第26話「さらば相棒~五代刑事殺人事件~」(2003年3月30日)
「銭形愛」の厳選レビューも、この最終話で最後となる。
ま、ほんとはレビューするほど面白い回ではないのだが、一応最終回だし、それでちょうど5話分になってキリが良いので、あえて取り上げたのである。
冒頭、一応、いつもの「銭形愛、17才……」と言うナレーションと共に、愛が警視総監からケータイを受け取るOP導入部となるのだが、今回はいつもと違い、OPテーマもクレジットもなく、番組タイトルが出ると、すぐ本編に切り替わる。

男「その男を殺してくれないか。手段は選ばない」
殺し屋「分かりました」
オフィスの一室で、とある男が、別の男に一枚の写真を見せて、物騒なことを依頼している、およそケータイ刑事らしからぬサスペンスフルな幕開け。
しかも、その写真に写っていたのは……

愛「五代さん、なんですか、用事って……てか、なんでネクタイしてるんですか」
五代「転勤辞令が出た。神無島署だ」
愛「神無島署って、小笠原列島の?」
五代に警視庁の前に呼びつけられた愛、突然の知らせに戸惑う。

五代「神無島署と言えば、麻薬密売の最前線だ。警視庁ひろしと言えど、水際で麻薬組織を壊滅できるのは俺しかいない、とまぁ、こういう訳だ」
愛「それってどう考えても左遷じゃないですか」
いつも以上に意気軒昂な五代、愛の鋭い指摘も聞き流すと、
五代「それにだ、お前もそろそろひとり立ちしなきゃいけない時期だ」
愛「それってコンビ解消ってことですか?」
五代「出会いがあれば別れがある。それが生きるってことだ」
五代、滝沢みたいなもっともらしい台詞を吐くと、後でメシでも食おうと持ち掛け、愛を喜ばせる。
どうでもいいけど、「水際で麻薬組織を壊滅」って、そもそも、そんな離島に麻薬組織は存在しないと思うので、壊滅しようにも壊滅できないのでは?
ここは普通に「水際で阻止できる」で良かったと思う。
だが、愛と別れた直後、五代は二人組のチンピラ風の男にあえなく捕まり、縛られて使われていない倉庫に監禁されてしまう。

弟分「兄貴、こんな奴、早く始末しちゃいましょうよ」
必要以上に顔を強張らせて、ナイフで五代の顔をピシャピシャするチンピラの弟分。
メイキングでは、山下さんが必要以上にこの俳優に演技指導をしているので、その悪影響かと思われる。

弟分「これじゃもしもの時に身動き取れないっすよ」
兄貴「慌てんなよ、すべては金が手に入ってからだ」
五代、その状態でなんとかケータイを取り出し、愛へメールを送ろうとする。
同じ頃、愛は、山上と言う会社社長の誘拐事件発生の知らせを受け、その自宅に来ていた。
所在なげに部屋の中をあれこれ見ていた愛、ふと、キャビネットの上の写真立てに気付いて手に取る。
それは、山上夫妻と思われる中年の男女と、娘らしい若い女性が一緒に映っている家族写真のようであったが、

愛「これが、山上真司さん?」
山上と言う男、五代と瓜二つであった。
柴田「五代さん、似てるよねえ」
愛「そっくり……なんでスーツ?」
横から聞こえてきた柴田の声に頷いてから、普段と違うスーツ姿を見て驚く愛。
柴田「本日付で捜査一課に転属……と言う訳で、今日から相棒は僕、よろしくね」
愛「そうなんだ……」
五代の転勤に伴い、待望の相棒の座を射止めた柴田、湧き上がる喜びを抑え切れないと言った口ぶりで挨拶するが、愛の反応はひたすら素っ気ない。
ちなみに、レギュラーの鑑識課員が正式に刑事になったのは、後にも先にもこの柴田のケースが唯一の事例である。
もっとも、次の「銭形舞」以降、柴田は何の説明もなくまた鑑識課員に戻ってしまうのだが。
愛、とにもかくにも捜査に取り掛かる。

愛「で、身代金の要求は?」
柴田「最初に電話があったのは9時15分、男の声で、応対に出た奥さんに1億円を要求」
愛「1億円?」
柴田「同時に、警察に通報すれば命はないと脅しをかけてる」
こうして並ぶと、柴田じゃあ、到底ケータイ刑事の相棒は務まらないことが分かる。
刑事としては五代たちよりはるかに優秀だが、背丈がほぼ同じと言うのはね……
柴田「けど、少し不可解なことがあってね」
愛「不可解なことって?」
柴田、テーブルについている山上夫人の目の届かないところに愛を連れて行くと、

柴田「これはまだ奥さんには伏せてあるんだけど、9時30分に山上社長と電話で話した人がいるんだ」
愛「え、でも、誘拐犯から電話がかかってきたのは9時15分ですよね?」
と、その時、愛のケータイの着信音が鳴る。

ケータイを開くと、五代からのメールだったが、ただ「めふめ」と言う三文字が書いてあるだけ。
愛「なにこれ?」
愛、すぐ五代のケータイに掛けるが、

既にそのケータイはチンピラたちに見付かって取り上げられていた。
兄貴「急いだ方が良さそうだ」
弟分「ふざけた真似しやがって!」
怒りに任せて、五代の体に思いっきり蹴りを入れる弟分。
愛「切られちゃった。なんだろう、五代さん……」
まさか愛も、五代がそんな状態にあるとは夢にも思わず、ちょうどそこへ明智と言う男が1億円の入ったアタッシェケースを手に戻ってきたので、そのことはそれっきり忘れてしまう。

夫人「専務の明智です」
明智「で、犯人からの連絡は?」
夫人「まだ……」
明智役は、中丸新将さん。
親切極まりない管理人は、既に中堅俳優として確固たる地位を築いた中丸さんが出るたびに、

「大戦隊ゴーグルファイブ」第41話にゲスト出演した時に披露した、全身銀ラメの強化スーツ姿を貼ってあげることにしているのである。
何故なら、この役こそ、俳優・中丸新将の原点だと管理人が考えているから……ではなく、単なるイヤガラセである。
やがて、犯人からの電話がかかってくるが、愛が、娘のナナミに扮して応対することになる。

愛「もしもし」
兄貴「あんた、誰だ」
愛「娘のナナミです」
兄貴「娘か、金は用意できたか」
愛「パパは、パパは無事なんですか? 声を聞かせてください」
兄貴「声聞くより、おめ、無事な顔拝んだ方が良いだろう」
愛、なんとか電話を引き伸ばして逆探知を成功させようとするが、兄貴は要求だけ一方的に言って、さっさと電話を切ってしまう。
愛、そのまま山上の娘として、指定された喫茶店にアタッシェケースを持って行く。
だが、店内に張り込んでいた柴田たち刑事の存在が、外から見ていた兄貴に気付かれてしまう。兄貴は口汚く罵りながら、車を急発進させてとっとと逃げる。
その知らせを受けた弟分、いきり立って五代の前に来ると、

弟分「警察にチクったらしいぜ、お前の娘……」
必要以上にジョジョっぽいポーズでナイフを突きつけるが、これも、必要以上に山下真司さんが演技指導したお陰である。
気の短い弟分、いきなりナイフを振り上げて……

同じ頃、とっくに犯人が逃げ去った後だと言うのに、まだ喫茶店で犯人が来るのを待っている、いささか間抜けな愛。
愛「でも、どうして誘拐された後に山上さんと話した人がいるんだろう? それに……めふめ」
さっきの五代からの妙なメールをもう一度見ていた愛、やがて、それが「SOS」をかなモードで打ったものだということに気付く。
愛「まさか……五代さんが間違って誘拐された?」
と、犯人からの電話が店の電話に掛かって来る。

愛「もしもし、山上ですけど……中止? お金なら用意してあります。パパを返して下さい! ……アクトスクウェア地下駐車場? そこにパパがいるんですね?」
愛の声を聞いていた柴田たち、通話が終わらないうちに立ち上がり、急いでその駐車場へ向かう。
愛が少し遅れて現場に駆けつけたときには、すべてが終わっていた。
その一角に、紛れもない五代の刺殺死体が放置されていたのだ。

愛「嘘……五代さん、ちょっと、五代さん! 五代さん! 五代さん、起きてよ! 五代さん……」
信じられない突然の悲劇に、五代の体に取り縋ってその名を呼び続ける愛。
CM後、警視庁の屋上でひとり佇んでいる愛。

愛「……」
その脳裏には、つい数時間前、警視庁の前で別れた五代の明るい笑顔がまざまざと蘇っていた。
そこへ柴田が来て、

柴田「愛ちゃん!」
重苦しい表情で柴田が首を横に振るのを見て、
愛「そうですか……」
やはり五代は死んだのかと、力なくつぶやいて俯く愛だったが、
柴田「いや、そうじゃなくて……」

愛「え?」
ちなみにメイキングによると、このシーンが、柴田役の金剛地さんの最後の撮影となったらしい。
いわゆる、オールアップと言う奴ですね。

それはともかく、五代はまだあのままの状態で生きていた。
つまり、あの死体は五代そっくりの山上の死体だったのである。
と、ラジオから、五代潤巡査部長、すなわち、自分自身の他殺死体が発見されたというニュースが流れてきて、驚く五代。
もっとも、ラジオなので顔までは見えず、チンピラたちも、その刑事が自分たちが誘拐した男と瓜二つだとは気付かない。
ちなみにそのニュースで、五代が43才だと分かる。
山下さん、だいぶサバ読んでるなぁ……
一方、愛と柴田は、山上家に舞い戻り、テレビで同じニュースを見ていた。

柴田「どうしてあんなニュースを? 検視であの死体は山上さんと判明したのに」
愛「五代さんはきっと、山上さんと間違われて誘拐されたんですよ。じゃなかったら、誘拐の電話があった後に山上さんと話した人がいるなんて不自然じゃないですか」
柴田「確かに」

愛「だから、もし誘拐犯が、自分たちの誘拐したの山上さんじゃなくて、五代さんだって分かったら……」
柴田「間違いなく殺される。なるほど、五代さんの命を守る為、か……」
愛「それと、もうひとつ理由があるんですよ」
二人が陰でこそこそ話していると、明智が何処かへ出て行くのが見えた。
愛「謎は解けたよ、ワトソン君!」
それを見ていた愛、いつもの決め台詞を放つ。
無論、冒頭に出てきた、五代ならぬ山上殺しを命じていた男はこの明智だったのだが、なんで明智が外出するのを見ただけで、愛がそのことに気付いたのか、その辺が良く分からないのである。
それはさておき、外出した明智は、人気のない陸橋の上で、あの殺し屋風の男と話していた。

明智「お前、一体、誰を殺したと思ってるんだ?」
殺し屋「間違いありませんよ、指示通りこの男を」
殺し屋、ポケットから山上の写真を取り出して断言するが、
明智「お前が殺したのは刑事だ。とんでもない間違いをしてくれたな」
明智、愛の計略にまんまと騙され、殺し屋が間違って五代を殺してしまったのだと勘違いしていた。
つまり、今回の誘拐事件と、明智の山上殺しとは、まったく関係がなく、偶然、同じタイミングで起きた別個の事件だったのである。
……
あるよね、そういう偶然!(ねえよ)
一方、チンピラたちは、やっと自分たちの誘拐したのが山上ではなく、五代だと言うことに気付く。

兄貴「お前、山上じゃねえのか?」
五代「その山上って男、そんなに俺と似てるのか?」
弟分「兄貴、俺たちとんでないポカをやらかしたのかも知れねえ」
兄貴「間違って掻っ攫ったってか、ちっくしょう!」
怒り狂った二人は、すぐに五代を始末しようとするが、

五代「冷静に話し合おう。だって、そうだろう、俺がここにいるってことは、駐車場で見付かった死体は、山上ってことだよ」
兄貴「なにっ?」
五代「警察も間違ったんだよ、お前らが間違ったように……だったらバレないうちに、俺を山上に仕立てて、金を受け取った方が利口なんじゃないのか? ああ? 死体が山上だってバレたら、お前ら殺人犯だ」
弟分「殺人犯?」
五代「お前ら山上んとこ電話して1億円要求しただろう? やってないって言っても、一体誰が信用すると思う?」
五代、さすがの貫禄でチンピラたちを説き伏せ、そのまま誘拐ごっこを続けさせることに成功する。
無論、そうやって時間を稼いで助けが来るのを待つ為である。
まぁ、冷静に考えて、警察が山上の死体を五代の死体と誤認することなどありえないのだが、なにしろ生まれついてのチンピラなもんで、そこまで深く考える頭はないのだった。

愛「もしもし」
兄貴「娘さんかい? 言った筈だぞ、警察に連絡したら山上の命はないって」
愛「もう警察はいません、私たちだけです」
日が傾きかけた頃、再び誘拐犯から電話が掛かってきて、引き続き娘に扮した愛が応対する。
愛「ほんとです、だからパパの声を聞かせてください。お願いします」

五代「もしもし」
愛「ごだいっ……パパ? 生きてるの、パパ、大丈夫?」
五代「ああ、大丈夫だよ、心配するな」
愛の声を聞いて、初めて五代も、愛が娘に扮して犯人たちと交渉していたことを知り、そのまま何食わぬ顔で父親役を演じる。
まぁ、これも、もし本当の山上の娘なら、電話で話してる時点で相手が父親じゃないと分かると思うのだが、なにしろ、彼ら、生まれついてのチンピラなもんで……
でも、五代と愛が、互いに別人を演じつつ、互いの心を通わせると言うのは、なかなか心に沁みるシーンではある。

愛「良かった……」
五代「どうした? もしもし?」
愛「……」
五代「泣いてるのか?」
愛「くすん、だって、ほんとに心配したんだからね、死んじゃったんじゃないかって……」
五代「馬鹿、パパが死ぬわけないだろう。帰ったら、一緒にご飯食べに行こう。約束したもんな」
愛「うん、私、絶対助けに行くからね、絶対に」

五代「ああ」
愛「だから頑張って……」
五代「分かった」
ここでやっと兄貴が電話を取り上げて切るが、
五代「あいつ、泣きやがって……」
初めて愛が本気で泣いているのを知って、胸が熱くなる五代であった。
そして、五代と愛の感動的な長電話のお陰で、警察は遂に逆探知に成功したのだった。
なにしろ、生まれてついてのチンピラなもんで、勘弁してやって下さい。
だが、その直後、愛は山上夫人から「お引取り頂けませんか?」と、素っ気なくクビを言い渡される。
なにしろ警察も、一度喫茶店で失態を演じているので、そこを指摘されると返す言葉もなく、やむなく引き揚げるのだった。
まぁ、こんな段階で警察が手を引くのは本来ならありえないのだが、愛が、真犯人を炙り出す為にあえてそうさせたのだろう。
その後、改めて犯人から連絡があったのだろう、夜になってから、山上夫人と明智が、あの倉庫まで金を持って五代の身柄を受け取りに来る。

五代「助かったよ、ありがとう」
山上夫人「本当は助からない方が良かったんだけど」
夫人は冷たい笑みを浮かべると、銃を取り出して五代の顔に突きつける。

明智「あんたたちもな」
明智が進み出て言うと、隠れていた殺し屋が出て来て、銃をチンピラたちに向ける。

山上夫人「あなたが死ねば、山上家の財産はすべて私のもの、もう飽きちゃったの、あなたの妻でいるの……」
そう、分かりやすいオチだが、今回の山上殺し、明智と妻による共謀だったのである。
山上夫人「さよなら……」
引き金にかけた指に力を込める夫人だったが、そこへ愛の投げ銭ストラップが飛んできて、その腕を絡め取り、シリーズ最後となる決め台詞を放つ。

愛「やっぱりあなたも仲間だったんですね、山上奈美さん……あなたたちは誘拐事件を巧みに利用し……」
殺し屋「えいっ!」(バキュン)
愛「あれ……?」
愛、まだ銃を持った殺し屋がいるのに、のんびりと事件の謎解きを始めてしまった為、あえなく殺し屋に撃たれて、華々しい殉職を遂げるのだった。
……と言うのは嘘だが、殺し屋さんが何もしないで突っ立っているのがかなり間抜けなのは事実である。
愛「誘拐事件を巧みに利用し、山上さんを殺害、誘拐犯のせいにしようとしたんですよね。だから、こっそり喫茶店に(奈美がボイスチェンジゃーを使って)電話を掛け、地下駐車場を指定した。そうすれば警察は間違いなく、山上さん殺しは誘拐犯の犯行だと思う。あの時、喫茶店にこっそりと電話を掛けることが出来たのは警察関係者を除いて、奈美さん、あなたしかいない」
と、愛は言うのだが、冒頭で、明智が殺し屋に山上殺しを命じたのは、明らかに誘拐事件の起きる前である。
それなのに、愛の解説では、彼らは誘拐事件に便乗して山上を殺したことになっていて、矛盾する。
ここで、明智たちの頭の中を見てみると、
無事に山上を殺した→死体を駐車場に置こう と言う発想と、
山上が誘拐された→山上殺しを誘拐犯のせいにしよう と言う、絶対に両立しない筈の発想とが、同時に成立している点が決定的におかしいのである。
要するに、落語じゃないけど、
「山上を殺したのは良いけど、じゃあ、誘拐犯が人質にしている山上はどうなるんだい?」 と言うことになる訳である。
今回のシナリオ、ミステリーとしては論理的に破綻していると言わざるを得ない。
まあ、明智が殺し屋に言っていたように、彼らが途中で山上ではなく五代を殺してしまったと思い込んでいたとすれば、最後のシーンについてだけは辻褄が合うが、そうすると、最初から誘拐犯に罪をなすりつけるつもりだったという愛の推理が間違っていることになってしまう。
それはさておき、
奈美「ちょっと待ってよ、私たちが山上を殺した? 冗談じゃない、山上はここにいるじゃない」
人にピストルを向けといて往生際が悪いが、なおも奈美は無実を主張する。

愛「この人、誰だと思います?」
奈美「え?」
五代「警視庁捜査一課、五代潤、残念ながら、あんたの旦那、山上じゃないんだよ」
ここでやっと、愛がネタばらしをして明智たちを茫然とさせる。
愛「偽ニュースを流したのも、あなたたちを罠に嵌める為……そしてまんまと罠に嵌まった」
明智「ふざけるな、おい!」
明智の指示を受けて、それまでずーっと銃をチンピラたちに向けていた殺し屋が、愛に銃を向ける。
はい、人に言われる前に、ちゃっちゃと撃ちましょうね~。
が、五代がすかさず奈美の持っていた銃を拾い上げ、一瞬早く、殺し屋の銃を撃ち落とす。
そう、このシーンを最後に持って来る為に、殺し屋はなかなか銃を撃とうとしなかったのだ。
(色々腑に落ちない点はあるが)事件解決後、いつものように歩きながら話している五代と愛。
デリカシーのカケラもない五代は、
五代「これだけは認めないよ、あんた、泣いてたでしょ、電話の向こうで? すんすんすん」
愛「泣いてないですよ」
五代「嘘つけー」
そんなことを真正面から切り出し、愛の機嫌を悪くさせる。
愛「女の涙は怖いですよ」
五代「な、な、なに?」
ラスト、そんな謎めいた言葉を口にして、愛がニカッと笑ったところで、一応、今回の事件の「済」ハンコが押される。
で、今回は最終回と言うことで、その後にまだエピローグが控えているのだ。

数日後、早くも神無島署にやってきた五代、ペンキを引っ掛けられたようにしか見えない柄の革ジャン姿で、署長室に新任の挨拶に訪れる。
しかし、仮にも署長に着任の挨拶するのに、こんな格好で来る奴ぁいないよね。
五代「本日、警視庁捜査一課より転属して参りました、五代潤です。よろしくお願いします」
それでも、顔つきと言葉だけは厳しく、堂々と挨拶をして深々と頭を下げる五代だったが、

愛「神無島署署長の銭形愛です」
五代「なんでお前がここにいるんだ?」
案の定と言うべきか、振り向いて椅子から立ち上がった署長は、他ならぬ愛であった。
愛「おじいちゃまに頼んで私も来ちゃった。だって五代さんひとりじゃ心配なんだもん」
五代「マジかよぉ」
愛「マジです」

五代「悪夢だ、悪夢だ~」
両手で空中をもがきながら、その場に座り込む五代。
愛「だから言ったでしょ、女の涙は怖いって、イェイ!」 愛の最後の台詞と共に、OPテーマ曲のイントロが流れ出し、

愛の警察手帳とケータイの映像を挟んでから、

いつものOPが始まると言う、最終回ならではの異例の構成となっている。
もっとも、クレジットやタイトルバック自体はいつもと全く同じなんだけどね。
最後になったが、OP曲の「彼女の情景」(オノ・アヤコ)は、シリーズ屈指の名曲なので、一聴をおすすめする。
以上、「ケータイ刑事 銭形愛」の厳選レビューでした。
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