第40話「さらば友よ~相棒の絆事件」(2006年9月30日)
いよいよ最終回である。
ちなみに直前の38話と39話は、舞台劇、しかもオペラと言う、意味不明の企画で、ストーリーうんぬん以前に全く台詞が頭に入ってこないので、華麗にスルーさせて頂きました。
だから管理人、いまだに、そのエピソードの内容が良く分からないままなのである。
「ケータイ刑事」シリーズ、舞台とか活弁とか30分ノーカットドラマとか人形劇とかラジオドラマとかバーチャル空間とか、地上波では難しい実験的なフォーマットを採用するその冒険心は素晴らしいのだが、その場合、かなりの確率で放送事故に近い失敗に終わるのが遺憾である。
特にこのオペラは、是非企画段階でボツにして頂きたかった試みである。
前置きが長くなった。
冒頭、シリーズの節目では毎度のことだが、相棒である高村が今度、ロスに転属になることが判明する。

高村「実はね、我々のコンビ今日で解散なんだよ、ぼく、明日から……」
雷「おめでとうございます。決まったんですよね、ロス市警への栄転」
どうでもいいが、この画像の雷の足が、光の加減か、妙に細く見えるのだが、いつもこんなだっけ?
高村「う、なんで知ってるの?」
雷「昨日の夜、おじいちゃまから電話があって……」
しかし、なんで警視庁の刑事がロス市警に栄転になるんだ? などと言う初歩的なツッコミはなしにしようぜっ!

雷、用意していたプレゼントを渡すが、それはケータイ刑事の必須(?)アイテム「投げ銭ストラップ」に、高村の名前を彫った凝ったものだった。
雷「高村さんの為に特別に作って貰ったんですよ。大事にしてくださいね」
高村「あ、そー、気持ちはすげー嬉しいけど、これちょっと僕に似合わないね、うふふ」
雷「え、どうしてですか」
高村「いや、僕ってアメリカンナイズされてるからさぁ、日本のこんな古銭なんて……」
雷「じゃ、いいです、返してください」
だが、冗談か本気か、高村が漏らした不満に雷がムカッとして、一度上げたプレセントを取り返すという大人気ない行為に出る。
もっとも、そのことが、最後に雷の命を救うことになるのだから、皮肉である。

雷「このストラップが欲しい方は、ご覧のアドレスまでアクセスしてくださいっ」
ここで雷がカメラに向かって、にこやかに語りかけるのが、いかにも「ケータイ刑事」らしい自由さ。
普通、最終回にこんな楽屋落ち的な台詞は出ないよね。

雷「高村さんにはぜーったいあげません」
高村「誰と話してるの?」
雷「中の人です」
高村「中の人?」
雷「いーんですっ」
高村「そんな怒らないでよ」
まだむくれている雷がストラップを胸ポケットにしまうと、いつものように緊急入電が入る。
それは、高村に対する殺人予告状が送られてきたと言う、いかにも最終回らしい事件だった。
が、殺害予告を受けたと言うのに、警視庁の一室で盛大に栄転祝賀パーティーを開いて貰い、「バーボン刑事」のテーマを熱唱して大いに盛り上がるのも、いかにも高村らしい太平楽であった。
少し前の36話で、警視庁の中に凶悪犯に侵入されたこともあるので、雷はくれぐれも油断しないよう高村に言い聞かせるが、そのお調子者の性格は死んでも治らないと見えて、高村へのプレゼントのひとつの革靴を履くが、その靴底には例によって爆弾が仕掛けられており、高村は右足を動かせなくなり、左足を上げて片足立ちの状態を強いられる。
……
あの、今気付いたんですが、椅子に座れば良いのでは?
と言うか、靴抜けば良いのでは?
あと、警視庁に届く荷物はすべて爆発物の有無をチェックされる筈なのに、これだけ素通りだったのは何故だろう?
そうやって簡単に警視庁内に爆発物を送り込めるなら、テロリストのやりたい放題になるではないか。
などと疑問は尽きないが、きりがないので話を進めよう。

で、何故か鑑識の柴田が爆弾を解除しようとするが、
柴田「1時間43分29秒、28秒……」
高村「秒読みいいからさ、解体してよ」

柴田「残念ながらそれは無理です」
高村「どうして?」
柴田「だって、私、鑑識ですから」
高村「なるほど」
じゃなくて、
柴田「ちょっとでも地面から足を浮かせたり、振動を与えますとたちまち大爆発が起こる仕組みになってるようです」
雷「そんな」
柴田「ちなみに爆発した場合、半径150メートルは木っ端微塵です」
薄情なもので、柴田の言葉を聞いた途端、隣室の窓ガラス越しに高村たちを心配そうに見守っていた他の警官たちはあっという間に逃げてしまい、柴田も部屋から出て行ってしまう。
しかし、(爆弾の仕込まれた)右足を動かしてはいけないと言うのは分かるのだが、なんで左足をずっと浮かせていないといけないのか、その辺が良く分からないのである。

と、部屋のパソコンに勝手に電源が入り、モニターに顔を包帯でぐるぐる巻きにした、不気味な人物が映し出される。
冴子「はいさーい、高村一平、お久しぶりね」
高村「……」
雷「知ってるんですね」
高村「まさか生きていたとは……」
冴子「私は死の淵から蘇ってきたのよ。相棒を殺し、私をこんな姿にしたあなたに復讐する為にね」
言いたいことだけ言うと、映像はブツッと消える。

高村「西島冴子、沖縄出身の国際的な爆弾テロリストだ。昔、沖縄で奴らを追い詰めたことがあるんだ」
雷「やつら?」
高村「彼女には轡田秀一と言う相棒がいたんだ」
轡田は、突入してきた高村たちを殺そうと爆弾を爆発させるが、逆に自分が爆死してしまったと言う。
高村「その時、西島も爆発に巻き込まれたのだけど、彼女の遺体は見付からなかった」
高村の説明が終わると、再びモニターから冴子の声が聞こえてくる。

冴子「簡単に殺しちゃつまらないわ、だからチャンスをあげましょう。墨を用意しなさい」
雷「墨?」
高村「ちょっと待て、悪い予感がする……」
冴子の言葉に、俄かに深刻な顔になる高村。
冴子のヒステリックな笑い声を挟んで、

高村「やっぱり……」
雷に、筆で顔に悪戯書きをされている高村のアップ。
これ、「ケータイ刑事」シリーズを知らないひとが見たら、一瞬、反応に困るんじゃないかと思う。
マジなのか、ギャグなのか分からず……

従ったら解除方法を教えてくれるという冴子の言葉を信じ、その後もせっせと高村の顔に墨を塗る雷だったが、相手が草刈さんだけに、墨の量や塗り方が控え目なのが、いまひとつギャグの切れ味を鈍くしているような気がする。
まぁ、草刈さんは少々やられても気にしないだろうが、塗る方はやっぱり遠慮しちゃうよね。
高村「僕の甘い顔が台無しだ」
雷「意外と似合ってますよ?」 一歩間違えれば二人とも即死と言う状況にしては、あまりにお気楽な二人のやりとり。
雷「さぁ、これで気が済んだでしょう? 解除の仕方を教えてください」
冴子「ばっかねえ、そんな簡単に教えられる筈ないでしょ」
雷&高村「ええっ?」
冴子「ごきげんよう、またやーさい」
結局、冴子におちょくられていただけなのだった。
雷「またやーさい?」
だが雷は、冴子が最後に残した奇妙な言葉を聞きとがめ、
雷「よどむ、悪の天気……」
テレビ版では最後となる決め台詞を放つ。

雷「なんだか高村さんを困らせて喜んでるだけみたいですね」
高村「とんでもない女だ」
雷「あっ、危ない」
よろけそうになった高村の体をしっかり抱き止める雷。
……
管理人はこの時ほど草刈正雄さんになりたいと思ったことはぬわぁいっ! 高村「ちきしょう、足が痺れてきた」
相変わらず、左足を宙に浮かせている高村だが、起爆の仕組みが良く分からないので、なんとなく釈然としないシーンである。
たとえば、両足の裏を同時に床につけたら(電気が流れて)起爆する……とかなら分かるんだけどね。
高村は、せめて雷だけは助けようと、自分から離れるよう言うが、
雷「イヤです、私、高村さんを置いて逃げるなんて、絶対にイヤですから!」 愛ならいざしらず、性格の良い雷は、冗談でもそんな命令に従うことはないのだった。
雷「私たち、相棒でしょ?」
高村「銭形君……」

雷「逆探知して西島のアパートを発見しました。今から突入します」
その後、冴子の居場所を見付けて警官隊とそのアパート前に到着した雷。
廊下で山田奈緒子とすれ違ったら面白かったと思うが、無論、そんなことは起きない。
ただ、相手が爆弾テロリストだと判明しているのに、雷がろくな防備もつけずに部屋に突入するのは、いくらなんでも迂闊過ぎる行為だろう。
もっとも、「スピード」のようにそこにも爆弾が仕掛けられているようなことはなかったが、冴子の姿はなく、部屋はがらんとしたもぬけの殻であった。
警視庁に戻ってきた雷、沖縄県警から届いた西島たちの資料に目を通していたが、

雷「謎は解けたよ、ワトソン君!」
急に笑顔になって、これまたテレビ版では最後となる決め台詞を放つ。
CM後、ケータイで高村と話している雷の口から衝撃的な発言が飛び出す。

雷「あれは西島冴子じゃありません、轡田秀一です!」
……と思ったが、良く考えたら特に衝撃的でもなかった。
だって、犯人が轡田だろうが西島だろうが、どっちでも良いことだもんね。
高村「何言ってんだよ、轡田は、沖縄で爆死したんだよ。ちゃんと死体まで見てんだから」
雷「でもバラバラで、判別できなかったんですよね」
高村「ええ? まぁ、そうだけど」
雷「あの時死んだのは西島の方だったんです」

高村「轡田が女装してたってこと? 根拠は何?」
雷「根拠はこれです、これは10年前に西島が書いた爆破テロの予告文です」
雷は、資料の中の切り貼りの予告状を高村に見せて、末尾にある「またやーたい」と言うのが、沖縄の方言で「また会いましょう」の意味だと説明する。
高村「そう言えば、さっき通信でも言ってたね」
雷「いえ、さっきは『またやーさい』と言ったんです。沖縄の方言には男性用の表現と女性用の表現が明確に分かれているものがあるんです」
すなわち、「またやーたい」は女性言葉で、「またやーさい」は男性言葉である。しかるに、さっき女性の筈の冴子は「またやーさい」と言った。ゆえに、実は冴子と名乗る犯人は、女ではなく男……轡田だと雷は理路整然と解き明かす。
ま、だからと言って、それが爆弾を解除する、何の助けにもならないのだが……
ところが雷が説明を終えた直後、轡田が雷の前に姿をあらわす。こいつは話が早くて良いぜーっ!
轡田「おみごと!」

丸腰の轡田は、あっさり警官たちに取り押さえられるが、依然、不敵な笑みを絶やさない。
底知れない相手の邪悪さに、思わずツバを飲む雷であった。
そのツバをちょっと分けて欲しいと思ったひとは、あとで職員室に来るように。
轡田、雷と警官たちに、高村のいる部屋まで連れて来られる。
轡田「ひさしぶりだな、高村、ひでえ面だ、せっかくの二枚目が台無しだぜ」
高村「何しに来た?」
轡田「お前の苦しむ姿を生で見たいと思ってな」
雷「解除の仕方を教えてください」
轡田「まだ時間はある。せっかくだから楽しませてもらわなきゃ」
高村「きさまっ」
轡田「おっおっおっ」
カッとなって、目の前に来た轡田の襟首を掴もうとした高村だったが、その拍子にバランスを崩し、倒れそうになる。
雷「高村さん!」
慌てて高村の体に抱きつき、支える雷。

轡田「あぶねえな、高村、気をつけてくれよ」
……
管理人はこの時ほど草刈正雄さんになりたいと思ったことはぬわぁいっ! しかし、さっき柴田は「振動を与えると爆発する」って言ってたが、このシーンを見ても、結構揺れてると思うんだけどね。
これで爆発しないのなら、前述したように靴を脱ぐことも可能だったのではないだろうか。
あ、まぁ、靴を脱いでも爆発する仕組みになっていたのかもしれないが。
高村「お前の望みはなんだ」
轡田「お前はナルシストだからなぁ」

ここで、高村に抱きついたままの雷が、ちょっと潤んだ目で轡田の顔を見るカットが挿入されるのだが、前後の流れからして、若干の違和感を覚える。
ま、可愛いからいっか。
その後、轡田に良い様にいたぶられている高村。
と言っても、

轡田「いいぞ、高村、はっはっはっ、じゃあ今度は猿の真似でもしてもらおうか」
高村が、苦しそうな顔で「シェー」のポーズを取っていると言う、これまたギャグなのかマジなのか、判然としない拷問(?)を受けているのだった。
ま、どうせなら、雷に色んなポーズを取らせて欲しかったところだが、残念ながら、轡田の狙いはあくまで高村なのである。
雷「ちょっといい加減にしてよ!」
高村「銭形君」
雷「でも」
高村「いいんだよ、結構好きなんだ」

見兼ねて抗議する雷を制すと、皮膚を手で伸ばして、サル顔を作る高村。
高村がぐらついたので、再び雷がその胸に抱きつく。

雷「もういいでしょ?」
……
管理人はこの時ほど草刈正雄さんに…… え? もういい? そうですか。

轡田「お前、誰だ? 高村の娘か」
ここで轡田がはじめて雷の存在に気付いたように訊ねる。
言い忘れていたが、轡田を演じるのは、シリーズ常連の戸田昌宏さん。
雷「相棒です」
轡田「なるほど……解除の仕方を教えてやるよ」
言下に答える雷をじっと見詰めていた轡田、何か面白いことでも考え付いたような顔になると、急にそんなことを言い出す。
轡田の指示に従い、柴田が爆弾の解除作業を行う。
高村は、轡田がわざと嘘を教えて爆発させるつもりではないかと警戒するが、いずれにしてもタイムリミットが迫っているので轡田の言うとおりにするしかなく、柴田が最後に白いコードを切るが、爆発は起きず、残り5秒でタイマーは止まる。
雷たちが安堵したのも束の間、一旦止まったタイマーが、新たなカウントダウンを開始する。今度のリミットは30分である。

轡田「あーあ」
雷「何の音?」
轡田「お前らのせいで被害者が5万人に増えちまったよ」
雷「どういうこと?」
轡田「その爆弾を解除すると、別の爆弾のスイッチが入るように設定されてんだよ」
無論、轡田が、ただ爆弾を解除してやる為に自分から姿をあらわす筈がなく、二重の仕掛けが用意されていたのである。
ただ、轡田は「4時ジャストに爆発する」と言ってるが、そのタイマーは、最初のタイマーが止まってから始まるようになっているので、いつ解除したかによって4時までの残り時間は変わってくるのだから、ちょっと仕組みがややこしくなる。ここは単に「30分後に爆発する」で良かったんじゃないの?
轡田「そっちの爆弾はここにある奴の20倍は強力だからな、大変だぞぉ」
高村「貴様……一体何処に仕掛けた?」
轡田「それが命の恩人にものを尋ねる態度か?」
高村「命の恩人?」
轡田、自分が出頭しなければ、高村は確実にあの世行きだったのだから、自分が高村の命を救ったも同然だと、手前勝手な自慢をする。
と、雷の頭に閃くものがあり、本日、横浜ブースターズのデーゲームが予定されている、観客席数52000の赤坂スタジアムに仕掛けられたに違いないと言う。
轡田も別に否定しようとせず、「ビンゴ、やるね、お嬢ちゃん」と、あっさりカブトを脱ぐ。
おそらく、雷が閃かなくても、適当なタイミングで自分から教えてやるつもりだったのだろう。
高村たちは直ちに赤坂スタジアムに急行する。
既に試合は始まっていて、総勢15人ほどの観客がしきりに鳴り物を鳴らして声援を送っている。

どうでもいいが、観客席から階段を降りて、人気のない通路に来た時の雷の立ちポーズが妙にカッコイイと思いました。
これは、小出さんのスタイルが良いのは勿論、背後の壁のラインと、雷のハイソックスの上端のラインとが、ちょうど重なって見えるせいであろう。
爆弾は、探すまでもなく見付かるが、例によって轡田にしかその解除方法が分からない。

高村「どっちを切ればいいんだ?」
轡田「まぁ、待て、30秒もあれば解除できる。それよりな、高村、相棒ってのはかけがえのないもんだ、そのかけがえのないものを俺はお前のせいで失った。だからお前にも俺と同じ苦しみを味わってもらわんと、気がすまない……その娘を射殺しろ」
轡田が出した条件は、とんでもないものだった。
高村「最初からそれが狙いだったのか」
轡田「さ、残り時間が少なくなってきたぞ」
うだうだ言ってる暇はなく、雷と高村は無言で立ち位置を変え、西部劇の決闘のように向かい合う形になる。

高村、以前にも登場した空砲入りの特別な銃を取り出し、雷に目で合図を送り、雷も小さく頷く。
だが、轡田も抜け目のない男で、
轡田「ちょっと待った、それ、もしかして空砲じゃねえの?」
そう言うと、そばにいた刑事の銃を奪うと、自分で試し撃ちをしてから高村に渡す。
さらに、親切な轡田、射撃の下手な高村に、もっと雷に近付いて撃つようすすめる。

高村、雷の目の前に立つと、銃口を雷の胸に向ける。
柴田「高村さん! 撃っちゃダメだ、お願いします。やめさせてください!」
雷「柴田さん……」
急にシリアス演技を始める柴田に、雷が引いていた。
轡田は柴田など眼中になく、
轡田「おい、ほんとに時間がなくなっちゃうぞ。あと2分」

雷「高村さん、撃ってください」
雷も、いつになく真剣な表情で高村にお願いする。

高村「銭形……」
雷「私はいいから、撃って」
高村「し……」
雷「5万人の命が懸かってるんです!」

雷「撃ちなさい、高村巡査! ……高村さんに撃たれるなら、本望ですよ」
それでも一向に引き金を引こうとしない高村に、

雷「もほぉ、しょうがないな」
独り言のようにつぶやくと、

銃身に手を添えて、自分の左胸に銃口を密着させる。

雷「私を信じて……」
高村「……」

高村「銭形君、ひとつだけ知っておいてほしいことがある」
雷「……?」
高村「君が相棒であったことは、僕の誇りだ」
雷「あたしだって……」
次の瞬間、雷は引き金にかけた高村の人差し指を、自分の親指で押すようにして、強引に引き金を引かさせる。
銃声が鳴り響き、

雷「……」
雷は一瞬のけぞると、そのまま静かに倒れる。

高村「……」
轡田「はははは、やった、やったっはっはっはっはっ」
ショックのあまり、茫然と膝をつく高村と、遂に恨みを晴らしたと大笑いする轡田。
柴田「おい、貴様、どっちのコードを切ればいいんだ?」
轡田「あ、忘れてた、赤だ、赤を切れ」
ここで、高村を苦しめて満足した轡田が、柴田に嘘を教え、15人、いや5万人の観衆もろとも自爆する道を選んでいたら、どうなっていただろう?
しかし、倒れた雷の体から血が一滴もこぼれていないのに、轡田が、高村が雷を撃ち殺したと思い込むのは、いささか間が抜けている。
死体が見えないのなら、ともかく、思いっきり視界に入ってるからねえ。
無論、雷は生きており、柴田が爆弾を解除すると、たちまち轡田の頭上に雷が落ちてくる。
何故雷が生きているのか不思議がる轡田だったが、ここではその理由は説明されない。
ともあれ事件は解決し、いよいよ最後の別れのシーンとなる。
雷「じゃーん、実はこれのお陰でーす」
高村「なんだよ、こういうことだったのぉ?」
雷、まずは弾丸の突き刺さった投げ銭ストラップを取り出して高村に見せる。
そう、冒頭、雷が高村から取り上げて胸ポケットにしまっていた投げ銭が、雷の命を救ったのだ。
ま、刑事ドラマに限らず、色んなドラマで使われているベタなトリック(?)である。
高村は改めてそのストラップを受け取ると、

高村「ありがとう、これ君だと思って大切にするよ」
雷「……」
高村「短い間だったけど、すげー、楽しかった」
ぶっきらぼうに、別れの言葉を告げる高村だが、これは、高村一平と言うキャラとしてより、草刈正雄と言う俳優としての実感がこもっている台詞である。

雷「私もです。本当にお世話になりました」
それに応じる雷の台詞も同様、駆け出しの小出さんが、色々教わることの多かったであろうベテランの草刈さんに対する真心からの感謝の気持ちのように聞こえる。
しかも、岡野と違って高村は劇場版2には参加していないので、これがほんとに二人の最後のやりとりとなるわけで、それを考えると、ますます感動的な別離のシーンとなっている。

夕陽を受けて黄金色にきらめく川面をバックに、背筋を伸ばして、お互い敬礼を施す雷と高村。
雷「さよなら、高村さん」
高村「さよなら、銭形警視監どの」
雷「え、知ってたんですか」
高村「知ってるよー、相棒だもの」
雷「はい」
高村「二階級特進、おめでとう」
雷「ありがとうございます」
高村「じゃ」
ここで突然、雷が二階級特進して警視監と言う階級に上がったことが明かされるが、やや唐突な感じが否めない。今回の爆弾事件を解決したことによるのだろうが、いくらなんでも二階級特進はないだろう。
ともあれ、割りとあっさり去っていく高村の背中を、寂しげに見送った後、

雷「明日は明日の風が吹く……か」

そう言って自転車に乗った雷の飛び切りの笑顔で、ほんとのほんとに「終わり」となる。
……
ま、まだ劇場版が残っているのだが、とにかくテレビ版はこれで終わった訳で、感慨深いものがある。
1話を書いたのが2017年の1月31日だから、えーっと、2年9ヶ月ほどかかった計算になる。
いささか時間をかけ過ぎた気がするが、今はただ達成感に浸っていたい。
と言う訳で、最後までお読み頂いた読者の皆様、ありがとうございました!
なお、次回作の「海」だが、ヒロインが好みのタイプじゃないので、全話レビューをする予定はありませんが、星野真里さんが出てる「恋愛泥棒マリン」の話だけはやろうかなと思っております。
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