第19話「死神獣 カブトガニエンジ参上!」(1972年11月18日)
この頃レビューの書き過ぎで、頭がウニのようになっている管理人ですが、今日も頑張って更新するぞ!
さて、冒頭、とある宝石店に、なんとなく気味の悪い目付きをしたアラブ系の外国人が訪れ、応対した女店員に50カラットのエメラルドが欲しいと言う。
女店員・三森令子が
「おめえに売るエメラルドはねえ!」と断るが、男は、他ならぬ令子が指につけている特大のエメラルドを寄越せと言い出す。
令子「これは……死んだ母の形見で、お売りするわけには」
男「うるさい、大人しく出すんだ」
男は力尽くで令子の指から指輪を抜き取ろうとするが、そこへ社長(店長?)がやってきて割って入る。

だが、案の定と言うべきか、男の正体はダークの戦闘アンドロイド、カブトガニエンジであった。
カブトガニエンジは、社長の背中に大きなニードルを刺して黙らせる。
怪人「ふっふっふっふっ、ダーク破壊部隊カブトガニエンジ、俺の邪魔をする奴は誰だろうと生かしておけん……おっ、娘は?」
だが、怪人が大見得を切ってる間に、令子はとっとと店から逃げ出していた。
それにしても、いくら母親の形見とはいえ、宝石店の店員が、店で売っているものより立派な宝石を身に着けて接客するって、職業倫理に悖るのではないだろうか?

それはともかく、とても近くに高級宝石店があるようには見えない郊外の住宅地の道路を、その間から向こうの景色が良く見えるほどに細い脚を動かして走っている令子。
演じるのは、この少し前の「仮面ライダー」で、怪人バラランガの人間態の、お姫様のようなあえかな美貌を見せていた松沢のゝ(のの)さんである。
令子は、ちょうど向こうから走ってきた半平の車に助けを求める。

半平「お嬢さん、お怪我はありませんでしたか」
令子「お願い、助けてください」
半平「なに、助けてとな?」
恐怖のあまり居ても立ってもいられないというように、その場で何度も腰を上下に動かす令子。

半平「これは異なことを。我輩の卓抜した運転技術によって、既にあなたの危機は去った筈ですぞ」
令子「違うんです。とにかく車で逃げてください」
二人が押し問答している内にも、追いかけてきたカブトガニエンジの姿が背後に見切れているという、コントみたいなシーン。
令子はさっさと車に乗り込み、半平をせかすが、

半平「車で逃げろ? ははは、お嬢さん、もしかしたら、悪い男かなんかに?」
令子「お願い、早く!」
半平「お任せあれ、及ばずながらこの服部半平、ご婦人に頼まれたら嫌とはいえない性分……」
怪人がすぐ後ろまで来ているのに、なおもあれこれ喋って一向に車を出そうとしない半平。
どうせなら、ここは、半平が最後まで何も気が付かないまま車を出して、カブトガニエンジの魔手を逃れる……と言う風にした方がギャグとしては正解だったと思うが、言いながら振り向いた半平、やっと怪人の存在に気付く。
半平「その男、追っ払って……はっ?」
怪人「俺をどうするつもりだー?」
半平、愛想笑いを浮かべつつ、不意を衝いて怪人の体を押し飛ばし、漸く車を発進させる。

半平「お嬢さん、奴はもう追っては来ませんぞ。はっはっはっはっ、痩せても枯れてもこの服部半平、まだまだあれしきの化け物に負けることはない」
令子「……」
半平はすっかり安心して豪傑笑いをしてみせるが、令子は依然として不安そうな表情で前後に鋭い視線を飛ばしていた。
ののさん、バラランガの時と比べて、髪型がおばさんパーマなのが残念だが、それでも十分お美しい。

だが、二人とも知らなかったが、車の上にはカブトガニエンジが張り付いており、彼らは怪人と一緒に移動していたのだ。
たまたま車の前方にいたミツ子とマサル、カブトガニエンジのことを教えてやろうとするが、それより先にカブトガニエンジが車を停めさせ、令子を追い掛け回すが……
令子さん、えらい楽しそうやね。 モブシーンで、笑いながら逃げているエキストラは良くいるが、れっきとしたゲストヒロインなのに緊張感のない芝居をするとは、言語道断であると言えるだろうが、
可愛いから許す! 4人はカブトガニエンジの吐く特殊な泡によって体力を奪われ、その場に座り込んでしまう。
と、そこへ例によってギターを鳴らしながらジローがあらわれ、バトルとなる。
結構長いシーンで、なおかつミニスカ美女が二人もいると言うのに、チラはなし。
ちくしょう。
色々あって、令子は半平の車で再びその場から逃走するが、ミツ子とマサルはぐったりしたまま路上に倒れていた。
キカイダーとカブトガニエンジが二人と離れた場所で戦っている間、意外な人物があらわれ、二人に話しかける。

光明寺「しっかりしなさい、どうしたんだ?」
そう、他ならぬ、ミツ子たちが必死になって探し回っている光明寺博士であった。
ミツ子「お父さん……」
光明寺「お父さん? かわいそうに、姉弟で家出でもして来たのか、よっぽど疲れて倒れてしまったんだな。ほらっ」
ミツ子のうわごとを聞いた光明寺は、記憶喪失の悲しさ、それが自分のことだとは夢にも思わず、意識朦朧とした二人を助け起こし、病院へ連れて行く。
一方、キカイダーは激闘の末にカブトガニエンジの両足を切断する。早くも勝負ありと思われたが、カブトガニエンジは腹這いになって素早く地中に潜り、なんとか逃げおおせる。
もっとも、カブトガニエンジの足は、直ちにアンドロイドマンの手によって元通りになるので、ストーリーには全く関係ない。
ちなみにカブトガニエンジがエメラルドを欲しがっていたのは、「死神光線」なる特殊なビーム兵器の開発に必要だったからである。
ギルに完成をせかされたカブトガニエンジは、

怪人「ご覧ください、これがキカイダーをやっつけるために開発した死神光線銃です。実験してお目にかけます」
戦闘員(やな予感……)
案の定、カブトガニエンジが死神光線銃のデモンストレーションの標的として選んだのは、

戦闘員「うあっ、うわわわっ! え゛っ、え゛っ、え゛っ!」
何の罪もないアンドロイドマンのひとりで、彼は仲間の操作する死神光線銃をまともに浴びて、体から火花を散らして痙攣し、鳳啓助みたいな奇声を発しながら木っ端微塵に砕け散るのだった。
ま、罪のないと書いたが、実際は、何かヘマをやらかして、前回同様スクラップにされる予定の戦闘員だったのかもしれない。

ギル「良い出来だ」
怪人「いいえ、まだまだなのです。今この死神光線銃にレンズとして使用しているエメラルドは最高級品ではありません。屈折率が僅かに違うのです」
それにしても、目の前で自分たちの仲間が新兵器の実験台に使われたのを見た後で、他の戦闘員たちはどんな気持ちでカブトガニエンジの話を聞いていただろう?
それはさておき、カブトガニエンジによれば、令子の持っているエメラルドをレンズにすれば、死神光線の威力はさらに増し、光線を浴びた物体はそれ自体が強力な爆弾になるらしい。
怪人「機械に当てれば機械が……勿論、キカイダーも同様です」
ギル「キカイダーが爆弾になるというのか、はっはっはっ、こりゃあ面白い、カブトガニエンジ、どんなことをしてもその女のエメラルドを奪え。そして死神光線を完成させろ。にっくきキカイダーが人造人間爆弾になるとは、こりゃあ面白い」
普段、よほど笑いに飢えているのだろう、キカイダーが爆弾になるという着想に、二回も「こりゃあ面白い」とのたまうギルであった。
でも、彼らの目的はキカイダーを破壊することなのだから、キカイダーを爆弾にしてもあまり意味ないと思うんだけどね。まぁ、結果としては同じことだが。

半平「なるほど、なるほど」
CM後、令子のマンションにて、例のエメラルドを手に、しきりに相槌を打っている半平。
話の途中、ついつい令子の顔に見惚れてしまうのだが、

それも納得の可愛らしさであった。
半平「母上の形見のこの指輪を奴らが狙っていると申すのだな」
令子「はい」
半平「よろしい、お引き受け申そう」
令子「お願いします、あなたのような方に預かっていただければ私も安心して働けます」
令子は宝石のガードを半平に頼むと、自分は職場に戻ると言い出す。
半平「行っちゃうの? 何もこんなときに限って……」
令子「でも、お店や社長さんがどうなったか心配ですもの。シャワーでも浴びてゆっくりしてらして下さい」
病院に担ぎ込まれたミツ子たちの様子をジローが見に来るシーンを挟んだ後、

シャワールームの中の半平の姿が映し出される。
いくら勧められたとはいえ、知り合ったばかりの独身女性の部屋でシャワーを浴びるなど、並の神経の持ち主に出来ることではない。
しかし、半平のシャワーシーン見せられてもなぁ……
さっきの縋るような令子の目付きを思い出しながら、指に嵌めたエメラルドにキスをする半平。
だが、夢のようなシャワータイムも、

何処から忍び込んだのか、バスタブの泡の中に潜んでいたカブトガニエンジの出現で、一気に悪夢のシャワータイムとなってしまう。
半平、たちまち恐慌状態に陥り、洋服ダンスを引っ掻き回して令子の着物を適当に掴み、ついでにウィッグを拝借すると、腰にバスタオルを巻いたままの姿で部屋から逃げ出す。
着物とカツラで女装した姿で、マンションの前に停めてあったスバル360に乗って走り出すのだが、

半平「命が一週間くらい縮まった」
何故か、ちゃんと化粧までしているのが、いかにも長坂さんらしい(うえださんらしい?)ギャグであった。
だが、今度もカブトガニエンジが車の上に乗っており、半平は車から降りて逃げ出す。
途中、ミツ子たちに会ったので、後先考えずにエメラルドをミツ子に渡して走り去る。

マサル「なんだい、ありゃ」
ミツ子「でも、なんなのかしらね、この指輪」
真面目なミツ子たちは、それが令子のしていた指輪ではないかと考え、令子の家に返しに行く。
一方、宝石店にやってきたジローは、令子から半平にエメラルドを預けたと聞くや、顔色を変える。
令子「あのー、いけなかったでしょうか」
ジロー「間に合えば良いが……」
どうでもいいが、その宝石店、普通に営業してるみたいなのだが、ついさっき、社長が殺されたばっかりなんですけど……
半平は結局令子のマンションの前でカブトガニエンジたちに捕まるが、脅されると、すぐにミツ子たちに渡したと白状してしまう。
ちょうどそこへ指輪を返しにミツ子たちが来たので、カブトガニエンジは半平を打ち捨ててミツ子たちに襲い掛かるが、当然、ミツ子たちは脱兎のごとく逃げ出す。
うーん、いかにも芸がないやり方だ。戦闘員に令子に化けさせて、ミツ子たちから穏便に受け取るという発想が何故浮かばないのだろう?

半平「うまく逃げてくれよ、しばしの我慢だ。必ず、必ずお助け申すぞ! ……ミスター・ジローが」
ダークに追われて遠ざかるミツ子たちの背中に、いかにも半平らしい台詞を放つ半平。
その後、色々あって、とうとうエメラルドを奪われ、その場に持ち込まれた死神光線銃に組み込まれ、カブトガニエンジの言う、最高の性能を発揮できるようになる。
それでも、素早く動くジローにはなかなか当たらず、例によって戦闘員がその犠牲となる。
と、いつものようにギルが「悪魔の笛」を鳴らし、ジローの動きを封じる。
さすがに死神光線銃をまともに浴びればジローもただではすまなかっただろうが、ここでミツ子たちが機転を利かし、光線銃で撃ち落とされたカーブミラーをジローの足元に転がす。

ジローはそれを、あたかもメドゥーサと戦った時のペルセウスのごとく、鏡の盾として構え、

死神光線を見事に跳ね返し、カブトガニエンジ苦心の銃を木っ端微塵に破壊する。
この後、キカイダーに変身してカブトガニエンジを倒し、事件は解決する。

最後にもう一枚、マンションの前でミツ子たちに別れを告げる令子の画像を貼って、お開きとしよう。
以上、今回もあまり長坂さんらしさの感じられないストーリーで、無駄に戦闘シーンが多くて正直退屈であったが、松沢ののさんの可愛らしいお顔が見れるだけでも価値のある一本であった。
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