戻せる訳がねえからな」
雅人「僕の力で必ず連れ戻して見せる」
路男「ま、お手並み拝見するぜ」
彼らが話していると、千鶴子たちが店から出てくる。

路男「見な、徹夜で踊り狂ってやがったんだ」
文字通り徹夜で踊り明かしたと言う鬼神組の皆さんが、路上で、それぞれ体を伸ばしたり肩を叩いたりしているのを見ると、彼らって、下手な運動部の学生よりよっぽど充実した日々を送っているのではないかと思えてしまう。
千鶴子の姿を見た雅人は、「千鶴ちゃん!」と叫んでいきなり走り出す。

千鶴子もさすがにギョッとした顔になり、脱兎のごとく反対側に逃げていく。
すぐに雅人に捕まってしまうが、

雅人「千鶴ちゃん、何故逃げるんだ?」
千鶴子「逃げる訳ねえだろう」 いや、今、思いっきり逃げてましたよね? どんだけ往生際が悪いんだ、この女は。

千鶴子「あんたのなまっちろいツラなんか見たくなかっただけさ」
雅人「何も言わない、早く帰るんだ」
千鶴子「帰ってどうすんのさ」
雅人「やり直すのさ」
千鶴子「伊達や酔狂で家を捨てた訳じゃねえんだ。帰るつもりはないし、帰ったところで私の居場所があるもんか。大丸剛造の奴は、所詮血の繋がったしのぶだけが可愛いのさ」
雅人「奴ぅ? 剛造を呼び捨てにーっ!?」 しのぶ「ちょっと、雅人さん、あなたもっ!」
途中から嘘であるが、このしのぶの、セーラー服のスカーフだけ付けたようなファッション、なかなか可愛いよね。
ちなみに、お手伝いから財閥令嬢に、三階級特進したしのぶは、分かりやすく、妙に衣装が豪華になって、しかもパターンが異様に多くなる。
剛造から買い与えられたものだろうが、遠慮せずにそれを着こなしているあたりに、しのぶの、慎ましやかな口先とは裏腹の図々しさが窺えるのである。
しのぶ、思わず拳を振り上げた雅人をなだめると、
しのぶ「お父さんは口ではなんと仰ろうと、あなたのことを心配しているんです」
千鶴子「あんた、幸せにやってんだろう。だったらおためごかしのお節介はよしな、ぶりっ子が!」
「ぶりっ子」と図星をさされて、我慢強いしのぶもさすがにムッとするが、
しのぶ「私はなんと言われても構いません。でもお父さんを信じて帰ってください」
と、ここで漸く千鶴子を呼ぶ猛たちの声が聞こえてくる。千鶴子がそちらに向かって走り出そうとするのを、雅人が体で止め、

雅人「君は僕らの愛の誓いまで捨てると言うのか?」
千鶴子「……」
雅人「僕は今でも、これを君に……」
千鶴子、雅人の取り出した婚約指輪を見てドキッとするが、何食わぬ風を装ってそれを取ると、

千鶴子「じゃ、折角だから貰っとくよ、売り飛ばせばなんかの足しにはなるだろう」
雅人「千鶴ちゃん」
千鶴子「愛など要らない、犬にくれてやる!」 そんな名台詞を吐き捨てる千鶴子だったが、去り際、「そんなに帰って欲しけりゃ、大丸剛造の方からお願いしますと挨拶に来たらどうだい?」と、ほんとは剛造に迎えに来て欲しがってるとも取れるようなことを言い残し、パジェロに乗って走り去る。
その後、ほんとに指輪を売り飛ばそうと質屋の前までやってきた千鶴子だったが、

千鶴子「雅人から千鶴子へ、永遠の愛……」
その内側に、「LOVE FOREVER FROM MASATO」と刻まれているのを見ては、どうしてもそれを手放すことは出来ないのだった。
かと言って、それですっかり改心した訳ではなく、逆に、雅人のことを忘れようと今まで以上に荒れた生活を続けるのだった。
一方、雅人たちは若山に頼んで、剛造を説得して貰うことにする。

剛造「千鶴子に会いに行けというのか?」
若山「俺に言わせりゃあ、お前は体面に拘って意地を張ってるし、千鶴子さんは今更引っ込みが付かなくなって拗ねてるとしか思えない。まず親としてお前の方から帰って来いとじきじきに声を掛けてやったらどうなんだ」

若山「大丸、俺とお前は少年飛行兵の同期だったな。(中略)実業家の立場、大丸の当主としての誇りとか、余計なものが牡蠣殻みたいにくっ付いて、自分の心を偽ってるじゃないか」
剛造「俺は南部開発の会長だ。嘘偽りなど付いたことはない」
若山「それだ、どうしてお前は無理して毅然としようとするのだ。(中略)今、お前の心は叫んでるはずだ。千鶴子よ、あれほど可愛がっていたのにどーして行ってしまったんだ?」
相変わらず話がクソ長い若山。
だから管理人、若山が出てくるシーンが嫌いなのだ。
最初は頑なに考えを改めようとしなかった剛造だが、若山や雅人、しのぶから重ねてお願いされると、割りとあっさり翻意する。
剛造「私が間違っていたようだな」
雅人「じゃ、行ってくださるんですね」
剛造「うん、行けたら行く!」 若山&雅人&しのぶ(行く気ねえな、コイツ……) じゃなくて、
剛造「うん、明日行く」
若山「よく決心してくれた」
だが、その場に控えて手島が不服そうな顔になるのを、目敏いエリカが見逃さなかった。
みんなが帰った後、エリカは、手島が何か企んでいるのではないかと若山に話すが、若山は取り合わない。
後編に続く。
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