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「イナズマンF」 第18話「レッドクイン 暗殺のバラード」



 第18話「レッドクイン 暗殺のバラード」(1974年8月20日)

 あの長石多可男監督が脚本を担当した異色作である。監督は塚田正煕氏。

 のっけから、画面いっぱいに、

 
 白いミニスカと、白いフリンジ付きロングブーツを履いた、若い女性のほっそりした足のバックショットが映し出され、俄然やる気が湧いてくる管理人。

 
 ま、肝心のお顔が、あまり管理人の好みのタイプではなかったのが残念だが、美人であることは間違いない。

 演じるのは、第1話にも出ていた八代順子さん。

 その女性、飛鳥夕子は、取り出した拳銃を目の前のマンホールの周囲に生えている野菊に向けていたが、

 
 手を伸ばしたら掴めそうな距離感覚で降下して行くジャンボジェット機の立てる爆音にあわせて、引き金を引く。

 夕子、別にはっきりした標的を狙って撃ったわけではなく、その可憐な小花を撃つことで、自分の中の優しさを断ち切ると言う、象徴的な行為だったのだろう。

 
 夕子、手にしていた白いパラソルの柄の部分に仕込まれたアンテナを伸ばすと、

 夕子「花は死んだ……」

 その向こうでサデスパーが聞いていたと思われるが、独り言のようにつぶやく。

 続いて、地面からたくさんの黒い蝶が舞い上がり、ほとんどコウモリのような耳障りな羽音を立てながら夕子の周りを飛び回るのだが、これも、夕子が魂を悪魔に売り渡し、身も心もデスパーの一員として生まれ変わったことを象徴しているのだろうが、当時のちびっ子にはさっぱり分からなかったと思う。

 まぁ、どうせなら、ここは真っ赤な蝶を羽ばたかせるべきだったろうが、そんな蝶は滅多にいないので、黒で間に合わせたのだろう。

 この場面で、夕子が、上から下まで白一色で統一しているのも、本来の彼女が天使のような汚れのない心の持ち主であることを表現しているのだ。

 と、彼女の背後に音もなくサデスパーがあらわれる。

 
 既に何度か会っているのだろう、夕子は恐れの色も見せずにパラソルを渡すと、代わりにバイオリンケースのような黒いケースを受け取る。

 
 夕子「明日の午後3時に約束を果たすわ」
 サデスパー「……」

 この、背景を真ん中にして、画面の右隅に小さく人物を置いた、子供向け特撮番組では斬新な構図が実に良いのだ。

 サデスパーが終始無言で立ち去るのも良い。

 ちなみに、吹きさらしのせいか、このシーン、かなり風が強い。

 当然、前回にも見られたような豪快なパンチラが期待されたが、夕子がケースでスカートを押さえていることもあり、残念ながら発生せず。

 続いて、場所は不明だが、とある建物のステージで、ひとり、物悲しい曲を奏でている夕子、と言う、およそ特撮番組らしからぬシーンとなる。

 ちなみにこの「暗殺のバラード」は、監督の塚田さんが作曲したそうな。

 
 弾き終わって、壁にかけてある名前の書かれたプレートの中から、自分の名前が書かれた一枚を裏返す。

 どんな団体に所属しているのか不明だが、夕子は、長い間打ち込んでいたであろうピアノに、この演奏で別れを告げたのだ。

 今回の特徴は、まるっきり大人向けドラマと変わらない(と言うより、それ以上の)ハードなストーリー展開&演出と、街頭ロケの多さであり、

 
 サブタイトル表示後、通行人でごった返す歩行者天国の真ん中を、五郎がひとりで歩くと言う大胆な撮影が行われる。

 五郎(平和だ、なんて平和なんだろう、この人込みにまぎれていると、昨日までのデスパーとの血みどろの戦いは幻だったような気がする……)

 このシーン、別にストーリーには関係ないのだが、五郎の印象的な台詞は、ボツになったもうひとつの結末、自分の超能力と引き換えにデスパーを倒した五郎が、ただの平凡な人間として人込みの中に消えていくという、あまりに暗い「もうひとつのエンディング」に通じるものがあるが、Wikiによれば、もともとそのアイディアを出したのは、今回のシナリオを書いた長石さんだったそうである。

 続いて、都電沿いの安アパートの一室で、青いボーダーシャツを大胆に着こなした若者が、湧き上がる怒りを抑えかねてイライラしていた。

 そしてその部屋に一緒にいたのが、夕子であった。

 
 夕子「どうしたの?」
 哲也「もう待てない、この手で叩きのめしてやる」
 夕子「無駄なことだわ」
 哲也「何故?」
 夕子「虫も殺せないあなたにデスパーが破壊できる筈がない」
 哲也「では、指を咥えて見てろと言うのか」
 夕子「私、デスパーの一員になるわ」
 哲也「えっ、奴らの仲間に?」
 夕子「そう、約束したの」

 夕子の意外な言葉に耳を疑う哲也。

 演じるのは、翌年の「正義のシンボル コンドールマン」で主役を演じている佐藤仁哉さん。

 哲也「まさか俺たちの両親や街の人が犠牲になったあの時の悲しみ、復讐を忘れた訳じゃないだろう?」

 哲也の問い掛けに触発されて、夕子の脳裏に、土砂降りの中、ハンマーデスパーに自分の母親が撲殺される忌まわしい記憶がありありと蘇る。

 
 夕子「忘れはしない、忘れるもんか……」

 ちなみに、八代さん、黒目がめっちゃ大きい。

 黒目勝ちとか、そんなレベルではなく、暗闇の中の猫の目のようである。

 
 哲也「忘れはしない? しかし君は、俺たちを裏切ってデスパーの一員になると言う、何故?」
 夕子「……」
 哲也「今日の君は、まるで優しさを忘れてる。何故なんだ?」
 夕子「……」
 哲也「黙ってちゃ分からないよ!」

 哲也が声を荒げてその肩を掴むが、夕子はあくまで冷ややかに、

 夕子「花は死んだ……さよなら」
 哲也「夕子!」

 哲也の手を放して、部屋を出て行く。

 しかし、結局二人の関係がなんだったのか、単なる幼馴染なのか、恋人同士なのか、同じ恨みを持つ同志なのか、曖昧なままなのがもどかしい。

 大人のドラマなら、間違いなく二人は同棲していて、このシーンでも別れのセックスorキスをかわして立ち去ると思うのだが、この辺が特撮ドラマの限界か。

 もっとも、それから優子の取った行動は、大人向けドラマ顔負けの、凄い……と言うか、非道いものだった。

 あの黒いケースを提げ、赤い花束を抱えて、雑踏で溢れ返るスクランブル交差点を横切ると、とあるビルの中に入っていく。

 屋上まで上がると、バイオリンケースを開き、分解されたスナイパーライフルを取り出し、手早く組み立てる。

 スコープの先に、アパートの出窓に腰掛けてぼんやりしている哲也の姿を映し出す。

 普通の特撮ドラマなら、結局引き金を引けずに終わるところだが、

 
 哲也「あっ、うっ……」

 夕子は午後3時ジャストに、なんの躊躇もなく引き金を引き、哲也の心臓を射抜いてその命を奪う。

 哲也の死に方も、およそ特撮ドラマらしからぬ、淡々とした、実にリアルな死に様であった。

 哲也、誰にやられたのかも、その理由もわからないまま死んでしまったのだが、むしろその方が幸せだったかもしれない。

 何故なら、

 
 夕子(あなたの命は無駄にしないわ)

 夕子が、自分が、必要とあらば恋人(?)を殺すことさえ厭わない、非情な女であることをサデスパーにアピールする為だけに殺されたと知ったら、死んでも死に切れなかっただろうからである。

 ここで、あの世に行く途中の哲也さんに、この夕子の台詞に対するご意見を伺ってみましょう。

 哲也(霊)「いや、俺の命を無駄にするかしないかは、俺が決めることだろうがっ!!」

 文字通り、魂のツッコミ、ありがとうございました。

 しかし、いくらなんでもこれはないよね。

 これが、哲也が納得ずくで犠牲になることを承諾していた……あるいは、哲也自ら申し出たのなら、まだ分かるんだけどね。

 無論、夕子は本気でデスパーの一員になるつもりはなく、デスパーを信用させてガイゼルに近付くチャンスを掴み、彼を暗殺するのが目的なのだが、はっきり言って、目的の為には手段を選ばないその非道ぶりは、既にして立派なデスパーの一員となっていると言えるのではないだろうか。

 要するに、夕子は復讐の鬼と化し、モラルの面でもデスパーと同じレベルにまで下がった訳である。

 もっとも、この時点では、何らかのトリックで哲也を殺したように見せ掛けただけで、実は哲也は生きているのではないかと言う望みもあったのだが……

 ともあれ、夕子は用意していた赤い花束を屋上から放り投げ、哲也に捧げる。

 バラバラになって落ちてくる花束を真下から捉えたショットに、教会の鐘が重なると言う、センス抜群のショットから、実際に教会でサデスパーと会っている夕子の映像となる。

 サデスパー「暗殺おめでとう、可愛い同志よ、よく約束を果たしたな。今日からお前はデスパー暗殺の女王、その名はレッドクイン……お前の任務は渡五郎を暗殺することだ。私も陰ながらお前に協力しよう。生まれ変わったお前に対する私からのプレゼントだ」

 サデスパー、いつになく優しい言葉遣いで夕子の行為を称えると、デスパー軍団の証である腕輪を渡し、さらに、中から奇妙な音楽の流れる花束を授ける。

 この後も妙に彼女に肩入れしているところから見て、サデスパーは夕子に一目惚れしたものと思われる。

 劇中には出てこないが、

 ガイゼル「あ~、分かった、お前、夕子のことが好きなんじゃねえのか~?」
 サデスパー「ば、ばか、ちげーよ!」

 みたいなやりとりがあったに違いない(註・ねえよ)

 街中をほっつき歩いていた五郎、突如聞こえてきた奇妙なメロディを聞くと、激しい頭痛を覚えてその場にうずくまり、そばにいた親切な通行人に気遣われ、助け起こされる。

 五郎(あのメロディはなんだ? 何故俺だけが?)

 しかし、ヒーローが特定の音を聞いて悶え苦しむと言うのは、まんま「キカイダー」と同じなので、いささか芸がない趣向である。

 一方、レッドクインこと夕子は、デスパーの本部に飾ってあるガイゼルの肖像画(似てない)を、憎しみを込めて見詰めていたが、うっかり、右手をピストルの形にしてその指先をガイゼルに向けているところを、ハンマーデスパー(再生)に見られてしまう。

 
 怪人「貴様がレッドクインか、何をしている? ガイゼル総統を侮辱したな?」
 夕子(やべぇ……)

 とは思ったが、ここはひたすら無言で押し通そうと、すたすたと立ち去ろうとする夕子だったが、そうは問屋が卸さず、ハンマーデスパーに引き戻されて、右手に何度もハンマーを叩きつけられる。

 そこへあらわれて夕子を助けたのが、またしてもサデスパーであった。

 サデスパー「待て、ハンマーデスパー」
 怪人「しかし、レッドクインはガイゼル総統を……」
 サデスパー「レッドクインには重要な仕事がある。余計なことをしおって……レッドクイン、ゆけっ!」

 サデスパー、ハンマーデスパーの訴えには耳を貸そうとせず、夕子を送り出す。

 んで、街へ出た夕子は、荒井さんと仲良く街をほっつき歩いていた五郎を狙撃しようとするが、ハンマーデスパーによって痛めつけられた右手の指が思うように動かず、やむなく左手で引き金を引くが、狙いを外してしまう。

 五郎は荒井と別れて夕子を追いかけるが、

 
 逆に夕子の罠にかかり、雑居ビルの屋上にあがったところで、背後を取られてしまう。

 夕子「一歩でも動くと撃つわよ」

 いや、なんですぐ撃たないの?

 恋人(?)さえ情け容赦なく殺したのだから、赤の他人を殺すのをためらう理由はない筈である。

 五郎「君は一体誰だ? 何故俺を狙う?」
 夕子「今のところ、命令に従ったまでよ」
 五郎「命令? 俺を殺そうとする奴はデスパーしかいない。ガイゼルの命令か」
 夕子「たとえそうだとしても私には関係のないこと、私は私の目的を達成する為に、あなたの命を利用しなければならない」

 つくづく、人の命を利用するのが好きな女やのう。

 ひょっとして、この人、復讐がどうこう以前に、ただのビッチだったのではないかと言う気がしてきた。

 このように夕子が、完全な復讐の鬼と化して、若い女性らしい葛藤やためらいを一切見せず、目的に向かって邁進するだけなのが、今回のストーリーがいまひとつ面白くない原因ではないかと思う。

 これでは、視聴者が夕子に感情移入するのが難しくなってしまう。

 実際、夕子に比べたら、まだしもサデスパーの方が人間味があるように見えるほどである。

 その後、色々あり、再びどこからか「死のメロディ」が聞こえてきて五郎が動けなくなったところを、夕子が今度こそ撃ち殺そうとするが、そこへ「五郎くーん!」と言う荒井さんの声が聞こえてきたので、夕子はさっさとトンズラする。

 正直、五郎を撃ち殺す余裕は十分あったと思うのだが。

 ともあれ、夕子が任務を失敗したことは事実なので、

 
 ガイゼル「レッドクイン……カッ!」

 部下の些細なミスも許さない最悪の上司ガイゼルは、杖を夕子の肩に乗せて、その場で処刑しかねない様子であったが、

 サデスパー「お待ちください、ガイゼル総統、レッドクインの右手を使えなくしたのはこのハンマーデスパーです!」

 ここでまたまたまた助け舟を出したのが、現在青春真っ盛りのサデスパーであった。

 この、サデスパーに腕を引っ張られたときのハンマーデスパーの「えっ、俺?」的なうろたえ顔が、割りとツボである。

 怪人「しかし、この女はガイゼル総統を侮辱したんだ」
 サデスパー「ええい、言い訳はよせ!」

 
 サデスパーの異議を聞いていたガイゼル、ゆっくり杖を下ろすと、「よし!」とでも言いたげに右手でサムズアップする。

 それを見たサデスパーは、
 
 サデスパー「はっ、ハンマーデスパーの処刑を行う」

 え、え、えええええええーっ?

 いくらなんでもそれはないんじゃない?

 まぁ、サデスパーが惚れた女の子を庇おうとするのは分かるが、それをそっくり鵜呑みにしちゃうガイゼルが、なんとなくサデスパーの操り人形に見えてしまう。

 ハンマーデスパーも猛然と抗議するが、有無を言わさず引っ立てられていく。

 つくづく、デスパー軍団にだけは就職したくないと思った管理人であった。

 ガイゼル、青白い顔を夕子の顔に近付けると、

 
 ガイゼル「レッドクイン、一日だけ待ってやる」
 夕子「……」

 翌日、ガイゼルはとある洋館の前に、半裸の5人のムキムキ男を集め、お互いに殺し合いをさせ、生き残ったものをデスパー軍団の幹部に取り立ててやると言い出す。

 70年代のカンフー映画みたいなアクションシーンの末、勝ち残ったのは、新堀和男さん演じる男であった。

 
 ガイゼル「よし、お前を改造してハンマーデスパー2として蘇らせる」
 男(マジかよ……)

 それにしても、この人たち、よっぽど世の中に絶望しているのか、何もすき好んでデスパーなんかに加入して、人生棒に振らなくても良いと思うんだけどね。

 これならまだ自衛隊にでも入隊した方がマシであろう。給料貰えるし。

 
 と、その様子を、少し離れた木の幹の陰から見ていた夕子、慣れない左手でガイゼルを狙撃しようとするが、それを五郎に邪魔される。

 
 五郎「君は一体誰だ? 昨日は俺を狙い、今日はガイゼルを撃とうとしている」
 夕子「余計なことだわ、私を邪魔するものは許せない」
 五郎「そうはいかない、もっと命を大切にするんだ。今の君は右手で引き金を引くことが出来ないじゃないか。ガイゼルは倒せん、もっと命を大切にするんだ!」

 夕子をそこから連れて行き、くどいほど「命の大切さ」を訴える五郎。

 天国の哲也が聞いてたら、

 哲也「それ、俺が殺される前にその女に言い聞かせて欲しかったなぁ……」

 と思ったことだろう。

 五郎、手を引くように夕子に言うが、夕子は頑として聞かない。

 
 夕子「あなたの力なんか借りない! 私は私の手でガイゼルに復讐してやる。父や、母や、妹や、そして哲也の……」

 おいおいおい、サラッととんでもないこと言ったぞ、この女!

 自分で殺しといて、その復讐をするって……

 この人、復讐の鬼と化してるとかそう言うんじゃなくて、単に、頭がおかしいのでわ?

 だが、五郎、相手がそんな恐ろしい人間とも知らず、

 五郎「撃てるものなら撃て」

 銃口を胸に密着されても逃げようともせず、特撮ヒーローではお馴染みの台詞を口にする。

 夕子は五郎に銃を突きつけたまま、競技場のスタンドのようなところへ移動する。

 五郎「君はどうしてもガイゼルを撃つつもりか」
 夕子「勿論よ」
 五郎「左手しか使えないその腕でもか?」
 夕子「私はやるわ、ガイゼルに近付く為に、たった一人の優しい友達まで死なせた私の気持ちなんか、あんたにはわかんないわっ!」

 そりゃ、あーた、わかれって言うほうが無理でっせ。

 紛れもなく自分の意志で友達を撃ち殺しておきながら、「死なせた」って、まるで間接的な責任しかないみたいに言ってのけるハイパー身勝手な女の気持ちなんて。

 
 五郎「よし、俺が的になってやる。その左手で俺が撃てたらガイゼルを撃て」

 夕子の怖さを知らない五郎、そう言って、夕子から数メートルほど離れた場所に立つ。

 夕子(ガキューン!)
 五郎(躊躇なしかいっ !)

 凄いのは、夕子が何のためらいも見せず、即座に銃を撃ってくるところである。

 で、これまたおかしなことになるのだが、何発も銃を撃っていた夕子が、背後からデスパー兵士に撃たれてしまうのである。

 いや、いま、夕子がデスパーの宿敵・五郎を撃ち殺そうとしているところなのに、なんでわざわざ五郎を助けてやるような真似をしたのか?

 彼らの会話で夕子が裏切り者だと知ったとしても、ここは静観して五郎が傷付くのを待つべきだったろう。

 もっとも、裏切り者は絶対に許さないガイゼルのことである、損得勘定抜きで、夕子を殺したくて仕方なかったのだろう。

 やがて、ハンマーデスパー2、ガイゼル、サデスパーたちがあらわれる。

 
 怪人「役に立たない奴は死ぬ、渡五郎、俺と勝負しろ」

 これが、さっきの新堀和男さんの成れの果てである。

 たぶん、これは、ハンマーデスパーの頭部だけ作り替えたスーツだと思われる。

 なにしろ、くどいようだが、オイルの奴がショックだったもんで。

 
 五郎はゆっくりハンマーデスパー2に近付いていくが、この時、まだ息のあった夕子が上半身を起こし、後方にいたガイゼル目掛けて銃を撃つ。

 左手であったが、サデスパーが惚れ込むほどの射撃の名手である夕子は、額を撃ち抜くことは出来なかったが、

 
 ガイゼル「あっ!」

 かわりに、ガイゼルの右耳を削ぎ落とす。

 以前にも紹介したシーンだが、今なら特撮ドラマはおろか、地上波ドラマでは絶対NGの強烈なシーンである。

 
 サデスパー「総統! ハンマーデスパー2、後はお前に任せる」
 怪人「はーっ」

 情けなくも、ガイゼルはサデスパーに守られながら、さっさと退却する。

 五郎は夕子に駆け寄るが、既に完全に事切れていた。

 五郎、ゆっくり立ち上がると、胸に渦巻く怒りを腕にこめて、

 
 五郎「ゴーリキ」

 
 五郎「ショーラァイ!」

 この変身シーンは、全編通しても一番気合が入ってるかもしれない。

 場所を変えて、ハンマーデスパー2との戦いとなるが、ここで再び「死のメロディ」が聞こえ出し、イナズマンの自由を奪う。

 
 イナズマン、塔のような建物の先端に差してある花束こそ、その発生源だと悟るが、どうすることも出来ない。

 と、次の瞬間、銃声が響いてその花が吹っ飛ばされる。

 てっきり、夕子がまだ生きていて撃ってくれたのかと思ったが、

 
 荒井「よっ!」
 イナズマン「あんたかいっ!」

 それは今回影の薄かった荒井さんの仕業であった。

 うーん、ここは、夕子が助けるべきだったんじゃないかなぁ。もろもろの贖罪の意味も込めて。

 結局、これでは本当に夕子が復讐のことだけ考えていた自己チュー女にしか見えず、前述したように、彼女が死のうが生きようがどうでも良くなってしまうのが今回のシナリオの欠陥である。

 ちなみに「よっ!」と言うのは管理人のアドリブで、実際はこのオヤジ、気取って銃身にキスしてます。

 自由を取り戻したイナズマン、サクッとハンマーデスパー2を倒し、事件は解決する。

 今回はエピローグも街頭ロケ。

 
 ナレーター「渡五郎、イナズマン、(自称)23歳、暗躍するデスパーがいる限り、彼に青春の日は遠い」

 ガードレールに腰掛けて物思いに耽っていた五郎が立ち上がり、人込みの中に消えて行く、まるで最終回のような哀愁漂うラストであった。

 以上、良くも悪くも強烈なキャラクターである夕子の存在が光る作品であったが、前記したように、夕子が全く人間味のない復讐マシーンに徹しているせいで、ストーリーが一本調子になり、ハードなだけであまりドラマ性の感じられないエピソードになっているのが惜しい力作であった。

 せめて、これまた繰り返しになるが、実は哲也が生きていて、最後に五郎と一緒に夕子の墓に花を捧げる……みたいなシーンがあれば、多少は救いがあったのだが。
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コメント

Fらしい

お久しぶりです。コメントさせていただくのは久しぶりですが,レビューはいつも楽しく拝見させていただいております。
この回は,実に「F」らしい,いっちゃてるハードな内容でしたね。あのガイゼルの耳は強烈すぎました。しかし夕子のキャラについていけない,というのがおっしゃる通り。そして八代さんのお顔が好みではないというのも,私も同じです。正直,平野ノラに見えます,,,。

やはりエグい

ガイゼル総統の👂が削ぎ落とされるシーンはやはりエグいですね😅夕子役の女優さんがもう少しまともなら小生も興味が湧いたと思うのですがね😖問答無用で処刑される怪人が(また蘇りますがね😅)どうにも哀れですね

Re: Fらしい

> お久しぶりです。コメントさせていただくのは久しぶりですが,レビューはいつも楽しく拝見させていただいております。

ありがとうございます。そう言っていただくのが、何よりの支えになります。

> しかし夕子のキャラについていけない,というのがおっしゃる通り。そして八代さんのお顔が好みではないというのも,私も同じです。正直,平野ノラに見えます,,,。

ある意味、物凄く印象に残るキャラではありますけどね。

もっと自分好みの女優さんが演じていれば、作品の評価も違っていたでしょうが。

Re: やはりエグい

過激なシーンが多くて、とても子供向け番組とは思えないですよね。

No title

第1話でも八代順子さんは出ていますが、こちらは感情移入しにくいですね。女性を利用して捨てる外道を多く演じている佐藤仁哉さんが善人役であっさり死ぬのが意外であります。

耳そぎは強烈ですね。長渕剛さんのとんぼは、こういうバイオレンス描写が問題でDVD発売中止で再放送もないじょうたいだそうですね。長渕さんに耳を切られるチンピラは寺島進さんで長渕ふぁんにはおなじみです。

時代劇的展開

重苦しく、時代劇にしても無理のない部分が多いですね。夕子を悪家老の所為でお家断絶になり、今は町人の女として暮らしている善良だった元家老の娘、そして五郎を藪太郎先生(里見浩太朗さん)、荒井をよろずや清太郎(松山英太郎さん)にすればそっくり、「松平右近事件帳」に出来てしまいます!
ガイゼル総統に相当する悪家老(やはり川合伸旺さんや田口計さん)に寝返ったふりをして、仇討ち本懐を遂げお家再興を夢見る元家老の娘が、駕籠に乗った悪家老の行列に斬り込もうした処を、ここに観る五郎の様に引き留め命の大切さを説く藪太郎先生。そして悪家老も油断から元家老の娘に斬り付けられ、ガイゼル総統同様耳を落とされるとまでは行かなくとも、吉良上野介の様に額に大怪我を負います!
夜、藩の江戸屋敷で悪家老が頭に包帯を巻き、腹心の悪侍から元家老の娘の口を封じた知らせを受けていると、そこへ
「浮世小路の藪太郎。中には松平右近と呼ぶ者もいる!」
と登場し、
「俺は殺生は嫌ぇだ!だが・・・・歯向かう奴には容赦しねぇ(怒)!!」
とラス殺陣に入る藪太郎先生!そして悪家老は成敗されお家再興は叶ったものの、元家老の娘は自分の目でそれを見る事は出来ませんでした・・・・。と言うお話になるでしょう。

Re: No title

> 女性を利用して捨てる外道を多く演じている佐藤仁哉さんが善人役であっさり死ぬのが意外であります。

いくらなんでもあんまりな殺され方ですよね。

> 耳そぎは強烈ですね。長渕剛さんのとんぼは、こういうバイオレンス描写が問題でDVD発売中止で再放送もないじょうたいだそうですね。長渕さんに耳を切られるチンピラは寺島進さんで長渕ふぁんにはおなじみです。

そんな事情があるとは知りませんでした。

Re: 時代劇的展開

松平右近、面白いですよね~。

時間が無限にあったらこのブログでも紹介したいところです。

サデスパーの一目惚れ

ご返信ありがとうございます。

>この後も妙に彼女に肩入れしているところから見て、サデスパーは夕子に一目惚れしたものと思われる。

前のコメントの付け足しになりますが、夕子を何かにつけて庇うサデスパーの様子も、「松平右近事件帳」だったなら、藪太郎先生に返り討ちに遭い、屋敷に逃げ帰って来た元家老の娘を、ガイゼル総統同様に些細な失敗も許せない悪家老が手討ちにするように言うと、元家老の娘の助命を悪家老に求める腹心の悪侍と言った処でしょう。

>ガイゼル「あ~分かった。お前、夕子のことが好きなんじゃねえのか~?」
 サデスパー「ば、ばか、ちげーよ!」
 みたいなやりとりがあったに違いない

元家老の娘もやはり夕子の様に悪侍の口添えで手討ちを免れますが、その後実際に
「その方、なぜああまで庇う?さてはその方、国元にいた頃からの未練がまだあの女にあるのではないのか?」
と悪家老に訊かれ
「あっ、いや。あの女、まだ使い道があると思ったまでの事!私めは御家老にこうしてお取立ていただいただけで十分でございますっ(焦)!!」
と応える悪侍に、悪家老も更に
「ふんっ、この狸めっ!!」
等と返す場面にも繋がるでしょう。

Re: サデスパーの一目惚れ

いつもながら、妄想がリアルですね。感心します。

どうにも分からない

自分で(哲也を)殺めて置いて何故“哲也の仇”と言うセリフが出て来るのでしょう?どうにも夕子姉さんの感情がどうにも分からないですね😅最初は五郎をターゲットにしてそれからガイゼル総統ですか?誰でも撃てば良いのかと理解に苦しみますね

Re: どうにも分からない

一言で言うと頭おかしいですよね。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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