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「乳姉妹」 第27回「片腕のトランペッター」 前編



 第27回「片腕のトランペッター」(1985年10月22日)

 前回の続きから、診察室で主治医の白川医師と一対一で向かい合っている路男。

 腕のレントゲンを見せられ、かなり深刻な病状だと言われるが、自分でも薄々覚悟していたのか、取り乱すこともなくサバサバした様子で単刀直入に尋ねる。

 
 路男「で、なんなんだい?」
 白川「悪性の腫瘍だ」
 路男「悪性の?」

 さすがに一瞬言葉を失くす路男だったが、すぐにおかしくておかしくてたまらないというふうに、カラカラと乾いた笑いを診察室に響かせる。

 路男「はははは、あーあ、こりゃおかしいや、出来物まで悪性と来たら、おかしくて笑いがとまんねえよ。だってよ、先生、俺、ガキんときから悪性の人生歩いてきたんだぜ、それがさ、はは……」
 白川「……」
 
 無論、それはただの強がりで、ベテランの白川も患者のそんな態度には慣れているのか、ニコリともせず聞いている。

 路男、カーテンスクリーンの枠を強く握り締めて内心の動揺を押し殺しながら、

 路男「……それで、俺は死ぬのかい?」
 白川「このままほっとくと死ぬことになるな」

 そう言う主義なのか、白川は歯に衣着せずに路男の質問に即答する。

 
 白川「死にたいか?」
 路男「先生よ、ついこないだまで、生きるも死ぬも同じことだと思ってた、だけど今は違う。俺はこれからやらなければならないことがたくさんあるんだ」
 白川「安心しろ、手術すれば治る」
 路男「それで、どの辺を切るんだ?」

 
 白川「そうさな、腕の付け根のこのあたりからずばっと決めてみるか」

 白川、まるで他人事のように、路男の左腕に手刀をあてがって暢気につぶやく。

 何故なら、他人事だからである!

 路男「無茶言うんじゃねえよバカヤロウ、腕一本落とされたらペットが吹けねえじゃねえかよ!」

 さすがに路男が真剣な顔で怒鳴るが、

 白川「いや、三ヶ月くらいでまた生えてくるから」
 路男「え、そうなの? なんだよ、それを先に言えよっ!」
 白川(ああ、バカで良かった……)

 じゃなくて、

 
 路男「腕一本落とさねえと悪性腫瘍が体中に広がっちまうって言うんだな? そうなればまず助かる見込みはないんだな?」
 白川「そのとおりだ」
 路男「はぁーっ、ツイてねえよ」
 白川「情けない顔するな、今まで散々悪性の人生歩いてきたんだろ、だったらこの辺で、片腕ばっさり切り落としてだな、悪性と綺麗さっぱり縁切ったらどうだ?」
 路男「綺麗さっぱりな……」

 珍しく溜息をついて泣きそうな顔になる路男に、白川が、デリカシーのカケラもない言葉を投げる。

 いくら、相手が一筋縄ではいかない性格であっても、患者本人にこんなこと言う医者ぁいねえよ。

 もっとも、片腕を失うと言う人生最大の試練に直面している路男は、医者の発言に反応する余裕もなく、ぼんやりと相手の言葉を繰り返すだけだった。

 すぐに入院しろと言う白川の勧めに、病院嫌いの路男だったが、嫌がる素振りは見せず、

 路男「わかったよ、あんた良い人だ、信用できる人だもんな」
 白川「ああ、ばっちり信用できるから、安心しろ」
 路男「ふっ、自信過剰なところが気に入ったぜ……それじゃ」

 本心かどうか不明だが、初対面の白川を妙に褒めちぎる路男。

 だが、不幸にも彼は知らなかった、大映ドラマに出てくる医者は、それがどんなに名医であっても、演じているのが宇津井健でない限り、全くの役立たずなのだと言う法則を……

 そう言えば、最近見た「スタア誕生」のトミーも岡本富士太も、見掛けは名医っぽいが、実際はクソの役にも立たないデクノボウだった……

 それはともかく、路男が廊下に出ると、千鶴子たち4人が、まるで自分が医者から宣告されたような暗い表情を並べて待っていた。

 路男は無理に笑顔を作ると、

 
 路男「手術するそうだ、お陰さまで悪性腫瘍だってさ、ははーんてなもんだよ……それじゃ、みんな心配してくれてありがとう」
 雅人「田辺、何処へ行くつもりだ?」

 そのまますたすた歩き去ろうとする路男を、雅人が鋭く呼び止める。

 路男「俺にだって相談する人間の一人ぐらいはいるぜ」
 千鶴子「お母さんに会ってくるのね?」
 路男「まあ、そう言うこった」
 千鶴子「やーい、マザコン」
 路男「なんだとぉっ!」

 じゃなくて、

 千鶴子「お母さんに会ったらすぐに入院しないとダメよ」
 路男「わかってる」

 それこそお母さんのような口調で路男に釘を刺す千鶴子。

 しかし、路男が相談する相手なら、育代よりも若山の方がふさわしいと思うのだが、何故か今回は、路男も千鶴子も、「え、そんな人いたっけ?」的な完全な黙殺を決め込んでいるのが、相当不自然である。

 ありていにいえば、名古屋さんのスケジュールが合わずに出演できなかっただけなのだろう。

 と言うか、名古屋さんの出番は前回が最後だったんだけどね。

 さて、路男が割りと元気に廊下の角を曲がって行った直後、千鶴子が必死に抑えていた涙を双眸から溢れさせる。

 雅人「泣くなよ、千鶴ちゃん」
 千鶴子「片腕がなくなったらトランペットが吹けなくなるのよ」
 雅人「今は生きてくことが大切なんだ……それから先のことは……」

 OP後、夜の飲み屋街を、雅人、しのぶ、耐子たちが誰かを探してうろついている。

 そう、案の定と言うべきか、路男は病院を出たきり戻って来なかったのである。

 最後に、三人がとあるライブハウスの前へやってくると、店の前に停まったタクシーから千鶴子が降りてくる。

 千鶴子「私、ここじゃないかと思って」
 雅人「僕もそう思って来たんだ」

 そこは、前回、路男がテストを受けて、演奏させてもらえることになっていたライブハウスであった。

 
 そしてステージには、全身全霊を賭けてペットを吹いている路男の姿があった。

 ま、相変わらずレパートリーは「乳姉妹のテーマ」一曲なのだが……

 
 雅人「あいつ……」
 千鶴子「路男さん」
 耐子「とっちめてやらなくちゃ」
 しのぶ「違うわ、タエちゃん、路男さん、最後の演奏だと思って目一杯吹いてるのよ」
 雅人「しのぶさんの言うとおりだ。今日はあいつの最後の演奏だ。僕たちも聞こう」

 路男もすぐ彼らに気付き、演奏が終わると、包帯を巻いた左手を上げて見せる。

 4人は楽屋に押し掛け、路男を病院に連れて行こうとするが、路男は断固として拒否する。

 
 千鶴子「何言ってるの、今手術を受けなかったらあなたは……」
 路男「恐らく死ぬだろうな……それがどうした? 人間いつかはくたばるんだ。遅いか早いかの違いだけじゃねえか。俺はな、優子さんとの約束を果たさなくちゃならねえんだ。そのために死ぬのなら悔いはねえ」
 雅人「いきがってるだけだ、冷静になれ」
 路男「うるせえっ」

 4人が手を変え品を変えて路男を説得しようとするが、路男は頑として動こうとしない。

 路男「腕を落とすのは真っ平だ。他にも陽子線療法とか温熱療法とか色々あるじゃねえか」

 不良なのに妙に物知りの路男、切除以外にも治療方法はある筈だと反論する。

 雅人「それならまず白川先生に相談したらどうだ?」

 
 路男「あの医者は気に食わねえ」
 一同(さっきと言うてることが違う!)

 じゃなくて、

 千鶴子「路男さん、そんな子供っぽいこと言ってどうするの?」

 千鶴子が小学校の先生みたいな口調で叱っていると、ドアが開いて本物のお母さんが入ってくる。

 
 育代「路男、腕を見せてごらん」

 育代、有無を言わせず包帯をほどき、腫瘍の状態を自分の目で確認する。

 
 患部は、痛々しいほど赤く腫れ上がり、ゼリーのようになっていた。

 それを見た育代は、

 
 育代「キモッ!!」

 じゃなくて、

 育代「なんてこったい!」

 まるでアメリカ人みたいなリアクションをする育代ママであった。

 千鶴子たちは育代に路男を説得してくれるよう頼むが、親子揃って偏屈者の育代は説得するどころか、

 
 育代「お前の病気は母さんどんなことをしてでも治してあげる、担保に死なれちゃ困るんだよ。お前には300万って大金が貸してあるんだ」
 路男「おふくろ……」
 育代「殺してたまるもんか」
 路男「……」

 なんだかんだいっても、実の親子である。

 路男を見詰める育代の目には、子を思う母親の情愛が満ち満ちていた。

 ……

 くどいようですが、松井さん、いくらなんでもメイク濃過ぎません?

 路男「こういうことだ、俺はお袋の世話になる」
 千鶴子「やーい、マザコン」
 路男「うるせえっ!」

 じゃなくて、

 路男「治療を受けながら毎日ここでペットを吹くつもりだ」

 要するに、毎日「乳姉妹のテーマ」(だけ)を吹きに来るつもりらしい。

 
 ゴリポン店長(なんでこんな人雇っちゃったんだろ……)

 こういうのを後悔先に立たずという。

 結局、路男は育代に連れられて楽屋を出て行く。

 雅人たちもなんとか引き止めたかったが、育代が連れてきたコワモテの男たちに睨まれて、すごすご引き下がる。

 まあ、修正パッチが当たった現在のバージョンでは、雅人の戦闘力がガタ落ちしてるからやむを得ない。

 その後、大丸邸の自室で英語の勉強に励んでいる千鶴子であったが、路男の体のことが気掛かりで、とても身が入らない。

 
 もっとも、ナレーションでは、千鶴子は「自分は果たして雅人と路男、どちらを本当に愛しているのか?」と言う、能天気な命題に心を奪われて、勉強が手につかないらしいのだが、ここは純粋に路男の病気のことを心配するのが人としての道ではないだろうか?

 と、そこへ雅人が曇りのない笑顔を浮かべて入ってくる。手にはエアメールが。

 雅人「来たよ、イーストリバーハイスクールからだ」

 千鶴子はいそいそと封を切る。

 
 千鶴子「……」

 文面を見た千鶴子は、

 
 千鶴子「……なにこれ、暗号?」
 雅人「うーん、たぶん、そうだろうね。これを解いたら留学を認めてくれるんだよ、きっと」

 そう、雅人も千鶴子も、実はどうしようもないバカだったのである!

 じゃなくて、

 雅人「……入学許可の通知だ」
 千鶴子「雅人さん!」

 無論、優秀な大学生である雅人は、すらすらと英文を読み下す。

 感極まったように、雅人の胸板に抱きつく千鶴子。

 
 千鶴子「雅人さん、私を強く抱いて、私が何処かに飛んでいかないように……しっかり私を抱き締めて」
 雅人「だいじょぶだよ、僕はもう君を離さないよ。君を一生守ってやる」

 千鶴子の望みに応えて、千鶴子の体をしっかり抱き締めてやる雅人だったが、その目はなんとなく悲しそうであった。

 しかし、一応今のところ恋人同士と言う関係なのに、二人がセックスはもとより、キスすらしようとしないのは、やっぱり不自然だよね。

 まあ、大映ドラマはそういうことについては時代錯誤的に古風と言うか、潔癖なので、婚前交渉(死語)など、もってのほかの大罪なのである。

 そう言えば、「高校聖夫婦」では、同じく鶴見さん演じる主人公は、偽装結婚した典子(いとうまいこ)と半年にわたって同棲しながら、最終回まで一度もセックスしないという、およそ信じがたい快挙を成し遂げているのだ。

 それはともかく、二人は早速その通知を剛造夫婦に見せる。

 両親は、心からそれを喜び、祝福してくれるが、千鶴子は一日でも早くアメリカに渡りたいと言い出す。

 入学は来年の9月だというのに、来月、つまり11月にもアメリカに行きたいという千鶴子の熱望に、剛造はさすがに戸惑いを隠せなかったが、

 則子「あなた、千鶴子さんの気持ちも分かりますわ、つらいことがあまりにもたくさんあり過ぎたんですもの……気分を変えるためにも千鶴子さんの希望を叶えてあげましょ。お正月には帰ってきてもらえばいいじゃありませんの」
 剛造「ああ、それもそうだな」
 
 すっかり角が取れて丸くなった則子に後押しされて、遂には剛造も折れる。

 一方、路男は、育代のすすめで、明和電気物理療法治療所なる個人経営の診療所に通って、「電気治療」と言う、患者の体に電気を流して病気を治すという、いかにもインチキ臭い治療を受けていた。

 いや、まあ、それで治る場合もあるのだろうが、すでに病状がかなり進んだ路男にはあまり効き目がなさそうであった。

 同じ代替治療にしても、路男が口にした陽子線療法ならば、もうちょっとなんとかなったかもしれないが。

 だが、路男は腕を切られたくない一心で、そんな眉唾な治療法に縋り、母親同伴で通院を続ける。

 千鶴子「やーい、マザコン」
 路男「だーってろっ!」

 同じ頃、漸く退院した龍作は静子たちに見送られて、古巣の真鶴へ発とうとしていた。

 
 静子「しっかりやってよ、あんた」
 龍作「わかってるよー、なんだ真鶴に帰るの俺一人か?」
 しのぶ「お父さんが頑張ってるのが分かったら、お母さん、日曜日ごとに帰るそうよ」
 耐子「お酒飲んで遊んでたら、もう一生お別れよ、お父さん」
 龍作「バカ言うんじゃないよ」

 心を入れ替え、漁師として真面目に働くことを決意した龍作であったが、その図々しさは死ぬまで治りそうもなく、誰も真鶴へ同行してくれないことや、千鶴子が見送り来てくれないことにブツブツ文句を言う。

 それでも、かつては憎しみと蔑みの眼差ししか向けてくれなかった耐子までが、親しみを込めて「お父さん」と呼んでくれるのだから、初代「キング・オブ・人間のクズ」にしては、これ以上ない幸せな状況と言うべきだったろう。

 ちなみに静子に「土曜の夜から来るんだぞ」と念を押しているのが、なんか、熟年夫婦のねっとりした夜の営みを連想させて、ちょっとスケベである。

 
 見送りを済ませた後、耐子は手摺を掴んでピョンピョン飛び跳ねるように階段を降りながら、

 耐子「ねえ、お母さん」

 
 静子「なあに?」
 耐子「うふふふふ、あははははっ」

 耐子、甘えるように静子の腕に絡みつきながら、いかにも嬉しそうに笑い出し、それに釣られて二人も思わず笑みをこぼす。

 幾多の試練を経て、自分たちがようやくひとつの「家族」として再生したことへの喜びをどうやって表現すれば良いのか分からず、ただ笑うしかなかった耐子が実にいじらしい。

 そして、こんな麗しいシーンを見ながら、どうせなら、森恵さんにはミニスカを履いて演じて欲しかったと思ってしまう管理人こそ、二代目「キング・オブ・人間のクズ」の称号がふさわしい。

 
 その後、しのぶと耐子は、千鶴子の留学のことを教えてやろうとあのライブハウスへ向かうが、店の前の看板に、こんな貼り紙がしてあった。

 どうでもいいが、相変わらずこのドラマの書き文字は独特で、「10日間」が「108間」に見えてしまう。

 路男は仕事も休んで、あの診療所に通いつめ、このままでは仮面ライダーストロンガーか電波人間タックルになってしまうのではないかと危ぶまれるほど、ひたすら電気を浴びまくっていた。

 一方、大丸邸の広間では、家族みんなで薄ら笑いを浮かべながら、ペアになって社交ダンスを踊っていると言う、とても1985年の日本とは思えないおぞましい光景が繰り広げられていた。

 近々渡米する千鶴子のために、ダンスパーティーを開くとかで、その練習をしているらしい。

 そこへ静子、しのぶ、耐子がやってくる。

 千鶴子が10日後に日本を旅立つと聞いて、三人も驚く。

 
 しのぶ「随分急なのね」
 千鶴子「私のわがままなの……しのぶさん、私がいなくなったらお父様たちが淋しい思いをするわ。タエちゃんと一緒にしょっちゅう遊びに来て上げて」
 しのぶ「ええ」

 それこそとろけるような笑顔を浮かべてしのぶの持参した花束を受け取る千鶴子。

 とてもこれが、かつてしのぶをいびり倒していた人間と同一人物とは思えない。

 その後、剛造夫婦、千鶴子と静子、雅人としのぶというペアで再びダンスが始まるが、しのぶはいかにもつらそうな表情で雅人と手をつないでいた。

 また、千鶴子も静子と踊りながら、二人に向けて何度も視線を送っていた。

 気遣わしそうに彼らの様子を見ていた耐子は、

 
 耐子「雅人さん、私にもダンス教えて! ね、教えてよ」
 雅人「ああ、いいよ」

 
 わざと子供っぽい態度で雅人におねだりし、姉から雅人を奪うようなことをする。

 それはそうと、耐子がはしゃいで転びそうになった瞬間、パンツが見えないかぁとコマ送りしたゲス野郎は、この私です。

 翌日、公園の噴水の前で雅人が人待ち顔で立っていると、意外にも耐子が息を弾ませて走ってくる。

 
 耐子「雅人さん、急に呼び出してごめんなさい」
 雅人「話ってなんだい?」
 耐子「私ね、ずっと雅人さんのこと見てた、千鶴子お姉さんとしのぶ姉ちゃんのこと見てた、みんなとってもつらそう……それがたまんないのっ。雅人さんのほんとの気持ちを教えてください」
 雅人「僕の本当の気持ち?」
 耐子「千鶴子お姉さんとしのぶ姉ちゃんのどちらが好きなんですか?」

 耐子は耐子なりに、三人のややこしい関係について小さな胸を痛めていたのだ。

 そして雅人にそんな窮極の質問が出来るのは、若さゆえの怖いもの知らずの耐子だけであったろう。

 それに対し、雅人は、

 雅人「そうだな、顔は千鶴ちゃんで、体はしのぶさんかな」
 耐子「やっぱり……」

 嘘である。

 雅人、ぎこちない苦笑いを浮かべながら目を逸らし、

 雅人「タエちゃん、困った人だな」

 はぐらかすようにつぶやくが、耐子も返答を求めて食い下がる。

 雅人「僕は千鶴ちゃんを愛してるよ」
 耐子「うそっ!」
 雅人「僕は一生千鶴ちゃんに寄り添って生きて行こうと思ってる」

 雅人も真剣な顔になって自分の気持ちも打ち明けるが、耐子は納得しない。

 
 耐子「違う、雅人さんのほんとに好きな人はしのぶ姉ちゃんよ!」
 雅人「そんなことはない」
 耐子「雅人さんは自分で自分を偽ってるのよ」
 雅人「……」
 耐子「あなたは確かに千鶴子お姉さんを愛してるわ。でもそれは兄妹としての愛よ……雅人さんが心の底で愛してるのはしのぶ姉さんのはずよ」

 いつの間にそんな洞察力を身につけたのか、耐子はずばり雅人の心底を見抜くと、さらに、雅人が剛三の実の娘であるしのぶと結婚すれば、南部開発の正当な後継者の地位も同時に獲得することになるが、逆にそれが打算的な行為に見えて、雅人の情動にブレーキをかけているのだと喝破する。

 耐子「でもね、雅人さん、本当の心のままに生きるべきよ。いまみたいに自分を偽ってたらみんなが苦しむだけよ」
 雅人「タエちゃん、確かに僕は君の言うとおり、しのぶさんが好きだ、だけどね、僕は千鶴ちゃんの心の支えになろうと決めてるんだ」

 雅人は耐子の指摘を認めた上で、きっぱりそう言って耐子の前から去って行く。

 しかし、不良行為に身をやつしたり、覚醒剤中毒におかされたり、しのぶや剛造との関係で情緒不安定に陥ったりしていた頃とは違い、それらを乗り越えてすっかり立ち直って逞しくなったように見える千鶴子への評価としては、雅人の台詞はいかにも当を失しているように聞こえる。

 ちなみに耐子はむしろ雅人としのぶを結婚させようとしているのに、昨夜のダンスのときに二人の邪魔をしたのは矛盾しているようにも見えるが、たぶん、雅人と結婚できないと諦めつつ、雅人への想いを断ち切れないしのぶの苦しむ姿を見るに見かねて、あえてお邪魔虫の役を買って出たのだろう。

 後編に続く。
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コメント

態度は変わらず

すっかり真人間になった竜作ですが、ちゃっかり加減は変わっていないようですね😅
片腕切断って本来なら診断書(同意書)にサインしないと❌の筈ですがね

No title

うーん、やっぱり優子さんや島田とか教会とか出ないとつまらないなー。
ダンスパーティーのシーンで、「もうこのドラマあと何がしたいんだろ」ってリアルタイムで思っていたのを思い出しました笑

一番驚いたのは、まさかこの回で管理人さんが前後編に分けたことです笑
もちろん後編も見ます。唯一好きなシーンがあったので。

作風

>「高校聖夫婦」では、同じく鶴見さん演じる主人公は、偽装結婚した典子(いとうまいこ)と半年にわたって同棲しながら、最終回まで一度もセ○クスしないという、およそ信じがたい快挙を成し遂げているのだ。
佐々木守さんですからね。彼の思想は過激だけど、作風はそうでもない気が。
「健全な肉体」には「健全な精神」が宿るのでしょう(現実では保全されてませんが)。

納得いかない

>初代「キング・オブ・人間のクズ」にしては、これ以上ない幸せな状況と言うべきだったろう。
昨日最終回の「犯罪症候群Season2」は「少年犯罪の被害者家族の復讐」で
善良な人々が狂っていき、「これ以上は考えられない悲惨な死」を遂げていました(-_-;)

Re: 態度は変わらず

まあ、性格までは変わらないんでしょうね。

Re: No title

> うーん、やっぱり優子さんや島田とか教会とか出ないとつまらないなー。

全体的にキャラが減ったような感じですよね。

> 一番驚いたのは、まさかこの回で管理人さんが前後編に分けたことです笑

いや、特に深い意味はなかったんですが……

Re: 作風

対照的に、最近見た「秘密のデカちゃん」では、主人公(石立鉄男)が自分の養女(大場久美子)と結婚してハメまくるというとんでもないことをやってました。

Re: 納得いかない

そうなんですか。最近のドラマは全然見ないので分かりませんが……

No title

>くどいようですが、松井さん、いくらなんでもメイク濃過ぎません?

まあ、松村さんと実年齢では親子ってあり得ないですからねw

そしてどうでもいいですが、今回、全体的に千鶴子の衣装がダサい気が……w
ギラギラお嬢様ヘアじゃなくなったから浮いて見えるのかな?

Re: No title

> まあ、松村さんと実年齢では親子ってあり得ないですからねw

はっきり言ってミスキャストですよねえ。

> そしてどうでもいいですが、今回、全体的に千鶴子の衣装がダサい気が……w

そうでしたか。そこは気付きませんでした。

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Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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