第7話「大決戦!ウデスパー対イナズマン!!」(1974年5月21日)
早くもウデスパーとの決着が付けられる第7話である。
冒頭、ウデスパーを呼びつけたガイゼル総統は、重々しくイナズマン打倒の命令を下す。
勇士ウデスパー、武者震いせんばかりに喜びをあらわにして引き受ける。
抜け目のないウデスパーは、既にイナズマン打倒の為の秘策を用意していた。

博士「ウデスパー参謀の特別注文によるサイボーグ・ミスワン、完成致しました」
ウデスパー「む、見せろ」
ベッドの上に起き上がったサイボーグは、ウデスパーの妹みたいな鉄の仮面を付けていたが、

その下から出てきたのが、目元涼しげな美女だったので、管理人は思わずガッツポーズをするのだった。
博士「心臓部にも人工肉を使用してあります。いくらイナズマンでもサイボーグであることは見破れますまい」

ウデスパー「……」
あまりの可愛さに、思わずその頭をナデナデしてしまうウデスパーであった。
ウデスパー「実戦テストだ」

これ、どこで撮っているのか知らないが、いかにも悪の秘密基地と言う感じがして最高のロケーションである。
とにかく、コンクリート製の塔の間に渡された鋼鉄製の通路の奥にミスワンを立たせ、それを反対側から戦闘員が銃で狙い撃つと言うことが行われる。

で、このミスワンの衣装がこれまた最高なのです!
先に書いた12話の村野ユキが着てたのと同じかなぁ?
ミスワンは、超人的な反射神経でその弾丸をかわすと、地面に飛び降りて、襲いかかる戦闘員たちを叩きのめす。

ウデスパー「うん、この猟犬はなかなか出来が良い、いや、ごくろうだった」
ウデスパーも、その戦闘能力にご満悦の様子。
トドメの破壊光線を発射できるペンダントをミスワンに渡し、早速任務に取り掛からせる。
ちなみに、このシーンで背後に二人の女性サイボーグらしきものが見えるのだが、ミスワンと同系列のサイボーグなのだろうか?

ミスワン「助けてー」
五郎「待てぇ!」
まず、五郎と荒井をある場所までおびき出すと、そこへ、デスパーから追われているという「てい」の、ミスワンを登場させ、五郎たちに救出させる。

とりあえず病院に収容されたミスワンのアップ。
言い忘れていたが、ミスワンを演じるのは鹿沼エリさん。

ミスワン「……」
荒井「どうかね」
五郎「よほどのショックだったんでしょう」
ミスワン、ショックのあまり失語症になったふりをして押し黙ったまま前方の壁を見据えている。
この、ロングヘアに黒いスカーフ、黒いロングスリーブにベストとジーンズを組み合わせたコーディネートも、シンプルで実に良い。
ミスワンの持っていたカメラには、デスパーの作業場らしき写真が含まれていた。
荒井「この現場を写した為に狙われたんだと思う」
五郎「漂着した死体の人も、ここで働かされていたんでは」

と、そこへ、看護婦が入ってくるが、いきなりマシンガンを取り出してぶっ放してくる。
ミスワンは、持ち前の反射神経でそれを見事にかわす。

看護婦はサイボーグの姿に変わり、果敢にも荒井に戦いに挑むが、あえなく倒される。
無論、これは、ミスワンが本当にデスパー軍団に狙われていることを示す為の見せ掛けの襲撃である。
五郎は、小さな倉庫や工場などが立ち並ぶ区画に二人を連れて行き、かねてから用意していた地下室に案内する。
五郎「ここなら安全だ、殺し屋は来ないからね」
山のように積んである段ボール箱でバリケードを作ると、五郎たちはミスワンをソファに休ませ、自分たちもそばにいて彼女を護衛することにする。

ミスワンは、直ちに目を閉じたり開いたりして、この場所を本部のウデスパーに知らせようとするが、
五郎「電波の発信音が……」
荒井「なにぃ?」
ミスワン(さすがは渡五郎、聴力も素晴らしい。夜を待って超音波に切り替えるしかない……)
しかし、いくら耳が良くても、さすがに電波の発信音までは聞こえないと思うんですが……。
あと、電波が聞こえるのなら、超音波だって余裕でキャッチできるのでは?
それはさておき、夜、ミスワンは超音波で所在地のデータを本部に送ることに成功する。
地図を見ながら、戦闘員のひとりが定規と三色ボールペンとコンパスを使って五郎の居場所を特定するのが妙にほのぼのとしている。

ウデスパー「ここか、奴らの隠れ家は……ようし、ミサイル発射準備」
戦闘員「ミサイルをですか?」
ウデスパー「そうだ、ミサイルを撃ち込むのだ」
戦闘員「ミスワンは?」
ウデスパー「そんなことは心配しなくて良い」
さすがに同じサイボーグ仲間なので、無慈悲な戦闘員も思わずミスワンのことを気遣うが、ウデスパーは意に介さない。
CM後、自分たちに向けてミサイルが発射されようとしているとも知らず、ミスワンは命令どおり、今度は自らナイフを取り出して寝入っている五郎に襲い掛かろうとしていた。

だが、やはりと言うべきか、五郎はとっくにミスワンの正体に気付いていて、あっさりその腕を掴むと、
五郎「とうとう正体を現したな、君は病院で襲われた時、俺が庇うより早く、身をかわした。君がサイボーグであることはすぐ分かったよ」
そこへ、正確にミサイルが落ちてきて、彼らの頭上にある建物を吹っ飛ばす。
五郎、ミスワンの手を掴んで逃げる途中、ついヒーローのサガで、身を挺してガレキからミスワンを庇い、軽傷を負う。
結局、五郎はミスワンを放置して、荒井と共に別のアジトに移動する。
荒井「あの子はまたウデスパーに連絡を取るかも知れんな、自分も殺されかかったのに、かわいそうな奴だ」
自分もサイボーグであるせいか、あるいは、ミスワンが可愛かったせいか、荒井はミスワンに同情的な台詞を吐く。

荒井「サイボーグと言えども人間だ。人の心を持っている筈だ」
五郎「憎むべきは彼女を操っているウデスパーです」
荒井「サイボーグ、命令のままに動く機械か。いやぁ、そうじゃない」
彼らのやりとりは、恐らく尾行してきたのだろう、ミスワンによって立ち聞きされていた。

ミスワンは、いかつい表情のまま、一旦本部へ戻っていく。

ウデスパー「何故命令に従わぬ? 何故おめおめ戻ってきたのだ」
ミスワン「あのミサイル攻撃は一体どういうことなんですか」
ウデスパー「作戦が急遽変更されたのだ」
自分で変えたくせに、「変更された」と、責任を回避するような言い方をするウデスパー、ちょっとカッコ悪い。

ミスワン「私も殺すつもりだったんですね」
ウデスパー「お前は私の猟犬だ。主人の命令に従えば良いのだ」

ウデスパー「行け」
ミスワン「……」
ウデスパー「どうした、私の猟犬らしく、渡五郎に噛み付いて来い」
ミスワン「……」
ウデスパー「反抗する気か、ふんっ!」
反抗的なミスワンの態度に、ウデスパーはカッとなって殴り倒す。
部下であるか弱い(?)女性に手を上げるなんて、最低だなぁ。
そもそも、最初から策略に頼ろうとしているあたりに、ウデスパーの自分の実力に対する自信のなさが仄見えて、幻滅しちゃうんだよね。
それでも命令に従うしかないのが戦闘サイボーグの悲しい宿命、ミスワンは立ち上がると、無言のまま基地を出て行く。

五郎たちのいる部屋のドアから、五郎を見詰めるミスワン。
うーん、実に美しい。
荒井が咄嗟に拳銃を手にするが、五郎は静かにそれを下ろさせる。
その小屋は海辺に建っているのか、ときおり、みゃあみゃあウミネコの鳴き声が聞こえてくるのも好ましい。

それ以上に、ミスワンがわざわざミニスカワンピに衣装チェンジしてくれているのが好ましい!

ミスワン「えいっ」
五郎「むんっ」
そして、死に物狂いでナイフを振り回した後は、豪快なミニスカ正面キック!
あいにく、スカートの中ははっきり見えない(と言うか、目立たないように黒い下着か、ブルマのようなものを着用しているらしい)のだが、男と言うのは、若い女性のミニスカキックには無条件で笑いがこぼれる生き物なのである。
不利を悟ったミスワンは、部屋から出て行くが、五郎も追いかける。

川のそばでなおも激しく格闘する五郎とミスワン。
敵の女性キャラと生身のヒーローが、これだけ長時間ガチで殴り合うのは、当時の特撮としては極めて異例である。
しかも、全部本人が演じてるようだしね。

が、結局五郎には勝てず、地面に倒れ伏し、悔しそうに五郎を睨みつけるミスワン。
ミスワン「殺して、殺して下さい!」
哀願するミスワンを悲しそうな目で見詰めていた五郎だが、

五郎「命を粗末にするんじゃない」
カッコよく決めて歩き出そうとするが、背後からマシンガンが撃ち込まれ、ミスワンの胸に命中する。
ちなみにこのシーンを見てて、
ミスワン「抱いて、抱いて下さい!」
五郎「自分を粗末にするんじゃない」
と言って、立ち去る童貞の五郎と言うシーンを妄想した管理人であった。
マシンガンを撃ったのは、無論、ウデスパーだった。

五郎「部下を手にかけたのか?」

ウデスパー「戦えないものは生きる資格もない。それがデスパー軍団の掟だ!」

ミスワン「うう」
五郎「しっかりするんだ」
ミスワン「一度だけ使えます、これでウデスパーを、ああ……」
瀕死のミスワン、結局使わなかったペンダントを五郎に託すと、その儚い一生を閉じる。

あまりにも美しいミスワンの横顔。
ペンダントを握り締め、五郎が立ち上がる。

五郎「サイボーグだって命があるんだぞ!」
ウデスパー「余計なことだ、渡五郎、今日は最後の勝負だ」
五郎「むん、ゴウリキショーライ!」
怒りに燃える五郎、渾身の力を込めてサナギマンに変身する。
今回は、これが最初の変身シーンになるのだが、この場面をより劇的にする為に、今までわざと変身させなかったのは言うまでもない。
ただ、サナギマンに変身した五郎を見て、ウデスパーが「早くイナズマンになれ」とせかし、しばらく二人無言で見詰めあうシーンが、その盛り上がりに水を差しているようでいただけない。
もうサナギマンからイナズマンに進化するという設定自体が不要になっているのだから、ここは細かいことを言わず、いきなりイナズマンに変身しても良かったんじゃないかと思う。
さて、いよいよイナズマンとウデスパーの決戦となる。
本気を出したウデスパーはさすがに強く、イナズマンと互角以上の戦いを見せた後、発炎筒のような爆弾を投げてイナズマンを倒した……と思いきや、

イナズマン「ウデスパー、私はここだ! ウデスパー、残念だったな、正義は必ず勝つ。ゼーバー・稲妻フラッシュ!」
イナズマン、ゼーバーを掲げて必殺技を発動させる。
ウデスパー、凄まじい爆発に飲み込まれるが、

それでもさすがに大幹部である、まだ原型を留めていた。
ウデスパー「ゼーバーの威力はやはり凄い。だがこのウデスパー、たとえ死んでも必ず甦ってくるぞーっ!」
イナズマン「ミスワン、ウデスパーの最期だ」
イナズマン、ミスワンの霊に語りかけると、最後はあのペンダントから破壊光線を放ち、

今度こそウデスパーの体を木っ端微塵に粉砕するのだった。
自分が部下に渡したアイテムでトドメを刺されるとは、実に皮肉なめぐり合わせであった。

だが、ラスト、五郎がミスワンの遺体をお姫様抱っこして歩いていると、浜辺で戦闘員たちがウデスパーのバラバラになった体を回収しているのが見えた。
鹿沼エリさん、この時、
「ミニスカワンピでお姫様抱っこされると、ケツがはみ出そうになる」と言うことに身をもって気付かれたのではないかと思う。

荒井「あいつらは一体何をしているんだ?」
五郎(ウデスパーの破片を集めている。一体どうするつもりなんだ?)
いや、見てないでなんとかしろよ。 まぁ、傍目には死体を回収して葬式でもやるようにも見えたので、それを邪魔するのも大人気ないと思ったのかもしれないが、後々のことを思えば、ここは大人気なくても阻止すべきだった。
何故なら、ガイゼルは、回収したウデスパーの死体を元に、ウデスパーα、ウデスパーβという、新たな二人の戦士を作り出そうとしていたからである。
以上、ウデスパーの死より、ミスワンの死の方が遥かに印象的な第7話でした。
なお、このミスワンと言うキャラクター設定および名称が、後の「サンバルカン」のゼロワンなどに繋がったのかなぁ?
今回の脚本は上原さんだから、ありうることだと思う。
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