第49話「よみがえったイアル姫」(1988年2月6日)
前回、筋肉脳のバラバを騙して利用し、遂に愛しのイアル姫(要冷凍)をゲットしたキロス。
一方、タケルは、何故か一旦本部に帰ってから、イアル姫を助けに行こうとしていた。
それを、ケンタが必死になって止めている。

タケル「どいてくれ、ケンタ、美緒を助けに行くんだっ!」

ケンタ「風地獄に入って、生きて帰れたのはキロスだけなんだぜ?」
タケル「キロスに帰ってこれたなら、俺にも帰ってこれる!」 ゴリライモ1号ことタケルの勢いだけの確信に、
三人(なんでだよっ!) 最近すっかり背景になってしまった三人は心の中でツッコミを入れるが、
ケンタ「なるほど、その発想はなかったぜっ!」 やはり同じ血を分けたゴリライモ同士には理解し合えるのか、ゴリライモ2号ことケンタは思わず感嘆の声を上げる。
……嘘である。
ゴリライモたちのむさくるしいアップが続いたので、

インカムを外しながら立ち上がる東ちゃんのお美しい画像で口直しをして頂きたい。
タケル「頼むケンタ、行かせてくれ」
ケンタ「……」
柱に縋りつくようにしてお願いするタケルに対し、ケンタ、何を思ったか操作盤に歩み寄り、スイッチを動かして、マスキードリルの格納庫のハッチを開ける。
タケル「ケンタ!」
ケンタ「送っていくぜっ」
何故か急に止めるのをやめ、それどころかマスキードリルで風地獄まで送って行ってやろうと申し出る。

アキラ「どういうつもりなんだ?」
ケンタの不可解な行動に訝しい顔をするアキラたちに対し、
姿「タケルを止められないことが分かったのサ」

姿「君たちだって、タケルと同じ立場だったら、行ってしまうだろう」
東(いや、それを止めるのが司令官のお前の役目ちゃうんかい?) 得々と、まるで他人事のようにケンタの心情を解説する無責任男・姿長官の背中に注がれる東ちゃんの目は、氷のように冷たかった。
嘘はさておき、この姿長官の台詞、ちょっと変だよね?
アキラが問題にしているのはケンタの心境の変化なのだから、
ともあれ、ブラックマスクの操縦するマスキードリルに乗って、一気に地下に入り込んだレッドマスク、拍子抜けするくらい簡単に、風地獄への入り口を見つけて、キロスのいる場所まで落ちてくる。
キロス「レッドマスク、よくもここまで!」
レッド「美緒!」
キロス「イアル姫は渡さん!」
当然、両者の間で激しいガチンコバトルが繰り広げられるが、それを小気味良さそうに見ていたのが、ゼーバであった。
ゼーバ「これで二人とも終わりだっ」
てっきり、二人が戦って共倒れになるのを狙っているのかと思ったのだが、
ゼーバ「風地獄を操る地帝獣ジゴクドグラーがお前たちを待っているのだ!」

ゼーバは、風地獄に精通したキロスさえ知らないジゴクドグラーなる凶悪な地帝獣を差し向ける。
……
いや、なんで二人がピンピンしてる段階でそいつを出しちゃうの?
なんで二人が死闘の末に力を使い果たすか、どちらかが死ぬまで辛抱できなかったの?
これでは、前回、バラバとタケルが戦っている最中に割り込んで、そのどちらも討ち漏らしたキロスと全く同じではないか。
バラバに「助けに来まひた」と言っておきながら、肝心な時に手助けしようとしなかったオヨブーと言い、どうしてこうチューブには、支離滅裂な奴が多いのだろう。
案の定、ゼーバの策は見事に、気持ちが良いぐらいに裏目に出て、ジゴクドグラーの吹き出した気流で、キロスもレッドも、そしてついでにイアル姫の氷柱までも、あっという間に風地獄から放出されてしまう。

激しい爆発で同時に宙に投げ出され、空中で交差するタケルとキロス。
キロスの方は不明だが、タケルのほうは海津さん本人が演じているのがえらい。
キロスしか脱出できなかった風地獄の価値まで一気に下落させてしまった、ゼーバ一世一代の大失敗であった。
ゼーバが余計なことをしなければ、少なくともレッドは当分風地獄から抜け出られなかっただろうに……
やっぱり、バカなのかな、ゼーバ……
さらに、
ゼーバ「まさか風地獄から抜け出そうとは……」 まるでタケルたちが自力で風地獄から抜け出したように言って、自分の責任を全力で回避しようとするセコいゼーバであった。

ゼーバ「イガム、氷ごと吹っ飛ばしてしまえ。なんとしてもイアル姫を生かしておいてはならん」
イガム「……」
自分の妹を殺せと命じられて、さすがに即答できないイガム。
ゼーバ「わかっておろうな、裏切り者イアルを倒さねば、イガム家の復活はないぞ!」
イガム「もとより、あんなやつは妹とは思っておりませぬ!」
前回の最後に、ゼーバはイアル姫など眼中にないと書いたが、何故かゼーバは執拗にイアル姫を殺そうとしている。
何かイアル姫に生きていられては困る理由があるのだろうか?
……
つーか、だったらなんで最初にイアル姫を捕まえたときに、ちゃっちゃと殺さなかったの?
バカなの、ねえ、やっぱりバカなの?

タケル「美緒、美緒!」
一方、運良く地上に出られたタケルのそばには、これまた運良くイアル姫を閉じ込めた氷が落ちていた。しかも周囲にキロスの姿はなく、タケル、思う存分、欲望の赴くまま、冷たい氷越しに、愛しい美緒の顔をいじり倒す。

さらに、氷に頬擦りせんばかりにしていたが、そこへあらわれたのがイガムたちであった。
イガム「やれ、ジゴクドグラー! 死ね、イアル姫!」
ジゴクドグラーの放った赤いビームを、氷の前に飛び出して自らの体で受け止めるタケル。
タケル「そうはさせんっ!」
地帝獣のビームの直撃を受けながら、大して怪我もせず、逆に飛び蹴りをお見舞いするタケル。
いや、いくらなんでも強過ぎないか?
正直、タケルなら、変身せずともジェットカノンとマスキーブレードさえあれば、一人で十分地帝獣に勝てそうである。

イガム「おのれ、タケル!」
タケル「イガム、美緒はお前と血を分けた妹じゃないか!」
イガム「イガム家復活を邪魔するものなど妹ではないっ」
イアル姫(あー、助かった……) 氷の中のイアル姫、タケルのしつこい愛撫から逃れられてホッとするが、
イアル姫(ああん、別のが来た~っ) 一変(態)去ってまた一変(態)!
キロス「イアル姫は誰にも渡さん!」
タケル「キロス!」
キロス、鎖鎌を旋回させて竜巻を作ると、それでタケルたちを吹き飛ばし、イアル姫の氷ごと、その場から飛び去ってしまう。
イガム、ジゴクドグラーにタケルを崖下に落とさせてから、手分けをしてキロスの行方を探す。
だが、オヨブーが逆にキロスに捕まり、初登場のキロスの隠れ家に連れて行かれる。
そこには、イアル姫のためにキロスが強奪した宝石や貴金属が山のように積まれ、洞窟だというのに昼間のような明るさを誇っていた。

キロス「オヨブー、この氷を溶かしてもらおう」
キロス、前回、氷漬けにされたオヨブーが、自分の体から炎を発して氷から抜け出たことを思い出し、同じ方法でイアル姫の氷を溶かさせようとするが、
オヨブー「あれは我と我が身を燃やす、つらく苦しい炎だ。いわば澪標(みおつくし)の炎! 戦うために命を燃やしているのだ。お前ごときの色恋沙汰のために燃やす炎ではないっ」
武人の誇りにかけて、きっぱりと拒絶するオヨブー。
でも、「戦うため」と言うけど、氷から抜け出た後は、一切戦おうとしなかった人に言われてもねえ……
キロス、莫大な財宝をエサにうんと言わせようとするが、オヨブーは見向きもしない。
キロス「貴様、命が惜しくないのか?」
オヨブー「そんなに見たくば見せてくれよう」
それでもキロスに刃を突きつけられるとあっさり求めに応じて唸り出すが、

オヨブー「オヨブーファイヤーッ!」
キロス「ぐわっ!」
それは氷を溶かすためではなく、炎の塊となってキロスを攻撃するためであった。
怒りに燃えるキロス、オヨブーを黄金の剣で斬ろうとするが、

イガム「キロス、見付けたぞ!」
ちょうどそこへ駆けつけたのがイガムたちで、ジゴクドグラー、フーミン、さらにはオヨブーまでが一斉にビームを放ち、キロスを悶絶させる。
最後にイガムもビームを撃つと、その勢いでキロスの体が投げ出されるが、
キロス「あ゛あ゛ーっ!」 まことに運の悪いことに、キロスの手を離れた剣が、倒れたキロスの腹に深々と突き立ってしまう。
CM後、ジゴクドグラーが素手でイアル姫のまわりの氷を砕き始める。
……
いや、ジゴクドグラー程度に壊せるのなら、キロスのクレセントスクリューで簡単に壊せていたのでは?
どうも、この氷の剛性については、今ひとつ納得のいかない点が多い。
8話で、フーミンが、マリアローズと言う花なら溶かすことができると言っていたが、それは要するに、普通に熱や力を加えるだけでは不可能と言う風にも解釈できるんだけどね。
と、そこへタケルが飛び込んできて、ジゴクドグラーを引き剥がす。
なんか、さっきから同じようなことばっかりしているような気がするが、イガムたちの放つビームから、身を以てイアル姫を守ろうとするタケル。

タケル「美緒、あ、ああ……」
全身から血を流しつつ、イアル姫の氷に縋りつくタケル。
……
いや、イガムも、イアル姫を殺すより、タケルを先に殺した方がよくね?
はっきり言って、イアル姫を殺すことより、そっちの方がチューブにとってはるかに有益だと思うのだが。

イガム「何故、何故それほどまでに?」

キロス「俺は、欲しいものは必ず手に入れてきた。イアル姫は俺のものだ……」
呻くようにつぶやきながら、タケルの横に立って氷に手を這わせるキロス。
なんか、タケルとキロスの関係って、「北斗の拳」で、同じ女(ユリア)を愛したケンシロウとシンの関係に通じるものがあるよね。
だが、処女であるイガムの目から見れば、氷漬けの女性にしがみついている二人の男の姿は感銘を受けるどころか、ひたすら気持ち悪いだけだっので、
イガム「ええい、キモいからやってしまえ!」 
再びビームの集中砲火を、二人の背中に叩き込む。
ある意味、妹を変態の魔手から救おうとしているように見えなくもない。
と、タケルが咄嗟に自分の体からオーラパワーを放出するが、それとビームのエネルギーとが融合して、凄まじい爆発を起こす。
それによって氷塊は木っ端微塵に砕け……たら、イアル姫も死ぬんじゃないかと思うのだが……散り、冷凍庫で作ったようなブロックアイスや、つららのように尖った氷が乱れ飛ぶが、

またまた実に運の悪いことに、その氷の剣が、キロスの体に突き刺さってしまう。

キロス「はうっ!」
思わず目を剥いて、かなり間抜けな顔を晒してしまうキロス。
「今日の星占い見とくんだった……」と、後悔しても手遅れ。
しかし、さすがに同じシーンで二度もそんな不運に見舞われると言うのは、スタッフが俳優に個人的な恨みでも持ってない限り、ありえない話で、これはどちらかひとつにすべきだったろう。
さて、遂にイアル姫を包んでいた氷が砕け、その上に、神々しいばかりの美しさを見せてイアル姫が横たわっている。
ま、冷静に考えて、1年間も氷漬けにされていた人間が生きてる筈がないし、生きていたとしてもすぐには動けないと思うのだが、そこはそれ、子供向け特撮ドラマなので、

イアル「タケル……」
イアル姫は、タケルが呼びかけると、あっさり目を開いてタケルの名を呼ぶ。
しかし、これでは刑罰と言うより、コールドスリープ装置みたいなもので、むしろゼーバのしたことはイアル姫の保護になっていたようにも見える。
おまけに、終盤になって、オヨブーの炎やジゴクドグラーの攻撃、タケルのオーラパワーと、その気になれば壊す方法がいくらでも出てきてしまい、その神秘的な凍結作用も看板倒れになってしまった感じがして、やや興醒めである。
それはともかく、感動に打ち震えながらイアル姫、いや、美緒の体をしっかりと抱き寄せるタケル。
哀れなのは、それを見せ付けられる瀕死の状態のキロスであった。

キロス「俺にもたった、ひとつだけ、手に入らぬものがあった……うっ」
左手を差し伸べながら、誰にも聞こえない小さな声でつぶやくと、あっさり息を引き取る。
……
「ええ~っ? これで終わりなのかい?」 byマスオ
管理人も、見ていてたまげてしまったが、ほんとにこれで終わりなのだった。
いくらなんでもレッドのライバルキャラの最期にしてはあっけなさ過ぎる。
これでは一騎打ちの末に華々しく散ったバラバのほうがまだマシではないか。
タケルにしても、結局クレセントスクリューを破ることなくキロスに「勝ち逃げ」されてしまったことになって、非常に物足りない……と言うか、釈然としない決着ではなかったろうか。
一騎打ちが無理なら、せめて、キロスがイアル姫を守ろうとして身をもってジゴクドグラーの攻撃を浴びて重傷を負い、それをタケルが抱き起こして、
タケル「キロス! お前って奴は……そんなにも美緒のことを」
キロス「ふふっ、言った筈だ。俺は欲しいものは必ず手に入れる主義だとな……タケル」
タケル「なんだ?」
キロス「イアル姫のこと、頼んだぞ」
タケル「分かった、美緒は……イアル姫は、俺が命に替えても守ってみせる!」
ありがちだけど、こんな感じでキロスにも少しは花を持たせてやって欲しかったところだ。
しかるに、衝撃で洞窟が崩れ始めたのを見て、タケルもイガムたちも、キロスには目もくれずにとっとと逃げ出してしまうのが、あまりに薄情だし、キロスがあまりにかわいそうである。
ケンシロウだって、シンをちゃんとお墓に埋めてやってるんだから。
ゼーバ「タケルの愛が氷を溶かそうとは……なんとしてもイアル姫を抹殺せよ!」
と、ゼーバは焦っていたが、今のはどう見ても、タケルの愛じゃなくて、タケルのオーラパワーによるものとしか見えないし、そもそも溶けたと言うより、砕けてるよね。
この後、ジゴクドグラーとマスクマンとのバトルとなるが、珍しくゼーバが地中からジゴクドグラーにエネルギーを分け与え、

その凄まじい火炎放射によって、

マスクマンの前後左右で爆発が起き、画面全体が炎と閃光に塗りつぶされると言うド迫力のショット。
レッド「ジェットカノン!」
それに対し、レッドマスクはジェットカノンを呼ぶと、

サーフボードよろしくその上に乗ってイガムたちの頭上を滑空し、

ジゴクドグラーの口の中に、その先端を突っ込ませて爆発を起こすと言う、えげつない攻撃を行う。
この後、いつものようにジェットカノンでジゴクドグラーを地獄に送り届けるマスクマン。
……
つーか、日頃、オーラパワーだ、愛のパワーだとか言ってるけど、結局ジェットカノンと言うハイテクメカで勝ってるだけじゃないのかと言う気がしてきた(無論、オーラパワーがなければジェットカノンは作動しないので、意味がない訳ではないが)。
考えたら、チューブの方はせいぜい役に立たないアングラモン戦闘機があるぐらいで、ハイテクメカに頼ろうとする気配はほとんどなく、結局、チューブが負けたのは、よこしまな心だからとか、チームワークが悪いからとかじゃなくて、単に装備の良し悪しの問題ではなかったろうか?
端的に言えば、毎回ジェットカノンで怪人を倒されているのに、なんでそれを防ぐメカを開発しようとしないのかってことである。
それはともかく、巨大ロボットバトルの後、タケルはイアル姫にイガム王子が女だったと告げる。

イアル「え、私の姉さん?」
タケル「兄さんじゃなかったんだよ。
君が眠っている間に、性転換したらしい」
イアル「引くわ~」
じゃなくて、
イアル「王子として育てられたためにイガム家の名を守ることしか考えられなくなってしまったんですね。かわいそうなイガム……」
イアルは、イガムのことを恨むどころか、その境遇に涙を流す。
タケルが惚れたのも、イアルのその優しさであったのだろう。
でも、幼い頃に別れたのならともかく、割と最近まで一緒に暮らしていたと思われるイアルが、イガムが女であることを知らなかったと言うのは、さすがに不自然な気もする。

タケル、悲嘆に暮れている美緒の横に進み出ると、
タケル「きっと目が醒める時が来るサ。信じよう、イガムを」
イアル「……」
1年間、ずーっと姿長官イズムを浴び続けた結果、クソの役にも立たない精神論を信奉するようになってしまったタケルであった。
もはや回復の見込みはありません。

しかし、この被り物はフェイスハガーみたいで気持ち悪いので、NGにすべきだったと思う。
ラスト、漸く美緒をその胸に抱き締めることが叶ったタケルを、ほとんど台詞を貰えなかった4人が物欲しげに見ているところで50話へ続くのだった。
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