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「帰ってきたウルトラマン」傑作選 第51話「ウルトラ5つの誓い」



 第51話「ウルトラ5つの誓い」(1972年3月31日)

 いよいよ最終回である。

 この「帰ってきたウルトラマン」のレビューは、他の作品のように放送順ではなく、管理人が選んだエピソードの中からランダムで公開していくという変則的な方法を採ってきたが、それでもやはり最後は最終回で締めねばなるまい。

 冒頭、日の出を迎えたばかりの砂浜の上で、和服姿の郷とルミ子が、次郎やMAT隊員たちの見守る中、おごそかに三々九度の盃を交わしている。

 そう言えば、同じ上原さんの書いた「レッドバロン」の最終回にも、こんなシーンがあったなぁ。

 ただ、ウルトラマンである郷が、人間の女性と結婚するとは思えず、これは誰かの見ている夢であることは容易に想像がついたが、

 
 夢でも何でも、最初にして最後の、丘ユリ子姫の着物姿を見せてくれたスタッフに、心から感謝の辞を捧げたい管理人であった。

 だが、そこへ防衛隊員らしき男性があらわれ、伊吹隊長に耳打ちする。

 画像は貼らないが、この男性を演じているのが、怪獣のスーツアクターをやっている遠矢孝信さんなのである。

 おそらく、怪獣か、宇宙人か、NHKの集金人だかが出現したとの知らせだったのだろう、伊吹隊長以下、MAT隊員たちの表情が俄かに緊張し、

 
 伊吹「出撃!」

 一瞬で着物を脱いで制服姿になると、花嫁をほったらかして走り出してしまう。

 ルミ子は花嫁衣裳のまま郷を追いかけて砂浜を疾走するが、

 
 ルミ子「はっ」

 目の前の岩場に、バット星人と言う宇宙人が現れ、勝ち誇ったような哄笑を響かせる。

 ルミ子「あーーーーーっ!」

 壊れた笛のような悲鳴を上げ、思わずあとずさるルミ子。

 なんだかんだで、岩崎さん、綺麗なんだよね。

 しかし、夢でもいいから、アキにも花嫁衣裳を着させてやりたかった。

 その悲鳴で、ルミ子は現実の世界に引き戻される。

 
 ルミ子「はぁああ、ああ、ここは何処?」
 次郎「何言ってんだ、僕たちバット星人に攫われてきたんじゃないか」
 ルミ子「そうだったわね」

 そう、それはルミ子が見ている夢の中の出来事だったのだ。

 そして、二人は既にバット星人に捕まっており、薄暗い、物置のようにゴタゴタした部屋に監禁されていた。

 もっとも、手足は縛られていないので、なんとか脱出しようと建物の中を走り回った挙句、階段を上がってようやく球場の観客席に出るが、

 
 次郎「あっ」

 さっきの夢と同じく、行く手にバット星人があらわれ、二人は慌てて建物の中に引き返す。

 結局二人はバット星人の手からは逃れらないのだった。

 同じ頃、郷も自宅のベッドの上で恐ろしい夢を見ていた。それは、「ウルトラマン」最終話にて宇宙恐竜ゼットンが、初代ウルトラマンを一方的に嬲り殺すという、夢と言うより、かつて現実に起きた出来事だった。

 
 郷(確かに初代ウルトラマンはゼットンにやられた……どうしてこんな夢を見たんだ? つーか、初代って誰? じゃあ俺二代目なの? だったら『帰ってきたウルトラマン』じゃないじゃん!

 目を覚まし、あれこれ考え込む郷であったが、途中から嘘である。

 郷が制服姿のまま寝ていたのは、昨夜から次郎(とルミ子)が家を出たきり帰らないので、夜通し起きて待っていたが、ついうとうとしてしまったからなのだろう。

 そこへ電話が鳴り、てっきり次郎からの電話だと思って受話器を取るが、聞こえてきたのは、割と聞き覚えのある(阪脩さんの)渋い声であった。

 バット星人「郷秀樹だな」
 郷「違います」
 バット星人「……」

 じゃなくて、

 バット星人「郷秀樹だな」
 郷「君は誰だ」
 バット星人「二人に会いたければ東亜スタジアムに来い。お前ひとりで来るのだ」

 ちなみに声優の阪脩さん、そろそろ御年90歳になろうかと言うのに、2018年まで声優の仕事をしてらしたらしい。凄いなぁ。

 それはともかく、郷がすぐにスタジアムに駆けつけると、観客席でバット星人が待っており、次郎とルミ子がフェンスに縛られているのが見えた。

 
 郷が二人の下へ駆け寄ろうとすると、球場のすぐ外に、あのゼットンらしき怪獣が姿を見せ、ポロロロロロ……と言う、独特の効果音を出して郷を威嚇する。

 ただし、こちらは二代目ゼットンであり、その風格において、初代ゼットンの足元にも及ばない。

 郷「ゼットン!」
 バット星人「どうだ、郷、いや、ウルトラマン、ゼットンと戦う勇気がお前にあるかな」

 ……と言うのだが、割と近くにいるルミ子たちに聞こえたら、この時点で郷がウルトラマンだということがバレてしまいそうだ。

 あるいは、郷にしか聞こえないテレパシーで語りかけているのだろうか。

 郷、その場でウルトラマンに変身しようとするが(それこそ次郎たちに見られるのでは?)、変身の途中で不思議な光に包まれ、

 
 声「焦ってはいけない、郷秀樹」
 郷「その声は?」
 声「ゼットンは恐るべき武器を備えた怪獣だ。迂闊に出ると私同様不覚を取るぞ」
 郷(初代ウルトラマン……)

 そう、それはかつてゼットンに倒された初代ウルトラマンからのアドバイスだった。

 もっとも、結果論から言えば、初代ウルトラマンの心配はあまりに大袈裟だったと思われる。この場で郷がウルトラマンに変身して戦っていれば、たぶん、普通に勝っていただろう。この時点ではMATも健在で、その援護も期待できたであろうから。

 一方、バット星人が、わざわざゼットンの二代目を名乗る怪獣を連れてきたのは、そのネームバリューで相手を必要以上に萎縮させて戦いを有利に運ぼうという意図があってのことだろうが、そう言う意味では、その目論見は100パーセント成功したと言うべきである。

 バット星人「どうした、郷、変身するのだ」
 郷(くそう)
 バット星人「はっはっはっ、よかろう、どうせお前はウルトラ抹殺計画通りに殺すのだ」

 郷がゼットンの威名を恐れて変身しようとしないのを見て、バット星人が心地よげに嘲笑う。

 
 郷「ウルトラ抹殺計画とはなんだ?」

 
 バット星人「ウルトラ抹殺計画とは……」
 郷(教えてくれるんだ……)

 敵の質問に即答してくれる、結構イイ奴かもしれないバット星人。

 バット星人「ゾフィ、初代ウルトラマン、ウルトラセブン、つまり裏切り者のウルトラ兄弟を皆殺しにする計画なのだ」
 郷「なんだって」
 バット星人「M78星雲のウルトラ星に、いま、バット星連合部隊が向かっている。お前の兄弟たちが死ぬのも時間の問題だ」
 郷「そうか、それでゼットンを俺に……」

 しかし、「裏切り者」って、一体どういう意味なのだろう?

 まるでバット星人が率いる軍団に、かつてウルトラ兄弟が所属していたようにも聞こえるが、単に、宇宙人の癖に地球人に味方して他の宇宙人を倒してきた「裏切り者」と言う意味で使っているのだろう。

 郷、相手が容易ならぬ相手であると判断し、涙を飲んで一旦退却し、伊吹隊長に事情を話す。

 
 郷「そいつはゼットンを操って地球征服を企んでいるんです」
 伊吹「ゼットンか」
 上野「バカな宇宙人め、MATがいるってことを知らねえのか?」
 一同「……」

 今までウルトラマンにおんぶに抱っこして貰って来た分際で、よくそんな偉そうなことが言えるものだと、上野隊員の途方もない厚かましさに、逆に感心してしまう隊員たちであった。

 だが、ゼットンの名前はMATに対しても霊験あらたかで、剛毅な伊吹隊長すら、迂闊に手出しできないと腕を組んで太い息を吐くほどだった。

 と、そこへそのゼットン出現の知らせが入る。

 
 隊員「隊長、東京B地区にゼットンが現れました」
 伊吹「ようし」

 で、この通信係を演じているのが、ウルトラマンの中の人、きくち英一さんなのである。

 スーツアクターが二人とも素顔で出演しているのは、無論、最終回と言うことで、スタッフからの粋な計らいであった。

 
 ポロロロロロロ……と言う、独特の効果音を発しつつ、番組最後の気合の入ったセットにあらわれた二代目ゼットン。

 早速手当たり次第に街を破壊に掛かる。

 ちなみに手前に映っている赤い橋がイヤでも目を引くが、何故か劇中では壊されないまま終わってしまい、逆の意味でちょっと勿体無い。

 MATが出撃し、空と陸から死に物狂いの総攻撃を加えるが、ゼットンは涼しい顔。

 ま、これは毎度のことなので、特に二代目ゼットンが強いとは言えないのが悲しい。

 つーか、いい加減MATも気付けよ、通常兵器では怪獣を倒せないってことに。

 それこそ、初代ゼットンを倒したペンシル爆弾のような、特殊な新兵器でも使えばいいのに……

 さて、順調にMATジャイロが撃墜され、残った郷はMATアローでゼットンに突っ込んでいく。それを見ていた伊吹隊長は、

 
 伊吹「郷、あまり無茶をするな! 後はウルトラマンがなんとかしてくれるから!
 郷「……」

 郷、自分が毎回力を貸してきたせいで、MATがすっかり駄目な防衛隊になってしまったことを、最終回になって漸く悔やむのだった。

 ……と言うのは嘘だが、同時に、厳然とした事実でもある。

 郷のアローも、燃料タンクを撃たれたため、付近の空き地に不時着する。

 同じ頃、バット星人が手薄となったMAT内部に侵入し、その動力源である原子炉を破壊するのだが、バット星人の姿は一切出て来ず、ナレーターによる説明と、原子炉の爆破シーンだけで済ませているのはちょっと物足りない。

 家が火事とも知らず、執拗に地上から攻撃を加える伊吹たち。

 と、ゼットンが一瞬姿を消すが、次には、手にルミ子と次郎を乗せてあらわれる。

 ついで、近くのビルの屋上にバット星人が立ち、

 バット星人「ようく聞けMAT、今日の夕方5時、この二人を処刑する」
 郷「なにぃ、二人を返せーっ!」
 バット星人「人質を返せと言われて返す馬鹿がどこにいる?」
 郷「いや、まあ、そうなんだけど……」

 じゃなくて、

 バット星人「処刑の場所は東亜スタジアム」

 よほどあの球場が気に入ったのか、バット星人はそう言うと姿を消し、ゼットンも二人を乗せたまま去って行く。

 郷「待て、ゼットン!」
 伊吹「落ち着け、奴は俺たちに戦いを挑んできたんだ。二人を無事に救出するために戦力を立て直す必要がある。5時まで、あと4時間か」

 と伊吹隊長は言うのだが、僅かな時間で戦力のほとんどを失い、原子炉まで破壊されてしまったMATと、バット星人が本気で戦おうとしていると考えているのが、度し難い身の程知らずであった。

 バット星人の狙いはあくまで郷……ウルトラマンなのだ。

 CM後、とりあえず本部に戻った伊吹隊長たちであったが、肝心の動力源をやられているので、電気さえつかないありさまで、

 
 岸田「報告します。武器弾薬庫が浸水、一切の武器弾薬が使用不能です」
 伊吹「ようし」
 南「隊長、エアポートが破壊され、アローもジャイロも飛ぶことは不可能です」
 伊吹「よし」

 さすがの伊吹隊長も、次から次へと上がってくる悪い知らせを、腕組みして聞くより他に手の打ちようがないのだった。

 郷「隊長、不時着したMATアローがあります」
 伊吹「あれを修理しようと言うのか」
 郷「はい、なんとか」

 と言う訳で、隊員総出で不時着したMATアローのところへ行き、大急ぎで応急修理を済ませ、ともかくも動かせるようにする。

 だが、燃料もほとんどなく、せいぜい10分しか飛べないと分かり、隊員たちの顔が曇る。

 ま、そもそも、ただのMATアローがいくら奮起したところで、ゼットンを倒せる筈がないのだから、最初から無意味な行為なのだが。

 そんな状況下で出撃を志願したのが、言うまでもなく郷であった。

 
 郷「隊長、行かせてください、ゼットンを倒さぬ限り、地球の平和、いや、全宇宙の平和もないでしょう!」
 伊吹「うーん、ちょっと盛り過ぎじゃない?」
 郷「すいません、つい勢いで……」

 じゃなくて、

 郷「この戦いが奴を倒す最後のチャンスなんです!」

 
 伊吹「郷、君は……」

 いつになく真剣な郷の眼差しに、ハッとして何か言いかける伊吹隊長。

 郷がウルトラマンであることを薄々知っていると思われる伊吹隊長、郷が、ウルトラマンとしての命を投げ打ってでもゼットンを倒そうとしていることに気付いたのではないだろうか。

 伊吹「ようし、やってみろ」
 郷「全力を尽くします。隊長、お元気で……」

 まるでこれが今生の別れであるかのように、伊吹隊長としっかり手を握ってそんな言葉を掛ける郷。

 さらに、ひとりひとり、他の隊員たちと手を握り、別れの挨拶を告げる。

 
 郷「南隊員」

 いつも郷に優しかった南隊員。

 
 郷「岸田隊員」

 最初はぶつかりあうこともあったが、いつの間にか肝胆相照らす仲となった岸田隊員。

 
 郷「丘隊員」

 そして紅一点の丘ユリ子姫。

 
 郷「……さ、行くか」
 上野「おおおおおいっっっ!!」

 ま、お約束と言うことで。

 郷「上野隊員」
 上野「うん」

 チームのムードメーカーだった上野隊員。

 別に実務能力がなかったと言ってる訳ではない。

 その後、MATアローに乗り込む郷を見ながら、

 岸田「あいつ、まるで死にに行くみたいだな」

 郷の出撃に合わせて、隊員たちは東亜スタジアムへ向かい、伊吹隊長と丘隊員は二人の救出に、他の三名は地上からゼットンに援護射撃を加える。

 
 勇敢な丘隊員、バット星人とタイマンまでしちゃう。

 バット星人には銃も利かず、勝ち目はないと思われたが、

 
 伊吹隊長が苦し紛れに取り出したナイフに夕陽を反射させ、バット星人の目を眩ましたところでナイフを投げると、見事にバット星人の胸に突き刺さる。

 しかし、銃弾さえ弾いていたのに、ただのナイフが刺さるというのはなんか変である。

 バット星人、そのままスタジアムの外壁から外へ落ちる。

 もっとも、宇宙戦争を起こそうとしている宇宙人がそれくらいで死ぬ筈がなく、巨大化して復活する。

 それでも、お陰でルミ子と次郎を無事に助け出すことが出来たのだから、伊吹隊長のお手柄であった。

 
 色々あって、結局MATアローを撃墜された郷が、いつものようにウルトラマンに変身する。

 なんとなく、バット星人とゼットンが世間話をしているみたいで可愛い。

 二対一のハンディキャップマッチとなり、ウルトラマンもそこそこ苦戦するが、やはり二代目ゼットンは見掛け倒しの怪獣だったらしく、

 
 ランスに変形させたウルトラブレスレットで、まず、おやびんのバット星人を串刺しにすると、

 
 ウルトラマン「ウルトラハリケーン!」

 その体を持ち上げ、珍しく技名を叫ぶと、

 
 空中に向けておもっいきり放り投げ、

 
 すかさずスペシウム光線を放って木っ端微塵に粉砕する。

 よ、弱い……

 最初に初代ウルトラマンが止めたのが、まったくの老婆心だったことが分かる。

 これで、郷がすぐ伊吹隊長たちの前に顔を出していれば、いつもと全く同じことの繰り返しになるのだが、出撃前からある決意を胸に秘めていた郷は、あえて姿を見せず、伊吹隊長たちに死んだと思わせる。

 
 伊吹「勇敢なMATの戦士に黙祷……敬礼!」

 気の早い伊吹隊長たちは、砂浜に十字架を立て、それに郷のヘルメットをかぶせて、郷の冥福を祈る。

 伊吹「さあ、我々はいつまでも悲しんでばかりはおれんぞ、これから役所や金融機関への届け出、葬儀会社との香典返しの打ち合わせなど、することはいくらでもあるんだ!」

 じゃなくて、

 伊吹「さあ、我々はいつまでも悲しんでばかりはおれんぞ、破壊されたMAT基地の再建を図ること、おそらく郷も一番それを望んでいるであろう」

 
 伊吹隊長の台詞に合わせて、隊員一人一人のアップが映し出されるが、最後の最後にこんな綺麗な丘隊員のアップが見れて、管理人は幸せである。

 伊吹「さ、行こう」

 尺の関係もあって、伊吹たちは薄情と思えるくらいあっさり追悼を打ち切って歩き出す。

 
 ルミ子「帰ってくるような気がするんです、郷さんが」
 
 伊吹隊長の背中に向かってルミ子が言うと、伊吹隊長も振り向いて、同感だといわんばかりに頷いてみせる。

 
 と、伊吹たちが立ち去って間もなく、砂浜の向こうから、本当に郷のすらりとした長身があらわれ、こちらに向かって駆けてくるではないか。

 それは二人の見た幻影ではなく、血肉を備えた現実の郷であった。

 
 次郎「あー、やっぱり思ったとおりだ、郷さん、郷さん」
 郷「はっははははっ」

 歓喜するルミ子と次郎であったが、

 
 郷「旅に出るんです」
 次郎「郷さん、何処に行くの」
 郷「故郷だ。平和な故郷を戦争に巻き込もうとしている奴らがいる。だから手助けに行くんだ」

 すぐに郷から悲しい別れを告げられる。

 しかし、さっきの戦いを見ても分かるように、バット星人ってハッタリだけのチキン野郎なのは明らかで、わざわざ郷がウルトラの星に加勢に行く必要はないと思うんだけどね。

 それでも、ウルトラ戦士が旅立つ理由としては、これほど説得力のある理由はないだろう。

 
 郷「次郎を頼みます」
 ルミ子「はい」
 郷「ウルトラ五つの誓いを言ってみろ」
 次郎「いやだ」
 郷「言いたくなければいい。だが次郎、大きくなったらMATに入れ。MATの隊員はみんな勇気ある立派な人たちだ、君も嫌なもの、許せないものと戦える勇気ある男になるといい」

 郷、次郎に、最後のアドバイスを贈る。

 もっとも、次郎が大人になるまで、MATが存続しているかどうかは甚だ疑問だが。

 
 郷「これから帰ります」
 ルミ子「……」

 郷、星型のペンダントを取り出してルミ子の手に握らせる。

 ルミ子は無言で、「いつまでも待ってます」的な熱っぽい視線を郷に注ぐ。

 冒頭の夢でも明らかなように、ルミ子は郷のことを愛していたのだ。

 郷「グッバイ、ジロー」
 次郎「グッバイ」

 次郎がぼんやりした顔でつぶやくと、郷はすたすたと波打ち際に行き、

 
 海に向かって両手を広げる。

 
 と、その体から眩しい光が旋回して、ウルトラマンに変身、そのまま空の彼方に向かって飛んでいく。

 ウルトラシリーズのラストシーンの中でも、一際美しいショットである。

 もっとも、二人とも薄々そのことに気付いていたのか、郷が自ら正体を暴露しても、それほど驚いた様子は見せない。

 
 次郎「郷さーん、ウルトラ五つの誓い、一つ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと、一つ、天気のいい日に布団を干すこと、一つ、道を歩く時には車に気を付けること、一つ、他人の力を頼りにしないこと、一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと! 聞こえるかい、郷さーん!」

 砂浜を全力で走りながら、見る見る小さくなっていくウルトラマン、いや、郷に向かってありったけの大声を振り絞って叫ぶ次郎。

 それにしても、「他人の力を頼りにしないこと」って、どっかの防衛隊の人たちに聞かせてやりたい台詞である。

 
 ルミ子「ほら、泣かないで、次郎ちゃん、男の子でしょ」
 次郎「……」

 追いかけてきたルミ子が、自分も目に涙を溜めながら、次郎を優しく励ます。

 ナレーター「こうしてウルトラマンは去っていった。しかし、太陽のように強く逞しかった郷秀樹の姿と心はこの少年と少女の心の中でいつまでも燃え続けることであろう。さようなら郷秀樹、さようならウルトラマン」

 手を振る二人の映像に感動的なナレーションがかぶさり、光に向かって飛んでいくウルトラマンの姿を映しつつ、幕となる。

 ……

 それにしても、傑作選ということで、もっと簡単に片付けるつもりの作品だったのだが、これほど時間が掛かるとは……

 基本的にシリアスなドラマで、台詞も多く、なかなか大変なレビューであった。

 以上、「帰ってきたウルトラマン」傑作選レビュー、これにて終わりです。

 読者の皆様、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
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コメント

ありがとうございます😊

管理人様、帰マンのレビューありがとうございました😊確かに最初の段階で郷が変身していれば、あっさりと(ゼットン達を)片付ける事が出来たと思うのですがね😅バット星人のハッタリに郷が一杯食わされた為に時間がかかってしまいましたね。楽しい作品が多かったので苦にならなかった事が救いですね

お疲れ様でした。

団時朗さん、やっぱりスーツ姿も様になりますね〜(^_^)帰ってきたウルトラマン…グロスではセブンみたいに名作とは言い難いですし、怪獣の造形も緩い感じがするんですけど、やっぱり…好きなんですよねぇ…。f^_^;

ウルトラ兄弟が何故裏切り者なのか

それは「夜を蹴散らせ」を参照して下さい。

ご苦労様

先の「セブン」、後の「A」と正体を明かして地球を去るのは同一展開ながら
描かれ方が三者三様なのは脚本家のスタンスの違いでしょうか。

しかしバトルに関しては「帰ってきた」は、これまで二対一の絶体絶命で続く!
展開が多かっただけにラストはネームバリューに頼った見掛け倒し感が強い。
「セブン」は過去の戦いで主人公が既にボロボロだったし、
「A」はヤプールの復讐&合体超獣ジャンボキングで
それぞれ、もちっとハラハラ感があったものですが。

No title

「帰ってきたウルトラマン」と同じ第2期及びその後番組である「ウルトラマンA(エース)」を是非お願いしますので、みんなで見よう!

Re: ありがとうございます😊

最後までお読み頂き、こちらこそありがとうございました。

Re: お疲れ様でした。

ありがとうございます。

まあ、「セブン」と比べると落ちますが、レビューして良かったと思える作品でした。

Re: ウルトラ兄弟が何故裏切り者なのか

ご教示ありがとうございます。そう言えば「裏切り者」って言ってましたね。

Re: ご苦労様

ありがとうございます。

> しかしバトルに関しては「帰ってきた」は、これまで二対一の絶体絶命で続く!
> 展開が多かっただけにラストはネームバリューに頼った見掛け倒し感が強い。

そうですね。ナックル星人とブラックキングのコンビの方が遥かに強かった気がします。

Re: No title

勿論やります。近日レビュー開始予定です。

生ぬるい演出?

 いよいよ最終回なのはわかるけど。第37・38話の過激すぎの演出やストーリー・シーンを見てるせいか?物足りなさを感じちゃうのよね。最終回にナックルやブラックキングのような過激さを出しても良かったと思うけどね。ルミ子ちゃんはさすがに死なせるわけにはいかなかったのかな?
 そのルミ子ちゃんはすごいよね。人質になってるのに、郷さんと結婚式を挙げる夢を見る余裕を。その夢をあの世のアキちゃんに見せようではないか。そうなると女同士の修羅場・怪獣戦争になっちゃうな。それもまた見ものかな。
 ラストに郷さん。その前にMATの皆様。
勝手に殺さないでくださいよ。墓も作るな!きちんと確認しやがれ!
生きていると判明した郷さん。何でスーツ+ネクタイ?どうせ変身するんやろう?正装する意味ねーやんか!

Re: 生ぬるい演出?

>  いよいよ最終回なのはわかるけど。第37・38話の過激すぎの演出やストーリー・シーンを見てるせいか?物足りなさを感じちゃうのよね。最終回にナックルやブラックキングのような過激さを出しても良かったと思うけどね。ルミ子ちゃんはさすがに死なせるわけにはいかなかったのかな?

前後編じゃないですしねえ。

>  そのルミ子ちゃんはすごいよね。人質になってるのに、郷さんと結婚式を挙げる夢を見る余裕を。

確かに(笑)物凄いポジティブですね。

No title

「帰ってきたウルトラマン」の後番組の「ウルトラマンA(エース)」はまだですか?

Re: No title

まだです。

ゼットン弱すぎ

テレポーテーションしない
バリア張らない
腕力ない

スペシウム光線でトドメ・・・があかん。

ウルトラ五つの誓い

一つ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと
朝食食べないと頭(糖分のみがエネルギー)が回らないから正解ですね

一つ、天気のいい日に布団を干すこと
ダニ怖いですからね

一つ、道を歩く時には車に気を付けること
高齢ドライバーの事故怖いですね(-_-;)

一つ、他人の力を頼りにしないこと
他人に期待しなければ「裏切られた」とか腹を立てることもありません。

一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと
足を切ってそこからばい菌が入るからダメですよ。

放送から48年間、最後以外の4つを守ってきたおかげで生きております。
聞こえるかい、上原先生!

Re: ゼットン弱すぎ

ただのザコ怪獣でしたね。

Re: ウルトラ五つの誓い

それなりに合理的な「誓い」なんですね。

ちなみに私は小学生の時は、校舎の中では常に裸足で歩き回ってました。足の裏を鍛えるために。

しょぼい怪獣

どうもウルトラシリーズの最終回に登場する怪獣達(或いは星人)は物語の盛り上がりに反比例してしょぼいですね😓初代ゼットンのインパクトの半分以下の面子(実力)では勝てる筈もないですね😅

Re: しょぼい怪獣

子供の頃は、このゼットンの弱さから、新マンに対する評価も低かった記憶があります。

ルミ子さん不憫

>郷「次郎を頼みます」
ルミ子「はい」
郷が遠慮なさ過ぎだし、ルミ子がいい人過ぎな気がするなぁ・・・
かと言って「親戚をたらい回しにされる」とか「施設に入る」のもヤダなぁ・・・

川口氏

「大鉄人17」のゲストを最後に完全に表舞台から姿を消してるみたいだけど
もしインタビューできたら「新マン」「Ⅴ3」の貴重な話が聞けるのになぁ・・・

Re: ルミ子さん不憫

二人の関係も、最後まで中途半端でしたね。

Re: 川口氏

まあ、こればかりは御本人の気持ちしだいですからねえ。

本屋にて

「帰ってきた」のムック本みたいなのがありました。

>夢でもいいから、アキにも花嫁衣裳を着させてやりたかった。
団次郎氏もアキちゃんが死んだ直後から
別の女の子と仲良くするのはさすがに抵抗があったそうです。

まあ撮影の外では「岸田さんは自宅に遊びに行って蝶のコレクションを見せてもらったりしました。榊原さんは松竹の看板女優で付き人やマネージャーが何時も傍に居て撮影が終わると、すぐ帰るので一緒に食事した事もありません」らしいですが。
隊長や隊員役の人の事も語ってますが岸田隊員役の西田さんだけスルーされたような…。

2008年に「大決戦!超ウルトラ8兄弟」では坂田さん亡き後、アキちゃんと結婚して後を継いだ(婿養子?)郷がパラレル展開で描かれましたな。

Re: 本屋にて

> まあ撮影の外では「岸田さんは自宅に遊びに行って蝶のコレクションを見せてもらったりしました。榊原さんは松竹の看板女優で付き人やマネージャーが何時も傍に居て撮影が終わると、すぐ帰るので一緒に食事した事もありません」らしいですが。

貴重な情報ありがとうございます。

まあ、視聴者は勝手に思いを込めてしまいますが、俳優にとってはあくまで仕事ですからね。

これから帰りますの意味

小生はつい最近まで郷の“これから帰ります”の台詞が分からなくて困惑したぐらいです😅(本当かよ)郷の帰る場所は、故郷のM 78星雲なのですね😅

Re: これから帰りますの意味

まあちょっと分かりにくいですね。

初代って誰?じゃあ俺二代目なの?・・・・・・だったら『帰ってきたウルトラマン』じゃないじゃん!

今日が上原正三さんの一周忌なんで改めてレビュー拝見しました。

>≧「初代って誰?じゃあ俺二代目なの?・・・・・・だったら『帰ってきたウルトラマン』じゃないじゃん!

「帰ってきたウルトラマン」という番組のタイトルに対するメタ発言?ですね、わかります。

>≧隊員「隊長、東京B地区にゼットンが現れました」この通信係を演じているのが、ウルトラマンの中の人、きくち英一さんなのである。スーツアクターが二人とも素顔で出演しているのは、無論、最終回と言うことで、スタッフからの粋な計らいであった

>きくちさんのチョイ役については、ウルトラマンダンディーの河崎実さんとの対談でも触れられていますが、「なかなか気合が入ってますね。なぜかあごひげまで生やしている…この回には遠矢さんも出ていますよ」と語っていました。

>≧「ウルトラハリケーン!」とその体を持ち上げ、珍しく技名を叫ぶと空中に向けておもっいきり放り投げ

>きくちさんはこの場面についてはウルトラハリケーンでゼットンを投げたときに「ホリゾントにゼットンの影が映っている」ことを「せっかく最終回なのに残念だ」と指摘していましたが、2代目ゼットンの造形については「初代ゼットンを改造強化したと言われてますが、もうちょっとうまく作ってほしかった」と述懐されていました。

Re: 初代って誰?じゃあ俺二代目なの?・・・・・・だったら『帰ってきたウルトラマン』じゃないじゃん!

貴重な情報ありがとうございます。

二代目ゼットンは、子供の頃からカッコ悪いと思ってました。

丘ユリ子隊員!

丘ユリ子隊員の活躍について検索して、ここに来ました!それまでの女性隊員との位置付けの落差を感じてましたが、最終回の美しい丘隊員に会えて大変良かったです!!
ありがとうございました😊♪💕

Re: 丘ユリ子隊員!

ご訪問&コメントありがとうございます。

お喜びいただけて私も嬉しいです。

No title

最近は昭和の戦士達は皆、昔より強くなっている。ジャックは光線技、ブレスレットなしに、初代にはない流星スピンキックで仕留めたら凄いだろうな。

Re: No title

昔のキャラクターはどうしてもそう言う扱いになりますね。

No title

バット星人は、「ウルトラ兄弟」と初めて言ったけど、「裏切り者」の理由は何だろ?

Re: No title

なんでしょうね。地球人に味方したってことでしょうか。

ど偉い夢

バット星人に攫われて監禁されたルミ子さんは郷との結婚式を挙げた夢を見るとはある意味ではど偉いですね😅

Re: ど偉い夢

ポジティブですよね。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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