第45話「イガム王子!君は女!」(1988年1月9日)
地帝剣士ウナスとなったアキラを擁するイガムから挑戦を受けた4人は、正々堂々と受けて立つ。
正々堂々受けて立つのはいいが、ウナスの強さをあれだけ見せ付けられた直後だと言うのに、タケルたちが何の対策も用意していないのはあまりに工夫がない。
正月休み明けで、頭がぽわんとなっていたのだろうか?

モモコ「やめて、アキラ!」
ケンタ「忘れたのか、俺たちのことを?」
アキラ「イガム家に仕える地帝剣士ウナス!」
タケルたちは口々に叫んでアキラを正気に返らせようとするが、効果はなく、アキラの凄まじい攻撃の前に手も足も出ない。
その様子を高所から見ているセトと言う地底人の少年。
肩を叩かれて振り向くと、そこに姉のリセが立っていた。

リセ「きっと私たちの伝説は間違っていたのよ。地底人を救ってくれるウナスなんていなかった。ウナスとはイガム家のために戦う剣士でしかなかったのよ」
セト「この人が悪い人だなんて信じない、俺は絶対に信じないぞ!」
リセが諦め顔でつぶやくが、セトは頑強に否定して、走り出してしまう。
セトが駆け込んだのは、小さな洞窟の中で、リセもすぐに追ってくる。
多分、その洞窟が地底と繋がっていて、二人はそこから地上に出入りしているのだろう。

セト「あの人はいい人なんだ。姉ちゃん、お祈りしよう。一生懸命お祈りすれば、必ず俺たちの気持ちが通じるよ」
リセ「そうね」
洞窟の奥にはささやかな祭壇が設けてあり、二人は再び得体の知れない呪文を唱えだす。
一方、戦場では、突然大地が揺れたかと思うと、地中から、ミニサイズのガメラのような物体が浮上し、地帝獣の姿に変わる。

イガム「おお、地帝獣ガメスドグラー……イガム家の言い伝えにウナスのあるところ常に影のごとく付き添う地帝獣ありとある。それがこのガメスドグラーだ」
いかにもとってつけたような言い伝えであるが、ガメちゃん、要するに、今回のやられ役なのである。
ガメスドグラーと言う相棒を得たアキラ、いや、ウナスはまさに鬼に金棒、圧倒的なパワーで4人を痛めつける。
無策のレッドは「ひとまず退くんだ」と、仲間にトンズラを指示する。
だが、ガメスドグラーの背中に乗ったアキラは瞬間移動して4人の前にあらわれ、口から電撃ビームを放って吹っ飛ばす。
変身も解け、なすすべもなく斜面を転がり落ちるタケルたち。
モモコ「どうして、イガムにばかり有利なことが続くの?」 傷だらけのモモコ、あたかも
「このゲーム、バランス悪くね?」とでも言いたげに状況の悪化を嘆く。
気持ちは分かるのだが、それを自分たちの力で切り開くのがヒーローと言うものではないだろうか?

ハルカ「ほんとにもう私たちは勝利の女神に見放されてしまったのかしら?」
それを受けて、目下四週連続パンチラ中のハルカもつぶやく。
でも、逆に言えば、今まで(ほぼ)ずーっと勝利の女神に味方されてきたんだから、たまには相手の方に女神が加担したとしても、文句を言う筋合いではないと思うんだけどね。
少しは、延々見放され続けてきた悪の皆さんの身にもなれっての。
それはともかく、彼らの落ちたところは、あの洞窟の入り口の前だった。
当然、洞窟の中から二人の唱える呪文が聞こえてきて、4人は誘われるように洞窟の中に入っていく。

タケル「リセ、やめてくれ!」
セト「何をするんだ?」
タケル「いいか、君たちの呪文はウナスを呼び、今度はまたガメスドグラーと言う恐ろしい地帝獣を呼んでしまったんだ!」
セト「まさか」
リセ「私たちはウナスに祈っていたんです、正義の剣士に戻ってくれるように祈っていたんです」
タケル「気持ちは分かるが、その呪文を唱えれば唱えるほどイガムに有利なことばかり起きてしまうんだ」
ケンタ「恐ろしい呪文なんだ」
タケルたちは二人に必死に訴えて、詠唱をやめさせようとする。
ただ、タケルはそう断言しているが、ガメスドグラーの出現までリセたちの祈りによるものかどうかは実際のところ不明である。
そもそも、イガム家の言い伝えが事実なら、そんなことをしなくてもガメスドグラーはウナスのそばにあらわれていただろうからね。
などとやっていると、再びアキラとガメスドグラーが洞窟の中にワープしてくる。
ハルカが投げた煙幕弾でタケルたちは辛くもアキラたちの追撃をかわし、洞窟の外へ逃げる。
河原までたどり着き、川の水で喉の渇きを癒して一息つく一同だったが、ケンタはまだうじうじとリセたちの行為を責める。

ケンタ「アキラは地底人なんかじゃない筈なんだ。君たちがあんな呪文さえ唱えなければ……こんなことには……」
セト「違う、この人は地底人だ。僕は見たんだ、この人を地底で見たんだ!」
アキラそっくりのイラストを指差して、セトも懸命に自説の正しさを訴えるが、その詳しい話によって、彼らは、アキラがかつて地底に落ちて、チューブに攫われて奴隷として扱き使われていた太地琴恵さんたちを奮闘して助け出した時の勇姿を偶然目撃して、それを救世主ウナスだと思い込んでいたことが明らかになる。

セト「この人こそ、地底人を助けてくれるウナスなんだ」
リセ「私たちもセトの話を聞き、その人こそウナスになる人と信じました。そしてこの似顔絵を描いて救いを求めたのです」
つまり、その絵は、伝説の剣士ウナスの肖像ではなく、アキラ本人の似顔絵だったので、アキラに似ているのは当然のことだったのだ。
タケル「そうか、それで何もかも分かったぞ……セト、君はね、アキラが偶然地底に落ちた時の事件を見てしまったんだよ」
セト「えっ?」

モモコ「あなたたちは地底人を救う英雄を待ち望んでいたから、早とちりしてしまったんだわ」
ハルカ「また、その気持ちがあまりにも強く、あまりにも心を込めてこの似顔絵に祈ったからナウスの鎧はアキラに取り憑いてしまったのよ」
謎が解け、また、アキラが地底人でないことが分かって、晴れ晴れとした笑顔を見せるタケルたち。
しかし、だからと言って、アキラがすっかりウナスになりきってしまうというのは変だし、リサールドグラーの血を吸った土で出来たピラミッドとの関係性もはっきりせず、最初に何故アキラが盲目になってしまったのかと言う謎も解けないままである。
そもそも、剣士ウナスと言う人物が実在したのかどうかも曖昧なのだ。
あるいは、ウナスと言うのは、鎧に取り憑かれた剣士の総称で、その人格も鎧が作り出す擬似的なものではなかったか?
どっちにしても、ちびっ子たちには理解しにくい設定だったと思われる。
と、そこへまたしてもアキラがあらわれ、ガメスドグラーにまたがって攻撃を仕掛けてくる。
攻撃を避けようとして倒れたタケルが、イアル姫の形見のペンダントを落とすのを見て、
リセ「そのペンダントはイアル姫様のもの……」
結局タケルたちは全員アキラに捕まってしまう。
だが、CM後、

イガムは、70年代の「悪の組織」がしばしば嗜んでいた、捕まえたヒーローをわざわざ十字架に縛り付けてから処刑すると言うまどろっこしいことをしようとしていた。
そんな面倒なことをせずに、キャッチ&キルしていれば、イガムの大勝利であったろうに……

タケル「イアル姫は、チューブが攻めて来ることを教えてくれたんだ……命懸けでね」
こんな場合ながら、イアル姫との関係をリセに話して聞かせるタケル。
リセ「イアル姫様とあなたの間にそんなことがあったなんて……」

イガム「やれ、地帝剣士ウナス! マスクマン、かつての仲間に処刑される気分はどんなものかな?」
アキラ「……」
イガムの命令に、ためらうことなく剣を構えてタケルたちに向かっていくアキラ。

リセ「もっと早くマスクマンを知っていれば良かった。イアル姫様が信頼されていたマスクマンと力をあわせていればなんとかなったものを……」
タケル「そうか、イアル姫は地底人と地上の人間が平和のために手を結ぶことを願っていた。リセ、セト、
みんなで一緒に祈ろう!」
絶体絶命のピンチに追い込まれたヒーローと言うより、どっかの宗教団体の教祖みたいなことを言い出すタケル。
タケル「アキラの心に祈るんだっ」
セト「でも、火がないよ~」
セトがか細い声で指摘するが、

意外なことに、その様子は逐一光戦隊司令部のモニターに映し出されており、こともあろうにこの非常時に座禅を組んでメディテーションしていた姿長官は、セトの言葉にくわっと目を見開くと、
姿「オーラがある! オーラの火があるじゃないか!」 
東「でも、縛られていてはメディテーションが出来ないのでは?」
何週かぶりで登場した東ちゃん、1988年一発目の台詞を放つ。
ああ、やっぱり東ちゃんは美しい。
ここんところハルカのパンチラ連打でダメージを受けていた目が、みるみる癒されていくようだ……
姿「出来る、マスクマンなら出来る、オーラに乗せてアキラに祈りを届けるんだ」
それにしても、先々週からの、この一連のアキラ騒動に対する姿長官の怠慢と無策ぶりは、目に余るものがある。
部下のピンチだと言うのに、司令室から絶対に出ようとせず、モニター越しに見てるだけだし、たまに助言するかと思えば、「頑張れ」とか「負けるな」とか「今度は君たちの番だっ」とか、愚にもつかない精神論ばかりだし……
特に今回は、4人が処刑されそうになっているというのに、光戦隊隊員や援護のメカを派遣するなどと言う措置は一切取っておらず、長官失格の烙印を押されても仕方のない体たらく。イガムがその場で殺そうとしなかったから良いようなものの、管理人推奨のキャッチ&キルを敢行していたら、このオヤジ、一体どう責任を取るつもりだったのだろうか?
それはさておき、乗せられるとすぐその気になるタケルたちは、ハリツケにされた状態のまま、一斉にメディテーションに入り、リセとセトも再びあの呪文を唱えて、アキラに正気になってくれるよう祈りを捧げる。
しかし、瞑想と言う行為と、誰かに思いを伝えることは、根本的に違うことじゃないかと思うんだけどね。

アキラ「うわーっ、くうっ、ううっ……」
もっとも、困った時のメディテーション、今回もばっちり効き目をあらわし、4人の体からオーラの光が放たれてアキラの体に注ぎ込まれる。
リセ「アキラ、あなたはアキラ、強くて優しい人……」
リセとセトも、かつての颯爽としたアキラの姿を思い浮かべつつ、アキラに向かって念じる。

イガム「殺してやるーっ! はっああああーっ!」
アキラ「うわーっ!」
じれたイガムは、アキラの剣を掴んで一緒にタケルたちに向かって走り出すが、

ここでタケルたちのオーラエネルギーと、アキラをウナスたらしめている神秘のエネルギーとが反応し、後方のフーミンたちまで巻き込んだ凄まじい爆発となって飛び散る。

で、これがまた凄いエクスプロージョンショットで、タケルたちの手前で炎が膨れ上がり、画面全体が美しい炎色に塗り潰される。
タケルたちはもう慣れっこになっていただろうが、子役たちにとっては、目の前が炎の壁になるなんてスペクタクルな状況に置かれたのは、生涯一度の体験だったかもしれない。

イガムは爆発で空高く放り出されるが、無論、これはスタントである。
その衝撃で、今まで脱いだことのない漆黒のかぶとが脱げ落ち、地面に転がる。
タケル「あれは……」
爆発の衝撃で、何故か6人は自由の身となっていたが、

イガム「うう……」
くすぶる煙と陽炎のように揺らめく大気の中、長い髪を垂らしたイガムの後ろ姿がよろめくように立ち上がるのを見る。

そして、炎越しに振り向いたその顔は、

紛れもなく、イアル姫そっくりの女性であった。
ま、さっきと明らかにメイクが違ってることは大目に見てやってつかあさい。
アキラ「イガム……」
フーミン「イガム様……」
そう、イガムはイアルと同じく、女だったのである!
……って、まあ、一目見りゃ分かることで、むしろ今の今まで全く気付かなかったタケルたちの方がおかしいのだが。

それはそれとして、鎧をまとったロングヘアの女性って、実に絵になるなぁと思った管理人であった。
なんとなく仲間由紀恵さんに似てる気がする。
茫然と立ち尽くしていたイガム、やがて、タケルたちの視線に気付いて極度に狼狽する。
驚きは、チューブの本部でも広がっていた。
バラバ「イガム王子が女だったとは……」
アナグマス「おおー」
バラバもアナグマスもイガムが女であることは知らなかったようだが、ゼーバだけは知っていたらしく、不気味な笑いを漏らしていた。
イガム、女としての自分をタケルたちの目に晒していることに耐えられなくなったのか、戦いをおっぽり出して勝手に退却してしまう。
一方、イガムの暴露ですっかり忘れられていたアキラだったが、爆発の衝撃で、やっと正気に返っていた。

アキラ「俺は随分ひどいことをしたようだね」
タケル「何も言うな。悪いのは……
姿長官だあっ!」
姿「え~っ?」 ……と言いたいのは山々のタケルであったが、そこは大人なのでグッと堪え、
タケル「奴らだ!」
まだ戦場に残っていたフーミンたちのほうを振り返る。
フーミンたちも、ほんとは親分と一緒に逃げたかっであろうが、そうはスポンサーが卸さないのである。
この後、ガメスドグラーとのラス殺陣となり、漸く事件は落着する。
ラスト、リセとセトは元気に手を振ってマスクマンに別れを告げて地底に帰っていくのだが、地底では既に彼ら反乱分子の存在が発覚しており、地底に戻ったら危険なのではないだろうか?
それにしても、そもそものきっかけとなったキロスのピラミッド作りだが、結局あれで何をするつもりだったのか、最後まで分からずじまいであった。
キロスも、途中でどっか行っちゃったし……
ともあれ、イガム王子が女だったという衝撃の事実が発覚し、終盤に向けて、ますますドラマティックな展開が予想される「マスクマン」だった。
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