第35話「ゼーバの謎!禁断の墓」(1987年10月24日)
物語終盤につながる、布石と言うか、伏線のようなエピソードである。
冒頭、よくJACの若い衆が落ちてくることで有名な切り立った崖の上で、キロスがハイテクメカを使って何かを探していると、そこへアキラが現れ、果敢にもひとりでキロスに戦いを挑む。

相手が子供と言うことで油断したのか、アキラの華麗な体術と剣舞に翻弄され、キロスは崖から転落して、直下の激流に飲み込まれてしまった……ように見えた。
アキラ「やった、やったぞ、キロスに勝ったぞ」
まだ戦士としては未熟なアキラは、金星を挙げた喜びに我を忘れ、キロスの死を確かめることなく引き揚げてしまう。

アキラ「こうかと思えば、またあちら、マイケル・ジャクソンのような華麗な動きと、ジャッキー・チェンの力強さで、そしてトドメの一撃。君たちとは実力が違うの、実力が」
光戦隊司令部で、キロスを倒したときの様子を再現しながら、仲間たちに威張り散らしているアキラ。

だが、タケルたちはアキラのことを半人前扱いして、ニヤニヤしながら聞いていた。

タケル「クレセント・スクリューにはショットボンバーさえ太刀打ちできなかったんだぞ」
ケンタ「それをアキラが勝ったなんて信じられるかよ」
光戦隊の誇るゴリライモたちは、バカにしたような口調で、アキラの報告を頭から否定する。
姿「アキラ、君は浮かれすぎて、戦士として大切なことを忘れてしまったようだな」
アキラ「えっ」
と、姿長官が、穏やかな笑みを浮かべながら、教え諭すような口調でアキラに言う。

姿「キロスが何をしようとしていたのか、どうして調べてこなかった?」
アキラ「……」
姿「気になる、キロスは一体何をしようとしていたのか……もしキロスが生きていたらどうする?」
アキラ「キロスが生きているですって?」
姿「すぐに調べに行くんだ」
冷静に考えて、キロスほどの男が崖から落ちたくらいで死ぬ筈がなく、姿長官が厳しい顔つきで再調査を命じたのももっともであった。
案の定、キロスは激流に落ちる寸前、鎖で岩肌にとりついて、転落を免れていた。
もう一度崖の上に上がったキロスは、先ほどの作業を再開する。
その様子は、チューブのモニターにも映し出されていた。
バラバ「キロスめ、何をしているんだ?」
イガム「太陽の位置を測っているようだ」
アナグマス「そうか、今日は300年に一度、地底ピラミッドに太陽の光が当たるといわれている日じゃ」
博覧強記のアナグマス、たちどころにキロスの意図を見抜く。

バラバ「地底ピラミッド?」
イガム「その昔、あまりにも凶暴ゆえ、そこに閉じ込められて殺された地帝獣がいたと言う話を聞いたことがある」
アナグマス「それが地帝獣リサールドグラーじゃ。300年に一度太陽の光が当たると、地底ピラミッドは崩れ、その恐ろしいリサールドグラーが生き返るのじゃ」
と、部下の話を聞いていたゼーバが突然大きな声を張り上げ、

ゼーバ「リサールドグラーを復活させてはならん。キロスを殺してでも、なんとしてでも防ぐのだーっ!」
番組始まって以来の激情を見せて、至上命令を下す。
その態度にイガムたちはもとより、

アナグマス(おかしい、あのゼーバ様の反応は異常だ。一体どうしたことなのであろうか?)
参謀格のアナグマスまでも、不審と疑惑の念を抱く。
どうやらゼーバには、腹心のアナグマスすら知らない秘密があるらしい。
それはさておき、マスクマンの5人、ついでイガムたち幹部が勢揃いしてキロスの前にあらわれ、リサールドグラー復活を阻止しようとするが、

時すでに遅し、キロスの仕掛けた時限爆弾が起爆し、あの崖が木っ端微塵に砕け飛ぶと、その下に隠されてい四角い穴がぽっかり口を開け、そこから太陽の光が差し込み、地底に作られた小さなピラミッドを照らし出す。
太陽の光を浴びたピラミッドは、黄金色の不思議な光を発すると同時に、ひとりでに崩れ落ちる。

その光はチューブの玉座まで届き、ゼーバはあろうことか、光から逃れるように垂直にポーンと飛び上がり、早退してしまう。
アナグマス「ゼーバ様! ゼーバ様はいずこに?」

ゼーバ「ううううう……」
自分の寝所に引き篭もり、スライムを顔にくっつけ、おこりにでも罹ったようにぶるぶると体を震わせて呻いているゼーバ。
その姿は、ほとんど怯えているようであった。
ほどなくアナグマスがやってきて、帳の外から声を掛ける。
アナグマス「ゼーバ様、いかがなされました?」
ゼーバ「どうもせん……」
アナグマス(確かにゼーバ様はおかしい)

気になったアナグマスは、秘密の図書館に行き、当時の記録を調べるが、なんと、リサールドグラーに関するページだけ、何者かに破り取られていた。
どうでもいいが、本を読むのにちゃんと眼鏡をかけるアナグマスがちょっと可愛い。
ちなみに、その様子をひそかにオヨブーが見ているのだが、オヨブーはずーっとバラバたちと一緒にキロスのところにいたのだから、少し変である。
そのキロス、地底ピラミッドの中から出現した地帝獣を見て、当然、それがリサールドグラーだと思い込む。

キロス「ゼーバ様に伝えろ。今日こそマスクマンを倒し、イアル姫を頂きに参るとな」
イガム「なにぃ?」
キロスの命令を受けた地帝獣が口から砂を吐き出すが、それを浴びた戦闘員は一瞬で砂の塊になってしまう。
キロス「万物は滅びて土に還る、まさに究極の地帝獣、リサールドグラーらしい技だ」
キロスと地帝獣の猛攻の前にマスクマンは防戦一方となり、川に飛び込んで逃げるのがやっとだった。
激流に流されたタケルたちは、川下の岸辺になんとか這い上がるが、体力を使い果たし、アキラ以外の4人はその場にへたりこんでしまう。

アキラ「タケル、しっかりしてくれよ……ごめん、俺が浅はかだった。あんなに浮かれてなければ……」
自分の迂闊さを激しく責めていたアキラは、自分たちを探しているキロスの姿を目にすると、4人を岩陰に隠し、わざと目立つようにキロスの前にあらわれ、囮となってその場から引き離す。

姿「アキラが危ない」
東「応答せよ、マスクマン! 応答せよ、マスクマン! 」
ここで、約一ヶ月ぶりに東ちゃんの画像を貼ることが出来て、大満足の管理人であった。
姿「タケル、聞こえるか」
タケル「長官」

姿「アキラはお前たちを助けるため、自ら囮になってしまったんだ」
タケル「なんだって?」
再び東ちゃんの画像を貼ることが出来て、大満足の管理人であったが、残念ながら、今回は東ちゃんのアップはなし。
4人は疲れた体に鞭打って、アキラのもとへ向かう。

オヨブー「ここは誰にも入れぬ禁断の場所、バラバ様、墓など暴いてよいのですか」
バラバ「おじけるな、リサールドグラーにはよほど重要な秘密があるらしい、なんとしても、我らで解くのだ」
同じ頃、バラバとオヨブーの主従は、騒ぎに紛れて地底ピラミッドのあった穴の中に降りていた。
野心家のバラバは、ゼーバの弱味であるらしいリサールドグラーの秘密を握ることで、チューブでの地位を高めようと考えていたのだろう。
一方、アキラはキロスと地帝獣を相手に苦戦していたが、ブルーマスクに変身すると、両手のトンファーを回転させて気流を起こし、地帝獣の砂を防ぐという新技を披露する。
ブルー「見たか、ブルースクリューだ。お前の必殺技を応用させてもらったぜ」
やがて他の4人も駆けつけ、地帝獣はたちまち劣勢に追い込まれる。

バラバたちは、崩れたピラミッドの石を取り除き、その下にあった石棺のようなものを発見する。
だが、その石棺にはしっかりと鎖が巻き付いており、蓋が開いた形跡はなかった。
オヨブー「どうやらリサールドグラーのもののようです」
バラバ「おかしいぞ、こいつがリサールドグラーの棺桶なら、何故縛っているのだ? 縛っていては出られぬ筈……」
バラバ、鎖を剣で切って中を覗くが、中は空っぽで、代わりに石棺の底に文字が刻まれていた。
バラバ「誰も我を閉じ込めることは出来ず、我が墓の秘密を知りたるものに呪いあれ。墓守ハニワドグラーの罰を受けよ……」
バラバが読み終わると、彼らの周囲に四つのハニワがあらわれ、二人に向けてビームを撃って来る。
それは先ほど地上でリサールドグラーと思われた地帝獣が使った技と同じであった。
そう、あの地帝獣はリサールドグラーではなく、ただの墓守に過ぎず、刻まれた文字は、盗掘者に対する警告だったのだ。

キロス「こんな筈ではない……奴はリサールドグラーではないっ」
同じ頃、キロスも、地帝獣の予想外の脆さに、漸く自分の勘違いに気付いていた。
この後、マスクマンがリサールドグラーならぬハニワドグラーを倒し、ひとまず事件は解決する。

タケル「どうやらあれはリサールドグラーではなかったらしいな」
アキラ「だろうね、俺でも渡り合えたんだから」
ハルカ「あら、随分謙虚ねえ」
失敗を乗り越え、またひとつ戦士として成長したアキラを、モモコたちが冷やかすように称える。
タケル、真面目な顔になると、

タケル「しかし、本当にリサールドグラーはいるんだろうか?」
アキラ「もしそいつがいたとなると、本当に恐ろしい敵だろうね」
ラスト、再び玉座に着いたゼーバを、疑惑の篭った目で見るイガムたち。
だが、ゼーバは何がおかしいのか、愉快そうな笑みを浮かべていた……
以上、まるで推理小説を読んでいるような気にさせられる、なかなか奥の深いシナリオであったが、再びこの話題が蒸し返され、真相が明らかになるのは、まだまだ先の話なのである。
ちなみにリサールドグラーのネーミングが、この年に公開されてヒットしたアクション映画「リーサル・ウェポン」から来ているのは言うまでもない。
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