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「新ハングマン」 第24話「婚約娘を襲う誘拐株式会社」

 

 第24話「婚約娘を襲う誘拐株式会社」(1984年1月27日)

 最初にお断りしておきますと、「新ハングマン」のレビューは、今回を以て終わりとさせていただきます。

 実際は26話まであるのですが、25話は面白くないのでスルー、また、26話は遺憾ながら現状では素材が使えないので、とりあえず24話で打ち切りにせざるを得ないのです。

 ま、いつかは26話、そして「ハングマン4」の厳選レビューをしたいとは思っているのですが……

 冒頭、夜景の見えるレストランで仲良く食事をしている、身なりの良い、いかにもお嬢様と言った感じの三人の女性。

 それは、その中の横川静江と言う女性の婚約を祝う席らしい。

 静江が他の二人の分までカードで払ったので二人は恐縮して、

 
 友人「じゃあさ、飲みに行こうよ、今度は私たちが奢るからさ」
 静江「ごめん、パパと約束があるの」
 友人「二言目にはパパ、パパ、だもんね」
 静江「だってパパ素敵なんだもん」
 友人「まぁ」
 静江「あはは……」

 ファザコンであることを隠そうともしない静江、幸せそうに笑っていたが、友人たちと別れた直後、何者かに眠らされ、拉致されてしまう。

 静江の父親で、建設会社の社長である横川は、小粋なバーで娘と待ち合わせをしていたが、

 
 藤岡「横川建設社長の横川さんですね」
 横川「ああ」
 藤岡「お話がございます。お嬢様のことで……」

 そこへ突然見知らぬ男が話しかけてくる。

 今回の事件の主犯格で、藤岡と言う男だが、演じるのは長塚京三さん。

 すっかり理想の上司と言うイメージが定着した長塚さんだが、昔は悪役も演じてたのね。

 横川「娘のことと仰ると?」
 藤岡「ええ、ここじゃなんですから、あちらのボックスで」

 場所を変えると、藤岡は「キッドナッピングカンパニー・営業部長」と言う、ふざけた肩書きの名刺を見せる。

 横川「キッドナッピングカンパニー?」
 藤岡「つまり誘拐株式会社とでも申しましょうか。これをご覧ください」

 
 そう言うと、藤岡は、静江の持っていたカードや、縛られて椅子に座らされている静江本人の写真をテーブルの上に並べる。

 
 横川「……」
 藤岡「大きな声をお出しにならないように……わが社の業務内容は、婚約中のお嬢様を一時お預かりして、しかるべき金額を頂きました後、お返しすると、こういうことになっております」
 横川「貴様ぁっ」

 丁寧な言葉遣いでいけしゃあしゃあととんでもないことを言ってのける藤岡の襟首を横川が思わず掴むが、藤岡はそれを落ち着いて払うと、

 藤岡「ご心配なく、我々は商品に手をつけたりするような真似はしません。ただし、商談がまとまればの話ですが……」

 それを踏まえた上で、日比谷公園の噴水の前に腰掛けて、こちらも商談をしているチャンプと園山の姿に切り替わる。

 
 園山「500万で良いな?」
 チャンプ「野暮な話はやめなさいよ、いま、しずかーな、清らかな気持ちでね、水の音を聞いてるんですから」
 園山「へぇー、君がそんなにロマンチックだとは思わなかったねえ」

 餌を持っている園山の、腕と言わず胸と言わず、人に慣れ切った鳩が群がっているのが微笑ましい。

 チャンプ「何を仰るうざきさん、私は昔からロマンチストですよ」

 臆面もなくそんなことを言うチャンプの横顔をニヤニヤしながら見ていた園山だったが、その左手が、横に座っている若い女性の手を「お触り」しているのに気付き、呆れる。

 
 園山「なんです、その手は? 来なさい、こっちへ」
 チャンプ「せっかく女子大生と清らかに接してんのに……」

 園山、チャンプの手を引いて人気のない東屋へ連れて行く。

 それにしても、見ず知らずの女子大生の手を堂々と触っても騒がれないのだから、チャンプのセクハラテクニックも、ほとんど神の領域に近付いたと言えるのではないだろうか。

 チャンプ、しつこく報酬に色を付けてくれとねだるが、園山、いつになく真剣な表情で、

 
 園山「今回は少し状況が違う、私のほうからGODにお願いしたんだ」
 チャンプ「どういうこっちゃ?」
 園山「被害者は私の友人なんだよ」
 チャンプ「はぁ」
 園山「横川建設という会社を経営している横川って男で、その一人娘が誘拐されたんだ」
 チャンプ「警察に知らさんのかい?」
 園山「半年後に結婚を控えてる。犯人はそこを巧みに突いて来てるんだよ」

 園山の調べでは、横川のほかにも同様の手口で金を取られたケースがあるらしい。

 園山「結婚前の娘を持つ親として、私も犯人たちを許せない」
 チャンプ「なるほど、そういうことやったんか」

 その何気ない一言で、園山にも年頃の娘がいることが判明する。

 
 チャンプ「長い付き合いや、、園やんの友情の為にも、今回はより以上にきちっとハンギングしたる」
 園山「いやぁ、ありがとう、さすがチャンプだよ。恩に着る」

 チャンプの友情溢れる言葉に思わず帽子を脱いで頭を下げる園山だったが、

 チャンプ「なぁ、園やん、きちっとハンギングするためにももうちょっと色つけたってぇな」
 園山「えっ?」
 チャンプ「ちょっとぐらいの銭出し惜しんで、ハンギングできんかったら、あんた、友情が泣きまっせ」
 園山「僕ねえ、友情って言葉に弱いのよねえ」

 人の足元を露骨に見てねだるチャンプに、園山もやむなくポケットマネーから50万円を出して上乗せするのだった。

 アロハツーリストに戻ったチャンプは、早速仲間たちに事件の概略を説明する。

 
 チャンプ「犯人の手口はこうだ、まず、婚約中の女性を誘拐し、全裸、もしくはそれに近い写真を撮る。そして親とコンタクトを取って、銭を要求する。支払いを拒否すればその写真を結婚相手に送ると脅迫する」
 ヌンチャク「きったねえ手使いやがるな」
 チャンプ「身代金の金額は一千万以下、支払っても泣き寝入りできる範囲内にとどめる」
 マリア「それじゃお金を払うしかないわね」
 ET「その上、表沙汰になることを恐れ、警察にも通報しない」
 チャンプ「園やんが調べただけでも三件ある、ほんとはもっとあるだろう」
 ヌンチャク「で、誘拐された娘さんたちは?」
 チャンプ「そこは奴らも心得とってな、金を受け取った後はちゃんと返してくる。それも無傷のまんまでな」
 マリア「女の敵だわ」
 ヌンチャク「男にだって敵ですよ」

 チャンプの説明を聞いて、今回の横川事件の場合にも、是非、「全裸、もしくはそれに近い写真」を撮って欲しかったと思う、我ながら最低の管理人であった。

 それはさておき、ハングマンは、いつもと違って現在進行中の横川の事件を手掛かりにして、犯人たちの素性を探り出そうとする。

 マリアとヌンチャクは、横川の自宅に盗聴器を仕掛けてその前で張り込み、ETは横川の会社のほうをマークする。

 一方、チャンプは、過去に被害に遭った会社社長に会って事情を聞こうとするが、既に娘を取り戻して無事嫁がせている被害者は、後難を恐れて何も話してくれない。

 
 やがて、横川の会社に、いかにもスジものと言った感じの二人の男が訪ねてくる。

 中尾「初めてお目にかかります、キッドナッピングカンパニーから参りました。営業部長のほうからお話は通ってると思いますが……」

 藤岡の部下の中尾を演じるのは、「あぶない刑事」ではパパと呼ばれていた道弘お兄さんである。

 横川は忌々しさを押し殺して、約束の金を耳を揃えて渡す。

 横川「娘を返してくれ」
 中尾「焦らずに! 新宿の国立病院の裏に取り壊し寸前の廃ビルがあります。その4階にお嬢さんはいらっしゃいます。その部屋の鍵です」

 二人が帰った後、横川は急いで車に乗って娘の監禁されている場所へ向かう。一部始終を見ていたETは、少し迷った末、犯人たちではなく横川の後を追う。

 このまま何事もなければ、横川家も悲劇に見舞われることはなかったのだが……

 
 その廃ビルの4階に縛られて放置されていた静江が、縛り方が甘かったのか、自力で縄を解いてしまったのである。

 父親が今自分のところに向かっているとは夢にも知らない静江は、なんとか部屋から逃げ出そうとするが、窓にもドアにも厳重に板が打ち付けられており、とても破れそうにない。

 
 静江「助けてーっ、誰か助けてーっ!」

 そこで、ベランダに出て大声で助けを求めるが、あいにく周囲に人家はなく、誰にも届かない。

 
 思い余った静江、ハイヒールを脱いで、そこから地面まで伸びている梯子を伝って降り始める。

 その際、スカートがお尻に張り付くようになって、お尻の形がはっきり見えるようになったのがちょっと嬉しい管理人であった。

 ええ、我ながら最低だと思います。

 だが、その梯子は途中から横棒がなくなっていて、それ以上降りられなくなる。

 
 静江「助けてーっ! 誰か助けてーっ!」

 両手だけで梯子にぶら下がった状態になる静江。

 ちょうどそこへ横川の車、少し遅れてETの車が敷地内に入ってくるが、

 
 静江「キャッ!」

 次の瞬間、静江の手が梯子から離れ、その体が宙に舞う。

 むごいことに、横川は、娘が転落死する瞬間を自分の目で目撃する羽目になる。

 
 横川「静江っ!」

 静江は頭を強く打ち、ほぼ即死状態であった。

 
 横川「かぁああ……くく……」

 血まみれの娘の頭をいとおしそうに抱き締めて、すすり泣く横川。

 予想だにしなかった最悪の結末に、遠くから見ていたETも暗然とした面持ちになる。

 ある意味、静江が自ら招いた結果でもあるのだが、無論、悪いのは120パーセント誘拐犯たちである。

 その藤岡から横川に電話が掛かって来る。

 
 藤岡「不慮の事故ですよ、横川さん。お嬢さんはあの部屋から逃げ出そうとして転落した。あと少し待てばあなたが現れた筈なのにね」
 横川「……」
 藤岡「心からお悔やみを申し上げます。それからこれだけは申し上げておきますが、誘拐の一件は警察などにお話にならないように……我々に人殺しをさせないようにお願いしますよ。お嬢さんに続いて奥様までも失いたくないでしょう? あなたさえ間違いを犯さなければ我々の電話はこれが最後です。あなたの変わらぬご活躍をお祈りします。ごきげんよう」
 横川「……」

 藤岡の、罪悪感のカケラも感じられない、落ち着き払った、まるで正当なビジネス上の挨拶のような言い草に、横川がますます憤激したことは言うことまでもない。

 ほんと、視聴者の立場から見ても、これだけムカムカする犯人も珍しいよね。

 ただ、今回、娘の死を悼む父親の姿だけで、静江と結婚する筈だった男性が一切出て来ないのは、片手落ちの感が拭えない。

 別に横川と一緒に復讐までしなくてもいいから、婚約者が静江の死を悲しむシーンが欲しかったところだ。人として。

 一方、ハングマンのアジトでは、チャンプたちも被害者に死なれてすっかり凹んでいたが、そこへ、珍しく園山が厳しい顔つきで訪ねて来る。

 チャンプは卑怯にも机の下に隠れてやり過ごすそうとするが、すぐ見付かる。

 
 園山「小出君!」
 チャンプ「園やん、ごめん」
 園山「ごめんで済むと思うか? 君たちは仕事をミスったんだ」
 チャンプ「すんまへん」
 園山「事故とはいえ、私の友人の一人娘が死んだんだ」
 チャンプ「まぁまぁそないに言わんと、今度はきっちりハンギングしますよって」

 チャンプは気軽に言うが、

 園山「出来るわけないだろう、横川は誘拐の件を警察に知らせるはずだ。そうなれば君たちの出番はないよ」
 チャンプ「もうなんとお詫びをしていいか……」

 園山は、チャンプの予想を超えて強硬な態度を示し、一気にハングマン解散にまで話が及びそうな勢いであった。

 でも、静江の死は、ある意味、不可抗力の出来事で、ハングマンが最善を尽くしたところでそれを阻止することは出来なかったと思われるのに、そこまでチャンプたちを責めるのは筋違いと言う気もするが、園山も友人のことなので、頭に血が昇っていたのだろう。

 もっとも、肝心の、横川と園山の関係が具体的にどういうものなのか一切説明がないので、園山の怒りに視聴者が感情移入しにくいのも事実である。

 だが、そこへETから連絡が入り、横川が誘拐事件のことを警察に話さず、静江の死は単なる事故として片付けられたと告げる。

 結局、園山はそれ以上チャンプたちの責任を追及せず、引き続きハングマンとしての仕事をさせるのだった。

 しかし、横川がどんな説明をしたのか不明だが、警察が、静江のどう考えても不自然な死に方に、疑問を持たずに事故として処理してしまったと言うのはいささか解せない。

 横川が娘を殺す動機はないから横川のことを疑うことはないだろうが、何か事件に巻き込まれたのではないかと考えるのが普通ではないだろうか。

 さて、静江の死から数日経ったと思われる頃、射撃練習場でクレー射撃に没頭していた横川に、ETが気さくに声を掛ける。

 
 ET「お上手ですね……だが、危険だ」
 横川「なにぃ?」
 ET「一人娘を亡くした父親の射撃練習はね。違いますか?」
 横川「誰だ、君は」

 ET、無言で「結城二郎」と書かれた名刺を渡す。

 ただし、今回は、いつもと違って私立探偵と言う触れ込みである。

 横川「探偵が何の用だ」
 ET「最近不況でしてね、営業に来たんですよ」
 横川「探偵などに頼む仕事はない」
 ET「探してるんでしょう、お嬢さんを誘拐した男たちを」
 横川「……」
 ET「誘拐の事実をあなたは警察に話さなかった。となれば、あなたが考えてることはただ一つ……自分で奴らを探そうとしている。だがそのことに関してはあなたは素人だ。私を雇ったほうが上手くいくと思いませんか?」
 横川「分かった。向こうで話そう」

 ETに自分の胸のうちを読まれた横川は、割とあっさりETに何もかも打ち明けてくれる。

 
 ET「なるほど、大胆な奴らですね」
 横川「誘拐犯の正体を掴んでくれるな?」
 ET「それでどうします?」

 とても堅気の人間とは思えないほど眼光鋭い横川パパ。

 ちなみに管理人、恥ずかしながらクレジットを見るまで、演じているのが竜崎勝さん、すなわち、「ウルトラマンタロウ」33話・34話に出ていた大谷博士にして、高島彩アナウンサーのお父さんであることに気付かなかった次第である。

 
 横川「君は男たちを探せばいいんだ。後のことは私が考える」
 ET「そうですね、それはあなたの問題だ」

 ET、松崎しげるにも引けを取らない黒い顔をほころぱせると、「警察に行ってくれ」と、意外な指示を出す。

 横川「警察に知らせたくないから君を雇ったんだ」
 ET「別に理由はいりません。ただ警察署に行き、出て来て貰えばそれでいいんです」
 横川「……?」

 ETの目的は、所轄の城西署に横川を行かせることで、彼をマークしているであろう誘拐組織が、横川が警察に事件のことを知らせたのだと考え、横川の命を狙うよう仕向けることにあった。

 ETはそのことを電話でヌンチャクに話し、自分たちをマークしている連中を、逆に尾行するよう命じる。

 ETの睨んだとおり、その射撃場の近くには既に中尾たちの車が潜んでおり、ETの車で出発した横川の後をつけてくる。

 横川がETの指示通り警察署に入ってまた出てくるのを、中尾たちがじっと見詰めていた。

 警察前のビルの上から監視していたヌンチャクは、すぐ中尾たちに気付き、その行き先を突き止める。

 中尾が向かったのは、とある雑居ビルにあるオフィスであった。

 一応、プライベートリサーチと言う看板が出ているが、出入りしているのはいかにも柄の悪い連中ばかりで、とんと組事務所のような雰囲気である。

 で、そこのボスが、あの藤岡と言う男だった。

 
 藤岡「横川は何故サツに行ったんだ?」
 中尾「さぁ、そこまでは……しかし、一人妙な男が横川にくっついてますよ」
 藤岡「妙な男?」
 中尾「まぁ、なんか企んでる。そう考えたほうがいいでしょうね。面倒なことにならないうちに早く始末したほうが良いんじゃないすか」
 藤岡「そうするしかないな。お前と高橋で、今夜やれ」

 彼らの会話は、部屋の外にいるヌンチャクによってすべて盗聴されていた。

 
 その夜、横川は一通の書類を妻に見せる。

 離婚届であった。

 長年連れ添ってきた妻・道子は、それを見ても驚いた風はなく、

 道子「こうなると思ってたわ。誘拐のこと、あなたが警察に話さなかったから……」
 横川「広兼のマンションをお前の名義に書き換えといた。処分すれば生活には困らんだろう。若い頃からお前には苦労のかけどおしだった、この年になってまで苦労かけるとは思わなかったよ」
 道子「ふっ、あなたらしくないですよ、そんなこと言うなんて!」

 道子はわざと明るい声を出して夫を叱るように励ますが、

 
 道子「……」

 笑おうとしても、その瞳から、涙が溢れてくるのを止められないでいた。

 横川が妻と離婚するのは、自分が犯人たちを殺した後、妻に累が及ぶのを避けるためであろう。

 屋敷にはETもいて、離婚届に判を押させた横川は、妻を大森の実家まで送ってくれと頼む。

 ETは、道子を乗せて車で出発するが、途中まで来たところで車を停め、彼女に催眠スプレーをかけて眠らせ、待機していたヌンチャクにホテルに連れて行くよう命じる。

 ETがわざと横川のそばを離れたのは、横川の命を狙うであろう犯人たちをおびき出す為であった。

 ほどなく、藤岡の命令を受けた中尾たちがやってきて、横川家に侵入する。

 だが、横川もそのことは予想していたと見え、逆に、銃を手に忍び込んできた中尾の顔に、用意していたライフル銃を突き付ける。

 
 横川「拳銃を捨てろ」
 中尾「人殺しになる勇気はあるのか」
 横川「動いてみるんだな、その答えが出る」
 中尾「……」

 相手が本気と見て、中尾は大人しく銃を捨てる。

 横川「質問に答えてもらおう、まず、君の名前だ」
 中尾「中尾」
 横川「他の二人の名前と居所を言ってもらおう」

 ……って、あれ、横川パパ、まだ犯人の名前を知らなかったの?

 てっきり、ETから聞かされて、それで覚悟を決めたのかと思っていたのに。

 犯人の名前も住所も分かってないのに、妻と離婚すると言うのは、ちょっと気が早いような気もするが、まぁ、迷惑がかかることを恐れたというより、妻の安全を考慮しての離婚だったのだろうか。

 
 中尾「あんたと交渉した男だが、我々のリーダーで藤岡だ。麹町のマンションにいる。そしてもう一人の男、高橋だ。高橋は……あんたの後ろにいるよ!」

 中尾の言葉にギョッとして振り向くと、そこにもう一人の男、高橋が立って拳銃を向けていた。

 たちまち形勢逆転、中尾は横川のライフルを奪うと、それで殴り倒す。

 
 中尾「あんた、銃口を(クレー射撃の)皿にしか向けてない、我々は人に向けてるんだ、その違いがこういう結果になるわけだ」

 横川に銃を突き付けながら、教え諭すような口調でうそぶく中尾。

 高橋「ここでやるんですか」
 中尾「いや、綺麗な部屋を血で汚したくない。さ、深夜のドライブとしゃれ込みますか?」

 このまま自分も中尾たちに殺されては、死んでも死に切れない横川パパであったが、ここでETが窓を突き破って飛び込んできて、目にも留まらぬ速さで銃を撃ち、二人の銃を弾き飛ばす。

 
 ET「貴様らは銃口を人に向けているだけだが、俺はその上に引き金を引いている。その違いがそう言う結果になるんだ」

 悪党のしたり顔の台詞を、ETがそっくりお返しするのが実に気持ちの良い逆転劇。

 ETは二人を銃で殴り、気絶させる。

 そこへヌンチャクが顔を出し、

 
 ヌンチャク「ET、奥さんをホテルに……」
 ET「ああ」
 ヌンチャク「どうしたんすか」
 ET「お前の仕事を少なくしておいたんだ」
 ヌンチャク「そいつはどうも」
 ET「横川氏をホテルへ連れてってくれ」
 ヌンチャク「ちっとも少なくってないじゃないすか、仕事が……」

 ぶつくさ言いながら、ぐったりしている横川の体を抱き起こすヌンチャクであった。

 でも、このシーン、考えたら危ないよね。

 運良く中尾たちがこの場で殺そうとしなかったからいいものを、何かの弾みで即座に殺していた可能性だってあったのだから。もしそうなれば、ハングマンの大失態となり、今度こそ解散は免れなかっただろう。

 その意味では、ETはもっと早く屋敷に戻って、中尾たちが侵入するのを待ち伏せするべきであった。

 もっとも、ドラマ的にはこっちのほうが面白いけどね。

 さて、一旦アジトに集まったETたちは、報酬を分配した上でハンギングを開始する。

 
 チャンプ「こんばんは」
 藤岡「何だ、君たちは?」

 今回珍しいのは、4人が堂々と敵のアジトに乗り込むことである。

 ET「あなたをご招待しようと思いましてねえ」
 マリア「結婚披露宴ですよ」
 チャンプ「中尾、高橋ご両人は、既に会場のほうにお越しになっておられます」
 藤岡「……」

 藤岡が、チャンプたちの不可解な言動に、素でポカンとした顔になるのが、ちょっと笑える。

 チャンプ「アキラくん、招待状を差し上げなさい」
 ヌンチャク「はい」

 
 珍しく下の名前で呼ばれたヌンチャク、前に出て手を合わせてお辞儀すると、

 
 あっという間にその場にいたチンピラたちと藤岡をぶちのめすのだった。

 チャンプ「うんうん、乱暴だね、アキラくん」

 一方、ハングマンに眠り薬を飲まされたのだろう、翌日、横川がホテルのベッドで目を覚ますと、隣のベッドには実家に行ったはずの妻が寝ており、サイドテーブルにはくしゃくしゃに引き裂かれた離婚届が置いてあった。

 
 横川「道子、道子、だいじょうぶか」
 道子「あなた……」

 テーブルには、もう一枚、ハングマンからの招待状が添えてあった。

 ETの声「お嬢さんを死に追いやり、あなたの命をも狙おうとした誘拐犯たちに天罰が下ります。本日午後1時、新宿中央通へおいでください」

 さて、ここからハンギングタイムとなるが、

 
 チャンプ「ほなハンギングパーティーを始めようか」
 藤岡「なんのことだ、そりゃ?」
 ET「貴様らがやった誘拐、それに、横川氏の命を狙ったことを自白してもらうのさ」

 三人にタキシードを着せて、新郎のように衝立の前に座らせ、ダイナマイトで爆発させると脅して罪を告白させると言う、芸のないものだった。

 ET「蝋燭の火が、マイトの導火線に移る前に吐けばパーティーは中止だ。だが、吐かなければ派手なクライマックスを迎えることになるな」

 4人は、ウェディングケーキの支柱に使われているダイナマイトの導火線とつながった蝋燭に火をつけると、さっさと部屋から出て行ってしまう。

 
 藤岡「吹けっ!」

 ここで藤岡たちが、何とか助かろうと、必死の形相で息を吹いて蝋燭の火を吹き消そうとするのが滑稽である。

 だが、火は消えず、炎はどんどん導火線のところまで下がってくる。

 所詮、小悪党に過ぎない彼ら、とうとう耐えられなくなって自分たちの悪事を大声で喋り出す。

 
 それを踏まえて、新宿中央通を、藤岡たちとウェディングケーキを乗せた、ハネムーンにでも行くような派手に飾り立てられた車が、厳かなウェディングマーチを鳴らしながら走ってくる。

 
 手錠を掛けられ、座席に縛られた藤岡が、うつろな目でハンドルを握っている。

 ET「そのままゆっくり走り、突き当りでとまれ。逆らえば、リモコンでケーキのマイトを爆発させる」

 ETの指示通り運転していると、車に付けられたスピーカーから、さっきの藤岡たちの告白が大音量で流れ出し、どんどん人が集まってきて、やがてパトカーのサイレンが近付いてくる。

 
 犯人が断罪されるさまをその目で見た横川であったが、その顔は厳しいままであった。

 以上、現在進行中の犯罪をハングマンが調べると言う導入部は面白いが、それ以降の盛り上がりに欠ける惜しい作品であった。

 思うに、復讐を誓った横川が、具体的に何かする訳でもないまま話が終わってしまった点が、その最大の原因なのだろう。

 横川が自力で犯人たちを探し出し、実際に彼らを殺そうとするが、ハングマンあるいは妻に説得されて思い止まる……と言う風にしたほうが面白くなっていたと思う。

 それでも、娘のショッキングな死に方や、ETが中尾たちに言うカッコイイ台詞、4人が敵のアジトに乗り込むところなど、随所に工夫の跡が見られ、シリーズ後期ではかなり出来の良いエピソードであった。

 ……と言う訳で、長きに渡ってお送りしてきた「ハングマン」のレビュー、これにてひとまず終了です。

 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
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コメント

暫定的な終了

管理人様にとっても残念な結末でしたね。先ずはお疲れ様でした😅確かに静江の最期は不可抗力だと思うので、チャンプが責められるのは酷だと思うのですがね。長塚京三さんが悪役なのも新鮮ではありますが、最後のバンキングシーン以外はどうも盛り上がりに欠けるようですね

キャスティングが◎

>すっかり理想の上司と言うイメージが定着した長塚さんだが、昔は悪役も演じてたのね。
僕にとっては「愛の嵐」「華の嵐」の「憎まれ役」が印象深いですね。
田口計さんなどの「いかにも」な方々ではなく、インテリな長塚さんが悪玉なのが◎

今回の事件の主犯格の藤岡を演じるのは長塚京三さんだが、すっかり理想の上司と言うイメージが定着した長塚さんだが、昔は悪役も演じてたのね。

まずは新ハングマンレビューの終了お疲れさまでした。

>≧今回の事件の主犯格の藤岡を演じるのは長塚京三さんだが、すっかり理想の上司と言うイメージが定着した長塚さんだが、昔は悪役も演じてたのね。

>新ハングマンと同時期にテレ朝で放映された西部警察PART-IIIの「マシンZ・白昼の対決」では偽スーパーZを作り上げて大門圭介に復讐しようとする元レーサーを長塚さんが演じてましたが、こちらも長塚さんの悪役ぶりがうかがえる1本です。

長塚さんといえば、後にハングマンⅣとハングマンⅤに出演される佐藤浩市さんとともに高倉健さんの遺作となった「あなたへ」という東宝映画で共演されていますが、こちらでは主人公の同僚の刑務所職員を長塚さんが演じていました。

Re: 暫定的な終了

ありがとうございます。

ほんとに暫定的な終了になるといいんですが……何もかもビンボーが悪いんです。

Re: キャスティングが◎

柄の悪いヤクザみたいなのより、こういう取り澄ました悪役の方がよっぽどムカつきますよね。

Re: 今回の事件の主犯格の藤岡を演じるのは長塚京三さんだが、すっかり理想の上司と言うイメージが定着した長塚さんだが、昔は悪役も演じてたのね。

> まずは新ハングマンレビューの終了お疲れさまでした。

ありがとうございます。中途半端な形での終了、申し訳ありません。

> 新ハングマンと同時期にテレ朝で放映された西部警察PART-IIIの「マシンZ・白昼の対決」では偽スーパーZを作り上げて大門圭介に復讐しようとする元レーサーを長塚さんが演じてましたが、こちらも長塚さんの悪役ぶりがうかがえる1本です。

最近DVDで見ました。

> 長塚さんといえば、後にハングマンⅣとハングマンⅤに出演される佐藤浩市さんとともに高倉健さんの遺作となった「あなたへ」という東宝映画で共演されていますが、こちらでは主人公の同僚の刑務所職員を長塚さんが演じていました。

そうなんですか。恥ずかしながら未見ですが、そういうつながりは探せばたくさんあるでしょうね。

竜崎さん

 竜崎さんはくいしん坊万歳のリポーターをやっていたみたいですね。うちの世代は宍戸錠・開親子、梅宮の親父、そして辰巳琢朗のイメージが強いですが。
 物語を切っていくと、静江ちゃんがね。パパの事が大好きなのはわかるけど、これが仇になった感じですな。できることなら拉致されて拷問を受けて裸にされるところも描いてほしかったですな。そのショックで静江ちゃんは命を絶ってしまったんだよね。
 パパを演じる竜崎さん。高島彩の父ちゃん。放送当時は娘の彩は物心ついてなかったんやない?この放送から数か月後に竜崎さんも亡くなってるから、竜崎さんは実生活でも娘の嫁入りを見れなかったことになるんやね。彩は旦那の悠仁や娘二人をさぞかし、父ちゃんに見せたかったやろうな。
 物語の内容を現実に置き換えるなら、狙われるのは女子アナとしての彩やろうね。最近のテレビ局は悪を糾弾することはないやろうけど、女子アナたちは年月を重ねるごとにタレント化してる。そのタレント化のきっかけを作ったのが彩。変質者やストーカーなどに襲われるかもしれん。なので静江ちゃんのようなヌード写真を用意するとしたら、変質者やストーカーやね。
 

ありがとうございました。

ハングマンシリーズのレヴューありがとうございました。
おかげさまで第1作をレンタルで観て、おおいに楽しめました。
まぁ、第1作が一番じゃないか?と僕は思いますね。
やっぱ「影」「闇」の部分が必要でしょう。

>柄の悪いヤクザみたいなのより、こういう取り澄ました悪役の方がよっぽどムカつきますよね。
「詐欺師は紳士の姿で来る」とビジネス本にはありますね。

長塚京三さんといえば

Ⅱの17話「クイズ!? 電気ショックの恐怖」でも悪役で登場、ハンギングで珍回答?を披露されてましたねw
レビュー打ち切りは残念ですが、25・26話の粗筋を見てみたら…(以下自粛)

Re: 竜崎さん

>  パパを演じる竜崎さん。高島彩の父ちゃん。放送当時は娘の彩は物心ついてなかったんやない?この放送から数か月後に竜崎さんも亡くなってるから、竜崎さんは実生活でも娘の嫁入りを見れなかったことになるんやね。彩は旦那の悠仁や娘二人をさぞかし、父ちゃんに見せたかったやろうな。

そうなんですか。記事には書いてますけど、自分は高島彩アナウンサーのことは全然知らないんですよね。

Re: ありがとうございました。

> ハングマンシリーズのレヴューありがとうございました。
> おかげさまで第1作をレンタルで観て、おおいに楽しめました。

こちらこそ、長い間私の拙文にお付き合い下さり、感謝の念に堪えません。

同時に、中途半端な終わり方になってしまったことをお詫びします。

4の渡辺祐子さんがかなり可愛いのでその画像を貼りたかったのですが……

> まぁ、第1作が一番じゃないか?と僕は思いますね。
> やっぱ「影」「闇」の部分が必要でしょう。

そうですね。シリーズが進むうちに明るくなっちゃいましたからね。

Re: 長塚京三さんといえば

こんな形で終わりにして申し訳ありません。

いつか続きを書きたいと思っているのですが……

暫定終了の前にもう少し

2019年3月27日に「ザ・ハングマン2」セレクション第18話で、志麻いづみさんがゲスト出演した第17話のレビューがなかったため、再び出演する「ハングマン4」第17話を楽しみに待ちますとコメントさせてもらいました。その「ハングマン4」のレビューがいつか・・・ではとても残念です。「ハングマン4」第17話のみレビューして「ハングマン・シリーズ」を暫定終了とできませんか?

Re: 暫定終了の前にもう少し

リクエストありがとうございます。

本来ならなんとしてでもご要望にお応えしたいところなのですが、本文で書いているように現状では素材が使えないので、物理的に不可能なのです。

楽しみになさっていたのに、本当に申し訳ありません。

史上最大の誤植

1995年(だったかな?)6or7月号(あたり)「レコード芸術」の徳間音楽工業社の広告

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」※正しくは「トルコ風」

Re: 史上最大の誤植

恥ずかしい誤植ですね。

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