と言う訳で、久しぶりの「美女シリーズ」のお時間がやって参りました。
しかも、今回は、画像復刻版や増補版ではなく、完全新作でお送り致します。
「魅せられた美女」は、美女シリーズ第13弾、1980年11月1日に放送された。
原作は昭和30年11月に書き下ろしとして出された「十字路」である。
この稿を起こすにあたって、私は一度原作を読んでおこうと思って、実に何十年ぶりかで講談社文庫の乱歩全集「十字路」をひもといたのである。
さいわい、そんなに長くない作品なので、二日ほどで読了した。
ところで、これも古い話だが、1975年に出版された「江戸川乱歩の世界」と言うムックの中で、大内茂男氏(ミステリー評論家)は、乱歩の全作品を網羅してそれぞれに的確な寸評を加えた一文を寄せているが、その中で、「十字路」について、こう言っておられる。
「とにかく、これは戦後二十年の長編推理小説の中でも、指折りの傑作といっていいものである」 それから45年ほど経った2019年の今、管理人は、あえて泉下(2007年没)の大内氏に聞きたい。
どこが? そうなのである。はっきり言って、傑作どころか、乱歩が書いたとは思えないほど退屈で、なんの面白味もない凡作だったのである!
倒叙形式ならではのスリルは多少あるけれど、トリックにしてもキャラクターにしても真相発覚の経緯にしても、まるっきり魅力に乏しい。
これが乱歩の戦前の作品なら、まぁ、「力作」「意欲作」くらいは言えるかも知れないが、「指折りの傑作」などと言う評価は、書かれた時代に関わらず、この作品には到底ふさわしくない。そんな見当外れの評価を下したその指を反対側にへし折ってやりたくなるほどである(大内さん、ごめんなさい)。
管理人、以前から、この大内氏の絶賛の文章を読んで首を傾げていた。何故なら、自分も一度か二度読んだことはあるが、その内容をまったく覚えていなかったからだ。もしそんなに面白い作品なら、多少なりとも内容なり印象なりを覚えているものだが、記憶の残滓すらなかったのだ。
ひょっとして、子供の頃読んだから、その真価が理解できなかったのかもしれないとも考えたが、今回、久しぶりに再読して、ようやく得心がいった。
真価もへったくれもなく、単につまんない小説だったのだ。だから、覚えてなくて当然なのだ。
もっとも、これには理由があって、実はこの小説、乱歩と渡辺剣次と言う人との合作なのである。
具体的には、(推理作家の)渡辺氏の原案・ストーリーをもとに、乱歩自身が執筆したものらしい。
だから、ところどころに乱歩らしい「粘っこさ」が見られるものの、全体的には索漠として、いかにも仕事で書いてますと言う調子が滲み出ており、要するに作者の情熱が伝わってこない作品なのである。
ただ、今度読み返して、ドラマ版との相違がクリアになったと言う収穫はあった。
レビューに入る前に、簡単にその点を記しておこう。
まず、それぞれの主要登場人物を並べてみる。
原作 沖晴美(秘書)-伊勢省吾(実業家)-伊勢友子(省吾の妻)
真下幸彦(デザイナー)
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相馬芳江(真下の恋人)
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相馬良介(画家・芳江の兄)
南(探偵・良介に瓜二つ) 花田警部(優秀)
ドラマ 沖晴美(歌手)-伊勢省吾(芸能プロダクション社長)-伊勢友子(省吾の妻)
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沖良介(プロ棋士・晴美の兄)-桃子(良介の恋人)
真下幸彦(晴美のマネージャー)
明智小五郎(探偵・良介に瓜二つ) 波越警部(ボンクラ)
次に、おもだった相違点を書くと、
・ドラマの晴美は、原作の晴美と相馬芳江とを合わせたような人物になっている。
・原作の晴美と伊勢は相思相愛の仲だが、ドラマでは男女の関係はない。
・ドラマの晴美はアイドル歌手だが、原作の晴美は伊勢社長の秘書・愛人である。
・ドラマの良介はプロ棋士だが、原作の良介は売れない画家で、かなりの偏屈者である。
・ドラマの良介は伊勢に殺されるが、原作では頭を打ったことによる脳出血が死因である。
・原作では、南探偵は有能だがワルモノで、犯人をゆすろうとして逆に殺されてしまう。実際に事件を解決するのは花田警部である。
それ以外、細かい違いは色々とあるが、大筋のストーリーやトリックはかなり原作に忠実であることがわかった。
ま、その辺についてはレビューをしながらおいおい指摘することにして、いい加減、レビューを開始しよう。
夜、伊東の仏ヶ浦に向かって車を飛ばしている明智さんと文代さん、小林少年の仲良し三人組。

明智「小林君のスタイルはプロ並みだなぁ」
小林「初めての夜釣りと言うことで、昨夜は眠れませんでしたよ」
文代「それで空き缶でも釣り上げたらお笑いよね」
後部座席の小林少年に、明智さんと文代さんがからかうように話しかける。
いきなりだが、美女シリーズの成功の一因は、この三人(と波越警部)の醸し出す、アットホームな雰囲気だよね。
ところで、小林少年が「昨夜は眠れなかった」と言うのはちょっと変である。
そう言うのは普通、日中に行うアクティビティーの時に言う台詞で、今は、もう夜になっているのだから。
これ、実際の撮影時は朝か昼で、フィルターを使った「潰し」と言う手法で撮っているのだ。だから、スタッフも、ついその感覚でそんな台詞を言わせてしまったのかもしれない。

小林「狙いはでっかいイシダイ」
文代「さあ、どうかなぁ、そんな甘いもんじゃないらしいわよ」
小林少年の見た目で、後部座席を覗き込む文代さん。
最近、「スワンの涙」ですっかり大人になった五十嵐さんを見ているので、それと比べると、ここの五十嵐さんは実に初々しくてキュートである。
言いながらラジオのスイッチを入れると、小林少年もファンだと言う沖晴美と言うアイドルの歌が流れ出す。

それにつなげて、実際にスタジオで歌っている沖晴美の姿が映し出される。
晴美「ああ guiet dance guiet dance 一人の部屋 飛び出したいのにからみつく氷のようなため息横切る~♪」
ジュディ・オングの「魅せられて」そのまんまの衣装で、自分の持ち歌「静舞」を熱唱しているのは、今回のヒロイン岡田奈々さん。
「魅せられた美女」と言うタイトルも、臆面もなくここから取られたのだ。
しかし、「魅せられた美女」って、はっきり言って意味不明のタイトルだよね。
とにかく、ここでタイトルが出て、OPクレジットとなる。

その中で、文代さんや小林少年が、日中の岩場で釣りをしているカットが見えるのだが、彼らは夜釣りをしていた筈なので、そのシーンが「潰し」で撮っていたことが証明されたことになる。
収録後、マネージャーの真下幸彦とともに、マスコミからの取材を受ける晴美。

最近、エメラルドプロの伊勢社長から高級マンションを買ってもらったことに絡んで、記者たちから社長と晴美が恋愛関係にあるのではないかと聞かれるが、
真下「うちの社長は立派な奥さんのいる方ですし、それは他のプロダクションの中傷ですよ」
敏腕マネージャー真下が明快に否定する。
もっとも、晴美は、いまどき珍しい文字通りの清純派アイドルで、伊勢とは勿論、誰とも付き合ってはいないので、本当にただの噂に過ぎなかったのだが。
兄であり、プロ棋士である良介について話が及ぶと、晴美がパッと目を輝かせる。
記者「兄さんの沖良介さんも昨日から伊東で名位戦だねえ」
晴美「ええ、ホテルえびすで」
記者「妹は目下売り出し中の人気歌手」
記者「兄は将棋ばやりの今、ビッグタイトルに挑戦する天才棋士」
記者「このコンビは我々にとっちゃ売れるネタですよ」
晴美「名位戦、勝たしたいです!
どんな手を使ってでも!」
タイトル戦挑戦が決まってから、良介の対戦相手の家にイタ電話したり、飼い犬に毒を盛ったり、地道な努力を惜しまない兄思いの晴美であったが、ぜんぶ嘘である。
仕事の後、そのマンションまで晴美を送りながら、それとなく社長との関係に探りを入れる真下。

真下「あんな凄いマンション人に買ってやるってのは、何か魂胆があると思うんだ」
晴美「あら、私が三年契約したお礼だと仰ってるわ」
実際、後に伊勢は晴美のことが好きで、下心ありきでマンションをプレゼントしたことが分かるのだが、素直で、ある意味世間知らずの晴美は、そんなことは夢にも思っていない様子だった。
真下、晴美が伊勢に恋愛感情を持っていないことを確かめると、自分と一緒にエメラルドプロから独立しないかと思い切ったことを提案する。
さらに、マンションの前で別れ際、「僕は君が好きなんだ」と、愛の告白までする。

だが、真面目で身持ちの堅い晴美は、嬉しがるどころか、
「貞操を守らなくちゃ! ファイトよ、晴美!」とでも言いたげに、かえって警戒の色を強めるのだった。
エレベーターを上がり、自分の部屋に入る晴美。
確かにそのマンションは当時としては豪華で、とても一人住まいの部屋とは思えないほど広かった。

とりあえず、シャワーで汗と疲れを洗い流す晴美。
顔や髪には一切水を掛けないと言う、大変珍しいシャワーの浴び方をされていた。

一応、足のショットも出てくるのだが、今回の岡田さんのガードの堅さから見て、これも脱ぎ女優さんの足ではないかと思われる。
足くらい見せてくれてもいいじゃないかと思うんだけどね……。
やがて、問題の伊勢社長が車でマンションにやってくる。
手に花束を持ち、弾むような足取りでエントランスに入っていく伊勢。
その態度からも、彼が晴美に恋愛感情を抱いているのは明らかだった。

だが、晴美、そして伊勢の様子を、マンションの近くからじっと見詰めている、お釜帽子にマントと言う、金田一耕助みたいな格好をした女性がいることには、二人とも全く気付いていなかった。

エレベーターの前に立っている伊勢。
わかりにくいが、ここは誰かの部屋の中ではなく、ロビーなのである。
ロビーにソファやテレビまで置いてある点から見ても、このマンションの豪華さが分かるというものだ。
やがて晴美の部屋のチャイムが鳴り、晴美はインターフォンの受話器を取る。

晴美「どなたですか」
伊勢「私だ」
晴美「社長? 困ったわ、今、シャワー浴びてて……ちょっと待っててください」
伊勢「いいよ、いいよ、私だから、心配しなくていい」
異様に身持ちの堅い晴美、バスローブと言うより、ガウンのようなかっちりした上着を羽織り、社長を招じ入れる。

伊勢「引っ越しおめでとう」
晴美「まあ、綺麗、どうもありがとう」

伊勢「すっかり片付いたね」
晴美「ええ、お陰さまで」
伊勢「良いソファだ」
晴美「ちょっと高かったけど無理しちゃったんです」
伊勢「無理なんかしなくても私のほうにツケをまわせばいいんだよ」
晴美「そんな、このマンション買って頂いただけでもう十分ですわ」
伊勢「いや、今度の新作が50万枚を突破したご褒美だ」
恐縮する晴美に、こともなげに言う伊勢社長。
晴美、今聞いたばかりのゴシップのことを持ち出し、肩をすぼめるようにして、
晴美「奥様に悪くて……」

伊勢「うちの女房はね、レイゲン教とか言う新興宗教に凝っていて夢中なんだよ。今日も伊東の信者のところへ出掛けて行った。そう言えば、君の兄さんも今伊東だね」

晴美「ええ、名位戦の第1局なんです。どうなったかしら」
伊勢「うん、昨日は悪かったが、今日は五分五分に持ち込んだそうだ」
晴美「まあ、ほんとですか、勝って欲しいんです、お兄さんに!」
良介のことが話題に出た途端、パッと顔を明るくさせる晴美。
伊勢「君はほんとに兄さん思いだねえ」
少し妬むような口調で伊勢が言う。
ちなみに、前述のように、原作では二人は社長と秘書の関係で、熱烈な不倫の恋に落ちていて、相思相愛の間柄と言う設定である。
さて、その後もなごやかに雑談を交わしていた二人だが、こっそり伊勢の後をつけてきた金田一ライクな女性が、大胆にも部屋の中に入ってきたことには全く気付いていなかった。
その女性がドレッシングルームに潜んでいるとも知らず、ちゃんとした服に着替えようと一旦下がってその部屋に入る晴美。

ガウンを脱ぐが、なんと、その下にはきっちりバスタオルが巻いてあると言う、鉄壁の守り。
しかし、バスタオルの上からそんなの着る奴はいないよね、普通。

さらに、ガウンを脱いだ後も、鏡台の前に座って髪型を整えたりして、一向にバスタオルを外そうとしない晴美に、一部の男性視聴者が発狂しそうになったと言う。
と、鏡台の一部に、例の女性の姿が映りこみ、「奈々、後ろ!」状態となる。

友子「殺してやる!」
ハンドバックからナイフを取り出して、いきなり襲い掛かってくる女性。
そう、彼女こそ、伊勢の妻・友子なのである。
二人が男女の仲になっていると勘違いして晴美を殺しに来たのだ。
この辺は原作も同じ。
でも、ドラマでも原作でも言えることだが、友子は新興宗教に夢中になっていて、夫との関係も冷え切っていると思われるのに、浮気してるからってその相手をわざわざ殺しに来るだろうか?
もっとも、原作では、その新興宗教の教えに従って、不倫の恋に落ちている夫に天罰を下しに来たみたいなことを言ってるんだけどね。
友子を演じているのは西尾三枝子さん。以前レビューした時は知らなかったのだが、プレイガールにも出ていたセクシー女優さんなのである。

対照的に、まるで棒のようにスリムな岡田さんのボディ。

友子のナイフを避けようと、逃げ惑い、ベッドの上で飛び跳ねる晴美だが、巻いたバスタオルが小ゆるぎもしないというのは、さすがにリアリティがない。
原作では確かすっぽんぽんだったと思うが、是非ドラマもそれを再現して欲しかったところである。
他意はない。
ただ、岡田さんの裸が見たいだけである。
騒ぎを聞きつけて伊勢が駆けつけ、友子を止めようとするが、バーサーカーモードになっている友子は夫の体を振り払うと、晴美の逃げ込んだシャワー室に入ると、中からロックをしてしまう。
細腕でなんとか相手のナイフを支えていた晴美だったが、揉み合っているうちに、逆にナイフが友子の胸に刺さってしまう。

友子「うっうう……」
晴美「……」

友子「うう……」
伊勢「友子!」
晴美がロックを外すと、伊勢が飛び込んでくるが、突然の事態に思わず立ち尽くす。
床に仰向けに倒れ、苦しそうに呻いている友子。
それを見ていた晴美も、やがてショックのあまりその場に昏倒してしまう。
仏ヶ浦で夜釣りを楽しんでいる明智さんたちの映像を挿んでから、ベッドに寝かされていた晴美が目を覚ます。心配そうに、伊勢が自分を覗き込んでいた。

晴美「奥様は……」
伊勢「死んだよ」
晴美「ええっ?」
伊勢「ナイフが心臓を一突きだ」
晴美「私が、やったのね……」
晴美、何とか立ち上がって浴室へ行き、自分の目で確かめるが、確かに、友子がセーターを真っ赤に塗らして、恨みの形相物凄く、天井を睨んで絶命していた。
ま、ほんとは、最初の傷では死んでおらず、晴美が失神している間に、伊勢がちょうど良い機会だとばかりにトドメを刺したんだけどね。
原作では、伊勢が首を絞めて殺していて、それを晴美も最初から承知している。
ただ、ドラマでは、、伊勢ともあろうものが、そんな危ない橋を渡るだろうかと言う気もして、いささか腑に落ちない。普通に病院や警察に連れて行ってありのままの事情を告げれば、別に罪にも問われなかっただろうし、そのことを口実に、友子と離婚することだって出来ただろう。
まあ、離婚しては、友子の財産が手に入らないと言う思惑も働いたのかな?
それにしても、気の弱い晴美に罪を着せて事件に引っ張り込むと言うのは、やっぱり伊勢らしくない拙い方法だったと思う。
閑話休題、テーブルに座って善後策を話し合っている伊勢と晴美。
最初は、伊勢も、このまま警察に出頭すべきだと言う意見だった。

晴美「ナイフを持っていたのは奥様でしょう? 私を殺す為に」
伊勢「勿論、状況は私がありのままを話す」
うーん、でも、やっぱり、晴美に罪を着せようという伊勢の発想は解せないなぁ。
晴美に惚れていて、しかもこれからいくらでも稼いでくれるであろう、人気アイドルなのだから……。
あるいは、あくまで警察に行こうと言うのは本意ではなく、最初から犯罪を隠蔽するつもりだったにしては、この後の伊勢の態度が矛盾するんだよね。

晴美も観念して「警察を呼んでください」と伊勢に頼む。
伊勢、いかにも無念そうに、「これでも何もかもおしまいだね、無駄だったね、このマンションも……君にすべてをかけた私も、君の人生もおしまいだ……兄さんがっかりされるだろう」
晴美「お兄さん!」
兄のことを言われて、初めて晴美が取り乱し、顔を伏せ、堰を切ったように泣き始める。
兄思いの晴美にとっては、自分のことより、兄に迷惑をかけることのほうが遥かに辛いことなのだ。
晴美の慟哭を聞きながら、同じところを行ったり来たりしていた伊勢、ふと、何か思いついた顔になると、友子が持っていたハンドバックを調べ、東京から伊東までの電車の切符を発見する。

伊勢「うまくいくかもしれない……」
晴美「?」

伊勢「これは伊東行きの切符だ。うちのお手伝いは友子が伊東に行ったつもりでいる。ホテルは私が予約したし、友子がここに来たことは誰も知らないんだ。幸い死体は風呂場だ。血を洗い流してしまえば証拠は残らない。うまくすれば、友子がここで死んだことは隠せる」
晴美「どういうこと?」
伊勢、熱海と伊東の間に仏ヶ浦と言う自殺の名所があって、友子がそこから飛び降り自殺したように偽装するのだと説明する。
それには、晴美が友子に成りすまして宿に行き、仏ヶ浦に遺留品を残しておく必要があった。

伊勢「死体は私が別のところに隠す。仏ヶ浦から飛び込んだ死体はなかなか上がらないんだ」
晴美「そんな恐ろしいこと……私には出来ません!」
泣き濡れた顔をふるわせて叫ぶ晴美だったが、

伊勢「沖晴美は人々のアイドルなんだ。それが一転して、明日から君は人殺しと言われるんだ。そんなこと耐えられるか?」
晴美「……」

伊勢「それに、やっと芽の出た君の兄さんの一生まで台無しにしてしまうんだ。だってそうだろう? どんなに将棋が強くたって、人殺しの兄貴を世間が相手にするものかい?」
晴美「うっ、お兄さん……お兄さん!」
伊勢の脅迫的な言辞、とりわけ兄のことを言われて、新たな悲しみが清い涙となって溢れ出てくる。

晴美「うっうっうう」
伊勢「しくじって元々だ、こうなれば勿論私も一心同体、もしもバレた時には、全部罪を被ってあげる」
ほんとは自分が殺したのに、白々しくそんなことを言う伊勢。

伊勢「君の為に、兄さんの為にやってみないか」
晴美「お任せします」
結局、晴美は自分の為と言うより、兄の為に伊勢の隠蔽工作に加担することになる。
その2へ続く。
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