第11話「地底からの亡命者」 (1987年5月9日)
筑波山の地中から、地底帝国チューブのものと思われる髪飾りが発見される。
それはイガムの亡き母、すなわち、かつての王妃の遺品であったが、それには地底帝国の重要な秘密が隠されているらしい。
ケンタは、姿長官に命じられて、その髪飾りの展示してある博物館へ行き、その警護をしていたが、ちょっと目を離した隙に、黒装束の小柄な女性に盗み取られてしまう。
と、その女性の前にフーミンが立ちはだかり、髪飾りを横取りしようとする。
互いに口から光の手裏剣を吐き、空中で交錯する二人。
ユウ「まさか、地帝忍び?」
フーミン「お前こそ、何者?」
ユウを演じるのは小原靖子さん。後に相原勇と改名して、バラドルとしてブレイクしたのは言うまでもない。
言うまでもないのだが、今の若い人は知らないんだろうなぁ……。
ま、若い人はそもそもこんなブログ読んでないか。
やがてケンタが駆けつけ、最終的に髪飾りはケンタの手に戻る。
しつこくケンタの手から奪い取ろうと飛び掛かったユウだが、その体が光の網に包まれて落ちる。
ユウ「ゾーラドグラー!」
それは、顔に小さな口が4つもある、かなり気持ち悪い造型の地帝獣ゾーラドグラーであったが、ユウは何故かその名を知っていた。
ケンタ、状況がいまいち分からなかったが、とりあえず変身して、女の子を怪人の攻撃から守る。
ついで、ユウを拘束している網を切り、彼女を自由にする。
ユウ「お前……」
その異様な姿を、驚きの目で見上げるユウ。
管理人、相原勇さんに特に思い入れはないのだが、なんだかんだ言って可愛いので、今回は彼女の画像を多めに貼っていくことにした次第である。
そのうち他の4人も加勢に来て、敵味方入り乱れての混戦となる。
ユウ、しつこくケンタの手から髪飾りをもぎ取ろうとするが、結局断念して、
ユウ「ハッ!」
口からたくさんの花吹雪を吐いて、煙のように姿を消すのだった。
髪飾りは、そのまま光戦隊の司令室に持ち帰られる。
姿「やはりこの髪飾りはチューブのものだったんだな。奴らが動き出したと言うことはこの髪飾りに何か重要な秘密が隠されてるんだ」
タケル「それにしても、この髪飾りを盗み、フーミンと戦った女は一体何者なんだ?」
タケルが髪飾りを持ち上げると、それに付着していたピンク色の小さな花びらが落ちる。
ケンタ「あの女が武器に使った花だ」
モモコ「この花は確か、
ゆう・もあ村 付近に多く見られます」
姿(イヤな名前の村だなぁ……) 一方、チューブでは。
アナグマス「やはりフーミンと戦った女はフウ(フー?)一族の抜け忍の子孫です」
ゼーバ「フウ一族の抜け忍ならば、髪飾りの秘密を解き明かす方法を知っている筈だ。もしマスクマンがそれを知ったなら、我が地底帝国の一大危機!」
やや鼻声のゼーバ、バラバに、フウ一族の抹殺と髪飾りの奪還を命じる。
もっとも、その秘密は地底帝国と言うより、ゼーバ自身の秘密であったことが、後になって判明する。
ケンタ、バイクを飛ばしてそのゆう・もあ村にやってくる。
まさかと思ったが、
ほんとにそんな名前の村が実在したのである! ま、これは、実際の自治体ではなく、むかし筑波山にあった、そういう名前のリゾート施設らしい。
詳しいことは知らないが、今では有名な廃墟(心霊?)スポットとなっているとか。
ケンタが村の中を歩き回っていると、ユウが現れ、いきなり剃刀の刃を飛ばしてくる。
ケンタ「待ってくれ、俺は君の敵じゃない」
ユウ「あの時助けてくれた礼は言う、だからと言って味方とは信じられん」
ケンタ「俺たちも地底帝国と戦ってるんだ。信用しろ」
ユウは半信半疑ながらケンタの言葉を信じて攻撃をやめ、二人は互いに名を名乗る。
が、詳しい話をする間もなく、傷付いた鳩が飛んできて、ユウの家で緊急事態が起きたことを告げる。
ユウは野生動物のような身軽さで村を走り抜け、一気に自宅に辿り着くが、既にそこはもぬけの殻だった。しかも、床には、凶事が起きたことを示す血痕が落ちていた。
少し遅れてケンタもやってくる。
ユウ「父さん!」
ケンタ「お父さんがどうかしたのか?」
ユウ「父はきっとゾーラドグラーに!」
ケンタ「ゾーラドグラー? 何故だ?」
ユウの想像通り、彼女の父イジンは、チューブに捕まって地下の牢獄に監禁され、拷問を受けていた。
バラバ「吐け、髪飾りの秘密の解き方を」
イジン「王家の忍者は貴様の鞭などに負けぬぞ!」
そのイジンを演じるのは、特撮ヒーロー界のレジェンド、伴直弥さんである!
そこへイガムも来て、
イガム「久しぶりだな、イジン」
イジン「イガム様?」
イガム「地底一と言われた忍者も哀れな姿になったものよ」
イジン「イガム様、我らと一緒にゼーバを倒し、王家を再興し、王妃様の願った平和な地底を!」
イジン「黙れ、そんなことより、残り少ない命、惜しむがいい!」
イジン「イガム様、あなたは恐ろしい方に変わられてしまった」
意外にも、イジンとイガムは旧知の間柄だった。
イジンは、かつてイガム王家に仕えた忍びで、イガムに武術を仕込んだ師でもあったのだ。
イジン「私の知っている子供のときのイガム様は……」
イジンの言葉に、幼いイガムをイジンが鍛え、それを優しく美しい王妃と、幼いイアル姫が見守っていると言う、懐かしくも微笑ましい日々が、期せずして二人の脳裏に蘇る。
イガム「過ぎた昔のこと、とっくに忘れた!」
イガムの目も微かに潤んでいたが、そんな感傷を無理矢理振り払うと、イガムは荒々しく立ち去る。
再び、ゆう・もあ村。
ユウが、自分たちの身の上をケンタに打ち明けている。
ユウ「私の父イジンは地底王家に仕えていた忍者、でも、ゼーバが王家を滅ぼした時、父と母は平和を望み、地上に亡命し、抜け忍になった」
ケンタ「亡命してきた地底人か」
ユウ「ゾーラドグラーは亡命した地底人を探し出し、抹殺する殺し屋……何人もの仲間が殺されているわ。私の母も……」
だから、抜け忍もユウとイジンの二人だけになってしまった……と言うことなのだろうが、二人のほかに、抜け忍の仲間が一人も出てこないと言うのは(ドラマ的に)あまりに寂しいよね。
ケンタ「そうだったのか。でも、どうしてあの髪飾りを?」
ユウ「あの髪飾りにはゼーバの秘密が封じ込められている。父はゼーバの秘密を探り、地底帝国を倒し、平和な地底を取り戻そうとしていたの。ケンタ、お願いです、髪飾りの秘密を解き、ゼーバを倒し、地底人と地上人を仲良くさせてください」(欲張り)
ケンタ「ユウ!」
ユウ「お願いします!」
熱い眼差しでケンタのいかつい顔を見詰めるユウ。
なんとなくいいムードになったが、二人の目の前で爆発が起き、とんだ邪魔が入る。
それは、地底帝国のモテないコンビ、バラバ&オヨブーの仕業であった。
バラバ「ふふふふっ、抜け忍イジンは我々が捕らえた、命を助けたければ髪飾りを持って来るんだ」
ちなみにケンタって、7話と言い、この11話と言い、13話と言い、妙に女の子と良い感じになるエピソードが多い気がするが、これは、元々男性が三人しかいないのに加え、アキラはまだ子供だし、タケルも美緒一筋なので他の女性にうつつを抜かす筈もなく、自然、ケンタにその手の話が多くあてがわれる結果になったのだろう。
CM後、ケンタは、姿長官に、ユウとイジンを助ける為、髪飾りを使わせてくれと懇願する。
しばらく考え込んでいた姿長官だったが、やがて無言で髪飾りをケンタに渡す。
ケンタ「長官!」
さて、5人とユウが指定された場所に行くと、バラバたちが、イジンを人質にして待ち構えていた。
ユウ「お父さん!」
イジン「ユウ……」
イジンが娘の名を呼ぶのを聞いて、「トリック」の上田次郎がたまに山田のことを「ユー(you)」と呼ぶのを連想してしまう管理人であった。
ユウ「お父さん!」
ケンタ「ユウ!」
鎖で縛られ、拷問された様子の父親を見て、思わずユウが駆け寄ろうとするのを、ケンタたちが慌てて止める。
ケンタ「バラバ、卑怯だぞ、約束どおり持ってきた! 手出しはするな!」
泣きそうな顔で叫ぶケンタ。
バラバ、なおもイジンをいたぶってから、ユウに髪飾りを持って来させろと命じる。
ケンタ「これを……俺たちがついてる」
髪飾りを渡し、力強く励ますケンタに頷いてみせると、
振り向いて父親を見るユウ。
髪飾りを持って、ゆっくりと歩き出す。
イジン「来ちゃいかーん! 来るんじゃなーいっ!」
何度も叫ぶが、ユウが歩を止めないのを見て、
腹部のベルトから眩しい光を放ち、イナズマンに変身するのかと思ったが、無論、そんなことはなく、単に鎖を引きちぎっただけだった。
群がる戦闘員に渾身の空中二段蹴りを放つイジン。
もっとも、これはスタントである。
だが、ジャンプしたところをゾーラドグラーの網にキャッチされ、動きを封じられる。
ケンタ、ブラックマスクに変身すると、その身をもってゾーラドグラーの攻撃から二人を守る。
ブラック「ぐわぁっ!」
ユウ「大丈夫?」
ブラック「大丈夫な訳ねえだろっ!」 と、最近の戦隊シリーズなら言いそうな気がする。
もちろん、正解は、「大丈夫だ、お父さんを!」でした。
他の4人もマスクマンに変身し、親子を庇うように立ちはだかる。
ブラック「ゾーラドグラー、平和を願う地底からの亡命者を獣のように扱うとは許せん!」
今回はケンタの主役回なので、レッドを差し置いてブラックが怒りの雄叫びを上げる。
ここからラス殺陣となるが、その最中、イジンはユウに髪飾りを持ってこさせると、それを地面に置き、口から赤い炎を吐いて、髪飾りの特別な機能を発動させる。
それは、空中に巨大なスクリーンを投影して記録されていた映像を再生するハイテク装置で、敵も味方も戦いを忘れてそれを見上げる。
王妃「私は地底王国の王妃、愛する地底の平和を願い、侵略者ゼーバの秘密を明かします……」
メッセージの主は、イガムたちの母親で、万が一に備えて髪飾りにビデオメッセージを残し、そのことをイジンにだけは知らせておいたのだろう。
このまま行けば、まだ第1クールなのに話が終わってしまうところだったが、途中でゾーラドグラーが髪飾りを破壊してしまった為、肝心な話は聞けず、結局何も分からないままだった。
イジン「おのれ、ゾーラドグラー!」
怒り狂ったイジン、鬼のような形相でゾーラドグラーに向かって突進していき、
最後はその体に体当たりして、
ゾーラドグラーを巻き添えにして自爆する。
いかにも忍者らしい見事な最期であったが、別にそんなムキになって突っかかっていくようなシーンじゃなかったと思うので、若干の違和感はある。
これが、娘のユウが傷付けられたとかならまだ分かるんだけどね。
また、折角命懸けの行為だったのに、ゾーラドグラーがピンピンしているのもなんだかなぁと言う感じである。ここは伴さんの顔を立てて、それで怪人も倒されたことにすべきだったと思う。
それはともかく、この後はショットボンバー~巨大ロボットバトルに移行して、ルーティンを消化する。
ラスト、寺の古木の下にイジンの遺体を埋め、それに花を供えているユウ。
ケンタ「ユウ、元気を出すんだ」
と、死んだ筈のイジンの声が聞こえてくる。
イジンの声「ゼーバの秘密を封じ込めて、王妃様が残したものはあの髪飾りのほかにもある。地底の平和を取り戻す為にもそれを探し出すのだ!」
ユウは、健気にも、その遺品を探し出して見せるとケンタたちに宣言する。
そう言えば、ボスの名前はゼーバだったんだよねえ。伴さん、「イナズマンF」では、ゼーバーを武器に戦っていたのだが……。
ケンタ「何かあったら、すぐ連絡しろよ、ぶっ飛んで行くから!」
ユウ「ありがとう、ケンタ」
なんだかんだで相原勇さんは可愛いね。
この後、再びユウが登場すれば、ドラマにも厚みが出るのだが、このままユウは物語からフェードアウトしてしまい、二度とケンタたちの前に現れることはないのだった。
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