第15話「くらやみ殺法! 闘魂の一撃」(1974年7月19日)
毎日暑い日が続いてうんざりしますね。
管理人など、エアコンのない部屋でしこしこレビューを書いてると、時々暴れたくなります。
で、そんな夏がますます暑苦しくなる「ウルトラマンレオ」のお時間がやって参りました。
これが、いわゆる特訓シリーズの最後になるのかな?
まあ、普通に不評だったんだろうなぁ。
百子さんのような美少女が、全身をぐっしょり汗に濡らし、息を弾ませて喘いでいる姿ならともかく、暑苦しい真夏さんじゃねえ……

冒頭から、ヒッポリト星人を銀色に塗りたくったようなフリップ芸人、いや、フリップ星人が夜の街にのっそりあらわれ、意味もなく分身の術を使いながら、好き放題に暴れて建物を破壊する。
すかさずMACの戦闘機が出撃して無事に撃墜されるかと思いきや、フリップ星人は一戦も交えずに姿を消してしまう。
それを踏まえて、

ある日、ゲンは、スポーツセンターの敷地の隅で、純子さんが鼻歌でも歌いそうな様子で、黒い道着のようなものをゴシゴシ手洗いしているのを見掛ける。
まさに旦那様の服を一生懸命洗っている幼な妻と言う感じで、実に可愛いのである!
自分は百子さんと恋人同士なのだとうぬぼれているゲンは、

ゲン「百子さん、ね、いいよ、そんな、自分の稽古着ぐらい自分で洗うからさ」
百子「え……」
てっきり自分のものを洗ってくれているのだと思い込み、百子さんを戸惑わせる。
ゲン「だって、それ、僕んだろう?」
百子「ああ、これ?」
ゲン「うん」
百子「あ、オオトリさんのも洗いましょうかぁ?」
ゲン「じゃそれは……」
ゲンが、誰の稽古着なのかと言う質問を言い出せずに口ごもっていると、トオルとカオルがやってきて一緒にアイスクリームを食べに行こうと誘う。
と言うか、ゲンのほうから誘ったのだろう。

カオル「ねえ、百子お姉ちゃんも行きましょう」
百子「でも私、お洗濯がまだ少し残ってるから遠慮させてもらうわ」
ゲン「……」
珍しく百子さんにフラれて分かりやすく落ち込むゲンであったが、トオルたちにせがまれて、しぶしぶその場を離れる。

ゲン「……」
ゲンのことなど眼中にないように、引き続き「お洗濯」に励んでいる百子さんの姿に思いっきり後ろ髪を引かれながら。
でも、昔のドラマに出てくる女性って、基本的に言葉遣いが綺麗で好感が持てるよね。
特に特撮は子供向けドラマだから、そう言う点にはより一層気を使っていたのだろうが。
その後、赤色の内装がいかにも安っぽい雰囲気の喫茶店……と言うか、パーラーでアイスクリームを食べている三人。

とりあえず、今回は出番の少ないカオルの顔でも貼っておこう。
トオルはアイスを食べながら、児童向け雑誌をテーブルに広げ、
トオル「オオトリさん、ウルトラマンレオってしし座の生まれなんだね」
ゲン「うん、L77星」
トオル「ふーん、新しい乳酸菌みたいな名前だね」
ゲン「ほっとけ」
嘘はさておき、

カオル「ねえ、お兄ちゃん、あそこの人、さっきからずーっとお兄ちゃんのこと見てるわ」
カオルに言われて、そちらを見ると、

そこに、ゲンに負けないくらい濃い顔をした若者が座っていて、こちらをじっと見詰めていた。
そう、この前年まで「ライオン丸」シリーズで主役を張って、おまけに共演したパンチラ女神の沙織さんこと九条亜希子さんと結婚した羨ましい限りの潮哲也さんである。
管理人がもし潮さんだったら、毎日奥さんにあの格好させてパンチラさせまくって速攻で離婚されていたことだろう。
それにしても、沙織さんの衣装を途中から刺激の低いものに変えてしまったことは、日本の特撮にとって取り返しのつかない損失だったなぁ。
それはともかく、見知らぬ青年にガンを飛ばされて、思わず険しい顔つきで睨み返すゲンであったが、子供たちはそれっきり男のことなど忘れてしまう。
と、制服姿のウェイトレスが、青年の背後の客に水を運ぼうとするが、

ウェイトレス「ああっ」
青年の目の前で足を滑らせ、吉本新喜劇みたいなコケ方で豪快にコケそうになるが、

青年は、目にも留まらぬ早業で空中に舞ったお盆を右手でキャッチすると、左手でウェイトレスの体を支え、お姫様を抱いた王子様のようなポーズを決める。
青年は何事もなかったようにソファに座り直すが、なおもゲンのことを厳しい、憎しみさえ感じられる目つきで睨んでいた。
とんと身に覚えのないゲンであったが、そこへ余所行きに着替えた百子さんが入ってきて、
百子「津山さん、遅くなってごめんなさい」
津山「行こうか」
百子「うん」
ゲンたちには気付かず、まるでこれからホテルにでも行く恋人のような感じで出て行くのを、ゲンはおだやかならぬ目で見送るのだった。
まさか尾行する訳にも行かず、燻った気持ちを抱えたまま、トオルたちを連れて博物館のような建物の向かいにある神社だかお寺の境内に行き、やる気なさそうに鳩にエサをやっているゲン。

トオル「オオトリさん、どうしたの? さっきから考え込んでばかりいるじゃない」
ゲン「そうかい」
トオルの問い掛けに、蚊の鳴くような声で答えるゲンであったが、そこへMAC本部から宇宙人出現の知らせが入ったので、気合を入れ直して現場へ急ぐ。
もっとも、宇宙人といっても等身大の宇宙人で、

それが冒頭に出てきたフリップ星人であり、
百子「助けてーっ!」
星人「ヴァッハッハッハッハッ……」
たまたまその星人に襲われたのが、百子と津山のカップルであった。
ゲンはいきなり跳躍して二人の前に飛び降りると、二人を庇うように身構え、

ゲン「さ、逃げて、あとは俺が」
津山「君は?」
百子「MACのオオトリさんよ」
津山「MACには無理だ。星人は倒せない」
ゲン(ま、そうなんだけど……) MAC隊員でありながら、津山の失礼千万な指摘を否定できないのがつらいゲンであったが、まさか百子さんの前で相槌も打てないので、
ゲン「バカなこと言うな、この星人は俺一人で」
津山「君には無理だ」
百子「津山さん!」
ゲン「くそう」
そこまで言われて引っ込んでいられるようなゲンではなく、百子さんの目を意識しながら、闇雲にフリップ星人に向かっていくが、フリップ星人の分身の術に面白いように翻弄され、挙句に首筋にチョップを叩き込まれてあえなく気絶してしまう。
一番見られたくない人に醜態を見せてしまったゲンの心中、察するに余りある。
フリップ星人、ゲンにトドメを刺そうとするが、それを阻んだのが津山であった。
フリップ星人は、津山に対しても、本国では宴会のたびにやるのでみんなからいい加減にしろと鼻も引っ掛けてもらえない分身の術を仕掛けるが、何故か津山には通用せず、

逆に見事な蹴りを食らって撃退されてしまう。
等身大とは言え、ウルトラ戦士でさえ勝てなかった相手に素手で勝ってしまったのだから、津山、はっきり言って地球最強の男と呼んでも差し支えあるまい。
情けない姿を見せたゲンであったが、優しい百子さんはそれくらいで愛想を尽かしたりはせず、
百子「オオトリさん、しっかりして! えふっ」
ゲンに駆け寄って必死に呼びかける。
「えふっ」と言うのは、表記しにくいのだが、百子さんが良く出す喘ぎ声である。
その場には途中からダンもいて、ゲンのぶざまな負けっぷりを目に焼き付けていた。
で、当然、MACステーションでいつもの説教タイムとなるが、

ダン「またしても星人を逃がしてしまったではないか。それどころかお前は命を失うところだった」
ゲン「僕が?」
ダン「あの津山と言う青年がお前を助けてくれたんだ」
ゲン「そんなバカな、彼なんかに星人を倒せるはずがありません」
ダン「いや、彼の空手なら等身の星人と五分に渡り合うことが出来る」
今までと違って、その叱り方が妙に甘いと言うか、大人しいのだ。
やっぱり、ダンのあまりの鬼軍曹ぶりがちびっ子にも不評で、ソフト路線に変更されたのだろう。
でも、ああいうシーンは笑えるほどオーバーアクションで演じるからこそ燃えるのだから、こんな覇気のない叱られ方では最初からやらない方がマシである。

ダン「だが、星人を倒すのは俺とお前の役目だ、お前は勝たねばならん……お前は今からあの津山青年のところへ行って、どうすればモテるか教えてもらって来るんだ」
間違えました。
ダン「どうすれば勝てるか教えてもらって来るんだ」
と言う訳で、ゲンは不承不承、山の奥にある、黒潮流・空手野外道場なる施設へやってくる。
ゲンが冷静なら、「黒潮流」と言う看板の文字を見ただけで、津山の素性や百子さんとの関係に気付いていたかもしれないが、

彼の少し前を、紙袋を提げた百子さんが弾むような足取りで道場への坂道を歩いているのを見て、すっかりやる気をなくし、回れ右して帰ってしまう。
あの紙袋には、百子さんが心を込めて洗っていた津山の稽古着が入っているに違いないと思うと、嫉妬でハラワタが煮えくり返って、とても津山に頭を下げることなど出来そうもなかったのである。
その気持ち、痛いほど分かる。
あと、真横から見た百子さんの胸が、一枚板のようにペッチャンコなのが再確認できて、ますます嬉しくなる管理人であった。
ああ、一度でいいから百子タンのビキニ姿が見たかった……

ゲンはスポーツセンターに戻ると、ほとんどヤケクソになったように大きな姿見の前で空手の特訓に明け暮れるのだった。
ゲン「えいっ、でやーっ!」 人にどう見られようと構わず、常に全力投球するこの暑苦いまでのひたむきさこそが、「レオ」の最大の魅力であり、70年代特撮番組全般にも共通するソウルなのである。
もっとも、その横のサイクリングマシーンにまたがっているトオルとカオルの兄妹は、いささか白けた様子でゲンの空回り振りを眺めていた。
と、そこへ再び等身大のフリップ星人出現の知らせが入る。
正直、等身大の場合なら、いちいち相手しないで無視してやるのが一番だと思うのだが、そう言う訳にも行かず、ゲンを含めたMAC隊員たちが松の疎林があるいつもの川岸へ駆けつけるが、何の進歩もないゲンは分身の術に引っ掛かり、思いっきり川の中に跳び込むと言う醜態を晒す。
それだけならまだ良かったが、今回は、名前もさだかではない隊員が松の幹に叩き付けられたショックで、絶命してしまう。
その後、水門の上にゲンを呼び出したダンは、金属製の杖でいきなりゲンをぶん殴る。

ダン「逃げるな、お前のその逃げ出す態度が悲しい。そのために隊員を失ったんだ」
ゲン「俺は逃げたりなんかしていません」
ダン「バカァッ! よくもぬけぬけと……お前は私の命令を守らなかった。津山君に技を教えてもらってこなかったではないか。私の目は節穴ではない。何故津山君のところに行かなかったんだ?」
ゲン「……」
ダン「目を覚ませ!」 ゲン「……」
今のところ、いいところがひとつもないゲン、どんなに罵られても返す言葉がない。
これだけ見ればかなりの厳しさだが、今までのダンの鬼教官ぶりを見慣れている目には、いかにも物足りない。
さっきフリップ星人を撃退するのに使った、杖に仕込んだマシンガンをゲンの背中に乱射するぐらいのことはしてもらわないと……

ダン「あの星人を逃がしたためにまた何処かで被害者が出る」
ゲン「……」
ダン「人の命を救うためにお前が津山君から技を教わることが、恥ずかしいことか? それより身勝手な理由で教わろうともしないで逃げ出すほうがはるかに恥ずべきことじゃないのか?」
ゲン「……」
ダン「百子さんもスポーツセンターの子供たちも、みんな、お前がそんな男ではないと信じてる」
ゲン「……」
ダン「ゲン、お前はウルトラマンレオなんだぞ」
座り込んでいるゲンの肩に優しく手を置き、励ますように頷いてみせるダン。
うーん、以前のダンと比べたら、まるで保母さんのような甘ったるさである。
CM後、ゲンは恥を忍んで例の野外道場に、津山を訪ねる。
だが、津山はだだっぴろい空き地の端に、こちらに背を向けて正座しており、どうにも近寄りがたいオーラを放っていた。

何と声を掛けて良いか分からず、忌々しさも手伝ってか、ゲンは足元に落ちていた紙飛行機を津山に向かって投げるが、

津山は、背中に目があるかのごとく、その紙飛行機を指先でキャッチしてしまう。
津山「どなた?」
ゲン「MACのオオトリと申します」
津山「隊長さんから頼まれましたが、僕はMACのこと好きじゃありません」
ゲン「じゃあ、ケンタ派?」 津山「ちゃうわっ!」 じゃなくて、

津山「僕は自分で自分を守るために空手を習った。それをMACが習いに来るなんて……ほんというと、百子さんの口添えがなかったらこんなことやる気にもならなかった」
ゲン「……」
いちいち言うことが癪に障る津山に対し、ゲンは思わずレオに巨大化して踏み潰したくなったが、

ゲン「お願いします」
口をへの字に曲げ、まさに耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶの心情で頭を下げて教えを乞う。
津山「しかし、僕は何を教えたら良いんですか?」
ゲン「それは……星人が何人も現れたときに、どの星人を倒したら良いか……」
津山「星人が何人もいるんですか? 不思議なことを言う人だ」
ま、実際は、フリップ星にはフリップ星人がうじゃうじゃいるのだろうから、ほんとなら地球に何人いてもおかしくはないのだが、地球侵略に来る星人は基本的にぽっちと決まっているので、ゲンの言葉に怪訝そうに眉を顰める津山であった。
しかし、冷静に考えたら、たったひとりで他国を侵略に行くだけでも壮烈と言うか、ただのバカなのだが、たったひとりで他の星を侵略に行くって、どんだけ底抜けのアホやねんって話だよね。
もっとも、フリップ星人について言えば、別に侵略に来たとかじゃなくて、単に旅行の途中で立ち寄って、原住民相手に遊んでいるだけじゃないかと言う気もするのだが……

ゲン「あのー、百子さんが襲われた時だって……」
津山「あの時? あの時、星人は一人しかいなかった」
ゲン「いや、星人の体は五体に分かれたじゃありませんか」
しばらくゲンと噛み合わない会話を交わしていた津山だったが、

津山「ははははは、はっはっはっはっ」
やがて何かに気付いたように、白い歯を剥き出しにして、やや邪悪系の顔で嘲るように大笑いする。
津山「なぁるほど、あなたがたは不便だ。オオトリ君、その辺のボールを私に向かって投げてくれたまえ」
ゲン「ボールを?」
ゲンが足元に目をやると、野球のバットや軟式ボール、あるいはダンベルなどが置いてあった。
何の説明もないのだが、津山はここに子供たちを集めて空手や野球を教えており、その月謝で生計を立てているのだろうか?
ゲン「投げますよ」
津山「何処からでも、いつでも結構」
ゲン、願ってもないチャンスとばかり、殺意を込めてボールを投げ付けるが、津山は目をつぶったままそれらをすべてかわしてしまう。

津山「今度は僕が君に投げてみよう。すまないが、ボールを少し」

ゲン「津山さん! あなたは……」
ここに来て、やっとゲンは、津山が盲目であることに気付く。
津山はゲンにも目をつぶらせ、その上でボールを投げつける。
無論、目が見えないのにかわせる筈がなく、ゲンの体に次々とボールがめり込み、ゲンは思わず倒れ伏せる。
津山「どうした?」
ゲン「いや、なんでもない」
津山、なおもボールをゲンの体にぶつけ、
津山「僕のボールは百発百中のはずだ。君は一発も避けることは出来ない」
ゲン「……」
津山「目の見える人は不便だ」 ゲン「そうか分かったぞ。本物の星人はひとつなんだ」
津山は目が見えないがゆえに、フリップ星人の幻術に惑わされなかったのだ。
スポーツセンターに戻ったゲンは、猛を相手に同じような特訓を続ける。

毎回のように手伝いをさせられて、猛もたいがい迷惑であったろうが、ゲン、今回は僅か1分たらずで極意を会得してしまい、あっさり終了となる。
これも、特訓シーンがあまりに長過ぎることへの反省だろうなぁ。
と、そこへダンの杖が飛んでくるが、ゲンはそれも受け止める。
ダン「ゲン、見事だ」
ゲン「隊長」
ダン「免許皆伝だ!」
ゲン「ほんとですかっ?」
津山本人でもないのに勝手に免許を発行してしまう図々しいダンであった。
だが、彼らはひとつ重要なことを見逃していた……
んで、ナイスタイミングで三度フリップ星人があらわれるが、ゲンが駆けつける前に巨大化してしまう。

ゲン、レオに変身してフリップ星人と激突する。
それにしても、予算削減の中でも、これだけのミニチュアを毎週作り出すスタッフの熱意には脱帽である。
手前の排水管から、ちゃんと水が流れ落ちているのがお分かり頂けるだろうか?
しばらく戦った後、フリップ星人は得意の分身の術を使う。
レオ、特訓で極意を会得している筈なのに、以前と同じく、それに全く対処できない。
何故なら、レオには瞼がなかったからである! こいつぁ盲点だったぜぃ。
と、ここで何を思ったか、いきなりダンが戦闘機でレオを攻撃し始める。

あまりのレオの不甲斐なさに遂に切れたのかと思われたが、その不可解な行為にフリップ星人も戸惑って、攻撃の手を休める。

ダン「ゲン!」
鬼のような目を光らせて、レオに突っ込んでいくダン。

ダン目線で、ビルを背中にしておたついているレオの姿があまりに不様であった。
ダン、一瞬本気で殺意を覚えるが、

当初の予定通り、レオの顔目掛けて消化剤を発射して、パイでもぶつけたように白く塗りたくってしまう。
レオ「……」
そう、瞼がないのなら塗りつぶせばいいじゃない?と言う、ダンの奇抜なアイディアだった。
人工的な闇の中に置かれたレオは、やっと特訓の感覚を取り戻し、見事フリップ星人の本体を見抜いて撃破するのだった。

事件解決後、消化剤で目を傷めたゲンの包帯を、百子さんの美しい手が優しく剥いでいる。

視力を取り戻したゲンが最初に見たのは、ナチュラルメイクの百子さんの笑顔であった。
ゲン「百子さん!」
ふと見れば、百子の後ろに津山が立っていた。

ゲン「あなたは……」
津山「オオトリ君、僕は君のことを誤解していた。許してください」
百子「オオトリさんの活躍を聞いて、お詫びに来たのよ」
と、百子さんは言うのだが、ゲン、何か活躍しましたっけ?
この番組のもどかしいところは、いくらゲンが特訓を積み重ねて技を習得しても、結局レオになって敵を倒すことになるので、その成果を百子さんたちに披露する機会がないことである。
まあ、前回の14話では、等身大の怪獣少年を倒して見せたが、あくまでそれは例外である。
ゲン「いや、僕のほうこそあなたにお礼を言わなければならないんです……」
ゲン、謙遜してから、ものといたげな視線を二人に向けると、意を察した百子さんが、

百子「津山さんは黒潮島のたったひとりの生き残りなの……でも、そのために目が見えなくなってしまって」
ゲン「黒潮島って百子さんの?」
百子「ええ、怪獣に襲われて全滅してしまったけれど、津山さんだけが助かったの」
漸く津山の素性と自分との関係を明かす。
同時に、百子が、同郷人であり、目が見えずに苦労している津山に同情してあんなことをしていたのだと分かり、心の底から安堵するゲンであった。
津山「あの時に、どうしてMACがもっと活躍してくれなかったのかと僕は何度も恨んだ。MACは何も出来ないとさえ思っていたんだ」
ゲン「津山さん……」
思わず
「その通りですよ」と言いそうになったゲンであったが、なんとか堪える。

津山「しかし、君のように勇気のある人がいることも分かった、見直したよ」
ゲン「いやぁ、勇気のあるのは隊長……あれ?」
津山の差し出した手を握って、大いに照れるゲンであったが、いつの間にかダンがいなくなっていることに気付く。
しかし、今回も星人を倒したのはレオだったのだから、津山がMACのことを見直すと言うのはいまひとつ釈然としないのだが、勘の鋭い津山のことだから、ひょっとして、ゲンの正体がレオであることも見抜いていたのかもしれない。
ダンは、意外なところにいた。
例の、名前もさだかではない隊員が殺された場所である。

木の根元に花束を置き、両手を合わせて祈る姿は、とても鬼隊長ダンとは思えない。
そこへゲンがやってくる。

ダン「勇敢なMACの隊員を失った。失った命は帰らない。ゲン、分かるか?
隊員の名前」
ダン「分かりません」
じゃなくて、
ダン「ゲン、分かるか?」
ゲン「……」
ダン「この先どんな宇宙人があらわれるかも知れん、ひとりの犠牲者も出さずに戦うことは難しいことだ。だが俺たちはそれをやらねばならん。ゲン、頼むぞ」
ゲン「はい」
改めて地球を守りぬくことを誓い、赤々と燃える夕日をバックに見詰めあう二人のウルトラ戦士の姿を映しつつ、幕となる。
以上、特訓シーンは妙にあっさり風味だが、百子タンの可愛らしさを満喫できる一本であった。
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