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「エマニエルの美女」~江戸川乱歩の「化人幻戯」(画像復刻増補版) その2



 弘子の死体が発見された前夜、同じホテルで、弘子と(由美子と)食事をした大河原が、警察に呼ばれて取り調べられている。

 
 刑事「山村さんとはどういうご関係でしょうか」
 大河原「家内と歌劇団時代の先輩・後輩だ。私は山村君の後援会の会長も務めてるんだよ」

 大河原は昨夜、午後8時にホテルの前で弘子と別れ、9時頃、由美子と自宅に帰ってからは、自分の小説が原作のドラマ「夜光虫の女」を、由美子とお手伝いのアミバ、じゃなかった、トキさんと一緒に見ていたと申し立てる。

 弘子の死亡推定時刻は9時前後なので、それがほんとなら、大河原にはアリバイが成立することになる。

 
 明智「ホテルから大河原山荘までの所要時間は?」
 波越「どんなに飛ばしても40分はかかるねえ」

 
 文代「つまり、弘子が殺された時間には、大河原は車に乗っていたか、うちでテレビを見ていた」
 小林「彼が犯人と言うことはありえませんね」
 波越「そうなんだよ」

 その後、波越に、山村弘子もあの白い羽根を所持していたと知らされ、明智たちは色めき立つ。

 明智(白い羽根が何を意味するのか、私には全く見当がつかないまま、約束の日が来た)

 モノローグで心細いことを言う明智さん。

 それでも、おなかが痛くなったとか、祖父が亡くなったなどと嘘をついてトンズラしないのが明智さんの偉いところである。

 再び大河原の別邸に集まった明智たち。

 もっとも、明智さん、少なくとも姫田殺しのトリックについてはほぼ解明していた。

 
 明智「恐らく山村弘子の変装でしょう」
 由美子「ええ、弘子さん?」
 讃岐「そんな筈はないでしょう。彼女はあの時、ピアノを弾いていた」
 明智「その姿を誰か見ましたか?」
 讃岐「……」
 由美子「ええ、朝、私の部屋に入ってきてピアノを弾き出しましたわ」
 明智「そして奥さんが部屋を出た後、テープにすり替えて岬へ急いだんでしょう」

 それにしても、凄い柄のネクタイしめてはりますね、明智さん。

 杉本「じゃあ山村弘子が飛び降りたってことになりますね」
 明智「いや、落ちて行ったのは人形です。木陰で人形とすりかわったのだと思います」
 大河原「そんなバカな、何を証拠に?」
 明智「私は弘子を尾行して、(弘子に)人形を作ってくれと頼まれた工房を突き止めました」
 福本「うん、さすがに」
 讃岐「うん、鋭い」

 明智の敏速な仕事ぶりに、讃岐たちが賛嘆の声を放って明智さんも鼻高々。

 ……しかし、もしそうだとしたら、望遠鏡で一部始終を見ていた由美子には、少なくとも散歩をしていた姫田が弘子だと最初から分かっていた筈なんだけどね。

 明智「人形を作って時間差のトリックを組み立て、先に殺しておいた姫田さんを海へ落としておき、私たちの目の前で人形を落としたんです。人形には紐がついていて、私たちが行く前に弘子が引き揚げて何処かに隠したんです」

 つまり、姫田はもっと前に殺されていて、全員にアリバイのある時間帯に、人形を落として姫田がその時刻に落ちたと見せかけるという、今となってはプリミティブなアリバイトリックだったのだ。

 しかし、一般人ならともかく、いわば犯罪の専門家の讃岐たちが、誰一人その程度のトリックさえ思いつけなかったと言うのは、いささか物足りない。

 大河原「すると姫田殺しの犯人は山村弘子だと言うことだね」
 由美子「そんな、あの人がそんな恐ろしいことやるなんて、考えられない」
 明智「私は山村弘子が犯人だとは言っていません」
 大河原「君は何を言いたいんだ?」
 明智「彼女は恐らく利用されただけです。ほんとうの犯人は他にいます。山村弘子は口封じの為に殺されたんでしょう」
 福本「やはり、二つの事件の犯人は同一人物だという私の説は正しいね」

 
 明智「いえ、二つではありません、三つです。去年の庄司武彦殺しも同じと考えて良いと思います」
 由美子「まあ、なんて恐ろしい」

 まだ番組開始から30分しか経ってないのに、一気に事件の真相を解き明かしてしまいそうな勢いの明智さん。

 弘子殺害時のアリバイについても、

 明智「一応皆さん全員にはアリバイがあります。しかし私はもう一度アリバイを再検討してみようと……」
 大河原「何故だっ」
 明智「何処かにトリックが隠されているからです」

 あくまでこの中から真犯人を抉り出そうとする明智に大河原が怒りを爆発させる。

 
 大河原「くだらん言い掛かりはやめたまえ、もう我慢できん! 君の推理は実に滑稽で穴だらけだ。人形がどうの、アリバイがどうのと、荒唐無稽なこじ付けで犯罪をでっち上げるのはいい加減にしてくれ! 庄司武彦は自殺、姫田は事故死、弘子は通り魔に襲われた。これが私の判断だ! 無理なこじ付けで名探偵ヅラされるのはかなわん! さ、帰ってくれ、顔も見るのも不愉快極まる」

 かつてない激しい罵声を至近距離で浴びせられる明智さん。

 大河原、探偵作家の大御所として、目の前で明智に見事な推理を披露され、プライドを傷付けられたという側面もあったのだろう。しかも、現在はスランプで、全く書いていないとなればなおさらだ。

 大河原が荒々しくその場を立ち去った後で、波越が何事もなかったように淡々とお手伝いのトキさんに弘子殺害の夜のアリバイについて改めて尋ねる。

 だが、トキさんは夜9時前に夫妻が帰ってきて、すぐドラマを三人で見始め、そのまま最後まで見ていたとはっきり証言する。

 
 明智「ちょっとお聞きしたいことがあるんですが」
 由美子「……」

 明智は由美子を誘って、二人で磯へ降りる。

 
 由美子「なんでしょう」
 明智「大変不躾ですが、あなたと姫田さんは愛人関係にありましたね?」
 由美子「……」

 
 ずばり指摘されて、さすがの由美子も驚いて視線を逸らす。

 
 由美子「いいえ、私は……」

 最初は否定していたが、明智が波越警部の調査を元にしたデータを示して追及すると、観念したように顔を手で覆ってしゃがみこんでしまう。

 
 明智「御主人はあなたの不貞に勘付いて姫田さんに殺意を抱いたんじゃありませんか? 姫田さんだけではない、庄司武彦もあなたと関係があった……そして杉本君も」

 いちいち絵になるふたり。

 
 明智「私は知っているんです、庄司さんや杉本君が大河原さんの代作をしていたことを……」

 明智は秘密を明かしてくれるよう迫るが、由美子は「知りません、たとえ知っていても私の口からは申せませんわ」と、暗に大河原が犯人であるかのような口ぶりで拒絶し、その場から逃げてしまう。

 さてその後、普段なら終盤まで「犯人もトリックもさっぱりわかりまへん、ほんにわいはダメな男や」とぼやいている(註・いません)明智さんだが、今回は次々とトリックを見抜いて行く。

 まぁ、これは原作も同様だが、この作品は二重底のトリックになっているのでそういうことになるのだ。

 明智は波越に、大河原のアリバイトリックについて説明する。

 それは、家庭用ビデオデッキであらかじめ撮っておいたドラマを、さもリアルタイムで放送されているように見せかけて、トキさんに時間を錯覚させたと言うものだ。その為には、あらかじめ、家の時計を全て遅らせておく必要があるんだけどね。

 つまり、二人が帰宅したのは実際は9時ではなく10時で、10時からビデオテープを再生したと言う訳だ。

 ……細かい方法は後に出てくるが、これはいかにも無理なトリックだね。

 ちなみに、原作が書かれた当時では、無論、ビデオなどないので、ビデオではなくラジオ(音楽番組)が使われている。時計のごまかし方についてもかなり綿密な方法が使われている。まぁ、それにしても、非現実的なトリックであることは同じだ。

 この時点では、明智も波越も、大河原が犯人だと睨んでいる様子だった。二人の意見が合致するというのは、極めてまれなことである。

 
 そんな話をしていると、事務所へ小包が届く。妙なことに、差出人は既に死んでいる姫田だった。

 中身は鍵の付いた日記帳で、Y.Oと言うイニシャルから、オノ・ヨーコの日記ではないかと思った明智さんが国際電話しようとするのをみんなで慌てて止めて、大河原由美子のものではないかと、すぐ本人に電話して確かめることになる。

 
 由美子はすぐそれを自分のものだと認める。

 由美子「実は昨夜から日記が見当たらなくて……」
 明智「差出人は姫田吾郎となっています。悪い悪戯ですね。このままそちらに送り返しましょう」

 しかし、由美子は潤んだ目をして、

 由美子「明智さんはもう何もかも御存知なんでしょう。あの人のトリックも……」
 明智「はあ、ビデオテープを使われたようですね」

 
 由美子「そこまで……私、ほんとうは観念しております。明智さんに、何を隠しても無駄ですものね、何度ほんとのことを打ち明けようかと思ったか……、どうぞ、日記にお目をお通し下さいませ……」

 と、打ちひしがれた様子で、明智に日記を読んで欲しいと懇願する。

 それによって、告白の代わりにしようと言うのだろう。

 それにしても、今更だが、夏樹さんは綺麗だ。

 波越警部は、「事件解決の決め手になるかもしれない、早く開けよう」と意気込むが、

 
 明智「いや、これは私ひとりで読みます」
 波越「ふぇっ?」
 明智「プライバシーは守らなければ」
 波越「ふぅーん……」

 いかにも不満そうな波越は、横を向いて「ケチ!」と一言。

 その後、文代さんたちが帰ってから、明智は部屋を暗くして卓上のあかりだけ付け、ドアには鍵を掛けて、そばにはティッシュを用意して、ひとりで日記の鍵を開ける。わくわく。

 明智は去年、つまり庄司が自殺した年の日記から、事件に関係のありそうな箇所を拾い読みして行く。

 由美子の声「4月17日 晴 主人と庄司さんがまた衝突した……」

 
 大河原「弟子の分際で生意気言うんじゃない。お前が曲がりなりにも書けるようになったのは、私の技術を盗んだからだろっ」
 庄司「よくそんなことが言えますね! これは私の傑作です。それを先生の名で出すなんて……これから私は庄司武彦の名で、作品を書きますよ」
 大河原「思い上がるな、お前の小説が世間で通用すると思うか!」
 庄司「通用するかしないか、試して見ますよ」

 怒り狂った大河原は、原稿をびりびりに引き裂こうとして、庄司と揉み合う。

 見兼ねた由美子が止めにはいるが、

 大河原「由美子、お前が唆したんだな?」
 由美子「そそのかす?」
 大河原「そうだ、お前と庄司の関係をワシが知らんとでも思うのか?」
 庄司「先生が、そう仕向けたんじゃありませんか!」
 大河原「黙れ、ワシはお前の妻を盗んだんだ。この恩知らずめ!」

 由美子の声「8月30日 雨 庄司さんの作品が江戸川乱歩賞を取った。私は庄司さんのアパートへ駆け込んだ」

 雨の中、傘を差して、いそいそと庄司のアパートを訪ねる由美子。

 
 庄司「奥さん」
 由美子「おめでとう庄司さん」
 庄司「ありがとう、会いたかったぁ」

 しっかり抱き合った後、いきなり部屋を暗くして服を脱ぎ始める二人。

 やる前にコーヒーくらい飲めよ。

 
 由美子は上半身裸になると(夏樹さんはブラは見せて外してくれるが、バックヌードだけ)、互いに逆向きになってベッドの上で唇を重ねる。

 由美子の声「私は悪い女だろうか? いいえ、これは主人も承知の上のこと……主人は庄司さんを自分のそばに引き止める手段として私を……でも今の私は庄司さんなしでは生きられないっ」

 
 その後、重点的に庄司クンの乳首を責める由美子。

 
 そして、いかにも幸せそうに庄司クンの乳首に頬擦りする由美子。

 
 庄司クンも、柔らかな由美子のおっぱいが顔に覆い被さる重みと感触を恍惚の表情で味わっていた。

 ただし、これが夏樹さんのではなく、脱ぎ女優さんのおっぱい。

 男優さん、夏樹さんと脱ぎ女優さん、二人分のラブシーンを撮らなければならないから大変だ。

 しかし、由美子の幸せも束の間のことだった。

 由美子の声「9月3日 晴 庄司さんが家の近くの竹やぶで首を吊っていた……庄司さんが自殺などする訳がない。私と駆け落ちの約束までしていたのだから……私は知っている。昨夜主人は遅く帰ってきた。着物は泥にまみれ、裾に落ち葉が付いていた……あれは何を意味するのか考えるのも恐ろしい」

 

 
 恋人の死体を見て、思わずその場に倒れそうになる由美子。

 

 
 庄司を殺したのは夫に違いないと、憎悪の眼差しを大河原に向ける由美子。

 夏樹さん、ほんと綺麗だねえ。

 日記は年を越え、今年、つまり1980年に入る。

 由美子の声「2月18日 雪 主人の新しい助手が来た。うぶではにかみやで食べてしまいたいくらい可愛い子……まだ少年のような杉本君に主人の助手が務まるのかしら?」

 
 来たばかりの杉本に、お茶を持ってくるサザエさんスタイルの由美子。

 由美子の声「主人の魂胆は分かっている。私に杉本君を誘惑させる気だ」

 
 杉本「すいません、だいじょぶです」
 由美子「まっ、冷たい手!」

 ほぼ初対面の杉本の手に頬ずりする由美子。

 由美子の声「分かっていながら私の気持は妖しく燃える。この子が欲しい!」

 どスケベな人妻の魂の叫びを聞きつつ、その3へ続く(明日書きます)。
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コメント

夏樹さんも何気に美人ですね。絵になるぐらい綺麗ですね😅

Re: タイトルなし

何気にと言うか、文句なしに美人です。

夏樹陽子さん

>お手伝いのアミバ、じゃなかった、トキさん
最初はがアミバそのものが本物のトキだったけど
「(ジャギ・ラオウ同様に)3人とも悪人じゃ芸が無さすぎる」と変更した説があります。
たしかに、ケンとの戦闘中に急にヘタレ化しますもんね。

夏樹陽子さんはどんな服装・髪型でも本当に魅力が炸裂してますね。

話は変わりますが、現在のドラマでのラブシーンは(おっ〇いは当然無理だけど)
「下着をつけて」はまだマシで「服を着たまま絡み合うだけ」はさすがに寂しい。

Re: 夏樹陽子さん

> 最初はがアミバそのものが本物のトキだったけど
> 「(ジャギ・ラオウ同様に)3人とも悪人じゃ芸が無さすぎる」と変更した説があります。

あれ、明らかに最初はトキ本人として描いてますよね。

> 話は変わりますが、現在のドラマでのラブシーンは(おっ〇いは当然無理だけど)
> 「下着をつけて」はまだマシで「服を着たまま絡み合うだけ」はさすがに寂しい。

そうなんですか。それこそ、ますます現実と乖離していってるような……

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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