第9話「デストロン地獄部隊とは何か!?」(1973年4月14日)
ま、内容的にはスルーしても良いんだけど、そうすると次の10話もスルーしなきゃならなくなるから、頑張って書きましょう。
のっけから、全日本モトクロスチャンピオンレースが開催されている。
我らが風見志郎は、なにしろディフェンディングチャンピオンと言うことで、しっかりレースに出場していた。
いや、だから、改造人間が出たら、あかんと思うんですが……
当然、会場にはおやっさんも駆けつけ、スタート地点で志郎たちが走り出すのを見守っていたが、

立花「あ、純子、お前たち何しに来たんだ、ここへ?」
シゲル「会長も風見さんもずるいよ、僕たちおいてけぼりにしてー」
ふと見れば、自分の周りに純子やシゲルたちまでいるではないか。
気付くの遅っ! 
おやっさん、純子さんを後ろに引っ張っていくとガミガミ叱り飛ばす。
立花「ライダー隊の本部で留守番してろと言った筈だぞ」
純子「……」
立花「志郎も言ってたろ、今日の行川でのレースは全国から一流のレーサーが集まってるんだ、デストロンが何か計画してるかもしれないじゃないか。危ないから来ちゃいけないって……純子がついていながらなんだっ?」
純子「すいません、せがまれちゃって」
……って、おやっさん、そんなに怒らなくても良いと思うんだけどね。
だいたい、一流のレーサーが集まるからってデストロンが何か仕掛けてくると考えるのも変だし、そんなこと言い出したら、日本で行われているあらゆるイベントに参加して目を光らせなくてはならないことになり、非現実的である。
また、少年ライダー隊は、そもそもデストロンと戦う為に結成された組織なのだから、デストロンがあらわれるかもしれないから来ちゃいけないって、本末転倒の発想ではないだろうか。
それはさておき、志郎は今回もぶっちぎりで先頭に立ち、志郎をライバル視している吉岡マサル選手がそれに続く。
だが、コースのある場所に設置されていたカメラのフラッシュ装置のようなものが作動すると、吉岡選手以下、5人の2位集団グループが、ふらふらと本来のコースを外れ、公道へ出てしまう。

バイクはまるで意思を持ったかのように勝手に進んで行き、トンネルの中に彼らを引き摺り込む。
トンネルの中をしばらく走って、漸くバイクは止まるが、好奇心旺盛な5人は、レースに戻ろうとはせず、トンネルの壁から伸びている横穴に気付いて、その中を探検する。
小学生か、お前らは? 普通は、すぐ回れ右してトンネルの出口へ向かうと思うんだけどね。

怪人「シャッター! ようこそ諸君、我々デストロンの招きによく応じてくれたなぁ」
で、例によって例のごとく、洞窟の中で彼らを待っていたのは、デストロンの怪人レンズアリであった。

一方、志郎も、いつの間にか2番手グループが影も形も見えなくなったことに気付き、バイクを止め、
志郎「おかしいな、事故でも起こしたのでは?」
気になって来た道を引き返すが、それを見ていた純子とシゲルも、何事かと志郎の後を追いかける。

純子たちが芝生の生えたゴルフコースのような公園を歩いていると、

シゲル「あ、孔雀だ!」
いかにも人の手で持ち上げられてる感じで、カメラの手前から二羽の孔雀がせり出してくる。

さらに「ニャーニャー」と、独特の鳴き声を発しながら、山の中から次々と飛び立ち、純子たちに向かってくる。
純子「ああっ!」
純子さんもシゲルも思わず立ち竦む。
……
って、これ、
行川アイランドの孔雀ショーだよねーっ? だいたい、猛禽類やカラスならともかく、孔雀が飛んできても別に怖くないのでわ?
もっとも、純子さんは何か不穏なものを感じたのか、「逃げるのよ、シゲル」と、弟を連れてその場から走り出す。
そして三浦海岸の岩場にやってくるが、そこで待ち受けたレンズアリに襲われ、あえなく捕まってしまう。

一方、志郎は例のトンネルまでやってきて、洞窟の中に入り込むが、その際もわざわざ止まり木に止まっている孔雀の姿が志郎と同じフレームに収められている。
おそらく、当時の行川アイランドでは、
社長「もうフラミンゴショーの時代は終わりだ。これからは孔雀ショーだよ、君ぃ!」 社員「はは……そっすね」
などと言う、悪夢のような会議が進行していたのではないだろうか。
それはさておき、洞窟の奥のアジトに連れて行かれた5人のライダーは、レンズアリによって改造手術を受け、デストロンの忠実なしもべに作り変えられようとしていた。
もっとも、改造と言っても、改造液と言う液体をぶっとい注射で打つだけと言う、スタッフも大助かりのインスタントな方法が採られている。
要するに、改造と言うより、ただの洗脳と言うべきだろう。
怪人「お前たちはデストロン・レーサー地獄部隊になるのだ。シャカッカッカッカッカッー!」
こうして5人はたちどころにデストロンの仲間となるのだが、

5人のうち、真ん中の三人だけがまずカメラのほうを向き、

ついで右端の男がこちらを向き、

最後に左端の吉岡マサル(?)が向き直る。
一体何の意味があるのかと思いがちだが、単に両端の二人のテンポが遅れただけだろう。
このシーンを見て、思わず「バトルフィーバーJ」のOP、5人がひとりずつ振り向くところで、4人目のケニアだけワンテンポ遅れてしまうのを連想してしまった管理人であった。

怪人「レーサー地獄部隊の誕生、おめでとう!」
5人「あざーっす!」
「仮面ライダー」ゲルショッカー篇の予告ナレーションのようなことを言うレンズアリに、割と軽い感じで応じる5人であったが、嘘である。
正解は「ギィーッ!」でした。
さて、志郎は依然として洞窟の中を歩いていたが、

しつこく、またしても行く手に二羽の孔雀があらわれる。
さっきも言ったが、当時の行川アイランド首脳部が、孔雀を猛プッシュしていたことだけは間違いない。
その後、色々どうでもいいシーンの後、いよいよデストロン地獄部隊の出番となり、開けた場所に誘導された志郎にバイクに乗った吉岡たちが襲い掛かる。
が、特にどうでも良いのでカット(おい)。
その後、志郎がV3に変身し、海岸沿いの岩場まで移動しながら、地獄部隊および他の戦闘員たちと無駄に長いどつきあいを演じる。
眠い……
(そのまま、しばらくお待ち下さい)
あー、良く寝た。
V3が戦闘員を片付けた後、真打ちのレンズアリが元気良く登場。

怪人「シャッタ(カ?)ーッ!」
V3「出たな、デストロンの怪人! 貴様の名前は?」

怪人「教えてやろうか。全世界にその名を轟かした、レンズアリとは俺様のことよ」
V3「なに、レンズアリ?」
V3は、たとえ相手が世界征服を企む悪人だろうと、初対面の相手にはちゃんと名前を聞くのが礼儀だと、見ている子供たちにさりげなく教えているのである。
レンズアリ、左手のヤットコのような強力な武器と、

スタッフの、スーツアクターに対する殺意が見え隠れする凄まじい爆破光線でV3を圧倒する。
ま、その割りに、一発飛び蹴りを喰らっただけで自分から穴に潜ってしまうのは不可解だが……
V3「逃がしはせん、V3、O(オー)シグナル!」
ここでV3、26の秘密のひとつ、O(オー)シグナルを使う。
それは、「デストロン怪人の居場所を知る力がある」(byナレーター)らしいのだが、若干、ホッパーと被ってるような機能なので、ここは「地中にいる敵の動きを探知できる」くらいにしておいた方が良かったかも。
レンズアリ、「うーん、忌々しいV3め」と呪いの言葉を吐きながらアジトにご帰還遊ばすのだが、前述したように、レンズアリが一方的にV3を痛めつけていたのに、この台詞はいささかおかしい。

首領「レンズアリ、デストロンの組織ではいかなる失敗も許せないのだ!」
と、首領が逃げ帰ってきたレンズアリを叱り、てっきり処刑しろとでも言うのかと思いきや、

怪人「はっ、申し訳ありません」
首領「……」

怪人「ようし、レーサー地獄部隊には今度は完全な改造手術を施してやる」
首領「……」
怪人が一言謝って頭を下げると、それっきり沈黙してしまう。
最近、自分の統率力に自信を失いかけているのだろうか?
頑張れ首領! 君がいないと番組が成り立たないんだ!
一方、V3はシグナルを頼りにハリケーンを飛ばしてアジトにやってくるが、そこは明らかに行川アイランドであった。
そう言えば、死神博士も行川アイランドの地下にアジトを作ってたな。
「悪の組織」に(だけは)大人気の行川アイランドである。
再び例の洞窟(最初に出てきた洞窟とは別物と言う設定らしい)に入り込んだV3を監視モニターで見ているレンズアリ。

怪人「首領、私にもう一度戦わせて下さい」
首領「……」
レンズアリ、首領にそう申し出ると、

怪人「……」
首領「あっ……おい……」
首領の返事も待たずに、戦闘員を引き連れて飛び出してしまうのだった。
最近、自分が部下に無視される傾向にあることに気付いてしまった首領であった。
負けるな首領! 君がいないとV3の存在意義がなくなるんだ!
……と言うのは勿論嘘で、首領はへこたれるどころか、意気軒昂、新たな怪人カミソリヒトデを出撃させるのだった。
その後、色々あって、漁港でV3とレンズアリの一騎打ちとなるが、

スタッフは、そこが漁港の防波堤だろうと一切顧慮することなく、殺人級のボリュームの火薬を放り込んでくるのだった。
戦いの最中、カミソリヒトデが参戦し、その右手に仕込まれた巨大なカミソリの威力をデモンストレーションした後、
怪人「お前に良いものを見せてやる!」

怪人の指差す方を見れば、灯台の上に、縛られた純子さんと他一名が戦闘員に引き立てられているではないか。
……
ここは是非、純子さんにはミニスカで撮影に挑んで頂きたかった。
そうすれば、カミソリヒトデの言う「良いもの」が、文字通り「良いもの」になっていただろうに。

シゲル「ライダーV3!」
純子「私たちに構わず、デストロンの怪人を倒してえー!」
特撮ヒーロー番組における人質の作法にのっとり、お約束の台詞を放つ純子さん。
無論、V3のほうも、ヒーローの作法を遵守し、抵抗をやめたところを、レンズアリの爆破光線を浴びて炎に包まれる……と言う緊迫のシーンで10話へ続くのである。
以上、はっきり言って、面白くもなんともないエピソードであった。
これではあんまりなので、引き続き第10話のレビューに突入するのである。
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