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「青春オーロラスピン スワンの涙」 第8話「鬼コーチとの絆」

 第8話「鬼コーチとの絆」(1989年5月29日)

 冒頭、翔子と遠藤コーチの指導の下、水泳の特訓に励んでいるミカ。

 シンクロに関しては全く未経験のミカは、まだ基礎的な水泳能力を1からみっちり叩き込まれている段階なのだ。

 それでも、かつてはプールに入ることすら、いや、近付くことすら出来なかった水恐怖症のミカにすれば、見違えるような進歩である。

 
 翔子「顔うごかさない、ほら、もっと肘上げて!」

 が、相変わらず翔子はプールに入るどころか、水着すら着ようとせず、プールサイドから怒鳴りまくるだけで、具体的な模範は遠藤コーチに一任していた。

 別に泳がなくてもいいけど、せめて水着姿にはなって欲しかったところだ。

 別に五十嵐めぐみさんの水着姿を見たいと言う訳ではなく、コーチとしての熱意を体で示して欲しいのだ。

 
 翔子「ミカ、気合が入ってないわ。余計なことばかり考えてぶったるんだ練習して何になるの?」

 翔子の怒声を聞きながらプールサイドに上がろうとしてぷるるんと浮かんだミカのお尻がキュートなのです。

 それにしても、「ぶったるんだ」って……。

 
 ミカ「私は出来る限りのことは全部やっています。余計なこと考えてる余裕なんてないわー」
 翔子「指先がぜんぶ死んでいたわ」
 ミカ「まだうまくいかないだけです」

 プールの縁につかまって言い返すが、

 翔子「うまいとか、うまくないとかを言ってるんじゃないの! シンクロは命の煌きなのよ! 命の輝きなのっ! この指先の一本一本にあなたの命を煌かせなさい!

 ミカ(また始まった……)

 さすがにこうしょっちゅう「命の煌き」「命の煌き」言われてたら、ミカもうんざりするよね。

 
 翔子「ラスト1本」
 ミカ「ええーっ?」

 不満そうに翔子を見上げるミカの目が、「おめえもたまには水着着てプールに入れや!」と語っていた。

 でも、実際、何があろうとプールに入ろうとしない翔子に、どんな立派なコトを言われても、いまひとつ胸に響かないのは確かである。遠藤コーチに言われりゃまだしも……。

 ミカ「まだやるんですかー」
 翔子「いい加減な練習をしていたら、何時間でも続けるわ!」

 ミカ、腹立ちを抑えつつ、疲れ切った心と体に鞭打って反対側に向かって再び泳ぎ出す。

 授業を終えて、仲良しの千絵と並んで学校から出てくるミカ。

 
 ミカ「今日は土曜日」
 千絵「明日は日曜日、でも休めない私たち……ちょっぴり悔しい気がするわね」

 シンクロに打ち込んでいる二人には、普通の生徒と違って、土曜だろうと日曜だろうと、のんびり羽を伸ばす時間など許されていないのだ。

 千絵「ミカさんは良いわね、ボーイフレンドかちゃーんといるもの!」

 幼少からシンクロ漬けの毎日で、恋をしている暇もないとぼやく千絵、ミカを羨ましがる。

 
 千絵「心の支えになるわね」
 ミカ「さあ、どうかしら」
 千絵「ねえねえ、色んなこと話すの?」
 ミカ「そんな暇ある訳ないわよ。今朝だってちょっと気を抜いたら余計なこと考えるなって鬼コーチに叱られたくらいなのよ!」
 千絵「シンクロやってたらしょうがないか」
 ミカ「そうよ、私たちは男のいない世界を選んだんだもの」
 千絵「悔しいから、早足で帰るわ」

 ミカ「え………なんで?」

 と言うのは嘘で、ミカも「オッケイ!」と即答しているのだが、ほんと、なんでだろう?

 しかし、このドラマがいまひとつ面白くないのは、そういう題材だからと言うのもあるが、恋愛要素をほとんど切り捨てているせいだろう。

 ミカと健吾の関係も、ほんとにただの友達以上には絶対進まないし、この後のシーンで、稔と冴子が昔付き合っていたことが分かるのだが、それも別にストーリーには何の関係もないまま終わってしまうし。

 
 二人は、公園を横切って帰っていたが、

 
 そこには不自然にたくさんの人たちがいて、これみよがしにバレーやバドミントンに興じていた。

 それを見ていた二人は、

 
 ミカ(明らかに……)
 千絵(……仕込みだわ)

 ……嘘です。

 もっとも、仕込みなのは事実だけど。

 仕方ないと言ったそばから、楽しそうに遊んでいる一般人を見て溜息をつきそうな顔になる二人。

 無言で彼らの横を通り過ぎてから、

 
 なんとはなしに互いの顔を見詰め、

 
 思わず笑い出してしまうのだった。

 
 ミカ「それじゃあ2時にプールでね」
 千絵「ミカ、遅刻は厳禁よ。1分1秒遅れても……」
 ミカ「はい、鬼コーチ、わかりました。あ、千絵さん、あなたはもう死んでますよ」
 千絵「ひでぶっ!」

 じゃなくて、

 
 ミカ「はい、鬼コーチ、わかりました。あ、千絵さん、指先が死んでますよ」
 千絵「へっ?」

 ミカに言われて、きょとんとする千絵。

 千絵の小林彩子さんも、宮沢りえさんほどではないが、なかなか親しみやすい顔立ちで、可愛いのである。

 
 ミカ「その指先一本一本にあなたの命を煌かせなさい!」

 翔子の真似をしながら、翔子に言われたことをそのまま千絵に語り掛けるミカ。

 この顔、可愛い……。

 千絵「はいっ! ありがとうございます、コーチ!」

 千絵も、調子を合わせて元気良く答える。

 たぶん、ミカだけでなく、千絵たちもしょっちゅう、翔子の「命の煌き」指導法の犠牲になっているのだろう。

 二人は路上で手を振って別れる。ミカと違って実家から通っている千絵は、一旦帰宅して改めてスイミングクラブに行くのだろう。

 その後、ミカが花屋で忙しく働いているふりをしている健吾を見掛け、少し言葉を交わすシーンがあるが、特にどうでもいいのでカット。

 健吾「おいっっっ!」

 だが、健吾と別れた後、今度はミカの目の前で、バイクに乗った稔が、車道に飛び出した子供をよけようとして歩道へ乗り上げ、たまたまそこにいたサラリーマン風の男性とぶつかってしまうと言う事件が起きる。

 
 ミカ「稔さん、大丈夫?」
 稔「人を轢いちまった……」

 
 稔「すいません! すいません!」

 あの竹内力とは思えないヘタレぶりをさらけ出して、倒れている男性に土下座して謝罪する稔。

 真の竹内力なら眉毛ひとつ動かさず、「おう、兄ちゃん、大丈夫か? これからはあんじょう前見て歩きや」と言ってさっさと走り去るところである。

 ミカも放っておくわけに行かず、急いで電話ボックスを探しに走り出す。

 ちなみに、そもそもの原因を作った子供は、関わりになるのを恐れた母親に連れらされてさっさとその場から緊急離脱してました。ザッツ・日本人!

 
 ところが、その一部始終を、クラブに行く途中の冴子と加奈子が目撃していたことから、話がややこしくなる。

 男性はピーポー車で病院へ運ばれ、稔とミカも病院へ行く。

 幸い、男性は軽傷で済んだが、ふと警官の姿を見た稔は、急に怖気付いてその場から逃げ出してしまうのだった。

 
 典子「えーっ、ミカが藤沢君と?」

 ダンス用のレオタードの胸元から、胸肉をはみ出させながら目を丸くしている典子。

 
 冴子「そうなのよ、ミカはなかなかよ、仙台から男呼んでおきながら、藤沢君にまでちょっかいかけてんのよ」
 
 スイミングクラブに来た冴子、ミカが遅れているのを良いことに、あることないこと、嬉しそうにミカの悪い噂を仲間に広めている。

 明子「藤沢さんて、良く、冴子さんとデートしてた人ですよね」
 冴子「余計なこと言わなくていいの」

 明子の指摘に、ムッとする冴子。

 実際、この後のストーリーにはまったく関係ないのだから、文字通り「余計なこと」であった。

 やがてコーチ陣が姿を見せる。

 
 涼子「葉月さんは藤沢君のオートバイに乗って人身事故を起こしたそうです」
 翔子「なんですって!」
 草薙「涼子さん、それ本当なの?」
 冴子「私と加奈子が現場を目撃しました。藤沢さんがミカを後ろに乗せて凄いスピードで走ってきて……」

 冴子、そんな出鱈目をいけしゃあしゃあと言って、関係のないミカを事件に巻き込もうとする。

 なんという性根の腐った女であろうか……でも、めっちゃ可愛い!

 あと、冴子のレオタードの上から乳首がうっすら見るのが嬉しいのである!

 
 冴子「ね、加奈、そうよね?」
 加奈子「えっ? だけど、ミカさんは……」
 冴子「人身事故を起こしたんだもの、クラブに顔出せる訳ないわよ」

 冴子に念を押されて戸惑う加奈子、つい本当のことを言いそびれてしまう。

 
 舌なめずりでもしそうな顔で、涼子が前に出て、即座にミカを除名してくれと翔子に申し出る。

 無論、この段階でそんな決定が下せる筈もなく、翔子と順子は、事実関係を確認する為、事務室へ取って返す。

 それにしても、で、でけえ……(なにが?)

 もっとも、仮にミカがバイクの尻に乗っていたとしても、ミカには責任のないことじゃないのかなぁ?

 
 涼子「東関東地区大会が一ヵ月後に迫ってるのよ」

 それはさておき、涼子の、シャツの上からでもありありと分かる重量感たっぷりの乳もだが、左端の藤木コーチのハイレグレオタード姿もかなりそそられるものがあるのです。

 
 涼子「これ以上、葉月さんに練習の邪魔をされるのはもうたくさんだわ。藤木先生、練習をお願いします」
 藤木「じゃあ始めるわよ」

 涼子が横を向いたので、その横パイが確認できて嬉しいのである。

 ここは、涼子だけじゃなく、女の子がみんなレオタード姿なので、一瞬たりとも目が離せないお宝シーンとなっております。

 
 ツインテールが可愛い千絵、ふと、加奈子が妙に浮かない顔をしているのに気付く。

 涼子派だが、冴子や典子ほど性格の悪くない加奈子は、冴子の嘘を否定できなかった自分を責めているのだ。

 
 一方、ミカは病院の事務室で、警官から事情聴取されていた。当然、ミカはありのままを話す。

 警官「仲間を庇ってるんじゃないだろうね」
 ミカ「庇ってるんじゃありません、事実を言ってるんです」
 警官「とにかく、被害者をほっぽらかして逃げ出すなんて最低だ」

 ポリスマンは、稔の行動を激しく非難するが、轢き逃げした訳ではなく、ちゃんと救急車呼んで一旦は病院まで来てるんだから、厳しすぎる意見のように聞こえる。

 
 ミカ「……」
 警官「君はもう帰っていいよ。もう一度書に来てもらって事情聴取することになるからね」

 ミカも不服そうに警官を見遣るが、口に出しては何も言わなかった。

 ミカ、とりあえず病院を出てスイミングクラブに向かっていたが、途中、駐車場に隠れていた稔に手を引っ張られる。

 
 ミカ「稔さん! 逃げ出したりしちゃ駄目じゃない。稔さん、警察に行って!」
 稔「勿論行くよ、行くけどその前に、しばらく俺に付き合ってくれ!」

 
 ミカ「でも、私、練習が……」
 稔「ひとりじゃいられないんだ! ミカ、俺のそばについててくれ!」

 これが竹内力かと目を疑うようなありったけの弱音を、泣きそうな顔で吐きまくる稔。

 真の竹内力なら「おう、分かった。ま、その前にホテルでちょっと休んで行こか」と言うところである。

 
 ミカ「……」

 ミカも少し迷っていたが、結局稔の願いを聞き入れることにする。

 
 その頃、スイミングクラブでは、ダンスレッスンが終わったところだった。

 景子「除名なんてミカさん、かわいそうだわ!」

 千絵を除けば唯一ミカに好意的な景子が、思わず同情の声を上げる。

 それはともかく、千絵の股間が気になる。

 
 千絵「加奈ちゃん?」
 加奈子「違うの、本当は違うのよ!」

 様子のおかしい加奈子に千絵が声を掛けると、遂に我慢できなくなって加奈子が叫ぶ。

 
 驚いて顔を見合わせる千絵と景子。まだ初々しい顔立ちの桜井幸子さんが可愛いのである!

 草薙オーナーが、ミカを探しに出掛けた翔子と電話で連絡を取っていると、その三人がおずおずと事務室へ入ってくる。

 
 順子「どうしたの?」
 加奈子「ミカさんのことなんですけど、ミカさんはオートバイには乗っていなかったんです!」
 千絵「ミカさんは偶然、事故現場に居合わせただけなんです」
 順子「本当なのね」
 景子「先生、ミカさんを除名にしないで下さい」
 草薙「勿論、除名なんかにしないわよ」

 順子の言葉に、三人娘の顔がパッと明るくなる。

 それにしても、当時としてはめちゃくちゃ女の子のレベルが高いよね。

 それにしても、この後、景子と加奈子が、90年代を代表するアイドル、女優として活躍するとは誰が想像し得ただろう?

 意外にも、この中では千絵が一番パッとしなかったことになる……。ファンとして悔しいです!

 そのミカは、自分の悪評が立ったり消えたりしていることなど全然知らないまま、稔に付き合ってあちこちを歩き回っていた。

 
 少し前を歩く稔の背中を、憂い顔で見遣るミカが可愛いのである!

 可愛いからっていちいち貼ってたら、いつまで経ってもレビューが終わらないのである!

 稔、付き合ってくれと言っても、別に行く当てがある訳でもなく、金もバイクもないので、とにかくぶらぶら街を歩くしかないのだった。

 
 再び公園を横切っていると、かなり不自然な高齢カップルが、遊具の上でぎこちなくじゃれていた。

 ミカ(仕込みね……)
 稔(仕込みだな)

 
 表通りの雑踏を互いに無言で歩いた後、二人は何処かの公園のベンチに腰掛ける。

 稔「人をはねるってのは、たまらねえよ。その人の体温がもろに全身に感じられて……逃げ出すつもりなんてなかった。だけど、あの人が助かったと分かった瞬間、急に怖くなった。人身をやったら、俺はもう泳げなくなると思ってさ。もう今度の大会には出られねえよ」

 ミカに、自分の率直な思いをぶちまける稔。

 しかし、助かったと分かった瞬間、怖くなるって、なかなか珍しい感性してるよね。

 
 稔「俺は小っちゃい時から勉強は駄目だったけど、スポーツは何でも得意だった。中でも水泳は得意中の得意でさ。本気でオリンピックを目指してやってきたんだ。その俺が水泳できなくなったら……俺なんて何の価値もねえよ」

 稔の言葉を聞いて、ミカは反射的にバレエをしていてアキレス腱を切った時のつらい記憶を思い起こす。

 
 ミカ「稔さんの気持ち分かるわ。私もアキレス腱を切ってもうバレエが出来ないと思った時、生きてくのがつらくて、死んでしまったほうがマシだって思ったの……」

 
 ミカ「でも、稔さんは飛び出してきた子供を救おうと思ってあんなことになったんだもの。訳を話せば……」
 稔「訳なんて世間には通用しないよ。このまま何処かにずらかりたい気分だ」
 ミカ「駄目よ、このまま逃げ出したら本当に水泳が出来なくなるわ。稔さんから水泳を取ったら何もなくなるじゃない!
 稔「言ってくれるぜ」
 
 いや、おめえ、今、自分で何の価値もねえって言っただろうが!

 ま、自分で認めていることだからって、それを他人に言われるとムカッと来るのは理の当然なのです。

 
 ミカ「一回や二回、大会に出られなくったっていいじゃない。一からやり直すのよ」
 稔「……」
 ミカ「稔さん!」
 稔「心配するなよ、俺は逃げ出したりしないよ。ミカに話したらすっきりした。今から警察に出頭するよ」
 ミカ「私も一緒に行くわ」

 稔、あくまで気持ちの整理がつくまで時間が欲しかったのだろう。額に手を当てて考え込んでいたが、やがて決然とそう宣言して、ミカをホッとさせる。

 稔「いいよ、森谷コーチがカンカンになってるぞ」
 ミカ「うん、いいの」

 
 稔「俺って自分では強いと思ってたけど、からきし意気地がないんで参ったよ。肝心な時に逃げ出さない男にならないとな」
 ミカ「稔、気合が入っとらんぞ! 水泳は命の煌きなの、命の輝きなのよ! 君の瞳に命を煌かせなさい!」

 ミカ、再び翔子の真似をして、おどけた様子で稔を励ます。

 
 稔「なに?」
 ミカ「森谷コーチだったら、きっとこう言うわね」
 稔「あはっ、参ったなぁ」

 最後は、顔を見合わせながら白い歯を出して笑う、青春真っ只中の二人であった。

 
 それにしても、可愛い!

 
 冴子「ひとりだけ良い子ぶって何よ! オーナーに呼ばれて散々油を絞られたのよ!」
 加奈子「嘘なんてすぐ分かることだし、私たちの嘘でミカさんが除名になるなんて私、イヤだもの!」

 一方、クラブのロッカーでは、加奈子の「裏切り」によって嘘がバレて、草薙オーナーから「めっ」された冴子が、音高く加奈子の頬を平手打ちしていた。

 
 冴子「クラブの為に、ミカなんか除名になった方がいいのよ。私はみんなの為を思ってやったんじゃないの。それをひとりだけ良い子ぶって何よ!」

 反省の色など一切なく、自分の嘘を正当化しようとする冴子の言い草に、後ろで聞いているメンバーも、さすがに呆れ顔になる。

 
 その後、冴子と加奈子が取っ組み合いの喧嘩を始め、それを千絵たちが止めて、レオタードと水着姿の女の子たちがくんずほぐれつすると言う、夢のような光景が繰り広げられる。

 生意気な口を利きながら、実はメンバーの中で冴子が一番ちっちゃいのが萌えるのである。

 
 涼子「冴子さん、いい加減にしなさい。私もあなたの嘘を信じて大恥かいたわ。家に帰って母になんて弁解したらいいと思うの? あなたとデュエットを組むことも考え直さないといけないわね」
 冴子「涼子さん!」

 ここで女王的存在の涼子がぴしゃりと争いに終止符を打ち、冴子に対しても最大限の厳しい言葉を投げてから出て行く。

 無論、今回の件については全面的に冴子が悪いのだが、元々、ミカを追い出したがっている涼子の歓心を買おうと思ってついた嘘なのに、その涼子からそんな厳しい言葉を向けられた冴子が、内心穏やかでなかったことは想像に難くない。

 しかし、冴子が完全に涼子に反旗を翻すのは、まだ先の話である。

 さて、なにしろケータイもない時代なので、翔子は夜になってもミカと連絡がとれず、窮余の一策として健吾の働いている花屋にやってくる。

 
 健吾「森谷先生」
 翔子「ミカから何か連絡なかった?」

 以前、受付ですれ違った時は見事なくらい綺麗にシカトしていたのに、自分にとって利用価値があるときだけ、翔子にとって健吾は人間として扱ってもらえるのである。

 だから、

 健吾「いや、なにも……」

 と言う、健吾のがっかりな答えを聞いた途端、健吾は翔子にとって何の価値もない存在に成り下がる。

 
 健吾「ミカちゃんに何かあったんですか」
 翔子「なんでもないわ……ちょっとしたトラブルに巻き込まれて」

 健吾の反問に、翔子が虚ろな目で面倒臭そうに応対しているのがお分かり頂けると思う。

 その目は、「ちゃんと返事してやるだけありがたいと思いなさい!」と言いたげであった。

 店から順子に電話して、漸くミカが、これから稔と一緒に警察に出頭するつもりだと知り、ミカは健吾には具体的な説明は一切せずに店を飛び出す。

 二人が警察署の前に立ったところに、ちょうど翔子が来合わせる。

 
 稔「ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
 警官「バカヤロウ! 人を轢いてて逃げ出す奴があるか!」

 そう怒鳴って稔の頭を殴る警官。だから、少なくとも轢き逃げはしてないんだってば……。

 ミカ「やめてください、逃げ出したんじゃありません。稔さんには稔さんの悩みがあって、心を整理する時間が必要だったんです!」

 国家権力に対しても敢然と異議を唱えるミカが、とてもカッコイイのです。

 とにかく、建物の中へ入っていく稔を見送っていたミカの肩を、翔子が優しく叩く。

 
 ミカ「藤沢さんはどうなるんですか」
 翔子「飛び出してきた女の子を避けようとした事故だし、幸い相手の方は軽傷で、示談にしてくれると言ってるわ。でも逃げ出したりするから、今度の大会は出場停止と言うことになるわね」

 高層ビルをバックに、話しながら陸橋の上を歩いている師弟。

 
 ミカ「そうですか」
 翔子「どうしてすぐ私に連絡しなかったの? 事故を起こしたのは藤沢君なのよ、現場に居合わせたミカが事情を説明するのは分かるけど、その後まで行動を共にする必要はなかった筈よ」

 
 ミカ「でもぉ」
 翔子「ミカがそばについていなくても藤沢君は自分で決断した筈だわ。ミカは余計なお節介をして貴重な練習時間をロスしたのよ」
 ミカ「私は彼のそばにいてあげたかったんです。稔さん、苦しんでたし、とっても孤独でした。事故を起こしてもう水泳が出来なくなると思って……稔さん、自分でどうして良いか分からなかったんです。そういうのって私、良く分かるし、私もそうだったし、放っておくことなんて出来なかった、つらいもの、ひとりでどうしたらいいか分からない時って、つらいもの……」

 ミカの切々とした心情を聞いていた翔子、少し潤んだ目で、「こんちくしょう、引っぱたいてやりたい」と、江戸っ子みたいな口調でつぶやく。

 
 ミカも向き直って、「自分を思う存分引っ叩いてくれ」とお願いする。

 だが、翔子の怒りはミカにではなく、自分自身に向けられたものだった。

 
 翔子「引っ叩いてやりたいのはミカに対してではないわ。私自身に対してよ……」
 ミカ「えっ」
 翔子「ミカに、シンクロは命の煌きだなんて言っといて私、恥ずかしいわ」

 第8話にして初めて聞く翔子の謙虚な台詞に、ミカも目を丸くする。

 
 翔子「ひとりでどうしていいか分からない時って、つらいものね。そのつらさを分かってあげられる感性こそ、命の煌きなんだわ。ミカに教えられたわね」
 ミカ「そんな、私は……」
 翔子「まだ練習する時間はたっぷりあるわね。ミカ、走ろう!」
 ミカ「練習するんですかぁ?」
 翔子「馬鹿、甘ったれるんじゃない。1分1秒だって無駄に出来ないのよ」

 そうやってダラダラ話して時間を使っておいて、「1分1秒だって無駄に出来ない」もクソもないと思うのだが、翔子はそう言うとさっさと走り出す。

 翔子、シンクロの表現力につながるミカの思いやりの心を知って、いたく上機嫌だったが、ミカが自分の物真似をネタにしているのを見たら、陸橋の上から突き落としてただろうな……。

 
 翔子と一緒に全力疾走するミカ。

 その巨乳が、動きに合わせてゆさゆさと揺れているのが制服越しにもしっかり確認できるのであった。
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コメント

今と違って

竹内力さんは、今と違って真逆のヘタレ青年のようですね😅何処で道を違えてしまったのでしょうか?(そんなん知らんがな😓)

更新ありがとうございます

特にドラマは長い台詞が多くて、書き出すのが本当に大変だと思いますが
いつもありがとうございます。

今回は特にミカと稔とのですが、こうした会話の掛け合いの巧さはさすが江連さんですね。

冴子役の越智静香さんはキュートですね!

どうした、爽やか稔と鬼コーチ

更新お疲れ様です。

この回は爽やか稔の出番が多かったのですが、爽やか稔がひき逃げをやってしまった。
本来なら免許取り消し?救護義務違反だったかな。そして捕まる可能性も。一応、ピーポー車(笑)で病院に行ってるのと示談になった(させた(笑))ので、大丈夫そうですね。
そして、真の稔ならば
> 「おう、兄ちゃん、大丈夫か? これからはあんじょう前見て歩きや」と言ってさっさと走り去るところである。
何事もなかったかのように立ち去り、被害者は泣き寝入りでしょうね(笑)

加奈子、よくやった、冴子達との対立が鮮明化することがわかっているにもかかわらず、真実を話してくれたのは覚悟がいったであろう。
今後、加奈子が、ミカ派とはいかなくても、中立的になってくれそうな気配ですね。

そして、自分の意志を絶対曲げそうにない翔子が謙虚な姿勢って、今日は雨が降るぞ。
ただ、ツッコミをいれるとすれば、映像を見てないのでわからないのですが、爽やか稔が乗っているスポーツタイプのバイクは、普通に走って転倒しただけでも骨折、ケガをするわけで。

>冴子「私と加奈子が現場を目撃しました。藤沢さんがミカを後ろに乗せて凄いスピードで走ってきて……」
冴子の話だけだと、後部に乗ったとされるミカは、人身事故の際もその身が勢いよく飛ばされるわけで、もうアキレス腱どころの話ではなく、ミカもピーポー車に。
ミカを第一主義と考える翔子は、爽やか稔や被害者よりもミカを真っ先に心配し、心中穏やかではなかったと思うので、ミカの無事な様子と爽やか稔を心配している姿に心底胸をなでおろしたことと推測できます。(翔子「良かった~、私の命の煌めき」(笑))確かに今日のように携帯があれば、翔子は間違いなく健吾のとこへ行ってなかったでしょう(笑)
考えてみると、実際、今回はミカは爽やか稔のバイクに乗ってなかったのですが、ミカを怪我させた場合は、どうなるのかが興味深い。
翔子パワー対真の稔、周辺の建物が崩壊しそうですね(笑)

この回は、冴子の性悪さと自滅が目立った回でしたね。涼子も自分のために嘘をついたのは分かってると思うのですが、今回ばかりは冴子の肩を持つ流れになれませんでしたね。

それにしても、涼子のスタイルのよさは最高でしたなぁ
ついつい長文となってしまいました、失礼しました。

Re: 今と違って

ヘタレと言うか、真面目な好青年ですけどね。

Re: 更新ありがとうございます

> 特にドラマは長い台詞が多くて、書き出すのが本当に大変だと思いますが
> いつもありがとうございます。

いえ、こっちも長いのに読んで頂けてありがたいことです。

> 冴子役の越智静香さんはキュートですね!

ちっちゃくてイジワルなところがたまりません。

Re: どうした、爽やか稔と鬼コーチ

> 更新お疲れ様です。

ありがとうございます。

> 本来なら免許取り消し?救護義務違反だったかな。そして捕まる可能性も。一応、ピーポー車(笑)で病院に行ってるのと示談になった(させた(笑))ので、大丈夫そうですね。

また稔が中途半端なタイミングで逃げるから、見てるほうも混乱しますね。

> 加奈子、よくやった、冴子達との対立が鮮明化することがわかっているにもかかわらず、真実を話してくれたのは覚悟がいったであろう。

この前まで一緒になってミカをいじめてたので、若干、違和感はありますけどね。

> ミカを第一主義と考える翔子は、爽やか稔や被害者よりもミカを真っ先に心配し、心中穏やかではなかったと思うので、ミカの無事な様子と爽やか稔を心配している姿に心底胸をなでおろしたことと推測できます。(翔子「良かった~、私の命の煌めき」(笑))

深い洞察ですね。でも、その割りに、翔子はそんなに焦ってるようには見えなかったので、例によって超人的洞察力で冴子が嘘をついているのだと見抜いていたのかも。

> 考えてみると、実際、今回はミカは爽やか稔のバイクに乗ってなかったのですが、ミカを怪我させた場合は、どうなるのかが興味深い。

いや、翔子のことだから、ミカがダメになったと知ったら、ミカのことはさっさと忘れて次のイケニエを探しに行くと思います。

実際、後のことですが、翔子が、過去に何人もの有望選手を潰していることが分かるのです。

> ついつい長文となってしまいました、失礼しました。

いえ、読み応えのあるコメントでした。

竹内力さん演じる稔君は決してヘタレなんかではなく純粋で爽やかで明るい好青年ですよ!
こんな人がいたら間違いなく惚れます!

Re: タイトルなし

> 竹内力さん演じる稔君は決してヘタレなんかではなく純粋で爽やかで明るい好青年ですよ!

そうですよね。ヘタレと言うのは、アホの管理人がギャグで書いてるだけなので気にしないでください。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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