第44話「美しき良心回路」(1984年12月1日)
良心回路によって善の心を持ったミキが、その身を犠牲にしてサタンメガスを倒すエピソードなのだが、このサブタイトルはいただけないなぁ。
ミキより、良心回路のほうがエライみたいな感じに聞こえる。
とりあえず、「愛を知ったメカ少女」と言う代替案を考えてみたが、いまいちかなぁ?
それはさておき、前回のラストの続きから、二人手をつないで逃げ出した秀一とミキだったが、あっさりメイスンたちに捕まってしまう。
メイスン「貴様に良心回路など作らせはしない。貴様の正体を暴き、抹殺してやる。やれっ!」
メイスン、二人の後に続いていた柴田博士も捕らえるよう命じるが、何を勘違いしたのか、戦闘員たちは秀一に対しても刃物を突きつけて殺そうとする。
でも、ドクターマンは、前回、「全員ひっとらえろ」って言ってたので、メイスンの行為はやや暴走気味のようにも見える。
なにしろ、秀一はドクターマンの実の息子である。前回も「私の秀一」って言ってたから、まだ親子としての情愛を捨て切れていないのは確かなので、その場で殺すのはどう考えてもアウトだったろう。
ミキ「やめてっ、秀一さんっ!」

ミキ「やめてーーーっ!」
が、秀一が危ないと見るや、ミキはメカ人間としての能力を発揮して、周囲の戦闘員たちを豪快に振り払う。
サタンメガスにエネルギーを供給しているだけあって、ミキ、メカ人間としては破格のパワーを有しているのだろう。
それにしても、セーラー服の女子高生にぶっ飛ばされる戦闘員たちが、どことなく嬉しそうに見えるのは管理人の気のせいだろうか。
ついでに、スカートがもうちょっと短かったらなぁ……あ、ギルークに殺されるか。
メイスン「お前はメカ人間なのだ。良心回路など捨てて、新帝国ギアに戻って来い」
ミキ「やだ、いやだ、いやだっ!」
秀一「ミキちゃん……」
メイスンの帰順の呼びかけに、両手で耳を塞いで全力で拒否するミキ。
メイスンは構わずメカクローンを差し向けるが、ミキは無意識的に両目を光らせ、周囲に凄まじいエネルギーを放出する。

ミキ「秀一さん、博士!」
その威力は、メカクローンを破壊したのみならず、秀一たちの体も傷付けてしまう。
メイスン「愚か者め、わかったか、メカ人間と人間とは違うのだっ」
ここでやっとバイオマンの5人が駆けつけ、三人をその場から逃がして、メッツラーと戦う。
ミキは、傷付いた二人を支えて、人気のない公園に辿り着く。

ミキ「ごめんなさい、私はやっぱりメカ人間、危険が迫ると意志に関係なくエネルギー放射をしてしまうの!」
秀一「助けようとしたんじゃないか、その気持ちだけで十分さ」
ミキ「私は良心回路はあっても人間じゃない、秀一さんを手当てする方法も分からない。ごめんなさい」
ひたすら自分を責めるミキ。
ほどなく、変身を解いた史朗たちも追いついて、ひかるとジュンが秀一の手当てを行う。
ミキ「お願いします」
ひかる「任せて、もう大丈夫よ」
ここ、ひかるの「任せて」と言う台詞の「ma」の発音が、「ba」っぽく聞こえるのが可愛いので、是非実際に映像をチェックして頂きたい。

一方、柴田博士は、ふとしたことから、史朗が首から下げているお守りに気付いて目を留める。
それは、なんの変哲もない、何処かのお寺のお守りであった。

柴田「これは?」
史朗「赤ん坊の時からずっと、身に付けてるものなんです」
柴田「赤ん坊の時の記憶があるのかね?」
史朗「う゛っ……」
意外と細かいことを気にする柴田ちゃんであったが、嘘である。
柴田「そうか……君の名は?」
史朗「郷史朗です。あなたの名前は?」
柴田「柴田だ」
なんとなく異様な目付きで史朗の顔を見ていた柴田、何かを気取られるのを恐れるかのように、言葉すくなに答えて背中を向ける。
史朗も別に気にせず、さっさと秀一のところへ行ってしまう。
どうでもいいけど、今まで史朗がそんなお守り付けてるシーンなんてあったっけ?
なおも自分を責め続けるミキに対し、

秀一「ミキちゃん、あんまり自分を責めないでくれよ、僕にとって君は希望なんだよ。僕のオヤジがドクターマンだと言うことは知ってるね。でもね、良心回路さえあれば、ドクターマンだって君のような心を持ってくれるかもしれない、そうなったらメカ人間と人間の戦いもなくなるんだよ。僕と君だって、堂々と友達同士として付き合えるんだよ」
秀一が、言葉を尽くして慰め、励ます。
史朗「そうだ、秀一君の言うとおりだ。君はメカ人間と人間を結ぶ、
初めての存在なんだっ」
ひかる&ブレイン「あ、あのー、私たちのことは?」(第14話より)
どうやら史朗にすっかり忘れ去られてしまったらしい、かわいそうなブレインであった。
しかも、ブレインは良心回路の助けもなしに善の心に目覚め、ひかると心を通わせていたのだから、外見はともかく、こっちのほうがもっと感動的な筈なんだけどね。
秀一「だから大切にして欲しいんだ、君のその心を……」
ミキ「ありがとう、秀一さん」
その後、柴田博士は、みんなを自分の研究室へ連れて行く。
がらんとした倉庫の奥に、バイオベースにも劣らない最新設備があるのを見て、5人は嘆声を放つ。

秀一「郷さんたちと別れてから、博士と出会ったんだ。博士は僕をドクターマンの息子と知って、匿ってくれた。その上博士は、僕を助手にしてくれたんです」
秀一の口から、やっと二人の関係が明かされる。

史朗(一体この人は、何者なんだ?)
無論、この時点では、その正体が○○○○○だとは夢にも気付かない史朗なのだった(註1)。
註……念の為、プリキュアではありません。
と、ピーボから通信が入り、サタンメガスが再び暴れ出したと知らせてくる。
5人はバイオロボで応戦すべく、そこを飛び出そうとするが、ミキに止められる。

ミキ「ダメよ、サタンメガスは不死身なんでしょう。いくらバイオマンでも、バイオロボでも今度はやられてしまうわっ!」

ミキ「それも私がいるから……」
秀一「ミキちゃん!」
ミキ「私さえいなければ」
などとやってると、聞き覚えのある足音が近付いてきて、バイオハンター・シルバが倉庫の扉を押し倒して、颯爽とあらわれる。
シルバ「バイオ粒子反応あり!」
秀一「うるっっっせぇっ! 今それどころじゃねえんだっ!」 シルバ「バイオ粒子反応なし!」
と言うのは嘘だが、同じようなことを叫びたかった視聴者はたくさんいたのではないだろうか。
正直、今回は無理にシルバを出す必要はなかったと思う。
シルバの乱射によって、あえなく博士の研究室は破壊されてしまい、みんなは別の倉庫に移動して身を隠す。
一息つく暇もなく、

史朗「ようし、行くぞ!」
史朗たちは外へ出ようとするが、
ミキ「待って! 私、祈ってみる! 祈ってみる!」
ミキはそんな意味不明の台詞を吐くと、ひとりで倉庫から走り出てしまう。
この流れからすると、ミキが立ち向かう相手はシルバじゃないかと思ってしまう管理人だったが、

そんなことはなく、やっぱりサタンメガスなのだった。
だからして、シルバは出す必要はなかったのである。

ミキ「やめて、サタンメガス、恐ろしいことはやめて!」
ミキ、その場に膝をつくと、両手を強く握り締めて、文字通り祈り始める。
一見、意味のない行為のようにも思えたが、

秀一「ミキちゃんからサタンメガスにエネルギーがワープされる仕組みになっている。もしかしたら、祈りが通じるかもしれない」
と言う秀一の言葉に、とりあえず事の成り行きを見守ることにする。
ミキ「みんな仲良くして、出来るのよ、みんな仲良く出来たら、どんなに素晴らしいことか……」

メイスン「どうしたんだ、サタンメガスが動かないぞっ」
と、やはり感応するものがあるのか、驀進していたサタンメガスが急に止まり、メイスンの操作を受け付けなくなる。
メイスン「よし、リセットしよう」 メイスン、脊髄反射でリセットボタンを押すが、かえってシステムそのものが壊れてしまう。
メイスン「あれ?」
ドクターマン「だから、とりあえずリセットボタン押すんじゃねーって言ってんだろうがっ! おめえはパソコン覚えたてのオヤジかっ!」 と言うのは嘘だが、サタンメガスはピクリとも動かなくなる。

ひかる「通じたわ、祈りが!」
柴田「信じられん。良心回路にあんな力があろうとは……」
いや、信じられんって、あんたが作ったんでしょう?
だが、CM後、ドクターマンの命令を受けると、サタンメガスは何事もなかったように活動を再開する。
続いて、地上に降りてきたメイスンとメッツラーたちと、バイオマンのラス殺陣となる。
しかし、これじゃあ、いちいちビッグスリーがネオメカジャイガンに乗る必要ないような……。
ともあれ、メッツラーを撃退し、再びメイスンの搭乗したサタンメガスと、バイオロボとの三度目の戦いとなる。
ミキにその意志はなくとも、勝手にシステムが働いてエネルギーをワープさせるので、やはり、サタンメガスは何度倒されても蘇ってしまう。

メイスン「ドクターマン様の指令どおり、正しく任務を実行する、これがメカの使命であり、メカの美学なのだっ!」
熱気を帯びた目で断言するメイスン。
ヒーローが正義を信奉しているように、悪には悪なりの哲学と言うものがあるのである。

と、メイスンの言葉に反応したように、ミキがスッと立ち上がり、戦場に向かって走り出す。二人も慌てて追いかける。

秀一「ミキちゃん!」
ミキ「秀一さん、短かかったけど楽しかったわ。みんなとも仲良くなれて、幸せでした」
秀一「ミキちゃん……」
ミキ「博士、博士の作った良心回路は最高ですわ。だって……」

ミキ「だって、愛する人たちのために何をなすべきか教えてくれたんですもの!」
ミキ、柴田博士と秀一の手を取ると、それに愛しそうに頬擦りをしてから、

ミキ「さよなら、さようなら……」
その手を無理に振り解くと、

ミキ「さようならーっ!」
叫びながらサタンメガスに向かって走り出す。

迷うことなくその前でジャンプすると、

両目から赤い光を放ちつつ、

サタンメガスの胸部のエネルギー受信部に体ごと突っ込み、自爆して果てる。
秀一「ミキーっ!」 絶叫する秀一。
壮絶、かつ感動的なシーンであるが、肝心な時に秀一がミキを追いかけずに最初の位置にとどまったままというのが、若干気になる管理人であった。

そして、サタンメガスの顔が、美しく穏やかな、それこそミキのような女性っぽいマスクに変わる。
良心回路が、いや、ミキの魂が見せた奇跡だったのだろうか。
もっとも、それも一瞬のことで、すぐにサタンメガスの顔に戻る。
ミキのいないサタンメガス、一気にザコに成り下がり、「スーパーメーザー・ストレートフラッシュ」で首を刎ねられてから、
レッド「ミキちゃん、見ていてくれ、みんな、スーパーメーザー・バイオ粒子斬りだ!」
最後は必殺「バイオ粒子斬り」で、完膚なきまでに粉砕されるのだった。
戦いには勝ったものの、その代償に失ったものの大きさに、史朗たちも秀一たちも暗い顔で俯いている。
史朗、それでも強いて笑顔を見せると、

史朗「博士のお陰です、メカと、人間が分かり合えたんです。きっと、必ず、いつの日か、手をつなげる日が来ます! いや、来なきゃいけないんだ」

史朗「ミキちゃんのためにも」
秀一「……」
柴田「ミキは良心回路の可能性を教えてくれた。私はこれからももっともっと良心回路の研究を続けるつもりだ」
秀一「僕も、博士を手伝って頑張るよ、郷さん」
史朗「ようし、頑張れよ」
ミキの形見の焼け焦げたスカーフを握り締めて沈んでいた秀一だったが、最後は笑顔を見せて史朗と握手をかわす。
秀一は再び柴田博士と共にいずこかに去るが、二人とも47話から再び登場することになる。
以上、メカ少女と人間の若者の心の触れ合いと、その悲劇的な死を描いた、なかなかドラマティックなストーリーであった。
これでもっと演技が上手くて可愛い女の子がミキを演じていれば、かなりの名篇になっていたのではないかと思う。ま、柴田さんは柴田さんなりに頑張ってるし、可愛いんだけどね。
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