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「青春オーロラスピン スワンの涙」 第16話「水着に秘めた真実」 後編

 第16話「水着に秘めた真実」(1989年7月24日)
 の続きです。

 冴子とミカが一緒に砂浜を歩いている。

 
 ミカ「私ねえ、森谷コーチに散々砂の上を歩かされたのよ。砂ってね、筋肉の回復に凄くいいんですって。それから足の裏には色んなツボがあって、それを砂浜で刺激すると体全体が良くなるんですってよ」
 冴子「……ミカ、どうしてそんなに優しいの? 私ばかりじゃないわ、涼子さんに対してもそうよ。どうしてそんなに優しくできるの?」

 不意に冴子、前々からミカに対して抱いていた疑問を、直截にぶつける。

 しかし、ミカの優しさは生来のものなので、改まって聞かれてもミカにはどうとも答えられない。

 
 ミカ「私、別に……」
 冴子「ミカが私に仕返しをする気なんてないの分かってた。あなたそんな人じゃないもの。私や涼子さんとは違う人だもの!」

 こちらの施設へ移されて、一人で色々と考える時間があったのだろう。リハビリを始める前から、冴子にはミカの心の優しさと、そんなミカに意地悪を繰り返してきた自分や涼子の心根の貧しさが身に染みて感じられていたのではあるまいか。

 
 ミカ「そんなことないわ。冴子さんも涼子さんもほんとは良い人なのよ。だってシンクロをやってるんだもの、水の冷たさと清らかさを知っている人だもの」

 シンクロのドラマならではの、無茶苦茶な論理で冴子たちの人間性を保証するミカ。

 だったら、二人がシンクロをやってなかったら、単なる嫌な人間になるのだろうか?

 いや、むしろ、シンクロのせいで涼子や冴子の性格が歪んでしまったように見えるのだが……

 
 冴子「ミカさん、私、クラブに戻ってありのままを告白するわ、勿論、涼子さんのこともよ」

 冴子、恩返しの意味も込めてか、ミカの為に何もかもぶちまけるつもりだと言い出すが、

 ミカ「ぃやめて、それだけはやめて!」 
 冴子「どうしてなの? 私が告白しない限り、あなたはクラブに戻れないのよ」

 
 ミカ「涼子さんはお父様を愛しているわ。真相が分かってお父様に嫌われたらもうシンクロが出来なくなると思ってるの……私、涼子さんからお父様を奪ったりシンクロを奪うようなことはしたくないの、わかって、私はクラブに戻れなくてもいいの!」

 
 冴子「ミカさん、あなたはその為に? あなたって人は……」

 ミカが涼子の罪を被ったのはそんな理由からだったのかと、半ば呆れたように嘆息する冴子。

 言い換えれば、この瞬間、冴子はミカに対し、完全にカブトを脱いだのである。

 
 さて、二人がリハビリ施設に帰ってくると、その横を一台のタクシーが通り過ぎ、少し進んで止まる。

 
 驚いたことに、タクシーから出て来たのは他ならぬ涼子であった。

 
 涼子「ミカ! ミカさんがどうして冴子さんと一緒にいるの?」
 冴子「涼子さん、お話があるの。一緒に来て」

 冴子、機先を制するように、有無を言わせぬ口調で涼子を自分の部屋に連れて行く。

 にしても、このドラマに出て来る人って、全体的に言葉遣いが丁寧だよね。

 あるいは、この30年の間に、日本人の言葉遣いが信じられないほど汚くなったと言うべきか。

 
 冴子「涼子さん、私はミカさんをクラブに復帰できるようにしてあげたいの」
 涼子「なんですって」
 冴子「クラブに行って何もかもありのままに告白するつもりよ」

 単刀直入に自分の決意を切り出す冴子。

 
 涼子「ぃやめて、冴子、私そのことであなたと話し合おうと思ってきたのよ」

 そんなことされたら身の破滅だと、涼子は泡を食って冴子の腕を取り、おもねるように言うが、冴子は邪険にその手を振り払い、

 
 冴子「私の決心は変わらないわ。でも涼子さん、あなたのことは話さないわ。ぜんぶ私ひとりがやったことにするつもりよ」
 涼子「……」

 
 冴子「何故だか分かる? それがミカさんの願いだからよ。ミカさんはあなたからお父さんを奪ったりシンクロを奪ったりしたくないと言ってるの」
 涼子「……」
 冴子「ひとつだけ、条件があるの。二度とミカさんに意地悪をして追放しようなんてしないと誓って欲しいの。誓ってくれるなら、私はぜんぶ、私ひとりがやったことにする。誓わないのなら涼子さんのことも話すわ」

 冴子、ミカとの友情に報いる為に、今度は自分が(窃盗事件も含めて)何もかも背負う代わりに、涼子にミカへの陰険な攻撃をやめさせるつもりなのだ。

 冴子「どうなの?」
 涼子「……誓うわ」
 冴子「今の誓いを忘れないでね。私は除名になると思うけど、あなたが誓いを破ったら飛んで来て真相を話すわ!」
 涼子「ええ、分かったわ……」

 冴子に死命を制せられているといっても過言ではない涼子には、不本意でもそう応じるしか道はないのだった。

 もっとも、クラブを除名になったら、冴子には涼子がミカに意地悪をしているかどうかなんて分からなくなると思うんだけどね。

 
 冴子(ミカさん、さようなら、私がミカさんをクラブに戻れるようにしてあげる。もう少しの辛抱よ)

 その約束を取り付けた冴子は、プールで特訓中のミカに、心の中で別れを告げ、再び東京へ。

 
 スイミングクラブのスタッフルームに、その冴子が入ってくる。

 順子「冴子さん!」
 冴子「草薙先生、チームのみんなを全員ここに集めてください、ミカさんのことで私から話したいことがあるんです」

 
 遠藤コーチが選手たちを呼んでくる。その中には、少し前に帰京した(であろう)涼子の姿もあった。

 冴子「みんな……許して、ミカさんに罪を着せようとしてみんなのお金を盗ってたのは涼子さんなの
 涼子「ぎっ? ぎぃやぁああああああーっ!」
 冴子「え? あ、ごっめ~ん、間違えちゃったっ」

 じゃなくて、

 冴子「みんな……許して、ミカさんに罪を着せようとしてみんなのお金を盗ってたのは私なんだ。現場を見付かってミカさんを呼び出したのも、私なんだ。私はミカさんを突き飛ばそうとして空振りして、弾みで落ちてしまったの」

 冴子の突然の告白に、選手たちは咄嗟に言葉も出ない。

 
 冴子「ミカさんが自分でやったって言ったのは私を哀れんだからなの……私を立ち直らせようとして、私の罪を被ってくれたんだ。私、悩んだ……。悩んで、ミカさんの優しさに応えるためには告白するしかないって思ったの」

 そう偽りの説明をしつつ、目に別の意味を込めて、涼子の顔を見詰める冴子。

 冴子「みんな、ミカさんに罪はない。温かく、迎えてあげて。悪いのは私なの……私なの」

 自分で選んだこととは言え、長年青春を燃やしてきたクラブから去らなければならないかと思うと、冴子の目からは、演技ではない熱い涙がこみあげてくるのだった。

 しかし、まぁ、考えてみれば、涼子に命じられたとはいえ財布から金を抜いていたのは事実なのだから、冴子がクラブから除名されるのは、仕方ないことなんだけどね。

 
 順子「冴子さん、ありがとう。よくほんとのことを言ってくれたわね」
 冴子「ごめんなさい、ごめんなさい」

 冴子、いたたまれなくなったように、そう言いながら仲間たちの間を抜けて、部屋を出て行く。

 
 少女たちも、長い間苦楽を共にしてきた友との別れに、暗澹とした面持ちになるのだった。

 草薙オーナー、早速そのことをまだ入院中の翔子に伝える。

 例によって天知茂先生直伝の直感で、翔子は、冴子の告白にはもうひとつ裏があるのではないかと考えるのだが、口には出さない。

 翔子「これでミカの除名は撤回されたんですね」
 順子「当然よ、ミカさんに罪はないんだもの」
 翔子「冴子さんのほうは」
 順子「一応、無期謹慎と言うことにしといたわ」

 ミカ、東京で何が起きたかも知らず、巨乳をゆさゆささせながらリハビリ施設の廊下を走っていた。

 ミカが息せき切って訪れたのは、厚子の部屋だった。

 
 ミカ「電話を貰って飛んで来ました。私に何か?」
 厚子「ミカさん、よく頑張ったわねえ、私が教えんのはもうこれが限界だわね」

 ドラマ的にあまりにタイミングが良過ぎるが、厚子はミカのシンクロ修業は終わりだと言い出す。

 ミカ「先生」
 厚子「初めてあなたを見たときに、あなたには素晴らしい才能があると思ったのよ。でなきゃ私がコーチなんか引き受ける訳ないもの」
 ミカ「でも、先生は厳しすぎるくらい厳しくて、私なんか全然駄目なのかと」
 厚子「あなたは甘い言葉を待っていた。元気にしようと思いながら寂しかったのね。でもねえ、もし私が甘い言葉を掛けていたらあなたは縋り付いて自分を見失っていたと思うわよ」
 ミカ「ハイ、確かにそうでした」

 人生の大先輩にはミカの本音などすっかりお見通しであったのだ。

 厚子、今度は自分の弟子を紹介するから、その人にシンクロを学ぶと良いと言う。

 ミカ「どんな人なんですか」
 厚子「私の特訓に耐えられたのはミカさんとこの人と二人だけ」(註1)

 で、厚子が見せてくれたアルバムには、

 
 その弟子、濃いメイクをした翔子の、うれしはずかし記念写真が貼られていた。

 それにしても、五十嵐めぐみさん、写真の中ですら、ほとんど肌を露出していない。

 どうしても水着はNGだったらしい。

 じゃあ、シンクロのドラマなんかに出るなよ。

 
 ミカ「森谷コーチ!」
 厚子「翔子知ってるの?」
 ミカ「知るも知らないも……知りません」
 厚子「なーんやそれーっ!」

 ……え、思いついたことを何でもかんでも書くな? わかりました。

 ミカ「知るも知らないも、森谷コーチは私の先生です」
 厚子「ええーっ、そうだったのー」

 大映ドラマのような偶然のつながりに、一様に驚きの色を隠せない二人。

 厚子「翔子はねえ、私のたった一人の弟子なのよ」(註2)
 ミカ「それじゃあ私は孫弟子ですね」

 ※註1と註2から考察するに、厚子は翔子とミカ以外の弟子には全員漏れなく逃げられたことになる。

 厚子、やや作為的だが、ついでと言う感じで、翔子にはミカと同じ16歳の娘がいた筈だと……まるで大映ドラマのような衝撃の事実を教えてくれる。

 
 厚子「私には田舎の方に預けてあるって言ってたけど……」
 ミカ「……」
 厚子「どうかしたの?」

 ミカ、驚きは驚きとして、その場で立ち上がると、ハキハキと感謝の言葉を述べる。

 ミカ「先生、ありがとうございました。先生のことは一生忘れません!」
 厚子「アキレス腱を大事にすることも忘れないようにね」
 ミカ「はい、失礼します」
 厚子「がんばんのよー!」
 ミカ「はーい」

 
 その後、行く当てのない自分を拾って雇ってくれたペンションのオーナーへの恩義もなんのその、とっととバイトをやめて、電車で東京へ向かうミカの姿が映し出される。

 ミカ、ひょっとしたら翔子こそ自分の母親かも知れないと考え、矢も盾もなく翔子に会いたくなったのだ。

 果たして翔子はミカの母親なのか、それとも……って、まあ、ぜんぜん違うんだけどね。

 そもそも、視聴者からすれば、翔子と節也のやりとりから、二人が元夫婦だった筈がないことは分かりきっているのだから、いまひとつ、この展開は盛り上がりに欠けている。

 それはともかく、大好きな冴子の画像をたくさん貼れて、大満足の管理人であった。
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コメント

スイミングクラブに復帰する下地が(汗)

この期に及んで、まだ暗躍し続ける涼子。
やさしい冴子、みんなの前で、よほどの覚悟がいっただろうな。さすがに澄ました態度の涼子が憎たらしい。冴子は仲間じゃなかったのかぁ~。

ただちょっと、違和感が。既にミカと冴子は内々の話で決着がついていますが、冴子がミカを貶めてしまったのも事実で、ミカにえん罪を着せてクラブを追い出してしまったのは大問題なはず。

>順子「冴子さん、ありがとう。よくほんとのことを言ってくれたわね」

オーナー、ありがとうはちょっと。真実を言った勇気は買うが、なぜこのようなことをしたのかとか、すぐにミカのところに一緒に謝罪に赴くとか、指導者たちもミカのやさしさに甘えてる部分がありますね。

>厚子「ミカさん、よく頑張ったわねえ、私が教えんのはもうこれが限界だわね」
 ドラマ的にあまりにタイミングが良過ぎるが、厚子はミカのシンクロ修業は終わりだと言い出す。

つまりは、ミカの実力は翔子と同格かそれ以上の力を秘めたことを意味しますね。

いっそのこと、温泉施設から大会に出場すればいいのにと思いますね。えっ、バレリーナ?もうここまできたらええんです(笑)
スイミングクラブに帰ってもまだ最後のドン、涼子がいるし。温泉施設のほうが居心地がよさそうな。とにかく、翔子と会ったらいかん(何で?)(なぜか翔子を敵視)

兎にも角にも、冴子がミカ派になったことは心強いですね。

前編に後編とお疲れさまでした。1時間ドラマのようなボリュームを感じました。

これからのやさしい冴子の出演も楽しみです。

Re: スイミングクラブに復帰する下地が(汗)

> ただちょっと、違和感が。既にミカと冴子は内々の話で決着がついていますが、冴子がミカを貶めてしまったのも事実で、ミカにえん罪を着せてクラブを追い出してしまったのは大問題なはず。

確かにこの辺の処理は雑に感じられますね。でも、ミカは、冴子の意識のないあいだに自分から名乗り出て罪をかぶってますからね。

細かく言えば、ミカの窃盗が無実だと判明すれば、ミカが涼子に頼まれて財布から金を出そうとした言う証言が正しかったことになり、今度は涼子に疑惑の目が向けられても良さそうなもんですけどね。

> 兎にも角にも、冴子がミカ派になったことは心強いですね。

今度は、ほとんどミカのストーカーみたいになるんですけどね。

> 前編に後編とお疲れさまでした。1時間ドラマのようなボリュームを感じました。

こちらこそ最後までお読みいただき感謝しております。ちょっと画像が多過ぎたかと反省しております。

しかし、年内の完結は無理でしょうねえ。

確かに 80年代までは女言葉は存在してましたよね。私の友達でも家庭の良いお嬢さんたちは皆、あら、~かしら?、~だわ、お父様、お母様、ですの?というように話してました。

それに比べて今は、やばい、~だよ、めっちゃとか言葉使いが下品になりましたね。

やはり美しい女性言葉は存続してほしいです。

Re: タイトルなし

> それに比べて今は、やばい、~だよ、めっちゃとか言葉使いが下品になりましたね。
> やはり美しい女性言葉は存続してほしいです。

そうですね。ま、それだけ日本が貧しくなったということなのかもしれません。

御返信どうも有り難うございます。確かに日本が貧しくなったのは事実ですね。

又、なんでも男女平等と煽り、テレビでも女言葉を使わなくなったのが影響大だと思います。

スワンの涙は美少女たちが女の子らしい美しい言葉で会話してるのが素晴らしく、失われた日本文化の遺産だと思います。

Re: タイトルなし

連日の返信ありがとうございます。

> 確かに日本が貧しくなったのは事実ですね。

俗に、衣食足りて礼節を知ると言いますからね。それだけが原因ではないとは思いますが。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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