第34話「四国空母化計画!!」(1989年6月25日)
四国ロケ編の後半である。ただし、ストーリー的なつながりは特にない。
それにしても、「四国空母化計画!!」って、びっくりマークふたつもつけて、さも大事のように強調しているが、正直、スケールが大きいんだかみみっちいんだか、微妙なタイトルではある。
予告ナレーションで、一成ちゃんが
「四国は一体どうなってしまうのくわっ!」と、コメカミに青筋立てて絶叫しているが、「どうなってしまうのくわっ」と言われてもねえ……。
だいたい、空母と言うものは機動性が大事なのであって、四国などというクソでかい「島」を空母にしてどうすんだ、と……勢いだけでアホみたいな作戦を考え付くクライシスおよび脚本家にコンコンと説教してやりたくなる管理人であった。
話が先走ってしまった。
さて、今回も、ストーリーよりタイアップ重視の方針で、高松市を中心に、随所に観光名所が映し出されることになる。

まず、今は廃業している屋島ケーブルカーの弁慶号に乗っている光太郎と玲子。
この角度から見た玲子が、妙に綺麗に見える。
一方、今回のゲストである九条親子が、父親の勤める、高松市を中心に展開している食品スーパー・マルナカのトラックで、屋島水族館にやってくる。
なんでスーパーのトラックで来るのか、良く分からないのだが……(註・ほんとは良く分かっている)
で、父親の九条勝を演じているのが、

誰あろう、「ギャバン」の一条寺烈こと、大葉健二さんなのだった!
確か、この時、大葉さんは家庭の事情でJACをやめて故郷の四国に帰ってたんだよね。
それが縁でのゲスト出演となったのだろう。
九条と言うのも、一条寺からのもじりかなぁ?
二人はかぶりつきで、イルカの虐待ショーを見るのだが、

息子のオサムは、ショーを見ると言うより、両手を伸ばして何やら一心に念じていた。
オサムは自分に超能力があると思い込んでいて、超能力でイルカの動きをコントロールしようとしているらしい。
イルカが二頭揃って海面から勢いよく飛び出したのを見て、オサムが歓声を上げる。

オサム「やったよ、お父さん!」
九条「オサム、今のは調教師の人が……」
オサム「違うよ、僕だよ、僕がイルカを動かしたんだ」
九条「気持ちは分かるけどな、この世に超能力なんてものがあるはずがないんだ。この間のスプーンだってお父さんの前では曲がらなかっただろう?」
九条、噛んで含めるように息子を諭すが、

オサム「でも、一人でやった時はほんとに曲がったんだ」
九条「わかった、わかった、そろそろ店に戻らないといけないな」
オサム「僕は、僕は嘘ついてない! お父さんなんて嫌いだっ!」
そろそろ左右の眉毛がくっつきそうな顔で叫ぶオサム。

九条(オサム……すまん、俺の血を引いたばっかりに……)
自分も一度くっついたが、手術で分離に成功した九条が、つらそうな目で息子の眉毛を見詰める。
じゃなくて、
九条「オサム……」
オサムは父親を罵倒すると、そのまま水族館を飛び出し、行方不明となってしまう。
光太郎と玲子は、ケーブルカーを降りて屋島寺と言うお寺に来ていた。

玲子「屋島寺、四国霊場84番札所か」
盛んにシャッターを切りつつ、分かりやすい説明台詞を口にする玲子。
と、彼らの前にお遍路さんの一団があらわれる。

そして、その中に、お遍路さんの格好をしたオサム少年が混じっていた。
うつろな目付きで、いかにも催眠術にかけられていると言った感じ。
玲子「可愛いっ」
玲子は、それが行方不明の子供とは知らず、嬉しそうにレンズを向ける。
彼らの行く手を遮るようにして写真を撮ろうとするが、先頭にいたお遍路さんに突き飛ばされてしまう。
理由は簡単、
邪魔だったからである。
クライシスが乱暴と言うより、玲子が非常識なだけであった。
お遍路の一行は、オサムの靴を片方落として行き過ぎる。
光太郎がそれを拾い上げて、靴底に書かれている九条オサムと言う名前を見ていると、横からすたすたと九条がやってきて、いきなりその靴をひったくる。

九条「けぇっ、オサム、この靴をどうしたんですか?」
光太郎「今、ここ……」
九条「オサムを何処へやったんですか?」
子供がいなくなって半ばパニックになっている九条、光太郎の襟首を掴んで凄い剣幕で問い質す。
玲子「やめてください、その靴はここに落ちてたんです」
九条「この靴は息子の靴なんです」
光太郎「落ち着いてください、息子さんがどうかしたんですか?」
光太郎に強く言われて、やっと九条も我に返る。

九条「ああ……すいません。私が、私がいけなかったんです……あの子を傷付けてしまって……」
それにしても、こうして並ぶと倉田さんの足の長いこと!
大葉さん、ちょっぴり悔しかったのではないかなぁ?

光太郎「オサム君と言うのはどういうお子さんですか?」
九条「あ、はい……」
九条、自分とオサムが写っている写真を出して見せる。
光太郎「この子がオサム君ですか?」
九条「はい」
玲子「光太郎さん、さっきのお遍路!」
光太郎、急いで山門を走り出て、お遍路の姿を探すが、もう影も形も見えなかった。
九条「すいませんでした。どうもありがとうございました。私はトラックで探してみます」
玲子「見付かると良いんだけど……」
九条が走り去った後、玲子は、最近、全国で相次いで子供が失踪すると言う事件が起きており、今回の件もそれではないかと推理する。
光太郎「ひょっとしてこれは……」
玲子「まさか光太郎さん、またクライシスが?」
光太郎「その可能性が強いっ」
いや、さすがに今の段階では、「可能性が強い」とまでは言えないのでは?
さて、屋島(?)の海を見下ろす丘の上に、瀟洒な真新しいペンションのような建物があった。

そして、案の定、各地でさらわれた子供たちはそこに集められ、立派なエスパーになるための教育を受けているのだった。
ま、エスパーと言っても、スプーン曲げなどの念動力オンリーなんだけどね。

子供たちの訓練の様子を、パイプをくわえて満足げに見下ろしている校長風の老人。
演じるのはジャーク将軍の中の人、ガテゾーンの声の人の、高橋利道さんである。
ただし、声は別の人が吹き替えている。ややこしいっ。
老人「さあ、みんな、バーベキューを始めよう」
訓練の一方で、ご馳走をふんだんに用意して子供たちのモチベーションを高めることも忘れない。
しかし、このシチュエーション、宇宙刑事シリーズとかでしょっちゅう見た記憶があるなぁ。
当の大葉さんも、同様の事件にぶつかったことがあるんだよね。

と、老人の背後にスーツを着た秘書風の若い女性が立ち、一礼する。
「RX」のゲストの中ではかなりの美形であり、この瞬間から、管理人の関心は、もっぱら彼女に注がれることになる。
演じるのは高岸佑也子さん……だと思う。
しかし、なんて読むんだろう、この名前? ゆうこ? ゆりこ?

老人、秘書の存在に気付くと体を横にして、何かを待つように佇む。

秘書が、老人の前に回り、右手を上げたので、てっきり、ドM老人へのビンタのご褒美なのかと思ったが、そうではなく、耳打ちして何やらゴニョゴニョ伝えるだけだった。

老人は子供たちに背を向け、芝生の上に出ると、その場で膝を突く。

秘書「……」
女性秘書がゆっくりと振り向き、微笑むと、まるで、こちらのほうが目上の人間であるかのように、老人がうやうやしく一礼する。
正直、このシーン、何の意味があるのか良く分からないのだが、振り向いた秘書のお顔が大変綺麗だったので深くは追及しまい。
二人は、敷地の片隅にある小さな離れの中に入るが、その中には、既にガテゾーンの指揮のもと、なにやら複雑なハイテクシステムが作り出されていた。

秘書「念動力増幅装置の調整は順調ですか」
ガテゾーン「勿論」

秘書「それでは、四国空母化作戦を発動する!」
シャープな顔立ちとマッチした、凛として涼しげな美声でガテゾーンに命令を下す女性秘書。
だが、その正体は、

そう、査察官ダスマダーだったのだ!
まぁ、松井さんってどっちかと言うと華奢な、女性的な顔立ちだから、異なる性の人間に化けても、違和感はなく、このアイディアには大賛成である。
この後も、ダスマダーの人間態としてこのお姉さんに是非とも出て欲しかったところだが、彼女が登場するのはこの34話だけである。

ガテゾーン「我が怪魔ロボット大隊最強の戦士、シュライジン、いよいよお前の出番だ」
高橋さんの声が、高橋さんに向かって話しかけると言う、珍妙なシーン。

老人は、その場で「最強の戦士」シュライジンに変身するが、アシュラマンのような奇抜な造型の割りに、いかにも弱そうな怪人であった。
出てくる怪人すべてが「最強の戦士」と言う、凄いんだか情けないんだか良く分からない四大隊長の謳い文句だが、これはまぁ、毎年絶賛の嵐が吹き荒れるボジョレーヌヴォーのキャッチコピーみたいなものだから、ダスマダーもあえてツッコミは入れない。
それでも、シュライジンには、今回の作戦に欠かせない強力な溶解液と言う武器があった。
モニター越しに、作戦の内容をジャーク将軍たちに誇らしげに説明するダスマダー。
ダスマダー「四国を支える地下の岩盤を溶かし、その上で、全国から集めた子供たちの潜在的な念動力をこの増幅装置によってより高め、放射させたらどうなるか?」

ダスマダー「四国は動く! 我がクライシス帝国の巨大戦略空母となって!」
トホホなミニチュアで再現された、実際に四国が岩盤(?)から切り離されて、太平洋へ漕ぎ出す、笑劇、いや、衝撃の映像。

ジャーク「うん?」
四国をまるごと空母にしようと言う奇想天外かつ意味不明の発想に、さすがのジャーク将軍たちも目が点になる。
おまけに、肝心の動力源が子供たちの超能力と言う、特撮マニアの酒の席の冗談をそのまま実行したようなぶっ飛んだ作戦だった。

ガテゾーン「そうなれば、当然、あの瀬戸大橋も落ちる。ボスガンとゲドリアンの失敗もこの俺が取り返して見せるぜ。ジャーク将軍、ま、見ててくれ」
ダスマダーと言う強力な後ろ盾を得て、急に態度がでかくなったガテゾーン、ジャーク将軍に対し、タメ口を使うと、一方的に通信を切る。
ジャーク「おのれ、ガテゾーンの奴、ダスマダーごときにへつらいおって!」
ちなみに、高橋さんは、この一連のシーンで、ガテゾーンの声、ジャーク将軍のスーツ(?)アクター、そしてシュライジンの人間態と、ひとりで三役をこなすという、大車輪の活躍をされている。
でも、ギャラはひとりぶんしか貰えないのかなぁ?
さて、光太郎と玲子は、マルナカスーパーへ九条に会いに行き、九条の上司に案内されて、意味もなく店内のエスカレーターを使って、屋上へ上がる。

上司「九条は一旦戻って、まだ出掛けました」
光太郎「それじゃ、オサム君は?」
上司「父ひとり、子ひとり、あの子は自分の宝田明、いや、宝だ、どんなことがあっても探し出す、そう言って私に休暇願いを……」
なんでその話をわざわざ屋上でしなくてはならないのか? その謎を解く手掛かりは、彼らの背後に見えるスーパーのロゴマークにあると私は睨んでいる。
光太郎や玲子は勿論、スーパーも総力を挙げてオサム少年の捜索に当たることになる。
そうとは知らず、トラックで、主に観光地をまわっては、道行く人にオサムの写真を見せて尋ねている九条。

高松駅、そして、管理人も大昔遊びに行ったことのある栗林公園。

一方、光太郎たちは、琴平町のいわゆる金毘羅様を訪れていた。
光太郎、ちょうどそこで、お遍路の集団に誘拐されている子供を発見し、なんとか助け出す。
お遍路たちは、やはりチャップが化けていたものだった。
シュライジンが現われ、光太郎もRXに変身して軽く戦うが、どうでもいいのでカット。

CM後、
「西海岸風カフェ アメリカンウェイブ」と言う、ちょっと入るのに勇気がいる喫茶店。

九条「オサム、何処へ行ったんだ?」
九条はそこでコーヒーを飲みながら、息子のことを案じていた。
だが、顔見知りのマスターから、耳寄りな情報を得る。肝心のその情報については不明なのだが、たぶん、奇妙な建物に、大勢の子供たちが集められている……と言うようなことだったのだろう。

一方、店の名前と被らないよう、絶妙の位置にフレームインする光太郎。
ここは先週から泊まっているパークサイドホテル高松のテナントだった。
玲子「あ、光太郎さん、あの子、無事に家に送り届けたわ」
光太郎「それは良かった」
と、店の電話にあの上司から電話が掛かってくる。その内容についても不明だが、九条がその建物に向かったと言う内容だったと思われる。
しかし、なんで上司は、光太郎がその店にいると分かったのだろう?
この辺、最初に書いたように、ストーリーの自然な流れより、完全にタイアップの方を優先してるよね。
「ギャバン」時代に何度も経験したように、単身、敵のアジトに忍び込む九条。

もっとも、今回はただのスーパーの従業員役なので、チャップに見付かって投げ飛ばされても、必要以上にカッコ悪く落っこちるのだった。

九条「うわわーっ!」
それでも、普通の俳優には真似できない芸当を見せる……と言いたいが、これはスタントかなぁ?
その後、光太郎もやってきて、正面からチャイムを鳴らして訪問する。

光太郎「こちらに九条さんと言う方がおられると思うんですが」
秘書「さあ、存じませんね。今日はお客様はどなたもお見えになっておりませんので……どうぞお引き取り下さい」
例の秘書が応対に出るが、にべもなく追い払われる。
一旦その場を離れようとした光太郎だったが、ふと、道端に、九条の乗ってきたトラックが停まっているのに気付き、建物の中に入り込む。
建物の中には誰もいなかったが、例の離れの中では、既に子供たちの超能力によって四国を岩盤から切り離す作戦が開始されていた。

ガテゾーン「もっと念じろ、あと少しで四国は動く、そして我がクライシスの戦略空母となる。そうなれば、いつどこからでも日本列島を包囲、攻撃が出来る!」
光太郎(こいつら、アホや……) 離れに入り込み、ガテゾーンの言葉を耳にした光太郎、全力であきれる。
そして、もう、こんなアホと戦うのは御免だと言う気持ちになるのだった。
じゃなくて、
光太郎「そういうことだったのか?」
秘書「驚きましたか?」
と、女性秘書の声が飛んできて、彼女がゆっくりと階段を下りてくる。

秘書「南光太郎さん、いや、仮面ライダーBLACK RX!」
光太郎「貴様ぁ」
秘書「いずれ、ここまでいらっしゃると思っていました。しかし二度と外へは出られませんよ」
秘書「ここがあなたの墓場ですっ!」 
秘書「むんっ!」
右手を振り上げ、一回転してダスのマダーちゃんの姿に変わった途端、管理人の興味がゼロになる。
光太郎、飛び込んできた九条の目の前でRXに変身すると、ロボライダーに進化する。
仮面ライダーが、これだけあけっぴろげに人前で変身するのは、少なくとも昭和ライダーとしては異例のことである。
子供たちは九条に任せ、シュライジンをサクッと倒して事件は解決する。
ケッ、何が「最強の戦士」だ。
ラスト、意味もなく、マルナカの屋上のロゴマークの映像から、その下の、光太郎と九条の別れのシーンになる。

九条「光太郎さん! いや……あ、いやいや、仮面ライダーBLACK RX」
光太郎「うっふっふっ」
九条「本当にありがとうございました」
光太郎「とんでもない、オサム君を助けたのは九条さんのほうですよ」
九条、光太郎に近付いて耳打ちしてから、深々と頭を下げる。
以上、大葉さんをゲストに迎えながら、前回同様、面白くもなんともないストーリーで、オンエア時も(予告で大葉さんの出演を知って)期待していた分、失望も大きかったことを覚えている
ダスマダーの人間態を演じた女優さんの美しさ以外、見るべきところのない凡作であった。
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