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「乳姉妹」 第13回「愛からはぐれた」 後編



 第13回「愛からはぐれた」(1985年7月16日)
 の続きです。

 翌朝、剛造はなんとなくそわそわした気持ちで、千鶴子に会ったらまずなんと言おうかとなどと話していた。雅人は、剛造が来ることを伝えに、先に千鶴子のところへ行っていた。

 だが、そこへ、機先を制するように竹岡が来訪し、雅人の結婚相手には千鶴子よりしのぶのほうがふさわしいと自分の考えを述べ、遠回しに、千鶴子を迎えに行くのはやめろと忠告する。

 怖いもの知らずの剛造だが、財界の大物・竹岡の言葉をむげには退けることは出来なかった。

 また、南部開発は現在、3000億と言う巨大プロジェクトを控えており、この時機に、竹岡と言う後ろ盾を失うことは、会社の存亡にもつながる重大問題であった。

 そして、絶妙のタイミングで竹岡が剛造に釘を差しに来たのが、手島の手引きであったことは言うまでもない。

 
 手島「私の一存でことを運びましたこと、お詫び致します。しかし、これも会長ご一家と、南部開発の安泰と発展を願えばこそです」

 手島も率直にそれを認め、詫びるが、その態度に悪びれたところはひとつもなかった。

 剛造、今更、雅人と千鶴子を引き離すことなど不可能だと突っ撥ねるが、

 
 手島「雅人さんもしのぶさんも互いに好意をお持ちです。それがやがて愛に発展することも難しくありますまい」
 剛造「……」
 手島「血の繋がったしのぶさんにこそ後を継がせたい。それが会長のご本心であると推察しております」
 剛造「……」

 手島の言葉は、確かに剛造の痛いところをついていた。

 だが、剛造、訪問を取りやめるなら取りやめるで、すぐそのことを雅人に知らせるべきだったろう。

 何故なら、

 
 猛「来る、来るって、大丸剛造はいつ来るんだよ?」
 マヤ「財閥の御当主がこんなところに来る訳ないよ。嘘ついたね、コイツ」
 雅人(やべぇ……)

 鬼神組に来ている雅人が、野犬の群れに放り込まれたゴールデンレトリーバー状態になっていたからである!

 そこへ千鶴子が入ってきて、

 
 千鶴子「そんな奴に構ってないで、原宿に踊りに行こ」
 雅人「千鶴ちゃん、帰るんだ」
 猛「この野郎、痛め付けても構わないかい?」
 千鶴子「あんたもダメな不良だね。したいことするのに、いちいち人の許しを欲しがるような奴は男じゃないよ」
 雅人「千鶴ちゃん!」
 猛「……」
 雅人(やべぇ……)

 千鶴子に馬鹿にされていきり立った猛、いきなり雅人を殴り倒す。

 でも、千鶴子って、不良になっても性格の悪さが全く治ってないところが、ある意味、凄いよね。

 
 続いて下っ端たちも、一斉に雅人に殴りかかる。

 椅子に座ってビールを飲みながら、それを平然と見物している千鶴子。

 
 雅人「君はこんなところにいる人じゃない、分からないのか!」
 千鶴子「……」

 このシーン、さっきも書いたけど、「不良少女~」で笙子を連れ戻しに来てボコボコにされる哲也そっくりだよね。

 と、マヤが千鶴子の心底を見透かすように、

 
 マヤ「あんたもつらいねえ、まだこの男に惚れてるくせに無理しちゃってさぁ。帰っておやりよ、かわいそうじゃないか」

 が、マヤ、不良少女とは言っても、基本的に普通の女の子であり、世界一の人間のクズ龍作の血を引く千鶴子にとっては子供みたいなもので、

 千鶴子「そんなに私を追い出したいのかい、長田を取られると思ってさ」
 マヤ「なんだってえ? じゃあ、好きにさせて貰うよ」

 千鶴子に冷ややかに言い返されると、たちまち頭に血が昇ってしまう。

 
 雅人「ああーっ!」

 そして、愛用のムチを、雅人の背中に思い切り叩きつけるのだった。

 雅人にとっては良い迷惑であった。

 うん? いや、待てよ、良く見たら雅人の顔がちょっと笑ってないか?

 まさか、ひょっとして……

 雅人(やべぇ……勃ってきた)

 そう、雅人はこう見えて、筋金入りのドMだったのである!

 なるほど、道理で、日本有数のドSの千鶴子と結婚したがっていた訳だ。

 
 千鶴子「……」

 嘘はさておき、恋人の呻き声を聞いて、さすがにつらそうな目になる千鶴子。

 
 雅人「千鶴ちゃん、僕は君をいつまでも……」

 雅人、血まみれになりながらも千鶴子に向かって呼びかけるが、遂に気を失って突っ伏してしまう。

 千鶴子、ビールを飲み干すと、

 千鶴子「気は済んだかい?」

 空き缶を雅人に向かって放り投げるのだった。

 
 その後、猛のパジェロがT字路を通り過ぎながら、座席から雅人の体を放り出す。

 
 豪快に両足を天に突き出してひっくり返る雅人。

 管理人、大笑い。

 無論、これはスタントである。

 その後、原宿に行って踊ったり喧嘩したりしていた千鶴子だったが、ジェットコースター並みに考えや性格がくるくる変わるのは昔と同じで、再びあの指輪を見て、急に雅人に対する愛が胸に湧き出て来て、矢も盾もたまらなくなって、さっきのT字路に向かって走り出す。

 
 と、雅人は不屈の精神力で起き上がり、道路標識に縋りつくようにして何とかタクシーを拾って鬼神組へ引き返そうとしていた。

 その根性は見上げたものだが、ここ、妙に雅人の足が短く見えて、ちょっと残念な絵になってしまっている。

 
 千鶴子「雅人さん!」

 千鶴子も思わず雅人に駆け寄り、抱き起こす。

 その拍子に、あの指輪が転がり、雅人がそれを拾い上げる。

 
 雅人「千鶴ちゃん、君は……」

 千鶴子が強引に指輪を取り戻そうとするのを制し、雅人はそれを千鶴子の薬指に嵌めてやる。

 
 そして、千鶴子の両手を握り締めて、強く祈るように頭をつける。

 千鶴子「雅人さん……」

 それ以上、余計な言葉は不要だった。二人はしっかりとお互いの体を抱き寄せる。

 
 雅人「千鶴ちゃん、行くな、行くんじゃない!」

 
 千鶴子「うっ、雅人さぁん……」

 それにしても、これだけ深く愛し合った二人が結局結ばれずに、千鶴子が路男とくっついちゃうと言うのは、どう考えても納得行かないよね。

 それはさておき、やっと千鶴子は家に帰る決心をして、雅人と一緒に屋敷の門前まで戻ってくる。

 雅人がそのまま千鶴子を強引に中に入れていれば、少なくとも剛造と千鶴子の関係は丸く収まっていたと思われたが、大映ドラマのスタッフがそんな安易な解決を許す筈もなく、

 千鶴子「私、ここで待つわ。戻るなら戻るで、きちんとお父様の許しを得てから入りたいの」
 雅人「じゃ、ここで待ってて」

 と、千鶴子の願いを聞いて雅人が一人で戻ったのが運の尽きであった。

 
 雅人「千鶴ちゃんは心から反省して誤りたいと言っています。入れてやっても構いませんね」

 雅人の報告を聞いた剛造の反応は、雅人の予想を裏切る厳しいものだった。

 剛造「入れてはならん、千鶴子をこの屋敷に一歩たりとも入れてはならん」
 雅人「お父さん!」

 
 剛造「雅人、お前はそこにいるしのぶと婚約するんだ。したがって、千鶴子は今後一切、大丸家とは無縁のものとする。これは私の命令だ」
 しのぶ「冗談でしょう、お父さん?」
 剛造「私は実業家として最善の道を考え、こうするより他に道はないと決意した」
 雅人「そんなムチャな。じゃあ、千鶴ちゃんはどうなるんです? 恥を忍んで帰ってきたんですよ」
 しのぶ「温かく迎えてあげてください。私のお姉さんとして」

 父親の情より、南部開発の総帥としての立場を選んだ剛造の言葉に、雅人もしのぶも口々に抗議の声を上げるが、

 
 剛造「お前たちにはまだ分かるまいが、経営者と言うのは人間である前に、まず、骨の髄まで実業家でなければならんのだ。鉄道、デパート、ホテル、ゴルフ場など、一万数千人の総帥として責任がある。その後継者たるお前たちの未来の為にも、私はなんと非難されても構わん。千鶴子を切り捨てねばならんのだ」

 剛造は聳え立つ玄武岩のように重々しく、経営者としての理屈で二人の若者の純真な思いを踏み潰す。

 雅人もしのぶも、剛造の命令を無視して千鶴子を迎えに行こうとするが、手島やその部下たちに阻まれて、行けない。

 ほどなく、門の前でそわそわ待っていた千鶴子の前に足音が近付いてくるが、それは剛造でも雅人でもなく、無表情な顔をした手島だった。

 
 手島「いつまでお待ちになっても無駄です」
 千鶴子「なんですって、雅人さんは?」
 手島「雅人さんはしのぶさんと近い将来婚約する運びとなりました。ですから、あなたとはもうお会いにならんそうです」

 
 千鶴子「嘘、嘘! 中へ入れて、入れてーっ! お願い、入れてよーっ!」
 手島(いかん、勃ってきた……)

 可愛い女の子から間近で「入れて、入れて」と言われたものだから、ついコーフンしてしまった手島であったが、頭のおかしい管理人の妄想である。

 か弱い令嬢の顔になって、恥も外聞もなく哀願する千鶴子だったが、

 手島「あなたはもはや、この大丸家とは無縁なのです、二度とここへ来てはいけません。会長のご命令です」

 手島は冷たく言い渡すと、さっさと屋敷に戻っていく。

 一旦は和解しようとした直後だっただけに、千鶴子が剛造たちの連れない仕打ちに怒り狂ったのは言うまでもない。

 千鶴子「ちっきしょう、そうかい、誰が頼まれたってこんなところに来るもんか!」

 指輪を荒々しく門扉に叩きつけると、再び何処かへ行ってしまう。

 ……しかし、いくら血の繋がりがないとは言え、千鶴子は戸籍上はれっきとした大丸の娘なので、いくらなんでも「大丸家とは無縁なのです」は、言い過ぎだよね。

 だいたい、人の情から言って、血の繋がりがないと分かったからって、18年間育ててきた娘に、いくら竹岡から言われたからって、そんなむごいことが出来るだろうか? しかも、まだ未成年だというのに。

 そもそも、自分の息子を誰と結婚させようが、そんなのは家庭の問題な訳で、そこにまで竹岡が口を挟んでくるというのもおかしいんだけどね。

 しのぶ「お父さんは鬼です。あんなに可愛がっていた千鶴子さんを切って捨てておしまいになった!」

 しのぶもこの仕打ちにはあんまりだと思って、かつてないほど厳しい言葉をぶつける。

 ナレーターはここで「この時、誰よりもつらかったのは剛造であった」と、剛造を弁護しているのだが、内心でどう思っていようと、やってることに違いはないので、この剛造の行為に弁護の余地は一切ない。

 そしてその夜、天罰覿面というべきか、今度はしのぶまで剛造に絶縁状を叩きつけることになる。

 
 しのぶ(お父さん、私は今夜家を出ます。私はお父さんの冷酷非情な一面を知ってしまいました。大好きだったお父さんをこれ以上嫌いになりたくありません……)

 涙を流しながら、剛造に宛てた手紙をしたためているしのぶ。

 無論、単に剛造が嫌いになったから出て行く訳ではなく、千鶴子同様、自分が身を引くことで、千鶴子を家に帰らせようと言う気持ちからだった。

 しのぶ(気掛かりなのは後に残していくタエちゃんのことですが……)

 
 しのぶが振り向くと、子供のようにあどけない寝相で眠っている耐子の姿があった。

 うう、めっちゃ可愛い……。

 もし、自分が剛造だったら、千鶴子としのぶがいなくなったら、喜んで耐子を養女にして雅人と結婚させるだろう。

 しのぶ、眠っている耐子に優しく語り掛けてから、すぐに屋敷を後にするのだった。

 と言って、さしあたり行く当てもないしのぶ、夜通し街中をさ迷い歩いた挙句、陸橋の上に立って、ぼんやりと景色を眺めていた。

 しのぶ「お母さん……」

 
 だが、しのぶが歩き出すと、その反対側から、偶然にも千鶴子たちがやってくる。

 千鶴子「朝っぱらからなんでこんなとこ歩いてるんだい」
 しのぶ「あんたには関係ないよ!」

 何故かしのぶまで、急に荒っぽい口調になって言い返す。

 千鶴子「だいぶ気が立ったものの言い方するじゃねえか、どうやらあんたもはぐれたんだね。グレるってのは全部のものにはぐれちまうことなんだよ」

 さすがに生まれつき、人の上に立つことを宿命付けられた千鶴子である。

 短期間のうちに、ナンバー2どころか鬼神組のナンバー1にのし上がってしまったようである。

 しのぶも不良の世界に引きずり込んでやると嘯く千鶴子としのぶが激しく睨み合ったまま、次回へ続くのだった。
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コメント

何だか不自然ですね

折角千鶴子が足を洗おうとして家に帰って来たら拒否ですか?いきなり雅人と千鶴子がお互いに涙いて抱き合うのも不自然ですが、千鶴子の元の性格ってスケバンになっても余り変わっていないですよね😅陰険さが消えて素の部分が出てきたのではないのでしょうか?(どんな例えだよ😔)

大映ドラマあるある

>千鶴子同様、自分が身を引くことで、千鶴子を家に帰らせようと言う気持ちからだった。
いわゆる「自己犠牲」の精神で、大映ドラマにありがちな展開ですね。
もっともそれが「かえって事態をより悪化させるだけ」でしかないという・・・

読んでませんが、竹内義和氏の「大映テレビの研究」で分析されてそう。


剛造お父様

乳姉妹も佳境のところでしょうか。盛り上がってまいりましたね。

雅人がボコボコにされてしまいましたねぇ。さらにポイ捨てされてしまった。
最近のドラマはこうしたリアルでバイオレンスな描写は見かけないですね。

>千鶴子って、不良になっても性格の悪さが全く治ってないところが、ある意味、凄いよね。
やはり、もともとの性格だったのでしょうね。

>「千鶴子「嘘、嘘! 中へ入れて、入れてーっ! お願い、入れてよーっ!」
私「しかたあるまい、ご自慢のものを‼」ってなんの話をしているのだ(汗)
って管理人様もかなり踏み込んだ下ネタを(笑)
前回手島氏は雅人に愛の告白をしてなかったっけな。まさかの両刀?(ワァオ‼)

あれだけパーティを壊しておいて、舞い戻って哀願してしまうとは、ここまでくると千鶴子は情緒不安定状態ですね。

剛造お父様の苦渋も伺わせる後編でした。(いや冷酷なのか、どっちなんだ!!)
いや、でもなぁ、前回、娘と同様に受け入れようとしてたもんなぁ。

しのぶはどうなるのだ、まさか、しのぶも不良メイクに!!次回が楽しみです。

毎回、乳姉妹は劇場版に匹敵する長さとボリューム、内容が充実してわかりやすいです。お疲れ様です。

耐子はどうなる

千鶴子に続いてしのぶも外れの道ですか?残された(存在感無いですね😅)耐子はどうなるのでしょうか?

Re: 何だか不自然ですね

> いきなり雅人と千鶴子がお互いに涙いて抱き合うのも不自然ですが、

いや、現時点では二人はまだ相思相愛なので不思議ではないと思います。

Re: 大映ドラマあるある

> 読んでませんが、竹内義和氏の「大映テレビの研究」で分析されてそう。

ちょうど昨夜、竹内さんの出ているオカルト番組を見ていたのでドキッとしました。

Re: 剛造お父様

> 乳姉妹も佳境のところでしょうか。盛り上がってまいりましたね。

いや、まだ序の口です。

> 私「しかたあるまい、ご自慢のものを‼」ってなんの話をしているのだ(汗)
> って管理人様もかなり踏み込んだ下ネタを(笑)

若干後悔してます。

> あれだけパーティを壊しておいて、舞い戻って哀願してしまうとは、ここまでくると千鶴子は情緒不安定状態ですね。

実際、冗談抜きで心療内科いったほうが良いと思います。

> 毎回、乳姉妹は劇場版に匹敵する長さとボリューム、内容が充実してわかりやすいです。お疲れ様です。

ありがとうございます。こちらも長ったらしい文章を読んでいただき、感謝です。

Re: 耐子はどうなる

> 耐子はどうなるのでしょうか?

耐子には特に何も起きなかったと思いますが。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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