第15話「大洪水作戦!!」(1974年7月30日)
冒頭、4話で倒されたドリルデスパーが、再生手術を施され、より強力な戦士となって蘇る。
ま、これは、スーツ代を浮かす為の苦肉の策であろう。
なにしろ、第一次オイルショックの真っ只中で、どこも大変だったのだ。
新たにドリルデスパーに与えられたドリル破壊光線と言う武器は、パワーマシーンと呼ばれる特殊な電子部品を組み込んで初めて使用可能になるのである。

ガイゼルとサデスパーの見守る中、山の中で、そのドリル破壊光線のテストが行われる。
ガイゼル「実験、開始!」
サデスパー「あのパワーマシーンをドリルデスパーの体にセットしたので、ドリル破壊光線を発射できるようになりました」
ガイゼル「よし、パワーマシーンの威力を見せよ」
怪人「かしこまりました」
ドリルデスパーは、直ちにドリル破壊光線を前方の山に向かって放つ。
ま、光線と言っても、ワッペンのような飾りの目の部分が光るだけで、光学作画すらないというのが、ビンボーの嵐が吹きまくっているようで悲しいのだが、ま、なにしろオイルの奴がショックなもんで、勘弁してやってつかぁさい。

そういう目で見ると、ドリル破壊光線によって山の中腹から二本ほど吹き上がる爆発も、妙に火薬の量をケチってるように見えてくるから不思議である。
そのしょぼい爆発に合わせて、

これまたしょぼい特撮で、山全体が噴火でも起こしたように盛大に破壊されるシーンとなるのだが、なんとなく違和感がある。
と、その震動に驚いた、近くに住んでいる山沢と言う姉弟が、慌てて自宅から飛び出し、ダムを見下ろす高台にのぼってくる。

由美「ああ、びっくりした。でも、。もう大丈夫よ、ここなら」
健二「ずいぶん大きな地震だったね。お父さんの行ってるダム、大丈夫かな?」
そして、このサロペットスカートが愛らしい由美と言う女の子が、今回のゲストヒロインとなるのです。
ぶっちゃけ、彼女がいなかったらスルーしてただろうなぁ。
演じるのは米田美枝子さん。
二人はダムの技師である父親に会いに、その足で目の前に横たわる奥沢ダムに向かう。
そして、ドリルデスパーが決壊させようとしているのが、その奥沢ダムなのだった。
しかし、大きな地震が起きた(と思われる)のに他の住民が一切出て来ないと言うのはいささか寂しい。

職員「主任、だいじょぶでしょうか?」
山沢「心配はない、この程度の地震でこのダムは崩れるようなことはない」
山沢たちダムの職員も、さっきの爆発による揺れを、ただの地震だと思い込んでいた。
地震計の針が動かなくなったのを見て、引き揚げようとする山沢たちだったが、そこへあらわれた戦闘員によって、山沢以外の三人はあえなく射殺される。
ドリルデスパーは「このダムはデスパー軍団が占領する」と宣言しているのだが、正直、別にそんなことしないで、一気にダムの外側からドリル破壊光線を撃てば良いのでは?
別にダムに爆弾を仕掛けるとか、ダムを放水しようとか考えてる訳じゃないのだから。
ひとり助かった山沢は、なかなかアグレシッブなオヤジで、素手でドリルデスパーに体当たりするほどであった。
で、何故か戦闘員たちが撃つのを躊躇しているうちに、偶然、あの大事な大事なパワーマシーンが外れて落っこちてしまうのであった。

怪人「おおっ!」
雷様におへそを取られたように思わずうろたえるドリやん。
さらに、山沢の靴がパワーマシーンを蹴り、道路を滑るようにして、近くの物陰にいた健二たちの足元に移動する。健二、とりあえずそれを拾うと、

健二「お父さん!」
由美「お父さーん!」

山沢「早く逃げろ!」
健二「お姉さん、逃げよう!」
山沢「決断、早っ!」 ワルモノに捕まっている父親を前にして、一瞬たりとも迷わず、むしろ若干食い気味に姉を促す、たいへん親孝行な健二少年であった。
怪人「捕まえろ!」

怪人の命令に、戦闘員たちが二人を追いかけて一斉に走り出すが、
怪人「ああーん、置いてかないでよーっ!」 どさくさ紛れに、山沢おやじまで逃げ出してしまうのだった。
何のコントだ、これ?
由美たちは必死で逃げるが、父親の方は、ドリルデスパーの逆鱗に触れ、そこから谷に突き落とされてしまう。

二人は鳩舎の後ろに隠れて戦闘員をやり過ごすと、このことを村人に伝えようと、その鳩舎にいたハトにメモを結び付けて解き放つ。
由美「いいわよ」
健二「おい、ポピー、頼むぞ!」
ポピー(……って言われてもなぁ、どないせえっちゅうねん、正味の話) 伝書鳩でもないのに一方的に大役を押し付けられて、困惑気味のポピーさんであった。
ま、仮にポピーが伝書鳩であったとしても、そもそも伝書鳩と言うのはハトの帰巣本能を利用している連絡手段なのだから、鳩舎から飛ばしても意味ないと思うんだけどね。
少年ライダー隊の伝書鳩システムと言い、当時の東映のスタッフは、伝書鳩のことを過大評価する傾向があるようだ。
飼い主の手前、形だけでも大空に飛び立つポピーであったが、あっさり戦闘員に気付かれて撃たれるが、それが落ちてきたのが、ちょうどそこを走っていた五郎と荒井のライジンゴーであった。
彼らはさっきの地震の原因を調べに来ていたのだ。

荒井「手紙がついてるぞ。バケモノが奥沢ダムに現れた。助けて下さい」
五郎に抱かれて、文字通り目を丸くしているポピーが可愛いのである。
しかし、こんな時に、ハトは一体どんなことを考えているのだろう?
ちなみにどう見てもポピーは無事なのだが、エピローグではこの傷が元で死んでしまったらしい。合掌。
さて、由美たちは勝手知ったる山の中を縦横に駆け抜け、渓谷へ降りるが、戦闘員たちも執拗に彼らを追跡し、

子供だとて容赦なくマシンガンをぶっ放してくる。
由美「ああっ、きゃあっ!」
子供に容赦ないのはスタッフも同様で、最後は由美のすぐ後ろで割りと激しい爆発が起きている。
健二「あっ、お姉ちゃん!」
姉の細い足から血が出ているのを見て、健二が血相変えて戻ってくる。

由美「ダメ、もう動けない。健二、早く逃げて!」
健二「お姉ちゃんを置いて行けるもんか!」 オヤジの時とは随分態度が違うな、オイッ!! 由美「バカ、早く逃げるのよ」
健二「いやだ、僕もここで一緒に死ぬ」
姉の言葉に従おうとせず、そんな健気な台詞を口にする健二少年。
まぁ、その気持ちも分からなくはない。
が、シスコンだが賢い健二は、戦闘員がすぐ自分たちを殺さないのを見て、さっき拾ったアイテムが狙いなのだと悟り、彼らに気付かれないよう、パワーマシーンを岩の隙間にそっと落とし込む。

戦闘員は、健二と由美のボディチェックをするが、由美担当の戦闘員の手の動きが、いかにも遠慮がちなのが微笑ましい。
戦闘員「小僧、何処へ隠した?」
健二「そんなもの知らないよ」

戦闘員「言わなければ命はないぞ」
ならばと、由美に銃を突き付けて、健二に白状させようとするが、その時、彼らを見下ろす大きな岩の上に颯爽とあらわれたのが、既に変身済みのイナズマンであった。

戦闘員「イナズマンだ!」
戦闘員は即座にマシンガンを撃つのだが、目の前で銃撃が行われているのに、由美と健二が、落ち着き払った様子で岩に腰掛けているのが、妙にシュールと言うか、まるで別の次元にいるように見えて、面白い。

あと、イナズマンが岩の上から飛び降りるときの、両手を顔の前に掲げたポーズがちょっとカッコイイと思ったので貼っておきました。
イナズマンは戦闘員を追い払った後、大体の事情を聞いた上で、健二からパワーマシーンを預かる。
いや、敵にとって大事なものだと分かっているのなら、さっさと壊せば良いと思うのだが……
まぁ、取引の材料になると思ったのだろう。

由美「痛い!」
と、思い出したように由美が傷の痛みを訴える。
イナズマン「どうしたんだ?」
健二「あいつらにやられたんだ」
イナズマン「これはひどい、医者に診せなければ」
ちょうどそこへ荒井が駆けつけ、とりあえず由美の傷にハンカチを巻きつける。
村の医者のところに連れて行こうと言うことになり、

荒井が、役得を存分に利用しようと由美の細い腰に手を回すが、そこへ爆発と共にあらわれたのが、ドリルデスパーと戦闘員たちであった。

イナズマン「ドリルデスパー、生きていたのか?」
怪人「ぬわっはははははっ、驚いたか、イナズマン。俺は改造され、より強力になったのだ」
イナズマン、記憶力が良く、ちょうど3ヶ月前に倒した敵の名前を覚えていた。
それはそれとして、髪で片目が隠れている由美の可愛いらしいこと!
イナズマンとドリルデスパーたちの戦いが繰り広げられるが、
怪人「俺には大事な仕事がある。貴様を片付けるのはそれからだ! おぼえていろーっ」
ドリルデスパーはそんな捨て台詞を残して早々に退却してしまう。
残ったイナズマンは、
イナズマン「おかしい、あいつが簡単に引き下がるとは、何かワケがあるのか?」 いや……ワケもなにも、いま、自分で「大事な仕事がある」って言ってたやん。
イナズマン、記憶力が良いんだか、悪いんだか……
CM後、

荒井が役得を存分に利用して、由美をおんぶして医者の家にやってくる。
医者と言っても、どう見てもただの藁葺き屋根の民家であったが。
それにしても、遠慮しないでカメラはもっと近くから、出来ればローアングルで、おんぶされた由美の姿を映して欲しかったものだ。
他意はない。
ま、そのかわり、次のカットでは、

荒井が、結構大きな由美の体を、なるべくデリケートゾーンに触れないように支え持っているところや、

由美の体ごと一回転した時の、見えそうで見えない絶妙なアングルのスカートの中などが楽しめる。
荒井が声を掛けると、良い感じのジジイの医者が出て来て、由美の傷の手当てをしてくれる。
そのうち、五郎もやってくる。

五郎「先生」
医者「もう心配は要らん、すぐ治るじゃろう」
五郎「良かったね」
健二「お姉ちゃん、イナズマンがいなかったら、僕たち今頃は死んでたよね」

由美「命の恩人よ、イナズマンは……でもお父さんが」
五郎「お父さんがどうかしたのか?」
健二「怪人がお父さんをダムから突き落としたんだ」
米田美枝子さんは、8話の池永和美さんと同じく、素朴系の女の子である。
池永さんほどではないが、スタイルも良く、なかなかの美形なのである。
などとやってると、村の消防団員が、タンカに乗せて他ならぬ由美たちの父親を運んでくる。
消防団員「ダムの下に倒れてたんですよ、助かりますか」
医者「こりゃ重傷じゃ、早速輸血を……確か山沢さんはA型じゃったな」
医者はその場で同じ血液型の献血者を募り、荒井がそれに応じる。
いや、荒井さんってサイボーグじゃなかったっけ? まぁ、あくまで体の一部が機械で、血液などは普通の人間と同じなのだろう……か?
それは良いのだが、その医者、

いきなりぶっとい注射器を取り出して、それで荒井の血を抜こうとする。
五郎(おいおい、まさかそれで血を抜いて、そのまま山沢さんの体に輸血するつもりじゃないだろうな?) いくら田舎の医者とはいえ、そのあまりに乱暴な方法に恐怖する五郎であった。
……と言うのは嘘だが、昔のドラマでよくあるこの手のシーン、現実の医療現場では、こんな風に血液を提供してもらうことは全くと言っていいほどないそうです。
特にこんな、まともな検査設備もないような診療所(?)では、適合性も調べずに輸血するなど、自殺行為に等しいのである。
あと、全身打撲で重傷なんだから、とりあえず傷の手当てしろよ。
何もしないでいきなり輸血すると言うのが、まずありえない治療法だったろう。
閑話休題、荒井の腕に針を刺そうとする医者だったが、

五郎「この液体はなんだ?」
寸前で、五郎が注射器を掴んで詰問する。
医者「ふっふっふっふっ……メロンシロップ」
荒井「殺す気か!」 じゃなくて、
医者「ふっふっふっふっ……」
五郎「サデスパー!」
医者はあっさり正体を明かし、サデスパーの姿に変わる。
消防団員たちもすべて戦闘員が化けていたもので、ことのついでに荒井に毒でも注射しようとしていたのだろう。
民家の庭で、五郎と荒井は二人を守りつつデスパーと戦うのだが、

由美が、ずーっと五郎の背中にくっついてるのが、実に可愛いのである!
ほんと、ヒーローならずとも守ってあげたくなるよね。

さらに、山の中へ移動し、五郎と由美がドリルデスパーから逃げようと斜面を上がろうとするシーンで、

非常に見にくいのだが、遂に由美のパン チラが発生する!
まぁ、キャプではほとんど分からないし、動画ではなおさら分からないと思うが……
その後、五郎がイナズマンに変身しようとすると、

山沢「渡五郎、この娘は人質だ。動けば命はないぞ!」
こともあろうに、由美の父親が、由美の首にナイフを押し当てて五郎を脅しに掛かる。
そう、山沢はダムから落とされた上、サデスパーに催眠術をかけられてしまったのだ。
怪人「この男は我々の思い通りに動く操り人形なのだ。見ぃてみろ!」
由美「キャーッ! 助けてっ!」
キャプでは分からないが、由美の足が恐怖で細かく震えているのがリアルなのである。
さすがの五郎もパワーマシーンを差し出して降参するしかなく、ドリルデスパーは荒井たちを捜索していたサデスパーのところへ、二人を連行する。

サデスパー「渡五郎、いよいよ貴様の最期だ」
五郎「俺の命は良い、だが、由美さんは助けてやれ」
サデスパー「ほざくなっ!」
五郎のお約束の嘆願に対し、サデスパーは一考する素振りも見せず、その顔をぶん殴る。
五郎(余計なこと言わなきゃ良かった……) そこまでは良かったが、例によってデスパーは最後の詰めが甘く、直接五郎を殺そうとせず、奥沢ダムの前で二人を十字架に縛り付け、

怪人「ドリル破壊光線で、あのダムを破壊してやるのだ。がっはっはっはっ」
五郎「なんだって?」
怪人「あのダムが壊れれば貴様たちは一思いに押し流されてしまうのだ」
と言う、まどろっこしい方法を選ぶのだった。

由美「父はこのダムを作った時の主任技師だったのです、でも父はバケモノの為にあんな風になってしまって……私、死んでも構いません」
すっかり絶望した由美が、突然そんなことを言い出し、涙を堪えるように唇を噛む。
五郎「由美さん、最後まで生きる勇気をもつんだ、諦めるんじゃない!」 五郎がいかにもヒーローらしく、叱咤するように由美に呼びかけるが、
由美「いいんです、私……」
由美は首を横に振ると、観念したように目をつぶってしまう。
やがて、ドリル破壊光線で、奥沢ダムの壁に穴が開き、大量の水がこちらに向かって押し寄せてくる。
ここは、五郎が、自力でいましめを解いて、その言葉を行動で示して欲しかったところだが、結局、近くに隠れていた荒井によって助け出されると言うのが、ちょっとカッコ悪いのだった。
こうなればもう書くことはない。
五郎はイナズマンに変身すると、「ゼーバー逆転チェスト」で時間を戻し、ダムを元通りに修復してしまう。
そしてドリルデスパーを倒し、由美の父親も正気に戻って、事件は解決するのだった。
ラスト、殉職したポピーの代わりに新しいハトを五郎からプレゼントされた健二は、相変わらず伝書鳩の仕組みが分かっておらず、すぐにイナズマンへのお礼の手紙をつけて、大空に解き放つのだった。
……
それっきり、ハトは二度と帰ってこなかったそうです。どっとはらい。
以上、ストーリーはシンプルながら、可愛い女の子とその弟を上手くストーリーに絡めた、なかなかの力作であった。
それにしても、そもそもなんでガイゼルは、あんなにまでして奥沢ダムを決壊させたかったのか、その動機が最後まで良く分からないのだった。
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