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「男はつらいよ」レビュー 第15作「寅次郎相合い傘」(1975年)



●作品鑑賞

 第15作「寅次郎相合い傘」は、1975年8月2日公開、併映は「ザ・ドリフターズのカモだ!御用だ!!」(見てみたい……嘘だけど)で、観客動員200万。

 ご存知、浅丘ルリ子演じるリリーが再登場した作品である。

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 OPの「男はつらいよ」一座による夢物語は、海賊モノ。
 このパートにだけ、上条恒彦と米倉斉加年が顔を出しているが、クレジットには名前のない、カメオ出演である。

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 奴隷女のさくらさんを、吉田義夫の悪人が手篭めにしようとするが、寅次郎扮するキャプテン・キッドだかなんだかが現れて、救い出す。で、二人が兄妹だと分かると言う黄金パターンが展開する。

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 さすがにいい加減、娘役がきつくなってきた倍賞さん。でも綺麗だ。

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 寅次郎、目が覚めて、場末の映画館から出てくる。どうやら「シンドバッド 黄金の航海」を見ていたようだ。関係ないけど、「黄金の航海」もとても面白い映画なので見るように。

 さて本編。

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 未だにミニスカ、ハイソックスを貫く倍賞さんが前屈みになると、危険だ! ……あ、お客さん帰らないで!

 エリザベス女王の来日の様子がテレビに映し出されたりする。こういう演出は珍しい。

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 と、不意にリリーがとらやに顔を出す。寅にあいたかったらしいが、生憎、寅は旅の空。

 また、前回の最後に毒蝮三太夫と結婚したことになっていたが、リリーの台詞で、既に別れてしまったことが分かる。まあ、最初に出たときはそれ一本のつもりで作ってるんだから、そういう幸せな結末になったのだろうが、再びリリーが登場することになり、その旦那は強制的にいなくなってしまう。哀れ。もっとも、吉永小百合の夫の場合は、離婚どころか、病気で殺されてしまっていたので、まだマシであろう。

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 その寅は、北海道で、蒸発中のエリートサラリーマン(船越英二)とひょんなことから知り合い、一緒に旅をしていた。

 今の船越英一郎とほぼ同じくらいの年齢か。

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 ほどなく、二人が屋台でラーメン食ってると、リリーがそこに現れる。

 一応、突っ込んでおく。そんな偶然ねえよ。

 中盤は、この奇妙な三人旅の様子が、ロードムービー的に描かれる。これがファンタジックだけど、とても面白い。

 この中で、三人が同じ部屋で布団を並べて寝ると言う、現実だったら3ピ……いや、ありえないシーンがあったりする。二人きりではないとは言え、寅がマドンナと同じ部屋で一夜を過ごすと言うのは、ここだけ……かな? 25作目でも、リリーとは別の部屋で寝ていたと言ってるしね。ま、48作目ではほぼ夫婦みたいな感じになってたか。

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 金に困り、船越英二がボールペンだか万年筆だかを売って、そこに夫婦に扮した寅とリリーがサクラとして現れるところなんかも面白い。

 映像的にも、北海道の大自然がとても美しいのです。

 しかし、船越英二が昔の恋人(岩崎加根子)に会いに行ったあと、些細なことでリリーと寅が喧嘩を始め、楽しい旅も終わりを告げる。

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 船越英二も結局家に帰る。そう言えば、その娘役で早乙女愛が出ているのだ。出番はちょっとしかないが。

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 失意の寅がとらやに帰ってくる。リリーと旅先で会ってひどい別れ方をしたなどとしんみり話していると、志村後ろ後ろ! 状態になる。

 だからそんな偶然ねえよパカヤロウ。

 ま、とにかく寅とすぐ仲直りして、とらやのみんなとも和気藹々のリリーであった。

 この作品は、名場面の宝庫で、まず、「寅のアリア」の代表作とも言えるこちら。

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 リリーが歌っているキャバレー「ゴールデン歌麿」と言うところへ彼女を連れて行ったあとで、その店があまりにみすぼらしいのに驚き、自分に金があればリリーにもっと大きなところで歌わせてやるのにと慨嘆する寅。で、その時の様子を想像して語る。

 寅「場内がサーッと暗くなるなぁ。『皆様、大変長らくはお待たせをばいたしました。ただいまより、歌姫、リリー松岡ショーの開幕ではあります!』、静かに緞帳が上がるよ。スポットライトがパァーッと当たってねえ、そこにまっちろけなドレスを着たリリーがスッと立ってる。こりゃあ良い女だよぉ、あれはそれでなくったって様子がいいしさ……」

 この寅の語りをラッシュ(試写だっけ?)で見て、浅丘ルリ子が感動して泣いたと言うのは有名な逸話である。

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 それと、こちらはあまり寅にとって名誉ではないが、船越英二がお礼に持ってきたメロンを巡る騒動。おばちゃんが寅のことをうっかりして切り分けて食べているところへ、寅がやってきて、自分の分がないと子供のように駄々をこねる。情けなくて泣きそうになるさくらたち。

 見兼ねたリリーが、胸のすくようなタンカを切る。

 リリー「冗談じゃないってんだよ。俺のことを勘定に入れなかったの、心がつめてえだの、そんな文句を言える筋合いかい? ろくでなしのあんたをこんな大事にしてくれるうちがどこにあるかってんだい! あたし羨ましくて涙が出ちゃうよ。本来ならね、いつもご心配をおかけしております。どうぞメロンをお召し上がりください。あたしは要りませんからあたしの分もどうぞと、こう言うのがほんとだろう? 甘ったれるのもいい加減にしやがれってんだ!」

 凹まされた寅は、捨て台詞を吐いて飛び出す。言い過ぎたと反省するリリーだが、とらやのみんなは「良く言ってくれた」「一度そういうことを言ってみたかった」などと、大絶賛の嵐。

 その後、雨の降る夜、駅まで寅がリリーを迎えに行き、相合傘で帰ると言う麗しいシーンで仲直りする。

 最後、博とさくらが相談して、リリーに寅と結婚する気はないかと聞くと、リリーはなんとOKする。だが、肝心の寅はそういう話を切り出されると、照れてしまい、冗談はよせと一笑に付し、この話はパーになる。

 今回はだから、ある意味、寅のほうからふったことになるのか。

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 最後は、北海道で知り合ったらしいニセ金髪キャバレー軍団の一行と再会し、彼らと同行すると言うもの。こういう場合、大抵、途中で出てきたキャラ(船越英二とか)と再会することが多いが、今回はやや苦し紛れにこういう形で幕となる。

●評価

 文句なしの傑作。名シーン、名台詞の宝庫でもある。リリーは、この後も25、48と登場するが、この15で終わりにした方が良かったかな。

 ★★★★★(5点/5点中)


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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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