第48話「出現!バルジオン」(1984年12月29日)
そろそろ最終回だと言うのに、ファラキャットが全然出て来ない……
「バイオマン」、初代イエローフォーのトンズラ、いや殉職もそうだが、ファラキャットの見せ場が少ないことも残念な点のひとつである。
前回の続きから、その正体が史朗の父・郷紳一朗だと判明した柴田博士の後を追って、バイオマンたちが蒸気があちこちで噴き上がる、岩だらけの険しい山道を登っている。

ドクターマン「この地獄谷の何処かにバルジオンがある! しかもバルジオンの出す反バイオ粒子エネルギーは良心回路も無力化してしまう!」
それを、ネオグラードのモニターで見ているドクターマンたち。
ちなみにこの記事を書く直前、「新マン」の7話をレビューしたのだが、それに出てきたのも「地獄谷」だった……
なんとしてもバルジオンを手に入れるべしと言うドクターマンの命令に答えたのは、いつになく悲壮な覚悟を決めたモンスターとジュウオウの凸凹コンビであった。
ただ、それだけドクターマンが渇望しているバルジオンを奪取するための作戦なのだから、彼らだけに任せず、ファラ、メイスン、サイゴーン、メッツラーも……要するに総動員で作戦に臨むのが本当だよね。
それはともかく、史朗たちは先行していた紳一朗に追いつくが、岩陰に潜んでいる紳一朗の眼前に、シルバがいて、

シルバ「バルジオン、応答せよ!」
特殊な通信機を手に、地中に眠っていると思われる愛機バルジオンに繰り返し呼びかけていた。
それに応じて、地中から反バイオ粒子が数本の噴水のように噴き出し、ちょうど、背後にいた史朗たちの頭上に降り注ぐ。
反バイオ粒子を浴びて、悶え苦しむ史朗たち。
シルバ、史朗たちに気付いてバイバスターを向けるが、そこへモンスターたちがやってきたので、シルバはバルジオン発見を優先させて、一戦も交えずに行ってしまう。
モンスターとジュウオウは、得意の重火器と怪力で史朗たちの足場を崩し、5人は紳一朗もろとも斜面を転がり落ちていく。

史朗「父さん、いけない、無茶だ」
紳一朗「バルジオンがいる限り、良心回路は妨害されてしまう。私が良心回路に命を懸けてるんだ。その為にはなんとしても、バルジオンを倒さなければならんのだ」
史朗「父さんに何が出来るって言うんだ?」
紳一朗「……」
紳一朗、息子の顔を見詰めて、その腕を強く掴むと、制止を振り切って走り出し、たちまち霧の中に飲み込まれてしまう。
すぐ追いかけようとした史朗だが、何故か、その場に立ち止まる。
ジュン「どうしたの、早くお父さんを追わなくちゃ」

史朗「おかしいとは思わないか?
8パーセントのままなのに、それのどこが軽減なんだ?」
ジュン「確かに」
じゃなくて、
史朗「おかしいとは思わないか? 俺たちが反バイオ粒子エネルギーを浴びて苦しんでいたのに、何故父さんは平気だったんだ? 俺たちが反バイオ粒子で苦しめられるのは、この体にバイオ粒子エネルギーの力を秘めているからだ」
つまり、史朗の実父である紳一朗にも、史朗ほどではないにせよ、バイオ粒子が流れている筈であり、当然、反バイオ粒子エネルギーを浴びれば、史朗たちと同じように苦しまなければおかしいと言うのだ。

史朗「俺にはあの人がおやじだなんて信じられなくなったんだ」
ひかる「じゃあ一体なんだと?」
史朗「それが分からんから……」
若者らしく思い悩む史朗だったが、ピーボにせかされ、とにかくバルジオンを破壊するのが先決だと、紳一朗の後を追う。
紳一朗、シルバを見下ろす岩場の上に立つと、

紳一朗「シルバ、バルジオンは渡さん」
シルバ「邪魔するな」
無謀にも、ビームガンを向けて、射撃の名手シルバに一対一の戦いを挑む。
ただのおやじである紳一朗に勝ち目はないと思われたが、

同時に発射されたエネルギー弾が、空中で交差し、

そのまま相手の体を直撃し、二人とも後方に吹っ飛ぶ。

史朗「父さん!」
近くまで来ていた史朗が、うつ伏せになった紳一朗の体を起こすが、

破れたシャツの下から覗いているのは、人間の皮膚ではなく、機械のパーツであった。
それを見て激しい驚きに打たれる史朗たち。

ひかる「あっ」
代表して、目ん玉が零れ落ちそうなほど見開いているひかるのアップを貼っておく。
史朗(メカ人間になったからバイオの血は失っていたのか……)
そう、史朗も、秀一と同じ、父親がメカ人間と言う、父親参観日がイヤでイヤで仕方のない、呪われた息子だったのである。

紳一朗「驚かしてすまん、私は本来、メカ人間を否定している。だがドクターマンを倒す為には、私自身メカ人間になり、自分の体を実験台にしてメカ人間のことを研究しなければならなかったのだ」
紳一朗の口から簡単にその経緯が語られ、ドクターマンと同じく、自分で自分の体をメカ人間に改造している紳一朗の姿が回想される。
紳一朗「ドクターマンは今や、100パーセント近くメカ人間になっている」
ドクターマン「ほざくな、紳一朗!」(註1)
ネオグラードでその一部始終を見聞きしていたドクターマンは、スーパーメガスと言う、バルジオン捕獲の為に作られた特別なネオメカジャイガンの頭部だけを出撃させる。
註1……関係ないが、「ハイスクール奇面組」の柔道編に、
保咲奈 十四郎(ほざくな とうしろう)と言うキャラがいたなぁ。

紳一朗「だが良心回路はメカ人間に人の心を取り戻させる。たとえドクターマンでも良心回路をつければ……」
などと言ってると、早くもスーパーメガスの頭部が彼らの頭上に飛来する。
……って、さすがに、来るの早過ぎないか? 南極から日本まで、1万キロ以上あるんだけど。

スーパーメガスの頭部は、緑色の転送ビームを放ち、紳一朗の体を強制的に吸い上げてしまう。
紳一朗は連れ去られる間際、史朗に改良型良心回路を託す。
史朗「父さーん!」
ネオグラードに連れてこられた紳一朗は、すぐにドクターマンとタイマンする。
ドクターマン「おう、ワレ、どこの工業高校出身だぁ?」
紳一朗「おめえこそ、どこの工場で作られたんだオラァ!」
……あ、間違えました。タイマンじゃなくて対面でした。

ドクターマン「久しぶりだな、郷紳一朗」
紳一朗「蔭山秀夫……」
ドクターマン「私はドクターマンだっ! よくぞ私が完全なメカ人間となっていたことを見破った。しかし私のこの科学には到底勝てまい」
紳一朗「だが私には良心回路がある。ほんとはこんなものに頼りたくはない。良心回路を使う前に目覚めてくれ、人の心を取り戻してくれ」
ドクターマン「黙れ、私はバルジオンを手に入れる、バルジオンさえ手に入れれば良心回路など恐れるに足りん」
紳一朗、ダメモトでドクターマンに説得を試みるが、実の息子の訴えにも心を動かさなかったドクターマンが、それくらいで改悛する筈もない。
一方、地獄谷。
ジュウオウは、シルバのバイバスターを何度も浴びつつ、不屈の闘志でシルバから通信機を奪い取る。
モンスター「ジュウオウ、良くやったな、これでバルジオンは俺たちのものだ」
モンスターが、ダメージを受けてその場に倒れているジュウオウをねぎらっていると、史朗たちがあらわれる。
史朗「ええい、モンスター、そんなことはさせてたまるか、バイオマン!」
ところで、前回、グリーンとブルーのスーツだけ極端に色が褪せていると指摘したが、

変身時の個々の名乗りは、最初に撮ったシーンが使い回しされているので、そのスーツも、当然、作りたてのように鮮やかな色をしている。

だから、それに続く集合ポーズと比べると、その落差がますます激しくなる。
こうして見ると、レッドはともかく、イエローやピンクもバンク映像と比べると、それなりに色が落ちているようにも見える。
イエローやピンクも洗濯回数に応じて色落ちはしているのだろうが、グリーンやブルーと比べて、元々色素が濃かったので、あまり変化したように見えないのかもしれない。
レッドは、やっぱり一番目立つリーダーと言うことで、これだけ新調したのかなぁ?
バイオマンの名乗りに対し、モンスター、いつものように喚き散らしたりせず、しんみりとした口調で、

モンスター「俺たちはこの戦いを死に場所と決めて出撃してきたんだ。バルジオンには指一本触れさせんぞ!」
そう、モンスター(とジュウオウ)、今回で死んじゃう運命なのである。
なにしろ残り3話なので、のんびりしていられないのである。
が、壮烈な覚悟で決戦に挑んだモンスターだが、特に見せ場もなく劣勢に追い込まれ、スーパーエレクトロンを食らいそうになるが、

ジュウオウ「お、おやびん、ジュウオウが!」
その時、モンスターの前に立って、自らの体を盾にして受け止めたのが、モンスターの忠臣ジュウオウであった。
ま、今まで何回も必殺技を食らってきたジューノイドなので、本来なら撃退されるだけで死なないと思うのだが、今回はその直前、バイバスターを撃たれて弱っていたせいか、ぶっ飛ばされた後、

ジュウオウ「おやびん、なんとしてもバルジオンを……みなさん、さよーならー!」
モンスター、そしてバイオマン(視聴者?)に向けて別れの挨拶をしてから豪快にひっくり返り、

三連続の凄まじい爆発を起こして、見事にジューノイドとしての生を全うする。
CM後、転がってきたジュウオウの頭を抱き上げ、

モンスター「お前の死は、無駄にはしないぞー! うーん!」
この辺はさらっと描写しているが、普段コミカルなキャラだっただけに、爆死して首だけが残ると言うのは、かなりのエグさであり、また悪玉ながらその壮絶な死に様に胸が詰まる思いがする。
もっとも、一度同じように破壊されてドクターマンに蘇らせてもらったジュウオウなので、今回も、ドクターマンがその気になれば簡単に復活させられたのではないかと思うが。

モンスター、怒りと悲しみの雄叫びを上げると、ジュウオウの頭を持ったままスーパーメガス本体に乗り込み(いつ来たの?)、バイオマンに向かってくる。
バイオマンもすぐにバイオロボに乗って立ち向かう。
だが、両者が激闘を繰り広げていると、再び大地が激しく揺れ始め、遂に噂のバルジオンが地の裂け目から雄雄しく出現する。

三体のロボットが睨み合うと言う、戦隊シリーズでも稀有なシーン。
シルバもすぐ気付いてその操縦席に搭乗する。

シルバ「やっと会えたな、バルジオン! バイオ粒子反応あり……宿敵バイオロボを倒せ、バルジオン」
主人であるシルバと合体して、バルジオンの体から、より強力な反バイオ粒子エネルギーが放射される。
モンスター「俺が捕まえてやるぅ!」
意気込むモンスターであったが、バルジオンの胸部から発射される「反バイオ粒子砲」を受けてあえなく倒れる。
バイオロボ、親の仇にでも会ったように様々な武器を手当たり次第にパルジオンに放つが、バルジオンにはかすり傷ひとつ付かない。
ならばとスーパーメーザーを抜くが、バルジオンも「バルジオンメーザー」と言う剣で迎え撃つ。

それにしても、どう見てもバルジオンのほうが強くてカッコイイのはどんなもんだろう?
あるいは、バイオロボが正義のロボットにしてはあまりにカッコ悪いと言うことなのかもしれない。
長いこと戦隊シリーズのレビューを書いている身では言いにくいのだが、管理人、今まで戦隊シリーズの正義のロボットを見て、一度でもカッコイイと思ったことがないのである。
どいつもこいつも四角ばってるし、みんな似たような配色で見分けがつかないし。

それはさておき、スーパーメーザーも、シルバの腕に付いたシールドで受け止められ、逆に反バイオ粒子砲の連射を喰らい、身動きが取れなくなるバイオロボ。
ここでスーパーメガスがバルジオンと手を組んでいれば、バイオロボを完敗に追い込むことが出来たかもしれないが、ドクターマンはあくまでバルジオンに固執し、モンスターに奪取を命じる。
でも、ギアは、バルジオン&シルバと別に宿命的に敵対している訳じゃないのだから、大局から見て、ここはバルジオンと一時休戦し、共闘してバイオロボを倒すべきだったろう。
ともあれ、モンスターはスーパーメガスの両腕を切り離してバルジオンの両肩に密着させ、その動きを封じる。
そして、バルジオンを守ってバイオロボの「スーパーメーザーバイオ粒子斬り」をまともに受け、爆発する。

それでもモンスターは原型を保ったまま地上に降りる。
そしてバイオロボに向かって突進してくるが、その途中、

モンスター「ドクターマンさま、バルジオンをお届けしますぞーっ!」
そう叫んで倒れ、爆発する。
だが、その爆発が、さっきのジュウオウの爆発シーンを別のアングルから撮った映像を使い回しているのは、ちょっと残念。
モンスターは死んだが、スーパーメガスの両腕は生きていて、指先からロケットを噴射させると、バルジオンの体ごと、ネオグラードに向けて飛んでいく。

ドクターマン「良くやった、モンスター、ジュウオウ……」
モンスターとジュウオウの己を犠牲にしての働きに、少し悲しげにつぶやくドクターマンであった。
自分では完全なメカ人間になったと豪語しているが、やはりまだその心の中には、人間らしさが残っていると見える。

史朗「ドクターマンと戦う為に、メカ人間になっていたなんて……疑ったりした自分が恥ずかしい」
ひかる「親子で語り合うことも出来なかったんですものね」
一方、バルジオンと紳一朗をギアに奪われ、意気消沈している史朗たち。
とりわけ、紳一朗のことを疑った史朗の心は重かった。
そこへ秀一があらわれ、
秀一「もし、ドクターマンが、俺のおやじが郷さんの父さんを殺したら……俺は、俺は……」
当然予想される事態を想像して、激しく懊悩する。

史朗「秀一君、君には何の責任もない」
史朗はすぐに秀一に駆け寄ると、その体を力一杯抱いてやる。

史朗「良心回路があるじゃないか、頑張ろう、最後まで望みを捨てずに戦い抜くんだ」
史朗の力強い励ましに、目に闘志を蘇らせて頷く秀一。
竜太「……」
そして、そんな二人を、横から死んだ魚のような目で眺めている竜太。
何故なら、前々から金八に憧れて、かつてプリンスに説教したことさえあるのに、肝心の秀一を励ます美味しい役を、史朗にごっそり持っていかれたからである。
最後まで頑張るんだ竜太! これからも、あんまり台詞ないと思うけど。
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