第30話「明日なき東京砂漠」(1989年5月28日)
前回、クライシスに殺された両親の仇を討つため、何を血迷ったか、超能力のトレーニングを始めた不思議少女・的場響子ちゃん。
右手をかざし、色んなものを念力で動かそうと努力する。
便秘じゃあるまいし、ちょっと気張っただけで超能力が得られるのなら、ユリのゲラのおやじの立場がないというものだが、な、なんと、ほんの数日間の鍛錬で、あっさり超能力をゲットしてしまうのだった。
しかし、前回も書いたが、何のDNA的背景もないただの少女が、そんな簡単に超能力者になっちゃうと言うのはねえ……。
それはさておき、光太郎と玲子に、その力で木の葉っぱを動かしてみせる響子。
二人は驚嘆し、響子を称えるが、

響子「ダメよ、もっともっと凄い力を持たなければクライシスを倒すことは出来ないわ」
光太郎「……」
言われてみれば、確かに、クライシスと戦う何の助けにもならない能力なのだった。
一方、クライシスは着々と、日本中の水を支配下に置く作戦を進めていた。

その根幹である「水の城」とよばれる施設に、クライス要塞からジャーク将軍、マリバロン、ダスマダーの三人が視察に訪れる。
ジャーク将軍がクライス要塞を出るのは異例のことで、今回の作戦に賭ける意気込みが伝わってくる。
ジャーク「ボスガン、水の城が完成したそうだな」
ボスガン「ははっ、このウォータートンネルは怪魔空間を通り、我らが祖国クライシス帝国に水を送るものです。そしてこれは人間どもを支配する為に、必要な水を地下にプールする為のものです」
ボスガン、簡単に説明すると、その場で第一回目の送水を行ってみせる。

ガテゾーンの指示で、地下の戦闘員がコックを開くと、向かって左側のウォータートンネルの中を勢い良く水が上昇していく。

水は、施設の屋上から突き出た二本の送水管から、上空に向かって吹き出す。
その先は、怪魔界まで達する特殊なパイプラインにつながっているのだろう。

ジャーク「見事だ、ボスガン、クライシス皇帝もさぞかしお喜びであろう」
具体的な成果を目の当たりにして、ジャーク将軍も手放しでボスガンたちを褒める。
マリバン「ボスガン、この城はどうあってもRXから守らなければならないわね」
ボスガン「その心配なら無用だ。将軍、RXが侵入すればたちまち火炎地獄の中で息絶えるでありましょう」
ジャーク「火炎地獄?」
ボスガン「はい、この水の城はRXにトドメを刺す炎の城でもあるのです」
マリバロンの懸念に、ボスガンは自信たっぷりに言ってのける。
しかし、
「侵入すれば」って言ってる時点で、どんな対策を用意しても無駄のように思えるんだけどね。
ボスガン、部屋の一方のシャッターを開き、

その奥に控えるメタヘビーと言う怪魔ロボットをジャーク将軍たちに披露する。
ガテゾーンによると、メタヘビー、「1000度の熱の中でも自在に戦える
最強の戦士」らしい。
……
ジャーク「最強の戦士が何人おるんじゃあああーっ!」 と、叫びたい将軍だったが、今回は一応、作戦は順調に推移しているので、なんとか堪えるのだった。
ま、「最強」は別にしても、1000度の熱に耐えられるって、別に大したことないような。
この時点で、
「RXにロボライダーになられたら意味ないのでは?」と冷静に指摘してやる人間がいなかったことが、彼らの不運であると同時に、彼らの無能さを証明していた。
しかも、18話とか19話ならともかく、散々ロボライダーやバイオライダーの威力を見せ付けられた後の30話でそんな調子なのだから、もう救いようがない。
それはそれとして、

ガテゾーン「RXをこの炎の部屋におびき寄せて、メタヘビーに……止めを刺させます」
説明しながら、指で首を掻っ切る仕草をするガテゾーンがクールなのでした。
一方、マリバロンとピエロたちによる水のばら撒きも、継続して行われていた。
水を絶たれた市民は、競うようにマリバロンらに群がり、すっかりその奴隷と化した感があった。

それを遠くから、悔しそうに見詰めている佐原家の人たち。
俊吉「光太郎、我が家の水も底をついてきた。このままではマリバロンの水を飲まざるを得なくなるかも知れんなぁ」
光太郎「おじさん!」
俊吉「わかっている。マリバロンの水を飲めば奴らの思うがままになってしまう。せめて雨でも降ってくれたら……」
忌々しそうに青い空を見上げる俊吉たち。
しかし、水はペットボトルの買い置きがあるにしても、水洗トイレの水とかはどうしてるんでしょう?
まあ、近所の川の水とか汲んでるのかなぁ。俊吉たちも、手にバケツなどを持っているから川に行く途中だったのだろうか。
響子「許せない、水は私の父さんが大切に守ってきたものよ、それを……許せない。私、絶対に許せない!」
水を支配の道具にしているマリバロンの冷酷な眼差しに、清い怒りを爆発させる響子ちゃん。

響子「お父さんが守ってきた水、水を呼ぶ力が欲しい」
公園に行き、再び右手をかざして念を込め、今度は水を地中から湧き出させようとするのだった。
で、びっくりしたことに、水は出なかったけど、右手をかざすだけで地面が割れちゃったのである。
あとで、公園の管理人にめちゃくちゃ怒られそうである。
しかし、それまで葉っぱを動かすのが精一杯だったのに、次のシーンではいきなり地割れを起こすと言うのは、超能力のインフレーションの度が過ぎると言うものだろう。
と、彼らの前方を、マリバロンとピエロたちの一行が給水装置をお神輿のように担ぎ、賑やかに音楽を鳴らしながら練り歩いているのが見え、同時に、彼らを尾行している光太郎の姿が見えた。
玲子「光太郎さん!」

光太郎の存在に気付いているのか、いないのか、土手の上を、フトモモを露出させて大股で歩いているマリバロン。
光太郎、最後尾のピエロを捕まえてぶちのめし、その衣装を着けて堂々と彼らの後についていく。
だが、雑木林に入ったところで、マリバロンが振り向き、あっさり光太郎の変装を見抜く。
反射的にピエロたちと戦う光太郎だったが、

マリバロン「この私と戦うか? ただしお前が私を倒せば、人間どもが飢えて死ぬことになるのは分かっているだろうな?」
光太郎「……」
マリバロンにそう言われると、戦意を失い、一方的に痛めつけられる。
しかし、マリバロンを倒せないまでも、別に無抵抗になる必要はないと思うんだけどね。
マリバロン「メタヘビーに任せるまでもない。ここでお前に止めを刺してやる」
と、そこへ玲子が捨て身で突っ込んできて相手を攪乱し、光太郎はその隙に乗じて玲子を連れてその場から離脱する。
ひとまず安全な場所に移動すると、
光太郎「無茶をしちゃダメだ、玲ちゃん」
玲子「何言ってるの、私、ほんの少しでもあなたの力になりたいの」

光太郎「奴らが何処から水を運んでくるのか、それを突き止めたかったんだが……街の人たちは、マリバロンの運んでくる水だけを頼りに生きてるんだ、それを絶つことは俺には出来ない!」
クライシスの悪辣な作戦の前に、苦悩する光太郎。

一方、響子は光太郎の苦境を救うべく、ひたすら超能力の鍛錬に励んでいた。

白いシャツブラウスと、フェミニンなジャンパースカートの組み合わせが実に可愛い響子ちゃん。
そして玲子は玲子で、白い道着をまとい、雑木林の中で空手の稽古をしていた。
無論、少しでも光太郎の助けになりたい一心であった。

しかし、ただのカメラマンに過ぎない玲子、誰の指導も受けずに空手をマスターすることなど無理だろうと思いきや、

玲子「ふっ、えっ!」
見事な前蹴りを決めておられました!
……
たぶん、学生時代、空手部に所属していたのだろう。

一方、街には、意味もなく砂嵐が吹き荒れ、飢えと乾きに苦しむ人々が溢れて、タイトルのように「東京砂漠」の様相を呈していた。
いや、別に外に出る必要はないと思うんですが……。
無敵のヒーローRXにも、彼らを助ける術はなかった。

響子「駄目、出来ない……パパ、私に水を呼ぶ力を与えて!」
響子、なおも諦めずに水を作り出す超能力を開発していたが、ふと、亡き父親に向かって叫ぶ。
その上で、空のコップに右手をかざして祈ると、こんこんと何処からともなく水が湧き出て、遂にはコップから溢れ出すのだった。

響子「なんだ、余裕じゃん!」
みたいな顔で軽く喜ぶ響子ちゃん。
……
いや、
念じただけで水が出てきたんですよぉ!? 物理学の常識を覆す、とんでもない現象なんですよ? しかも、死んだオヤジに祈っただけで出来ちゃったというのも、あまりに安直過ぎる。
CM後、またもやマリバロンたちが出現し、公園で住民に水を恵んでいる。

光太郎「浄水場の水を盗んだのはお前たちだな?」
光太郎たちが現れ、マリバロンを糾弾するが、

マリバロン「盗んだのではない、我らの水の城に移し変えただけだ」
光太郎「水の城?」
悪びれることなく、どっかの国の政治家みたいな詭弁を弄するマリバロン。

マリバロン「我らは日本中の水を水の城に移し変える。これより先、一滴の水といえども、我らクライシスの許し無しには飲むことは出来んぞ」
光太郎「貴様たちは悪魔だ!」

マリバロン「黙れ! 命の水を与える我らに何を言う?」
マリバロンがあつかましくもうそぶくが、鎌田功さんをはじめとする市民たちも、「んだんだ」とばかりに、マリバロンの肩を持つ態度を見せる。

マリバロン「みなのもの、私の周りに集まりなさい」
すっかりマリバロンの奴隷となっている人々は、マリバロンの言葉に従い、彼女の周りに集まり、臣民のように膝をつく。
マリバロン「よいか、今日より我らクライシスの人民になるものには自由に水を与える。もはやいかに抵抗しようとも日本政府に突きつけた誓約書にはサインがなされ、我らクライシスの元に差し出されるのは時間の問題……水が欲しければ誓約書にサインをするがよい」

ピエロが取り出した誓約書を、争うように取って次々サインしていく人々。
しかし、話がこんなに大きくなっているのに、警察なり自衛隊なりが出動する気配が全く見えないというのはさすがに不自然だよね。
自衛隊はともかく、警察が抵抗を試みるシーンくらいは入れるべきだったのではないだろうか。

響子「待って、もう水の為に、こんな悪魔たちに従うことはありません。水ならあります!」
マリバロン「ほっほっほっ、変わった娘だ、水があるなら出してみよ」
そこへ飛び込んできた響子ちゃん、公園の三箇所に地割れを起こし、そこから地下水を噴出させる。
響子「光太郎さん、私、水を呼べるのよ!」
光太郎「うん!」
続けて、
「ほとんど妖怪だね!」と言いそうになった光太郎だったが、なんとか自制する。
住民や佐原家の人たちが、歓喜の声を上げて水を浴びたのは言うまでもない。
この後、場所を変えてマリバロンと光太郎の戦いとなる。

マリバロン「どうだ、光太郎、動けるものなら動いてみよ」
マリバロン、光のムチで光太郎の首を締め上げるが、

光太郎「とあっ!」
光太郎、既に生身のままでもマリバロンと互角に戦えるまでに強くなっており、その場でジャンプしてムチを足で払いのけてしまう。
光太郎もだけど、演じている倉田さんも、いつの間にかプロのスタント並みのアクションがこなせるようになってるのが凄いよね。
ついで、RXに変身し、マリバロンを圧倒する強さを見せる。

マリバロン「お前は強い。私は強い男が大好きだ。どうだ、人間どもの味方などやめて、私と手を組まぬか?」
マリバロン、心底感心したようにRXを称え、同時に意外な提案を持ちかける。
それに対し、

RX「そういうお前こそ、地球支配をたくらむクライシスなどと手を切ったらどうだ?」
「いくつなの?」「え~、いくつに見えますぅ?」的な、質問に質問で答える、まるでキャバ嬢のようなRXであった。
マリバロン「それはできん、もっともお前が皇帝を倒せると言うなら考えても良い」
マリバロン、言下に否定しつつ、一歩間違えれば皇帝への叛意を疑われそうな大胆な仮定を口にする。
その後、いろいろあって、RXは割りと簡単に「水の城」を発見し、侵入する。
ボスガンの狙い通り、メタヘビーとRXの一騎打ちになる。
メタヘビー「RX、怪魔ロボット・メタヘビー、貴様が来るのを待ちかねていたぞ。来い!」
RX「メタヘビー、俺はお前を倒し、水の城を破壊する!」
そして我々は、ここで、初めて聞くメタちゃんの声が「うる星やつら」のチビでお馴染み、あの二又一成さんだと知って、一抹の不安を覚えるのだった。

序盤はそれでも、1000度の炎の部屋の中で優位に戦いを進めるメタちゃんであった。

ガテゾーン「そこだ、メタヘビー!」
その戦いを、クライス要塞のモニター越しに観戦しているジャーク将軍たち。
……
いやっ、ボスガンやガテゾーンまでなんでそこにいるのよっ? あんたらは作戦の責任者なんだから、水の城にいないと駄目でしょう?
そして、視聴者が容易に予想できたとおり、

RXはロボライダーにフォームチェンジし、あっさり火炎地獄をサウナのように快適なものに変えてしまう。
それを見たマリバロンは、
マリバロン「やつめ、ロボライダーにぃっ!」 と、わざとらしく悔しがる。
いや、いくらなんでもうっかりし過ぎでしょう?
前述したように、さすがにこのロボライダーのことをうっかり忘れていたというのは、おバカ過ぎる失策であり、クライシスと言うよりシナリオライターのミスと言われても仕方あるまい。
こうして、あえなくメタヘビーは倒され、無防備な水の城もあっけなく破壊されてしまうのだった。
ただ、水の城の地下には、浄水場から奪った大量の水が埋蔵されていたのだから、単に施設を壊せばいいというものでもないと思うんだけどね。
ともあれ、クライシスの作戦は頓挫し、人々は水不足から解放されるのだった。

ラスト、恐らく父親の管理していたダム湖のほとりだと思われるが、そこに勝手に本格的な墓をおったて、手を合わせている響子ちゃん。

公園にいくつもの地割れを起こすわ、公有地に勝手に墓立てるわ、役所の土木課の天敵みたいなことばっかりやってる響子ちゃんだが、まあ、可愛いからいっか!
玲子「光太郎さん、私もあなたと一緒にクライシスと戦うわ」
光太郎「……」
響子「私も協力させてください」
やがて、玲子が決然とした口調で光太郎に告げ、響子も同調する。
光太郎も、もう彼らの申し出を拒むことはせず、三人で力を合わせ、クライシスと戦っていくことを誓うのだった。
編集後記 今回、それほど長くないレビューだったのに、えらい時間がかかってしまった。
ギャグはなかなか思い浮かばないし、台詞、ストーリーを書くのがとても苦痛だった。
己の集中力の減退もあるが、そもそも、全然面白くないエピソードだったからねえ。
響子ちゃんは確かに可愛いんだけど、上野さんには、湯原さんや田山さんほどの魅力は感じないのだ。
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