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「ウルトラマンA」 第3話「燃えろ!超獣地獄」



 第3話「燃えろ!超獣地獄」(1972年4月21日)

 余談だが、現在チャンネルNECOで放送している「おひかえあそばせ」と言う、昔の石立鉄男のホームドラマを見ていたら、第3話で鳥居恵子さんのパンツが普通に見えたので大変上機嫌になった管理人であった。

 あと、若き日の宮本信子さんがめっちゃ奇麗なのである!

 それはさておき、事件は、南夕子がひとりで空のパトロールを行っている時に起きた。

 
 夕子「こちら南、ただいま、鬼ヶ岳に向け飛行中」
 北斗「了解、鬼ヶ岳に向け、旅客機が南下中です、注意してください」

 意味もなく貼りたくなる、お人形さんのように可愛い夕子タンの画像!

 いい年して何が、「タン」だっ!

 夕子「了解、高度を落とします」

 旅客機とニアミスを防ぐためか、夕子がTACアローを旋回させつつ降下させ、狭い峡谷の中を突っ切っていると、谷に渡された吊り橋の上から、小学校低学年くらいの男の子が、黄色い帽子を振ってこちらに呼びかけている姿が目に入った。

 
 一旦上空を通り過ぎた夕子は、わざわざ引き返して子供に手を振ってやる。

 意味もなく貼りたくなる、お人形さんのように可愛い夕子タンの画像!part2

 いい年して何が、「タン」だっ!part2

 いや、正直な話、自分もほんっっっっっとにいい年なので、そろそろパンツが見えただの、ブラが透けてきゃっほうだの、夕子タンだの言って喜んでる場合じゃねえよな。

 と、ここで急にTACアローが、乱気流のような、空気と言うか、空間の乱れに巻き込まれ、操縦が困難になる。それでもなんとか夕子が機体を水平に維持していると、

 夕子「あっ!」

 
 前方の空間で、カメラのフラッシュでも焚いたような眩い光が弾け、

 
 ついで、文字通り、空が割れ、

 
 ガラスの破片のように落ちていき、その向こうに血のように赤い異次元空間が覗く。

 
 そして、頭に角を生やした、ソリッドな質感とデザインの超獣バキシムが三次元に顕現する。

 それにしても、これ、どうやって撮ってるんだろう?

 
 ゼリー状の粘液をしたたらせる超獣バキシムの口辺や、ぬらぬらとした心臓が脈打つ様子、腰の辺りの点滅を繰り返す鉱石のような部位がモンタージュ的にクローズアップされる。

 夕子「真っ赤な空の割れ目から……ああっ、あぶないっ」

 
 混乱しつつ、本部に状況を説明していた夕子だったが、バキシムが猫の手のように丸まった右腕を高く振り上げるのを見て思わず叫ぶ。

 だが、夕子にはどうすることも出来ず、吊り橋は一撃で叩き落され、あの子供も絶望と思われた。

 北斗「南隊員、どうしたんだ?」
 夕子「橋の上の子供が!」
 北斗「なんだって?」
 夕子「あの子は……あっ、旅客機が!」

 さらに、ちょうど鬼ヶ岳上空に差し掛かった旅客機が、バキシムの鼻先から発射された機銃(?)を食らい、炎を噴き上げながらその足元に墜落、大爆発を起こす。

 しばらく後、その凄惨な墜落現場で現場検証をしているTACの隊員たち。

 
 山中「で、超獣はどうしたんだ?」
 夕子「空の割れ目に消えてしまいました」
 山中「そんなバカなことがあるかっ……仮にだな、超獣がいたとしてもだな、何故すぐ攻撃をしなかった?」
 夕子「橋の上に子供がいたもんですから」

 客観的事実だけを繋ぎ合わせれば、夕子がTACアローに乗りながら、超獣が旅客機を撃ち落とすのをただ黙って見ていたようにも解釈できるので、山中隊員の声がいつも以上に尖るのも無理はなかった。

 
 美川「爆発した旅客機の炎を空の裂け目と間違えたのかもしれないわ。私もTACへ入りたての頃は、入道雲が超獣に見えたことがあるわ」

 優しい美川隊員がそう言って、夕子を庇ってくれるのだが、TACって、そんなに昔からあった組織なの?

 でも、第1話の感じでは、いわゆる超獣がはっきり確認されたのは、ベロクロンが初めてだったと思われるのに、それ以前から「超獣」と言う存在が認識されていたと言うのは、おかしくないか?

 まあ、美川隊員は、普通の「怪獣」と言う意味で「超獣」と言う造語を使ったのかもしれないが。

 と、気の良い今野隊員も、後ろから女子隊員たちの肩に手を置きながら、

 
 今野「そうそう、きっとそうだよ」
 夕子「気安く触らないでよ、肥満児!」
 今野「……」

 嘘である。

 天使のような夕子タンがそんなことを言う筈がないのである!(じゃあ、言わすなよ)

 今野「びっくりして、頭の中が混乱したんだな」

 今野は少なくとも百人以上の人間が犠牲になったと思われるその現場に立ちながら、なんでもないことのように笑って片付けようとするが、

 山中「ばかもん! そんなことで動転するようじゃTACはつとまらんぞ」
 夕子「でも、私確かに、超獣と黄色い帽子の少年を見たんです……私に向かって手を振るのが見えました。それで、私もつい……」

 今野、ギョッとしたように夕子の右腕を掴み、

 今野「つい、どうしたの?」
 夕子「だから気安く触らないでって言ってるでしょうが、サモハン!」
 今野「……」

 嘘である。

 女神のような夕子タンがそんなことを言う筈がないのである!(だから、言わすなよ)

 夕子「私も反転して手を振ったんです」
 山中「ケッ、わざわざ反転? 話にならん。勤務中になんだ!」
 夕子「すいません」

 山中が本部の竜隊長に指示を仰ぐと、竜隊長もとりあえず旅客機の墜落はただの事故と判断したのか、ひとまず全員に引き揚げるよう命じる。

 それは良いのだが、ついでに夕子に一週間の謹慎処分を申し渡したのは納得しがたい。

 仮に超獣が夕子の見間違いだったとしたら、墜落事故に関しては夕子には何の責任もないことになるし、反転して子供に手を振ったくらいのことで一週間も謹慎させるというのは、あまりに厳し過ぎるからだ。

 まあ、前回もそうだったが、どうやら竜隊長は部下を謹慎処分にするのがお好きらしい。

 だが、大人しい夕子は文句ひとつ言わずに処分を受け入れ、山中たちと一緒にファルコンで帰還する。

 北斗は、夕子のTACアローで基地に戻るよう命じられるが、ふと、川岸に、夕子が言っていた黄色い帽子が引っ掛かっているのを発見する。

 帽子には、「なかもりしろう」と、名前が書いてあった。北斗は、付近の寂れた村に行き、

 
 北斗「実は中森と言う家を探してるんですが」
 祖父「それならうちじゃが」
 北斗「おたくの四郎君のことなんですが……実は、吊り橋の辺りで超獣に襲われたらしいんです」
 祖父「なに? ふっふふ、何を言い出すんだ? 面白いお人じゃ。おい、ばあさん、超獣が出たんだとさ、あっはっはっはっ」
 北斗「あの……」
 祖母「ほんとに面白いお方じゃ、はははははっ」

 中森四郎の祖父母は、北斗の言葉を聞いて、心底おかしそうにケタケタ笑う。

 異様に笑いが安い老夫婦であった。

 ……にしても、二人とも実に「いい顔」してるなぁ。

 あと、中森四郎と言う名前は、この作品にも参加している脚本家の石森史郎(石森章太郎のイトコ)のもじりだろうなぁ。

 で、二人のしらばっくれかたが見事なので、てっきり二人はヤプールか、ヤプールに操られているのかと思ったが、特にそう言うことはないのだった。

 過疎の村で人恋しいのか、二人は強引に北斗を家の中に引っ張り込み、ともに囲炉裏を囲んでどぶろくを振舞う。

 北斗、勤務中だからと一度は断るが、老人特有の押しの強さに勝てず、一息に飲み干す。

 老人の態度から、てっきり、酒に睡眠薬でも混入されているのかと思ったが、特にそう言うことはないのだった。

 久しぶりに若者と酒を酌み交わすのがいかにも嬉しそうな中森老人であったが、外で人の動く気配に女房が障子を開くと、同じような年恰好の男女が、大きな荷物を抱えて逃げるように出て行くところだった。

 それを見た途端、老人の顔が険しくなる。

 
 祖母「隣の夫婦じゃ」
 祖父「いい年しおってバカモンめが」

 一瞬、自分のことを言われたような気がした管理人であったが、被害妄想であった。

 祖父「都会の何処がいいんじゃ……」
 北斗「おっパブとかありますよ」
 祖父「ばあさん、支度せえ!」

 じゃなくて、

 祖父「村を出たら、野垂れ死ぬのが関の山、村の外は地獄じゃ」
 祖母「とうとう、私たち、最後になったのう」

 でも、彼らの息子夫婦は都会でちゃんと暮らしている(少なくとも最近までは)のだから、割と矛盾である。

 あと、隣家の夫婦も、別に借金取りに追われてる訳じゃないのに、なんで人目を避けて逃げるように村を出て行かねばならないのか、いささか謎である。

 
 酒の入った中森老人の唄う民謡のようなオリジナルソングにあわせて、荒れ果てた民家がぽつりぽつり点在するだけの、絵に描いたような過疎の村の様子がイメージ的に映し出される。

 そこは、春だというのに人の営みどころか、生命の息吹すら感じられず、過疎と言うより、まるで住民まるごとが神隠しに遭ったような、凄まじく荒涼とした世界であった。

 そして、唯一その中で動いているのが、安否の気遣われていた四郎少年であった。

 やがて、誰かの、断末魔のような恐ろしい悲鳴が響くが、北斗たちの耳には届かなかった。

 老人が歌い終わると同時に、四郎少年が静かに座敷の上がり口に姿を見せる。

 祖母「四郎、四郎、おあがり」
 祖父「帰ったか、ええ、ええ」

 いかにも孫が可愛くてたまらないという風に、祖母が四郎の体を抱くようにして部屋の中に入れれば、祖父もたちまち相好を崩してほくほく顔になる。

 
 祖父「孫だよ、こいつだけが都会から戻ってきてくれてな……親たちは顔も見せんが、四郎は一度でこの村が好きになってしもうた」

 考えれば、こんな年の子供が、田舎にひとりでやってくるというのはおかしいのだが、老夫婦は孫可愛さのあまり、全然気にしていない様子だった。

 
 祖母「このかたがお前の帽子を届けてくださったんじゃよ」
 四郎「……」

 祖母が、かいがいしく北斗から受け取った黄色い帽子を四郎の頭に被せてやるが、四郎は無表情のまま、祖母の手を煩そうに払う。

 それでも、祖母にうながされると、帽子を脱いで「ありがとう」と礼儀正しく礼を言う。

 北斗「君は今朝、吊り橋のところへ行ったろう?」
 四郎「……」
 北斗「TACの飛行機を見ただろう?」
 四郎「……」

 北斗の問い掛けに、無言で頷いてみせる四郎だったが、

 北斗「じゃあ、そのとき、超獣を見たね?」
 四郎「超獣ってなぁーにー?」

 最後の質問に対しては、無邪気な口調できっぱり否定する。

 それを聞いて、祖父母も腹を抱えて大笑いする。

 祖父「あれくらいの酒で酔っ払ったのかい? あんた、疲れとるな」

 四郎はニコリともせずに、猫がじゃれるように北斗の体のあちこちをいじり倒していたが、

 
 北斗「あ、危ない、四郎君、渡すんだ」
 四郎「……」

 最後に突然、北斗がホルスターにぶち込んでいたTACガンを抜き取り、北斗に銃口を向ける。

 四郎は北斗の制止も聞かずに引き金を引くが、北斗は素早くかわして四郎から銃を取り上げる。

 四郎はそのまま家から飛び出してしまう。

 祖母「おお、こわ」
 祖父「TACのかた、危ないものお持ちじゃの」
 北斗「はあ、確かに安全装置はかけてあったんですが……」

 何しろ相手が子供、それも女の子と見間違うばかりの美少年なので、北斗もまさか四郎が本気で自分を殺すつもりだったとは思わず、単なる子供の悪戯として片付けてしまう。

 いつもあんな調子なのか、祖父母も四郎の奇矯な行動には慣れっこになっているようだった。

 北斗、それをしおに民家を辞し、TACアローを離陸させる。

 北斗「こちら北斗、ただいまより帰還します」
 山中「ばかもん、いつまで油売ってんだ」
 北斗「すいません、黄色い帽子見付けて持ち主探してたんですよ」
 山中「それで、何か分かったのか」
 北斗「それがですね、変な爺さんと婆さん……」
 山中「もういいから、早く帰って来い!」

 癇癪もちの山中隊員、必死に説明しようとする北斗の言葉をうるさそうに遮ると、怒鳴りつける。

 「新マン」における岸田隊員的ポジションの山中隊員であるが、岸田隊員と比べると、陽性で、主人公をガミガミ叱り飛ばしても、それをねちねち引き摺るようなことはないので、あまり鬱陶しい感じはしない。

 なんとなく、口は悪いが気のいい親戚の兄ちゃんと言った雰囲気で、管理人は割りと好きである。

 と、北斗の目の前で、夕子が見たのと同じ現象が起き、次元の裂け目にバキシムがあらわれる。北斗は、山中隊員に報告しつつTACアローで突っ込もうとするが、裂け目は再び塞がってしまい、何事もなかったような青空に戻る。

 北斗「山中隊員、消えてしまいましたぁ」
 山中「いい加減にしろぉっ!」

 とぼけた声を上げる北斗に、山中隊員が怒りを爆発させる。

 おまけにTACアローの燃料がほとんどなくなっていることに気付き、途中で着陸すると言うトホホなことになってしまう。

 しばらくして村の近くの駐在所からTACに電話が掛かってくる。北斗を保護した警官からであった。

 
 竜「それはどうも……本人と代わっていただけますか?」
 北斗「ああ、もしもし、隊長?」
 竜「もしもし、もないもんだ! 酒を飲んで空を飛ぶとは何事だっ」

 
 北斗「はあ、すいません、隊長、でも……僕は確かに空の割れるのを見たんです。ところが例の少年は見ていないって言うんです」
 竜「とにかく酔っ払いを許すわけにはいかん、お前は一週間の謹慎だ」
 北斗「もしもし! ……謹慎?」

 謹慎処分が三度のメシより好きな竜隊長、北斗の話にも耳を貸さず、一方的に処分を申し渡して電話を切る。

 その辺の描写がないので良く分からないのだが、北斗が駐在所の近くにTACアローを着陸させたので警官が見に来て、それで北斗が酔っ払っているのを見てとりあえず駐在所に連行したのだろうか?

 だとすれば、北斗は飲酒運転(?)で警察にしょっ引かれた、恐らく唯一の怪獣やっつけ隊員&ウルトラ戦士だということになる。

 もっとも、昔は世の中全体が飲酒運転に対して寛容だったから、説教くらいで済んだのだろう。

 だが、厳しいのか寛大なのか良く分からない竜隊長は、電話を切った後、

 竜「北斗からの報告にも空が割れると言うのがあった。単なる幻とはどうしても思えないんだ」

 処分は処分として、北斗や夕子の報告を再検討すべきだと言い出す。

 山中「私はそうは思いませんね。だいたい空が割れるなんてことあるわけないでしょ」

 山中隊員はあくまで自説を枉げないが、上司の意見にすぐ迎合しようとしないところは、むしろ信頼できる人間のように思える。

 美川「でも、旅客機の事故も原因がはっきりしないとのことです。もう一度現地を調査する必要があると思いますわ」

 美川隊員の発言に、今野隊員と吉村隊員も賛同する。

 こうやって、それぞれの隊員の個性がきっちり描かれてるって良いよね。

 当たり前のことなんだけど、MACの隊員たちのひどい扱いを見ていると、それだけで嬉しくなってしまうのだ。

 竜「よし、もう一度現地飛ぼう、それから黄色い帽子の少年にも会ってみようじゃないか」
 山中「そうしますか」
 竜「万全を期すためにやるんだ」
 山中「はいっ!」

 山中隊員も、隊長の命令に逆らうほど依怙地ではなく、一旦決まればそれに従う。

 なかなかの快男児であった。

 竜隊長たちが出動した後、北斗は、近くに停めてあったトラックのバンパーに、TACアローのオイルがこぼれているのに気付き、再度本部へ連絡する。

 北斗「南隊員に確かめたいことがあるんです」
 美川「あなた方二人は謹慎中の筈です」
 北斗「え……でも、どうしても!」
 美川「ですから、ちょっとだけねっ
 北斗「ありがとう、美川隊員」

 ……

 美川隊員、イイ人過ぎるやん!

 それはともかく、北斗は夕子から、TACアローの燃料が満タンだったと聞かされると、

 北斗「あの少年はただもんじゃないぞ、たぶん、アローの油を抜いたのもあの子だ」

 北斗、謹慎処分もなんのその、通り掛かったバイクの男性に「TACのもんだ、ちょっと借ります」と、身分証を見せてバイクを借りるという、刑事ドラマの定番演出で村に引き返す。

 CM後、ファルコンが村に下りるのを見た四郎少年は、いかにも邪悪そうな笑みを浮かべると、祖父母の家に戻る。

 
 祖父「おお、四郎かい?」

 煤けて古ぼけた障子の向こうに、子供の影が映るのを見た祖父は、親しげに声を掛けるが、

 
 影はみるみる膨れ上がり、異形の怪物のシルエットに変化する。

 この、昔の民家の障子に人の影が映ると言うシチュエーション自体が、後年のJホラーのはしりみたいで、ゾクゾクさせられる。

 別に怪奇ドラマを撮ってるわけじゃないので、演出が淡々としているのが残念だが。

 
 バキシム「ふっふっふっふっ」
 祖父「おお……」
 祖母「お前は誰だ?」

 さらに、巨大なシルエットが動いて座敷の中に入ってくるのだが、

 
 実際に現れたのは怪物ではなく、四郎少年だったと言うのが、これまた実に素晴らしいセンスとビジュアルである。

 これも、神業的合成で撮ってるんだろうなぁ。

 
 バキシム「ヤプール人だ」
 祖父「な、なんだとぉ」
 バキシム「私の名はバキシム」
 祖父「コーヒーの星から来た人かの?」
 バキシム「ちゃうわっ!」

 じゃなくて、

 バキシム「谷間に現れた超獣とは私のことだ」
 祖父「なにをいってんだ、四郎、お、お、お……」
 祖母「ナンマンダブ……」

 状況がさっぱり分からずただおろおろおするだけの祖父と、手を合わせて拝みだす祖母が実に哀れであったが、

 
 バキシム「カーッ!」

 情けとか容赦などと言うことを知らぬヤプール人は、口を大きく開いてビームを放ち、祖父の首に大きな矢のようなものを撃ち込んであっさり殺害してしまう。

 バキシム「あなたたちの役目は終わった。ありがとう。子供の心が純真だと思うのは人間だけだ」
 祖母「四郎、四郎……」
 バキシム「カーッ!」

 涙ながらに孫に呼びかける祖母も、あえなく殺されてしまう。

 いくらヤプールが化けているとはいえ、子供がその祖父母を惨殺すると言う、今ではまず放送できないえげつないシーンであった。

 祖父母が孫を手放しで可愛がっていたシーンの後だけに、すれっからしの管理人が見ても、胸が疼くほどの傷ましさである。

 バキシム、ついで天井の藁葺きに向けてビームを放ち、火をつける。

 そうそう、言い忘れていたが、四郎を演じていたのはこのブログの常連の高橋仁さんでした。

 でも、こんな重要な役なのに、ノンクレジットと言うのはひどいよね。

 一方、村の中を調べていた竜隊長たちは、年老いた夫婦の惨殺死体が畑の上に捨てられているのを発見する。

 一瞬、中森夫妻かと思ったが、それは、さっき夜逃げするように村を出て行こうとしていた別の夫婦であった。

 そう、老人が民謡を唄っているときに聞こえた悲鳴は、彼らの出したものだったのだ。

 でも、自分から村を出て行こうとしている人まで殺す必要はないと思うんだけどね。

 と、一軒の民家が燃えているのを見て、慌てて駆けつける隊員たち。座敷の中に老夫婦が倒れていたが、既に手遅れだった。

 さらに、竜隊長たちが民家にひきつけられている間に、四郎にTACファルコンまで燃やされてしまう。そこへバイクで北斗が駆けつけたので、竜隊長は北斗の謹慎を解くと、ファルコンに積んでいたアローに乗って脱出しろと命じる。

 ウルトラ戦士の加護がある北斗は、無事にアローで飛び立つが、冷静に考えたら、既に炎に包まれているファルコンの中に入ってアローで脱出しろって、めちゃくちゃ無謀な命令だよね。

 続いて、竜隊長たちに追い詰められた四郎が、ここでバキシムの姿になる。

 だが、ヤプールの真の狙いはTAC基地であった。バキシムはすぐに異次元の世界に逃げ込むと、

 
 一瞬で、富士の裾野のTAC基地のど真ん中に出現する。

 そう、すべては、TACをあの村におびき出して無力化する為の陽動だったのである。

 そんなことのために殺された老夫婦が益々哀れに思えてくる……

 それにしても、残虐無残な割りに、バキシムのスタイルがめっちゃキュートである。

 デザインと言い、ネーミングと言い、「A」はもとより、ウルトラシリーズの中でも屈指の怪獣である。

 
 また、のしのしと基地に向かって驀進するバキシムの足が、その重さで凹むと言うのも実に芸が細かい。

 TAC基地の防御装置が作動して、バキシムに攻撃を仕掛けるが、全く効かない。

 それでも美川隊員は、梶たちと一緒に外へ出てエレクトロガンで必死に食い止めようとする。

 
 美川「どうしたんですか、梶さん?」
 梶「時限爆弾のタイマーが故障してしまったんですぅ」

 相変わらず肝心な時に使えない梶隊員。

 
 美川「私の作った時限スイッチです。30秒後にスイッチが入ります」
 梶「ありがたい、これで爆発する」

 美川隊員、いくらなんでも有能過ぎるのでは?

 ともあれ、地面に爆弾を仕掛けて美川隊員たちは後退するが、タイマーが長過ぎてそのままではバキシムが踏み越えてしまう。

 
 美川「エレクトロガンで止めましょ」
 梶「よし」

 美人で優しくて有能でなおかつ勇敢と言う、完璧超人みたいな美川隊員。

 時限爆弾はバキシムの下で爆発するが、バキシムはふわりと体を宙に浮かせてかわしてしまう。

 まあ、仮に直撃していたとしても、梶(呼び捨て)の作った爆弾だから効き目はなかっただろうが。

 この後、色々あって漸く北斗と夕子が合体してウルトラマンAとなり、ラス殺陣となる。

 体が大きく、強力な火炎攻撃を持つバキシムに苦戦するが、両手を広げて目の前に四角を描くように動かすと、

 
 そこに大きなバリアが作られ、

 
 バキシムの火炎放射を遮る。

 これまた見事な特撮で、「A」の中でも特に印象的なシーンである。

 これは、アクリルガラスか何かを置いて撮影した後に、バリアの枠を合成してるだろうなぁ。

 
 最後は八つ裂き光輪みたいなビームを放ち、その首を切断するが、首が落ちた後、

 
 胴体が倒れて、無残な切り口を視聴者にこれでもかとばかりにお見せする、必要以上に残酷なショット。

 
 ラスト、晴れて謹慎処分が解けて、ヘルメットを被っている夕子タンの笑顔が可愛過ぎるのである!

 竜隊長からの講評。

 竜隊長「今回はなんといっても北斗、南、それに美川隊員の活躍が目覚しかった、なあ、山中?」

 
 山中「はあ、いやぁ」
 竜隊長(なんでお前が照れるんだ?)

 じゃなくて、

 
 山中「はあ、いやぁ」
 竜隊長「あ、それから、お前クビね」
 山中「えっ?」

 でもありません。

 
 美川「隊長、大変なことが分かりました」
 竜「どうしたんだ?」
 美川「四郎少年の一家のことです、警察の報告によると、四郎少年と両親は事件の三日前に東京で原因不明の交通事故で亡くなっています」
 竜「そうだったのか」
 北斗「今回の事件は全て最初から計画されていたんだ」

 最後の最後に美川隊員が、知らせてくれなくても良いウツな豆知識を披露してくれる。

 そう、ヤプールは、四郎少年を祖父母のところへ送る前に、本物の息子夫婦と四郎をあの世へ送っていたのである。

 祖父母が息子夫婦に連絡して四郎がニセモノだと発覚するのを恐れたのだろうが、細かいところまで行き届いた残忍さであった。

 つまり、中森家は今回の一件で、完全に死に絶えてしまったわけで、力作ではあったが、あまりに後味が悪い話である。
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コメント

謹慎と炎上

今回は北斗と南が揃って謹慎処分になったわけですが、この後ほぼ毎回TACアローを超獣に炎上させられてる山中隊員達の方が返ってヤバいのではないのでしょうか?確かに子供が大人を揃って始末するシーンは背筋が冷たくなりますね😅ところで、後半の中山の台詞は山中の間違いではないのでしょうか?

余談ですが

ヤプールは意外とTACを侮っていませんよね。6話や17話でもTACの兵器を狙っており好感が持てます。これが最後まで続けば良かったんですが。

余談ですが、バキシムは宇宙怪獣と芋虫を合体させて作られたという設定でネーミングも芋虫の別名「キバムシ」をもじっています。
あと美川隊員は爆発物の専門家という設定で17話でも活躍が見られます。管理人さんがおっしゃるように美川隊員は美人で有能で優しいんですが、結構酷い目に遭うんですよね。4話では少しセクシーな場面もあるので、レビューを楽しみにしています。

特撮

>一瞬で、富士の裾野のTAC基地のど真ん中に出現する。
「A」の特撮はかなりの部分が東宝が携わっているそうで、スタッフのみならず
東宝撮影所も使われたそうで、この回もそうじゃないでしょうか?かなり広いと思われます。

>あと、若き日の宮本信子さんがめっちゃ奇麗なのである!

そのドラマは1971年のようですね。
1977年の「特捜最前線」第5話「行方不明の愛」を再放送で観た時
ー「たんぽぽ」(黒田さんのね!)「マルサの女」を観た後だったのでビックリしましたね。

山中

>山中「私はそうは思いませんね。だいたい空が割れるなんてことあるわけないでしょ
山中というキャラというか、この作品そのものがあまり好きじゃないところがこれ!
目撃した北斗や南との対立でドラマを盛り上げよう・・・という算段なのでしょうが
最前線のエリートならば「あらゆる事態や可能性を想定」すべきであって
こうした「頭ごなしに否定」する態度が僕にはどうにも耐え難い。
その点、岸田はコミュニケーション能力にやや難があるだけでエリートの面目は保っている。

念入り

>ヤプールは、四郎少年を祖父母のところへ送る前に、本物の息子夫婦と四郎をあの世へ送っていたのである。
真市もノンマルトに・・・って2年前だからそれはないか?
ちなみに若いファンにはジャミラやノンマルトは「テロリスト」だから「倍返し」されても仕方ない
・・・という意見をよく見かけますね。

宮本信子さん

 宮本信子さんは下町の母ちゃんというイメージかな。旦那の伊丹監督の作品によく出てたよね。うちは「マルサの女」1・2が好きやね。脱税の証拠を美人秘書の下着の中へ隠してしまうというのもあったような。それがばれて秘書は裸のまま泣き出してしまうという哀れなオチ。
 この映画にはコミカルな面もあるよ。信子さんが調査先の家で子供とスーパーマリオに夢中になるシーンが。どうなるかとひやひやするけど、意外と上手いもんです。
 信子さんの息子の池内万作くんもスケベな役をやることが多いな。
 犬神家では松嶋菜々子さんを眠らせて裸にして犯しちゃうし。
 幸せの幻影では若い女を次々と犯して命を奪う鬼。被害者の中には三浦友和さんの娘も。証拠不十分で無罪になってしまうアホですが。そんなアホでも表現力は素晴らしい。弁護士に無罪になったお祝いに何が欲しいと聞かれ
池内:クズ饅頭と梅干し、アワビと桃が食べたいな。
変な組み合わせだと突っ込まれてからのコメント。
池内:クズ饅頭の大きさや感触は彩ちゃんの胸に似てるんだ。梅干しの種みたいな乳〇、アワビはもちろん陰〇、桃はお尻。どれもこれも僕には高級素材だよ。
高級素材だと言ってる時点で嘘なんやけど。だってこの男の家柄はセレブやから。代々政治家の家に生まれて、母親の実家は大企業やからね。何不自由なく育った典型的なセレブやから。問題なのは女運がない事だけ。

唯一の飲酒

ウルトラシリーズの主人公で唯一の飲酒者は北斗だけではないのでしょうか?しかも勤務中の飲酒では謹慎処分も仕方ないですね😅

この時期、「A」絶好調

アイデアといいビジュアル面の演出といいストーリーといい。

>隊員の個性がきっちり描かれてるって良いよね。
>MACの隊員たちのひどい扱いを見ていると、嬉しくなってしまうのだ。
この頃は橋本Pがしっかりチェックしてたんでしょうねぇ。

>バキシムのスタイルがめっちゃキュートである。
>デザインと言い、ネーミングと言い、「A」はもとより、
>ウルトラシリーズの中でも屈指の怪獣である。
フィギュア持ってます。

ところで第一期ウルトラシリーズで出てくる田舎は
漁村が多かったですが第二期は山村が多い?
前年の「シルバー仮面」からの影響でも受けたのでしょうか。

No title

超獣攻撃隊TAC隊員の一人で、「中山」ではなく、「山中」です。書き直して下さい。

Re: 謹慎と炎上

ご指摘ありがとうございます。直しておきました。

Re: 余談ですが

> 余談ですが、バキシムは宇宙怪獣と芋虫を合体させて作られたという設定でネーミングも芋虫の別名「キバムシ」をもじっています。

情報ありがとうございます。確かに芋虫っぽいですね。

> 4話では少しセクシーな場面もあるので、レビューを楽しみにしています。

ありがとうございます。ご期待下さい。

Re: 特撮

> 「A」の特撮はかなりの部分が東宝が携わっているそうで、スタッフのみならず
> 東宝撮影所も使われたそうで、この回もそうじゃないでしょうか?かなり広いと思われます。

確かに、なんかゴジラ映画っぽい絵ですね。

Re: >あと、若き日の宮本信子さんがめっちゃ奇麗なのである!

あと、鳥居恵子さんと、岡田可愛さんもめっちゃ可愛いです。

Re: 山中

> その点、岸田はコミュニケーション能力にやや難があるだけでエリートの面目は保っている。

でも、岸田隊員も郷の説をよく全否定してたような……

Re: 念入り

> ちなみに若いファンにはジャミラやノンマルトは「テロリスト」だから「倍返し」されても仕方ない
> ・・・という意見をよく見かけますね。

最近は、権力者の視点で物事を見る人が多いんでしょうね。

Re: 宮本信子さん

犬神家に出てたんですね。一応見てる筈なんですが、全然記憶にないです。

Re: 唯一の飲酒

昔のヒーローは謹厳実直ですからね。

飲むとしても、せいぜい、正月のお屠蘇やクリスマスのワインくらいでしょう。

Re: この時期、「A」絶好調

> フィギュア持ってます。

消しゴム持ってました。

> ところで第一期ウルトラシリーズで出てくる田舎は
> 漁村が多かったですが第二期は山村が多い?
> 前年の「シルバー仮面」からの影響でも受けたのでしょうか。

それは気付きませんでした。

Re: No title

ご指摘ありがとうございます。直しました。

過疎問題を先取り

>隣家の夫婦も、なんで人目を避けて逃げるように村を出て行かねばならないのか
明治&大正世代にとって故郷を捨てるのは色々と後ろめたいのではないかと。
「怪奇大作戦」や「帰ってきたウルトラマン」では高度経済成長の影の側面として
顧みられなくなる郷土の哀愁を扱う事がしばしありましたので、その残滓でしょうか。
「タロウ」以降では、こういうのは無かったと思います。

バキシムが墓場(←完全に無縁仏)で少年から超獣形態に変化するのも意味ありげ。

Re: 過疎問題を先取り

> 「怪奇大作戦」や「帰ってきたウルトラマン」では高度経済成長の影の側面として
> 顧みられなくなる郷土の哀愁を扱う事がしばしありましたので、その残滓でしょうか。

そう言う話がたまにありましたね。

でも、今は当時よりはるかに老人が多いわけで、そう考えるとちょっと怖いです。

今更、気づく

>基地に向かって驀進するバキシムの足が重さで凹むと言うのも実に芸が細かい。

これ、フィギュアでも拘ってました。
台座付なんですが足をめり込ませる形になっていて
固定を強化するためと思ってましたが、これを再現するためか…。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B9-%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E8%B6%85%E7%8D%A3%E5%90%8D%E9%91%91-%E7%87%83%E3%81%88%E3%82%8D%E8%B6%85%E7%8D%A3%E5%9C%B0%E7%8D%84-%E3%83%90%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%A0-%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A2/dp/B081R8LBPZ

No title

石ノ森章太郎さんと石森史郎さん、いとこだったんですか。石ノ森氏はもちろん石森史郎さんの著書も購入していたのに気が付きませんでした。
>美川「私もTACへ入りたての頃は、入道雲が超獣に見えたことがあるわ」
梶(呼び捨て)も第1話で「また超獣を倒す兵器を作った」とか言っていたのでベロクロンの前に超獣がいたのかもしれませんね。

Re: 今更、気づく

こういうのがあるなんて知りませんでしたが、凝ってますねえ。

Re: No title

> 石ノ森章太郎さんと石森史郎さん、いとこだったんですか。石ノ森氏はもちろん石森史郎さんの著書も購入していたのに気が付きませんでした。

自分も割りと最近読者の方から教えていただきました。

> 梶(呼び捨て)も第1話で「また超獣を倒す兵器を作った」とか言っていたのでベロクロンの前に超獣がいたのかもしれませんね。

そう言えば言ってましたね。

No title

南夕子さんはTACの全隊員(除く梶)にとって妹的存在だったような気がしますがそんな彼女でも山中は叱ります。まあ男女平等なんでしょう。
>夕子「だから気安く触らないでって言ってるでしょうが、サモハン!」こんな暴言でも気品があるような感じでいう気がします。

Re: No title

夕子に罵られたい男性ってたくさんいるんじゃないかと思います。

No title

 30話で北斗が謹慎処分を受けてアパートに閉じこもるシーンがあり、その時はスーツを着ていました。70年代の服装はよくわかりませんが南夕子も謹慎処分を受けた後にスーツ姿のシーンがあったらいいなと思いました。

Re: No title

私服はあんまりなかったですよね。

背筋が寒い

改めて観ると何だか子供向けではなく“怪奇大作戦”のような終わり方のようで背筋が寒くて後味の悪くなる作品でしたね😓

Re: 背筋が寒い

救いがないですよね。

No title

(1)自分は超獣の中でバキシムが一番好きです。空を割って現れる演出がインパクトありますし、なによりデザインが良いからです。

(2)バキシムを他にも気に入ってる理由としては見た目で怪獣とは別の存在(超獣)だとすぐにわかることです。正直バキシム以外の超獣は怪獣と見た目で区別しづらいですし。超獣をバキシムと同じ方向性のデザインで統一していたら超獣を怪獣とはっきり差別化することができたと思います。

Re: No title

> (1)自分は超獣の中でバキシムが一番好きです。空を割って現れる演出がインパクトありますし、なによりデザインが良いからです。

バキシムは良いですよね。

> (2)バキシムを他にも気に入ってる理由としては見た目で怪獣とは別の存在(超獣)だとすぐにわかることです。正直バキシム以外の超獣は怪獣と見た目で区別しづらいですし。超獣をバキシムと同じ方向性のデザインで統一していたら超獣を怪獣とはっきり差別化することができたと思います。

いかにも作られた怪獣と言う感じがしますね。カラフルだし。

この話は帰マン3話と比較してTACがどういう体勢を敷いているのかを示していると考えます

帰マンとAの脚本の中原と市川はそれぞれ親友であり、侵略する死者たちと盗まれたウルトラアイのように互いが着ぐるみなしの作品をつくりあったり、怪獣使いと少年と悪魔と天使の間に…のように対となる作品を作るほどです

最もこの話は田口の作品ですが、帰マンで2人の関係を最も近くで観てきた彼が代弁するのは難しい話ではないでしょう
市川の代表作である悪魔天使の少年が敵になる展開と子供の二面性を採用したオマージュとも解釈できますし、ボロボロの家屋は怪獣使いのリスペクトとも思えます

本題に戻り注意して観るとバキシムとサドラの首チョンパや、出だしが戦闘機乗りのシーンから始まるなど類似点が見つかります
特に郷と北斗南の共通点として皆に信頼されていないという点が重要で、異なるのは隊長の行動です

加藤隊長は郷の意見も尊重し単身で霧吹山に向かいますが、竜隊長は北斗南の意見を跳ね除け謹慎を言い渡しています

郷は隊長と父の最期を重ねてしまいますが、これは隊長が父の代わりになりストーリーが進むということを暗に視聴者へ伝えています
これは伊吹隊長に代わっても軟化こそすれ体系は崩れません
万一でも可能性があるなら職務を全うする、単身霧吹山に乗り込み戦い抜く
MATとは何かと行動で示しています
そして全話通しても隊長達は家父長制の理想となる強い父を示せています
主人公として未熟な郷も次郎の前では理想の父性を示そうとしている事が十分に伝わります
総じて帰マンは家父長制の理想を子供達に示すのが一つのテーマになっています

対してAではこの話で明確にでる四郎少年の父は息子から独立されて、住むに値しないようなクソ田舎まで逃げられています
これは家父長制から脱却して個人として強く生きろと説いていると解釈していいでしょう
言い方が悪いですが、A全話通しても北斗は父性を説くにしては行動が伴っていません
3話の飲酒運転なんて絶対にダメです
竜隊長もチーム内で見れば話は山中隊員との対立と便乗と謹慎が書かれるのみで、強い存在もとい良い存在といい切れません
さらに既存の考えで行動し悪循環を生む、反自由思想の滑稽な反面教師という見方もできます
挙句の果てに最高のウルトラの父性ことウルトラの父はヒッポリトにすぐ負けて死にます

3話は全話通してのそれぞれのチームの形と父性や思想を明確にして総括出来ています

最後にそれぞれの話の締めを語ります
加藤隊長は真っ先に郷の元に戻り大丈夫かと声を掛け、郷もそれに返答する
加藤隊長は「怪獣如きに負けはせんよ」と言い郷と肩を組んで笑い合う
隊長がMATの総意でなら「MATは怪獣如きに負けはせんよ」と解釈を改めることもできる
他のメンバーからも隊長コールが止まない
自分から見ても加藤隊長カッコ良すぎる

竜隊長は謹慎した北斗南の両名と南の謹慎を独断で判断した美川隊員を讃え、四郎少年の氏の真相を聞いてそれを総括する
最後のまとめは「TACの仕事もそれだけ重要なものとなる、皆頑張ってくれ」

いや竜隊長も頑張れよ(笑)

まぁ市川が語りたかったのは、父性云々などではなく、男女を超えたウルトラマン像であり北斗南の愛の話であるから、隊長よりも最後に笑い合う北斗南の方がカットとして重要なんでしょう
そう、語りたかった…ね…

Re: タイトルなし

詳細な解説、ありがとうございます。

正直、そこまで深く考えたことはなかったので、色々と勉強になります。

確かに竜隊長の描き方って、中途半端ですよね。

返信ありがとうございます

もう一度よく考えてリーダー像の話をします
市川はセブンのクラタ回2回と帰マンの伊吹就任回も担当していて厳しくも優しくもあるリーダーを描写し
ベムスター回はセブン召喚の儀式が長すぎたものの、内容はV3で生き残ったクラタの13話の構図によく似ており、仲間の死に動揺してしまう加藤隊長の欠点も示しています
北へ還れでもフルハシのために防衛隊として行きすぎた行動をとるキリヤマ隊長の欠点を示します

盗まれたウルトラアイでは隊長はホーク2号に来ないダンを信じて自由行動を咎めず、悪魔と天使の間に…では隊長は郷を信じて少年すら敵と認めて行動しました

「何があっても汚されない美しい友情、それが子どもの世界だ」から「人間の子は人間、天使を夢見させてはいかんよ」に変わる価値観の中で伊吹隊長は確実に成長しています

市川はキリシタンの世界観が注目されますが、人間として出来たリーダー像を書くところにも魅力があると思っています

そんな市川がメインライターであるAの竜隊長が終始ダメダメなのはどうしても気になるところであり、全てを通して市川が目を通していれば、竜隊長とTACは話を通して規範の思想に囚われることなく行動と指示できる人材に変わり、突っ掛かる山中隊員は岸田隊員のように途中で打ち解け、現在よりも遥かに優れた組織になっていたかもしれません

MACは人間として出来た組織でしたが、技術や戦果的に見れば弱い組織でした
MACはその欠点を補おうとさまざまな試行錯誤を話の中で行います
対してTACは序盤その逆であり、話を通して徐々に融和していくTAC像は自然だといえます

ただやはり市川の意図を理解するのは上原をもってしても無理だと言っているので、私の解像度では完全市川版エースを想像するのは不可能ですが、TACを3話で序盤通してだけでなく、全話完全に分析し切るのは浅慮でした

Re: タイトルなし

精密な分析、ありがとうございます。

脚本家を軸にして見ると、色々分かりますね。

「A」はやっぱり市川さんの抜けた穴が大きかったですね。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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