第12話「純子が怪人の花嫁に!?」(1973年5月5日)
前回のラストから引き続き、水中でピッケルシャークと戦っているV3。
だが、水中戦に長けたピッケルシャークに、デストロンの海底アジト、そして最後は天然の洞窟を利用した牢へと誘導され、閉じ込められてしまう。
ピッケルシャークからの報告を受けた首領は、何をトチ狂ったか、時限爆弾でアジトをV3ごと爆破してしまえと言い出す。
いや、それこそ改造人間分解光線とかを照射すれば、確実にV3を殺せたと思うのだが……
なんとなく、ゴキブリを異様に恐れる主婦が、ゴキブリを家の中で発見して、家ごと焼き払おうとしているようにも見える。
おまけに、例によってセコンド音のする時限装置を使った為、人間の10倍の聴覚を持つV3に気付かれてしまう。V3、以前にも使用した「レッドランプパワー」を発動させ、

牢獄のシャッターをぶち壊し、爆破寸前で脱出するのだった。
結果的に、デストロンが自らアジトを爆破しただけに終わり、志郎は、精も根も尽き果てたと言う様子で本部に戻ってくる。

立花「おい、どうしたんだ、その姿は?」
志郎「奴らのアジトがひとつ潰れましたよ」
立花「そりゃ良かった……どうしたんだ、浮かない顔して」
志郎がいつになく沈んだ面持ちなのを見て、おやっさんが尋ねる。

志郎「実はおやじさん……」
立花「なんかあったのか?」

志郎「俺が、この風見志郎が仮面ライダーV3であるということを、純子さんに喋った奴がいるんです」
立花「なにぃ?」
志郎「純子さんだけには俺が改造人間だと言うことを知らせたくなかった……俺は彼女の心を傷付けたくなかったんですよ!」
普段、純子さんの顔を見れば「帰れ」だの「関わるな」だの言って彼女を少しでも遠ざけようとする志郎だったが、なんだかんだで純子のことを特別な存在だと思っていることが分かる、胸キュンな台詞である。
「仮面ライダー」でも経験したことのない事態の出来に、おやっさんも「厄介なことになったぞこりゃ」みたいな顔になる。

立花「純子は何処だ?」
志郎「え?」
立花「お前一緒じゃなかったのか?」
志郎「いや……彼女はまだ帰ってないんですか」
立花「出たっきり、連絡がないぞ」
と、本部の監視モニターに、黒い帽子に黒いコート、サングラスと言ういかにも怪しげな服装の男が店先に立っているのが映し出される。
志郎はすぐ後を追うが、案の定、それはデストロンの罠で、水門のそばまでおびき出されたところで、戦闘員たちに襲撃される。
ピッケル君もあらわれるのだが、

怪人「貴様があの爆発で生き残っていたとは知らなかった」
と言うのは、なんか変じゃないか?
知らなかったのなら、なんで人間に化けた戦闘員を店の前でうろうろさせたのか?
むしろ、志郎がいなくなったライダー隊本部に襲撃をかけて、一気に叩き潰そうとするのが、普通の感覚ではないだろうか。
ともあれ、志郎もV3に変身し、河川周辺で長時間のバトルが繰り広げられるが、得意な水中ではなく、わざわざ陸地を戦う場所に選んだピッケルシャーク、今度はあっさり「V3反転キック」を受けて撃破される。
まぁ、そんなのはどうでも良くて、今回のメインディッシュは、

デストロンに捕まり、小さな檻の中に閉じ込められ、女の子座りで座っている純子さんなのである!
もう、このフトモモの美味しそうなこと!
純子「志郎さん、あなたは本当にアジトの爆発と一緒に死んでしまったの?」

純子「あなたがV3なのかどうか、とうとう私には答えてくださらなかったのね……」
悲しそうな目で、志郎に向かって怨じるように呼びかける。
純子さんの魅力は、完璧なルックスだけじゃなく、その丁寧な言葉遣いにもあることが分かる。
怪人「レーロー!」
純子「……」
悲劇のヒロイン風のアンニュイな世界に浸っていた純子だったが、不意に、素っ頓狂な怪人の鳴き声が聞こえてきて、せっかくの雰囲気をぶち壊しにする。
冷たい靴音を響かせてやってきたのは、新たな怪人ドリルモグラであった。

怪人「珠純子、俺が誰だか分かるか?」
純子「えっ?」
怪人「レーロー! 俺はお前と風見志郎に復讐する為にデストロンの手で改造人間になった黒田雄二だ」
純子「えっ、じゃあ、いつも私をつけまわしていた?」
と、黒田ちゃんあらため、ドリモグちゃんは言うのだが、単に女にフラれただけで、復讐すると言うのは穏やかではない。また、「復讐する為に~」って、まるで自分から進んで改造手術を受けたみたいに言ってるけど、前回を見る限り、どう見ても黒田のアニキ、全力で手術されるのを拒否してましたよね。
怪人「志郎が死んで、俺の目的の半分は遂げられた、あとはお前と結婚することだぁーっ!」
純子「ええーっ、ケッコン?」 怪人のとんでもない発言に、思わず「素」で驚く純子。
怪人「そうだ、お前はこのドリルモグラの花嫁になるのだ」
純子「イヤです、絶対イヤです!」 怪人「……」
純子に速攻且つ念入りに「ごめんなさい」されて、さすがの黒田アニキも心が折れそうになる。

怪人「レーロー、いくらイヤだと言っても、この地の底のデストロンアジトでは、お前は俺に逆らうことはできない」
純子(ああ、ひょっとしたら、あのでかいドリルで犯されるのかしら……?) 不安と期待で思わず唇をワナワナさせる純子であった。
……すいません! もう二度と言わないので勘弁して下さい!
正解は、
純子「くふっ……」
悔しさと悲しさのあまり、唇を噛んで涙ぐむ純子さん、でした。
だが、捨てる神あれば拾う神あり、
首領「ドリルモグラよ、喜ぶのはまだ早い。
風見志郎は死んではおらんぞ」
怪人「なんですってーっ?」
純子「……」
首領の言葉に、パッと純子さんが瞳を上げる。

首領「それどころか、奴はピッケルシャークを倒したのだ。すみやかに
V3を殺せ、そうすれば褒美にお前をその娘と結婚させてやろう」
純子「志郎さん、生きてたんだわぁ」
さっきとはまるで別人のように明るい笑顔になる純子さん。
ちなみに、首領がうっかり、風見志郎=V3だと明言しちゃってるのだが、状況が状況だけに、純子さんは全く気付いていない様子だった。
怪人「よーし、俺は必ず風見志郎を殺す、奴を殺した上で、お前を俺の花嫁にしてやるのだ。待っているがいいわーっ! レーロー!」
純子(死ね!)(註・言ってません)
雄叫びを上げながら立ち去るドリルモグラの背中に、氷のように冷たい嫌悪と軽蔑の眼差しを向ける純子さんでした。
しかし、どうせなら、今回も黒田アニキに登場して貰って、いつもながらのクズっぷりを全開にして、欲望剥き出しで下品に純子さんに迫るシーンを撮って欲しかったなぁ。
早くもここでCMです。
ドリモグは、シゲルを通じて、「純子を助けたければ城ヶ崎の松林まで来い」と志郎にメッセージを寄越す。
それが罠と知りつつ、志郎はバイクにまたがって走り出す。

志郎(急がないと……純子さんの命が危ない)

志郎「ようし……むんっ」

志郎「変身、V3!」
ここで、バイクを走らせながらの変身と言う、宮内さんの得意技が炸裂する。
いやぁ、何度見てもカッコイイ。
V3、ハリケーンを一気に加速させて、道路を超音速ミサイルのようにぶっ飛ばす。
指定された場所に到着すると、

純子さんが、ひとりで岩場の上に座って俯いていた。
邪魔をするドリルモグラや戦闘員を軽く蹴散らし、純子さんの前まで行くが、

V3「あっ、人形!」
案の定、それは「仮面ライダー」84話で見られたのと同じ、人間そっくりに作られた爆弾人形だった。

次の瞬間、V3の前で豪快に吹っ飛ぶ純子さん。
いくら人形とはいえ、あまり良い気持ちはしない。
V3「うわーっ!」
至近距離で爆発に巻き込まれ、絶叫するV3。
その近くには本物の純子さんもいて、ドリモグと一緒に爆発の瞬間を目撃することになる。

怪人「今の悲鳴と凄まじい音を聞いたか? あれがV3が地獄へ行く、葬送曲だ」
純子「……」
あれ、黒田ちゃん、改造されて、台詞回しがちょっと知的になったんじゃない?
しかし、怪人に改造された方が賢く見えるって、素材はどんだけアホやねん。
怪人「さて、いよいよお前と二人の結婚式を挙げるとするか」
そう言うと、純子の白くて柔らかなほっぺを手で掴み、さっさと引き揚げてしまうドリモグだったが、女に目が眩んで、V3のトドメを刺すのを怠ったのは、新生黒田ちゃんにとって、またデストロンにとって、悔やんでも悔やみきれない失策だったろう。

ドクロが積み重なったような不気味なデザインの柱が何本も立つ、デストロンの結婚式場。
なお、祭壇の左右にある燭台は西洋風だが、真ん中には香炉のようなものが置かれており、

さらに、式の始まりを告げるのは、妙にかっこいいシルエットになった戦闘員の打ち鳴らす銅鑼と言う、和洋中混合の、ちょっと責任者呼んで来い! と怒鳴りたくなるような、わやくちゃな結婚式であった。

やがて、ドリモグに腕を取られて、薄いピンク色のウェディングドレスに、赤いヒール、赤いベール、そして手袋だけ白と言う、なかなかセンスの良いファッションで固めた純子さんが入場。
ただでさえ身震いするほど可愛い純子さんが、3倍(当社比)可愛くなり、管理人、死にそうになる。
黒田ちゃん改めドリモグも、純子さんの白い腕の感触に死にそうになっていたのではないかと思われるが、花婿の方は普段着(?)のままと言うのは、いささか不公平な感じがする。
あ、良く見たら、ドリモグも、胸に赤いバラを刺しているのだった。
これを見て分かるように、デストロンの基本カラーは赤なのである。

二人が祭壇の前に立つと、再び銅鑼が鳴り響き、MCのトンガリ頭巾が両手を掲げ、祝詞を唱える。
MC「赤いベールはデストロンの花嫁ー、ダーワービュウ、ユーコウケイ、バメレハー、デーストロンー」
で、その呪文だが、例によって普通の言葉を反対から読んでるだけなんだと思うが、次の犬神博士の台詞をもじって、「嵌めれば……指輪だ」みたいなことを言ってるのだと思うが、正直、良く分からない。
続いて、神父代わりの犬神博士が二人の前に立ち、

犬神「これはデストロンの結婚指輪だ。これを嵌めれば、お前はいやでもデストロンになる。姿ばかりか、心まで醜いデストロンとなってドリルモグラの妻となるのだ」
サソリの形をした、最悪の結婚指輪を見せ付ける。
犬神「おめでとう」

純子「……」
犬神博士の手からドリモグの手に渡された結婚指輪を、まじろぎもせずに見ている純子さん。
どうやら、あまりに非現実的な状況に置かれ、感情がマヒしているらしい。
あるいは「カリオストロの城」のクラリスみたいに、大人しくなるよう事前に一服盛られたのかもしれない。
MC「間もなく夜が明ける、花嫁に指輪を」

司会に促されて、ドリモグが、純子の手を取り、指輪を無理やり嵌めようとする。

純子「いやっ、やめてよっ! う、うう……」
ここでやっと純子が我に返ったように、身をよじらせ、顔を歪めてか細い声で抗議の声を上げるのだが、ちょっと子供がベソを掻いているような顔や、遠慮がちの喘ぎ声が実に色っぽくて可愛いのだ。
だが、周りは敵ばかりだし、女の細腕で怪人の腕力に対抗できる筈もなく、

純子「ああ……」
とうとう、観念したように目を伏せ、抵抗をやめてしまうのだが、

V3「むんっ」
そこにダスティン・ホフマンよろしく(どこがじゃ)颯爽と乱入してきたのだが、我らがV3であった。
結婚式の進行と平行して、闇の中、岩場で崩れた岩をどけているおやっさんの姿が描かれていたから、岩で生き埋めになっていたところを、おやっさんに助け出されたのだろう。

純子「V3!」
V3「逃げろ!」
見ろよ、この純子さんの嬉しそうな顔……
こうして、僕らの黒田アニキの宿願はまたしても風見志郎によって打ち砕かれ、アニキは失恋の苦い涙を味わう余裕もなく、V3に蹴り殺されてお星様になったのでした。
黒田アニキに敬礼!
事件(……そもそも、今回デストロン、何がしたかったんだろう?)解決後、

V3が、純子さんのお姫様抱っこすると言う、身震いするほど羨ましいことをしている。
アジトから逃げる途中で気絶したのだろうが、ウェディングドレスから平服に戻っているということは……うひひ、V3のアニキも隅に置けないでヤンスね!(誰だよ?)
にしても、純子さんの白いフトモモが眩し過ぎて、目が潰れそうである!
椰子の木の根元に純子さんの体を横たえると、そのまま斜面を上がってサイクロンにまたがるV3。
何の説明もないが、ここは伊豆海洋公園の中なのだろうか?

そのエンジン音に気付いて、美しい目を開く純子さん。
慌てて起き上がると、

純子「待って、V3」

V3「……」

純子「お願い、教えて、あなた風見志郎さんなんでしょ?」
そのことをはっきりさせないと気が済まない純子、ストレートに尋ねるが、V3は無言で走り去ってしまう。
と、背後からおやっさんがやってくる。

立花「純子! 良かった、助かって……」
純子「会長は知ってるんでしょ?」
立花「何を?」
純子「志郎さんがV3なのかどうか……」
管理人はそんなことより、純子さんが処女なのかどうかの方が……すいません、もう二度と言いません!
立花「志郎がV3だってえ? まさか」
おやっさん、アカデミー賞ものの名演技で、純子の疑惑を一笑に付すと、

立花「志郎なら、ほら」
悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、右手の親指で自分の後ろを指し示す。

純子がそちらを向くと、木の陰から、他ならぬ志郎が顔を出すではないか。
無論、これは、一旦ハリケーンではけたV3が、こっそり猛スピードで戻ってきて志郎の姿になって見せたのだが、うーん、さすがにちょっと無理がある。
こういう時、滝のようなキャラがいたら、滝がV3に化けて純子の前から走り去って、その後、本物の志郎が背後から顔を出す……と言う、合理的なトリックも使えるんだけどね。

純子「志郎さん!」

純子「……」
あっけにとられた純子、もう一度V3の走り去ったほうを見る。
その華奢な肩を軽く叩いて、
立花「はっはっはっ、何を寝惚けたことを言ってるんだ」

志郎「……」
志郎、ゆっくりと、少し面映そうな顔で純子の前にやってくる。

ここで気を利かせておやっさんが二人から少し離れて背を向けるのが、なんか「大人のドラマ」っぽくて好きなのだ。
志郎「オッス」
そして、志郎が照れ隠しのようにぶっきらぼうな挨拶をすると、
純子「オッス」 純子も全く同じ挨拶を返すというのが、実にセンスが良い脚本なのである!
前にも書いた気がするが、「V3」の中で管理人が一番好きなシーンかもしれない。

立花「ああ、良かった、良かった、すべておさまった」
純子「うふふ」
立花「さ、行くか」
純子「ええ」
壊れかけた二人の関係が修復したのを、仲人のような顔で喜ぶおやっさん。

最後に、もう一枚純子さんの美味しそうな足を貼っておこう。
我が(キャプ職人)人生に悔いなし!
ちなみに、最後のバイク走行シーンに行く前に、ほんの一瞬、やる気なさそうにしおれている鯉のぼりが映し出されるのだが、これは、オンエアが5月5日だったからであるが、物凄い取ってつけた感がする。
以上、アクションシーンが長いのが退屈だが、(11話を含めて)志郎と純子さんの恋愛に似た微妙な関係を丹念に描いてくれて、個人的には120点満点の内容だった。
もっとも、13話からのドクトルGの登場とともに、二人のそういう関係が強調されることがほとんどなくなってしまうのが、実に勿体無いと思うのである。
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