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「青春オーロラ・スピン スワンの涙」 第17話「母かもしれない」



 第17話「母かもしれない」(1989年7月31日)

 前回のラストの続きから、伊豆でシンクロのコーチを受けた厚子から(彼女の弟子だった)翔子に娘がいたことを知らされたミカは、「ひょっとしたら、翔子こそ自分の実の母親なのでは?」と言う、大映ドラマのホームラン王的な疑惑を巨乳に秘めて、東京に帰ってきた……と言うシーンで始まる17話である。

 
 東京に戻ったミカ、その足で翔子が入院している病院の前までやってくるが、翔子と会うのが怖く、なかなか入れずにいると、偶然、背後に、花束を配達中の健吾が現われる。

 健吾、一瞬でミカの前まですっ飛んでくる。

 
 健吾「ミカちゃん!」
 ミカ(近えよ……)

 健吾から既に翔子が退院したと聞かされ、素っ頓狂な声を上げるミカ。

 健吾、先に配達を済ませてからスイミングクラブまで送ろうと言って、病院に入りかけるが、

 
 健吾「そうだ、稔さんに連絡しないと……稔さんもミカさんのこと凄く心配してたんだ」

 恋のライバルに対しても、フェアプレー精神を貫き、抜け駆けはしない爽やか健吾であった。

 それにしても、健吾、いつの間にか稔のことを「さん」付けで呼ぶようになっているが、ミカが伊豆に行ってる間に(腐女子的な)何かがあったのだろうか?

 ミカ「健吾さん、私、ひとりでクラブに戻るから後で連絡するね」

 結局、ミカは健吾の申し出を断り、そこで健吾と別れる。健吾もあえて引きとめようとしなかった。

 
 正面からそろそろとスイミングクラブに入ろうとしたミカだったが、ちょうどその時、親友の千絵と景子が建物から出てくる。

 
 千絵「ミカさん……」
 景子「ミカさん、ミカさんじゃないの!」

 向こうの方でもすぐ気付いて驚きの声を上げる。

 
 ミカ「……」

 だが、あんな形でクラブを追放されたことを気にしているのか、ミカは怯えたような顔をしてあとずさると、振り向いて全力で逃げ出してしまう。

 千絵の「ミカさん、除名が撤回されたのよ!」と言う叫び声も届かない。

 もっと、仮に届いていたとしてもミカは同じことをしただろう。今のミカにとっては、自分と翔子との関係をはっきりさせることが何よりも優先されるべき事柄だったからだ。

 
 零れ落ちそうになる巨乳を抱えて、あてもなく走り続けるミカ。

 ちょうどその頃、やっと退院した翔子は、スイミングクラブの事務室で、同僚や生徒たちから退院祝いを受けていた。

 
 翔子「どうもありがとう、長い間迷惑をかけちゃったわね、体調の方はまだ万全じゃないんだけど、リハビリに通いながら徐々に慣らしていくつもりです」

 などと、翔子が誰も興味のない話をしていると、千絵たちが息せき切って入ってくる。

 千絵「森谷先生、ミカさんが来てました!」
 翔子「ミカが? それで、ミカは今何処に?」
 景子「それが、私たちの姿を見たら逃げていってしまったんです」
 加奈子「ミカさん、まだ除名が撤回になったことを知らないのよ」

 まだ松葉杖を手放せない翔子をはじめ、コーチ、千絵たちでミカの行方を探すことになる。

 
 ミカ、公園の噴水の前の東屋にぼんやり座っていたが、懐かしい友人たちが自分の名を呼びながら駆けて来るのに気付くと、慌ててコンクリートの柱の陰に身を隠す。

 千絵たちが気付かずに行った後、松葉杖姿の翔子も姿を見せ、

 翔子「ミカ、何処にいるのー、あなたの除名はもう撤回されたのよー」
 ミカ「森谷先生……」
 翔子「何も心配することないわー、出てらっしゃーい!」

 
 ミカ「……」

 普段のミカなら迷わず飛び出して抱き付いていただろうが、今のミカは、翔子が自分の母親かも知れないと言う疑惑が足枷となって、結局その場から動くことが出来ず、沈んだ顔で座り込むのだった。

 千絵たちは翔子と合流し、スイミングクラブで待とうと空しく引き揚げる。

 
 明子「帰ってきたらきたで、もったいぶんないで来ればいいじゃない、ねー」

 その後、ロッカールームでお喋りしながら水着に着替えている生徒たち。

 この番組では珍しいサービスショットである。

 視聴率が低迷していたので、テコ入れのつもりであろうか?

 と、そこへいきなり、稔が「ミカ、帰ってきたのか?」と飛び込んでくる。

 
 当然、着替え中のギャルたちは、キャアキャア騒いで手当たり次第にタオルやバッグなどを投げ付け、稔を追い出す。

 その際、

 
 ブラを見せていた生徒の顔がほんとの一瞬だけ映るのを、何度も失敗しながら苦労してキャプした管理人であった。

 案の定、見たことのない顔で、この程度のお色気シーンにわざわざ脱ぎ女優さん(?)を連れて来なくても、レギュラーの誰かに文字通り一肌脱いで貰えば良かったのである。そうすれば管理人も喜ぶ。

 
 稔が廊下に追い出されたところに、翔子が現われる。

 翔子「稔くん、何してるの?」
 稔「なにって、その、ミカが帰って来たって聞いたもんで」
 翔子「ミカを心配してくれてありがとう」
 稔「惚れた女を心配するのは当然ですよ」

 ……

 な、なんちゅう爽やかな笑顔や。

 こんな三ツ矢サイダーの化身のような好青年が、たった10年(?)ほどで、あんなゴリラーマンになってしまうとは……神ならぬ身の誰が予想できただろう?

 
 翔子「ミカに惚れても無駄よ」
 稔「分かってますよ、一流選手になるまでは男を近付けない、わかってるけど、一目会うくらいなら」

 翔子に釘を差されると、稔も恋する若者にしてはあまりに歯応えがないほど簡単に受け入れる。

 このドラマ、れっきとした大映ドラマではあるのだが、恋愛要素がほぼ皆無なんだよね。「不良少女」などの王道作品と比べて、いまひとつ面白くないのは、その辺にも原因があるのかも知れない。

 
 稔「ミカは何処ですか?」
 翔子「……」
 稔「なんだ、先生もまだ会ってないのか。しかし変だなぁ、健吾からミカと病院で会ったって電話貰ったの1時間も前なのに……除名撤回は健吾が伝えたと言うし」

 稔、自分もミカを探すつもりなのか、そんなことをつぶやきながら翔子の前から走り去る。

 しかし、除名撤回のことは、冒頭のシーンを見る限り、健吾はミカには明言してないようなんだけどね。いずれにしても、ミカが除名撤回を知りながら、逃げ回っている……みんなを避けているのは確かであった。

 
 そのミカ、翔子のマンションに来て、森谷と言う表札の出た部屋を見上げていた。

 意を決してその部屋に向かおうとしたが、ちょうどそこへ翔子が来て、上側の通路から階段を下りてくる。

 
 翔子「ミカ!」
 ミカ「ご心配をおかけしました!」

 ミカも腹を括ったのか、もう逃げ出そうとはせず、真っ直ぐ相手を見て挨拶する。

 と、同時に、翔子への愛情と懐かしさが、その美巨乳から溢れ出すのを堪え切れず、

 

 

 
 ミカ「コーチぃ!」
 翔子「ミカ!」

 階段を駆け上がって翔子の体に抱きつき、翔子も松葉杖を捨ててしっかりとその思いを抱き止めてやるのだった。

 このカット、重度の尻フェチである管理人にとっては、その喜びをどうやって読者の皆様に伝えればいいのか、思わず悩んでしまうほどのお宝ショットである。

 強いてたとえるなら、「キカイダー01」41話で、腹心のザダムから、新造の巨大戦艦の素晴らしいスペックを次々と聞かされた時の、

 
 ビッグシャドウ「ザダム、俺をあまり喜ばせるようなことばかり言うな!」

 と言う、ビッグシャドウ(八名信夫)の、嬉し過ぎて逆に困ったような気持ち……と言えば少しは分かって貰えるだろうか。

 ……え、少しも分からん? だと思いました。

 激情的な再会の後、二人はとりあえず翔子のマンションに落ち着く。

 
 ミカ「除名が撤回になったことはアサオの前で知りました」(註1)
 翔子「じゃあどうして真っ直ぐクラブに来なかったの」
 ミカ「まずは先生にお詫びをと思って……」

 嬉しさのあまり、翔子はミカに今晩泊まっていけとすすめる。

 ミカ「泊まっていいんですかぁ?」
 翔子「いいわよ、私もミカに聞きたいことがたくさんあるし……あ、でもその前に何かご馳走しなきゃね」
 ミカ「だったら私が料理を作ります」

 註1……稔の話では健吾が除名撤回を告げたことになっていたが、ミカはアサオの前で、つまり千恵たちに言われて知ったと言っており、矛盾する。

 
 ミカ「私、ペンションでアルバイトをしていたので料理をたくさん覚えました」
 翔子「ペンションでアルバイト?」

 視聴者には、ペンションでミカがそんな仕事してるシーン、1カットもなかったことには気付かないふりをしてあげる優しさが求められる。

 二人は一緒に仲良くスーパーに買い出しに行く。

 
 自分が金出すんじゃないので、気前良くどかどかと100グラム3000円の超高級ブランド肉を買い物籠に放り投げてから、くすぐったそうに笑うミカ。

 
 翔子も、それにつられて幸せそうな笑みを浮かべると、

 翔子「戻しなさい」
 ミカ「はい……」
 
 と言うのは嘘だが、二人の様子はまるで仲の良い親子のようであった。

 
 ミカ「痛まないんですか?」
 翔子「うん、そうね、もう痛みはないわ。あと1週間もすれば松葉杖を使わなくても歩けそうね」
 ミカ「ずっと松葉杖を使ってくれればいいのに」
 翔子「あら、どうして?」
 ミカ「だって先生は私のために怪我したんですもの……」

 
 ミカ「私が先生の杖になって……、ほらっ! こんな風に」
 翔子「うっふ、バカ言ってるわ」

 帰り道でも、以前よりむしろ親密な関係になったように見える二人であった。

 マンションに戻り、台所でテキパキ料理を作っているミカを楽しそうに眺めている翔子。

 待つ間に、順子に電話して、ミカと一緒にいると告げて安心させる。

 やがてテーブルに見た目にも美味しそうな料理が並ぶ。

 
 翔子「見ただけで美味しそうね」
 ミカ「食べたらもっと驚きますよ。あ、スープ、スープ」

 このミカの顔、めっちゃ可愛い。

 
 翔子「ミカ、冴子さんに聞いたんだけどシンクロの練習を続けてたそうね」
 ミカ「ぁはい、私は伊豆のリハビリセンターにいたんですけど、そこで物凄ーく怖い鬼コーチに出会って猛特訓受けてました。そうですね、森谷コーチの2倍も3倍も怖いコーチでした」
 翔子「誰かしら?」
 ミカ「その人の名前は川端厚子」
 翔子「なんですって!」

 
 翔子「あっ、いた……」

 ミカの口から思い掛けない名前が出たので、思わず立ち上がろうとしてテーブルのどこかに足をぶつけてしまう翔子。

 ミカ「ダメですよ、無理しちゃ、まだ完全に治ってないんだから」

 
 翔子「ほんとの話なの?」
 ミカ「はい、本当です」
 翔子「驚いたわ、川端先生は私のシンクロの先生なのよ」
 ミカ「私もそれを聞いてびっくりしました」

 宮沢りえさん、普通にTシャツ着てるだけなのに、その姿の一つ一つが途轍もなくエロい。

 まるで歩く性犯罪者製造装置のようである。

 
 翔子「まるで大映ドラマみたいねえ……」

 じゃなくて、

 翔子「不思議な縁ねえ……」

 の一言で、現実にはまずありそうもない奇跡的な邂逅を片付けてしまう翔子であった。

 
 ミカ「料理をどうぞ」
 翔子「いただくわ……うん、おいしい」
 ミカ「森谷先生はお幾つなんですか」
 翔子「私の年? 自慢じゃないけどもう少しで38よ」
 ミカ「38才? 私、ずーっと先生は32才くらいだと思ってました」
 翔子「こいつー、ゴマを摺ってもダメよ!」

 そう言いつつ、悪い気はしない翔子であった。

 ちなみに演じている五十嵐さんの当時の年齢は34才。その辺、ドラマ上でも、女優さん的にも、実に当たり障りのない年齢設定と言えるだろう。

 ミカが唐突に年のことを聞いたのは、無論、年齢的に翔子が自分の母親である可能性があるかどうかを確かめたかったからである。

 
 その夜、ソファをベッド代わりにして、それこそ童話から抜け出してきたお姫様のような清楚な寝顔を見せて、すやすや眠っているミカ。

 
 と、いきなり翔子が入ってきて、ミカのそばに立つと、じっとその寝顔を見詰めていたが、不意に、その目から一筋の涙がこぼれるのだった。

 翔子はすぐ部屋を出て行くが、

 
 ミカ(泣いていたわ……涙なんて一度も見せたことのない森谷先生が……)

 ミカはまだ起きていて、そのことをしっかり認識していた。

 しかし、堅く目をつぶったままでは、あの程度の落涙は分からないと思うのだが……ま、気配で察したのだろう。

 そして自分の寝室に戻った翔子は、ベッド脇の写真立ての中の、6、7才くらいの小さな女の子の写真を見て、悲しそうに涙を拭っていた。

 実は、その写真は、ミカではなく、既に亡くなった翔子の娘の写真だったのだが、ミカの幼少時の顔など誰も覚えていないので、これは、一応、視聴者に対する引っ掛けになってるのかなぁ。

 翔子は、娘が生きていたらミカぐらいの年に……と思って、ミカの寝顔を見ているうちに、つい涙を催してしまったのだろう。

 
 だが、そんなことを知りようがないミカは、壁の向こうの翔子に視線を向けながら、

 ミカ(森谷先生、あなたは私のお母さんなの? 38才だったら私くらいの娘がいても不自然じゃないわ……どうなんですか、森谷先生?)

 心の中で優しく翔子に問い掛けるのだった。

 いつの間にか、ミカの心の中では、自分を捨てた母親に対する憎しみより、母親に会いたいと言う気持ちの方が大きくなっていたのだ。

 ただ、以前にも書いたように、視聴者は、翔子と節也が直接顔を合わしているシーンを見せられているので、その様子から、二人は全くの他人同士で、かつて夫婦だった事実はなく、ミカの実母が翔子だったと言うのは、ミカの単なる妄想に過ぎないことがはっきりしているので、ミカの切ない思いとは裏腹に、見てる方はいまひとつ盛り上がれないのが残念である。

 さて、翌日、ミカは翔子と一緒にクラブへ行き、第1話の時のように、草薙オーナーに、水着姿でプールサイドに集まった選手たちに改めて引き合わされる。

 順子「私たちがミカさんにつらい思いをさせてしまった訳だけど、もう過去のことに触れるのはやめましょう。私たちはシンクロの同志です。お互いに励ましあって明日を目指して頑張りましょう」
 
 最初に順子がそう言うのだが、冷静に考えたら、これ、加害者側が「事件のことは綺麗さっぱり忘れましょう!」と言ってるようなもので、かなりのゴーマン発言ではないだろうか。

 
 ミカ「長い間、みんなを心配させちゃってごめんなさい、今日からまた一生懸命練習します。みんなよろしく!」
 千絵「ミカさん、みんな待ってたのよ」
 加奈子「ミカさん、また一緒に出来て嬉しいわ」

 明るく笑顔で挨拶するミカに、千絵たち親しい友人たちが駆け寄り、その手を掴んで声を掛ける。

 こうして見ると、冴子がいなくなったこともあるが、いつの間にか涼子派より、ミカ派の方が数的優位に立っていることがよく分かる。

 いまや、はっきり涼子組と言えるのは、明子と典子だけというお寒い状況。

 
 涼子「ミカさん、戻ってきてくれて嬉しいわ」
 ミカ「涼子さん、今日からまたよろしくお願いします」
 涼子「こちらこそよろしくね」

 しかし、翔子や母親の手前、心にもないことを作り笑顔で言うしかない涼子であった。

 ミカも、昔のことは根に持たないタイプ(その割りに、自分を捨てた実母のことをずーっと恨んでいたと言うのは矛盾しているような気がする……)なので、何の底意もない笑顔で応じる。

 翔子は、他の選手がストレッチをしている間、ラジカセで音楽を流し、ミカに、プールで自由に演技をしてみるよう指示する。

 少し面映い気持ちがしたが、ミカは「はいっ」と元気良く答えてプールサイドに立つ。

 
 典子「ブランクをそう簡単に取り戻せやしないわ。私たちの練習の邪魔になるだけよ」

 涼子の希望的観測を、典子が言語化する。

 しかもミカが、水に入る前にプールサイドで踊り出したので、ルーティン演技ではなく、ソロ演技をしようとするのだと気付き、

 明子「ソロを始める気よ、どういうつもり?」
 典子「格好が付くのはあそこまでよ、プールの中では醜いアヒルの子」
 涼子「……」

 まだミカに5000円返してない癖に、その不様な演技を期待してニヤニヤする典子。

 まぁ、ミカに対する好悪はどうあれ、しばらく練習から遠ざかっていたミカの技量が落ちているであろうことは、翔子を除いて、その場にいる誰もが考えたことだったろうが、案に相違して、ミカはブランクを感じさせないどころか、除名前より格段にレベルの高くなった演技を披露し、コーチや選手たちの度肝を抜く。

 無論、それは、川端女史の特訓と、それに負けずに精進したミカの努力のたまものであった。

 
 千絵「すっごぉい、ミカさん、凄ーい!」

 親友の千絵などは、我がことのように目を輝かせる。

 演技終了後、涼子組以外の選手たちは盛んに拍手を送り、ミカの即興の演技を讃える。

 何処から湧いたのか、健吾と稔もプールサイドに駆けつけ、興奮して手を叩く。

 
 健吾「ミカちゃん!」
 稔「ミカ、素晴らしかったぞ、国内なんて目じゃない、世界選手権で優勝できるぞ!」

 
 涼子「……」

 聞き捨てならないことを言う稔を、ギロリと物凄い目付きで睨む涼子。

 健吾はともかく、稔が、事実上、このシーンを最後にぱったり姿を見せなくなってしまったのは、この一言が涼子の逆鱗に触れて、人知れず闇に葬られたと言う説が有力である。

 さて、それから翔子の、恩師に対抗しようとするかのような厳しい特訓が開始される。ミカもそれによく応え、文句ひとつ言わずに練習に明け暮れる日々を過ごす。

 
 水中での実技のみならず、ビデオで他の選手の動きを見て勉強したり、ダンスルームで翔子とマンツーマンでひたすら振り付けの稽古をしたり、その内容は多岐にわたった。

 
 典子「二人とも凄い気迫ね」
 明子「森谷先生も凄いけど、ミカさんもよくやるわ。ミカさん、天才かもね」

 練習に打ち込むミカの真摯な姿は、涼子派の典子や明子すら思わず感心してしまうほどだった。

 従来なら、そのひたむきな姿勢は涼子の嫌がらせ、意地悪の格好のターゲットであったが、涼子には冴子との約束があり、ミカにはもう手が出せなくなっていた。

 その冴子だが、クラブを辞めた後もちょくちょくクラブに顔を出すだけでなく、

 
 冴子「いいこと、ミカさんをいびったり追放しようなんてしないって私にした約束、忘れないでよ。あなたには私の目がいつでも光ってるってこともね」
 涼子「……」

 じかに涼子を呼びつけて釘を差すので、涼子とて約束を反故にする訳にはいかないのだった。

 
 加奈子「ミカさんて、一日一日成長していくわよね」
 千絵「次の大会に間に合うんじゃないかしら」
 典子「それはとっても無理よ。成長は認めるけど、あと2、3年はとてもとても」

 控え室と言うか、談話室のようなところでミカの成長ぶりを話題にしている少女たち。

 景子「涼子さんはどう思います?」
 涼子「そうね、結果はどうであれ、大会の雰囲気に慣れると言うことはいいことじゃないかしら」

 仲間の質問に、当たり障りのない意見を述べる涼子だったが、千絵の、ミカとデュエット組みたいと言う発言には、思わず目をそばだてる。

 冴子がいない現在、涼子に継ぐ実力を持つのが、千絵だったからである。

 
 そこへ汗だくのミカが、危なっかしい足取りでやってくる。

 ここまで来たのがやっとと言う感じで、ソファの背中にもたれるように座り込んでしまう。

 加奈子「大丈夫?」
 明子「特訓のし過ぎよー、体ぶっ壊されちゃうんじゃないのー」
 ミカ「大丈夫よ、なんでもないわ」

 なんとか立ち上がってソファに座るが、いかにも疲れ切ったその横顔を涼子がじっと見詰めていた。

 ミカのオーバーワークに対する懸念は、スタッフミーティングの席上でも交わされるほどだった。

 
 藤木「森谷先生、ミカさんの練習を少し抑えたらどうですか? だいぶん疲れてるようですよ」

 普段は厳しい藤木コーチが、囁くような優しい声で翔子に助言するが、翔子は平然と、

 翔子「ミカの限界が何処までなのか探ってるところなのよ」
 遠藤「そんなことをしたらミカさんの体が壊れてしまいます!」

 普段から優しい遠藤コーチも思わず悲鳴のような声を出すが、

 
 翔子「壊れたらそこまでの選手だったと言うことね!」
 藤木「……」
 遠藤「……」
 順子「……」

 エキストラに毛が生えた程度のコーチたちの意見など翔子の眼中にはなく、ミカが聞いたら自殺しそうな酷薄な台詞をけろっと吐く。

 さらに、

 
 翔子「草薙先生、次の大会の新人戦にミカをエントリーして欲しいんですが」
 藤木「ムチャよ、草薙先生」
 翔子「お願いします。責任は私が負います」
 順子「……考えてみましょう」

 畳み掛けるようにそんな要望を出し、同僚の意見など歯牙にもかけず、強引に話を進めてしまう。

 順子も、だんだん翔子のことが怖くなってきたのではないかと思う。

 それにしても、翔子が「責任を負う」って言っても、何の意味もないよね。最近の政治家の発言と同じで。

 
 帰りがけ、ミカが話しかけてきて「また泊めて貰っていいですか」と馴れ馴れしく聞くが、

 翔子「ミカ、甘えちゃダメよ、私とあなたはコーチと選手、それだけの関係よ」

 よそよそしい態度で切り捨てると、翔子は松葉杖を突きながら行ってしまう。

 
 急に突き放されて、つまらなそうに壁に背中をもたれるミカ。

 ミカ「ぷーんっ! 何も急に冷たくしなくたっていいじゃない。ふーんだっ!」

 ぶつぶつ言って、しかめっ面を作るミカが可愛いのである!

 ついでに、このシンプルな白いタンクトップの膨らみが、実にいやらしいのである!

 可愛い上に、いやらしい、もう最強ですね。

 そんなある日、ミカは涼子から話があると屋上へ呼び出される。

 
 先に来て待っていると、涼子が圧倒的な存在感を誇る巨乳を揺らしながら歩いてくる。

 
 涼子「急に呼び出してごめんね、仲直りがしたかったの」
 ミカ「私もそう思ってました」
 涼子「そう……疲れがひどそうね」
 ミカ「いいえ、そんなでも」

 涼子、いかにも親しげにその肩に手を回し、

 
 涼子「森谷先生の練習には程ほどに付き合わなければダメよ。森谷コーチに体を壊されてシンクロやめたのは一人や二人じゃないのよ」
 ミカ「涼子さん、森谷コーチの悪口なら私聞きたくありません!」
 涼子「悪口じゃないわ、ほんとのことよ。嘘だと思うなら千絵さんでも誰でも確かめたらいいわ」
 ミカ「私、失礼します!」

 涼子、今度は手を変え、翔子とミカの間に亀裂を生じさせようとしているのだろう。

 ミカも馬鹿ではないのでそれを察し、融和ムードも一転、刺々しく言って立ち去ろうとするが、

 涼子「森谷コーチは何人もの選手を潰してるだけじゃないのよ、シンクロに夢中になり過ぎてご自分の子供まで亡くしてるのよ!」

 涼子の聞き捨てならない発言に、思わず立ち止まり、振り向く。

 ミカ「なんですって? 涼子さん今なんて言ったの?」
 涼子「森谷先生にはお嬢様がひとりいたのよ、もう10年ほど前かしら。事故で亡くなってるわ」
 ミカ「そんな……」
 涼子「あの人は自分の子供まで犠牲にしてるのよ、それでも平気な人なの、分かった、ミカさん?」

 さすがにこんなことで涼子が嘘をつくとも思えず、翔子が既に娘を亡くしているのは事実であろう。翔子は自分の母親ではなかった! そう悟った途端、ミカの頭の中では、伊豆から戻って以来、漠然とだが密かに育んでいた夢……いつか、翔子と親子として名乗り合い、一緒に暮らせる日が来るかも知れないと言う夢が、ガラガラと音を立てて崩壊していくのだった。

 
 期待が大きかった分、夢破れたミカの絶望は余人には計り知れないものがあった。

 そして涼子は、ミカのそんな胸の奥底までは見通せなかったが、思惑通り、いや、それ以上にミカが激しいショックを受けているのを見て、ニンマリとほくそ笑むのだった。

 終盤に来てまた重苦しいムードになってきたので、

 
 最後は予告編のキャピキャピした宮沢りえちゃんの画像を貼っておこう。
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コメント

終戦です。

ついにミカと翔子が再会を果たしてしまいましたか。私の敗北に終わりました。
父、節也は何をしているのだろう。私が父なら多くとも週1回は、少なくとも月1回は様子を見にいくんですけどね。翔子に全幅に信頼をよせているのだろうか。無念・・・(何が(笑))

そして、
>帰り道でも、以前よりむしろ親密な関係になったように見える二人であった。
> ただ、以前にも書いたように、視聴者は、翔子と節也が直接顔を合わしているシーンを見せられているので、その様子から、二人は全くの他人同士

翔子の母親疑惑、私の記憶をあいまいにしたのはこの回を当時観たからなのでしょうね。翔子が”鬼”と思わなかったのもこの回を観たから。

そして、本当の母親は、”見返り美人”のように振り向いているシーンが印象に残っています。

>聞き捨てならないことを言う稔を、ギロリと物凄い目付きで睨む涼子。
>健吾はともかく、稔が、事実上、このシーンを最後にぱったり姿を見せなくなってしまったのは、この一言が涼子の逆鱗に触れて、人知れず闇に葬られたと言う説が有力である。

な、なんというこだ。爽やか稔が消されてしまった。お、恐ろしい。

ただ、翔子黒幕説の可能性も・・・

>翔子「ミカに惚れても無駄よ」

恋愛というスポーツ競技をする上で最も足かせになる感情。翔子にとっても、最も、爽やか稔が邪魔になったのかもしれない。練習の追い込みをかける時期が時期だけに。ちなみに健吾は最初から眼中になかったので消されなかった(笑)

果たして、爽やか稔を闇に葬った黒幕は・・・

確かに、私が宮沢りえさんを知ったのはこのドラマでした。竹内力さんは101回目のプロポーズの準レギュラー(今度は爽やかバイオリニスト)。記憶になかったのはよほどこのドラマの出演が少なかったからでしょう。

それはさておいて、くわばらくわばら、涼子も手段を選ばないので、だからこそ、冴子が定期的に念を押しにいっているのでしょうね。

>涼子、今度は手を変え、翔子とミカの間に亀裂を生じさせようとしているのだろう。

今度は直接的な危害ではなく、練習の邪魔建てですか。なんという執念。

>そして涼子は、ミカのそんな胸の奥底までは見通せなかったが、思惑通り、いや、それ以上にミカが激しいショックを受けているのを見て、ニンマリとほくそ笑むのだった。

なんという底意地の悪さだろう

次回のミカと翔子とのやりとりが気になるところですね。17話のレビューお疲れ様でした。って気づいたらもう17話でしたか。最終回にさせたかったのが、まだ最終回にならないでと一転してしまいました。

おまけ
>ブラを見せていた生徒の顔がほんとの一瞬だけ映るのを、何度も失敗しながら苦労してキャプした管理人であった。

ビデオでのキャプでしたね。苦労が滲みでている画像が伝わります。お疲れ様です。
こちらもなんという執念(笑)。

Re: 終戦です。

長文コメントありがとうございます。

> な、なんというこだ。爽やか稔が消されてしまった。お、恐ろしい。

確かこれがラストだったと思いますが、あまりといえばあまりな扱いですよね。

> 恋愛というスポーツ競技をする上で最も足かせになる感情。翔子にとっても、最も、爽やか稔が邪魔になったのかもしれない。練習の追い込みをかける時期が時期だけに。ちなみに健吾は最初から眼中になかったので消されなかった(笑)

ありえますね。ま、どっちにしても恋愛要素は希薄なドラマでした。冴子と稔がつきあっていたという設定も、全く意味なかったし。

> 竹内力さんは101回目のプロポーズの準レギュラー(今度は爽やかバイオリニスト)。記憶になかったのはよほどこのドラマの出演が少なかったからでしょう。

そうなんですか。その手のドラマは「高校教師」以外見たことがないので全く知りませんが。

> なんという底意地の悪さだろう

ここまで来たら生まれつきの性悪女としか思えませんよね。

> 次回のミカと翔子とのやりとりが気になるところですね。17話のレビューお疲れ様でした。

ありがとうございます。下書きの手直しも、もう残すところ最終回だけとなりました。

> ビデオでのキャプでしたね。苦労が滲みでている画像が伝わります。お疲れ様です。
> こちらもなんという執念(笑)。

そうなんです。製品版のDVDと比べて、テレビを録画したものはキャプがしにくい(画面が崩れやすい)んです。

稔君、退場

zuraさん、スワン17話楽しみにお待ちしてました。解説をどうも有り難うございました。(^-^)

三ツ矢サイダーのようながぴったりの稔君、本当に今回で終了なんて、あんまりですよね。最終回くらいは出すのが当然なのに酷すぎます。

当時、このあと、全然、稔君が出ずに最終回も出てこなかったショックは相当なものでした。

多分、101回目のプロポーズに準レギュラーだったと聞き、それで忙しくてスワンを下りたのかしら?と思いました。情報をどうも有り難うございました。

この無念な気持ちは、更に遠い昔、バビル2世が2部になってからヒロイン由実ちゃんが全くでてこなくなり、代わりにヘンテコリンな女が登場して浩一君とベタベタして、毎週、由実ちゃんが出てこないと残念に思い最終回こそはと期待したのに、とうとう由実ちゃんは登場せずに北海道に居すわってしまうという、とんでもないメチャメチャな話しになってて少女時代、東映制作側に裏切られ傷つき、それは今でも絶対に許されない2部で、私にとってはバビル2世は最初の26話で終了です。

神谷明さんも、そのような気持ちだったとロマンアルバムに書かれてたのがせめてもの救いで、神谷明さんの浮気しない誠実なお人柄に更に大ファンになりました。

とんでもないメチャメチャ最終回のマンガとして、竹宮恵子のファラオの墓がありますね。

何せヒロインを自殺させて、話しの半分くらいから出てきた女と主人公サリオキスを結婚させるんですから、子供ごころにものすごくショックを受け傷つきました。
それは今でも変わらず竹宮に最後書き直せよ!と強く思ってます。

ヒロインが死んでしまうメチャメチャなマンガのスレの中に必ず入ってくるマンガです。

Re: 稔君、退場

> zuraさん、スワン17話楽しみにお待ちしてました。解説をどうも有り難うございました。(^-^)

こちらこそ、お読み頂きありがとうございます。

> 三ツ矢サイダーのようながぴったりの稔君、本当に今回で終了なんて、あんまりですよね。最終回くらいは出すのが当然なのに酷すぎます。

何の説明もないままですからね。健吾を出さず、最初から稔だけにしておけば、もうちょっとどうにかなったんじゃないかと思いますが。

> この無念な気持ちは、更に遠い昔、バビル2世が2部になってからヒロイン由実ちゃんが全くでてこなくなり、代わりにヘンテコリンな女が登場して浩一君とベタベタして、毎週、由実ちゃんが出てこないと残念に思い最終回こそはと期待したのに、とうとう由実ちゃんは登場せずに北海道に居すわってしまうという、とんでもないメチャメチャな話しになってて少女時代、東映制作側に裏切られ傷つき、それは今でも絶対に許されない2部で、私にとってはバビル2世は最初の26話で終了です。

「バビル2世」は見たことないですが、ひどい話ですね。

Re: タイトルなし

> 何せヒロインを自殺させて、話しの半分くらいから出てきた女と主人公サリオキスを結婚させるんですから、子供ごころにものすごくショックを受け傷つきました。
> それは今でも変わらず竹宮に最後書き直せよ!と強く思ってます。

少女漫画については門外漢なのですが、確かにめちゃくちゃな話ですね。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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