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「気分は名探偵」傑作選 第25話「圭介VS新米女性記者」 後編



 第25話「圭介VS新米女性記者」(1985年3月23日)
 の続きです。

 
 理恵「もう凄かったんです、夢野さん、ヤクザ4人相手にタンカ切っちゃったの!」
 マリー「ほんとぉ?」
 かおり「やっぱりカッコイイのね、夢野さんって」

 喫茶店に戻った理恵、今度は一転、目をキラキラさせながら、圭介の仕事ぶりを誉め倒していた。

 圭介「プロにはプロのやり方があるんだから」

 多分に綱渡りのような仕事だったのだが、何とか面目を施すことが出来て圭介もホッとしていた。

 
 理恵「もう私、尊敬しちゃいました。もうこれからは夢野さんの言うことなら何でも聞きます」
 マスター「あららららら、夢野さんの言うことなら何でも聞きますってさぁ、うはっ、嬉しくないのー?」
 マリー「あなた何言ってるのよ、でも、なんか楽しそうね」
 圭介「楽しい訳ないでしょ」

 
 マスター「夢野さん、若い女性がいるの久しぶりだもんだから、疼いてんでしょ!」

 自分のことのように嬉しそうに圭介に話しかけるマスターが可愛い……

 圭介はニコリともせず、「マスターが思ってるようなことを、俺は思ってませんよ」

 マスター「いやらしいなぁ」
 圭介「あれ?」

 さて、本日は不自然ほど仕事が多く、休む間もなく二人は二階の事務所に呼ばれる。

 
 二人が見せられたのは、どう見ても花沢徳衛にしか見えない老人の写真だったが、花沢徳衛本人なのだから花沢徳衛にしか見えなくて当たり前なのである。

 
 聖子「そのおじいちゃんなんだけど、年金で生活している一人暮らしのご老人なのよ。先月、泥棒に入られて、年金と今まで貯めて来たお金全部取られちゃったんだって」
 圭介「あらら」
 理恵「かわいそう」

 だが、その事件が新聞に載ると、全国の読者から老人にお金が送られて来たと言う、今や貧困&無関心大国となった日本ではまずありえないような話を聞かされ、二人は「世の中、捨てたもんじゃないですね」「いい話ですねえ」と和むが、本題はここからで、

 聖子「そのおじいちゃんがそのお金で競馬をやってるって噂があんのよ」
 圭介「競馬を?」
 理恵「ひっどい、ずいぶんなおじいさんだわ!」

 理恵は憤慨するが、

 
 圭介「ちょっと結論出すの早いよ」

 
 理恵「はいっ」

 圭介にたしなめられると、たちまち笑顔に変わる。

 
 聖子「あら、おや、随分素直なんじゃない?」

 さっきとは随分理恵の態度が違うので、聖子も驚きを隠せない。

 理恵「はい、夢野さん尊敬してますから」
 聖子「あら、尊敬、いいことじゃないのー、実に良いことよ、と言うことは良い記事が期待できるわけね」
 理恵「はいっ」

 それにしても、老人が競馬通いしてる噂があるからって、わざわざ一般市民が探偵にその真偽の調査を依頼するだろうか? さっきの蕎麦代の取り立てと言い、今回は妙にリアリティのない依頼が多い。

 つーか、そもそも、善意の金を競馬につぎこんじゃいけないという法律でもあるんか?

 それはともかく、二人は早速その老人の自宅へ向かう。

 
 理恵「直接、本人に聞いちゃうんですか」
 圭介「ああ、噂は当てにならない」
 理恵「普通、周りから固めていくもんだけど」
 圭介「普通?」
 理恵「ああ、テレビの刑事もんだとそう言うことになってんです……」

 何気ない一言を圭介に鋭く聞き返されて、服の裾をつかみながら、きまり悪そうに言い訳する理恵が可愛いのである!

 無論、探偵ですと名乗っていく訳にも行かず、圭介は、今度創刊される競馬雑誌の記者として老人から話を聞くことにする。

 部屋の壁にべたべた貼ってある競馬の写真を見ながら、「凄いですねえ」と感嘆の声を上げる圭介。

 老人が競馬ファンなのは間違いないようであった。

 
 圭介「これだけ研究すれば競馬も当たるでしょうね」
 沢村「まあ、そんじょそこらの予想屋よりはな」
 圭介「あ、年季が違いますか」
 沢村「そう言うこっちゃ」
 圭介「どうでしたか、先週の中山?」
 沢村「それじゃ、三周目なんじゃ、パーペクトじゃ、パーペクト」
 理恵「パーフェクトでしょう?」
 沢村「ああん、どっちでもええがな」

 当たり障りのない競馬の話で盛り上がる二人。

 圭介、そこからじわじわと肝心のことを聞くつもりだったのだが、一本気でせっかちな理恵が横から単刀直入に切り込んでくる。

 理恵「おじいさん、競馬に行くお金、どうしてるんですか?」
 沢村「……」
 圭介「理恵ちゃん……」
 理恵「全国の人から送ってきてるんじゃないですか」
 沢村「ほっとけ」
 理恵「それじゃ詐欺と一緒じゃないですか!」

 
 沢村「言うとくがな、ワシはこうやっておっぱいを下から持ち上げるのが大好きなんじゃ!」
 理恵(知るか、そんなこと……)

 じゃなくて、

 沢村「言うとくがな、ワシは一度でも金を送れといった覚えはないぞ。みんな向こうから勝手に送ってくるんじゃい!」
 理恵「競馬をするために送ってきてるわけじゃないでしょう、みんな、おじいさんに同情して……」
 沢村「誰が同情してくれと言った?」
 理恵「居直っちゃって!」
 沢村「ワシがもろうたものをどう使おうとワシの勝手じゃろうが」
 圭介「それはそうですよね、じゃ、おじいさん、今日はこれで」

 圭介、何とか穏便にその場を収めようと、さっさと切り上げて帰ろうとするが、一度火のついた理恵の舌鋒はとどまるところを知らず、

 
 理恵「やっぱり詐欺だわ」
 沢村「人聞きの悪いことを言うな」
 理恵「お金かえしなさいよ」
 沢村「一旦ワシがもろうたもんはワシのもんじゃい」
 理恵「泥棒!」
 圭介「ちょっと言い過ぎだよ」
 沢村「なんじゃとぉ、ワシに金を送った連中はな、年寄りに金恵んでやったと思っていい気持ちになっとるんじゃ」
 理恵「ひどいわぁ!」
 沢村「ところがワシは人様の情けを受けてヘロヘロ涙を流すほど老いぼれちゃおらんわい」
 理恵「いいえ、もう十分老いぼれです!」
 圭介「いい加減にしろ!」

 さすがに圭介が大声で理恵を怒鳴りつける。

 沢村「このぉ、帰れ帰れ、二度とワシの前にその面見せるな!」

 当然、老人はすっかり怒ってしまい、自分の方から立ち上がって奥へ引っ込んでしまう。

 
 圭介「ほら、聞けるものも聞けなくなっちゃった」

 
 理恵「かぁっ!」

 悪魔のような物凄い顔で、怒りの奇声を発する理恵。

 圭介「かっ、じゃないよ、どうなってんだ、君の頭の中は……」

 爆笑必至のシーンだが、岡本さんにこんなコメディエンヌの才能があるとは知らなかった。

 ま、だいたい、そんなに彼女の出てる作品って見たことないんだけどね。

 マリーに戻った圭介と理恵だが、今度は二人の間で激しい口論が始まる。

 
 理恵「私、絶対書きます。雑誌にあのおじいさんのこと書いて徹底的にやっつけてやるわ」
 圭介「駄目だよ、そんなことしたら」
 理恵「どうして?」
 圭介「あのおじいさんの楽しみは競馬だけなんだから」
 理恵「善意で送ってきたお金を競馬に使うなんて許せません。私、絶対書きます」
 圭介「やめろ」
 理恵「書きます」
 圭介「雑誌に載ったらあのおじいさんがどういうことになるか考えてみろよ、かわいそうだと思わないか」
 理恵「そんな夢野さんみたいな安っぽい同情は間違ってます」
 圭介「俺は君の言う安っぽい同情が悪いとは思わないよ」

 理恵、どうしても記事にするのだと急いで社に戻ろうとするが、圭介は体を張ってでも止めようとする。

 
 理恵「どうしてですか、どうして間違ってることを間違ってるって書いちゃいけないんですか」
 圭介「じゃ聞くけど、君は一体何が目的であのおじいさんの記事を書くんだ?」
 理恵「お金を送ってきた善意の人たちの為です」
 圭介「ほんとにそれだけか、読者に受ける良いネタだとは思ってないか」
 理恵「……」
 圭介「良い記事が書けて、記者として認められるんじゃないかって、密かに思ってないか」
 理恵「ひどい……」
 圭介「書かれるほうのことも少しは考えてるのか」
 理恵「夢野さん、そう言う風におもってたんですか。私をそう言う、ただの欲に駆られた雑誌記者に過ぎないって思ってたんですか?」
 圭介「そうはなって欲しくないと思ってるよ」
 理恵「いいわ、わかったわ、それなら夢野さんの期待に応えてあげる、ただの欲に駆られたスクープ狙いの記者になってあげるわ」

 売り言葉に買い言葉と言う奴で、理恵も怒りに任せてそんなことまで言ってしまう。

 もっとも、理恵、自分でも気付かなかった記者としての功名心を圭介に鋭く指摘され、余計に感情的になってしまったという側面もあっただろう。

 圭介、記者ならちゃんと裏を取るべきだといい、明日、もう一度老人を尾行しようと言って、朝9時にここで会おうと呼びかける。理恵は何も言わずに店を出て行く。

 こういう、マスコミ関係者としての心得を、「事件記者チャボ!」で新聞記者を熱演していた水谷豊が言うと、実に説得力があるなぁ。

 さて翌日、9時になっても喫茶店に理恵は来ず、圭介は仕方なくひとりで老人を尾行していたが、

 
 理恵「夢野さん……」
 圭介「……」

 その途中、理恵が少しきまり悪そうに圭介に声を掛けてくる。

 圭介、何も言わず、にっこり笑って見せる。

 沢村老人は、家を出て、売店でパンを買うと、いつもそこと決めているらしいベンチに腰掛け、競馬新聞を見ながら、ラジオで競馬中継を聞き始める。

 
 沢村「やったーっ! ばあさん、また取ったぞ!」

 予想が当たるたびに、傍らの、何もない空間に向かって呼びかける沢村。

 それにしても、出川哲朗が70や80になったら、こんな顔になるんだろうなぁ……

 
 圭介「ばあさん?」
 理恵「確か一人暮らしですよねえ」

 木立の陰からその様子を窺っていた二人、老人の声に不思議そうに顔を見合わせる。

 と、圭介はひとりでその場から歩き出すと、静かに老人のそばまで行く。

 圭介「どうですか、調子は」
 沢村「今日は一人か」
 圭介「いや」

 沢村、圭介の視線を追って、後方で面目なさそうに佇んでいる理恵に気付くと、

 沢村「おーい、娘さん、こっちへ来んか?」

 意外と気さくな様子で手招きする。理恵も、俯き加減に、おずおずと歩き出す。

 

 
 で、今日の理恵のファッションが、少年探偵団みたいでめっちゃキュートなのだ。

 沢村「それにしても昨日は実に久しぶりに若い娘さんと喧嘩して、ワシも思わず本気になったぞ」
 理恵「……」

 嬉しそうに言われて、理恵は面映そうに下を向く。

 
 沢村「昔は、ばあさんとよく喧嘩したもんだ、バクチをとるか、私をとるか、なんつってな。ところがその元気だったばあさんが、ある日突然倒れてなぁ。ワシもそれをしおに約束したんじゃ、一切バクチには手を出さんとな。さいわいばあさんの病気は軽くてな、それから毎週、ここへ二人できて、ラジオで競馬の放送聞いて、ははっ、ばあさん、訳も分かりもせんのにワシの予想が当たると手ぇ叩いて喜んでな。ここに座って、一銭の得にもならんのに……」
 圭介「一銭の得にもならんのにって、あれ、馬券は?」
 沢村「はっはっ、馬券なんぞ買わんでも競馬は競馬じゃ」

 そう、確かに老人は競馬ファンであったが、別に義捐金をそれに突っ込んでいた訳ではなかったのだ。

 ラジオで中継を聞いて楽しむとともに、亡き妻との思い出に浸っていただけだったのだ。

 自分の勘違いを知ってすっかりしおらしくなった理恵、老人から勧められたアンパンを手に、「ばあさん」が座っていた場所に腰を下ろす。

 
 沢村「ところで、つかぬことを聞くが、お前さんたちはフィアンセか?」

 
 理恵「……」

 老人の唐突な質問に、思わず反対側に座る圭介の顔を見る理恵。

 理恵「残念ながら違います」
 沢村「そうか、そりゃ残念じゃのう」

 その後、公園の中を歩きながら、しきりに自分の未熟さを反省している理恵。

 理恵「誰にも同情されたくない、誰にも迷惑かけずに生きていくなんて、やっぱり男なんですねえ」
 圭介「うん……だけどさぁ、迷惑かける人がいるってことも必要なんじゃないかな?」

 ラスト、聖子たちに元気に別れの挨拶をし、圭介と固く握手を交わしてから、圭介に「春の嵐」と形容された理恵は帰っていくのだった。

 以上、とにかく岡本舞さんのフレッシュな魅力が溢れる佳作であった。

 なお、レビューでは面倒なので全て省略したが、今回は他にも、圭介との結婚のことを真剣に考える緑の姿が挿入され、それが次の最終回26話での、圭介と緑の結婚につながることになる。

 が、26話自体は別に面白くないので、レビューはしません。

 以上、「気分は名探偵」の厳選レビューでした。

 あー、疲れた。
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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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