第19話「怪奇! 黒魔術の恐怖」(1972年2月6日)
あの(どの?)滝沢真里ちゃんが脚本を手掛けた、
全く内容がないエピソードである。
スルーしても良かったんだけどね。まぁ、真里ちゃんの顔を立てて。
冒頭、管理人が世界で二番目に嫌いなクモンデスが、ひとりぼっちのアジトで「血が吸いてえ」「血が吸いてえ」と、頭を抱えて喚き散らしているどうでも良いシーンの後、ジプシーの占い師に化けたクモンデスが、通学中の女の子に「落し物だよ」と、声を掛ける。
人を疑うことを知らない無垢な少女は、占い師に手招きされると「はいっ」と元気よく返事して駆け寄る。

女の子「学校に遅れちゃうわ、落し物ってなあに?」
頭のてっぺんに花の飾りをつけた女の子、あだ名はもちろん、
カッパである(気の毒に……)

占い師「ふっふっふっふっ、そう驚かなくても良い。わしはジプシー占いだ」
女の子「ジプシー占い?」
占い師「そうだ、あんたに不吉な悪魔の影がついているので注意してあげようと思ってな」
女の子「えっ、悪魔の影が?」
占い師はそういって水晶玉を彼女の目の前に突き出し、それを見詰めていた女の子は、占い師が呪文を唱えると、一瞬で水晶玉の中に吸い込まれてしまう。
白状すると、管理人、この最初のくだりで、もうレビューする気がなくなった。
シナリオの良否って、導入部分見たら大体分かるからね。
ともかく、歯を食いしばって続きを書こう。

ひかる「橘ノロオくん」
ノロオ「はい」
朝のホームルームの時間、生徒たちの出席をとっているひかる。

ひかる「竜村正夫くん……お休み? ふっ珍しいわね。前川幸子さん……欠席? 木村ハルコさん」
ハルコ「はい!」
自分の名前を呼ばれて、元気良く右手を上げて返事をするハルコちゃん。
ひかる「田辺進君」
ノロオ「欠席でーす」
進の代わりに、後ろの席のノロオが答える。

ひかる「おかしいわね、今日に限って4人も欠席だなんて……誰かお休みの理由を聞いてきていませんか?」
ひかるの問い掛けに、

周りの席とヒソヒソ話し合う、いかにも児童劇団っぽい演技をする子供たち。
ひかる「悪い風邪も流行ってないのに……」
と、不意にハルコちゃんが、

ハルコ「正夫君も進君も、今朝、お墓のそばにいました」
ひかる(それを先に言ってよ……) ハルコちゃんのタイミングの外れた発言に、心の中で突っ込みを入れるひかるであったが、嘘である。
ひかる、またクモンデスが暗躍しているのではないかと考え、子供たちに自習を命じて職員室へ戻り、休んでいる子供たちの家に電話するが、やはり、どの家の子供たちもちゃんと登校していることが分かる。
ひかる(きっとクモンデスの仕業だわ、でも、クモンデスに攫われたなんて言っても誰も信じてくれないし)
犯人の見当がついているのに、それを同僚たちに話して協力を求めることができないというジレンマに陥り、悔しそうに唇を噛むひかる。
容易ならぬ事態に、普段は温厚な校長も声を荒げてひかるを責める。

校長「ええっ、月先生、何たることだ、4人もの子供の行方が分からないなんて、重大問題ですぞ!」
ひかる「わかってます、重大なことですけど……」
教頭「ですけど、とはなんですかっ、君! もし子供たちに事故でもあったら……」
旗野「まぁ、教頭先生、もう少し良く探して見ないとですね……どうですか、いつも写生してるあの丘に行ってみたら?」
ひかる「ええ、でも……あ、じゃあちょっと見てきます」
校長と教頭から厳しく追及されているひかるを見兼ねて旗野先生が助け舟を出し、ひかるは消え入りそうな声でつぶやくと、悄然と部屋を出て行く。

ひかる「正夫くーん、ヒロコちゃあああーん……あふ、ぐすっ」
無論、ひかるは丘には行かず、ハルコが正夫を見たという墓地周辺を探し回るが、その最中、早くも泣きべそを掻く。
これではかぐや姫先生じゃなくて、泣き虫先生の7年戦争である。
しかし、前回も書いたけど、こんなメソメソしたひかるは、ひかるじゃないよね。
路線変更はしても良いけど(註・ほんとは良くない)、ひかるのキャラクターまで別人にして欲しくはなかったなぁ。
従来のひかるなら、泣くどころか、指をポキポキ鳴らしながら、
ひかる「もうっ、あの子たちったら人に心配ばっかりかけて~、見付けたらタダじゃおかないわよっ!」 みたいなことを言う筈だからね。
その後、再びアジトで独り言を言うクモンデスのシーン。
その水晶玉には、果たして、最初の女の子のほかに、正夫たち三人の子供が閉じ込められていた。
で、捕まえたらさっさと血を吸えば良いのに、クモンデスは血の味にもうるさく、子供たちの血をより美味なものにするという、黒魔術の薬をせっせと作り始めるのだった。
その材料をひとつひとつ説明しながら(誰に?)、壷の中に入れていくクモンデス。
クモンデス「なんとかぐわしい煙だ。この煙に一晩いぶせば、最高の赤い血になる……」
いや、一晩中いぶしてたら、子供たち、
死ぬと思うんですけどね。
その後も、何故かムーンライトリングを使わず、ひたすら子供たちの名前を呼びながら裏山を歩き回っていたひかるだったが、何の手掛かりも得られず、途方に暮れていた。
ひかるの様子を木の上から望遠鏡で見守っていたバル、遂に見ていられなくなり、その前にパッと瞬間移動してあらわれる。

バル「さ、姫、元気を出すのである、元気を」
ひかる「バル、どうしたらいいの、私?」
ひかる、バルの姿を見ても、涙ぐんで弱音を吐くばかりで、従来の楽しいやりとりは一切ない。
バル「ようし、このバル様が全力を尽くして探し出してあげるのである。それにはまず私を徹底的に尾行するのである」
ひかる「えっ?」
バル「スポチョ!」
怪訝な顔をするひかるに、バルは杖を動かして呪文を唱えると、

たちまち眼鏡をかけた可愛い男の子の姿に変わる。
ひかる「あっ」
バル「ふふふふふふ」
ひかる「まぁ」
要するに、バルが囮になってクモンデスを引っ張り出そうという作戦である。
バルが「エッサエッサ、エッサホイサ、おサルの駕籠屋だホイサッサ」と、時代を感じさせる童話を歌いながら目立つように走り回っていると、すぐにクモンデスがあらわれ、襲い掛かってくる。
もっとも、クモンデスは最初から子供の正体を見抜いていた。

クモンデス「おい、バル、覚悟しろ」
バル「どうしてそれを?」
クモンデス「血の匂いが違うのだ。お前の血は地球人のものではないっ」
バル「それ早く言ってくれなくちゃあ、パイチョ!」
バル、泡を食って体を小さくして、虫のように空を飛んで逃げていく。
バルを追いかけようとしたクモンデスの背後に、ひかるが颯爽と登場。

ひかる「待て、クモンデス、子供たちを何処へ隠したの?」
クモンデス「おお、月ひかる、これは思ってもいなかったお土産だな」
ひかる「なにぃ?」
しかし、クモンデス、てっきりひかるをおびき出すために、わざとバルの罠に引っ掛かったふりをしたのかと思ったが、ひかるの出現に本気で驚いているところを見ると、そうではなかったらしい。
……
じゃあ、なんでバルの前にあらわれたの?
ひょっとして、バカなの?

クモンデス「見よ、貴様をこの中に吸い込んでやる。さぁ、じーっと見るのだっ」
クモンデス、あの水晶玉を取り出してひかるに向け、ひかるもその中に取り込もうとする。
クモンデスの催眠術は強力で、ひかるでさえ意識朦朧となって水晶玉に吸い込まれそうになるが、寸前でバルが戻ってきて妨害したので、なんとか助かる。
ならばと、クモンデス、呪文を唱えて雷をひかる目掛けて落とすが、ひかるは素早くかわすと、

ここで漸くアンドロ仮面に変身し、なまめかしいワキを見せつつ身構える。
しばし格闘となるが、

クモンデスに蹴られて体を一回転させたひかる、スカートから青いパンツに包まれたお尻がはみ出してしまう(見にくいけど)。
実際のところ、管理人にとって路線変更後のお楽しみは、アクションシーンにおけるお宝ショットしかない気がするのである。
もっとも、これはアクションシーン用に履いているブルマのようなものだから、正式なパンチラとは呼べないんだけどね。

それはそれとして、菊容子さんのアクションセンスは大したもので、ほとんどのシーンをご自身で演じておられる。
ま、飛んだり跳ねたり、そんな高度なアクションはないのだが、本格的なアクションの経験もない女優さんにしては、恐るべき順応力である。よほど運動神経が優れていたのだろう。

などと真面目に感心していたら、太もも丸出しのキックが炸裂する。

さらに、パンツの股間がはっきり見えるほど足を高く上げてのキックの連打。
クモンデスを投げ飛ばした後、

ひかる「マントブーメラン!」
両腕をクロスさせ、唯一の必殺技を繰り出すが、この、二の腕の逞しさを見て欲しい!
やっぱり何かスポーツをやっておられたのかなぁ。
マントブーメランはクモンデスに命中するが、完全に倒すことは出来ず、クモンデスは「覚えてろアンドロ仮面」と、縄文時代中期から使われている捨て台詞を残して退散する。
CM後、クモンデスを追いかけて行ったミニ・バルが帰ってくるのをひかるが墓場で待っていると、

ひかる「あっ」
誰かに右肩をポンと叩かれたので、飛び上がるほど驚くひかるがとても可愛い。
が、それはクモンデスではなく旗野先生であった。

ひかる「旗野先生」
旗野「見付かりましたか」
ひかる「いいえ」
ひかるが俯きながら答えると、旗野先生は右手を上げ、
旗野「おーい、こっちだ」
後方にいた子供たちを呼び寄せる。

ひかる「あら」
旗野「いやぁ、自習してるよか、みんなで手分けして子供たちを捜したほうがいいと思いましてね」
ひかる「それはいけないわ、そんなことをしたら子供たちが余計危ないわ」
旗野「ええ?」
ひかるの不可解な言葉に首を傾げる旗野先生。
どうでもいいが、右から二番目の男子、いくらなんでも背ぇ高過ぎないか。
左側の女の子たちと、とても同学年には見えんぞ。
ひかる「なんていったら良いのかしら、とにかく駄目なのよそんなことしちゃあ」
旗野「だってひとりで探すよか、みんなで手分けして探したほうが良いじゃないですか」
ひかる、旗野先生と面白くもなんともない押し問答をしているうちに、ふと心配になって子供が全員いるか確かめるが、案の定、ノロオとハルコちゃんの姿がいつの間にか見えなくなっていた。

二人は既にクモンデスのアジトに連れて行かれ、向かい合わせの形で柱に縛り付けられていた。
クモンデス「ふっふふふふふ、もっと苦しめ、苦しめば苦しむほど俺は嬉しいのだ」
ハルコ「助けてーっ」
ハルコちゃんの記念すべき縛りデビューであったが、あいにく暗くて良く見えない……
と、ここでやっとバルがやってきて、本来のサイズに戻ってクモンデスと対峙するが、

ハルコ「きゃあっ!」
バル「う、何をする?」
ノロオ「助けてー」
ハルコ「痛いっ」
バル「やめろと言うのに……」
クモンデス、バルではなく、人質の二人をスティックで打ち始める。
ハルコちゃんの記念すべき打擲デビューであったが、あいにく暗くて良く見えない……

クモンデスはさらに、二人の頭上に吊るしてある壷に結んだ紐を掴み、
クモンデス「いいか、バル、これを引けば、この子供たちの上に体中の溶ける恐ろしい液体が降りかかる
仕掛けになっているんだ。それでもやるつもりか?」
……
果たしてこれを「仕掛け」といって良いものかどうか、小1時間悩んだ管理人であったが、そのうち
「どうでもいい」ことに気付いたので話を続けよう。
さすがのバルもこれには困り果て、何も出来ずにいたが、クモンデスの突き出した水晶玉を見て、あえなくその中に吸い込まれる。
いや、それこそ、「パイチョ」とか「スポチョ」とかの魔法で、二人を瞬間移動させれば良いのでは?
路線変更後は、ひかるもバルも、全体的に超能力を使う頻度が小さくなっているような気がする。
冷静に考えたら、ほとんど特殊能力のないアンドロ仮面より、素顔のひかるがムーンライトパワーを使った方が遥かに強いので、どうしてもそうなってしまうのだろう。
クモンデス「ざまあみろ、これで月ひかるを呼び寄せるのが、俺の作戦だ。カッカカカカッ」
4人とバルを入れた水晶玉を愛しそうに抱いて笑うクモンデス。
管理人、クモンデスが嫌いな理由は売るほどあるのだが、このように、一人親方とはいえ「悪の組織」の首領なのに、行動が粗暴で、言葉遣いがチンピラ風なのもそのひとつである。
それにしても、「子供たちの血を吸う」と言う最終目的と、「ひかるを殺す」と言う二次的な目的を、ひとつの作戦で同時に達成しようとするあたり、「世界を征服する」と言う目的と、「ライダーを倒す」と言う目的とを常に混同しているショッカーの戦略的ミスが重なって見えるのは管理人だけではあるまい。
しかもほぼ毎回、子供を捕まえても、欲(もっとたくさんの子供とか、ひかるも一緒にとか)を出しては結局何ひとつ得られないままひかるに倒される点において、ショッカーをも上回るトンチキと言って良いだろう。
ひかる、一旦子供たちをつれて教室に戻り、再び自習させようとするが、ここで、バルからのSOSが飛んでくる。

バル(姫よ、バルじゃ、捕まってしまいました。子供たちもいる。早く来てくだされーっ!)
ひかる(バル、すぐ行くわ。子供たちは、子供たちは無事なの?)
ひかるは学校を飛び出すと、アンドロ仮面に変身して空をひとっ飛び、あっという間にハルコたちのところへやってくる。

が、それはひかるを誘い込む為の囮で、部屋には火炎放射や毒ガスなどの恐ろしい罠がいくつも仕掛けられていた。
ハルコ「熱い……」
ハルコちゃんの記念すべき火炎放射器デビューであったが、あいにく暗くて良く見えない……
結局、ひかるはハルコたちのロープを解くことすら出来ないまま、足元に掘られた穴に落ちてしまう。

その際、豪快にスカートがめくれて青いパンツが丸出しになり、

最後はスカートがへその上までまくれ上がるお宝ショットが生まれるのだが、これは、さすがにスタントかなぁ?
落ちた穴にはあの水晶玉が置いてあり、ひかるもあっさりその中に吸い込まれてしまう。

バル「アンドロ仮面も遂に玉の中に入れられてしまったのであるか、心強いやら、困るやらである」
正夫たちはアンドロ仮面に抱きついて泣くが、その正体がひかるだとは決して気付かないのである。
で、色々あってひかるたちはなんとか水晶玉から自力で抜け出すと、クモンデスを倒して事件解決となる。ただし、前回も書いたように、クモンデスは死んでおらず、次回も何事もなかったように出てくるのである。このように、倒されても倒されても次の回では復活してしまう節操のなさも、管理人がコイツを嫌いな理由のひとつなのである。
どうせ次回も出ると分かっているのだから、クモンデスを倒してもカタルシスがないんだよね。
それはさておき、ラスト、ひかるが正夫たちを連れて職員室に入ってくる。

校長「一体何処にいたんだ、その子たちは?」
ひかる「ええ、実は……と言ったってわかりっこないわね」
ひかる、校長に説明しようとするが諦め、

ひかる「ええい、みんな、嫌な思い出は忘れましょう」
この悪戯っぽい笑みが、めっちゃ可愛い……

ここで今回初めてとなるムーンライトパワーを発動させ、

ひかる「眠れ~、眠れ~」
その場にいた人たちを全員眠らせてしまう。
そして、再び目覚めた時には、子供たちの失踪事件やクモンデスのことはすっかり彼らの記憶から消去されていると言う寸法。
ひかる「皆さん、どうしてこんなところで眠ってらっしゃるの」
校長「どうしたんだろう、随分眠ってしまったようだが」
旗野「僕たち疲れてるんじゃないですかね」
校長「うーん、わが学園はここのところテスト、テストでみんな疲れきってるかも知れんなぁ。よろしい、明日は特別に私の権限でお休みにしよう」
と、私立学校ならではの自由さで、校長が突如、明日を休校にすると言い出す。
しかし、11話で導入された英才教育&テスト地獄って、あの話の後もずーっと続けられていたのか。
二人とも、ロノオの絵の才能を認めて、詰め込み主義を撤回したのかと思っていたのだが。

でも、そうすると、休みと聞いて子供たちが躍り上がって喜ぶのを見て、

ひかる「あーらあら、学校って好かれてんだか、嫌われてんだか、わかないわね」
と、ひかるがカメラ目線で笑うのが、ちょっとおかしく感じられる。
テスト地獄が継続されているのなら、子供たちがそれを嫌っていることくらい、わかりそうなものだからである。
以上、ひたすら無味乾燥なストーリーで、その癖、台詞が結構多いと言う、それこそレビューを書くのが地獄のようにつらいエピソードであった。
要約すれば、
「水晶玉に閉じ込められた子供たちをひかるが助ける」と言う、テトリスの長い棒みたいにシンプルな話なのだが、よくそれを30分に引き伸ばせるものだと、真里ちゃんの才能に敬服する管理人であった。
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