第22話「恋愛泥棒現る!~謎の怪盗予告事件」(2007年12月1日)
と言う訳で、ケータイ刑事シリーズ第6弾、「銭形海」のレビューなのです。
ただし、管理人、ヒロインの海(カイ)を演じる大政絢さんと言う女優に、
まったく思い入れがないので、選りすぐりのエピソード2本だけをレビューすることにしました。
まぁ、理由はそれだけじゃなく、「雷」と比べると、明らかにドラマ自体の出来も低下していて、取り上げるに値する作品が、ほんとに数えるしかないからなのだ。
で、今回紹介する22話だが、これも別にストーリーが面白いから選んだのではなく、劇場版2にも出ていた星野真里さんがゲスト出演しているからと言う、大変分かりやすい動機で選ばれたエピソードなのである。
どうせなら、星野さんにケータイ刑事の主役を演じて欲しかったところだが、年齢的にややオーバーしていると言うことで叶わぬ願望に終わってしまった。
冒頭、ケータイ刑事こと銭形海のそばで、五代がスナック菓子を食べながらだらだらしていると、柴田が海宛ての手紙を届けに来る。
裏にハート型のシールが貼ってあったので、てっきりラブレターかとワクワクしながら開封する海だったが、

それはラブレターどころではなく、40312泥棒と言う奇妙な名前の人物からの犯罪予告状であった。

二人は取り急ぎ、その伊勢屋質店なる質屋に向かうが、そこはいかにも由緒ありげな質屋で、店の前の犬矢来と言い、手垢で黒ずんだような柱や壁と言い、母屋に隣接する漆喰で塗り固められた土蔵と言い、いかさま時代劇にも出てきそうな佇まいであった。
店の帳場に、主人の伊勢が座って待っていた。

伊勢「伊勢屋の、伊勢サメオです」
海「質屋って、初めて。どんなお店なんですか?」
初対面の挨拶が済むと、海はなんの衒いもなく主人に初歩的な質問をする。
こういう素直ところはなかなか可愛らしいのだが、あまり好みのタイプでないのが残念である。
伊勢「お客様の大切なお品物をお預かりしまして、それを担保にお金をお貸しします」
海「お金を返せなければ?」
伊勢「お品物は頂きます」
海「うわー、シビアですね」
伊勢「シビアです、うちに残るお宝はお客様の涙の塊ですね」
問題の「クレオパトラの涙」を見せてもらうが、素人目にはただのガラス玉にしか見えなかった。
何の説明もないのだが、ダイヤモンドなのだろう。
と、そこへ、伊勢の食べていたスナック菓子のお代わりを持って、若い女性が入ってくる。
今回のゲスト、星野真里さん演じるみどりである。

海「伊勢さんの奥さんですか」
みどり「いえ、まだ……」
伊勢「みどりさんは婚約者です」
五代「美女とブサイクですね。はっはっはっ」
海「五代さん!」
失礼なことを言って無遠慮な笑いを立てる五代を、海が慌ててたしなめる。
伊勢「刑事さん、40312泥棒って聞いたことないんですけど」
五代「いやぁ、実は我々もまだ初耳でしてね」
二人は、伊勢に頼んで、普段「クレオパトラの涙」を保管していると言う蔵の中の金庫を見せてもらう。
蔵には、観音開きの分厚い鉄扉がついており、その奥にもう一枚ガラス戸が嵌まっていた。
伊勢が、300キロもあると言う金庫の中に宝石ケースを入れ、扉を閉めようとするのを海が止め、
海「あのー、暗証番号、今変えてもらえますか?」
五代「そう、そのほうがいいです」
海「みどりさん、すいませんが……」
みどり「はい、外します」

みどり、海の言わんとするところを察して、素直に背中を向けて暗証番号が見えないようにする。
伊勢「変えました」
五代「分かりやすい番号じゃ駄目ですよ。生年月日とか」
伊勢「誰にも分からない番号です」
などとやってると、早くも予告時刻の3時が近付いてくる。
五代と海は、いつの間にか来ていた柴田に外から鉄扉を閉めさせ、外部の見張りを任せると、蔵の中に留まり、「クレオパトラの涙」をガードすることにする。
なんで鑑識の柴田がそんな仕事しなきゃならないのか? などと聞いてはいけないのである。

伊勢「これでロック完了」
五代「完全な密室って訳ですね」
伊勢「ああ、みどりちゃんもいる。ここにいちゃ危ない」
伊勢、ガラス戸を締めた後で婚約者に気付いて外へ連れ出そうとするが、
みどり「いいんです、私、どんなときも伊勢さんのそばにいたい」
伊勢「みどりちゃん」
みどり「伊勢さん」
五代「ほっほーっ、ラブラブじゃないすかー、あなたお金もあるし、名声もある、しかもこんな綺麗な人をねえ~、幸せもんだ」
みどりと手を取り合って熱っぽく目詰め合う伊勢に、五代が横から冷やかし半分、羨ましさ半分の声を掛ける。
伊勢「僕はもうお金も名誉も要らない、みどりさんさえそばにいてくれればいいんだ」
みどり「私もです。伊勢さんがたとえ裸一貫になったとしてもついていきます」
五代「くぅ~」
海「愛ですね、羨ましい」
まるでドラマのようなやりとりに、五代が悔しそうに呻くと、海も思わず本音を漏らす。

五代「ところで、(宝石の)価値はどのぐらいあるんですか」
伊勢「3億ぐらいかと」
五代「3億?」
みどり「それだけのお金があれば、恵まれない子供たちがどれほど助かるか……」
独り言のようにつぶやいたみどり、ふと我に返って、
みどり「ごめんなさい、私ったら不謹慎でしたよね。ついつい庶民の感覚でものを言ってしまって」
伊勢「いやあ、みどりさんはほんとに心の優しい人だよね」
伊勢はむしろますますみどりに惚れ込んだようで、
伊勢「刑事さん、絶対に『クレオパトラの涙』、守ってください」
五代「任してください」
伊勢「これはもうお金だけの問題じゃないんだ」
海「……?」
ちなみに、この二人が見詰め合うシーン、五代がたくさん喋ってるのに、カメラは固定されたままで、肝心の五代の顔は一切映されない。
撮影に使った建物のせいで、カメラの位置を変えて撮影するのが難しかったのか、今回、全体的に画面が単調で、それがいまひとつストーリーに躍動感がない原因かもしれない。
さて、緊張の面持ちで午後3時を迎える海たちであったが、怪人十面相シリーズと同じく、その瞬間部屋の電気が消え、まっくらになってしまう。
と、男とも女ともつかぬ不気味な笑い声が響いたかと思うと、ガラスの割れる音、鉄扉が開くような音がして、最後は柴田の呻き声が聞こえる。
直後、部屋の電気がつくのだが、その間、わずか15秒である。
その15秒の間に、犯人は金庫の前に行き、暗証番号を押して金庫の扉を開き、宝石ケースから「クレオパトラの涙」を盗み、ガラス戸をある方法で叩き壊し、重い鉄扉を開き、さらに見張りをしていた柴田を殴ったことになるのだが……
ザッツ・無理! はっきり言って、暗闇の中で暗証番号を押すだけで15秒以上掛かると思う。

話が前後したが、部屋が明るくなると、蔵の外に柴田が倒れているのが見えた。
海「柴田さん!」
五代「おい銭形、金庫が!」
さらに、金庫が開けられ、宝石ケースから宝石がなくなっていた。
海はともかく柴田に駆け寄り、安否を気遣う。

海「柴田さん、だいじょぶですか」
柴田「いや、首に一発食らって、見てません」
五代「逃げられたか」
海「犯人は蔵の中にいた人物です」
五代「なんだって?」
海「(蔵の)外にガラスが散らばってるじゃないですか。中から外に出たって言うことです」
と、海は鋭い観察力を発揮して断言するのだが、それ以前に、先にガラスの割れる音がして、その後から鉄扉が開く音がしていたし、蔵の外を向いて見張っていた筈の柴田が首を叩かれているのだから、内部の人間の仕業と言うのは考えなくても分かることなんだけどね。
ともあれ、海たちは伊勢とみどりの身体検査を行うが、何も出て来ない。
五代「あ、そうだ、怪盗だ。怪盗ってのは変装が得意なんだよ……お前か?」
伊勢「えっ?」
五代「お面つけてんだろ」
伊勢「いったいっ」
五代、ふと、小学生みたいなことを言い出して、伊勢の顔を乱暴に掴む。
伊勢が変装してないと知ると、

五代「お前か?」
みどり「えっ?」
五代「可愛らしいお面つけやがって」
みどり「きゃああーっ!」
今度は、いきなりみどりの柔らかそうなほっぺを掴むと言う、若干セクハラ気味の行為に出る五代。
このシーンの五代、ほとんど頭のおかしい人である。

伊勢「みどりちゃんに何をするっ」
五代「あたたたたた……柴田っ」
柴田「あたたたたっ、なんだぁおい」
五代「銭形!」
海「えっ? いたたたたたっ」
そして、怒った伊勢がお返しに五代の頬をつねり、五代が苦し紛れに柴田の顔をつねり、その柴田が伊勢の顔をつねり、最後は五代が海の頬までつねるという、意味不明の状況となる。
もっとも、これによって全員変装していないことが明らかにされた訳である。
怪人十面相と違って、恋愛泥棒マリンは変装しないのである。

五代「『クレオパトラの涙』も犯人も両方見付からないって一体どういうことなんだよ、こりゃ?」
海「でも、犯人はどうやってガラスドアを割ったんでしょう?」
海によると、蔵の中にあるもので、ガラスを割るのに使ったと思われるような物は一切ないらしい。
五代「うん、ちょっと待てよ……そうか、犯人は手で割ったんだよ」
海「血が出ちゃいますよー」
五代「素手ならな……犯人はやっぱりあいつだ」
五代、何か思いついたようで、蔵を出て帳場のほうへ向かう。
帳場には、柴田に見張られながら、伊勢とみどりが座っていたが、

五代「その手はどうしたんだ?」
伊勢「昨日階段から転げ落ちちゃって……捻挫です」
五代「嘘つくんじゃない。重いだろ?」
伊勢「え?」
五代「その中に鉄アレイ隠してんだろう。見せろこの野郎!」
一方的に決め付けると、伊勢の左腕を吊っている三角巾を外し、強引に包帯を解き始める五代。
ここまで来ると、頭がおかしいと言うより、
ただのヤクザである。

みどり「やめてーっ!」
伊勢「痛い、痛い……」
みどりや海たちが必死で止めて、やっと五代は手を離すが、包帯の中には何も仕込まれておらず、怪我はどう見ても本物であった。

海「すいません、だいじょうぶですか?」
伊勢「だいじょぶですかじゃありませんよ!」
海「もう、五代さんやり過ぎですよ!」
これがリアルだったら、即座に懲戒免職されてもおかしくない五代の暴挙に、大人しい海も思わず金切り声を上げる。
五代「だって、こいつしか考えられないからさ」
柴田「どうしてですか?」
五代「だって金庫の暗証番号知ってるのこいつだろう?」
海「確かに本人しか知らないけど……」
伊勢「僕はやってません。なんで自分で盗むんですか?」
五代「あ、狂言だろ。多額の保険金かけてるな?」
是が非でも伊勢を犯人にしたいらしい五代は、珍しく知恵を働かせて追及するが、
伊勢「いいえ」
みどり「伊勢さんには何十億って資産があるんですよ」
五代「じゃあみどりさん、あなたですね。あなた宝石マニアでしょう? 『クレオパトラの涙』、個人的に欲しかったんじゃないのか?」
みどり「いいえ、まったく」
五代の懸命の推理も、二人に冷たく否定される。
見兼ねて柴田が五代の肩を叩き、引き戻す。
柴田「結婚するんですから……」
五代「あ、いずれ手に入るって? 早く言えよ」
海、ふと思い出したように、
海「さっき、絶対に『クレオパトラの涙』を守ってください、お金じゃないんですって、言ってましたよね」
伊勢「ええ、加工して結婚指輪にしてみどりさんにプレゼントしようと思ってたんです」
みどり「伊勢さん……」
海、念のため、伊勢に暗証番号を尋ねると、123472450492という数字が返ってきた。
海「なんですか、それは」
伊勢「子音と母音を組み合わせるんです」

柴田「ああーっ! 懐かしいなぁ」
伊勢の言葉を聴いた途端、柴田が興奮気味の叫び声を上げる。
海「懐かしい?」
柴田「ポケベルでしょ?」
伊勢「そっ」
柴田「ポケベル世代かーっ!」
意気投合して盛り上がる二人に、五代たちは取り残されたような気分になる。
五代「ポケベルは分かるけど、なんだよ、子音と母音?」
柴田「五十音の表を使うんです」

柴田「母音と子音の組み合わせなんですね。たとえば……しばたたばしの『し』は、サ行ですから3、母音が『い』ですから2、と言うことは32で『し』を表現するわけなんです」
ポケベル直撃世代らしい柴田が、表を使って分かりやすく説明してくれる。

海「じゃあ、1234……は?」
三人「いせみどり……伊勢みどり!」
三人は、暗証番号の意味するところを知って、思わず叫ぶ。
伊勢「来月僕と結婚したらみどりさんは、伊勢みどりになるんです」
みどり「伊勢さんたらぁ……」
海「なぁるほどー」

海「じゃあ予告状の40312泥棒は……全部母音に直すと、えんあい?」
五代「遠距離恋愛か?」
海「それは『えんれん』って言うんですよ」
海はついでに、予告状の奇妙の数字を同じ法則に当てはめるが、意味を成さない言葉になってしまう。
ここは、頭に9をつければちゃんと「れんあい」になるのに、何故犯人はそうしなかったのだろう?
正しく940312と書くと、「恋愛泥棒」と読まれ、みどりが伊勢をたぶらかしていることがバレるからだろうか?

CM後、蔵の中のガラスのテーブルの上にアリの潰れた死体があるのに気付いた海は、一気に真相に辿り着く。
海「謎は解けたよ、ワトソン君!」
笑顔でシリーズ共通のフレーズを放つ海。
個人的には、口がちょっとでかいのがあまり好みではないのだ……食べられちゃいそうで。
引き続き、帳場に座って柴田に監視されている二人。

伊勢「『クレオパトラの涙』じゃなくて残念だけど、新しい結婚指輪買ってあげるね」
みどり「ありがと、伊勢さん、でも私、そんなに贅沢なものじゃなくて良いの……」
と、何処からか三味線を鳴らす音が聞こえてきたかと思うと、周囲が突然海になってしまい、

海「大波小波かきわけて、七つの海を手にしても、正義の海は泳がせない。その名も人呼んでケータイ刑事・銭形海」
打ち寄せる波の映像をバックに、海がお仕置きの決め台詞を放ち、

海「私の錨で沈みなさい!」
最後は北斎の富嶽三十六景のひとつ、世界的にも有名な「神奈川沖浪裏」をモチーフにしたアニメーションの中から、巨大な赤い錨を投げ付ける。

で、現実の犯人、みどりにその錨と鎖が巻きつき、海が鎖を引っ張ると、その体が高速で回転してバタンキューとなる。
海「犯人はあなたですね、40312泥棒さん」
みどり「何の話?」
伊勢「みどりさんのわけ、ないだろう」
海「犯人は蔵の中にいた人物です、そしてガラスドアを割ったのはあなた」
みどり「私が? 一体何を使って割ったって言うのよ」
海はみんなを蔵に連れて行き、犯行方法を解き明かしていく。

海「あなたをこれを使って、ガラスドアを割った」
みどり「テーブル?」
伊勢「何を言ってるんだ、衝撃を受けた形跡はなかったんだろう?」
海「そうですね、テーブル自体に使われた形跡はない。でもこの上にもう一枚、ガラスの天板が敷かれていたとしたら? このテーブルの上でアリが潰れていたんです」

海「伊勢さんの食べていたお菓子を狙って入ってきたアリが、ガラス二枚の間に挟まってしまったんです」
宝石を盗む下準備として、テーブルの上にガラスを置いているみどりの姿が再現される。

今回は、その時のアップぐらいしか、貼るべき星野さんの画像がないのが悲しいのである。

海「あなたは上に置いたガラスでガラスドアを割った。ガラスドアを割ったのは逃げるためでも侵入するためでもない、一見ガラスにしか見えない『クレオパトラの涙』を隠すため……」
五代「なんだとぉ?」
海「このガラスの中に、必ず宝石はあります」
海、存在しない宝石を指先で持ってガラスの破片の上に置く動きを見せてから、柴田に宝石を捜すよう頼む。
しかし、このガラスを割る方法だが、いくつか問題点がある。
まず、ガラスの板でガラス戸を割っても、板が粉々になるとは限らず、原型が残って天板だとバレる可能性がある。
また、その場合、ガラスの破片が蔵の外だけでなく、内側にも残ってしまうことは当然考えられる。と言うより、残ってないとおかしい。
さらに、ガラスの板を気付かれずに持ち上げるには、テーブルの上に誰の手も乗ってないことが条件だが、もし三人のうちの誰かが、テーブルに手を突いていたら、一体どうするつもりだったのだろう?
そして何より、そもそも、何故そんな七面倒臭い方法を使わねばならなかったのか?
ガラス戸が内部から割られたことはちょっと考えれば分かることなのだから、ガラス戸を割った凶器(?)だけを隠蔽したところで、何の意味もないことではないか。
普通に、適当な鈍器を用意しておいてガラス戸を割り、その上に宝石を置けば済む話なのだから。
それはさておき、伊勢は、みどりに暗証番号が分かる筈がないとなおも婚約者の無罪を主張するが、

海「あなたのキャッシュカードの暗証番号は1234じゃないですか」
伊勢「なんで知ってんの?」
海「1234は伊勢の母音と子音です。それをみどりさんに教えましたか?」
伊勢「おお、だって、彼女は僕の妻になる人だよ」
海「みどりさんがそれを知っているなら、金庫の暗証番号も簡単に予想がつきます……あなたは恋愛泥棒ですね? 41032、『えんあい』は、恋愛の母音」
五代「いやいや、『へんたい』じゃないの?」
みどり「失礼ね! 私は恋愛泥棒よ!」 
五代「おっ、ゲロった」
みどり「……」
五代にからかわれて思わず叫んでしまい、ハッとして口を手で覆うみどりが可愛いのである!
しかし、この暗証番号の予測についても、伊勢が単に「みどり」と打ち込む場合もあるのだから、絶対とは言えまい。
だいたい、123472450492なんていう、とても一度聞いただけでは覚えられないような数字の羅列をあの僅かな時間で、しかも暗闇の中で正確に押すなんて芸当が、人間に可能だろうか?
そして、何故みどりが暗闇の中であんなに正確に動くことが出来たのか、その点についてまったく言及されていないのが、今回のトリックの最大の欠陥である。

五代「40312泥棒、改め恋愛泥棒、観念しなさい。うん?」
みどり「きゃあっ」
五代がいそいそとみどりの手に手錠をかけようとするのだが、その顔が、犯人を逮捕しようとしている刑事の顔と言うより、完全に、若くて綺麗な女優にセクハラしようとしている山下真司さんにしか見えないのは、管理人が昨夜食べたキノコのせいです。
と、ここで伊勢が五代の体を突き飛ばし、婚約者を助けようとする。

みどりはその隙に蔵から出ると、ちょうど宝石を発見した柴田の首筋に手刀を打ち込んで気絶させ、宝石を奪う。
みどり「『クレオパトラの涙』、確かに頂いたわ」

海「待ちなさい!」
柴田「……」
海、長めのスカートをはためかせながらみどりを追いかけて柴田の横を走り抜けるのだが、気絶したふりをしている大堀さんの目には、海のスカートの中がチラッと見えたのではないだろうかと管理人は睨んでいる。

三人が外に出ると、いつの間にかみどりは、マスクとマントを付けて、蔵の周りの塀の上に立っていた。
マリン「おほほほ、私は恋愛泥棒マリン、以後、お見知りおきを」
そう言って、右足を軽く引いて貴族っぽい挨拶をする、みどり改めマリン。
星野さん、ちょっと恥ずかしかったんじゃないかと思う。
海「恋愛泥棒マリン、あなたの盗んだのは『クレオパトラの涙』だけじゃない、あなたを好きな伊勢さんの心まで盗んだ。人の心を弄んだ!」
マリン「ごめんなさい、私、あなたのこと本気で好きになりかけた、心にブレーキかけたけど」

伊勢「みどり」
マリン「違う、私はマリン、アイ・ラブ・ユー伊勢さん! 恵まれない子供たちに愛の手を……それが私の願いよ。うーん」
マリン「ぷわぁっ!」 そう言って両手を唇に当て、豪快な投げキッスをするマリン。
と、同時に白い煙が上がり、次の瞬間、マリンの姿は跡形もなく消えていた。

伊勢「君の願いは叶えるよ。
さようなら、みどりちゃん……」
五代「公務執行妨害で逮捕する」
星野さんがおっぱいまで出している主演作「さよならみどりちゃん」に引っ掛けた台詞を言う伊勢に、五代が手錠を掛けてしまうのだが、伊勢はむしろ被害者なのだから、さすがにこれは警察の横暴としか見えず、やり過ぎだったと思う。
伊勢にしてみれば、あくまで婚約者を無実と信じて守ろうとしたと言う言い訳が立派に立つから、どうせすぐ釈放されたと思うが。
最後に再びマリンの声が響いてくる。
マリン「銭形海さん、私はこれからも世界中の金持ち男の心を盗むつもりよ。うふふっ、またお会いしましょう」
海「……」
恋愛泥棒マリン、犯罪予告を出したり、事件現場に最初からいたり、最後はまんまと逃げおおせてしまうあたり、怪人十面相の女性版といった感じだが、前述のように変装をしないので、同じ刑事の前には一度しか登場できないのが難点で、結局、次回作「命」の9話に再登場しただけで、シリーズというほど長続きしなかったのが惜しまれるキャラクターであった。
ラスト、「クレオパトラの涙」を売って得た3億円が、「恵まれない子供たち」に寄付されたと言うニュースを知って驚く五代たち。
でも、一口に「恵まれない子供たち」って言っても、支援団体はたくさんあるから、具体的にどうやって寄付したのか、謎である。
以上、ストーリーはシンプルで謎解きもあっさりしているのに、伊勢とみどりのいちゃつきぶりやポケベルの説明などで、妙に台詞が多くなってしまい、書くのがしんどいエピソードだった。
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