さて、こちらはあるじを失った大河原邸。
琥珀色の夕陽に染め上げられたバスルームでは、

例によって例の如く、由美子夫人の愛欲の交歓が繰り広げられていた。
さすがにこう濡れ場が続くと飽きるな。夏樹さんが脱いでくれるのなら別だが。

杉本「悲しみはもう洗い流しました。これからは僕と奥さんの時間が始まるんです……僕はあなたの奴隷です」
由美子「ほんとは軽蔑してるんでしょ……夫を裏切った女、何人もの男に身を委ねた女!」
ちょっと杉本君、ドコ触ってるのーっ? だが、杉本はすっかり由美子の虜になっていた。

杉本「僕は全てを捧げます。たとえ死が訪れようと恐れはしません!」
由美子「可愛い坊や」
杉本「奥さん!」
情熱的に愛し合う二人。

由美子は行為の最中、「愛してる、私だけのものよ、誰にも渡さないわ」などと興奮気味に口走っていたが、実際に杉本の首に手を伸ばし、杉本を絞め殺そうとする。これこそ、由美子の究極の愛の表現手段なのだった。
杉本も、由美子に殺されるのなら本望だと感じているのか、苦しさに顔を歪めながらも、全く抵抗しようとしない。
由美子「愛してるわ、離さない! 私のものよ」
杉本「ぐっ……僕も、好き……あ」
やがて杉本は意識を失って湯の中にぶっ倒れる。

全裸の由美子が上半身を起こすのだが、仕切りのガラスに彫られた花の模様で、肝心なところが見事にカバーされている神業のカメラワークが冴え渡らなくてもいいのに冴え渡る!

沈んだまま動かない杉本を見ていた由美子は、急に我に返ったように、「杉本君!」と慌ててその体を抱き上げる。

この時、由美子の横パイがはっきり見えるのだが、これは夏樹さん本人かなぁ?
何度も名を呼んで揺さぶるが、杉本は目覚めない。
てっきり完全に死んでしまったと思い込んだ由美子、さりげなく「犬神家の一族」ごっこ(爪先バージョン)している杉本を見ながら、ゆっくりと湯船の中で立ち上がる。

いやぁ、この脱ぎ女優さん、なかなか見事なボディですね。水着の跡も実に良い。

そして、床にぺたんと腰を下ろすときの股間とお尻がめっちゃエロい!
カメラが由美子の正面に回ると、夏樹さんにスイッチする。
いつの間にか、バスタオルをガチガチに体に巻いている由美子。
後悔と罪の意識に身震いしていたが、ふと誰かが天窓から覗いている気がして「誰?」と立ち上がる。

この時、ほんの一瞬だけど、夏樹さん本人の乳首が見える。自分も読者の方からの指摘で初めて気付いたほどの微妙な露出である。
由美子はバスローブをまとって浴室を出て、天窓まで上がってその男を確かめようとするが、それはマネキン人形に過ぎなかった。一体誰がこんな悪戯を?
……って、まあ、あの人しかいないけどね。
さらに、由美子が、胸の鼓動を押さえながら浴室に戻ると、いつの間にか、杉本の死体(死んでないけど)が、大河原のそれに変わっている。

しかもその死体が、むっくりと起き上がってこちらを睨み付けるではないか。
完全なホラーの世界に突入してしまったが、無論、これは明智さんの変装。
しかし、明智さんが念入りに変装して浴槽に沈んで由美子が来るのを待っていたかと思うと、なんとなく笑いが込み上げてくる。由美子が浴室に戻らなかったどうするつもりだったのだろう?
それはそれとして、ありえない現象を前に身も世もなく怯えて逃げ惑う由美子。
で、この大河原の幽霊(?)が、しつこくずんずん由美子を追ってくる様子は、

由美子「ううーっ!」
ホラーの世界を通り越して、ギャグの世界に突入しそうな勢いなのだった。
由美子は逃げまくって、最後は地下の犯罪コレクション室へ。大河原も、ぽたぽたと水滴を落としながら追って来る。

大河原「濡れ衣を着せられては死んでも死に切れん。明智に日記を送ったのはお前だろう? 何故、私を陥れた?」
由美子「あなたのせいよ、あなたが私を満足させてくれなかったからよ!」 要するに、大河原が
フニャチンだったことが、全ての事件の発端だったのだ(註・違います)

大河原「その代わり私は庄司を与えた、杉本も」
由美子「ダメなのよ私って、好きなものをみんな殺してしまうの……だから庄司さんも、姫田さんも! 弘子も杉本君も殺したわ! みんなあなたのせいよ! あなたが悪いのよーっ!」
涙を流して絶叫する由美子。
逆ギレしたように、半狂乱で泣き喚いていた由美子だが、ここで漸く、それが大河原である筈ないことに気付く。まあ、うっかり屋さんね。

由美子「あなたじゃないわ、そうよあなたじゃない! だって確かにあなたはそこで死んだんだもの!」
明智「そう、私はあなたのご主人、大河原義明ではありません」
ここから、大河原の声が、岡田英次から天知茂のものに変わる。

そして恒例のベリベリベリが発動する。
このシーン、ブログでもう40回以上貼ってると思う。さすがにあたしゃ飽きたよ。

由美子「明智さん?」
明智「連続殺人を自白なさいましたね」
由美子「さすが明智さん、私の負けですわ」
ただし、今回はまだ一山あるので、明智さんの最高のカタルシス、衣装の早着替えはお預け。
明智「しかしあの日記は良く出来ていました。強いて欠点を挙げれば、あまりに理路整然としていたことです」
由美子のトリックを論評しながら、ゆっくりと大河原の衣装を脱いで行く明智さん。
由美子「苦し紛れのお芝居でした」
明智「あなたの知恵と文才は大したものです。大河原作品の代作はあなたがやれば良かった」
由美子「あの人は私に女の幸せも喜びも与えてくれなかった」
明智「だが大河原義明はあなたを必要とした。弟子を引き止めておく代償として……あなたの肉体を次々に与えなければならなかった」
だが、明智にもただひとつ、殺人の動機だけが分からなかった。
明智「杉本君は幸い命を吹き返しましたが、あなたは三人の男と一人の女の命を奪った。その理由はなんですか?」
由美子「4人だけではありません。もうひとり……」
由美子、さりげなく滑車の後ろに立つと、不気味な笑みを浮かべる。そしていきなりその滑車を明智の体にぶつけ、明智を気絶させてしまう。
明智さんらしからぬミスであった。
しかし、滑車が当たったからって気絶までするかね?

とにかく、明智が由美子のねっとりとした口付けを受けて目覚めると、大河原が自慢げに話していた拷問台……と言うか処刑台に縛り付けられている自分を発見する。

由美子「もうすぐ楽になりますわ。水が乾くと皮が段々締まってきます。呼吸が苦しくなり、窒息死……」
サディスティックな美女に拘束されて、言葉攻めをされると言う、ドMの方々にとっては身震いするほど嬉しい状況に置かれた明智さん。
明智「君は、まだ殺したりないのか?」
由美子「動機と仰いましたわね、何故殺すのか? 私のもっとも尊敬する名探偵・明智小五郎さん、あなたの命と引き換えに、ほんっとうのことを告白しますわ」
すっかり勝利を確信した由美子は、うっとりと夢見るような眼差しで語り始める。
ここから、原作でも最大の見せ場、由美子の異常な告白となる。

由美子「……私は小さい時から生き物を飼うのが好きでした。餌をやったり眺めたりするだけではなく、手の中に入れて撫でたりさすったりするのがたまらなく嬉しかったの……6つの時、大事にしていたカナリアを握り締めて殺したことがありますわ」
6才の時の由美子。
スタッフの皆さん、少しは夏樹さんに似ている子役を探す努力をしましょう。
由美子「温かい柔らかなカナリアの体がぴくぴくと脈打ち、やがて動かなくなってしまう。私は痺れるような快感に包まれていました」

由美子「8つの時は子猫でした。私には残酷とか殺すとか言う意味が良く分からなかったのです。可愛くて可愛くて堪らなくなって抱き締めているうちに死んでしまいました」
泣きながら自分が殺した子猫を土に埋める由美子。
この猫、とてもリアルでぬいぐるみには見えないが、それにしてもピクリとも動かないのがちょっと不気味である。薬で眠らせてあるのだろうか?
由美子「初めて人間を殺したのは12の時……」 さりげなく恐ろしい台詞を放つ由美子。

由美子「うちによくくる年下の男の子で食べてしまいたいほど愛くるしい顔をしていました」
12才の時の由美子も全然似てないのは言うまでもない。
由美子「分かって下さい、私にとっては殺すということが最高の愛の表現なのです。殺さなければ愛は完成しないのです」
明智「分かりました。だから助けて下さい!」(註・言ってません)
続いて、1年前の庄司殺しの様子が回想される。愛し合う最中、由美子が庄司の首をキュッと絞めて殺してしまったのだ。
しかし、大の男がされるがままに女に絞め殺されるというのは、やっぱりちょっと無理がある。いくら熱烈に由美子のことを愛してるからってね。
由美子「そして白い羽根は私の愛の印なのよ」
今まで散々明智を悩ませてきた羽根の意味は、かなりテキトーに説明されていた。
これはまあ、原作同様、「次はあんたの番よ」と言う予告の意味だったとしておく方が無難だったろう。
姫田の場合は、あの夜、岩場で明智と話した後、姫田と会い、チョメチョメした後に殺しちゃったらしい。
由美子「人形のトリックはあなたの言う通り、山村弘子が手伝ってくれました……」
明智が推理したとおり、弘子はピアノの演奏の途中で、タイミングよくテープに切り替え、

姫田に変装して岬への小道を歩き、あらかじめ用意してあったマネキンを、由美子のわざと落とした白いハンカチを合図にして、海へ落としたのだった。
……でも、と言うことは、由美子はその前から姫田を計画的に殺そうとしていたことになり、常に激情的にならざるを得ない由美子の犯行としては、矛盾している気がするんだけどね。
さらに、
由美子「山村弘子は歌劇団時代から私の可愛い人でした……」

と、由美子が弘子ともこんな関係を結んでいたと至れり尽くせりの説明がされて、ほんとにあたしゃもうお腹一杯だよ。
由美子は、弘子とプールサイドで愛し合いながら絞め殺したのだ。

由美子「それは9時前でした。家に帰ったのが10時少し前です」
明智「ご主人が途中でホテルへ引き返したという日記は嘘ですね?」
由美子「ええ、あの日、朝から、主人の時計も家の時計も1時間狂わせておいたのです。9時のテレビドラマはタイマーでテープを録っておき、そのテープをかけ(再生し)、アリバイを作ったのです。
ビデオの機械はその夜、海に捨てました」
もったいないお化けが出るぞ! 
そのビデオデッキの映像も出てくるが、昔のこういう機械って、めっちゃカッコイイよね。
なんか、どえらいことをやってくれそうで。
この時刻操作トリック、前述したように、原作ではこんなに粗雑な方法ではなく、確か5分とか10分とか小刻みに徐々に時間をずらしていくんじゃなかったっけ? しかし、夫と二人だけならそれも可能かも知れないが、家にはトキさんと言う家政婦がいるんだから、朝から1時間もずらしていたら、ほぼ確実に彼女に気付かれてしまっていただろう。
それはともかく、由美子は最後の大河原殺しについても語る。
大河原は、由美子のやったことを全て知って、由美子と一緒に死のうとしたらしい。

大河原「私と一緒に死んでくれ、明智は恐ろしい男だ。もう、これ以上お前を庇うことは不可能だ」
由美子「そんなに私が大事なら、あなたが代わりに自首して!」 こんな厚かましい奴、見たことないと言うくらい厚かましいことを言い放つ由美子サン。
大河原も、(こんな奴庇うんじゃなかった)と激しく後悔の念を抱いたことだろうが、最早手遅れ、揉み合っているうちに大河原の体が偶然ギロチン台にすっぽりはまって、首チョンパされてしまったと言う。
原作では、大河原は事件には何の関係もなく、殺されることもないまま終わる。
ちなみに、ドラマでは特に言及されていないが、大河原が明智の推理を聞いておかしいほどイライラしていたのは、その時点で既に由美子の仕業だと知っていて、彼女を庇う為にあえて明智の推理を頭から否定していたらしい。

由美子「そして、明智さん、6人目は、あ・な・た」
明智「……」
由美子「初めてお会いした時から、私の胸はときめいていました。素晴らしい智慧を秘めたその瞳が私の心を捕らえたの……あなたは永遠に私のものだわ!」
美しき野獣のように、最後の「獲物」の上に覆い被さる由美子。
明智は、はだけられた胸に頬擦りする由美子の柔肌の感触を味わうゆとりもなく、徐々に締まってくる首のベルトの為に呼吸困難に陥り、ひたすら苦しげに喘鳴を繰り返していた。
だが、うっとりした目で、得意の乳首責めに取り掛かろうとしていた由美子の眼前に、

どこからともなく、大きなカマキリがヒョイッと落ちてくる。

由美子「ハッ」
物凄い形相で思わずのけぞる由美子。
しかも、カマキリはそれだけではなく、いつの間にか部屋のあちこちにばらまかれていた。
由美子「いやっ、ああっ、きゃーっ!」

さしもの殺人鬼も、苦手なカマキリの乱舞の前には、恥も外聞もなく、子供のように取り乱して悲鳴を上げ続けるのだった。
ここでは、大半はおもちゃだが、実際のカマキリの映像も使われている。
管理人はむしろカマキリが好きな方だが、苦手な人はウワッとなるかもしれない。

ここでやっと、波越、文代、小林少年がドアを開けて階段を駆け下りてくる。
由美子はそんな姿など目に入る余裕もなく、ひたすら恐慌状態にあった。
文代「先生!」
明智「遅かったじゃないか」
文代「すいません、杉本さんの手当てしてたんです」
【悲報】 明智さんの命<<<<<<<<<<<杉本クンの命 てっきり、「すいません、カマキリ集めるの手間取ってたんです」と言うかと思ったが、彼らもカマキリについては何ら関知していない様子。
と言うことは、このカマキリは何処から来たの?
文代さんが言うように、これまで由美子が殺めてきた被害者たちの霊がカマキリの姿を借りて現れたのかもしれない。もっとも、被害者の多くは納得ずくで死んで行ったのだから、由美子のことを恨んではいないと思うが……。
なお、ドラマでは何故由美子がそこまでカマキリを嫌うのか、はっきりと説明はされていない。文代さんと小林少年の会話の中で出てきた、「メスが交尾中、オスを食い殺す」と言う逸話から、由美子はカマキリに自分の宿業を重ね合わせ、それで極度に恐れていたのだ。

明智を処刑台から救い出して、ふと視線を転じる一同。
いつの間にか、由美子が叫ぶのをやめ、「ふふふふ、あははははっ、うっふふふっ……」と、弛緩した表情と姿勢で、いつ果てるともない地獄の笑いを続けていた。
あまりの恐怖に、とうとう発狂してしまったらしい。
「美女シリーズ」でも、その動機の異様さでは群を抜く美しき真犯人・由美子にとっては、ふさわしい幕切れだったかもしれない。
明智の声「悲劇は終わった。そしてそこには哀れなひとりの女の姿だけが残っていた……」
小林「何人も人を殺した人とは思えないな」
文代「可哀想な人……愛した人たちの霊に裁かれているみたい」

由美子「うふふ、あはは……」
ここでテーマ曲がかかって、エンドクレジットとなる。

その間も、カマキリを体のあちこちに張り付かせたまま、由美子は笑い続ける。

太腿や胸元を大きく露出させたそのドレス姿は、凄惨な美しさとエロティシズムが濃厚であった。
その後、再びいくつものラブシーンが流れ、

最後は、タイトルそのまんま「エマニエル夫人」っぽい映像でシメ。
話題性のあるものを臆面もなく取り込む、いかにもテレビらしいタイトリングであった。
そう言えば、次回作の「魅せられた女」もそうだったね。
そうそう、書き忘れていたが、原作でも、最後は庄司クン(ドラマの杉本クン)が由美子に愛されながら殺されそうになるが、明智に阻止されて、事件の真相が語られることになる。ただし、由美子は狂いもせず死にもせず、ぼんやりと警察が来るのを待つところで終わっている。
……
はい、と言う訳で、新年一発目の美女シリーズ、以上で終了です。
なんか、おっぱいと乳首の画像しか印象に残っていない気がするが、気のせいだ。
今年もよろしくね。
増補版・編集後記 本当は、単に過去の記事をまとめて手直しをするだけのつもりだったのですが、「悪魔のような美女」と同じく、オリジナルの記事を作成した時にキャプしたが、実際は使わなかった画像がたくさんあったので、結局最初からDVDをチェックしながら画像を足していくと言う面倒な作業を行う羽目になりました。
ま、「悪魔~」のように、ほぼ全面的に書き直した訳ではないので、リライト版と言うより増補版と言うべきでしょうが、それでもやっぱりしんどかったです。
それにしても夏樹さんは綺麗だ!
お陰で、10枚くらい画像を新たにキャプして追加しなければならなかったほどだ。
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