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「仮面ライダー」 第84話「危うしライダー!イソギンジャガーの地獄罠」 後編

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 第84話「危うしライダー!イソギンジャガーの地獄罠」(1972年11月4日)
 の続きです。

 続いて、猛の走行シーンとなるが、稀代のビジュアリストの石ノ森先生が、普通に撮る筈もなく、

 
 ライダー目線での映像や、

 
 一体どうやって撮ってるんだろうと思う、地面スレスレからの映像など、いちいち斬新な工夫が見られるのである。

 先生が拘っているのは猛と視聴者の一体感で、

 

 
 猛目線でトンネルの中を走り抜けるところなど、当時のちびっ子たちも、本当に自分が仮面ライダー(猛)になったような気持ちを味わっていたのではないだろうか。

 もっとも、これは、車の中からの映像だと思うけどね。

 で、トンネルを抜けて山の中の未舗装の道を走っていた猛が、遂にラリー車の姿を捉える。

 このままでは追いつけないとバイク上で仮面ライダーに変身するが、荒地に入ったところで、仕掛けられていた様々な罠が襲ってくる。

 イソギンジャガー、最初からライダーをここまでおびき出す為にマキを攫い、しかもわざと目立つラリー車で逃走していたのだ。

 
 ライダーの周囲で、連続的に凄まじい爆発が起きる。

 
 極めつけは、バイクで空へ翔け上がったライダーの背後で、

 
 ひときわ大きな爆発が起こるド迫力ショット。

 

 
 続いて、別のカメラから撮った映像になるが、これが、まるで岩石大首領のような巨人が、腕を伸ばしてライダーを握り潰そうとしているようにも見える。

 CM後、空中で一回転して着地したライダーの前に、

 
 例によって、ゲルショッカーの超優秀なオートバイ部隊があらわれ、横一列になって向かってくる。

 で、ここから、

 
 ライダーの顔のアップと、

 
 徐々に大きくなっていくオートバイ部隊の姿とが、BGMはおろか、エンジン音などのSEも一切ない無音状態でカットバックされると言う、一歩間違えれば放送事故になりかねない、思い切った演出がされているのだ。

 無論、これは、戦いを前にして高まる緊張感を表現しているのだが、漫画家ならではの発想で、本職の監督には絶対思い浮かばないアイディアなのではないだろうか?

 接近したゲルショッカーのバイクがジャンプしたところでやっと音が入り出すが、そこで行われるのが、ライダーの周りをたくさんの残像を作りながら回転するオートバイ部隊と言う、いつもの無意味な攻撃方法だったのがちょっと残念。

 ここも、思い切ってバイクを爆発炎上させるような豪快なアクションが見たかったものだが、まぁ、さすがに予算オーバーかな。

 ライダーは、四方八方からロープを投げ付けられてぐるぐる巻きにされるが、そのままの状態でジャンプして、空中で戦闘員たちを衝突させて、一瞬で全滅させる。

 この倒し方は、後のショッカーライダーとの戦いに生かされているような気もする。

 ここから、海辺の岩場に舞台が変わり、

 
 マキの体を小脇に抱えたイソギンジャガーが、「よっ!」と言う感じに右手を挙げてライダーの前にあらわれる。

 怪人「仮面ライダー、俺はゲルショッカーの改造人間イソギンジャガーだ」
 ライダー「きさまぁ、マキを返せ!」

 会ったこともない女性の名前を呼び捨てにするライダー。

 「イソギンジャガー触手隠れ」と言う技で、変幻自在に姿を消したり顕わしたりするジャガーさん。

 その後、海水で濡れた滑らかな石のうえでの戦いになるが、ここでも、細かいカメラ割りを駆使し、

 
 怪人目線でライダーがドカドカ殴ってくると言うような、臨場感溢れるショットが満載の、いつもとは一味もふた味も違う格闘シーンになっている。

 天は二物を与えずと言うが、石ノ森先生は、漫画家としてのみならず、映像監督としてもずば抜けた才能に恵まれているようだ。

 怪人「イソギンジャガー、必殺触手締めだぁっ!」

 殴り合いの末、ジャガーは口から無数の触手を伸ばして、ライダーの体を縛り上げる。

 ここは、さっきのオートバイ部隊の攻撃方法とダブってる気がするのがマイナスである。

 触手にからめとられて、何度も地面に叩きつけられるライダーだったが、

 
 ライダー「とおっ!」

 自らジャンプすると、空中でジャガーの腹を蹴り、

 
 その反動で触手から抜け出すと、華麗に空を舞う。

 
 その映像につなげて、再び静かに押し寄せては砕け散る、美しい映像を持ってくるのが、これまた秀抜なセンス。

 さらに、もう戦いが終わったかのような、ゆっくりしたカメラワークで、

 
 岩場の上に取り残された、右足の取れたキューピー人形がクローズアップされるが、ここまで来ると、もはや凡人には理解不能の領域に達している。

 一方、ヘリコプターの滝は、荒野に乗り捨てられていたラリー車を発見し、無事にマキを救出する。

 その後、岩場の上に横たわっている猛。

 どうやら、さっきの戦いは相討ちに終わり、どちらもエネルギーを使い果たして人間態に戻ったらしい。

 
 なんとか起き上がって目を凝らすと、前方の岩に、マキらしき女性が覆い被さるようにして倒れているではないか。

 
 猛「マキ!」

 再び、会ったこともない女性の名前を呼び捨てにする猛。

 よろめくような足取りで、彼女に近付いていく。

 ちびっ子たちは、事前に本物のマキが滝に救出されているのを知っているから、それがゲルショッカーの罠だと気付いた筈で、子供たちがテレビの前で「ライダー、危ない、近付いたらダメ!」などと本気で叫んでいたのではないかと想像するとなんとなく微笑ましい気持ちになるのだった。

 
 ほどなく、マキを乗せた滝のヘリコプターが谷の向こうから飛んできて、海上に出る。

 猛がマキに似せた人形に近付いているのを発見して、

 滝「本郷、それに近付くな、そいつはニセモンだ。マキさんはここにいるぞ!」

 が、当然ながら滝の叫びはローター音に掻き消されて、地上にいる猛の耳には届かない。

 
 猛の背後からぐんぐんヘリが接近してくるが、ちゃんと操縦士が滝の格好をしているのがお分かり頂けるだろうか。

 右側にマキらしい女性も見えるが、これはやっぱり丘野さんが乗ってるんだろうなぁ。

 
 マキ「お父さん!」

 その時、マキの瞳が、近くの岩の陰にしがみついている父・桂木良助の姿を捉える。

 滝「なにぃ? 本郷!」

 その、何かを企んでいるような邪悪な笑みを見て、滝がもう一度叫ぶが、

 
 猛「おい」

 依然として猛は気付かず、マキの体に手を掛け、

 
 顔が見えるようにひっくり返す。

 ちなみにこの上の画像でも、ほんとにごく僅かだが、ミニスカの中の白いパンツが覗いている。

 キャプではほとんど分からないと思うが……。

 それにしても、丘野さんの剥き出しの両脚、最高ですね。

 丘野さん、可愛いだけじゃなくて、当時としてはモデル並みにスタイルが良いのである。

 
 猛「マキ! はっ……」

 だが、抱き起こしたその顔を良く見れば、当然、それは本物のマキではなく、ただのマネキン人形に過ぎなかった。

 そして、人形の体内からは秒針の音が……。

 猛「ああっ……」

 

 
 やっと罠だと気付いた猛だったが、手遅れで、逃げる余裕もあらばこそ、凄まじい爆発に巻き込まれる。

 で、この爆発が、今ではまず許可が降りないような場所での豪快な爆発で、さすがにこれはやり過ぎだろうと思う。

 
 崖の上まで到達しそうな黒煙を、ヘリから撮った映像もあるが、ほとんどミサイルでも着弾したような物々しさである。

 
 滝「本郷? 本郷!」

 さすがにあの至近距離での爆発では、猛も生きていないのではないかと不安を掻き立てられる滝だったが、

 
 ライダー「大丈夫だ。俺はここにいるぞ!」
 滝「ライダー!」

 すかさず大きな声がして、マキが下を覗き込むと、ヘリのスキッドにライダーがぶら下がっていた。

 しかし、これはどうやって撮影してるんだろうなぁ。

 無論、実際に飛んでいるのではなく、ヘリを地面に置いてローターを回しながら撮影しているのだろうが、肝心のカメラはどこに置いているのだろうか?

 ヘリの前後に台をかませて高さを上げ、ライダーやカメラが入るスペースを確保してるのかなぁ?

 あるいは、実際にヘリを少しだけ浮かせて、それで撮影してるのか?

 それにしても、いくらなんでも、猛が、爆発に巻き込まれる前にライダーに変身する時間的余裕はなかったような気がする。これが、一瞬で変身できる宇宙刑事とかなら可能だったかも知れないが。

 あと、滝とライダーの会話を聞いているマキには、ライダーの正体が猛だと丸分かりになりそうなものだけどね。

 一方で、実際に飛んでいるヘリにライダーがぶら下がっているショットもあるが、

 
 こちらは見るからにダミー人形であり、風に吹かれた体がいかにも軽そうに浮き上がる姿に、藤岡さんが無理矢理アフレコしているのである。

 猛「マキは無事らしいな!」
 滝「ああ……」

 会ったこともない人間を呼び捨てにするライダーに、滝が若干引いていた。

 滝「それともうひとつ、マキさんのお父さんが見付かったんだ。実は……」
 ライダー「どうしたんだ、滝?」
 マキ「あそこに、あそこにいるのが私の父なんです」
 ライダー「なんだって」

 
 桂木「ええーい、ライダーめえーっ!」

 驚いて眼下を見ると、岩の上に這い上がった桂木のおやじが、両手を突き上げて「ボク、負けないぞお!」とばかりに気勢を上げていた。

 この声は、大神さんじゃなく、怪人役の辻村真人さんがあてている。

 つまり、人間態ではあるが、悪の心に支配されていると言うことなのだろう。

 そして再びイソギンジャガーの姿に変わる。

 マキ「キャーッ!」

 父親の変わり果てた姿に、両手で顔を覆って悲鳴を上げるマキ。

 ライダー(そうか、そうだったのか、あの頭部に変身装置が仕込んである。あれさえ壊せば……)

 何故か、ジャガーの変身装置の位置を知っているライダー。

 ここで、再度くだくだしい格闘シーンを挿入したりせず、

 
 ライダー「ライダー、ポイントキィィィック!」

 スキッドからを手を離したライダーが、そのままジャガーの頭部に特殊な蹴りを入れると言うのが、さすがの編集センスである。

 ま、時間の都合もあっただろうが。

 
 着地した怪人の脚の間から、ライダーが少しふらつき気味に砂浜に降り立つのが見える。

 ここ、微妙にカメラが傾いでいるのが、芸が細かい。

 
 押し寄せては砕け散る白い波頭の前で、しばし無言で向かい合う両雄。

 
 やがて、滝のヘリコプターもライダーの後方の砂浜に着陸し、中からマキが飛び出してくる。

 マキ「お父さん!」
 滝「危ない、彼はもう君のお父さんじゃなくなってるんだ」

 滝が抱き止めるが、マキはそれを振り切って走り出す。

 
 マキ「おとうさーん! おとうさーん!」

 逆巻く荒波をバックに、典型的な女の子走りでジャガーのもとへ急ぐマキ。

 
 ライダー「危ない、近寄るんじゃない!」

 ジャガーさん、頭を抱えて佇んでいたが、再びしつこくブラック将軍の「殺せ、殺すのだっ」と言う声が鳴り響き、それに突き動かされるようにジャンプするが、その瞬間、「お父さん!」と言うマキの声が耳に突き刺さり、そのショックで人間の姿に戻りつつ、砂浜にばったり倒れ伏す。

 
 人間態になっても油断は出来ず、間合いを保ったまま立っているライダー。

 
 マキ「お父さん!」

 ライダーの後ろからマキが進み出て、父の名を繰り返し呼ぶ。

 
 やがて桂木は両手をついて体を起こすと、観察するような目でマキの美しい顔を見詰める。

 しばらく、その目には何の感情も宿っていなかったが、

 

 
 桂木「あ、マキ!」

 漸く娘のことを思い出したのか、その顔に、穏やかな、安らぎに満ちた笑みが浮かぶ。

 そう、娘の愛の力によってゲルショッカーの洗脳が解けたのである!

 
 マキ「お父さん!」
 桂木「マキ」
 マキ「お父さん!」

 マキ、涙を滲ませつつ、父の胸に飛び込み、桂木も、愛しい娘の体をしっかり抱き締めてやるのだった。

 実に感動的な場面で、大神さんが羨ましいのう、などと言うよこしまな気持ちも湧かないほどであった。

 
 ライダー「……」
 滝「……」

 やがて滝も来て(今まで何してたんだ?)、ライダーと満足げに顔を見合わせるが、「良かった」とか「奇跡だ」とか、あえて余計な台詞を言わせないのも、見事な判断である。

 結局、今回の被害者は石ノ森先生自身の演じた釣り人だけだったようである。

 ラスト、淡い夕陽のなか、ひとりバイクを走らせるライダー、そして猛。

 
 ナレ「ゲルショッカーの恐ろしさは戦争の恐ろしさと同じだ。目的の為には、平和な家庭さえいとも簡単に犠牲にする。仮面ライダーよ、みんなの為にがんばってくれ! 頑張れ、仮面ライダー!」

 その映像に、シリーズを通してもひときわ印象的な、平和を愛する石ノ森先生の意志が色濃く滲み出た名台詞が被さる。

 以上、ストーリーがあまりないとか、マキのパンツがはっきり見えなかったとか、多少の不満もあるが、やはり素晴らしいとしか言いようのない傑作であった。

 まぁ、台詞が少ない分、画像の多さの割にレビューを書くのは楽だったが。
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コメント

カメラワーク

今回はいつもと違ってしっかりしたカメラワークでしたね😅空からも地上からも素晴らしい撮影でした。ゲストの丘野かおりさんが霞んでしまうぐらいの力作ですね😊

Re: カメラワーク

監督が違うとこれだけ違うんですね。凄いです。

スピルバーグ風演出

このお話では、序盤のブラック将軍と言い、ゲルショッカーのバイク隊が登場する際のライダーと言い顔がドアップになる場面が頻出していますが、それがスピルバーグの監督作品にも似た緊迫感を生み出しています!!
一例を挙げれば「刑事コロンボ」の「構想の死角」と言うお話でも犯人のミステリー作家・フランクリン(ジャック・キャシディ 声は田口計さん)や被害者の一人である雑貨屋の女店主、そして警官等の顔がドアップになる場面が多く見られました。
また話は変わりますが海岸に足のもげたキューピーが打ち上げられている処(スポンサーがキューピーマヨネーズだったら無理だったかも?!)は、この後人形で何かが起こる事(その直後のマキさんに似せた人形爆弾)への暗示とも考えられます。

Re: スピルバーグ風演出

> 一例を挙げれば「刑事コロンボ」の「構想の死角」と言うお話でも犯人のミステリー作家・フランクリン(ジャック・キャシディ 声は田口計さん)や被害者の一人である雑貨屋の女店主、そして警官等の顔がドアップになる場面が多く見られました。

なるほど、その影響もあったかもしれないですね。「構想の死角」が見たくなりました。

> また話は変わりますが海岸に足のもげたキューピーが打ち上げられている処(スポンサーがキューピーマヨネーズだったら無理だったかも?!)は、この後人形で何かが起こる事(その直後のマキさんに似せた人形爆弾)への暗示とも考えられます。

うーん、それには思い至りませんでした。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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