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「男はつらいよ」レビュー 第11作「寅次郎忘れな草」(1973年)



●作品鑑賞

 記念すべきリリーこと浅丘ルリ子が初出演を飾った作品であり、シリーズのベストに推すファンも多い(たぶん)作品である。

 自分もリリーがシリーズを代表するマドンナであることは否定しないが、個人的には次の15作くらいでスパッと退場した方が良かったと思う。

 あるいは25作目にリリーが再登板するが、そこでシリーズそのものを終らせた方が良かったかもしれない。……まあ、26以降も優れた作品はいくつもあるので、極論なのだが。

 さて、冒頭、寅とさくらの父でおいちゃんの兄にあたる、えー、名前忘れたけど、その人の命日と言うことで法事をしているとらや。

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 さくらさんのパンツが見えそうでドキドキする管理人。とりあえず死んでろ。

 そこへ寅が帰ってきて例によって謹厳な場面でふざけて、御前様にぶっ飛ばされる。

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 その後、幼稚園から満男をつれての帰り、白いきつきつのハイソックスが眩しいさくらさんは、よその家から聞こえるピアノの音を聞き、満男の為にピアノを買ってやりたいと言う夢を博などに語る。

 寅はそれを小耳に挟み、いそいそと買い物に出かけ、意気揚々とさくらの前に持ってきたのは、おもちゃのピアノであった。さくらたちはさすがに本物のピアノが欲しかったなどとは言えず、気を使ってありがとうと言う。んが、途中でやってきたタコ社長の無神経な一言で、すべてがパアとなり、いつものように寅の出奔となる。

 いまさらだが、マンネリだ。

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 寅は北海道へ向かう夜汽車の中で、自分と似たような稼業に見える女性、つまりリリーだが、彼女がほろりと涙を落としているのを見かけるが、ここではただ見ているだけである。

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 二人が実際に口を利くのは、北海道で寅が露店でレコードを売っている時。
 どうでもいいが、炎天下でレコード売るなよ。

 リリー「さっぱり売れないじゃないか」
 寅「不景気だからな、お互い様じゃねえか……何の商売してんだい」
 リリー「あたし? 歌、うたってんの。あたしもレコード出したことがあんだけどね……ここにないかな、ある訳ないね」

 この何気ないやりとりが全ての始まりだったのだ。

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 この頃のルリ子さんはとても綺麗である。

 出航する漁船などを見ながら、しみじみと話すふたり。

 リリーは自分たちのような根無し草のことを「あぶくみたいなもんだね」と自嘲する。
 寅も同意して、「風呂の中でした屁みたいなあぶくだ」と言って笑わせる。

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 リリーと別れた後、例によってすぐ人の話に影響され、カタギの人間になろうと一念発起してとある牧場で雇ってくれと申し出る寅。そこのおやじさんを演じるのは織本順吉。

 ほんとなら寅みたいな得体の知れない人間を彼らが雇うなんてことはないのだが、まだこの頃の「男はつらいよ」、と言うか、日本の社会にはそう言う半端モノを受け入れてくれるようなファンタジックな展開に説得力があったと見え、寅の申し出を快諾してくれる。

 ただ、最初は「ロードーだ、ロードーだ」と張り切る寅だったが、元々そんなに勤勉な人間ではなく、酪農のような大変な仕事に耐えられる筈もなく、数日で寝込んでしまう。

 映画では、そこから織本順吉がさくらたち充てに出した手紙によって、寅の就職活動の様子が回想的に描写される。

 さくらは致し方なく、ひとりで寅を引き取りに行く。このパターンも、中盤までは良く見られる展開である。

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 北海道の情景は、それぞれが一幅の絵になる美しさを湛えている。

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 ついでにこの頃のさくらさんもまだまだ綺麗だ。

 さくらは寅を家に連れて帰るが、例によって感化された寅は、暢気な暮らしをしている(ように見える)おいちゃんたちを罵倒し、すぐまた北海道へ行こうとする。

 んが、これもよくあるパターンだが、寅が飛び出そうとしたとき、ちょうどリリーが現れる。思わぬ再会に有頂天の寅は、そんな話はけろりと忘れてしまう。

 おいちゃんおばちゃん、さくらたちとご飯を食べるリリー。

 タイトルにある「忘れな草」は、この時、とらやの縁側に忘れな草の鉢植が置いてあるところから来ている。

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 リリーは帰り際、満男にお金を渡し、おまけにぶちゅっとキスをする。

 べっとりと口紅を頬につけてちょっとはにかむ満男。



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 寅がいい加減に店番をしているとき、リリーがふらりとやってくる。

 寅「ラムネでも飲むか」
 ここで、リリーが少し体を反らすようにして寅を見るのだが、それだけで寅は「あ、リリーはビールだな、よし」と、ビールを取りに奥に引っ込む。この辺のさりげない仕草とか、やっぱり浅丘ルリ子はうまいなぁと感心してしまう。

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 ところで、とらやの近所で働く初々しい女の子は、タコ社長のところで働いている純朴な青年(江戸家小猫……今の猫八)と仲が良く、ちょくちょくとらやに来て、彼のことを呼び出してもらっていた。

 この時、寅が応対に出て「工場の水原君おるか? おっ、可愛い恋人が待ってるぞ」などと無神経なことを言ったため、女の子は恥ずかしさのあまり飛び出してしまう。

 今でも、と言うか、当時でも時代錯誤的に純情過ぎるシーンで、今の若い人が見たらなんで女の子が恥ずかしがるのか、理解できないのではないか? 寅の「恋人」と言う一言がまずかったのだ。

 あと、この時の寅の変な喋り方も笑える。

 飛び出した女の子の後を追う、水原君、博たち。

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 そして、何故かのっぱらで、座り込んで真面目な顔して恋愛、友情について討論したりするのである。

 ストライキの相談してんじゃねえぞ。

 さすがに1973年とは言え、この演出は気恥ずかしくて正視できない。

 ただ、結果的には水原君がみんなの前で「僕、めぐみちゃんが好きだ~ホーホケキョ」と宣言したので、二人の間はうまくいってしまい、寅は逆に博たちからあとで礼を言われる始末。

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 寅が、博(前田吟)の真似をして「もうちょっと気を遣ってください兄さん」と言うあたりも笑える。

 今回、寅はリリーに惚れているのだが、いつもの恋愛話のように特にそれを意識している様子は見えない。破局も、恋愛と言うよりは友情が壊れるような感じである。

 ある夜、ぐでんぐでんになってとらやにやってきたリリーを適当にあしらっていると、リリーが感情を高ぶらせて飛び出してしまう。

 その後、リリーはアパートを引き払い、寅たちの前から姿を消す。

 しかし、さくらのもとへ、リリーから歌手を辞めて寿司屋と結婚しましたと言うハガキが届く。寅はもう家にいなかったので、さくらひとりがリリーのところへ出掛ける。

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 寿司屋のオヤジは何故か毒蝮三太夫だった。

 当然、三太夫は入ってきたさくらに向かって、

 「なんだババア、ラッキョウみたいな面しやがって」と言うのだった(言うかっ)。

 リリーは、すっかり寿司屋の女将さんに納まって忙しいながらも幸せそうな様子。それを見てさくらも安心する。

 ……ま、もっとも、15作で再登場したときには別れたと言うことになってるんだけどね。

 吉永小百合しかり、複数回登場するマドンナの亭主はだいたい報われない。

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 そして物語は、再び例の牧場へやってきた寅と、再会を喜ぶ牧場の人たち、と言う微笑ましい映像で終幕。

●評価

 マドンナと言い、シナリオと言い、映像と言い、どこと言って欠点のない秀作。個人的にはリリーが再登場する15作の方が好きだけど。

 ★★★★☆(4点/5点中)


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コメント

寅さんは父親と喧嘩して家出した点は「ドラゴンクエスト11」の仲間「シルビア」こと本名「ゴリアテ」と同じなので意外と馬が合いますね。

家出した「ドラゴンクエスト11」の仲間「シルビア」こと本名「ゴリアテ」
https://www.youtube.com/watch?v=5UNI54EJyPM" target="_blank">https://www.youtube.com/watch?v=5UNI54EJyPM

ゴリアテは騎士の家系で金持ちの御曹司ですが、進路で旅芸人になりたがっていたのを父親に猛反対されて口論となって家出しましたからね。

装備品としては剣と鞭ですが、鞭はキモい以上に盾が装備出来なくなるのが嫌なので剣を装備させた方が賢明です。

金持ち騎士の息子でありながら本人はやたらと威張り腐ったりせず裏表も無いお気楽な性格が寅さんとも仲良くなれますし、寅さんもゴリアテの様なタイプなら心を許して商売もしたり、父親の元に一緒について話し合いならぬ殴り合いしますね。

Re[1]:「男はつらいよ」レビュー 第11作「寅次郎忘れな草」(1973年)(08/03)  

クッカリス様
コメントありがとうございます。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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