第7話「爆発!ケンタの愛」(1987年4月11日)
のっけから、画面全体を占領している、ゴリライモ2号こと、ケンタのでかい顔。

ケンタ「良いなぁ、みんなアベックで……」
道端にバイクを止め、街行く若いカップルを物欲しげに凝視しているケンタ。
どうやら、ゴリライモ2号は、発情期に入った模様です。良い機会です。これからみんなでじっくり観察してみましょう。
ケンタ「ようし、俺も可愛い女の子と友達になって、青春しちゃうぞ!」

ケンタ「よし、いくぞ」
と言う訳で、スーツにサングラスと言う、精一杯めかしこんだ格好をしたケンタ、街へ繰り出し、手当たり次第に女の子に声を掛けてまわるが、誰も相手にしてくれない。
敗因は、ゴリライモの分際で人間の女の子に声を掛けたことにあると思われる。
だが、こんな街中でメスのゴリライモに遭遇するチャンスは極めて低い。さあどうする、ケンタ?

などと管理人がケンタの顔で遊んでいる頃、とある店の前に置いてあるエルビスっぽいマネキンと、ジェームズ・ディーンっぽいマネキンの間に、どこかで見たような真っ赤な男が立って、ケンタの動きを見張っていた。

そう、意外とディスプレーに溶け込んでいる、オヨブーであった。
オヨブー(ここからどうやって帰ろうかしら……?)
結局、ケンタのナンパは成果ゼロに終わり、悄然と自分のバイクのところまで戻ってくると、シートの上に野良犬がちょこんと座っていた。

ケンタ「うが……代わりにお前、喰う……」
じゃなくて、
ケンタ「俺と一緒に海行くか」
とうとう、女の子の代わりに野良犬で我慢するところまで落ちぶれてしまったケンタ。
と、彼らの近くで、お年寄りが二人組の不良バイカーに轢き殺されそうになってのたうちまわっていた。
ケンタはすかさず助けに駆け出そうとするが、
みゆき「だいじょぶですか、おばあちゃん! 何処もお怪我ありませんか」
老婦人「だいじょぶです」
それより早く、ひとりの若い女性が駆け寄り、老婦人を助け起こす。

バイカー「気をつけろよ」
みゆき「待ってください、悪いのはあなたたちです。歩道に突っ込んできて……、おばあちゃんに謝ってください!」
バイカー「なにぃ」
みゆき「……って、おばあちゃんが言ってます」
老婦人「でーーーーーーっ!!」(小林まこと調)
途中から嘘である。
その子、かなり気が強いらしく、そのまま行こうとするバイクの前に仁王立ちして、謝罪を要求する。

ケンタ(可愛くて、優しくて、勇気があって、好みのタイプ!)
ケンタがたちまちその老婦人に惚れてしまったのは言うまでもない。
……あ、間違えました。
ケンタがたちまちその女の子にぞっこん参ってしまったのは言うまでもない。
怒った不良たちはさらに激しく猛り狂うが、そこへケンタが颯爽とあらわれ、軽く追い払ってしまう。
老婦人が礼を言い言い立ち去った後、女の子、みゆきはケンタに丁寧に頭を下げる。

みゆき「助けて下さってどうもありがとうございました」
ケンタ「はい」
みゆき「それじゃ、時間がありませんので」
が、ほんとに急いでいたらしく、そのまま風のようにケンタの前から消えてしまうのだった。
もっとも、次のシーンでは、どうやって探し出したのか不明だが、街路樹のそばで絵を描いていたみゆきの前に、ケンタが再び現れて、花束を差し出す。

ケンタ「偶然だなぁ、何気なく通り掛かるといるんだもん。これ、どうぞ!」
みゆき「うふっ」
ケンタ「先日はどうもありがとう」
みゆき「みゆきさんかぁ、素敵なお名前ですね」
なかなか可愛いゲストヒロイン・みゆきを演じるのは、細井正美さん。
だが、その最中、ケンタのマスキングブレスから不粋なコール音が鳴り響く。ケンタは慌ててみゆきのそばから離れると、スイッチを押す。

タケル「何してんだ、トレーニングの集合時間はとっくに過ぎてんだぞ!」
それは、光戦隊本部にいる、ゴリライモ1号こと、タケルからの呼び出しだった。
ケンタ「平気、平気、たまにトレーニングなんて休んだって、だいじょうぶ」
タケル「あの野郎ーっ!」
ケンタ「いい天気だぜ、パーッと春を楽しまなくちゃね」
ケンタは満面の笑みを浮かべてお気楽なことを言ってのけると、さっさと通信を切ってしまう。

モモコ「パーッと春を楽しむんだって」
ハルカ「ケンタの頭の中、ガバッと春なのよ」

アキラ「可愛い女の子にでも会ったんですかね。すぐ夢中になっちゃうから、ね?」
タケル「俺が連れ戻してくる」
アキラたちはむしろ楽しそうに噂していたが、ゴリライモ1号は鬼の形相になって2号を探しに行く。
だが、ケンタが通信のためにその場を離れた僅かな間に、みゆきはオユブーに拉致されてしまう。そして、地下下水道のようなところに連れて行かれ、ドールドグラーと言う今回の怪人に吸い込まれてしまう。
ドールドグラーは、代わりに、ドールと呼ばれる、みゆきそっくりの人形を作り出す。
人形と言っても、動くことも喋ることも可能で、見ただけでは本物と区別がつかない。

ドール「ケンタさん」
ケンタが、さっきの場所でみゆきにふられたのかと落ち込んでいると、その前に赤いタイツにくるまれた、二本のすらっとした足が立つ。

ドール「ね、海に連れてって」
ケンタ「みゆきさん、何処行ってたんですか。海ですか、行きませう」
当然、ケンタは露ほども疑わず、ドールをバイクに乗せて走り出す。
それと入れ替わりにやって来たタケルは、オヨブーと戦闘員たちに攻撃される。

ケンタ「みゆさきん!」
ドール「うふふっ」
海辺で楽しそうにたわむれる二人。
なんか、昇竜拳を出しているように見えるが……。
ケンタが、みゆきに化けたドールから、早くも愛の告白をされそうになっていた頃、タケルたち4人は、オヨブーやドールドグラーと激闘を交わしていた。
ブルーマスクは、ドールドグラーの体内から、助けを求める女性の声を聞くが、自身もエネルギーを吸い取られて変身が解けてしまう。
それなら、ドールドグラーは、今度はブルーマスクのドールを作成できるようになるのではないかと思ったが、結局そう言う展開にはならなかったのがちと残念。
その後、ひょんなことからドールは正体を現し、近くの防空壕のような洞窟の中まで逃げ込み、

ケンタを投げ飛ばすものの、あえなく崩れ落ち、ひとやまの赤い砂となってしまう。
赤い砂はさらに、寄生獣ドールの姿に変わり、大量の砂を浴びせてケンタを生き埋めにする。
CM後、本部に傷だらけのケンタがよろけるようにして戻ってくる。

姿「ケンタ、どうした?」
ケンタ「長官っ、ボク、迷子になってましたぁっ!」 姿「そうか、良くひとりで帰ってきたな、偉いぞ!」
じゃなくて、
ケンタ「長官、チューブが俺を罠に嵌めるために、みゆきって子を」
姿「なに」
アキラ「じゃあ、ドグラーの腹の中から聞こえてきた女の声がみゆきって子だったんだ」
その後、色々あって、

ひとりでドールドグラーの行方を探索していたケンタの前に、再びみゆきが現れる。
しかし、さっきも言ったように、外見からではそれが本物か偽者か判別できない。

ケンタ「みゆきさん? 無事だったのか……」

だが、二人を遠くから見ているオヨブーの影があった。
無論、それはドールで、油断して近付いたケンタに、いきなり電撃ビームを放つ。

起き上がって反撃しようとするケンタだったが、にっこり微笑むみゆきの顔を見ては、どうしても拳を使うことが出来ない。
オヨブー(みゆきの姿をしている限り、お前にドールを倒すことは出来ん)

にこやかに笑っていたかと思えば、不意に攻撃を仕掛けてくるドール。
しかし、チューブ、と言うか、オヨブー、みゆきそっくりのドールを作ったまでは良かったが、それからの作戦に工夫がなかった。
あくまで正体を隠したまま接近し、ケンタもろとも自爆するとか、もっと有効な作戦があったと思うのだが。だいたい、電撃ビームを放ってる時点で人間じゃないのだから、いくらケンタでも、最後は反撃していただろう。
また、せっかくみゆきを吸い込んで人質にしてあるというのに、それを全く活用しない点も物足りない。
結局、みゆきは飛び込んできたタケルに蹴飛ばされて寄生獣ドールに戻り、ドールはドグラーと合体してドールドグラーとなり、一気にラス殺陣に雪崩れ込む。
それでも、みゆきが敵の体内に囚われていては攻撃できない……と苦悩するかと思ったら、一切そんなシーンはなく、普通にブラックがマスキーロッドでボコボコに殴って、怪人にゲロさせるようにみゆきを吐き出させて救出すると言う、芸のない結末となるのだった。

戦いの後、いつものように街路樹のそばで絵を描いているみゆきを、離れたところから見詰めているケンタ。だが、ケンタはその場から動こうとしない。
タケル「どうした、ケンタ、行かないのか?」
ケンタ「ああ」
ハルカ「え、どうしてよ?」
ケンタ「みゆきさんを二度とチューブの戦いに巻き込みたくないんだ」
タケル「……」
アキラ「優しいですね」
恐らく、ゴリライモ2号の発情期が終わったのだと思われます(註・違います)
気付かず歩き去っていくみゆきの背中を見詰めるケンタが、いつになく男前に見えた。

ケンタ(さよなら、みゆきさん……)
ナレ「ケンタは誓った。いつの日か、必ず地底帝国チューブを打ち破り、再びみゆきに会いに来ることを」
一年後、遂にチューブを倒したケンタは、晴れてみゆきに愛の告白をして、無事ふられたそうです。
以上、出だしは期待できるのに、中盤以降のドラマに工夫のない点は前回と瓜二つの凡作であった。
ゲストがなかなか可愛かっただけに、勿体無い。
さて、最近、レビューの下書きが貯まり過ぎているので、今日は引き続き8話のレビューに行くぜっ!
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