第39話「助けて!2人のライダー!! 母ちゃんが鬼になる」(1980年6月27日)
どーも、ついさっき、久しぶりの「美女シリーズ」を書き上げて、へろへろになってる管理人であります。
が、それとは全く関係なしに、管理人がブログでレビューを書き始めた頃に扱っていた「スカイライダー」の再レビューのお時間が、何の前触れもなくやって参りました。
ほんとは、第1話からみっちりやりたいのですが、一応最終話まで書いてるし、ほかにも書きたい作品がたくさんあるし、
面倒だし、とりあえずクールビューティーな松香ふたみさんがゲスト出演している、39話と40話の連続エピソードを取り上げてみました。
冒頭、喫茶店ブランカの表に「本日休業」の看板がぶら下がっている。
ブランカは、今日はお休みと言うことである(当たり前だ)

谷「どうだ、似合うだろ?」
ユミ「ちょっちょっとマスター、動かないでよー」
店の中では、マスターの谷が、愛しのユミたんにタキシードの蝶ネクタイを結んで貰うと言う、羨ましい目に遭っていた。
以前も書いたが、年頃の娘が父親の面倒を見ているようで、実に微笑ましい。

アキ、なんとなく納得の行かない顔で谷のタキシード姿を眺めていたが、
アキ「なんか変ね」
ユミ「そうね」

谷「え? いや、しかしなぁ、仮縫いまでこれはちゃんとやったんだぞ」
そのジャケット、明らかにサイズが合わず、ぶかぶかで、まるで兄のお下がりを着て七五三に向かおうとしている幼稚園児のようであった。
ちなみにアキの服装も相当変だが、アキの江口さん、翌年の「西部警察」75話にも、似たような格好でゲスト出演されており、峰竜太にナンパされてました。
それはさておき、

洋「先輩、やっぱり俺、普通の格好で行きますよ」
谷「馬鹿ゆんじゃないよ、いいか、洋、世界的な舞姫キレーダが招待してくれたディナーショーなんだぞ。全く、こんなみっともない格好で行ってハジかいたって、おらぁ知らんからな!」
洋の日和見的発言に、機嫌を悪くしたようにそのシャツをつまむ谷。
ユミ「アキぃ、これ、サイズ逆なんじゃなあい?」
と、谷の珍妙なスタイルをためつすがめつしていたユミが、漸く気付いて指摘する。
アキ「洋さんの着ちゃったんじゃないかしら?」
谷「そうかもしれないな、おい、そっちの取ってくれ」
いや、袖に腕を通した時点で気付けよ……

谷「いやぁ、道理ででかいと思ったよ」
アキ「これじゃない?」
ユミ「うん」
近くのテーブルに置いてあったもうひとつのジャケットを手に取る二人だが、タキシードは洋と谷の二着分しか作ってないのだから、「これじゃない?」は少し変だよね。

二人は何気なしに谷のほうを振り向くが、

アキ「はぁっ」
ユミ「きゃあ、いやらしい、マスター!」
アキ「きゃあ、やだぁーっ」
何かとんでもないものでも目にしたように、けたたましい悲鳴を上げる。
ちなみに、これも以前書いたが、ユミの口の動きと台詞が全く合ってません。

二人が悲鳴を上げたのも道理、ズボンを脱いだ谷の股間には、派手な赤フンが締めてあったのである。

谷「何がいやらしいんだ? いいか、このふんどしってのはなぁ、日本古来の伝統的な下着なんだぞ」
洋「はぁ」
谷「全く、ブリーフなんて履きやがってぇ、それでも日本男児か!」
ブリーフ愛好家(註・愛好家じゃないです)の洋、飛んだとばっちりを食う。
……
じゃあ、お前もタキシードなんか着ないで、紋付袴着ろよ。 そこへ、ナオコが元気に入ってくるが、

ナオコ「いやぁ、マスター、なにその格好?」
ナオコも、谷の赤フン姿を見て素っ頓狂な声を上げる。
それにしても、ナオコの鈴木美江さん、手足がすらっと長くて、当時としては驚異的なモデル体型だよね。

ナオコ「いやぁ……」
谷「お前までそんなこと言う」
アキ「舞姫キレーダとデート、ね、マスター?」
ナオコ「キレーダって、あの、世界的なダンサーの?」
ユミ「そっ、今ね、千葉県の行川アイランドに来てるのよ、ねっ」
アキ「うんっ」

洋「先輩の一文字さんがね、キレーダが持ってる世界に二つとない宝石のガードをして日本に来てるんだよ」
ナオコ「うわぁ、私も一緒に行くぅ」
谷「馬鹿言えー、こんなつなぎなんか着てる女の子はね、連れてけないんだよっ」
やたらドレスコードにうるさい谷、おねだりするナオコのオーバーオールの胸をつまみ、却下する。

沼「イエイ、イエイ、ハローエブリバディー! ふふふーん」
その時、扉が開いて、真打ち登場と言う感じで、時代錯誤のプレスリースタイルで決めた沼さんが入ってくる。

その強烈な衣装に一瞬唖然とする三人娘であったが、
三人「いやぁ~~~っ!」 次の瞬間、黄色い悲鳴とも歓声ともつかない子供のようなはしゃぎ声を上げると、わっと沼さんのところに駆け寄るのだった。
ああ、このユミちゃんの笑顔の可愛いこと……
まさに、箸が転げても可笑しい年頃の娘らしさが、存分に描かれている。
これで、ユミちゃんも行川アイランドに来て、ついでに水着姿を披露してくれていれば、言うことなかったのだが、七生まで祟ってやりたいことには、何故かユミちゃんだけロケに参加してくれず、今回の出番はこれで終わりなのである。
ちくしょう。呪ってやる~。

谷「……」
洋「……」
それはさておき、沼さんの奇抜な衣装を見た二人は、
「こりゃ、いよいよ施設に入れるしかないなぁ」「そうですねえ」とでも言いたげな、陰鬱な視線を交わすのだった。
サブタイトル表示後、ポリネシア風のいかにも能天気なBGMをバックに、早くも行川アイランドに来ている谷と沼さんだったが、その珍妙な格好に、擦れ違う従業員らしき女性たちや他の客たちが目引き袖引きして笑っている。

谷「おい、沼さん、さっきからみんながお前のこと見て笑ってるじゃないかよ」
沼「僕じゃないですよ、マスターの格好を見て笑ってるんですよ」
その責任を押し付けあう二人だったが、まぁ、谷のタキシードもちょっと場違いだが、笑うほどではないので、原因はやはり沼さんのプレスリーであろう。
谷「まったく、冷やしそうめんみたいなの着やがって……洋たちだってなあ、お前の格好がおかしいから、どっか行っちゃったじゃないか」

その洋たち、行川アイランド名物、フラミンゴショーを見ていた。

ナオコ「綺麗ねえ」
アキ「ユミにも見せてあげたいわぁ」
ナオコ「でも、試験じゃ仕方ないわよね」
洋「そうだな」
彼らの会話で、ユミだけがいない理由が説明される。
そもそもユミが大学生なのか女子高生なのか不明なのだが、女子高生にしては平日の昼間からバイトしているのは変なので、女子大生なのだろうか。
もっとも、試験と言っても学校のテストとは限らず、危険物取り扱いの試験なのかも知れないが。
と、谷たちが騒々しく三人のそばにやってくる。

谷「洋、何処行ってたんだよ?」
ナオコ「いやだぁ、沼さん、恥ずかしいから向こう行っててよ」
アキ「マスターも離れててよ」
谷「何言ってんだ、ったく、お前たちはセンスがないねえ。いいか、ここはこういう場所なんだぞ。ほら、見てみろ、あの方だってちゃあんと正式なタキシードを着てるじゃないか」
谷、フラミンゴたちと一緒にいる白いタキシードを着たおじさんを指差して勝ち誇った声を上げる。
ちなみにそのタキシードおじさんだが、近くの某施設から逃げ出して園内に入り込んだが、何故だか自分をフラミンゴだと思い込んで、そのまま行川アイランドに住み着いてしまった気の毒な人なのである(註・違いますっ)

谷「美しいねえ」
沼「本当に綺麗ですねえ」
葉巻を吹かしながらフラミンゴショーを見て、感に堪えたようにしみじみと嘆声を放つ二人だったが、
谷「鶴の舞いだよ」
沼「そうですねえ」

アキ「鶴だって!」
ナオコ「鶴だって……ふふふ」
洋「……」
おじさんたちの頓珍漢なやりとりに、思わず吹き出してしまうヤング三人であった。
ともあれ、つらく苦しいタイアップの時間をスタッフとキャスト一丸となって乗り切った後、

アキ「うふふ、うわーっ」
ナオコ「うふふ」
キャストも視聴者も楽しい、プールタイムとなる。
でも、あんまりじっくり水着姿を映してくれないので、いまひとつ盛り上がらない。
ビキニパンツが目の遣り場に困る洋に引っ張り上げられた二人は、プールサイドのテーブルから動こうとしないおじさんたちのところへ行き、

ナオコ「二人とも意地張っちゃって、いつまでそんな格好してるんですかー?」
アキ「冷たくて気持ちいいわよー」
ナオコ「入ったらいいのに」
一緒に泳ごうと誘うが、
谷「こういう低俗なパーティーはね、しょうにあわんよ、なあ、沼さん」
沼「え? え、ええ……遅いなぁ」
ナオコ「無理しちゃって、ねー」
沼「あっ、来た!」
キレーダのことで頭が一杯の沼さん、上の空で答えていたが、いち早くキレーダの姿を発見して叫ぶ。

隼人「やあ、洋」
洋「一文字さん」
やがて、踊り子のような衣装を来た美女を引き連れ、仮面ライダー2号こと一文字隼人があらわれる。
本物でっせぇ! いや、最近RXで、ニセ(ニセじゃないけど)の仮面ライダーたちをうんざりするほど見せられてきたので、普通に佐々木剛さんが出てくるのが、物凄いことのように思えるのだ。
隼人「どうしたんですか、谷さん、タキシードなんか着ちゃって」
谷「うん? い、いや、なにね、ジャパンホテルのパーティーがあってね、その帰りに回ってみたんだよ」
洋「よく言うよ」
ホストである隼人から自慢の服装を突っ込まれた谷、目を白黒させていたが、なんとか言い訳する。
隼人「お忙しいのに招待なんかしちゃってかえってすいませんでした」
隼人はそれを真に受けて謝ると、

隼人「あ、紹介しよう、こちら、僕の親友のミスター谷」
谷「ハウ・ドゥー・ユー・ドゥ?」
キレーダ「こんにちは」

隼人に紹介された谷、調子に乗ってキレーダの手に口付けをする。
沼「あっ」
隼人「そしてこっちが、ミスター筑波」
洋「よろしく」
隼人「彼女たちは……」
ナオコ「あ、ナオコですぅ」
アキ「アキです」

沼「あ、あの、僕……」
隼人「あ、ショーの方は出番です」
谷「そう、早く行って」
沼「ああ……」
最後に沼さんが緊張の面持ちでキレーダに挨拶しようとするが、本気なのか冗談なのか不明だが、隼人にショーダンサーの一人と間違えられてあえなく撃沈。

隼人「彼女はダンサーのミス・キレーダ」
キレーダ、人種も国籍も何処に住んでいるのかも不明なのだが、隼人は中南米や南洋でネオショッカーと戦っているという設定だから、その辺で隼人と知り合ったのだろう。
演じるのは、美人女優として名高い松香ふたみさん。
で、行川アイランドとダンサーと言う組み合わせに、ちょっと嫌な予感がしたのだが、
男「パーノパーノホネガー!」 そんなことだろうと思ったよ! 
キレーダ、行川アイランド専属の、南洋風の得体の知れないダンサーたちと一緒に踊ることになる。
ちなみに手前のプールが妙にすかすかしているが、これは、営業時間外に、手の空いたスタッフやエキストラを泳がせて撮影しているのだろう。

隼人「さあ、始まりだ」
ナオコ「うわー、素敵な宝石ねえ」
隼人、大事そうに抱えていた箱の蓋を開けると、大きな宝石を額の部分に埋め込んだ羽飾りのついたカベッサ(頭飾り)を取り出し、キレーダを促す。

ナオコ「頑張ってください」
キレーダ「ありがとう」

隼人「しっかりな、キレーダ」
キレーダ「じゃ、隼人」
それを頭に装着すると、隼人ににっこり微笑みかけてから、ダンサーたちのところへ移動するキレーダ。
それにしてもふるいつきたくなるほどの色っぽさである。
「スカイライダー」のゲストの中では、文句なしに最高の美女であろう。
ま、そもそも、「スカイライダー」って、レギュラー女性が多いせいか、ゲストヒロインはあまり出て来ないんだけどね。
隼人「俺が護衛しているあの宝石はポリネシアの伝説の中に出てくる不思議な宝石なんだ」
ナオコ「伝説って?」
隼人「平和と幸福をもたらすといわれるあの宝石は、逆に悪人が持てば悪魔の宝石ともなる恐ろしいものなんだ。ま、持つ人間の超能力を引き出すって訳だよ」
プールを隔てた反対側のスペースで、専属ダンサーたちと一緒にキレーダが踊っているのを見ながら、隼人がそんなことを話してくれる。
どうでもいいが、日本人なら誰でも知ってるような超有名なダンサーが、なんで観客もろくにいないこんなところ(註1)で営業みたいな仕事をせにゃならんのだろう?
註1……行川アイランドにぜんぜん客がいないということではなく、今このプール周辺に客があまりいないという意味である。誤解なきよう。
だが、隼人の危惧したような事態が、既に、行川アイランドの裏手(?)の勝浦の海岸で進行しつつあった。

突然、稲光が走り、その周辺だけ暗雲が立ち込めたかと思うと、トゲトゲの棍棒を持ち、虎皮のタイツを履いた、全身トゲだらけの鬼のような怪人が海中から現れ、
ウニデーモン「ウニニーッ!」
その足元の岩場に思いっきり棍棒を叩きつける。
そのあまりの凄まじさに爆発が起き、

戦闘員「キケキョッ!」
部下の戦闘員たちもが恐れおののく。

ウニデーモン「見たか、俺様の凄い力を……宝石は何処だ?」
戦闘員「は、この上のホテルです」
ウニデーモン「ウニニ」
これだけ鋭い突起物を生やした怪人も珍しいであろうウニデーモン、ネオショッカーの怪人の中でも屈指の強敵である。
戦闘員たちは、いきなりプールサイドに乱入して暴れまわり、キレーダを攫っていく。
その場は洋に任せ、隼人はキレーダを取り戻しに岩場に下りるが、そこでウニデーモンがあらわれる。

ウニデーモン「ウニニ、俺様はウニデーモンだ」
隼人「出たな、化け物」
キレーダ「隼人ぉーっ!」
ウニデーモン「宝石とキレーダは俺が貰った、連れて行け」
キレーダ「隼人ぉーっ!」
隼人、なんとかキレーダを助け出そうとするが、ウニデーモンの猛攻を凌ぐのが精一杯で、ライダーに変身する余裕もないまま、あえなくキレーダを連れ去られてしまう。
百錬練磨の隼人にしては、思わぬ不覚であった。時差ボケであろうか。
アジトに戻ったウニデーモンは、直ちに自らの額に宝石を埋め込ませる。

ウニデーモン「人間が鬼に変わって苦しむ姿を想像するだけで、俺の邪悪な心はこの宝石のエネルギーによって光に変えられるのですニ」
魔神提督「……」
「ちょっとなにいってるかわからない」魔神提督であったが、嘘である。
要するに、ウニデーモンが念じるだけで、宝石を通して特殊なビームを放つことができるようになったということなのだろう。
魔神提督「うう、早速実験して見せてくれい、へへへへっ」
いつになくテンションの高い魔神提督、薬が切れたシャブ中のように声を震わせて注文する。
キレーダは、他の二人の女性とともに、壁に鎖で繋がれていた。

これだけでも十分セクハラ臭いが、

ウニデーモン「ウニニ、女は綺麗だ。たぁまらないニィィ」
怯えるキレーダの頬に手を添え、キスせんばかりにおぞましい顔を近付ける、セクハラ怪人ウニデーモンであった。
ついでに、そのかなりボリュームのあるおっぱいをポロリしてくれると有り難かったのだが、
魔神提督「いい加減にせい」
ウニデーモン「はぁ」
無論、子供向け番組でそれ以上の「おいた」が許される筈もなく、上司である魔神提督がウニデーモンのお楽しみを邪魔する。
魔神提督「お前の女好きにも困ったものだ」 ウニデーモン「はぁ」
まるで、「男はつらいよ」の御前様が、寅の馬鹿さ加減を嘆くように、ウニデーモンの性癖に呆れてみせる魔神提督。
そう言えば、この少し前に書いた「変身忍者 嵐」第13話でも、同じく行川アイランドに乱入した怪人が踊り子の女性にセクハラしようとするのを骸骨丸がやめさせていたが、「悪の組織」の大幹部と言うものは、場合によっては、悪の世界のモラルを怪人に守らせる番人あるいは教育者のような役割を与えられているのかもしれない。

ともあれ、ウニデーモンが額の宝石からビームを放つと、三人の女性は喘ぐように息を弾ませていたが、みるみるその口から牙が生え、髪も真っ白になって、鬼(鬼婆?)のような姿に変わる。
だが、それも一瞬で、女性たちはあっという間に元の姿に戻ってしまう。

魔神提督「どうしたのだ、みんな元の姿に戻ったではないか」
ウニデーモン「いえいえ、姿は人間に戻っても心は鬼のままです、この光を浴びた女たちに刺激を与えれば、ほうれ、このとおり、やれいっ」
ウニデーモンの命を受けて、戦闘員が、残念ながらキレーダではない別の女性をムチでしばくと、再び鬼のような形相に変わる。

魔神提督「……」
その様子を、目玉が飛び出さんばかりに目を見開き、食い入るように見詰めている魔神提督。

魔神提督「うーん、これはすごい、早速日本中の女どもを鬼に変え、幸せな家庭をめちゃくちゃにしてくれようぞ! うぇっへっへっへっ」
いつまで経っても結婚できない自分自身の境遇への腹いせか、世界征服と言うより、ただのイヤガラセとしか思えない作戦を発動させようとする魔神提督。
しかし、簡単に日本中って言うけど、それがどんなに手間の掛かる仕事か、少しは考えてもらいたいものである。
ウニデーモン「しかし、仮面ライダーが邪魔をしてくるに違いありません、しかも、二人も」
魔神提督「心配ないぞ、そのために呼んでおいた頼もしい奴がおる」
風貌に似合わず心配性のウニデーモンがそんな懸念を口にするが、魔神提督はそう言って、すぐそばの井戸のような水溜りの中に潜んでいた、オカッパ法師なるもう一体の怪人を差し招く。

オカッパ法師「カーッパッパッ、カッパーッ!」
ウニデーモン「オカッパ法師?」
自分の部下に、巨大な梵天のようなもので頭の皿を湿らせて気持ち良さそうなオカッパ法師。
ウニデーモンと同じく、日本古来の妖怪をモチーフにした怪人だが、人をおちょくったようなキャラとは裏腹に、ウニデーモンに匹敵する実力の持ち主である。
魔神提督「オカッパ法師、ウニデーモンと協力して仮面ライダーを倒すのだ」
オカッパ法師「ははー、こんな変な奴の力を借りずとも、私ひとりで仮面ライダーを倒して見せましょう」
こんな変な奴に「こんな変な奴」って言われてもなぁ……
CM後、カッパ法師が近隣の家を片っ端から襲って拉致した若い女性たちが、ウニデーモンのいるアジトに連れて来られる。
なんだかんだ言いつつ、きっちりウニデーモンに協力してやるオカッパ法師、なかなかイイ奴であった。
一方、洋たちはホテルの一室に集まり、重苦しい表情でキレーダの無事を祈っていた。
でも、仮にもライダーが二人もいると言うのに、敵のアジトを探そうとするでもなく、部屋に篭りきりと言うのは、いささか情けない気もする。
そこへホテルの女性従業員がお茶を運んでくるが、その中には劇薬が混入されていた。
洋と隼人はその従業員を追ってホテルを出るが、それは二人をおびき出すためのネオショッカーの罠であった。

ウニデーモン「今日は、ネオショッカーの節分だ。俺が手本を見せるから、そのとおりやってみろ」
ウニデーモンは、既に鬼婆化光線を浴びせた女性たちと、節分ごっこをして遊んでいた。
……にしても、6月だってのに節分ネタはないだろう。
ウニデーモン「鬼はうちぃ~、人はそとぉっ! よーしやってみろ」
実際にネオショッカー版節分の掛け声で豆を投げて見せてから、女性たちにも同じことをさせるウニデーモン。

女性たち「鬼はーうち、ひとはーそと! 鬼はーうち、ひとはーそと!」
恐らく、その生涯で一番無意味な時間を過ごしていると思われる女性たち。
と、ウニデーモン、ひとりだけ「鬼はそと、人はうち」と、人間式の掛け声を出しているのに気付き、

ウニデーモン「ニニッ、貴様ぁ、今なんと言った?」
女性「……」
ウニデーモン「それは人間社会で言う言葉だっ。鬼になりきれない奴はこうしてくれるっ」
女性「ああーっ!」
恐らく、その生涯で一番理不尽な理由で叱られた女性、ウニデーモンに突き倒され、棍棒の先端で何度も打ち据えられ、みるみる本格的な鬼婆の姿になる。
一方、とある民家では、「裸の大将」みたいな格好をした少年が、母親からテストの点が悪いとめちゃくちゃに叱られていた。
叱っているうちに母親の顔が恐ろしい鬼のようになったので、子供は泣きながら家を飛び出す。
その途中、お地蔵さんに手を合わせている托鉢僧を見掛け、藁にも縋る思いで「お坊さん、助けてください」と、助けを求めるが、振り向いた僧侶は、たちまちオカッパ法師の姿に変わる。
と、そこへ自分の口でテーマ曲をがなり立てながら、騒々しく現れたのが謎のヒーローがんがんじいであった。

がんがんじい「待てーっ」
オカッパ法師「なんだ、お前は?」
がんがんじい「俺は正義の味方、日本一の力持ち、その名も高き、がんがんじい様だ。だいたいなぁ、お前らみたいな俺の名前を知らない奴と弱いものイジメする奴は俺は大嫌いなんじゃ」
オカッパ法師「……」
一方的にまくし立てるがんがんじいの胸を、物珍しそうに触っているオカッパ法師がちょっと笑える。
無論、オカッパ法師がそんな奴と真面目に戦う筈もなく、強烈な屁をかましたあと、頭の皿を巨大化した鍋状の円盤にがんがんじいを乗せて、空高く放り投げる。

がんがんじい「ちょっとー、何処へ連れて行くの? ちょっと、助けてーなー」
その後、色々あり、洋と隼人が二手に分かれてアジトを探していたが、隼人にはオカッパ法師が、洋にはウニデーモンがそれぞれ攻撃を仕掛けてくる。
敵がひとりになったところを襲うとは、なかなか賢い戦略である。
それぞれライダーに変身して戦い、スカイライダーはウニデーモンを撃退するものの、

2号ライダーの方は、「かっぱ巻き」と言う、これまたふざけた技によって、全身をぎりぎりと締め付けられる。
そうとも知らず、人間の姿に戻ってウニデーモンの行方を探していた洋だったが、ふと見れば、前方の道端に、他ならぬキレーダが気を失って倒れているではないか。

洋「キレーダさん、キレーダさん!」

意味もなく貼ってしまう、松香ふたみさんの美しいお顔。
洋の呼びかけに目を覚ましたキレーダ、その体に抱きつくや否や、鬼の顔になって洋の首筋に鋭い牙を突き立てる。
洋「うおっ……キレーダさん?」

ウニデーモン「ウニニ、ようくやったキレーダ、まんまと罠にかかったな、筑波洋め。お前の体中に俺の痺れ毒がたっぷり染み込むのだ。ウニニニ……もはやこれまでのようだな、筑波洋!」
そこへ近くに潜んでいたウニデーモンが現れ、殊勲のキレーダをねぎらってから、早くも体が痺れてまともに動けなくなった洋に向かって棍棒を振り下ろそうとする……
二人のライダーがともに絶体絶命のピンチに追い込まれていると言う緊迫した状況のまま、40話へ続くのだった。
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