第14話「あの星がおれたちのあしたの地図だよ」(1986年7月14日)
キンクロンたちが、「悪の組織」の大好物、幼稚園の送迎バスをジャックしたと言う事件が発生し、それをスピルバンがホバリアンで追跡している。

スピルバンの見た目でとらえた、臨場感溢れるショット。
ワーラーは別にショッカーではないので、送迎バスをジャックすることが目的ではなく、それによってスピルバンをおびき出すのが狙いだったのだ。

陽子「やめて、やめてください!」
ちょっと嬉しいことに、子供たちと一緒に陽子と言う若い女の先生も人質になっていた。
演じるのは松岡久美さんといい、いかにも幼稚園の先生らしい、素朴な感じの可愛らしさである。
ぶっちゃけ、彼女が出てなかったら、スルーしてただろうな。
無論、幼稚園の先生なので、服装にもメイクにも色気と言うものはまったくなかったが、

時折垣間見える、Tシャツの下の横パイが、なかなか美味しそうなのである。
こういう、飾り気のないシンプルなTシャツこそ、かえってその女性らしいふくらみを際立たせ、ほのかなエロティシズムを醸し出すという、好例である。
また、本人が、そういうことを意識していない分、余計いやらしさが倍化されるという効果もある。
同様の例に、「男はつらいよ」の13作目の、Tシャツ姿の吉永小百合さんなどが挙げられる。
えー、それで、私は一体何の話をしていたのだろうか? そうそうバスジャックの話だった。
スピルバンをまこうと、バスがスピードを上げつつ、カーブを曲がった勢いで、

陽子「きゃーっ!」
園児「!」
陽子先生の体が横倒しになるが、たまたま、眼前にそのキュートなお尻が迫ってきて、思わず食い入るようにそれを見詰める園児がいた。
そう、後に尻フェチとして有名になる、幼き日の管理人である(註・嘘です)。
その後、バスとホバリアンの間に割り込んできたワーラーのトラックも排除して、バスを廃倉庫の中に追い詰めるスピルバン。

ここで、建物の陰から、ファッション雑誌から抜け出してきたような衣装をまとった、シャドーとガシャーが出てきて、

にんまりと笑う。
二人の私服姿が見れたのは嬉しいが、ストーリー上、彼らが私服になる意味は全くない。
あるいは、最初に、二人がその格好で送迎バスに乗り込んで、ジャックする……みたいなシーンがあったが、カットされたのかなぁ?

とにかく、倉庫の入り口でホバリアンから降り、倉庫の中で停まっているバスに近付くスピルバン。
中に入るが、案の定、既にキンクロンも、園児たちの姿も消えていた。
普通は、バスに爆弾が仕掛けられているものだが、今回は拍子抜けするくらい何もなかった。

だが、スピルバンが外へ出て、あちこち倉庫の中を調べ回っていると、背後から突然巨大なドリルが飛んできて、振り向いたスピルバンの胸に激突する。
矢継ぎ早に二本のドリルが飛んでくるが、今度はパンチで弾き返す。
宙に舞ったドリルだが、それはそのまま戦闘機械人の両肩の穴におさまる。

そのドリルは、戦闘機械人ドリルハンダーの体の一部だったのだ。
じゃあ、一本目のドリルはなんだったの? と言う気もするが、この怪人のデザインがめちゃくちゃカッコイイので気にしないことにしよう。
キンクロンたちもどこからか湧いて来て、スピルバンに群がってくる。
が、これもワーラーの陽動作戦で、彼らの最終目標は、スピルバンではなくホバリアンであったのだ。
スピルバンが怪人との戦いに気を取られている隙に、キンクロンたちが、あらかじめ作っておいた秘密のエレベーターリフトでホバリアンを地下のアジトに運び込むと、

これまた事前に用意していたブロックやワイヤーで、動けないようにガチガチに固定する。
スピルバン「ホバリアン! ……ホバリアンが来ない!」
苦戦を認めて、ホバリアンを呼ぶが、当然、ホバリアンはやってこない。
ただ、スピルバンが叫んでから「来ない」と言うまで、せいぜい2秒しか経っていないので、「来ない」と決め付けるのがいくらなんでも早すぎるような気もする。
急いで停めたところまで戻るが、

スピルバン「……」
影も形もなくなっているのを見て、パニくるスピルバン。
しかし、自分のバイクを盗まれてうろたえるスーパーヒーローって、ありそうで滅多にないよね。
とりあえずJAFに電話しようとするが、その時、「ホバリアンは頂戴した」と、バイクを盗んだ犯人の声が倉庫の外から聞こえてくる。

外に出ると、倉庫の屋根の上にデスゼロウたちがふんぞり返っていた。
デスゼロウ「ホバリアンは、この下の格納庫にある」
スピルバン「なにぃ」
ここ、女優さんたちにとってはかなり怖い撮影だったのではないだろうか。
まぁ、仮に落ちても死ぬような高さではないが、立ってるのが傾斜のあるところだからね。
特に、左端のガシャーなんか、いかにも怖いのを我慢して立っているという感じがする。
本番の前に、女優さんたちがスタッフに支えられて、キャーキャー言いながら所定の位置に移動しているところを想像して、ひとりでニヤニヤするのも楽しい。

デスゼロウ「ガイオスで突入するのは易しい」
リッキー「子供たちの命がどうなってもよければの話」
迷わず突入しようとしたスピルバンに、デスゼロウたちの言葉がストップをかける。

スピルバン「サーチアナライザー!」
スピルバンが地下を透視すると、ホバリアンと同じフロアに、陽子先生と子供たちが監禁されていた。
しかも、子供たちのそばには爆弾が仕掛けられており、下手にガイオスで突っ込むと爆発する仕掛けになっていた。
スピルバンが顔を上げると、既にデスゼロウたちの姿は消えていた。
しかし、今回の作戦はあくまでホバリアンを捕獲して分解することにあるのだから、わざわざスピルバンにホバリアンの場所を教える必要はないし、格納庫に置いてないで、さっさとガメデスに搬入すれば良いのではないだろうか?
ともあれ、作戦自体は成功したので、デスゼロウはリッキーたちを引き連れ、意気揚々とパンドラの前に帰還する。

デスゼロウ「ご報告します。ホバリアンを強奪しました。今、エネルギータンクの取り外し作業に掛かっております」

ドクターバイオ「クリンスターエネルギーは素晴らしいパワーを秘めている。もし取り外すことに成功したらスピルバンを倒す手立てが掴めるやもしれん」
パンドラ「グランナスカを撃墜できる兵器を作れ、ガイオスを圧倒できる兵器を作れ、ホバリアンを凌ぐ兵器を作れ、ワーラー様の命令です」
デスゼロウ「お任せください、必ずその成果を!」
パンドラの言葉に、いつも以上に意気込むデスゼロウ。
しかし、何度も言うようだが、そんなワーラー帝国の科学力をも超えるハイテクメカを持ちながら、何でクリン星があっけなくワーラーに滅ぼされたのか、その辺がどうにも釈然としないのである。
一方、対照的に、グランナスカのコックピットでは、

まるでこれから、市営プールの更衣室にカメラを仕掛けて女児の着替えを盗撮して捕まった父親(55才・無職)を警察に引き取りに行く時のような気まずい顔で、スピルバンとダイアナが黙りこくって座っていた。
スピルバン、つと立ち上がると、リモコンのような装置を手に取り、グランナスカの訓練ルームへ行くと、

リモコンのボタンを押して、目の前に、白いローブをまとった奇妙な人物を創り出す。
スピルバン「ティーチャー、一汗流したい」

ツインブレードを振り回して、その剣士と試合を行うスピルバン。
ティーチャーは実在の人物ではなく、グランナスカのコンピューターが創り出した立体映像、つまり、バーチャルキャラクターであり、スピルバンとダイアナの剣の師匠なのである。
今では珍しくもないが、当時としてはかなり斬新なアイディアだったんじゃないかと思う。
スピルバン、ティーチャーと戦うことで気分転換がしたかったようで、しばらく斬り結んだ後、「どうもありがとう」と、晴々した顔でティーチャーに礼を言う。

ダイアナが持ってきてくれたタオルで汗を吹いているスピルバンの姿に合わせて、ナレーションが、いささかくどい気もするが、スピルバンとダイアナ、そしてヘレンの来歴を回想シーンを交えて簡略に語りだし、一種の総集編のような感じになる。
ちびっ子向けのドラマにしては設定がややこしいので、第2クールの始まりに合わせて、改めておさらいしておく必要があるとスタッフが考えたのだろう。
ま、管理人もたまに混乱するので、ここで簡単にまとめておこう。
・14年前、スピルバンとダイアナはワーナーに侵略されたクリン星から巨大母船で脱出
・その2年後、二人はグランナスカで巨大母船から脱出し、地球に向けて出発する
・二人は10年間、コールドスリープで眠り、その間に様々な知識を与えられる
・10年後、二人は青年に成長してカプセルから出るが、それから地球に到達するまでの2年間、ティーチャーや、戦闘シミュレーションによって、みっちり戦闘訓練を受けたことが、今回新たに判明する。
第1話で、初めて遭遇したワーラーたちとスピルバンが手馴れた感じで戦うのに管理人は疑問を提示しておいたが、それに対するエクスキューズのような追加設定である。
それに続いて、ワーラーに捕まっていたスピルバンの姉ヘレンが、ヘルバイラにされた経緯などが語られるが、こちらに関しては特に新情報はない。
CM後、作戦を立てたスピルバンは、ダイアナを連れて再び倉庫へやってくる。
ま、作戦と言っても、ダイアナに見張りのキンクロンたちをひきつけさせている間に、格納庫へ侵入しようと言う、単純なものだったが。
管理人的には、ダイアナの生身のアクションに期待したいところだが、今回は全体にお色気は弱めで、

せいぜい、ヒッププレスでキンクロンを三人まとめて圧殺した時のチラくらいしかなかった。
一方、格納庫では、デスゼロウたちが、ホバリアンの分解に取り掛かっていた。
キンクロンたちの作業を、デスゼロウ、

リッキーたちが見守っている。
……さては、こいつ、自分の貼りたい画像しか貼らないつもりだな?(図星)
さてスピルバン、監視の目を潜り抜けて、なんとか格納庫まで辿り着き、幼稚園児たちに銃を向けていたキンクロンたちを始末するが、さすがにワーラーも無策ではなく、人質に近付こうとしたスピルバンは、張り巡らされていたレーザーバリアに引っ掛かって悶絶する。

デスゼロウ「そこまでだ」
スピルバン「きっさまぁ~」
すかさず、デスゼロウが部下を引き連れ登場。
デスゼロウ「ドリルハンダー、歓迎してやれ」

ドリルハンダーの激しいドリル攻撃を、なんとか凌ぐスピルバン。

スピルバン(結晶すればこのピンチを抜けられる。しかし、子供たちを巻き添えにしてしまう!)
と、スピルバンは葛藤して変身しないのだが、なんで彼が「結晶」したら、子供たちが巻き添えになるのか、そこが良く分からないのである。
爆弾の起爆装置が、「結晶」システムに反応するようになっている、と言うのなら分かるのだが。
ともあれ、結晶せず、なおも生身の体で奮闘するスピルバン。
ところで余談だが、管理人、今年の4月からテレ朝チャンネルで始まった「仮面ライダーオーズ」と言う番組を、第1話から視聴していた。
平成ライダーは、ほとんど見たことがない管理人だが、食わず嫌いをしないで一度虚心坦懐に見れば、それなりに楽しめるのでないかと考えたのだが、確かに、第1話だけに限ればそれなりに面白かった。
だが、回を重ねるごとに興味が薄れてきて、結局8話か10話くらいで見るのをやめてしまった。
乗れなかった理由は色々とあるが、そのひとつは、
「主人公が、敵と遭遇するとすぐにライダーに変身しちゃうこと」ではないかと思うのだ。
我々オールド特撮ファンの思い描くヒーローと言うのは、
1・戦闘員を生身の状態で蹴散らす
2・怪人が登場
3・怪人とも生身の体で戦うが、ピンチに陥る
4・太い眉を怒らせつつ、ヒーローに変身する
5・怪人と戦う
と言う流れが基本だが、とりわけ、この3における、一旦ピンチに陥ると言う箇所が肝要ではないかと思うのだ。
つまり、生身の状態で自分の力を出し切り、頑張るだけ頑張った末に、真の力を発動させてライダーに変身する……
その瞬間に生まれるカタルシスこそ最大かつ最重要であって、怪人を倒す際に生じるのは二次的なカタルシスに過ぎないのである。
が、自分が見た「オーズ」では、戦闘員すらいないので、
1・怪人と遭遇
2・速攻で変身
3・怪人と戦う
と言う、一直線の流れしかなく(無論、エピソードによって例外はあるが)、変身シーンのカタルシスも、怪人を倒す時のカタルシスと大差のないものになっている。
それは同時に、ヒーロー役の俳優が己の肉体を駆使してヒーヒー言いながら敵と戦うシーンが(基本的に)欠如していることを意味し、これまた、管理人が乗れない理由にもなっているのである。
……関係のない話が長くなってしまった。
しかし、「オーズ」に出ていた刑事の妹役の女の子はめっちゃ可愛かったなぁ。

変身できず、ダイアナも駆けつけず、ホバリアンは動けないどころか今にもバラバラにされそうになっている状況で、番組開始以来の最大のピンチに陥るスピルバン。
しかし、いくら幼稚園児を巻き添えにしたくないからって、ここまで頑なに「結晶」しないのは解せない態度である。
ここでスピルバンが死んでしまったら、園児たちは勿論、地球そのものが滅ぼされてしまうのだから、ここは涙を飲んで「結晶」するのが真の戦士の選ぶ道だったろう。
スピルバン「やめろ、ホバリアンに手を出すな!」
そんな状況でありながら、ハンマーや鋸を当てられている愛車の心配をするスピルバン。
と、その思いが通じたのか、

突然、ホバリアンがひとりでに起動し、特殊な光を放って拘束を解くと、デスゼロウたちを蹴散らしながら走り出す。
デスゼロウ「おおわっ!」
リッキー「ああっ」
ホバリアンがスピルバンとドリルハンダーの間に割り込み、ドリルハンダーを翻弄している間に、

スピルバン「いまだ、結晶!」
一応、ここが、前述の最大のカタルシスにならないとおかしいのだが、今回は、
「えっ、子供たちを巻き添えにするから変身できないんじゃなかったの?」と言う疑問の方が先に出てしまうので、いまひとつ盛り上がりに欠ける変身シーンになっているのだった。
とにかく、変身したスピルバンは形勢挽回、ドリルハンダーを蹴散らし、子供たちを救出してダイアナに託す。
デスゼロウたちはあっさり基地を放棄して、仕掛けておいた爆弾を起爆させるが、

スピルバンはホバリアンにまたがって、ゆうゆう地下室から地上へ脱出するのだった。
ここからラス殺陣に入れば、もう詳しく書くこともないのだが、

今回は、トドメを刺す前にスピルバンの脳裏に浮かぶ、いつもの
「怒りの回想シーン」に、何故か、おびえている陽子先生の顔と言う、ほとんど無理矢理なビジョンが選ばれるのだった。
ストーリーからすれば、ここはキンクロンたちに苛められているホバリアンの姿がふさわしいと思うが、さすがにバイクの映像を思い浮かべて怒り狂うのでは、ただの変態だからね。
スピルバン「俺の怒りは爆発寸前!」 とにかく、無理矢理にでも怒りを滾らせるスピルバン、

今回は、ホバリアンに乗ったまま、ツインブレードを構えて突っ込んで行き、

スピルバン「アークインパルス!」
美しい軌跡を描きつつ、ツインブレードを煌かせて、ドリルハンダーを斬る。

そして今回も、画面全体が覆い尽くされるほどの凄まじい爆発が起きるのだった。
ちなみに二枚目の画像の右上、割りと大きめの石が飛んでいるのが見え、いかに爆発の衝撃が強かったかを物語っている。
続いて、陽子先生と幼稚園児たちが笑顔でスピルバンに駆け寄り、礼を言う。

陽子「本当に感謝します」
うーん、ほんと、可愛い。こんな端役なのが勿体無いくらいだ。
ラスト、グランナスカの格納庫に無事戻ってきたホバリアンを、スピルバンとダイアナがねぎらっている。
ま、それはいいのだが、

スピルバン「ご苦労さん、お前も飲むか?」
スピルバンが、祝杯の為のワインを、ホバリアンにもじゃぶじゃぶかけているのは、さすがにどうかと思う。
お前はジュリーか?
ダイアナ「信じられない。自分で動き出したなんて」
スピルバン「生きているんだ、電子頭脳が進化して、意思を持つようになったんだよ、きっと」
また、ホバリアンが勝手に動き出したことについて、スピルバンはこともなげに説明しているが、これまた随分ご都合主義的な解釈であった。
もっとも、ナレーターも「ホバリアンの電子頭脳は長い時間の中で、自分の意思を持つまでに成長していた」と続け、あっさりそれを認めているのだが。
以上、回想シーンで尺が短くなったせいもあり、ストーリーらしきストーリーのないエピソードであった。
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