第43話「セーラー服の戦士 」(1984年11月24日)
久しぶりの「バイオマン」のお時間です。

冒頭から、ネオメカジャイガン・サタンメガスと言う、どう考えてもバイオロボより200倍はスタイリッシュな敵が日本に送り込まれ、バイオロボとのバトルが開始される。
なんとなく、「フラッシュマン」のラー・デウスに似ている。

戦いの前に、全身から青白い光を放つサタンメガスだが、その影が、背後の書割の空にくっきり映ってしまうのは、さすがにどうかと思う。

両手に装備したレンズから、レーザービームを放つサタンメガス。
レッドワン、必殺技のひとつ「スーパーメーザー・ウェイトアタック」で一気に決着をつけようとする。
と、意外なことに、いかにも強そうなサタンメガス、何の手立ても講じず、あえなく首を刎ねられてしまう。
一方、そこ(富士山周辺)から100キロほど離れた都心の雑踏に、ひとりのセーラー服の女の子がいた。

無心に歩いていた彼女、不意に立ち止まると、視線を空に向ける。

その目が異様な光を発する。

すると、遠く離れたところにいるサタンメガスの胸部の、目玉のようなレンズも同じような光を発したかと思うと、刎ねられた首がひとりでに元通りになり、完全に復活してしまう。
レッド、すかさず新必殺技「スーパーメーザー・バイオ粒子斬り」を繰り出し、今度はサタンメガスの体を木っ端微塵に粉砕する。
さすがにこれでは再生できないだろうと思いきや、再び女の子の目が光ると、サタンメガスは一瞬で復活してしまう。
レッド「バイオ粒子斬りを受けても元に戻るなんて、なんて凄い奴だ」
ピーボ「レッドワン、今、データを集めて調べてるところだ」
同じ頃、ネオグラードでは、ドクターマンがモニターにその女の子の姿を映し出し、

ドクターマン「これぞ新帝国ギアの戦士ミキ、いくらサタンメガスを破壊してもミキがエネルギーをワープすることによってサタンメガスは元へ戻る。すなわち、ミキを破壊しない限り、サタンメガスは限りなく再生して戦うことができるのだっ」
自慢げに、サタンメガス復活の仕組みを部下に解説していた。
メイスン「さぁすがはドクターマン様、いかにバイオマンと言えど、あんな少女にこんな力があろうとは夢にも気付きますまい」
ファラ「しかも、100キロも離れた都心にいて操作していようとは」
ドクターマン「今度こそバイオロボも終わりだっ」
いつになく、いや、いつものように自信たっぷりに宣言するドクターマン。
しかし、では、ミキの体はどうやって無限に、それもネオメカジャイガンを復活させるほどの膨大なエネルギーを作り出しているのか、その辺が良く分からないのが今回のシナリオの疑問点である。
その後も、バイオマンとサタンメガスの戦いは続いていたが、何度倒しても再生してしまうのだから、所詮、バイオロボに勝ち目はなかった。
……今更だけど、富士山の近くで二体の巨大ロボが長時間戦ってたら、日本中、たちまちその話題で大騒ぎになってると思うのだが、何故か、ミキのいる都内は全くいつもと変わらず平穏なのが変である。
やがて、ピーボが、サタンメガスが倒されると、その都度、都心からエネルギーがワープされていることを突き止め、そのエネルギー源の正体を確かめるよう、バイオマンに指示する。
バイオロボが退却すると、次のシーンでは早くも都心の街中を歩いている郷たちの姿が映し出される。
何の手掛かりもなく、エネルギー源を探すのは困難かと思われたが、

たまたま、5人の目の前で、横断歩道を渡っていたミキが車に撥ねられそうになり、

ミキが反射的に放ったエネルギーで、その車が吹っ飛ばされると言う事件が起きる。
……
今、何か変なものが映ったような気がしたが、気のせいだろう。
郷たちは、即座にミキが怪しいと追いかけるが、彼らの行く手を阻むように、

お揃いの黒のジャケットで決めた若者たちが現れ、「せやっ」などと言いながら、飛んだり跳ねたりして、いたたまれなくなるほど恥ずかしい、一世風靡かぶれのストリートパフォーマンスを披露する。
演じているのは、JACの若手であろう。
無論、その正体はギアの戦闘員で、たちまち正体をあらわして郷たちに襲い掛かる。

ミキ、戦闘員の投げた武器で負傷し、とある倉庫に逃げ込むが、
秀一「君、どうしたの?」
ミキ「……」

目敏く彼女を見付けて声を掛けたのが、他ならぬ、ドクターマンの実子、秀一であった。
……
あるよね、こういう偶然!(ねえよ)
それにしても、ちょっと見ない間に、井浦さん、少しブサイクになったような……気のせいかしら。

秀一「博士!」
柴田「どうした?」
秀一「工場の入り口に倒れてたんです」
柴田「……」
そこは、倉庫ではなく、秘密の研究室であったらしく、奥の部屋には、サングラスをかけた中年男性がいて、秀一は彼の元で助手のような仕事をしているらしい。
その男性、柴田博士は、一目でミキが人間でないことを見抜くが、
柴田「分かった、手当てをしてやろう。すぐ手術室へ運ぶんだ」

柴田「秀一君、君は席を外したまへ」
秀一「はい」
秀一にセッティングをさせると、柴田は厳とした声で命じ、秀一も素直に従う。
この後、ミキと二人きりになった柴田が、ミキが気を失っているのを良いことに、とても子供向け番組では流せないようなハレンチなことを始めたら、ミキの親御さんに顔向けできないところだったが、無論、そんなことは起きなかった。
なにしろ、ミキの親父さんって、
「スーパァーギルーク!」なんだもんね。
そう、ミキを演じる柴田時江さんは、山本昌平さんの娘さんなのである。
全然似てないので、最近まで自分も全く知らなかったけど。

それはさておき、柴田ちゃんはミキの体にシーツを被せ、その可憐な胸を開いて複雑なメカを露出させ、構造を調べてから、四角いパーツを体内に埋め込む。

ほどなくミキは意識を取り戻すが、柴田博士の顔を見た途端、今まで見せなかった、ハムスターのような笑顔を見せる。
柴田さん……って、博士の役目と同じでややこしいなぁ……まだいかにもオボコ娘と言う感じだが、数年後の「スケバン刑事2」では、

……
あんまり変わってませんでした。
その後、いささか迂闊なことに、秀一はミキを誘って、オープンカフェでハンバーガーを食べていた。
そして、たまたまその近くにいたのが、

郷「おい、秀一君じゃないか」
我らがバイオマンなのだった。
……
あるよね、こういう偶然!(ねえよ)
つーか、後ろ姿だけで、なんで秀一だと分かったのだろう?
郷、真吾に言ってこっそりグリーンツーに変身させ、ミキの体を透視させる。
しかし、相手がメカ人間だから良いようなものの、もし普通の女の子だったら、ただの覗きである。
真吾「郷、やっぱりあの少女はメカ人間だ」
ジュン「何故秀一君はメカ人間なんかと?」
道行くサラリーマンたちの突き刺さるような視線を受けつつ、秀一たちのところへ向かう5人だったが、

柴田「待ってくれ、秀一君はミキがメカ人間だと言うことを知らない。だが、ミキのことなら心配は要らん、彼女には良心回路をセットした。ミキは人間の善の心を持ったメカ人間になったのだ。ミキはもはや、新帝国ギアのメカ人間ではない」
突然見知らぬ男が立ちはだかり、意外なことを告げられる。
郷「一体あなたは?」
柴田「……」
当然その素性に疑問を抱く郷の視線を避けるように、秀一たちに目をやる柴田博士。
柴田博士を演じるのはベテランの中丸忠雄さん。
が、彼らの会話は、近くにいるメイスンを通じて、漏れなくドクターマンに伝えられていた。

ドクターマン「良心回路だと、そんなものを作った者がこの世にいようとは……そんなことが出来るのはあいつしかおらん……しかし、あいつは死んだ筈……」
しかもドクターマン、柴田博士の正体に心当たりがあるらしく、珍しく困惑の色を浮かべていた。
それにしても、「良心回路」って、「キカイダー」そのまんまのネーミングはどうかと思う。

CM後、再びあの一世風靡もどき集団が秀一とミキを取り囲み、恥ずかしいパフォーマンスを始める。

こいつら、何が腹立つって、ブサイクの癖に口紅を塗ってる男が混じってることである。
郷「あいつら……なんて恥ずかしい真似を」
あまりの恥ずかしさに正視することが出来ないバイオマン。
ある意味、バイオマンに対する最大の攻撃手段かも知れなかったが、嘘である。
その後、いろいろあって、場所を変えて、バイオマンとサイゴーンたちとのバトルになる。
戦いの最中、ミキは秀一を守ろうと、半ば無意識のうちにサイゴーンの放ったフレアを跳ね返す。
結局サイゴーンはバイオマンに撃退される。

ドクターマン「おのれぇ……ふっはっはっはっはっ、こうなったからにはミキよ、良心回路を持ったことの苦しみを教えてやるぞ」

秀一「ミキちゃん、一体、どうしたんだ?」
ミキ「分からない、私にも分からない」
柴田「ミキ……」
と、そこへ再びあらわれたのが、メイスンの搭乗するサタンメガスであった。
レッド、勝算はなかったが、ともかくサタンメガスを食い止めねばと、バイオロボを呼び寄せる。
が、さっきと同じ現象が繰り返され、サタンメガスは倒されてもすぐに蘇ってしまう。
メイスン「バイオマン、教えてやろう、メカ人間ミキから、サタンメガスにエネルギーがワープされるからだ」
ここでメイスン、わざわざサタンメガスの復活の仕組みをバイオマンに教えてしまう。
……
どうしてこう、ショッカーの怪人と言い、悪の人にはお喋りが多いのだろうか?
メイスン「ミキを倒さない限り、サタンメガスを倒すことは出来ないのだ。はーっはっはっはっ」
レッド「なにっ」
安全な場所に隠れている三人の上空から、ドクターマンの声が轟く。
ドクターマン「お前は私が作ったメカ戦士なのだ」

秀一「ミキちゃんが、メカ人間だなんて……」
ミキ「嘘、嘘よ、私は人間よ!」
ドクターマン「お前がそう思ってるのはその男が良心回路をセットしたからだ」
秀一「博士!」
柴田「……」

ドクターマン「貴様は誰かは知らぬが……」
ファラ&モンスター(知らんのかいっ!) さっき、いかにも心当たりがあるみたいなことを言ってたドクターマンの言い草に、二人は心の中で思いっきりツッコミを入れるのだった。
ドクターマン「いくら心を変えても、私が作ったサタンメガスとミキのシステムは変わらぬ。ミキの心とは関係なく、ミキのエネルギーはサタンメガスを生かし続けるのだ」

ミキ「いやーっ、言わないで! いやーっ!」
ドクターマンの恐ろしい言葉に、両手で耳を塞いで、悲鳴のような叫び声を上げるミキ。
秀一「……」
柴田「良心回路をつけたために、かえって苦しめることになろうとは……」
柴田博士、なんで、ミキの体を開いた時、ついでにエネルギーワープ装置を外してしまわなかったのだろう? ミキのシステムの根幹に関わる機能なので、そう簡単には取り外せないものだったのだろうか。

秀一「父さん、いや、ドクターマン、お前は鬼だ、悪魔だ!」
不意に、秀一、空を睨みつけて、父であるドクターマンを激しく罵り出す。

秀一「お前なんか人間じゃない。悪魔! 俺はお前を許さない!」
モニター越しに、息子からあらん限りの罵声を叩きつけられたドクターマンだが、
ドクターマン「ふ、ふんっだ、ボク、悪魔じゃないもん! 天才だもん!」 ファラ(息子に泣かされてどうすんのよ……)
じゃなくて、
ドクターマン「人の心はとっくに捨て去った」 冷酷無残な悪の首領にふさわしい言葉で斬り捨てる。
秀一「俺は守るぞミキちゃんを、メカ人間だって良い!」
柴田「秀一君」
秀一、ミキの手を取って、何処か遠いところへ行こうと走り出す。
いかにも若者にふさわしい溌剌とした行動であったが、

「お~い、待ってくれ~」とばかりに、二人の背後から必死に柴田ちゃんが追いかける姿が、かなり情けないものに見えてしまうのがNGであった。
ここは別に追いかけさせずとも、次回、何事もなかったように二人に合流させていれば問題なかったのではないかと思う。
ともあれ、バイオロボがサタンメガスと対峙したまま、柴田博士の正体も、秀一との関わりも一切不明のまま、44話へ続くのだった。
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