第20話「危険な幽霊狩り」(1979年6月16日)
……と言う訳で、補遺の時間であります。
え、なに、インベーダー作戦? 広川太一郎?
それはマイケル・ホイだっ! ……
つかみのギャグがばっちり決まったところで本題に入ろう。
「バトルフィーバー」の再レビュー企画は、5本目の36話で打ち止めにするつもりだったのですが、36話を書いた後で、マリア登場以前のエピソードもついでにチェックしていたら、この20話がちょっと気になったので、おまけとして再レビューすることにしたのです。
ま、正直、改めて書き直すほどの回ではないのだが、書いちゃったものは仕方ないのである。
深夜、城南女子大学の女子寮に住んでいる三人の女子大生が、廊下をカコンカコンと近付いてくる不気味なヒールの音に怯えると言うアバン。
三人の正確な名前は不明なのだが、互いに渾名で呼び合っているので、それで呼ぶことにする。
ピーコ、トン子、クンチである。
ひとりだけ起きていて最初に気付いたピーコは、クンチ(なんちゅう渾名だ……
最後がナ行じゃなくてほんとに良かった)を叩き起こしてその布団の中に潜り込み、「幽霊よ、エミちゃんの幽霊」と言って、クンチと抱き合って震える。
やがて足音が部屋の前で止まり、ドアが開くと、ピーコとクンチは揃って絶叫するが、そこに立っていたのは幽霊でも変態仮面でもなく、鬼より怖い寮長であった。
寮長「あんたたち、何時だと思ってんの?」
ピーコ「先生!」
サブタイトル表示後、その三人とケイコが、スナック・ケニアでケニアと一緒にあんみつを食べながら、そのことについて話している。

ケニア「あはははは、そんなバカな、幽霊だなんて……」
ピーコ「ほんとなのよ、私たちの上の階にいたエミさんが三日前に飛び降り自殺してから……コツコツコツ、毎晩のように歩き回る足音が……不思議なことはそれだけじゃないのよ、みんなの部屋に誰かが忍び込んだ気配があるの」
ケイコ「みんな私の幼馴染なの……ね、一肌脱いであげて」
と、ケイコは言うのだが、大学寮の同じ部屋に住んでいる三人が、全員同じ人間の幼馴染って、物凄い偶然だよね? ここは普通に「みんな私のテニス仲間なの」くらいで良かったと思うが。
女子大生の寮におおっぴらに潜り込めるチャンスだと言うのに、色気より食い気のケニアは、あまり興味なさそうであったが、たまたまそこへ通り掛かった謙作は、普通にスケベな成人男性だったので、舌なめずりをして協力を申し出るのだった。
もっとも、同じ頃、既に寮荒らしの犯人は発覚していた。

太った掃除のおばちゃんが、寮生の机の抽斗を開けてごそごそ物色しているのを、

寮長「何をしてるの? 部屋荒らしはあんただったのね! 出て行きなさい!」
鬼より怖い寮長に見付かって、追い出されてしまったのである。

こちらがその掃除のおばちゃんであるが……
誰がどう見たって団巌じゃねえか! 今回の事件の最大の謎は、
「お前みたいなババアがいるか」的な分かりやすい変装をぶちかました団ちゃんを、どうして抜け目のない寮長が今まで疑いもせずに雇っていたかと言う点である。
つーか、面接に来た時点で気付けよ。
さて、団ちゃんがモップやバケツを持ったまま、しおしおとコンビナートの中を歩いていると、前回初登場したサロメを乗せた車が前に止まり、
サロメ「ドジを踏んだようね、ギザ歯怪人! ひどい女に化けたものね」
団ちゃん「うやぁーああー!」
怒り狂った団ちゃんは、目の前のドラム缶を奇声を発しながら蹴り倒すと、

今回の怪人、ギザ歯怪人に変身する。
しかし、このギザ歯怪人と言うネーミングもアレだよね。
どっちかと言うと、ドクロ怪人とでも呼んだほうが良いのでは?
サロメ「その方がお似合いよ。あとは私がやります」

ピーコ「ただいま戻りました」
寮長「おかえりなさい」
一方、結局引き受けさせられたケニアが、可愛らしく女装して、ピーコたちと一緒に寮に戻ってくる。
それにしても、ドラマの中とは言え、昔の女子大生は礼儀正しいね。

寮長「……」
ケニ子「あ……ただいま戻りました」
寮長の怪訝な視線を受けて、深々と頭を下げるケニアだったが、

その拍子に長髪のカツラが落ちてしまう。
ケニ子「あっ、ああーっ」
寮長「その顔で女に化けようなんて、随分ね~」
ケニア、スカートを押さえて慌てて走り出す。
寮長「ちょっと待ちなさい!」
ケニア「だから言ったんだ。いやなんだ、こういうの……」

寮長「お帰りなさい……今度来たら警察に突き出してやるから!」
と、ケニアと入れ違いに長身の女子大生が帰ってきて、外まで追いかけてきた寮長と擦れ違う。

謙作「……」
振り向いたその顔は、念入りにお化粧したコサックであった!
ケニア「くそう、ダシにしやがっって」
謙作「まぁ、女の子なのにはしたないわ」
ケニアを囮にした、なかなか巧妙な潜入作戦であった。
だが、その直後、4人は寮長からプールの清掃を言いつけられる。
ま、なんで女子大の寮にプールがあるのかという疑問は湧くが、

ここで、ピーコたちが全員ビキニorセパレート水着を披露してくれることになるので、気にしないことにしよう。

寮長「掃除婦をクビにして困ってたのよ」
なお、ピーコはビキニと言ってもスカートつき(別名ドム)なのだが、スカートの下からぷりっとしたお尻が覗く様を、まるで超ミニのスカートからパンツが丸出しになっているように脳内変換すれば、かなりのエレクトが期待できることに気付いた管理人であった。

寮長「はい、ガラスのカケラなんかがあると危ないからね。ちゃんと拾って頂戴」
そして同じくピーコが、色白で割りとおっぱいが大きい点に着目したい。
彼女たちの肢体をもっとじっくり映してくれれば良かったのだが、この後はプールに飛び込んでゴーグルで下を覗きながら歩くだけなので、貼る価値はない。
一方、困ったのは謙作で、たぶん、ピーコたちに借りたのだろうが、ワンピースの水着を自分の体にあてがい、その姿を自分で想像して、

謙作「……情けない」
死にたいような顔でつぶやくのだった。
そこへ寮長が呼びに来たので、咄嗟にその水着を引き裂いて、

謙作「水着が破れてるんです」
切り抜けようとするが、寮長は即座に、
寮長「私のを貸してあげましょう」
と、ありがた迷惑なことを言ってくれる。
謙作「勘弁して下さいよ……」 これほど的確に視聴者の気持ちを代弁した台詞が、かつてあっただろうか? いや、ない!
結局、謙作も寮長にバレてしまい、ほうほうのていで退散するのだった。

サロメ「全国女子大廻りの取材に参りました」
寮長「ああ、お待ちしておりました。さ、どうぞ、自由に取材なさってくださいませ」
一方、サロメは新聞記者か何かに扮して、堂々と寮に乗り込んでくる。
しかし、このサロメの、柔和でめっちゃ人の良さそうな顔、マキ上田さんの素の顔なんだろうが、悪の幹部の面構えとしてはいささか問題であろう。
ま、マキさん、前回初登場したばっかりで、役者としてはずぶの素人同然なのだから、そこまで求めるのは酷か。
サロメ「では、先生のお写真から」
サロメ、寮長の機嫌をとろうと、早速カメラを向ける辺り、謙作たちより上手(うわて)である。
で、カメラを向けられた寮長が、

寮長「あら、どうしましょ!」
口では困ったようなことを言いながら、しっかりポーズを決めて「しな」をつくるのが、かなりの爆笑ポイントとなっております。
そして、寮長を演じるのが谷本小夜子さん、そう、「スケバン刑事3」のやえばあさんだと知れば、ますます笑いが止まらなくなってくる管理人であった。
もっとも、後に判明するように、寮長、そんなことをするような精神的余裕はなかった筈なんだけどね。
さて、サロメがカメラ片手に建物の中を調べ回っている頃、ピーコたちの部屋に棺桶サイズの馬鹿でかい荷物が届けられる。

ピーコ「ほんとにクンチ、こんな荷物の心当たりないの?」
クンチ「ラブレターくれる人ならたくさんいるけどね」
トン子「なんだか棺桶みたいね」
あれこれ言いながら包装を解いていると、勝手に蓋が外れて中から何かが飛び出してくる。
思わず悲鳴を上げて縮こまる三人だったが、出て来たのは幽霊ではなく、ケニアであった。

ケニア「こんばんは」
ピーコ「四郎さん!」
ケニア「分かった? 誰が一番頼りになる男か」
クンチ「ええ、そういう人だと思ってたわ」
ケニア「ちょっと白々しいのね……」
ケニア、使命感に燃えてと言うより、謙作には負けたくないという競争心から再度の潜入を試みたらしい。
と、上の階から悲鳴のような声がしたので、ケニア、急いで階段を上がり、怖がりのビーコたちもその背中にくっついてくる。

ケニア「三階には誰もいないのか?」
トン子「エミさんが自殺してから、みんな下の階へ移っちゃったの」
ケニア「悲鳴はあっちの方から聞こえてきたな」
ケニアたちがエミのいた部屋の前に立っていると、

何事かと寮長もやってくるが、その意味ありげな表情が、後の伏線になっているのである。
ケニア、ノブを掴んで開こうとするが、それより一瞬早く、隣の部屋のドアが内側から開き、

見知らぬ女の子が倒れるように飛び出してくる。
ケニア「お、どうした?」
ユミ「だ、誰かが……」
その部屋の窓から下を覗いたケニア、中庭を横切っていく、サロメらしき女の影を見る。
ケニアたちは、その女の子に事情を聞くが、女の子は死んだエミの妹だと名乗る。

寮長「あんた、本当にエミさんの妹さんなの?」
ユミ「お姉ちゃんの部屋に入れないから、隣の部屋で様子を調べていたら、いきなり誰かが入ってきて」
ピーコ「何してたの? ひとり? 田舎は九州でしょ?」
ユミ「お姉ちゃんは殺されたんです」
全く噛み合わない会話だったが、ケニアたちはユミの告発に息を飲む。
ケニア「何か心当たりでもあるのかい」
ユミ「お姉ちゃんの形見は返してもらったけど、お姉ちゃんが一番大切にしていたペンダントがないんです」
寮長「……」
ユミの言葉に、思わず目を逸らす寮長。
ユミが差し出したエミの生前の写真を見ると、確かに奇妙な石のペンダントを胸にぶら下げていた。

ピーコ「これ知ってる、先祖代々から伝わってる珍しい石だと言って、普段は箪笥の奥に隠していたわ」
ユミは、何者かが姉を殺してその石を奪った……と言うより、石を奪う為に姉を自殺に見せ掛けて殺したのだと訴える。
(性的な意味でなく)小さな女の子が大好きなケニアが、その健気な心に打たれて犯人探しを約束したのは言うまでもない。
その写真を見た鉄山将軍は、その石が新種の隕石だと言うが、果たして、エゴスの目的はその新種の隕石の中に含まれている未知の生命体の遺伝子から、より強力な怪人を作り出すことであった。
だが、サロメも探索も空振りに終わったらしく、エゴスもまだ石を発見できずにいた。
しかし、まだ調べたことのない隕石の中に、未知の生命体の遺伝子が封じ込められてるって、どうやってエゴスは知ったのだろう?
ダイアンを除く4人が、寮の向かいのビルの屋上から、寮を見下ろしている。

京介「誰だろうな、隕石を盗んだ奴は」
ケニア「寮の中に住んでいる人間以外には考えられんな」
正夫「早くそいつを見付け出さんと」
ケニア「そうは言うけどよ、あの寮の中に入るのは大変だぜ」
謙作「あのおばはん、一筋縄じゃいかねえよ」
今回も、ダイアン・マーチンが多忙のせいか、バトルフィーバー本部には顔を出しているが、ロケには一切参加しておらず、結局24話で降板することになる。
だったら最初から萩奈穂美さんをミスアメリカとしてキャスティングすれば良かったのに……
そうすれば、今回のエピソードでも、マリアが女子大生に扮してあんなことやこんなことをする姿を堪能できたであろうに。

正夫「オス、城北大学柔道部です。城南女子大学、柔道同好会との合同稽古に参りました」
寮長「ごくろうさまです。どうぞ!」
それはともかく、今度は、正夫と京介、そしてケイコとトモコまで一緒に、柔道着をまとって正面から堂々と入り込むことになる。
……つーか、最初からトモコとケイコが潜入すれば良かったのでは?

寮長「はぁ、男はやっぱりああでなくちゃっ!」
正夫たちの男らしい態度に惚れ惚れとする寮長であったが、正夫の文字通り洗濯板のような胸を見せてやりたくなる。
別棟の道場での、正夫たちとピーコたちの稽古の様子が映し出されるが、特に貼るべき画像はない。
ここも、マリアが参加してたらなぁ……
ちなみに、ここで寮長がクンチのことを邦子と呼んでいるので、クンチの正式な名前が邦子だと分かる。

トモコとケイコは、稽古をそっと抜けると寮の中へ忍び込む。
トモコはこういう格好は似合わないが、幼い顔立ちのケイコはめっちゃ似合ってて可愛い。

ケイコ、エミの部屋のノブを掴むが、その瞬間、手首を何者かに掴まれる。
例によって、驚くほど抜け目のない寮長であった。

寮長「何をしてるんですか」
ケイコ「ちょっと幽霊に興味がありまして……」
どうでもいいが、カエル系の顔立ちといい、表情の豊かなところといい、日高のり子さんって、永野裕紀子さんに似てる気がする。
寮長、有無を言わさず追い払おうとするが、そこへ正夫たちも押しかけてくる。

正夫「待ってください」
寮長「あんたたちは、なんで寮の中にまで入り込んでくんの? ったく、もう、どうしてみんな入ってくんの?」
寮長はウンザリしたように言うが、
正夫「それはみんなエミさんのペンダントの行方を追ってるんです」
寮長「……」
正夫は単刀直入に説明すると、その反応を探るように寮長の顔を見詰める。正夫には既に犯人の心当たりがついているらしい。
正夫「もしかして、先生が盗んだんじゃないですか」
寮長「なんていうことを、失礼な……一体何の証拠があってそんなこと言うんですか?」
論より証拠、正夫は持参した合鍵でエミの部屋を開けて踏み込むが、部屋の中は空き巣の集団に入られたようにめちゃめちゃに荒らされていた。

正夫「先生、誰がやったか分かりますか」
寮長「いいえ」
正夫「エゴスですよ。エゴスもペンダントを追ってるんです。あの恐ろしいエゴスがね。今度狙われるのは先生なんです!」
鬼より怖い寮長も、所詮はただの女であった。正夫がエゴスの名前を出して少し脅かすと、あっさり屈服する。

寮長「はっ、はっはっ、あーっはははぁっ! あーっははぁっ……」
泣き笑いのような素っ頓狂な悲鳴を上げて、子供のように泣きじゃくる寮長。
やっぱり、谷本さんは名優である。
で、寮長がペンダントを盗んだ動機だが、

寮長「夫がサラ金に手を出して、毎日毎日借金取りに追われて、ついふらふらと……」
サラ金の借金の返済に充てようとした言う、およそ特撮ヒーロー番組らしからぬ生臭いものだった。
そんな極限状態にありながら、寮長、さっきはあんなおどけたポーズ取ってたのは矛盾である。
だから、ここは普通に、高価そうな宝石に見えたので、つい魔が差した……で、良かったんじゃない?
で、そのペンダントだが、寮長が貸し金庫に預けているそうで、最初から寮の中にはなかったというのが皮肉なオチ。
恐ろしいことに、ここでやっとCMなのです。
このAパート、正味13分くらいなのだが、アクションシーンが全くないので、異様にドラマの密度が濃いのである。見るのは楽しいが、レビューを書くのは大変である。
CM後、しびれを切らしたサロメが、実力行使に出て女子大生たちを全員掻っ攫い、コンビナートに連れて行き、腕ずくでペンダントのありかを吐かせようとする。

メインの三人からしてそんなに綺麗ではないのだが、この画像の右端に映っている女の子がちょっと可愛いと思いました(知るか)。
ジャパン「待て、お前か、エミさんを殺したのは? 許せん!」
と、ここでバトルジャパンの声が降って来て、5人がポーズを取りながら名乗りを上げる。
ここまで来ればもう書くこともない。ラス殺陣となるのだが、今回は新加入のサロメの紹介もかねて、彼女とバトルフィーバーとの格闘戦が、妙に時間をかけて描かれている。
マキ上田さん、殺陣の経験はないだろうが、さすがプロレスラーだけあってなかなかの動きを見せている。

また、サロメの強さを印象付ける為に、プロレス技でコサックを投げ飛ばしたりもするのだが、生身の人間が、強化スーツをまとった5人を相手に互角に戦うって、実はめちゃくちゃ凄いことではないだろうか。
「世界最強の美女」(19話のサブタイトル)と言う触れ込みも、まんざら嘘ではない。
もっとも、さすがに多勢に無勢で、結局サロメは退却し、代わりにギザ歯怪人とのバトルに移行、怪人と巨大ロボットをそれぞれ倒し、事件解決となる。
ラスト、形見のペンダントを(その方が安全だからと)バトルフィーバー隊に預け、ひとり新幹線に乗って帰っていくユミをケニアたちが見送るシーンで幕となる。
以上、ケニアたちの爆笑必至の潜入作戦や、ペンダントを盗んだ犯人探しの面白さなど、全体的に特撮アクションと言うより、コミカルな探偵ドラマのテイストが濃厚なエピソードであった。
これでもうちょっと可愛い女の子が出ていればなぁ……
とにかく、これにて「バトルフィーバーJ」の再レビュー、今度こそほんとに終わりです。
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