第21話「復讐する女の標的は黒いミサイル」(1984年1月6日)
夜、ETが車を飛ばしてとあるマンションにやってくる。
一刻を争うように建物の中に駆け込み、安田と言うネームプレートの部屋の前までやってくるが、チャイムを鳴らすより先に、中から見知らぬ若い女性が飛び出てきて、一瞬顔を見合わせた後、逃げるように走り去ってしまう。
ET、とりあえず部屋の中に入ってみるが、

既に部屋の主の安田と言う男は、胸にナイフを突き立てられて死んでいた。
だが、ETはこのことを予期していたのか、さして驚いた様子も見せず、指紋をつけないよう注意しながら、部屋の中をざっと調べる。
ベッドルームには、女物のハンドバッグが落ちていた……
一方、逃げた女は、近くの歩道橋の上で一息ついているところを、パトロール中の警官に右手についた血痕を見咎められ、そのまましょっ引かれそうになる。
そこへETが駆けつけ、

ET「その必要はありませんよ」
警官「君はこの人の知り合いかね」
ET「恋人です。実は僕たち、この先の喫茶店で喧嘩をしましてねえ。いやー、僕が悪かった。二度とあんなこと言わないから機嫌を直してくれよ」
ET、咄嗟に彼女の恋人のふりをして、血痕も自分の鼻血だと言い訳して、なんとか解放してもらうことに成功。

ET「危ないところだったな」
由香利「あんた、誰? 何故あんなことを言ったの?」
ET「君と話がしたい」
由香利「嘘! あなた、私を殺すつもりなんでしょう?」
だが、恋人を殺されたばかりで動転している女・由香利は、礼を言うどころか喧嘩腰でそう叫ぶと、ETの持っていた自分のハンドバッグをひったくって、再び走り去ってしまう。
翌日、田園調布の路上、車のバンパーの上にちょこんと腰掛けて、安田殺しのニュースをポータブルテレビで見ているチャンプと園山。

チャンプ「ご覧の通りや、案の定、安田幹雄は殺された」
園山「別に私の責任じゃないよ」
非難するようなチャンプの言葉に、そう答えて帽子を被り直す園山。
チャンプ「そらまぁそや、そやけど、ワシらははじめからこうなることを予測しとった。それなのに、あんたはゴーのサインを出さんかった」
園山「持ち込みの仕事をいちいち承諾してたんじゃ、金がいくら掛かるか分かったもんじゃない」
どうやらETとチャンプは、あらかじめ安田が狙われているのを知っていて、それを園山にハングマンの仕事として売り込んでいたが、園山が渋ってる間に、事件が起きてしまったらしいのだ。
結局、ほとんどチャンプに脅迫されるような形で、園山は遅蒔きながらゴーサインを出し、手付けとして100万を渡すのだった。
アジトに戻り、誇らしげにその100万円の札束を見せびらかしているチャンプ。

チャンプ「どや、ワシの腕前は?」
マリア「たったの100万で大きな顔しないでよ」
ヌンチャク「必要経費でぶっとんじゃうよ」
チャンプ「えっらそーに、アホか、今回は持ち込みの仕事やぞ、おい、え、こっちの見込みどおりいかなんだら、恥かくのはお前らやないかいな。そやからワシも心ならずも下手に出とんのや。これは渉外係の深謀遠慮ちゅう奴や」
文句を言うヤングたちに、しみじみと語って聞かせるチャンプ。
いまいち何を言いたいのか分からないのだが、要するに、今回の案件は、まだ本当にハンギングに値する事件かどうか分かってないと言うことなのだろう。
で、ETが安田のことを知った理由だが、一昨夜、つまり、事件の前日だが、ETが地下駐車場で二人組のやくざ風の男に襲われて殺されかかり、無論難なく撃退するが、彼らが落として行ったのが、裏に安田幹雄と書かれた、安田の写真だったと言うのだ。
つまり、二人は何者かに頼まれて安田の命を奪おうとして、間違えてETを襲ってしまったらしいのだ。
うふっ、ドジな殺し屋さん!
その翌日、ETから話を聞いたチャンプが園山に交渉するが断られて、その夜、あえなく安田が殺されてしまったのは、冒頭で紹介したとおりである。
二人から事情を聞いて、マリアとヌンチャクもようやく腑に落ちた顔をする。
と言う訳で、早速調査に取り掛かるハングマン。
チャンプが、安田が付き合っていた(性的な意味ではなく)と言う権藤なる大物総会屋、マリアとヌンチャクが安田の足取り、そしてETは勿論、あのあだっぽい女性をそれぞれ担当することになる。
ET、由香利のマンションにいきなり突撃する。
抜け目のないET、昨夜ハンドバッグから彼女の免許を失敬していたのである。

由香利「あなた、どうしてここが?」
ET「君の免許証だ」
由香利「さっきから探してたのよ、あなたが盗んだのね」
ET「一時預かっただけさ」
由香利「返して」
ET「質問に答えてくれたらね」
ワケあり風の美女のお相手が出来て、いかにも嬉しそうなETであった。
由香利もやむなく、チェーンを外してETを中に入れるが、
由香利「待って、変な真似したらおっきな声だすわよ」
なかなか気の強い女性らしく、しっかり釘を刺すことを忘れない。
ET「ついでに警察も呼べよ、殺人事件の重要参考人として連行されるだろうがね」
由香利「私が殺したんじゃないわ」
ET「わかってる、犯人ならもっと大量の返り血を浴びた筈だ」
ET、ここでいつものルポライター結城の名刺を出して見せると、

ET「君は犯人を見たんだろう?」
由香利「見てないわ、私、その時ベッドルームにいたから」
ET「ベッドルーム? 何故?」
由香利「野暮なこと聞かないでよ」
確かに、ETにしては珍しく野暮な質問だった。
最初から核心の話が聞ける訳はないので、ETはほどよいところで免許を返して退散する。
言い忘れていたが、由香利を演じるのは朝比奈順子さん。
良く考えたら、実に不公平な話なのだが、同じ頃、チャンプは黒いスーツに身を包み、その権藤と言う総会屋の皺くちゃジジイの屋敷を訪れ、その前に畏まって座っていた。

チャンプ「安田でございます、生前は弟がえらいお世話になりまして」
権藤「幹雄君のことは新聞で読みましたよ、全くお気の毒です。衷心よりご冥福を祈ります」
チャンプ「おおきに、ありがとうございます。かねがね尊敬しとった先生に、そないなお言葉を頂戴して、さぞかしあいつも喜んでるこっちゃとおもいます」
お互い、心にもないことを言い合った後、改まった口調で用件を切り出すチャンプ。
チャンプ「実は、先生に、弟を殺した奴の心当たりを教えて欲しいと思いまして……」

権藤「何故そのようなことを?」
怪訝な顔で聞き返すその額に、マジックででかでかと
「そうだす、わてが今度の事件の黒幕だす」と書いてあってもおかしくないような、いかにも犯人顔の田中明夫さん。
「ハングマン」の常連の一人である。

チャンプ「勿論、弟の恨みを晴らす為だすがな」
権藤「いやいや、そういう意味じゃない。何故私に心当たりがあると思われたのか、聞いているのだ」
チャンプ「はい、それは二、三日前、弟から電話がございまして……俺は命を狙われている。もし万一の時は、権藤先生に事情を聞いてくれと」
権藤「ばんなそかな!」
チャンプ「へっ?」
権藤「いや、私が言いたいのは、弟さんはどうやら何か勘違いをしていたようだな。私には心当たりは全くない」
そこへ権藤の部下が呼びに来たので、チャンプはそれを潮に引き揚げる。
ひたすら平身低頭して権藤が車で出て行くのを見送るチャンプだったが、その際、しっかりと発信機を車のケツにつけておくのだった。

チャンプ「ふっ、タヌキオヤジ、ワシからは逃げられんぞ」
チャンプも、すぐ自分の車に乗り込み、ポータブルの受信画像装置を見ながら、追跡を開始する。
こういうの、以前のシリーズでもちょくちょく出てきたけど、昔と比べるとだいぶCGがリアルになったよね。
もっとも、権藤が安田殺しに関与しているという確かな証拠もないのに、こうやってしつこく追い掛け回すと言うのも、なんか変なんだけどね。

一方、マリアは安田の行きつけのバーに行き、素知らぬ顔で安田のことを話題にし、そこのバーテンから、安田が殺されたと聞かされて、初めて知ったかのようにわざとらしく驚いてみせる。
マリア「あーあ、損しちゃったな!」
バーテン「ええっ?」
マリア「特ダネ買ってもらう約束してたのよ、彼が今調べてることで」
さらに、店内中に聞こえるような大声でそんなことを言うが、無論、そうやって犯人を焙り出す為である。
本来なら、何度もしつこく通ってやっと手掛かりが得られるものだが、

やくざ「……」
やくざ「……」
これはドラマなので、犯人はその店にいて、マリアの話に聞き耳を立てていたのだった。
話が早くて良いねえ。江戸っ子だねえ。

マリア「ね、安田さんの仲間で、高く買ってくれそうな人知らない?」
バーテン「さあねえ、ユカちゃんなら知ってるかもしれませんよ」
マリア「ユカちゃん?」
バーテン「安田さんのフィアンセですよ、ジャーナリスト志望の女子大生なんですけどね」
マリア「もしかして、この子?」
バーテン「そうそう、この子ですよ。この子……って、
なんで写真持ってんですか!?」
と、普通ならツッコミを入れるところだが、これはドラマなので、バーテンはまったく気にしない。
ちなみに朝比奈さん、当時30才で、さすがに女子大生は無理があるんじゃないかなぁ……
で、二人の男は笑っちゃうほど簡単にマリアの蒔いたエサに食いつき、ガード下にマリアを連れて行って口を割らせようとするが、いささかワンパターンではあるが、そこへ待機していたヌンチャクが駆けつけ、

得意の空手技を繰り出して、二人をぶちのめす。

マリア「今度は私たちが質問する番よ、誰に言われてあの店に張り込んでたの?」
ヌンチャク「頭カチ割ってやろうかっ?」
二人は弱い上にからっきし意気地がなく、ヌンチャクにちょっと凄まれるとすぐ観念してぺらぺら喋り出すが、向かいのビルにいた別の男にライフルで狙撃され、あえなく殺されてしまう。
だが、撃たれる直前、男は「権藤……」と言い残す。
一方、チャンプに尾行されているとも知らず、その権藤が向かった先は、三ツ星物産と言う、ある商事会社の本社ビルであった。
社長室で、社長の田所と話している権藤。
権藤「非合法の輸出まで手掛けておられる」
田所「またそのようなことを……前にも申し上げたとおり、わが社の取引はすべて合法的に行っております」
権藤「建前の上ではね。しかし、横浜の倉庫で船積みを待っている品物、あの中身は明らかに非合法品目のリストに載っている筈ですが」

田所「あれは途上国向けの精密機械類ですよ。なんなら、書類をお見せしましょうか」
権藤「書類などいくらでも偽造できますよ。勘違いしないで下さいよ。私はねえ、あなた方のやってることには基本的には賛成なんです。日ごろお付き合いを願っている国会議員の先生方も同じ意見を持ってらっしゃる」
田所「一体あなたは、何をお望みなんです?」
権藤「私はあなたの会社の繁栄を願っています。余計な波風を立てるのは愚の骨頂」
田所「要するに口止め料の要求ですな?」
権藤「ふっふふっ、そう言ってしまっちゃ身も蓋もない」
権藤、田所が裏で行っている違法な取引をほのめかし、いかにも総会屋らしく金を脅しとろうするが、田所社長もなかなかのしたたかもので、相手の来意を知ると、あっさり面会を打ち切ってしまう。
田所社長を演じるのは、これまたシリーズ常連の久富惟晴さん。
しかし、安田が探っていたのは、まさにその三ツ星物産の非合法取引なのだが、その安田の行きつけの店に、なんで三ツ星ではなく、権藤の部下が張り込んでいたのか、その辺が良く分からないのである。

さて、ETのほうは、あの後、すぐマンションからバイクで西に向かって走り出した由香利を追跡していた。
まぁ、朝比奈さんはどう見てもバイクに乗れそうもないので、これは台車の上に乗っけて撮影してるんだろうが。
由香利は真っ直ぐ横浜の倉庫まで行くと、何か当てがあるのか、C19と書かれた倉庫へ入り、あれこれと荷物を調べていたが、ほどなく、三ツ星物産のマークが入った木箱を発見する。
が、その蓋をこじ開けようとしていると、警備員に見付かってしまう。

警備員「誰に頼まれた?」
警備員「言え! 言わんか!」
三ツ星物産の息が掛かっているのだろう、彼らは警備員とは思えぬ乱暴な口を利くと、由香利に当身を食らわせ、失神させてしまう。
と、そこへナイトよろしく駆けつけたのがETであった。
二人をあっという間に倒すと、

黒のライダースーツを着た由香利の体を持ち上げる。
……
ありがとう!(何が?)
その後、色々どうでもいいシーンがあって、夜になってから、ようやくアロハツーリストにETから電話が掛かってくる。
ET「そっちの方で何か収穫は? うん……それじゃあ、安田を殺したのは権藤の配下と見ていいんだな?」
マリア「それともうひとつ、島崎由香利は彼のフィアンセで、ジャーナリスト志望の学生よ」

ET「安田と婚約していたそうだな」
由香利「どうしてそんなことまで?」
ET「俺もルポライターの端くれだ。情報網を持ってる」
横浜のレストランで向かい合い、早速マリアから仕入れた情報を披露するET。

ET「愛してたのか?」
由香利「結婚するつもりだったわ。彼はとっても正義感が強かったの、誰にも書けないスクープを狙っていたわ。彼の夢は私が実現するの」
ET「つまり彼が殺された復讐をしようってワケだ」
由香利「そうよ、殺人者の背後にある大きな犯罪を暴いてやるわ。だって、それが彼の遺言だったんですもの……」
と言う由香利の言葉で、初めて安田の殺された時の状況が明かされる。
しかし、「愛してたのか?」って、婚約してた人にする質問じゃないよね。

安田「中心にいるのは、三ツ星物産だ。社長の田所は国際法を無視しても大きな取引を進めるつもりなんだ」
由香利「そんなこと探って、危険じゃないの?」
安田「勿論、危険だね。だけどね、誰かがやらなくては……」
で、大変嬉しいことに、二人とも布団を掛けず、すっぽんぽんで絡み合っていると言う、善玉同士にしては珍しく大胆なベッドシーンに突入するのでありました。

朝比奈さんはヌードOKなので、しっかり乳首も出してくれます。

由香利「あなたのそういうところが好き」
安田のカッコイイ発言にうっとりして、相手の胸板に、スライムのような柔らかいおっぱいを押し付ける由香利。
管理人も、あなたのそういうところが好きです! しかし、こんな正義感の強い人が、なんで権藤のような総会屋と付き合いがあったのか、その辺も良く分からないのである。

二人は一戦おっぱじめようとするが、そこで、不粋なチャイムの音がする。
安田「誰だろう、今頃? ちょっと待ってくれ」

安田が応対に出た後、巨乳を隠そうともせず、幸せそうにベッドに横たわる由香利。

いやぁ、地上波で普通にこんなものが見れていた時代があったとは……
安田「おい、よせ、やめてくれ! うわーっ!」
だが、玄関の方から安田の悲鳴のような叫び声が聞こえ、人の争うような音がしたので、由香利の幸せ気分もたちまち消し飛んでしまう。
なにしろすっぽんぽんなもので、咄嗟に身動きすることも出来ない由香利だったが、静かになったので恐る恐る仕切りの襖を開けると、

既に安田はナイフで胸を刺され、瀕死の状態であった。
安田「横浜、高島埠頭、19番倉庫……三ツ星物産の荷物……お、俺の代わりに調べてくれ」
由香利「幹雄さん!」
安田は最期にそう言い残して息絶えたという。
しかし、玄関には由香利の靴もあったのだろうから、殺し屋たちも、安田の他に人がいることに気付いても良さそうなものなのに、確かめずにさっさと引き揚げてしまったのは解せないなぁ。
あと、この画像、椅子の背もたれを、第三者の手が掴んでいる心霊写真のようにも見えるが、これは下から手を伸ばしている安田のものである。
以上、素晴らしい目の保養タイムだったが、朝比奈さんが、お尻を見せてくれなかったのがちょっぴり残念な管理人であった。

ET「それにしても危ない真似をするもんだな、犯人が気が付いていたら、間違いなく君も殺されていたぜ」
由香利「彼の恨みを晴らすためなら、私、どんなことでもするわ」
ET「出来るかな、君に? 世の中は君が考えているほど甘くないってことさ。今日もその事件の巻き添えで二人殺された。君もこの辺で手を引いたほうがいいな」
ET、コーヒーカップを片手に、由香利に忠告する。
しかし、ET、「巻き添えで」って言ってるけど、あの二人はあんたらがちょっかい出したから口封じされた訳で、それを他人事みたいに言うのはなんか変である。
由香利「復讐をやめろって言うの?」
ET「……」
由香利「もう結構、二度と私に近付かないで!」
短気な由香利、そう言うと席を蹴立てて行ってしまう。
翌日、例の倉庫で作業員がトラックから荷物を降ろしていると、頭上から木箱が落ちてきて、作業員の胸を強打する。

警備員「おい、だいじょうぶか、しっかりしろ」
その作業着が真っ赤に染まるのを見て、たちまち他の作業員や警備員が集まり、騒然とした雰囲気となる。
で、その作業員がヌンチャクで、

チャンプ「おい、救急車呼ぶんだ、救急車を!」
逸早く駆けつけてその体を抱き上げた警備員が、チャンプなのだった。
チャンプ「しっかりしろ、家族のことを考えろーっ!」 渾身の猿芝居で、ヌンチャクに向かって絶叫するチャンプ。
それは、警備員や作業員の注意をそらすための策略で、みんながヌンチャクの周りに集まってる隙に、待機していETが運転席に乗り込み、トラックを運転して走り去ってしまうのだった。

ヌンチャク「ああ、あ……」
チャンプ「いつまで甘えとんねん、おい、行くぞ」
なおも芝居を続けるヌンチャクの頭を叩いて促し、チャンプもさっさとその場を離れるのだった。
ETが人目につかないところにトラックを入れて積荷を調べていると、チャンプたちもやってくる。

チャンプ「どや、箱の中身なんやった?」
ET「どえらいもんが入ってたぜ」
ヌンチャク「……ラジコン飛行機の部品ですか?」
ET「似たようなもんだ」
アジトに戻ったETは、色んなミサイルの発射実験のフィルムをみんなに見せながら説明する。
ET「このミサイルは発射後も射手によってコントロールされる。つまり光学式照準ヘッドを使用してる。だから目標物が何処に移動しても、射手がその動きを追うことによってミサイルは自動誘導され、目標物を確実に破壊する」
チャンプ「かぁーっ、おっとろしなぁ」

ET「それに比べ、三年前に開発されたこのミサイルは姿勢制御ジャイロ、エレクトロニクス機構、超小型レーダー、よく出来てはいるが、世界の一級品には及ばず、防衛用の兵器としては採用されなかった。その結果、このミサイルを大量に発注した三ツ星物産は大きな赤字を背負い込んだという」
マリア「そうか、それで開発途上国に売り込むことにしたのね」
ET「日本の法律は兵器の輸出を禁じてる。だから精密機械と偽ってたんだ」
チャンプ「それで読めた、権藤の奴、その弱味に付け込んで三ツ星物産から金をせしめようとしたんだ」
ヌンチャク「安田ってルポライターはその秘密に気付いてスクープしようとしたんですね」
ET「ああ、その為に権藤の手先に消されたんだろう」
マリア「死の商人と薄汚いたかり屋、どっちもどっちよ」
軽蔑の眼差しで権藤と田所を一刀両断するマリア様。
要するに権藤は、安田にそのことを公にされたくなかったので、その口を封じた訳である。
一方で、三ツ星物産は、自分たちのことなのに、安田に嗅ぎつかれたことを全然知らなかったことになり、いささかお間抜け過ぎる気がするのである。
だから、最初から田所と権藤が手を結んでいた……と言うか、田所が権藤に頼んで、安田を始末させた、と言う風にしておいた方が良かったんじゃないかなぁ。
もっとも、次のシーンでは、ミサイルの部品を盗まれたと言って、田所が権藤の屋敷を訪ねて来て助力を請い、権藤も渡りに船とばかりに応諾し、結局二人は手を組むことになるのだが。
夜、マンションに戻ってきた由香利を、権藤の部下が押さえつけ、ナイフを突きつけながら、

部下「ミサイルを盗んだのは誰だ?」
由香利「ミサイルってなんのこと?」

ほんとに何も知らないのでそう言うしかない由香利に対し、服の衿にむんずと掴み、一気に服を引き裂いておっぱいをポロリさせるのかと、視聴者の期待を一身に集める権藤の部下だったが、残念なことに、胸元を少し開いて、もうひとりがナイフを突き立てて傷をつけるという、サディスティックだが、全然エロティックじゃないことを始めるのだった。
ま、どっちにしても真っ暗闇なので、あまりよく見えなかったと思うが。

部下「もう一度聞くぞ、ミサイルを盗んだのは誰なんだ?」
由香利「知らないわ!」
お、誰かと思ったら、「レッドバロン」のボスじゃないですか。

男は、由香利の言葉に、いきなりナイフを腹に突き立てる。
鮮血が溢れて滴り落ちる、ハードなシーン。

由香利「ああっ! ううっ……」
苦痛に顔を歪める由香利。
部下「さぁ、早くしねえと出血多量で死ぬぞ。ミサイルは何処だ?」
由香利「知らない……」
と、ここで漸くETが駆けつけ、二人をボコボコにして追い払う。
由香利「やっぱり私が考えてるほど、世の中甘くはなかったわ……」
ET「おいっ、しっかりしろ!」
意識を失って倒れる由香利の体をお姫様抱っこで持ち上げるET。
スカートがめくれてフトモモが一瞬あらわになるが、暗いので、パンツまでは見えませんでした。

その後、九品仏浄真寺で再び会っているチャンプと園山。
園山は約束の300万を渡したあと、なんと、さらに300万を黙って上乗せしてくれる。
チャンプ「これ全部もろうてええんかいな?」
園山「構わんよ、私がGODにお願いして報酬を倍にして頂いたんだ」
チャンプ「園やん、こりゃどういう風の吹き回しや?」
園山「私はね、平和主義者なんだ、死の商人みたいに手合いは二番目に嫌いなんだよ」
チャンプ「なるほど、ほな参考までにお聞きしますけど、一番嫌いな奴は?」
園山「勿論、君みたいなヘビースモーカーだよ」
園山は顔をしかめて言うと、さっさと帰っていく。
しかし、芹沢博士の平田さんが「自分は平和主義者だ」と言うと、重みがあるなぁ。
……そう言えば、平田さん、この僅か半年後に亡くなってるんだよなぁ。GODの天知さんと同じく、早過ぎる死であった。
次のシーンでは、アジトのコンピューターに、

今回の報酬ならびに経費の内訳がかなり詳しく表示されるのだが、
材料費80万、情報調達費85万はともかく、
・交通費35万
・飲食費17万
・ガソリン代20万
と言うのは、さすがにボリ過ぎなのでは?
交通費ったって、せいぜい横浜への行き来くらいだろうし、そもそも、交通費とガソリン代って、同じなのでは?
これを見ると、メンバーが、それぞれ領収書を誤魔化して差額を自分の懐に入れているのではないかと勘繰りたくなる。
道理で、報酬がいつも妙に少ない筈である。
で、いよいよハンギングとなるが、今回もいつもと同じく工夫はなく、遠藤とその部下、田所をミサイルと金を交換すると言って採石場に呼び出し、騙してジープの中に閉じ込めた上で、

実際にミサイルを飛ばして、マネキン人形を吹っ飛ばして見せる。
もっとも、さすがに本物のミサイルではなく、彼らの作ったダミーだったと思われるが、逆にたった80万円の材料費で、よくこれだけのものを作り出せたなぁと、別の疑問が湧いてしまう。
それはさておき、あと2分でミサイルがジープに命中すると脅された権藤たちは、すぐに醜い内輪揉めを始める。

権藤「武器の密輸を企んでいながら、何が持ちつ持たれつだ」
田所「武器輸出のどこが悪い? 業界のものは誰だって考えてる筈だ、いやぁ、政治家だって腹の中では……」
権藤「言い訳はよせ、貴様は経済界のクズだ、ゴミだ、虫けらだ!」
田所「何を言うんだ、貴様こそ産業界の寄生虫じゃないか! それだけじゃない、こいつは人殺しなんだ!」
権藤「いや、私はやってない、ルポライター殺しはここにいる二人が勝手にやったんだ」
部下「会長! それないでしょう!」
権藤の、あまりに身勝手な言い草に部下までもが激昂して掴みかかる。
ちなみに、ボス以外のもうひとりの部下は、毎度お馴染み、新海丈夫さんである。
彼らが洗い浚い白状する様子は、カメラによってばっちり録画されていた。
2分後、ミサイルが発射されるが、それはジープの上空で爆発し、いくつかの小さな落下傘が落ちてくるのだった。

チャンプ「まぁ、こんなもんだろ」
ET「いっそ、本物を命中させなかったな」
チャンプ「気持ちは分かるけど、あとは警察に任そう」
近付いてくるパトカーのサイレンを合図に、さっさと引き揚げるハングマンたちであった。
普通ならここで終わりなのだが、今回は、

テレビで、マリアたちが撮った権藤たちの罪のなすりつけあいの映像を、由香利が病院のベッドで見ているというシーンが続く。
そう、由香利は深手を負ったが、死んではいなかったのだ。
由香利は涙を堪えつつ、傍らのバラの鉢植えを見遣る。
それには、ETのルポライターとしての名刺が添えられてあった。

由香利「ありがとう……」
権藤たちを断罪したのがETだと悟り、感謝の言葉をつぶやく由香利。
さらに、最後には、アロハツーリストで同じ映像を見ている加代子が登場し、

加代子「ほんと、世の中には悪い人がいるもんですね~そう思いません、みなさん?」
チャンプ「ふん?」
加代子「そう思いません?」
チャンプ「ふふっ、うん?」
大いに憤慨して、後ろでまったりしているチャンプたちに同意を求めるが、彼らの反応が鈍いので、

加代子「ダメねえ、社会問題に全然疎いんだから」
チャンプ「社会?」
彼らこそ今回の暴露の仕掛け人とも知らず、呆れたように鼻を鳴らす加代子に、キョトンとするチャンプたちのとぼけた顔を映しつつ、ようやくEDになるのだった。
以上、ストーリー自体は単純だが、随所に演出上の工夫が見られ、なにより朝比奈さんの豊満なおっぱいが見放題と言うのが嬉しい、久しぶりの快作であった。
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