第15話「さらば愛しき花よ」(1987年6月6日)
ある夜、仕事を終えたモモコが光戦隊本部ビルの中にある自分の部屋に入るなり、

モモコ「キャロルラブーっ!」
鉢植えの可憐な白い花がつぼみをつけているのを見て、思わず叫ぶ。
ハルカ「どうしたの、大きな声出して?」
部屋の前で別れたハルカが、驚いて飛んでくる。

モモコ「ハルカ、見て、キャロルラブに5年ぶりにつぼみがついたの」
ハルカ「なんだ、そんなこと? びっくりするなぁ、たかが花じゃないの。ほんといい年して少女趣味なんだから、もう」
ハルカが呆れたようにずけずけ言うと、

モモコ「あ、バカにしてる。この花はね、子供のとき、私を助けてくれた大切な花なの」
ハルカ「助けてくれた花?」
モモコ「そ、私が5歳の時に田舎のおばあちゃんの裏山で遊んでいたら、穴におっこっちゃって……その穴、洞窟に繋がっていて出られなくなったのよ。そうしたら……」

花の声「さあ、泣くのはもうおやめ、キャロルラブの輝きを目印に歩くのです」
不思議な声と、キャロルラブの神秘的な輝きで、無事に洞窟から抜け出せたのだと言う。

ハルカ「へー、夢みたいな話ねー」
モモコ「でも夢じゃない、キャロルラブの花の精が私を助けてくれた。私、そう、信じてる」
ハルカ「はぁー、なるほど」
欠伸交じりに気のない返事をするハルカだったが、モモコは気分を害した様子もなく、
モモコ「その時、その花のひとつを持ち出して大切に育てたわ。だって命の恩人だもの……」
モモコによると、キャロルラブは、5年に1度、それも僅か三日間だけしか花を咲かせないのだと言う。
モモコ「それから私、つらい時や、苦しい時、必ずキャロルラブを思い出したわ、5年に1度、花を咲かせる為に頑張るキャロルラブのことを……」
モモコの台詞に合わせて、

黒いカンフースーツを着た男性と戦っているモモコと、キャロルラブの花(胡蝶蘭にしか見えんが……)のイメージがカットバックされる。
で、戦ってる最中にそんなことを考えるものだから、

当然、相手にボコボコにされてしまうモモコであった。
【教訓】 戦闘中に余計なことを考えたら負けます。 
モモコ「キャロルラブはいつも私を励まし、力づけてくれた、これからもずっと大切に育てていくわ」

ハルカ「モモコ、早くつぼみが開くといいね!」
モモコ「あの、あんまり顔近づけないでくれる?」 ハルカ「……」
嘘はさておき、同じ頃、キャロルラブとは正反対の、禍々しい悪魔の花が東京のあちこちにはびこり、人々の命を奪いつつあった。
イガム王子が、ゲルゲドグラーに命じてばら撒いた地獄花が、ツタを伸ばして人間に近付き、鋭い毒針を刺して殺しているのである。
翌日、直ちにタケルたち原因究明に乗り出すが、さすがに植物が人を殺しているとは気付かない。
それでも、ハルカ、モモコ、アキラが、それぞれ現場近くに咲いていた毒々しい赤い花に着目し、それを鉢に移して持ち帰る。

モモコ「ハルカたちも?」

ハルカ「町中、この花だらけでしょう、なんて花か気になったもんでモモコに聞こうと思って」
モモコ「私も初めて見る花なの」
アキラ「なんて言う花だろう?」
三人が首を傾げていると、姿長官とタケル、ケンタが入ってくる。
姿「タケルたちは今夜もパトロールを続けてくれ」
タケル「はい」
姿「……」
姿長官、その得体の知れない花をじっと見詰めてから、
姿「ハルカはコントロールルームで徹夜体制」
ハルカ「はい」
姿「モモコはこの花を調べてみてくれ」

モモコ「はいっ」
……
読者の皆さんもそろそろお気付きのことと思いますが、今回のレビュー方針は、「なるべくたくさんモモコの画像を貼ること」となっております。
ま、それ以外に価値のないエピソードなんだよね、はっきり言って。
じゃあ、なんでハルカが大活躍する12話をスルーしたの? などと余計なことは聞かないように。
さて、タケルたちのパトロールの甲斐もなく、その夜も、大勢の犠牲者が出る。
地獄花の厄介なところは、屋外だけでなく、家の中にいる人間にも、窓を突き破って侵入し、毒ガスを吹き付けて殺してしまう点にあった。
当然、ハルカたちが持ち帰った分も例外ではなく、密かに触手のようなツタを伸ばして、徹夜仕事をしていたハルカやモモコに忍び寄る。
だが、モモコだけは、ちょうどそのタイミングで開花したキャロルラブが、不思議な光を地獄花に浴びせて枯らしてしまったので、被害を受けずに済む。

モモコ「キャロルラブが咲いた!」
モモコ、キャロルラブが咲いているのに気付き、歓声を上げる。
と、同時に、何故かあの花が萎んでいるのを見て、怪訝な顔をする。
一方、ハルカの方は背後からツタに襲われて絶体絶命のピンチに陥る。そこへモモコがキャロルラブの鉢を手に入ってきて巻き添えを食うが、偶然、キャロルラブが地獄花のそばに落ち、またしても不思議な光を自発的に放って、地獄花をあっという間に枯らしてしまい、二人は何とか命を拾う。

姿「どうした?」
モモコ「長官、この花が人間を襲っていたんです」
姿「この花が?」
モモコ「キャロルラブがこの花を……」
姿「白い花は恐らく、この花の天敵としてのエネルギーを持ってるんだ」
姿長官の推測に、
タケル「じゃあ、モモコの白い花から駆除剤を作れば、この花は絶滅できますね」
モモコとキャロルラブとの関係を知らないタケルが、こともなげに提案する。
モモコ(そんな、キャロルラブから……)
ハルカ(……)
それは同時に、せっかく咲いたキャロルラブを潰すことを意味しており、モモコは悲痛な眼差しを可憐な花に向け、ハルカもその心情を思いやってモモコの顔を見遣る。
モモコ、キャロルラブの鉢を抱えると、司令室を飛び出し、自分の部屋へ。

モモコ「キャロルラブ、子供のときから私を助けてくれた。キャロルラブ、みんなを助けてあげて……」
だが、モモコは任務より私情を優先させるほど子供ではないので、キャロルラブを守ろうとしたのではなく、キャロルラブに語りかけ、心の整理をつける時間が欲しかっただけなのである。
と、モモコの言葉に感応するかのように、キャロルラブが白い光に包まれ、涙のような滴を垂らす。
モモコ「ごめんね」
姿長官たちも来て、詳しいことは不明ながら、モモコの花に対する思いの深さを知り、それぞれ厳粛な面持ちになる。
モモコ、目に涙を溜めつつ振り替えると、自ら鉢を差し出し、

モモコ「長官、みんなを助けましょう」
翌日、モモコ以外の4人が地獄花の咲き乱れる公園でフーミンたちと対峙し、地獄花の猛威に苦戦していると、頭上から白い塩のような粉末が降って来る。
粉を浴びた地獄花はたちまち腐ったように萎んで溶けてしまう。

そう、ピンクマスクことモモコが、マスキージャイロで精製されたばかりの駆除剤を散布しているのだ。
……
いや、あの、たったあれだけの株から、そんな大量の駆除剤をどうやって作ったんでしょうか?
その成分を分析して同じ物質を作り出したにしては、いくらなんでも仕事が早過ぎるし。
ピンク「ありがとう、キャロルラブ、さよなら、キャロルラブ……」
胸に手を当て、キャロルラブに感謝と別れの言葉を捧ぐモモコ。
今回は、ラス殺陣に行く前に一旦、カメラがチューブの内部に戻る。
イガム「なにっ、地獄花が枯れている?」
アナグマス「あのキャロルラブのエキスで作られた薬でな」
イガム「キャロルラブ?」
バラバ「何故、キャロルラブが地上の人間どもの手に……?」
意外なことに、チューブの皆さんもキャロルラブのことを知っていた。

ゼーバ「我が帝国の侵略兵器・地獄花を枯らす天敵として根絶やしにした地底花、
キャロルラブがどうして存在するのだ?」
ゼーバも狼狽気味に驚きの声を上げる。

イガム「……」
それを聞いたイガム、
イガム(今の聞いた? ゼーバのおっさんがラブやて……) バラバ(うん、はっきり言うたなぁ) バラバとそっとアイコンタクトを取るのだった。
嘘はさておき、イガムはゼーバの前から退き、地底のイアル姫のところへ行くと、
イガム「イアル、絶滅した筈のキャロルラブが地上にあった。亡くなった王妃たる母上が、かないもせぬ平和を願って育ってキャロルラブが!」

王妃「イガム、イアル、このキャロルラブは、悪魔の地獄花を枯らす平和の花、たとえどんなことがあっても絶滅させてはなりません」
その脳裏に、幼い日の思い出が蘇る。
そう、もともとキャロルラブは、地底世界の正当な王妃であったイガム兄妹の母が育て広めたものだったのだ。
イガム「花で平和を築き、守るなどと甘いことを言って滅びた我が王家……、イアル、何故キャロルラブが地上にあったのだ?」
氷漬けのイアル姫に問いかけるイガム。無論、答えは返ってこない。
ラス殺陣の後、

モモコ「ありがとう、キャロルラブ……」
夜空に、美しいキャロルラブの花を咲かせるモモコであった。
以上、前述したように、モモコの可愛らしさを堪能できる以外は、何のとりえもない凡作であった。
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