第12話「地獄の怪人!ゲジゲジ魔!!」(1972年6月23日)
冒頭、越後の国の山地にて、いわゆる「燃える水」、すなわち原油を採掘している血車党。
が、例によって自分で働くのが面倒臭い彼らは、近隣の村から住人を根こそぎ攫ってきて、採掘作業に従事させていた。
おまけに流出した油によって、土壌や河川も汚染され、村人たちにとってはどえらい迷惑であった。
さて、その中の一人、作左なる男が脱走するが、

骸骨丸「追えっ、追うんだ、ゲシゲジ魔、思う存分暴れて来るんだっ」
怪人「ゲオーッ」
骸骨丸はゲジゲジを素材にした、あまり真面目に相手をしたくないようなデザインの化身忍者を呼び出し、追討させる。
砂利だらけの斜面を転がるように降りていく作左を発見したゲジゲジ魔は、

怪人「血車忍法、ゲジゲジ走りーっ!」
四つん這いになると、明らかに普通に走った方が速い速度で坂を下っていく。
しかし、これを「忍法」と言っていいものやら……
作左は、麓の川べりで水を飲もうとしていたところをゲジゲジ魔につかまる。

作左「ど、どうか、ご勘弁を、お願いいたします!」
怪人「血車党に容赦はない。貴様も女房もせがれも地獄に送ってやる、死ねい」
見掛けはユーモラスでも冷酷無残なゲジやんは、作左の哀訴嘆願にも耳を貸さず、

その場に組み伏せて食い殺そうとするが、

ハヤテ「……」
怪人「むっ、てい」
画面の外からあらわれたハヤテが、無言でその体を蹴飛ばすのが、ヒーローらしくない所作で割とツボである。
怪人「何奴?」
ハヤテ「血車党の新しい化身忍者か?」 いちいち聞くなよ、見りゃ分かるだろうが……
ゲジゲジ魔の背後に、タツマキ、カスミ、ツムジもあらわれて挟み撃ちにするが、ゲジやん、何を思ったか、自分の体を刀でバラバラに切り刻む。
ドマゾの極北かと思いきや、その破片の一つ一つが再生して、6体ものゲジやんになってしまう。
それを繰り返していけば、あっという間に日本中をゲジやんで埋め尽くすことも可能だと思うが、そうなると、日本を支配するのが血車党じゃなくてゲシゲジ党になってしまうので、骸骨丸もそんなことはさせないのだった。
無論、番組には6体の怪人を登場させる予算もなければ、6体の怪人を合成させるテクもないので、

特殊なレンズか鏡を使って、ゲジゲジ魔の数が増えたように見せるという、映像作家としてのプライドゼロの手法が採られている。
【急報】 管理人、この辺で、レビューを書くのがイヤになる。 色々あって、ハヤテが作左とツムジを守っている間に、タツマキとカスミはまんまと敵の手に落ちる。
さらに、公言したとおり、ゲジゲジ魔は、病弱な妻と幼い息子のいる作左の家に侵入し、

怪人「お前たちのおやじ作左は、先刻ドクロ館から逃げ出しおったわ。だから掟どおりに二人は殺す」
残酷にも、その家族を手に掛けようとする。
もっとも、息子については、人質にするつもりなのか、採掘作業をさせようというのか不明だが、下忍たちに運ばせ、

怪人「泣け、喚け、どうせお前は死ぬのだ」
自分は病身の妻を絞め殺そうという、普通の時代劇でもなかなかお目にかかれないような非道な真似をする。
だが、そんなことをハヤテが許す筈もなく、羽根手裏剣が飛んできて、ゲジゲジ魔の邪魔をする。
ハヤテ「
弱いものいじめはやめろ、表に出て堂々と戦え」
怪人「しゃらくさい!」
いや、ハヤテさん、「弱いものいじめ」なんて生易しいものじゃないんですけど……
で、ついさっきたっぷり戦った筈なのに、再び同じような場所に出てチャンパラが演じられるのだが、はっきり言って退屈だ。
このドラマのダメなところは、「仮面ライダー」と同等、あるいはそれ以上に、アクションシーンが長過ぎることである。
だから、嵐に変身したハヤテとゲシゲジ魔の戦いがひとまず終わると、ストーリーはほとんど進んでないのに、ここでもうCMに行っちゃうほどなのである。

タツマキ「やい、わしらは言われるとおり素直に働いてるんだ、この子だけは助けてやらんかい」
捕まったタツマキとカスミは、他の村人と同様、採掘作業にこき使われていた。
しかし、8話では捕まえた二人を殺そうとしていたのに、なんで今回は生かしておくの?
ハヤテに対する人質にするつもりなのだろうが、今まで何度同じことを試みて失敗してきたことか、彼らには学習能力以前に、記憶力と言うものがないのだろうか?
ハヤテたちは、作左に協力してもらって採掘場所を探り出そうとするが、連れて行かれるときには目隠しをされるとのことで、作左は、その付近まで彼らを案内することしか出来なかった。
だが、親と離れ離れにされていた幼い女の子たちが、ほら貝の合図で集められるのを見て、ツムジが妙案を思いつく。

ハヤテ「良いか、ツムジ、私が見失ったときの用心に、籾殻を道しるべに落としていくんだ」
ツムジ「合点承知だ」
それは、ツムジが女の子に成り済まして彼らの中に紛れ込み、採掘場所に潜り込もうと言う、マニアの喜びそうなアイディアであった。
しかし、そもそも血車党が、採掘場所から離れた山の中に子供たちを隔離しておくと言うのが良く分からない。
おまけに、親と交代で採掘場所に送り込んで働かせているらしいのだが、いくらなんでもそんな小学生低学年くらいの女の子たちでは労働力にはなるまいし、その交代作業に割く下忍の手間だけでもバカにならないではないか。

それはさておき、山頂から麓に張られたロープを伝って、滑車のついたモッコが滑り降りてくる。
これは、当時、実際に材木や人間の運搬などに使われていたものだろうか?

女装したツムジは、疑われることなくそのモッコに乗って運ばれていく。

ツムジ、言われたとおり、右手に握った籾殻を落として行くのだが、

こんな高さから落としたのでは、道しるべにも何にもならないのでは?
つーか、風で飛ばされると思うが……
続いて、谷に渡された細い吊り橋を子供たちを渡るのだが、

これがシャレにならないくらい細くて頼りない吊り橋で、それを子役たちがひとりで渡って行くのが、今ではありえない危険な撮影なのだった。
さすがに、劇中でも命綱として使われているロープを腰に巻いてるけどね。
子役たちも怖かっただろうが、

それをカメラで撮っているカメラマンの方がもっと怖かっただろうなぁ。
普通に渡るだけでも、高所恐怖症気味の管理人には、まず無理だなぁ。
ほんと、子供たちはえらい!(と言っても、実際に渡っているのは二人だけだが)
と、最後尾を歩いていた女の子が足を滑らせて落ちそうになるが、吊り橋の下にぶら下がってなんとか耐える。
女の子たちの体は一本のロープで結ばれているので、先に渡った女の子たちも引っ張られてその場に尻餅を突く。

ツムジ「みんな、腰を低くして、グッと堪えるんだ。いえ、堪えるのよ!」
思わず普通の喋り方で叫んだ後、女っぽく言い直すツムジ。
今回、管理人が唯一面白いと思ったシーンである。
ツムジの松葉さんはなかなか可愛らしい子役で、女装姿もサマになっているが、せっかくの元祖「男の娘」とでも言うべき先進的アイディアもあまりストーリーに生かされていないのが残念である。
と、それを見ていた骸骨丸がツムジに近付き、

骸骨丸「伊賀ザルの小僧め!
コーフンさせおって!」
杖でツムジの顔を起こし、憎々しげに言い放つが、途中から嘘である。
この後、ハヤテはツムジの蒔いた籾殻を頼りに作業場に近付くが、途中でゲジゲジ魔たちに襲われる。

嵐「嵐、見参!」
嵐に変身して、さっきの吊り橋の上でポーズを取る嵐。
ちなみに9話から、変身後の嵐の声が池水さんになっていたが、11話とこの12話では、再び南城さん本人の声に戻っている。
たぶん、製作順と放送順が異なるのだろう。

橋の上でチャンバラとなるが、なにしろ普通にポーズを取るだけでぶらんぶらん揺れる不安定な吊り橋なので、嵐が下忍を斬るときも、なんとなく及び腰である。
で、詳細は省くが(省くなよ)、嵐がゲシゲジ魔を倒し、タツマキたちも無事に救出され、採掘現場もドクロ館もろとも土砂崩れに飲み込まれ、血車党の野望はあえなく挫折する。
しかし、そもそも魔神斎は、石油を採掘して、それで何をしようとしていたのだろう?
以上、面白くもなんともない話で、短いけれどレビューするのがとても苦痛なエピソードであった。
せめてカスミのパンチラでもあれば、多少はやる気も湧くのだが。
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