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「乳姉妹」 第17回「はぐれ狼の初恋」 後編



 第17回「はぐれ狼の初恋」(1985年8月13日)
 の続きです。

 その夜、猛がいきなり窓の外から千鶴子の病室に入ってくる。

 あの、ここ、4階なんですけど……

 
 猛「てめえ、俺をコケにしやがって、勝手に仲間を抜けて良い思いをしようたってそうはいかねえぞ」
 千鶴子「もう、あんたたちとは縁切りだよっ」

 猛、千鶴子に裏切られたと思い込んでいて、ナイフを突きつけて脅し文句を並べる。

 ……

 路男と言い、猛と言い、相手にナイフを突きつけないと会話できんのか? ったく。

 
 猛「なにっ」

 猛から逃れようと前屈みになった千鶴子のパジャマが引っ張られて、パンツが見えそうになるが、見えなかった……。

 そして、ナイフを突き立てる寸前で猛の体を引き戻し、豪快にぶん殴ったのは、いつの間に帰ってきたのか、アメリカに飛び立った筈の雅人であった。

 
 千鶴子「雅人さんっ」
 雅人「遅くなってすまん」

 目は正直なもので、愛しの雅人の出現に、たちまちとろんと垂れ目になってしまう千鶴子であった。

 いまやすっかりザコ扱いが定着してしまった猛、ナイフを持っていると言うのに一方的に雅人にぶちのめされた挙句、警護をしていた調査部の男たちに担ぎ出されていく。

 
 雅人「大丈夫か? 帰ってきて早々だが、君に話がある。怪我が治ったら、僕と一緒にどこか知らない街へ行かないか?」
 千鶴子「ええ?」
 雅人「お父さんを裏切るのは心苦しいが、僕と君が一緒になる道はそれしかないんだ。知らない街で君は令嬢でもなく不良でもなく、本当の自分を見付け出して僕と一緒に暮らすんだっ」

 突然の雅人の申し出に、嬉しさと戸惑いを隠せない千鶴子。

 
 千鶴子「でも、雅人さんは大丸財閥の後継者なのよ」
 雅人「そんなものは君のためならいつでも捨てる!」
 千鶴子「雅人さん!」

 雅人の男前過ぎる殺し文句に、千鶴子がノックアウトされてしまったのは言うまでもない。

 感極まった二人は、

 
 がっしりと抱き合うのだった。

 ……って、もう、まどろっこしいなぁ、さっさとヤッちゃえよ!

 まぁ、一応、千鶴子は怪我してることになってるから、無理か。でもせめてキスぐらいは。

 どっちにしても、大映ドラマの登場人物は、基本的にストイックで、滅多に婚前交渉などしないのだった。

 婚前交渉どころか、「高校聖夫婦」では第1話で結婚した後でさえ主人公たち(鶴見&まいこ)は最終回までセックスしなかったのだから、ストイックにもほどがあるだろう。

 それはさておき、雅人の思惑通りことが運んでいれば、少なくとも千鶴子は本当の自分を取り戻して幸せになっていたかもしれないが、

 
 彼らの会話をドアの外で手島がすべて聞いていた。

 何より剛造の意向を尊重する手島が、そんな駆け落ちのような真似を看過する筈がない。

 なんか、中盤以降のストーリーをややこしくしているのは、何もかも手島の仕業じゃないかと思えてきた。

 
 一方、路男は、いつもの隠れ家に戻って、ひたすら酒浸りの日々を過ごしていた。

 前にはなかった結構エロいヌードポスターが目を引くが、

 
 カメラが動くと、同じ部屋に優子さんがいることが分かり、なんとなく恥ずかしくなる。

 母親に自分の部屋に入られているような……。

 
 優子「真っ昼間からもうよしな!」
 路男「仇を目の前にして赤子みてえに何も出来なかった俺だ。出来ることっていやぁ、飲むことだけ……いや、キスぐらいはできらぁ」

 路男、何を思ったか、立ち上がると優子の肩を抱いて口付けしようとする。

 当然、優子はその横っ面を引っ叩く。

 
 優子「ばかっ、私たちは男と女の仲なんかじゃないじゃないか! そんなんじゃないじゃないかっ!」

 それは良いのだが、続けて発せられた優子の台詞が、なんか、非現実的で面白い。

 同時に、自分たちがドラマの中の登場人物に過ぎないことを告白した、メタフィクション的台詞でもある。

 現実の人間には、ドラマのキャラクターのようにあらかじめ台本が渡されていて、それぞれの役割が大書されている訳ではないのだから、優子と路男が恋に落ちたって、別に何の問題もないと思うんだけどね。

 もっとも、優子は路男がただ冗談でそうしているのだと見抜いて、叱り飛ばしたのだろうが。

 路男がなおもひたすら酒を呷っていると、しのぶが白いユリの花束を抱えて入ってくる。

 路男「しのぶさんか、なんだい、そりゃ」
 しのぶ「教会に咲いた花です。私、千鶴子さんに会う訳には行かないし、せめてこの花を届けて励ましてあげたいと思って」
 路男「白百合か、18年前を思い出すぜ」

 ユリの花を見て、回想モードに入る路男。

 
 路男の声「貧乏なお袋が(父親の墓に)供えた花だが、俺はこの世にこんな美しい花があるのかと思った。ただ綺麗なんじゃねえ、どんな悲しみにも耐えてる凛々しい花だなって気がした……」

 優子の声「……って、とてもそんな風に思って見てるような顔じゃないわねえ」
 しのぶの声「ほんと、むしろ憎しみを込めてるような……」
 路男の声「うるっせえっ! 思ったっつったら思ったんだよ! つーか、人の回想シーンに割り込むんじゃねえ!」

 途中から嘘だが、この味わい深い顔をした子役が、白百合に喧嘩を売ってるようにしか見えないのは事実である。

 路男の目には、剛造を庇った時の千鶴子の凛々しい姿が、その思い出深いユリの花に重なって見えていたのだった。

 路男、自分自身に愛想を尽かしたように酒瓶を払い飛ばすと、

 
 路男「ペットも吹けねえ、どう生きていいのかもわからねえ! ざまぁねえ……」

 
 しのぶ「でもあなたに出来ることがひとつあるわ、詫びることよ」
 路男「誰に?」
 しのぶ「千鶴子さんによ、たとえそのつもりでなくとも、千鶴子さんを刺して、あなたはまだ『すまない』の一言も言ってないわ。私が届けるから、お詫びの手紙を書いて頂戴」

 割りと強引なしのぶ、用意していた便箋とペンを出して、路男に押し付ける。

 路男「俺は何がどうなったってかまわねえ、手紙でも恥でも何でもかくぜ」
 優子&しのぶ(うまいこと言った!)

 普段ならとてもそんな指図に従う路男ではなかったが、破れかぶれになっているのか、唯々諾々とペンを走らせる。

 優子「でも、千鶴子さんの周りに南部開発の人たちがついてるんでしょ? 路男の手紙を受け付けてもらえるかしら」
 しのぶ「なんとかしてみます」

 路男、不良のくせに文才があり、苦もなく手紙を書き上げるが、何を思ったか、マジックペン(なんでそんなもんがあるんだ?)で、自分の書いたものを塗りつぶしてしまう。

 
 その際、路男の字がちらっと映るのだが、走り書きっぽい感じはするが、良く見ると、これがめちゃくちゃ達筆なのだった。

 優子「どうして消すのさ?」
 路男「千鶴子に渡しな」

 路男、余白に「怨 田辺路男」と書き足してから、しのぶに渡す。

 そしてそのまま床にひっくり返ってしまう。

 翌日、しのぶは、ともかくその手紙を花束の中に紛れ込ませて病院へ行き、千鶴子の警護をしているごつい男たちに、千鶴子に渡してくれと頼む。

 男たちは、入念に花束を検査した上でOKしてくれる。

 ちょうどそこへ雅人が降りてくる。

 
 慌てて物陰に引っ込み、陰ながら雅人の姿を見詰めるしのぶがいじらしい。

 どうでもいいが、雅人、ちょっと太ったんじゃない?

 雅人は花束を千鶴子のところへ持っていく。

 
 千鶴子「わあ、綺麗! しのぶさん、私の一番好きな花を覚えててくれたのね」
 雅人「これを見たら、すぐにでも良くなるんじゃないか」

 雅人のお陰ですっかり素直で明るい女の子に戻った、と言うより、生まれ変わった千鶴子、あれだけ憎んでいたしのぶからのお見舞いも、素直に喜んでみせる。

 そう言えば、第1話だったか、千鶴子がしのぶたちの持っていたユリの花を5000円で買い叩こうとするシーンがあったよね。

 千鶴子、「他にすることもない」(byナレーター)ので、ずっとその花を見詰めていたが、

 
 やがて、ひとつのつぼみが膨らんで美しい花を咲かせた時、その中に、紙片が折りたたまれて封入されていることに気付く。

 そう、しのぶは、つぼみの中に路男の手紙を入れて、千鶴子に届けようとしたのだ。

 ……って、どうやってつぼみの中にそんなものを入れることが出来たのだ? マジシャンか、お前は?

 
 千鶴子「雅人さん、花の中から何か……」
 雅人「なんだ、これは?」
 千鶴子「見せて」
 雅人「君を傷付けた上に、こんなものまで寄越すとはなんて奴だ」
 千鶴子「そういう汚い男なのよ、あいつは」
 雅人「ちょっと待って!」

 千鶴子、それを破り捨てようとするが、雅人はマジックで塗りつぶされた下に文章が書いてあることに気付き、それを止める。

 もっとも、その場ではその文面は千鶴子には明かさない。

 その後、飲んだくれて街をぶらついていた路男と、それを気遣っていた優子の前に再び島田たちが現われ、優子はあっさり島田の手に落ち、腑抜けになった路男も、島田に拾われて事務所で雑用をさせられることになる。

 
 島田たちに扱き使われたり、

 
 意地悪をされたり、とてもあの誇り高い路男とは思えぬ惨めな境遇に落ちる路男。

 なんか、既視感バリバリの光景だなぁ。

 
 ~「不良少女とよばれて」第7話より

 ま、この時は、松村さんがいじめる立場だったが。

 些細なことで島田たちにボコボコにされ、

 
 無理矢理引っ張り起こされる路男だったが、勢いあまって色気のないガラパンまでチラッと見えてしまったのは、松村さん的にはNGだった。

 ナレ「路男は千鶴子への思いをどう足掻いても断ち切れず、そんな自分が腹立たしかった。なんとしても貫かねばならぬ怨念への潔癖さゆえに、わが身の不甲斐なさを悲壮なまでの厳しさで罰していたのである」

 ナレーターが重々しくこの時の路男の心情を説明する。

 ちょっと何言ってるか分からないけど……

 意外と早く、千鶴子の退院の日がやってくる。

 千鶴子は用意された車に乗り込み、雅人も一緒に乗ろうとするが、それを手島がやんわり遮る。

 
 雅人「手島さん、何をするんですか」
 千鶴子「雅人さん!」

 そう言えば、千鶴子、父親たちの前でも不良モード辞めたのね。

 車は、雅人を残してさっさと走り出してしまう。

 当然、雅人は剛造に抗議する。

 
 雅人「これは一体どういうことなんですか?」
 剛造「千鶴子は当分、真鶴においておく」
 則子「お父様は、千鶴子も一人になって気が静まれば、元の優しい子に戻るんじゃないかって仰るの」

 いや、「戻る」も何も、とっくに優しい女の子になってたと思うんですが……。

 それとも、千鶴子はあれからずっと、剛造たちの前では不良のふりをしていたのだろうか?

 まぁ、それは口実で、手島から雅人たちの「計画」を知らされた剛造が、先手を打って二人を引き離そうとしたと言うのがほんとのところだろう。

 雅人「しかし、それでは監禁ってことじゃないですか。それが命を懸けてお父さんの命を守った千鶴ちゃんに対する仕打ちですか?」
 剛造「千鶴子の為を思えばこそだ! こないだの様子では、あの子はまだ不良だ。街中の屋敷ではいつまた不良グループに舞い戻らんと限らん」

 と思ったけど、やっぱりまだ剛造たちは、千鶴子の不良モードが「ふり」に過ぎないことを理解していないようだった。

 うーん、いくらなんでも鈍過ぎる。直接会わずとも、雅人から、千鶴子の様子を聞いてる筈なんだけどね。

 さらに、

 剛造「私の後継者たるお前に、駆け落ちなどと言うはしたない真似はさせたくない。これ以上、千鶴子に接触することは許さん。私がお前の妻にしたいのは、しのぶなんだ!」

 何もそこまで言わなくても……と思うのだが、剛造は厳しく雅人に言い渡して帰っていく。

 しかし、剛造、この前、しのぶに「お前なんか私の娘じゃないっ」とか言ってなかったっけ?

 どうもこのドラマに出てくる人は、その回によってころころ言うことが変わるから混乱するのである。

 その後、まだ大丸家に齧り付くのを諦めていないのか、島田は路男に命じて、若山の教会にいるしのぶを拉致してくるように命じる。

 だが、同じ頃、しのぶは耐子から、千鶴子が真鶴の別荘に監禁同然の身の上だと聞かされ、矢も盾もたまらなくなって、久しぶりに故郷へ向かう電車に乗っていた。

 そして、当然、雅人も真鶴へ急行し、大胆にも調査部がうようよしている別荘に侵入し、あっさり千鶴子のところまで辿り着く。

 うーん、南部開発調査部(通称ナンチョー)、登場時はめっちゃ強くて頼りになる感じだったのに、あっという間に役立たずの集団に成り下がってしまったなぁ。

 まるでゲルショッカーの戦闘員みたいだ。

 それでも、

 
 男「雅人さん、これは何の真似です?」
 雅人「頼む、千鶴子ちゃんを出してやってくれ」
 男「ダメです、どうしても連れ出すのなら、我々を倒すことです」

 フィクションの世界でしか聞いたことのない台詞を言って、雅人の前に立ちはだかる。

 で、雅人、ほんとに二人を倒してしまうのである!

 その後も、次々と敵が襲ってくるが、

 
 雅人は彼らを排除しながら、千鶴子の手を引いて、屋敷の外まで逃げおおせてしまうのだった。

 ……つ、強い、強過ぎるぜぇ、雅人ぉ。

 まぁ、調査部の人たちも、相手が御曹司だから、つい手加減してしまったのだろうが、それを割り引いてもめちゃくちゃ強い。たぶん、主要キャラの中では最強なのではないだろうか。

 ちょうどそこへしのぶがやってくるが、別荘の前で路男に見付かってしまう。

 路男「一緒に一代組に来い」
 しのぶ「どうしたの、怖い顔して」
 路男「うるせえっ、今の俺はどうせクズの三下よ、堕ちるとこまで堕ちてやる、来い」
 しのぶ「いや、放して!」

 しのぶは抵抗するが、路男に顔を引っぱたかれて、その場に倒れる。

 
 その際、パンツが見えないかなぁとダメモトでコマ送りしてチェックするのが、キャプ職人のお仕事なのです。

 で、やっぱり見えませんでした……

 
 路男、しのぶの胸倉を掴み……たいのは山々だが、なにしろ、相手は女性なので、遠慮がちに襟首のあたりに手を伸ばし、

 
 さらに、猫の手のように指先だけで掴むようにして引っ張り起こすのだった。

 ま、若い俳優同士の爽やかな芝居ではあるのだが、ここは路男が堕落しているシーンなんだから、遠慮せずにそのでかい乳を鷲掴みにするくらいの勢いで演じて欲しかった。

 そう言えば、ここんところ、あまりエロいシーンがないが、クレームでも入ったのだろうか。

 と、その時、別荘の方から雅人と千鶴子が、ごつい男たちと一緒に転がり出てくる。

 
 獅子奮迅の活躍をする雅人だったが、その股間に、男の蹴りが見事にヒット!

 雅人「う゛っ……」

 
 路男「チーン!」
 しのぶ「まぁぁぁきしぃ~む」

 じゃなくて、

 しのぶ「雅人さん、千鶴子さん……路男さん、お願い、雅人さんたちを助けてあげて」
 路男「あいつらがどうなろうと俺の知ったことか」

 すっかり自暴自棄になっている路男、しのぶの願いも冷たく突き放す。

 しのぶ、咄嗟に、道端にユリの花が咲いているのを見て、

 しのぶ「あれを見て、路男さん、あの花に恥ずかしくないの?」
 路男「……」

 再び、路男の脳裏に、昔見た白百合の美しさや、剛造を庇った時の千鶴子の姿が駆け抜ける。

 
 路男「しのぶさん、礼を言うぜ、あんたが言ってくれなかったら、俺は人間じゃなくなるところだった」
 しのぶ(単純な奴……)

 こうして路男は、たちまちいつもの精気を目に宿し、猛然と雅人たちのところへ突進する。

 全米を震撼させた雅人&路男の最強コンビの復活であった!

 二人は群がる男たちをぶっ飛ばし、千鶴子、しのぶと共に、無事に逃げ切ることに成功する。

 
 良く考えたら、主要キャラ4人がひとつの画面に収まるのは、これが初めてだっけ?

 もっとも、路男はすぐ何処かへ行ってしまう。

 千鶴子「あの男に助けられるとは思わなかったわ」

 千鶴子、路男に感謝するどころか、忌々しそうに吐き捨てる。それこそ、不良でもぶりっ子キャラでもなく、我々の良く知る千鶴子本来の嫌みったらしいお嬢様キャラであったが、それを路男の恋敵の雅人がたしなめる。

 雅人「千鶴ちゃん、そんなことを言うもんじゃないよ。彼は君を愛すればこそ助けてくれたんだ」
 千鶴子「私を愛する? 冗談じゃないわ。人を刺しておきながら、詫びひとつ言わない男がどうして私を好きだって言えるのよ?」

 
 雅人「いや、田辺君の真実はここにある」

 雅人、ポケットからあの手紙を取り出して広げる。

 雅人「こないだ見たら、田辺君が消した字の跡が残っていた。読むから聞いて欲しい

 前にも言ったけど、大映ドラマにおいては、「通信の秘密」などと言う概念は存在しないのである!

 雅人「千鶴子、あんたは俺にとって世界一憎い女だ。だが同時にこの世で二人とない美しい女だ。人はあんたを不良と呼ぶが、俺はあんたを信じる。愛するものを守る為には死さえ厭わなかったあんたの凛々しい心を……千鶴子、あんたこそ俺の白百合だ」

 しかも、その文面が、謝罪文じゃなくて完全にラヴレターだったのだから、なおさらまずいのでは?

 千鶴子「そんな、彼の本心はこれよ」

 千鶴子、路男の「愛の告白」に戸惑いを隠せず、「怨 田辺路男」の箇所を指し示すが、

 雅人「田辺君は恨み一筋に生きてきた、だから千鶴ちゃんに対する気持ちの変化を認めたくなかっただけだ。お父さんに抱く恨みは消えていないが、千鶴ちゃんに対しては違う。彼は君を愛してる」
 千鶴子「……」
 雅人「それは僕にとって心安らぐことではないが、あえてこれを君に聞いてもらったのは、田辺君のお父さんに対する恨みが、いつの日か消えると言う希望を君に持って欲しいからなんだ。恋の本質は人の痛みが分かる優しさだ。彼にはそれがある」
 しのぶ「私もそう思います。人間、恋をしながら復讐なんか出来ないわ」

 
 しのぶの言葉に、わが意を得たりとばかり、その顔を見て小さく頷く雅人。

 千鶴子「……」

 その二人の様子を見比べた千鶴子は、しのぶがはっきりと雅人に好意を持っていること、そして、雅人もしのぶを憎からず思っていることを知ってしまう。

 
 雅人「千鶴ちゃん、何処へ?」
 千鶴子「あんたたちとはおさらばだよ!」
 雅人「何を言ってるんだ?」
 千鶴子「私の生きる場所は、やはりコンクリートジャングルしかない」
 雅人(コンクリートジャングルて……)

 例によって、千鶴子、不良モードになると、二人の前から姿を消す。

 雅人としのぶが結ばれることを望んでいる剛造の為に、自分が身を引くことを決意したのである。

 ……いや、だから、雅人と一緒に駆け落ちすりゃいいんじゃん。

 結局、千鶴子の行動を見ていると、父親の為とかもっともらしいことを言いながら、単に、本心では雅人のことを愛していないのではないかと勘繰ってしまう。

 実際のところ、二人は小さい頃から兄妹として育てられてきたのだから、それは恋愛感情と言うより、兄弟愛のようなものに過ぎなかったのではないだろうか。

 
 千鶴子「さよなら、雅人さん、しのぶさん……」

 物陰から、再びぶりっ子モードになって二人に別れを告げる千鶴子。

 しのぶはともかく、雅人に対しては一体何回お別れを言えばいいのって感じですが。

 と、千鶴子の視界に、砂浜に座り込んで、拳で地面を殴りつけている路男の姿が飛び込んでくる。

 路男「おやじぃーっ! 18年前、あんたはここで死んだ。なのにその血は何故跡形もないんだぁーっ! おふくろ、あんたの悲しい叫びが響き渡った海は、何故静かなんだーっ!」
 千鶴子(まずい、バカだ……)

 さらに、ご本人が背後にいるのに、

 路男「千鶴子を忘れさせてくれえ……おやじ、おふくろ、どこまでも俺を恨みへ駆り立ててくれえええーっ!」

 お尻をこちらに向けて、小っ恥ずかしいことを叫んでしまう路男さん。

 千鶴子の存在に気付くと、物凄い目付きでその前までやってきて、

 
 路男「千鶴子、俺は今、お前をこの場で殺す!」
 千鶴子「……」

 こいつには、まともに人とコミュニケーション取る気がないのだろうか?

 二言目には刺すの殺すのって。

 路男「何故逃げない? 殺されても良いのか?」

 
 千鶴子「……」

 だが、千鶴子は恐れの色もなく、それどころか路男を哀れむような、とても悲しげな目で相手を見詰めるのだった。

 いやぁ、実に良い表情してるよね。

 やっぱり伊藤さんは上手い。

 伊藤さん、松村さん、鶴見さんを相手に主役を張るには、渡辺さんでは力不足だったと言わざるを得ない。

 路男、バイクに乗って千鶴子に突進してくるが、結局そのまま素通りして走り去ってしまうのだった。
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コメント

目まぐるしい

どうにも目まぐるしい展開ですね😅千鶴子はお嬢様と不良(スケバン)という2つの顔を上手く使い分けているようですね😅雅人も流石に急所をつかれては、どうにもならないようですね

Re: 目まぐるしい

使い分けてるといっても、アレじゃほとんどコントですけどね。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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