第8話「女高生モデル殺人事件」(1985年6月13日)
うむ、何回見ても「女高生」と言う言葉の響きがレトロな第8話である。
と、同時に、管理人が10話までの単発エピソードの中で一番好きな話でもある。

理由は簡単で、現在も活躍されている美人女優、橘ゆかり(当時は佐藤ゆかり)さんがゲスト出演されているからなのである!

そこは、帝都大学と言う、学長のアゴがやたら長そうな大学のアイドル研究会が主催している水着コンテストの会場であった。
しかし、水着だから誰も気にしないが、よくよく考えたら、花も恥らう10代の女の子たちが、下着同然の恥ずかしい格好でステージに立ち、大勢のスケベな客たちの視線に晒されていると言うのは、実にハレンチな光景ではないかと思うのです。
ミカ「続いて7番、鷹の羽学園3年、夢小路美也子さんです」
橘さん演じる中原ミカという、これは既に女子高生モデルとして活動している司会者の女性の紹介を受けて、

スケバンの癖に堂々と水着コンテストに出場している美也子の、割りとそそられるワンピース姿がスポットライトで満天下に晒される。

前に出て、コケティッシュに腰を屈めた時のお尻を、管理人の鷹のような目が見逃す筈もないのだった。

ま、美也子、サキやミカほどではないがなかなかの美人なのは確かで、少なくともステージにいる面子の中では、ダントツのルックスであった。
美也子、そんなに優勝したいのか、

普通はすぐ引っ込む段取りなのに、わざわざ審査員たちの前に行き、両手を広げておどけたポーズを取ると言う、中途半端なパフォーマンスを見せる。
どうせなら、自ら水着をずり下げて、おっぱいを露出するとか、そういう強烈なことをして欲しかったが……(真顔で何を言うとるんだお前は?)

それはそれとして、フツーの格好をした人たちの前に、水着にハイヒールと言うあられもない格好をして立つと言うのが、これまた実に羞恥プレーな感じがしてそそられるのです!
エロには「羞恥」が大事なのです! 美也子の作戦は功を奏し、

木戸「いいんじゃない、ああいうとぼけたの」
川本「うちにいないキャラクターだもんね」
審査員たちの反応も悪くなかったが、
山口「ああ、お前らで勝手に決めてくれよ。こんなレベルの子ばかりじゃ、僕には興味ないよ」
肝心の、アイドル研究会主催の山口はまったくやる気がないようで、そう突き放して友人たちを白けさせる。
しかし、その他大勢の女の子たちと同列に扱われたと知ったら、美也子、ショックだったろうなぁ。
なお、HPでも書いたが、このシーン、彼らの背後に、こちらをじっと見詰めている女の顔が映り込んでいて、「ひょっとして心霊写真?」などととぼけたことを書いた管理人だったが、数年を経て改めて見ると、これはどう見ても後に出てくる山口に捨てられた女の子……だと思うのだが、やっぱりなんか違和感がある映像である。
それはさておき、いよいよ優勝者の発表となるが、ドラムロールの途中で、急に会場の照明が落ち、真っ暗になってしまう。
何事かと一瞬会場は騒然となるが、待つまでもなく明かりが戻ったので、そのまま発表が続けられる。
川本「優勝者は7番、夢小路美也子さんと決定しましたー!」

美也子「うっそぉーっ!」
手を口に当てて、思わず歓喜の叫びを上げる美也子。
ま、それはどうでも良くて、美也子の右側に立っている、黒いビキニの女の子がちょっと可愛いと思いました。
こういう地味で大人しそうな子が、黒ビキニ! と言うギャップがたまりませんなぁ。
エロには「ギャップ」が大事なのです! え? 良いから話を進めろ? わかりました。
全身で喜びを表現する美也子の様子を、審査員席の端から冷ややかに見ていたのは、前回のコンテストの優勝者の川辺悦子であった。
ところが、その悦子から美也子に優勝トロフィーが贈呈される段になって、とんでもないことが起こる。

いつの間にか、悦子が長テーブルの上に突っ伏しており、審査員が慌ててその体を揺すぶると、そのままぐにゃりと床に滑り落ちてしまう。
そう、いつの間にか、悦子が死んでいたのである!
OPタイトル後、山口たちが、そのアイドル研究会とやらの狭い部室に詰め掛けたマスコミ関係者たちの前で、沈痛な面持ちで会見を開いている。
悦子は、アイドル研究会主催の映画の主役に予定されていたらしい。

記者「そうなると、新しい主演女優は?」
山口「待ってください、川辺悦子君が死んだばかりだって言うのに、僕たちはね、あくまで主役は彼女のイメージで考えてたんです。それがこんなことになってしまって……」
悦子を失った悲しみと、犯人への怒りを訴えた後、耐えられなくなったようにテーブルに突っ伏す山口。
ちなみに、後ろの壁に、前に三平が一緒に見に行こうとしつこくサキを誘っていた「CHECKERS IN TAN TAN たぬき」のポスターが貼ってあります。
さて、漸くサキの出番となる。
いつものように、神の持参した暗闇指令からのビデオメッセージを見ている。

暗闇指令の声「君も、女子高生モデル・川辺悦子が殺された事件はようく知ってることと思う。死因は彼女の飲み物の中に混入された青酸カリだ。彼女は学校へはほとんど通わず、このモデルクラブに所属してモデルの仕事を続けていた。そして経営者は山口信一郎、帝都大学の三年生でありながら、雑誌やCMに女子高校生たちを集め、モデルとして売り込み、高い利益を上げている。(中略)一見簡単に見えた事件だが、捜査対象が扱いにくい大学生・高校生であると言うところから、現在、取り調べが行き詰っている。そこで君の任務だが、ただちにこの女子高生モデルクラブに潜入し、川辺悦子殺しの真相を探ってもらいたい」
暗闇指令の最後の言葉を聞いたサキ、「私にモデルになれって言うのぉ?」と、不服そうに声を上げる。
6話でも、芸能界に潜入したことがあるサキだが、その時はあくまで付き人としてだったからさほど抵抗はなかったが、モデルなどと言う晴れがましい仕事は御免被りたいと言うのが偽らざる本音だった。

神「これは、命令だ」
サキ「冗談じゃないわ。私はねえ、あんな着せ替え人形みたいな真似……」
神に背を向けたまま文句を言い、言いながら振り向くが、

サキ「……神?」
その僅かの間に、既に神の姿は部屋から消えていた。
お前は弥七か? もっとも、弥七や、かげろうお銀とかは、誰も入って来れない城の奥深くに音もなく侵入し、大名にご老公からの書状を渡し、相手が読み終わった時には既に風のように消えていた(註1)……と言うからタダモノではないのであって、神の場合、フツーにドアを開けて出て行っただけで、これじゃ単に不躾な奴である。
註1・具体的には以下のようになる。
寝所で寝ていた大名(or城代家老)が、人の気配に気付いて目を覚ます。
大名「何奴?」
弥七「お静かに、怪しいものではございませぬ。水戸のご老公からの書状です」
大名「なに、水戸のご老公? ふむふむ、よし、分かった。ご老公によしなに伝え……う、もう行ったのか、さすがだ」
しかし、こういうシーンを見てていつも思うのだが、相手が読み終えた後で、「ところで、この件についてはどうしたら良いの?」って聞かれたら、どうするんだろう? また戻ってくるのかな?
それにしても、今回の事件、悦子の飲み物に毒を入れられるのは、同じテーブルにいた3人か、司会のミカくらいしかいないと思うのに、相手が女子高生・大学生と言うだけで警察の捜査が行き詰っていると言うのは、いささか解せない。
最近は知らないが、当時の警察はそこまで無能ではあるまい。
と言うか、悦子の交友関係を調べれば、すぐ山口が容疑者として浮かび上がったと思うが……
さて、翌日、サキは早速、「CITY-GALS」と言う、大変恥ずかしい名前のモデルクラブにやってくる。
と、ちょうどやってきた美也子とその取り巻きたちと、ビルの入り口で鉢合わせする。

女生徒「あれー、サキじゃない」
女生徒「てめえ、何しにきたんだよ」
サキ「このモデルクラブに入れて貰おうと思って……」
聞かれて、正直に答えるサキ。
ちなみに、この画像のサキのボサッとした髪型が、いつもより余計に野暮ったく見えて、逆に萌えるのである!
女生徒「ふん、笑わせんじゃねえよ」
美也子「私はね、優勝したのよ、選ばれたのよ。もう日本一のモデルになるのに決まってるわ」
登美子「番長みたいな美女しかなれないの、とっととお帰り」
サキ「……」
美也子たち、サキを嘲笑うとさっさと建物の中に消える。
相変わらず、予想通りの人たちである。
と、受付の前で、美也子たちがひとりの背の高いモデルとぶつかりそうなる。
モデル事務所だと言うのに、彼らの言動は学校にいる時とまったく変わらず、「ちょっとあんた、番長に謝んなよ」と、取り巻きのひとりが因縁をつける。

ミカ「何よ、あなたたち、失礼よ」
で、それが、さっきも出ていた中原ミカなのだった。
化粧が濃いせいもあるが、美也子たちと比べると、まるで別次元の美しさ、大人っぽさである。
ま、それもその筈、設定では女子高生だが、ゆかりさん、当時既に19才なのである。
受付の前で悶着となるが、そこへ山口が来て一喝する。
山口「君も遅かったじゃないか」
美也子「すいません、ちょっとお化粧のノリが悪くて」
山口「それから君ねえ、今後、あまり品の良くない友達は、連れて来ないようにしてくれないか」
山口、取り巻きたちをチラッと見て、美也子に注意する。
いつもの美也子ならすぐ喧嘩腰になって反発するところだが、なにしろ有名モデルになりたくて仕方ないので、

美也子「はいっ。あんたたち、これからはしばらく私とは別行動よ」
登美子たち「うっす、番長」
素直に応じて、子分たちに申し渡すのだった。
ミカは、その間に向こうへ行ってしまう。
4人がしおしおと出て行くのと入れ違いに、やっとサキが姿を見せる。
山口、とってつけたように美也子の容姿を褒めていたが、サキを見掛けると、さっさと美也子をうっちゃってサキに近付き、馴れ馴れしく声を掛ける。

山口「君も今日からここへ?」
サキ「ええ、私もこのクラブに入りたいんですけど」
山口「そう? そうだ、君も一緒に見学に来たら?」
サキ「はいっ」
サキ、任務の為、精一杯しおらしい女の子を演じる。
ここで、背後のガラス窓の向こうに、恨みの篭った眼差しの女生徒があらわれ、山口をじっと見詰めるのだが、前述した「心霊写真」の正体は、やはり彼女だったと見るのが妥当だろう。
さて、早速写真撮影が行われるが、主役は美也子ではなく、ミカで、美也子は他のモデルたちと一緒に、ミカの背後でポーズを取ると言う、完全な引き立て役だった。

カメラマン「ダメダメ、ちゃんと手ぇ上げて、主役が生きてこないだろ、主役が」
美也子「……」
いつも取り巻きたちからちやほやされている美也子にとっては、耐えがたい屈辱だったが、それでもなんとか我慢してポーズを取り続ける。
スタジオの溜まりでは、木戸と水本が、製作予定の映画のヒロインを誰にするか、品定めをしていた。
トップの悦子が死んだ今、最有力候補はミカであった。

水本「あの、今度のコンテストの子は?」
木戸「ダメダメ、主人公の少女は恋人の罪を被って自殺するって役なんだぜ。コメディーじゃないの」
一応、美也子も俎上にのぼるが、あっさり却下される。
美也子が聞いていたら、当分立ち直れなかっただろうなぁ。

水本「どう、山口?」
山口「いいじゃない、なかなか、あの子いいよ」
二人はリーダー格の山口にもお伺いを立てるが、山口はまるで興味がなさそうで、スタジオの隅っこに佇んでいるサキに熱っぽい眼差しを向けていた。
のみならず、撮影をおっぽり出すと、再びサキに接近してあれこれと話しかける。
水本も木戸も、山口の習性は慣れっこのようで、それを見ても驚きもしない。
山口、どうやら単に可愛い女の子をハントする為に、こんなモデルクラブを経営しているようであった。

ミカ「……」
が、今度は、撮影中のミカが、それを見て穏やかならぬ顔つきになり、

半脱ぎにしていたブラウスを着直しながら、二人のところへ行く。
その際、ミカのタンクトップ姿がチラッと見えて、これがなかなかの巨乳なのが嬉しいのです!

ミカ「新しく入った人?」
山口「ああ」
サキ「麻宮サキって言います、よろしく」
ミカ「私、中原ミカ、わからないことがあったらなんでも聞きに来て頂戴」
ぺこりと頭を下げ、やや京都弁っぽいイントネーションで丁寧に挨拶するサキに、ミカは、言葉つきは親切だが、明らかに敵意の篭った目で自己紹介する。
と、山口がミカを元の場所に押し返すと、「やめた、やめた、やめた」と、突然美也子が言い出し、二人を突き飛ばすようにしてスタジオを横切り、ロッカーの前に行くと、

美也子「コンテストの優勝者がなんでこんなことしなきゃいけないのよ?」
水本「君ね……」
美也子「うるさわいわねっー、私は生まれつき主役しか出来ない女なの! 深夜のタクシー待ちじゃあるまいし、いつまでも手ぇ上げてられるか!」 水木(うまいこと言った!)
野心家だが、根気が絶望的にない美也子、せっかくコンテストで優勝したと言うのに、最初の撮影で早くもモデルの仕事を投げ出し、勝手に帰ってしまう。
その並外れたワガママさには、さすがの山口も茫然として見送ることしか出来なかった。
一方、サキ、モデルになりたいと言ってやってきたのに、一向に制服を脱ごうともせず、事件の起きたステージに上がってあれこれ調べていた。

サキ(明かりを消そうとすれば、舞台にいた人間にも簡単に出来る……ひとりが明かりを消してもうひとり、悦子のそばにいた人間が毒薬を入れたとしたら?)
サキ、あっさり殺人の方法を見抜くが、それくらいのこと、警察もすぐ気付きそうなもんなんだけどね。
その割りに、山口が警察に取り調べられるというシーンは全く出て来ない。大学生といっても、山口は既に成人しているのだから、別に遠慮する理由はない筈だが。
それこそ、山口の父親が社会的地位のある人間、いわゆる上級国民だったから、警察も迂闊に手が出せなかったのかもしれないが。
と、サキがあれこれ調べている現場を、その山口に見付かってしまう。
山口「何してんだ、こんなところで」
サキ「はい、別にただ……あの、人が殺された場所ってどんなところかなっと思って……好奇心で」
意外とアドリブが利かないサキだった。
もっとも、山口はサキが事件のことを調べているとはこれっぽっちも疑わず、

山口「変な趣味だねえ。でも、僕、そういう変わった女の子って好きだなぁ……主役に考えてた悦子が死んで、僕もどうしていいか分からないんだ、なかなか悦子のイメージが消せなくてねえ。どう?」
サキ「……」
山口「僕の車で家まで送るよ」 サキ「って、主役に抜擢してくれるんじゃないんかいっ!」 山口「えっ?」
途中から嘘だが、山口の台詞の流れからして、ここは「どう? 悦子の代わりに主役をやってみない?」と言うのが自然だったろう。
それはさておき、サキは虫の好かない相手だったが、これも仕事のうちだと自分に言い聞かせて、山口の誘いに応じて車で送ってもらうことにする。
サキ、愚直に、「悦子が誰かに恨まれていなかったか?」などと事件のことを尋ねるが、山口は「君に刑事は似合わないよ」などと言ってはぐらかす。
山口「君、僕を助けてくれないかな」
サキ「え」
山口「悦子の代わりに、映画の主役やってみる気ない?」
ここで山口が、さっき言うべき台詞を口にしてサキを口説き、ついでにサキの手に触る。
が、スケバン刑事として……と言うより、女として経験の浅いサキは、その途端、「おろしてください!」と叫び、さっさと車から降りてしまう。
後編に続く。
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