第36話「帰ってきたアイツ!~銭形雷襲撃事件」(2006年9月2日)

冒頭、警視庁の地下射撃訓練場で、高村が、真剣な面持ちでごついリボルバーに弾を込め、的に向けて構える。
それを固唾を呑んで見守っている雷。
突然のハードボイルドだど! 的導入部であったが、高村の撃った弾はまるっきり違うところに飛んで行き、あちこちの壁や柱に何度も跳ね返り、

雷「どっち、どっち? うわぁあああっ! ああっ!」
雷はもとより、撃った高村本人までビビッて立ち竦むと言う、いつもの「雷」のテイストに戻るのだった。

雷「あー、びっくりしたぁ」
高村「あ゛ぶねえ」 雷「あぶねえじゃないですよぉ」
高村「だ、だ、だいじょぶか?」 雷「はい(笑)だいじょぶですけど……」
文字では分からないが、ここで高村、と言うか草刈さんが、妙に野太い作り声で喋っており、その不意打ちを喰らって小出さんが素で笑っているのが楽しい。
つーか、実弾の入った銃を人に向けるんじゃない!
雷「もう、射撃が得意って言うのは本当なんですか」
高村「本当だよ、ロス市警の射撃大会で、100人中ベスト100だったんだから」
雷「それってビリじゃん……」
雷、何か思いついたように、ケースから、銃身に稲妻のマークのついたオートマティックを取り出し、それで撃つよう勧める。
高村、それでもう一度撃つと、今度は見事に的の真ん中を射抜く。
高村「これが射撃と言うもんだよ、銭形君」
雷「じゃあ私も」
高村「そんな構えじゃダメだよ」

ついで、雷も、黄色のゴーグルとイヤープロテクターを装着し、凛々可愛く(註・凛々しく、且つ可愛いの意)銃を構える。
立て続けに数発撃つが、

結果はごらんの通り、的に銃痕で稲妻マークを書くという、早川健のような芸当を見せる。
何気に雷は、銭形シスターズの中で、一番射撃がうまいのだ。
その後、二人が歩道を歩いていると、突然、占い師のような格好をした女性が話しかけてくる。

波江「銭形さんですね」
雷「えっ?」
女性は、自分の名刺を二人の前に突き出す。
高村「予言者?」
雷「早乙女波江……」
波江「重要なお話があります」
波江を演じるのは、ご存知、「スケバン刑事3」の結花姉ちゃんこと、大西結花さんである。
すっかりオバ……いや、オバQの似合う年頃になったね(意味不明)。
ま、なにしろ「スケバン刑事3」から、ほぼ20年経ってるもんね。
ともあれ二人は警視庁の喫茶コーナーで話を聞くが、占いで、雷が、何者かに殺されるビジョンを見たから気をつけなせえと言う、とりとめのないものだった。
波江は、今日一日、自分と行動を共にしていれば、まだ助かる可能性があると言うが、高村は馬鹿馬鹿しそうに話を打ち切って、雷をうながして席を立とうとする。
だが、

波江「あっ、見えたわ、犯人のビジョンが……」
波江の叫び声に、思わず立ち止まる二人。
波江「あなたに激しい恨みを抱いている……そう、それはあなたがかつて逮捕した男」
雷「……」
と、絶妙のタイミングで、雷のケータイに事件を知らせる緊急入電が入ってくる。
田沢と言う凶悪殺人犯が刑務所から脱走したと言うのだ。
そして、田沢を逮捕したのが、他ならぬ雷だった。
なお、この田沢と言うキャラクター、11話のレインボーマン事件に出て来たとオフィシャルブックに書いてあるのだが、そんなキャラがいた記憶が全くなくて困惑していたのだが、どうやら、本編のストーリーとは関係なく、冒頭にお仕置きだけされて逮捕される男がいたが、それが田沢だったらしい(確認してないけど)。
ともあれ、田沢の独房には、「警視庁の銭形を殺しに行く」と血で書いてあり、雷のいる警視庁は、にわかに緊張に包まれる。

波江「だから言ったでしょう、このままだと本当に殺されてしまうわよ」
高村「あなた、まだいたんですか?」
波江「予言を見届けるのは私のさだめ」
しかし、なんでただの一般市民が勝手にこんなところまで入って来てるの?
ま、一応予言が当たったから、高村もむげに追い出す訳に行かなかったのだろう。

高村「ところでどういう奴なの、この田沢って男は?」
雷「岡野さんとだいぶ前に捕まえた凶悪犯です。野蛮な性格で、逮捕の時もかなり梃子摺りました」
高村、田沢が、日本のアルカトラズと言われている赤坂刑務所から脱走したことに驚いていたが、それを聞いた雷は早くも「よどむ、悪の天気……」と、何か手掛かりを見付けたことを示唆する。
ちなみに雷の背後に一瞬映るホワイトボードには田沢の起こした事件が列挙してあるのだが、
・アイドル小出早織ストーカー事件
・記録・浦川友紀スッピン盗撮事件
などという、楽屋オチ的な事件も散見される。
その後、波江が「電話が鳴るわ」と予言すると、直後に彼らのいる刑事部屋の電話が鳴り響く。
しかも電話は、田沢からのものだった。
雷、すぐ高村に逆探をさせると、外部スピーカーにして、

雷「どちらさまですか?」
田沢「もう~、分かってるくせに! 田沢でぇえええっす!」 高村&柴田「……」
田沢のいかにも今時のバカモノ風の声に、憮然とした顔で立ち尽くすおじさんコンビ。
雷「どうして脱獄なんかしたの?」
田沢「会いたくなっちゃったんだよぉ、ううん、雷ちゃんにっ、チュッ!」
雷「いいです、私は」
田沢「つれないなぁ~、ま、いいや、もうじき会えるから……」
最後に意味ありげな一言を残して、田沢は電話を切る。
それでも、警視庁のど真ん中にいることもあって、高村たちは強いて暢気に構えていたが、逆探知の結果、田沢がその警視庁から電話を掛けてきたことが分かり、再び高村たちの顔が険しくなる。
警視庁内部に警報が鳴り響き、銃を持った警官が右往左往すると言う、「ケータイ刑事」シリーズでもなかなかお目にかかれないスリリングな状況となる。

ま、雷を守るのが、いかにも弱そうなSWAT(正確にはSATって言うのだろうが、便宜上、こう呼ぶ)二人だけと言うのが、若干悲しいが……
さらに、依然として一般人の波江が付きまとうと言うのも、いまひとつリアリティがないが、彼女がいないとドラマが成立しないので大目に見よう。
その波江が、移動しながらあちこちに四角いお札のようなものを貼っているのを、雷が見咎める。

雷「波江さん、それは?」
波江「魔除けよ、あいつをあなたから遠ざける為の」

雷「……」
本来の雷なら、それだけで事件の真相に到達しても良さそうだったが、そうすると話が終わってしまうので、あえて雷は何も言わない。
その後も、波江に「こっちはダメ、危険なビジョンが見えるの!」などと世迷言を言われて、それに唯々諾々と従って誘導される高村たちと言う、ちょっと不自然なシーンが出て来るが、仕方あるまい。
結局、雷が「絶対安全な場所」として選んだのは(劇場版で雷が侵入することになる)銭形警視総監の執務室だった。

高村「なるほど、警視総監室か」
雷「この部屋の窓はすべて防弾ガラスで出来ています」
柴田「内も外も守りは万全って訳ですね」
しかし、田沢は建物の中にいるのだから、防弾ガラスはあまり関係ないと思うが。
と、今度は館内スピーカーから、また田沢のムカつく声が流れ出す。
田沢「雷ちゅわぁあああ~ん、何処行っちゃったの? 隠れてないで出ておいでよ!」

高村「通信室だ」
雷「私も行きます」
高村「ダメだ」
雷「でも、でも……」
高村に続こうとして止められて戸惑う、雷が健気で可愛いのである!
高村「君にもしものことがあったら総監に合わせる顔がない」
雷「高村さん……」
高村はそう言って柴田と一緒に田沢を探しに出て行くのだが、これも、冷静に考えたら少し変である。
わざわざ標的の雷から離れ、得体の知れない民間人と二人きりにしてる訳だから。
別に警官は高村たちだけじゃないのだから、田沢の声を聞いたほかの警官も向かってる筈だしね。
あと、部屋の外にはインチキSWAT二人が見張りに立っていたのだから(註1)、そのひとりを部屋に入れて雷を警護させるのが、高村の取るべき最善の方策だったろう。
註1……細かく突っ込みを入れれば、SWATが部屋の前に立ってたら、その中に雷がいるのだと犯人に教えているようなものである。
それはさておき、高村と柴田は通信室に向かって廊下を進んでいたが、前方から、「にゃあああーっ!」と、山田奈緒子みたいな声が聞こえてくる。
二人が通信室の前まで駆けつけると、横手の廊下に、制服警官がうつ伏せに倒れて呻いていた。

警官「う、うう……」
高村「おい、しっかりしろ。田沢にやられたの? どっち行った?」
警官「ああ、あ……」
二人は警官の指差した方へ行くが、既に田沢の姿はなかった。
だが、これは、この手の映画を見慣れている人にはすぐピンと来る、使い古されたトリックであった。
そう、倒れていた警官は本物の警官ではなく、彼こそ田沢だったのである。
田沢は油断しきっている二人の背後にゆらりと立つと、そばにあった消火器を思いっきり振り下ろして二人を昏倒させる。

一方、雷は、何か気になることがあるのか、白くて細い腕を組み、考え深げな顔で、部屋の中を行ったり来たりしていた。
波江「ピリピリしてても始まらないわ」
雷「あ、すみません」
ここで波江がのんびりとお茶を入れてすすめるのだが、なんか、「スケバン刑事3」で、血気にはやる唯をなだめている結花の姿が重なって見えて、ちょっとウルウルしてしまう管理人であった。
と、逆探知をしていた警官から再び連絡があり、最初に田沢が電話を掛けてきたのは、今雷のいる警視総監室だと告げる。
雷「えっ、じゃあさっきまでここに?」
どうでもいいけど、警視庁のセキュリティー、いくらなんでも緩々過ぎないか?
いくら警視総監が外遊しているからって、部外者に易々と入られるなんて。
続いて、波江が床の上にばったり倒れ、苦しそうに呻き出す。

雷「どうしたんですか?」
波江「苦しいっ」
雷「まさか……すぐに医務室に行きましょう」
雷、直前に田沢がこの部屋にいたという連想から、波江が入れたお茶に何か毒が仕込んであったのではないかと考え、波江を医務室へ連れて行こうとするが、
波江「ダメよ、今出たら、あなたが殺されるわ!」
雷「でもぉ」
いや、それこそ、SWATのひとりに頼んで医務室へ連れて行って貰えば良いのでは?
ここまで来ると、波江だけじゃなく、雷も田沢の共犯なのではないかと勘繰りたくなるが、雷は、犯人たちの思惑通り、代わりに医務室に電話して、医者にこっちまで来てくれるよう頼む。
一方、高村たちはやっと目を覚まし、雷に電話して、田沢が警官に変装していると警告する。
その直後、ドアを叩く音がする。
雷、ゆっくりとドアに近付くと、おそるおそる覗き窓から外を見る。

田沢「解毒剤をお持ちしました」
そこに立っていたのは、白衣をまとった、いかにも胡散臭い風貌の医者……に化けた田沢だった。
雷「今開けます……そう言うことか」
雷、ドアを開けようとするが、その時、田沢の何気ない一言から一気に事件の真相に到達してしまう。
しかし、そもそも雷の眼力なら、事前に警官に化けていると先入観を植え付けられていたとしても、一目でそれが田沢の変装だと見破れると思うんだけどね。

雷「謎は解けたよ、ワトソン君!」
それはさておき、覗き窓に向かって、いつもの決め台詞を放つ雷。
CM後、雷はドアはそのままに、ソファに座っている真犯人……早乙女波江に向き直る。

雷「早乙女さん」
波江「……ふふふふふふ、あっはっはっはっはっはっはっはっ、うげっげほっ、はっはっはっ……」
雷「……」
雷に名前を呼ばれただけで、自分が黒幕だと認めるように、心底おかしそうに笑い出す波江だったが、途中、素でむせてしまうところがかなりのツボである。
ついで、ドアが開き(どうやって鍵を開けたの?)、同時に護衛のSWAT二人がその場に崩れ落ちる音がして、雷が振り向くと、

田沢「雷ちゃん、お待たせぇ、やっとあえたねえ」
とうとう、太い注射器を手にした田沢がニタニタ笑いながら雷の前にやってくる。
咄嗟にケータイで反撃しようとする雷だったが、

すかさず銃を突きつけられる。
雷「……」
雷、絶体絶命のピンチ!
と、その肩を波江がポンポン叩き、

雷が思わず振り返ったところに、波江が何かのスプレーを顔面に吹き付ける。
雷は声を出す間もなく、とろんとした目になってぶっ倒れる。
二人がただの殺人鬼なら、雷は眠っている間にあの世行きだったと思われるが、幸か不幸か、田沢は雷に執着している変態で、波江も雷に個人的な恨みを抱いているので、雷が目覚めるまでその体を縛るだけで何の悪さもしなかった。
ま、もし管理人が田沢だったら、とりあえず雷のパンツの色を……いえ、なんでもありません。

波江「ようやくお目覚めねえ」

雷「はっ……早乙女さん」
それはそれとして、この縛り方は感心しませんね。
可愛い女の子の胸を縛る時は、胸が強調されるように上下で挟むように縛るのが「悪の組織」の鉄則です!
あ、「悪の組織」じゃなかったか。

波江「あ゛あ゛? 誰のことー? 私は綾小路波江、昔、あんたの姉妹に逮捕された千里眼、綾小路波子の妹よー」
雷の呼びかけに、波江は見下すような笑いを浮かべ、自分の素性を明かす。
綾小路波子と言うのは、管理人も良く覚えていないが、「泪」のセカンドシーズン12話に出てきた女性のことである。演じるのはどちらも大西さんである。
つまり双子の姉妹と言う設定らしいが、親も紛らわしい名前付けんなよ。
波江「姉は刑務所で死んだの、逮捕さえされなければ今頃は……だから私は銭形って名前を絶対許さない」
いや、それなら、雷より先に泪に復讐するのが筋ではないだろうか?
ところが、あれこれやってるうちに、波江は共犯者である田沢まで殴りつけて気絶させ、縛って雷の隣に座らせる。

田沢「ママにもこんなことされたことなのに……
外せよゴルァアア! ああ、ごめんね、雷ちゃん、ごめんね」
雷「……」
情緒不安定の凶悪犯と相席になって、かなり迷惑そうな雷だったが、そんな相手に対しても、つい愛想笑いを見せてしまうあたりに、雷の性格の良さが滲み出ている。
一方、高村たちは頭痛をなんとかしようと医務室へ行くが、そこで本物の医者が縛られているのを発見する。
再び高村から着信が入るが、無論、雷は出られない。

波江「どうやらお仲間が気付いたようね~」
雷「……」
波江、そのケータイをもてあそびながら、イッちゃったような目で余裕をぶちかます。
高村たちが間もなく来ると言うのに、一体何を企んでいるのか、さすがの雷にも見当がつかない。

雷「どうするつもり?」
波江「そうねえ、どうしようかしら、あなたもこちらのむさくるしーいお兄さんも死んでもらうことだけは確かね」
波江、高村→田沢経由で奪った、例の稲妻のマーク入りのオートマティックを雷の額に向けるが、その時、ドアを激しく叩く音が聞こえてくる。高村と柴田である。
波江、ドアの前に立ち、外の様子を窺っていたが、おもむろに振り向くと、まず田沢を、ついで雷を撃ち殺してしまう。
ドアを押し破って入ってきた二人の目に、雷と田沢、そして波江までが床にばったり倒れていると言う、最悪の結末を暗示させる光景が飛び込んでくる。

高村「銭形!」
高村に抱きかかえられて、赤ん坊のように目を閉じている雷が可愛いのである!

波江「うう」
柴田「何があったんです?」
波江「ああ、いきなり入ってきた田沢に私は殴られて、それで銭形さんが田沢の銃を奪って……彼を撃ったんです。でも、田沢も死に際に銭形さんを……」
柴田「そんな」
波江「予言は見届けました。残念です」
昏倒していた演技をしつつ、嘘八百を並べて、雷と田沢、二人の同士討ちと言う、あらかじめ用意されていた都合の良い結末をでっち上げようとする波江。
しかし、最初に波江は「自分がそばにいたら助かる」とか言ってたのに、そこは思いっきり外れてるんだよね。
あまりの事態に、茫然として声も出ない高村だったが、
雷「たっかぁむぅらさんっ!」 高村「へっ?」
案の定と言うべきか、死んだ筈の雷がぱっちり目を開けて、明るく高村の名を呼ぶではないか。
ここでお仕置きが発動して波江を懲らしめ、ついでに田沢も起き上がる。
そう、雷も田沢も、死んでなどいなかったのだ。

波江「まさか、二人とも弾が外れるなんて」
高村「ちょっと待って、撃ったのは田沢でしょ?」
この期に及んで事件の構図がちっとも飲み込めない高村に、雷が優しく教えてくれる。
雷「撃ったのは彼女です。この二人はグルだったんですよ」
高村「どういうこと?」
雷「そもそもあの赤坂刑務所からひとりで脱獄するなんて出来る筈ないんです。つまり彼には共犯者がいる。そう思ったんです」
雷が冒頭で「よど」んでいたのは、そこに気付いたからなのだった。
しかし、それって言い換えれば、共犯者さえいれば、誰でも脱獄できるってことにならないか?
肝心の、その脱獄方法についてはスルーされているのが、ないものねだりではあるのだが、物足りない。
雷「次に魔除けのお札です。あれは田沢に私の居場所を教える目印だった。そうですよね」
波江「……」
そして決め手は、田沢が医師に化けてやってきたとき、「解毒剤」と口走ったことだった。
雷「おかしいですよね。私が医務室に電話した時、毒のことなんか一言も言わなかったのに」
波江「……」
波江、観念したようにその場に座り込む。
今回は(も?)何の役にもたたなかった高村、ちゃっかり波江に手錠を掛けるが、

高村「あれ、君、こないだ捕まえた千里眼の人じゃない?」
波江「違うわよー、私は妹!」
最後になって、ようやくその顔に見覚えがあることに気付く。
遅っ! ちなみに高村は「こないだ」と言っているが、波子の事件が放送されたのは2004年の6月で、2年以上前の事件であり、断じて「こないだ」ではない。
ラスト、いつものように話しながら歩いている雷と高村。
高村「しかし、彼女が射撃が下手で良かったよぉ。僕みたいな天才ガンマンだったら今頃あの世行きだ」
雷「そんなことありませんよ、誰が撃っても結果は同じです」
ここでようやく、雷の口から、撃たれた二人が何故死ななかったのかが解説される。
雷は、波江の持っている銃に稲妻マークがついているのを見て、絶対に死なないと確信し、波江が一瞬目を離した隙に、田沢に耳打ちして死んだふりをするよう一芝居打ってもらったのだった。
高村「僕の銃だと何故死なないの?」
高村のもっともな疑問に、

冒頭の射撃訓練のシーンが回想され、雷が渡した稲妻マークの銃には空砲しか入っていなかったこと、高村が的に命中させたと思ったのも、後ろから雷が同時に撃っていたものだったことが明かされる。

高村「オー、マイガー! そうだったのぉ?」
雷「イトコから聞いてないですか? 銭形家で一番射撃が得意なのは私なんですよ」
高村「初耳だよ、そんなの」

ここで雷がカメラのほうに向かって、
雷「詳しく知りたい方は、ケータイ刑事ムービー2をご覧下さい」
高村「誰と話してるの?」
臆面もなく劇場版の宣伝をするのだった。
こうして事件はすべて解き明かされたように見えるが、一つ大きな疑問が残る。
波江は二人の人間を銃で撃って殺した……と思った訳である。
だが、二人の体から血が一滴もこぼれていないのを見たら、いくら波江が並外れたうっかり屋さんでも、トリックに気付いていただろう。
おまけに、撃った後、波江は二人の体からロープを解き、適当な位置に移動させてさえいる。
自分の手で人を動かしたら、それが死体か生きている人間かくらいの区別はつくだろう、普通?
以上、突っ込みどころが多く、ギャグも控え目だが、いつもとは違ったアクション映画みたいなストーリーはなかなか面白く、まずは力作と呼べる内容だった。
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