第15話「ミカは今どこに…」(1989年7月17日)
前回、冴子を階段から突き落としてしまった涼子の泣き顔があまりに面白かったので、ついその罪をかぶってしまったミカは、直ちにクラブから追放され、そのまま姿を消してしまう……というくだりが、2分くらいかけてリピートされた後、

オーナーたちから事情を聞かされた翔子は、当然、ミカの無実を主張する。
翔子「絶対にありえないことです」
藤木「でも、ミカさんは罪を認めたのよ。認めた以上、クラブを除名にするのは当然だわ」
翔子「除名だなんて……」
既にミカが除名されたと知って絶句してオーナーの顔を見る翔子。

遠藤「草薙先生も一度はミカさんを庇ったのよ、でも傷害事件を起こされた以上、お立場上、やむをえなかったのよ」

翔子「私は信じないわ、ミカがそんな馬鹿を真似をしてたまるもんですか!」
藤木「だったらミカさんはどうして自分で罪を認めたのかしら?」
翔子「ミカと言う子は、自分の為に誰かが傷つくことに耐えられない子なの。それぐらいなら自分が姿を消した方が良いと思う子なの……私がそばにいてあげたら、ミカを守って上げられたのに……」
言外に、オーナーやコーチたちの性急な処置を非難するような声を滲ませてつぶやく翔子。

ミカが行方知れずだと聞くと、居ても立ってもいられないというようにベッドから起きだしてミカを探しに行こうとするが、まだまともに歩くことすら出来ず、みんなに止められる。
遠藤「森谷先生、やめてください!」
翔子「あの子の悲しみが私には手に取るように分かるの、あの子を放っては置けないわ、ミカがかわいそうよ!」

順子「ミカさんを守って上げられなかったのは私なの、私がついていながら……許して」
草薙オーナーも、ミカを信じて小揺るぎもしない翔子の態度に打たれのか、自分の軽率さを悔やむ。
一方、冴子の怪我はかなり重く、面会謝絶となっていた。

病室の前には涼子、二人の若い女性がいたが、そこへ健吾、稔がドタドタやってくる。
稔「冴子に会わせてくれ、聞きたいことがあるんだ」
涼子「冴子さんなら面会謝絶よ」
健吾「冴子さんの容態はどうなんですか?」

女性「
骨折はなかったけど、腰や手足を強く打ちつけてるので回復までには相当時間が掛かるわね」
えっ? 骨折もせず、頭も打ってないのに面会謝絶?
重いのか軽いのか良く分からない不思議な怪我をしている冴子さんであった。
稔「ミカが金を盗る現場を見られて冴子を呼び出して階段から突き落としたってのはほんとかい?」
女性「冴子さんは眩暈がして階段から落ちたのよ」
なおこの二人の女性、あまり見ない顔だが、稔たちとの話し振りを見ると、どうやら冴子の家族や友人などではなく、クラブのコーチらしい。

稔「よう、涼子さん、本当なのかい?」
涼子「ええ、ほんとうよ」
女性「涼子さん!」
涼子「この人たちに隠し立てしても始まらないわ。私は現場を見たの。ミカさんが冴子さんを突き落としたの……」
真犯人である涼子、澄ました顔で、自分から罪を被ってくれたミカの仕業だと公言する。
前回、ミカの前で感情を爆発させて泣き喚き、少しは反省したのかと思いきや、やはり涼子は涼子であった。その性根は、救い難いほど腐り切っていた。
まさにサイテーと言う言葉がふさわしい。
なお、クラブ側では、病院に対しては冴子が勝手に階段から落ちたということにしてあるのだろう。ミカとクラブの名誉を守る為に。
それなら、警察が捜査に乗り出さないのも納得できるが、要するに事件の隠蔽であり、冴子やその保護者にしてみれば、
「なにさらしてけつかるんじゃワレェ!」と言うことになるのではないだろうか。
もっとも、後のシーンから推測すると、冴子自身は何を思ったか、真相を周囲には話さず、「眩暈がして階段から落ちた」と言う説明で押し通してしまったらしい。この点については後述する。

ミカの居所は、次のシーンで視聴者に対してはあっけらかんと示される。
ミカは伊豆のペンションに住み込みで働いていた。
これもねえ、家出少女同然のミカを保護者の同意もなしに雇ってくれるだろうかという現実的な疑問がつきまとうが、ドラマなのだからと気にしないことにする。

なお、ミカがその場所を選んだのは、近くに温水リハビリセンター施設があって、仕事が終わった後、そこのプールでシンクロの練習ができるからであった。
そう、ミカはまだシンクロの道を諦めてはいなかったのだ。
何故なら、これはシンクロのドラマだからである!
ここでミカに水球などに転向されては困るのだ。

クラブと同じ競技用水着なのが残念だが、それでも相変わらず美味しそうなボディを観賞できる。
ミカのコーチは、翔子からFAXで送られていた手書きの練習メニューであった。

と、そこへふらりと入ってきた品のある老婦人。
ミカが一心不乱に練習しているのを微笑を浮かべて見ていたが、ミカが潜水姿勢になるとリズムを取るかのように、杖で手摺の横棒を叩いて金属質の音を響かせると言う謎めいた行動を取る。
早くもタダモノではないオーラを出すこの人こそ、翔子の師匠であり、かつてシンクロの名選手だった川端厚子女史である。演じるのは暗闇司令の奥さんこと、南田洋子さん。
ミカが水面に顔を出し、怪訝そうに老婦人を見るが、彼女は無言でプールから出て行く。

その後、水着の上からシャツを着た、なかなか悩ましいスタイルでプールの掃除をしているミカ。
ミカは、プールの清掃を条件に、プールの利用許可を貰ったのだ。

と、再びあの老婦人が現われたので、ミカ、にこやかな笑みを浮かべて会釈するが、またしても老婦人は何も言わずに去って行く。
(何者なんだろう?)と言う、当然の疑問を抱くミカ。
ちなみにこの二枚目の画像、ちょっとだけ老けて見えて、大人になった宮沢りえさんの面影がある。
やっぱり、同一人物なんだなぁと思う管理人であった(当たり前だ)
仕事のあと、いつものように巨乳をゆさゆさ揺らしながら草むらの中の道をリハビリセンターに向けて走るミカ。

ミカ(駄目だ、何度やっても体が沈んでしまう。何処が悪いのかしら?)
だが、やはり一人での練習には限界があって、ミカはひとつの大きな壁にぶつかっていた。

ふと、プールサイドに目をやると、いつの間にか来たのか、あの老婦人が手摺のそばに立っていて、ミカに何かを教えるように、しきりに手を動かしていた。

ミカ(あの手の動き、スカーリングだわぁ。そうか、スカーリングの角度が違っていたんだ)
勘の良いミカは、すぐそのことに気付き、手の動きを修正してもう一度試すが、やはり体が沈んでしまう。

ミカ(駄目だ、スカーリングをしても体が沈んでしまう……)

ヒントを求めて、もう一度老婦人を見ると、今度は、人差し指で目の下を叩き、それから顔を上向いて見せる。

ミカ(目? 目がどうしたというの? 目を上に? そうか、私はフラミンゴから垂直姿勢に移る時に膝を見ていたんだぁ、それで……)
二つの助言をもとに、もう一度試すミカ。

今度は見事に思い通りの動きとなり、水中で綺麗な垂直姿勢を取ることができた。
無論、これは、本職のシンクロ選手が演じているのだ。

顔は見えないけど、この人もなかなか美味しそうな体をしている。
管理人、真顔で思うのだが、女性の体の美しさをより引き立てるために、シンクロは
全裸でやったほうが絶対良いと……すいません、もう言いません!
しかし、このプールって、リハビリ用のプールなんでしょ? クソ深くない?
底に、リハビリ患者たちの死体が沈んでたら、結構笑えたんじゃないかと思う(註・笑えません)
ミカ「出来たっ!」
水面に浮上して、思わず叫ぶミカだったが、謎の老婦人は既に姿を消していた。
オーナー「ミカさん、今日予約ないから、午後から自由時間にしていいわよ」

ある日、ミカが、ハンカチを大きなリボンのように結び、ジーンズにエプロンドレスを着て可愛らしく仕事をしていると、女性オーナーがそう言ってくれる。
しかし、こんな可愛い女の子が働いているペンションなら、毎日大勢の客が突撃隊形で突っ込んできそうだが、まぁ、来て見ないと分からないからね。今みたいにSNSで拡散される訳じゃないし。

ミカ「はいっ!」
嬉しそうに返事するミカがめっちゃ可愛いのである!

ミカ、リハビリセンターの廊下を歩いていると、リハビリテーションルームと書かれた部屋で、あの老婦人がベッドにうつ伏せになって、電気治療のような治療を受けているのが見えた。
ミカ、老婦人にあることを頼もうと考え、部屋の外の壁に背中をつけ、治療が終わるのを待つことにする。
一方、東京でも、翔子が病院のリハビリルームで歩行訓練を行っていた。そこへ草薙オーナーが来て、まだミカの行方が分からないと告げる。

順子「ミカさん、仙台に帰ったんじゃないかしら?」
翔子「ミカは千台には帰っていませんわ。葉月さんはこちらでミカが元気にやってると思ってるんですもの」
順子「まだ、ミカさんのこと伝えてなかったの?」
やや呆れ気味に言う順子だったが、

翔子「強引にミカを説得して連れてきたのは私なんですよ、クラブを除名になって姿を消したなんて話せるわけ無いじゃありませんか」
翔子、当たり前だのクラッカー的な口調で断言するが、まだ16才の少女が失踪したと言うのに、実の父親に一言も言わないというのは、さすがに無責任なのでは?
翔子は、冴子に会って話を聞きたいと言うが、オーナーは既に冴子は退院していると言う。
と言うことは、あの事件から結構日数が経っているのだろう。

順子「おうちにも行ってみたのよ、田舎に静養に行かせたというの」
翔子「田舎は何処なんですか」
順子「話してくれないのよ、ご両親は娘を傷付けられたと思って私たちを恨んでるようなの」
いや、「傷付けられたと思って」って……、(犯人が涼子であれミカであれ)クラブのメンバー同士のいざこざが原因なのだから、恨むどころか、下手すりゃ損害賠償請求されてるところだろう。
冴子が両親に事実を打ち明けていれば、刑事事件にまで発展していたかも知れないと思うのだが、さっきも言ったように冴子は何故かそのことは自分の胸に秘め、自分が誤って転落したと説明しているのだろう。しかし、両親は娘の態度から、それが嘘だと見抜き、スイミングクラブが隠蔽工作を図ったのではないかと疑い、「恨んでる」のか?
ま、警察が動き出していないことから、草薙オーナーが事故の原因を隠蔽したのは本当らしい。
……でも、もし意識を取り戻した冴子が本当のことをぶちまけていたら、順子たちはどうするつもりだったのだろう?
どうも、この冴子の怪我の処理については、ドラマ的に納得のいかない点が多い。
それはともかく、ミカは老婦人を待ちながら、心の中で「ミカのことを心配しないでください」と翔子に語り掛けていた。

ミカ(ミカはシンクロを忘れていません、忘れるどころか凄く情熱を感じちゃって……前よりもっともっと好きになってるんです)

やがて、肩にタオルを引っ掛けて「ああ、いい湯だった」と言う感じで老婦人が部屋から出てくる。
ミカ「あの、今朝はありがとうございました。私、葉月ミカといいます。お名前を伺っていいでしょうか」
厚子「私の? 私は川端厚子」
ミカ「シンクロをなさってたんですか」
厚子「うふふ、遠い遠い昔ね」

ミカ「わたしにシンクロを教えて頂けませんか」
厚子「私がぁ? 私は交通事故でリハビリに来てるただのおばちゃんよ」
ミカ「嘘です、あなたはシンクロを良くご存知です。今朝教えていただいた事、凄くタメになりました」
厚子「そうぉ?」
熱心に頼まれて、満更でもない顔になる厚子。

で、ミカをプールに連れて行き、ラジカセから流れる音楽にあわせて、自由に演技してみろと言う。その演技によって、コーチを引き受けるかどうか決めると言うのだ。

まだ初心者の域を脱していないミカ、戸惑いつつ、プールサイドで適当なポーズを決めてから、プールの中へ。
シンクロは初心者だが、天才バレリーナとして鳴らしたミカなので、その辺はお手の物であった。宮沢りえさんも、たぶんバレエくらいはやっていただろうから、長く美しい手足が伸び伸びとして、実にサマになっている。

とにかく、演技を終えてぜーぜー言いながらプールから這い上がったミカに対し、厚子の放った第一声は、
厚子「あんた、下手ねえ。ほんとに下手ねえ」 ミカ「……」
であった。
思わず相手をプールに突き落としたくなったミカだったが、なんとか堪える。
ミカ「駄目ですか」
厚子「でも鍛え甲斐はあるわね」
ミカ「コーチして頂けますか」
厚子「私の稽古に耐えられるなら、コーチしてあげてもいいわよ」
ミカ「私、厳しい稽古には慣れてます。泣き言なんていいません。ビシビシ鍛えて下さい」
厚子「ふふ、その言葉を忘れないようにね」
鬼のように厳しい翔子にコーチされてきたミカ、自信たっぷりに約束し、無事、厚子に(タダで)コーチして貰えることになる。
早速その場で厚子のコーチが始まるが、
特に面白くないのでカット。

ミカ(なんて人なの、あんなに厳しいなんて思わなかった。翔子先生の練習のほうがよっぽどマシだったわ)
だが、厚子の指導の厳しさは翔子の比ではなく、練習後、ミカはロッカールームで酷使した自分のふくらはぎをしきりにマッサージしながら心の中でぼやいていた。
宮沢さん、普通の芝居はだいぶ上達したが、こういうモノローグはまだ棒読みと大差ない。
ミカ(でも、やめるわけに行かないんだ、私を捨てたお母さんに負けることになる) え……、
なんで? なんででもです!
一方、順子は電話で翔子と話し、やはり節也にミカのことを知らせたほうがいいのではないかと至極常識的な提案をしていたが、翔子はあくまでそれを拒む。

翔子「ミカの居場所が分からない以上、葉月さんに心配をかけるだけですわ。仮にですよ、ミカが見付かったとしても、葉月さんはミカを仙台に連れ戻すに決まっています」
順子「それでも、ミカさんのためには……」
ミカがシンクロを続けられなくなるのなら、このまま行方不明のままでいたほうが良いと言ってるようにさえ聞こえる翔子のエゴい台詞に、順子が人生の先輩として教え諭すように説こうとするが、
翔子「草薙先生、ミカのことは私が全責任を負います。私はもうすぐ退院してミカを見付け出します。ですから!」
まるで聞く耳を持たず、一方的にまくし立てると、電話を切ってしまう。
しかし、この翔子の子供っぽいとも言える頑なな態度、ただ単に、節也に叱られたくないから、ミカのことを秘密にしておきたい言ってるようにも聞こえるのである。
ま、これはドラマだからミカが最後には無事に帰ってくるのが分かってるけど、現実にそんなことになって、仮にミカが何らかの事件に巻き込まれて死んでしまったりしたら、節也が、クリリンを殺された悟空のように怒り狂うのは目に見えてるもんね。
以下、その時の翔子と節也の電話を妄想してみた。
翔子「あ、葉月さん、森谷です。実はミカのことなんですが……」
節也「え、ミカがどうかしたんですか?」
翔子「死にました」 節也「は? 死んだ? 誰が死んだんですか」
翔子「ですから、お嬢さんが亡くなったんです。なんでも変質者に殺されたとかで」
節也「ミ、ミカが死んだーっ? ころ、殺された……、変質者って、クラブの中でですか?」
翔子「いえ、それが、その、伊豆のペンションの近くで……」
節也「伊豆? ペンション? なんでミカがそんなところに」
翔子「ええ、実は、だいぶ前にミカはクラブを除名されて、そのまま行方不明になってまして……」
節也「はぁー? なんでその時、すぐ私に知らせてくれなかったんですかっ?」
翔子「す、すみません」
節也「すみませんで済むことじゃないでしょお! 森谷さん、あなた、ミカのことは責任を持つって……」
翔子「あ、ごめんなさい、
キャッチが入ったので!」
節也「キャッチだぁ? おい、コラ待て、翔子ぉおおおおおおーーーっ!!」 長くなってしまったが、そう言うことも十分考えられたわけで、予知能力の無い翔子が、ミカのことを父親に何も知らせなかったと言うのは、やっぱりどう考えてもおかしい。
電話が切れた後、順子は涼子に、あくまでミカのことを信じるべきだったと後悔の念を漏らすが、

涼子「そんなことないわよ、お母様、ミカさんが自分から罪を認めたんだもの、仕方ないわよ」
と、
真犯人が申しております。
そこへ、順子の夫の洋平が出張から帰ってくる。

洋平「葉月ミカ君を除名にしたんだって?」
順子「ええ」
洋平「お金を盗んだり、人を傷つけたり、家庭環境が悪かったんだろうねえ」
順子「そんなことありません!」
洋平「いや、しかし、母親の顔も知らずに育った子なんだろう? 父親は父親で仕事にかまけて娘をほったらかしだと言うじゃないか」
順子「……」
順子は夫に反論したかったが、出来なかった。何故なら、順子こそ……
再び伊豆。

ミカ(コーチ、ミカは頑張ってます。川端先生はコーチの何倍も厳しくて、逃げ出したくなる時もあるけど、その分、シンクロが身に付くような気がします……)
ペンションの自室の窓から夜景を見ながら、心の中で翔子に語り掛けるミカ。
しかし、翔子の態度もアレだが、ミカも、心の中で語るだけじゃなくてせめて手紙を出して翔子を安心させてやったらどや? と思うのだが。
あるいは電話の一本も入れるとか。

翌朝、窓のカーテンを開けて美しい伊豆の海岸を眺めているミカ。
その日は遅くまで仕事があって、ミカがリハビリ施設へやって来た時には既に日が落ち、建物の中はがらんとしていた。

曲がり角で、車椅子の少女とぶつかりそうになって「ごめんなさいっ」と、とびのくが、相手の顔を見て「あっ」と思わず声を上げる。

冴子「ミカぁ!」
そう、意外にもそれは冴子であった。つまり、冴子の両親が静養(リハビリ)先に選んだのが、偶然にもそのリハビリ施設だったと言う訳なのだ。
……
あるよね、そういう偶然!(ねえよ)

ミカ「冴子さんじゃない、お久しぶり、こんなところで冴子さんに会えるなんて思わなかったわぁ」
相変わらず誰に対しても屈託の無いミカ、曇りのない笑顔で再会を驚き、かつ喜んで見せる。
冴子「父の命令でリハビリに来たのよ。ミカこそ、どうしてここに?」
ミカ「私、ここのプールを借りてるの」
冴子「シンクロの為に?」
ミカ「ええ、シンクロだけは続けたいと思って」
冴子「私を突き飛ばしたのは涼子さんなのに、ミカは自分がやったって言ったそうね、どうして涼子さんを庇ったりしたの?」
ミカ「……」

冴子「もっとも、ミカが何もかも被ってくれたお陰で、私は除名されずに済んだんだから、ミカに感謝しなければいけないわね」
なるほど、涼子との争いの経緯を話せば、冴子が涼子の指示で泥棒をしていたことまで露見してしまうかもしれない。だから、冴子は「誤って転落した」と、偽りの証言をしたのか。涼子を庇う為ではなく、自分を庇う為に。
冴子「馬鹿な人よ、信じられないぐらい馬鹿な人よ!」 冴子は呆れたようにミカのことを悪し様に評するが、その声と口調には、僅かながらミカの度外れた愚直さに対する賞賛の念が混じっているようでもあった。

ミカ「お部屋まで送るわ」
冴子「やめて、後ろから突き飛ばされたんじゃたまらないわ」 ミカ「そんなぁ」
冴子「断っておくわよ、ミカ、あなたは私とは何の関係もない人よ、私とここであっても気軽に声を掛けないで!」
ミカ「……」

久しぶりに会った知り合いにそんなことを言われては、さすがのミカもしゅんとなり、寂しそうに向こうへ行ってしまう。
しかし、冴子の「後ろから~」と言うのは、実際にミカが階段から突き飛ばしていたのならともかく、真犯人は涼子なのだから、いまひとつ効果的なイヤミになってない気がする。
厚子は、彼らの会話を廊下の角で立ち聞きしていたが、何も言わずに素知らぬ顔で冴子と擦れ違う。
ラスト、いつものように、厚子の厳しい指導を受けるミカの苦闘を描きつつ、16話へ続く。
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